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42 計画を立てましょう

1 名前:42 計画を立てましょう 投稿日:2003年09月21日(日)17時21分05秒
『計画を立てましょう』
2 名前:42 計画を立てましょう 投稿日:2003年09月21日(日)17時21分33秒
「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」
3 名前:42 計画を立てましょう 投稿日:2003年09月21日(日)17時22分29秒
私は、一瞬さゆが何を言ったのか理解できなかった。
れいなは、立ち上がると部屋のドワまで歩みよりカチャリと鍵を閉めた。
私は、ジュースやお菓子が入ったコンビニのビニール袋を手に持ったまま部屋の真ん中で茫然としていた。

「えり、じゃま」

振り返ったれいなに言われて慌てて数歩壁際に移動する。
れいなは、先ほどまで座っていた場所まで戻ると床に腰をおろした。
床というか、クッションの上にだがお尻を乗せると胡座をかいている。
そして、何故かさゆとれいなの視線が私に注がれている。
4 名前:42 計画を立てましょう 投稿日:2003年09月21日(日)17時23分16秒
「はよ座らんね」

れいなに言われて、私は慌ててその場に正座した。
コンビニのビニール袋が膝に当たって少し痛かった。
正確には、ビニール袋の中に入ったペットボトルが当たったのだが。
れいなは、さゆの部屋にいてもまるで家主のような態度をしている。
そう、私達は突然さゆに呼び出されたのだ。
真剣な声で、大切な話があるからすぐに来てくれと言われ、その道すがらコンビニに寄って、そこでれいなと鉢合わせしてそのままさゆの家に向ったのだ。
れいなは、部屋に入るなり自分の居場所があらかじめ決っていたかのようにその場所に座り、私は、座る場所を決めようと部屋を見渡していると、さゆが突然言い出したのだ。
私の聞き間違いではなければ、紺野先輩を攫いに行く、と。
5 名前:42 計画を立てましょう 投稿日:2003年09月21日(日)17時24分01秒
れいなはじっと私を見つめている。

「何か飲み物頂戴」
「あ、うん」

れいなに言われ、私は慌ててコンビニの袋を開いて中身を確かめる。
中にはお茶系やサプリ系などいくつかの飲み物が入っている。

「何がいい?」
「何でもよかけん」
「お茶でいい?」

れいなが頷くので私はまろ茶を取り出すとれいなに渡した。
まろ茶は、私が知るかぎりで最高のお茶だ。
抹茶や混じりっけのない純水を使用し、ほろ苦さの中に程好い喉越しと風味が凝縮されている自然のめぐみがぎっしり詰ったお茶である。
しかも、天然カテキン120%だ。
私がれいなにお茶を渡すのを見て、さゆも物欲しそうに私を見た。
私は、さゆにはレモンカルピスを渡した。
6 名前:42 計画を立てましょう 投稿日:2003年09月21日(日)17時24分56秒
「で? どういう事か聞かせんね」

れいなに促され、さゆは神妙な面持ちで頷いた。

「紺野って自分勝手だと思わん? 自分から誘っといていきなり今日でお別れです、だよ」
「もしかしてハロプロワイド?」

さゆに続いてれいなが言う。
さゆは、小さく頷くと話を続けた。

「うん、アホみたいな衣装着せられて、紺野に合わせて寒いセリフを言ってやったのに、下手なトークにも突っ込んであげてたのに、いきなりさようならだよ。絶句したよ」
「え、あれ絶句してたんだ」

私の言葉を無視してさゆは先を続けた。

「でね、とにかく紺野にはいなくなってもらおうと思うの」
7 名前:42 計画を立てましょう 投稿日:2003年09月21日(日)17時25分45秒
れいなは、額をくっつけようとするかの勢いで身を乗り出すと声を小さくする。

「で? 具体的にはどげんする?」
「まず携帯で公園まで呼び出して、スタンガンで眠らせてから家にまで運ぶってのはどう?」
「スタンガン持ってる?」
「お兄ちゃんが持ってた」
「ふーん」

れいはな、姿勢を元に戻すと考え込むように顎に手をやる。
ちょっと寄り目気味で考え込む姿はお母さんに隠れて悪戯を考える子供のようだ。
さゆはれいなを見つめて「どうよ、これ」とでも言いたげな表情をしている。
私は、まるで蚊帳の外にいるようだ。

「やっぱダメやろ。誰かに見られるかもしれん」
「夜中だから大丈夫じゃない?」
「そうやろか。夜中でも人多かよ」
8 名前:42 計画を立てましょう 投稿日:2003年09月21日(日)17時26分26秒
れいなの言うように、この辺りが住宅街とはいえ、近くにコンビニもあるし、深夜を過ぎても普通に通行人に出くわすだろう。
さゆも夜遅くまで起きている事も多いしその事はよく知っているのだろう。
眉間に皺を寄せて、さゆにしては珍しく一生懸命考え込んでいる様子だ。
私は、考え込む二人の様子を見つめながら、発言しようか迷っていた。
実を言うと、この問題は別に悩むほどの事でもない。
私は思い切って言うことにした。

「家まで来てもらえば?」
「それだ!」

さゆとれいなが同時に叫んだ。
私は驚いて手に持っていたまろ茶を落としそうになった。
9 名前:42 計画を立てましょう 投稿日:2003年09月21日(日)17時27分03秒
「で、それからどげんする?」
「とりあえず縛る」
「それで?」
「どうしよっか……」
「いなくなってもらうやから、やっぱ……」
「うん、そうだよね……」

省略して話している部分はなんとなく想像ついた。
というかそれしかないのだが。
つまり、殺そうと考えているのだろう。
二人の不安そうに引きつらせた顔をみていれば想像つく。
でも、人を殺す事が怖いのだ。
ほっとした。当たり前の事だが、私にはそれが嬉しかった。

「弱み握るだけでもいいのでは」
「それだ!」

私が言うと、さゆとれいなが再び声をそろえて言う。
私は二人の中に入れた気持ちになり、楽しくなってきた。
10 名前:42 計画を立てましょう 投稿日:2003年09月21日(日)17時28分06秒
「弱みって何やろ」
「とりあえず変顔撮る?」
「でも変顔ぐらいじゃ弱み言わんやろ」
「じゃあさ、好きな人の名前を聞くとか」
「スタンガンで眠らせちょるけんそれは無理やろ」
「じゃあさ、起してから聞けば」
「かつお節はどげんね!」
「え?」
「だから、寝とる間に口の中にかつお節をいっぱい詰め込んだ写真撮るんよ」
「うわ、それは恥ずかしいね」
「額に肉って書くのも恥かしかよね」
「うん、恥かしい」

話はいつの間にか変な方向へ向っている。
いや、正しい方向に戻ったのかもしれない。
だけど、でもねぇ。

「でもそれって変顔と変わらないんじゃ」
11 名前:42 計画を立てましょう 投稿日:2003年09月21日(日)17時28分52秒
私が言うと、二人は強い視線を私に向ける。
私は思わず腰を上げて両手を上げてしまった。
二人ともちょっと膨れて私を見上げている。
私はどぎまぎしていた。

「じゃあ、絵里ならどうするの?」
「あ、私ならまず裸にした後縛って、顔が見えるようにデジカメで写真を……」

二人は、えっ? という表情をする。
それぞれ一度目配せし、もう一度私を見て、そして互いに視線を向ける。
そう、明らかに引いていた。

「それはちょっと……」
「ねぇ……」

なんだか疎外感を感じて悲しかった。


おしまい
12 名前:42 計画を立てましょう 投稿日:2003年09月21日(日)17時29分33秒
从*・ 。・从
13 名前:42 計画を立てましょう 投稿日:2003年09月21日(日)17時31分00秒
从 ´ ヮ`)☆
14 名前:42 計画を立てましょう 投稿日:2003年09月21日(日)17時31分23秒
ノノ*^ー^)

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