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26 No Future

1 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月16日(火)01時24分06秒
2 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月16日(火)01時24分37秒
「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」
3 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月16日(火)01時25分13秒
テレビをつけても、いつものバラエティなんかひとつもやっていなくて。
「明日、小惑星が地球に激突する」
「米軍の核ミサイル作戦も失敗」
「ローマ法王が『神に祈ろう』と呼びかけている」
とまあ、明日、地球が滅亡してしまう事態なわけで。
4 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月16日(火)01時25分49秒
当然、わたし達モーニング娘。も歌ったり踊ったりしてる場合ではないわけで、
残された時間をどう過ごすか、というのは各自の自由に委ねられた。

急に「地球が滅亡するから、もう仕事しなくてもいいよ」といわれても、
地球が滅びるという実感もなければ、命が危ないという切迫感もない。

それでも、わたし達は型どおりの別れの挨拶を済ませ、
「もし地球が壊れなかったら、またモーニング娘。やろうね」
などと約束して、とりあえず散り散りになった。
5 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月16日(火)01時26分42秒
その帰り際、飯田さんに挨拶しようとすると、矢口さんに耳打ちされた。

「カオリ、なんかいつも以上に不安定だからさ。
何か言われてもあんまり気にしないようにね。」だって。

飯田さんの様子には別段変わったところもないのだけど、ちょっと気になった。
6 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月16日(火)01時27分26秒
わたしが声をかけると、飯田さんはわたしの目を見つめながら、
ぶつぶつと呟いた。

「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」

こういうことか、とわたしは思った。
7 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月16日(火)01時27分59秒
8 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月16日(火)01時29分04秒
一人になってはじめて、窓から空を見ていた。

夕暮れ。もうすぐ夜の帳が下りる。
オレンジ色の空を見ていると、地球が滅亡してしまう、なんて信じられないわけで。


もうすぐ夜が来る、と飯田さんの呟きを思い出したとき。

目の前が暗転した。
9 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月16日(火)01時30分02秒
10 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月16日(火)01時30分44秒
暗闇の中、土混じりの雨が降り注いでいる。
滅亡を免れた世界に、明けない夜が訪れていた。
11 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月16日(火)01時31分33秒
目が覚めた。

わたしは誰かの胸に抱かれているようだった。
「言ったでしょ?夜が来たら攫いに行くって」
飯田さんの声が聞こえたような気がした。


永遠に続くとさえ思える夜の中、わたしは目を閉じた。
攫いに来てくれるあの人を待ちながら。
12 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月16日(火)01時32分03秒
could
13 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月16日(火)01時32分52秒
last
14 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月16日(火)01時33分23秒
forever

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