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32 うさぎの着ぐるみ
- 1 名前:32 うさぎの着ぐるみ 投稿日:2003年09月17日(水)01時14分36秒
- 32 うさぎの着ぐるみ
- 2 名前:32 うさぎの着ぐるみ 投稿日:2003年09月17日(水)01時15分17秒
- 「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」
目覚めると、そんな言葉がぼんやりとした頭に、やけにハッキリと残っていました。
私は夢を見ていました。夢の中で私は誰かと話していて、その誰かは私を攫うと言ったのでした。
でも、それがどんな夢だったのかは、良く思い出せません。
- 3 名前:32 うさぎの着ぐるみ 投稿日:2003年09月17日(水)01時16分07秒
- 「それはね、普段は隠れている紺野の願望だよ。その誰かは紺野の無意識そのもので、
攫うっていうのは、どこかに行ってしまいたいって気持ちを表しているの。要するに、紺野は疲れてるんだよ」
一日中、あの言葉が頭の中をフワフワしています。
こういう事は飯田さんが詳しそうだと思い、相談してみました。
そういえば、ここの所疲れが溜まってだるい気がします。
- 4 名前:32 うさぎの着ぐるみ 投稿日:2003年09月17日(水)01時16分50秒
- 「だから今日は、早く帰ってゆっくり休みな」
言われた通り、今日は寄り道しないでまっすぐ帰る事にしました。
でもこういう日に限って、仕事が長引くのです。全て片付いて開放されたのは夜中でした。
電車なんてとっくにありません。私はタクシーで帰る事になりました。
ところが、いつまで経ってもタクシー来ません。深夜で交通量自体が少ないのです。
来ないものを待っていても仕方が無いので、私はタクシーを探して歩き出しました。
- 5 名前:32 うさぎの着ぐるみ 投稿日:2003年09月17日(水)01時18分39秒
- 車も少ないですが、人も少ないです。時折遠くで動く影が見えるくらいです。
涼しい風に吹かれながら、私は自分の家の方角へ、黙々と歩いて行きました。
そして、それは突然起こりました。路地裏から何かが飛び出してきたのです。
「グッドゥイーブニーング! ミス紺野!」
驚いて尻餅を付いた私の前に立っていたのは、ウサギの着ぐるみでした。
「??? な、な、なんですかあなたは!?」
- 6 名前:32 うさぎの着ぐるみ 投稿日:2003年09月17日(水)01時20分04秒
- 「僕かい? 僕は夢の世界の番人さ。約束通り、君を迎えに来たんだ。さぁ、僕と一緒に逝こう!」
「番人? 約束? なんのことですか……? それに、行くって、どこへ……?」
「言ったろう? 君を攫いに行くって。君は言ってたじゃないか、
『今の生活はもう嫌だ』ってさ。だからこうして、君の願いを叶えに来たんだ。
大丈夫、もう心配要無いよ。逝こう! 苦しみも痛みも、何も要らない世界へ!」
- 7 名前:32 うさぎの着ぐるみ 投稿日:2003年09月17日(水)01時21分02秒
- 訳が解りません。このうさぎは狂っています。
私はそんなこと言った覚えはありませんし、あの言葉は夢の中での話だった筈です。
どうしてこのうさぎがそれを知っているのでしょうか?
そもそも、こんな所にこんなのがいる事自体おかしいです。
私は逃げようとしましたが、腰が抜けてしまって立てません。ただ後ずさるしかありませんでした。
「さぁ……さぁ……さぁ……さぁ……」
うさぎが徐々に私に迫ります。そして、覆い被さってきました。
- 8 名前:32 うさぎの着ぐるみ 投稿日:2003年09月17日(水)01時21分52秒
- 終
- 9 名前:32 うさぎの着ぐるみ 投稿日:2003年09月17日(水)01時22分22秒
- ぴょん
- 10 名前:32 うさぎの着ぐるみ 投稿日:2003年09月17日(水)01時23分03秒
- ぴょん
- 11 名前:32 うさぎの着ぐるみ 投稿日:2003年09月17日(水)01時23分42秒
- ぴょ〜ん
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