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22 天使なんかじゃない
- 1 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月15日(月)23時09分18秒
- 22 天使なんかじゃない
- 2 名前:22 天使なんかじゃない 投稿日:2003年09月15日(月)23時10分06秒
- 「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」
- 3 名前:22 天使なんかじゃない 投稿日:2003年09月15日(月)23時10分55秒
- 私の家はお金持ち。
お父さんは何千人もの人を雇う大社長。
そんな家に生まれた私。
どこに行くのも車で出かけるし、不自由な事なんて一つもない。
…ううん、嘘。不自由な事、沢山あるよ。
「あさ美お嬢様、どこ行かれるんですか!部屋にいなくてはダメでしょう!?」
庭でも散歩しようと思い、玄関のドアに手をかけると使用人に怒られた。
ありがちな三角のメガネにキツイ口調。
この人、口うるさくて好きじゃない。
「天気が良かったから外の空気を吸いたいの。いいでしょう?」
「ダメです!また倒れたりしたらどうするんですか!おとなしく部屋にいてください。
もう少ししたら家庭教師の先生もいらっしゃいますから」
「…はぁい」
お金持ちにプラスして私は体が生まれつき弱い。
だから生まれてから庭以外の外を見た事がない。
そんな私には当然のように友達だっていない。
- 4 名前:22 天使なんかじゃない 投稿日:2003年09月15日(月)23時11分40秒
- そんな私が唯一楽しみにしてるのは勉強時間だった。
家庭教師の先生がいろんな話をしてくれるからその時間だけは夢のような時間。
今街で流行ってる事とか、物とか。
たまにこっそり持ってきてくれたりするけどほとんど使用人に見つかって取り上げられちゃうんだ。
そのたびに悔しがったり怒ったりするけど
すぐに笑いながら、また今度持って来るね、って言いながら私の頭をポンポンと叩く。
「おっす、紺野!元気にしてた?」
「安倍さん!こんにちは!今日はどんな話を聞かせてくれるんですか?」
「お〜い、なっちは一応勉強を教えに来てるんだけどなぁ」
ちょっと困った顔をしてくしゃくしゃと髪を撫でられ、それに目をつぶりえへへ、と笑うとふふ、と笑われた。
勉強がいい所まで進むと休憩時間と称しておしゃべりの時間へと変わる。
私は待ってましたと言わんばかりに安倍さんの傍に行き、今か今かと楽しい話を待つ。
そんな私の思ってる事がわかるのか、また笑いながら頭を撫でられた。
- 5 名前:22 天使なんかじゃない 投稿日:2003年09月15日(月)23時12分23秒
- 「今日は何の話しようか?」
「楽しい話、聞かせてください!」
じゃあ、と言って安倍さんは声を潜めてこう言った。
「最近ね、人を攫う事件が増えてるでしょ?あれ、実はなっちの仕業なんだ」
「え…」
私は自分の耳を疑いながらも安倍さんの顔を見た。
その表情はいつもの安倍さんで笑顔もそのままだった。
「さ、攫って…どうするんですか…?」
「…実はね、なっち人間じゃないんだ。天使なの」
「……天使」
普通なら頭がおかしいんじゃないかと思う発言も何故かすんなり受け止められた。
安倍さんは天使でもおかしくないかもしれない。
私は思い切って安倍さんに言った。
- 6 名前:22 天使なんかじゃない 投稿日:2003年09月15日(月)23時13分23秒
- 「…私も…!私も攫ってください!」
私の言葉に安倍さんは目を丸くして驚いてたけどまたいつもの笑顔になった。
「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」
その言葉を残して安倍さんは帰っていった。
私は夜を待った。
窓を開けて空を見上げていると白い翼を羽ばたかせた安倍さんが降りてきた。
私はその光景に驚く事もなくただただ感動した。
「攫いに来たよ、紺野」
「…はい!」
差し出された手に手を伸ばすとふわっと体が浮いた。
「あのー…?」
「ん?なんだい?」
「今まで攫った人はどこにいるんですか?」
「それはねー、あの世だよ」
上に昇る途中、下を見ると窓の淵にもたれ掛けて倒れている私の姿が目に映った。
- 7 名前:22 天使なんかじゃない 投稿日:2003年09月15日(月)23時13分55秒
- す
- 8 名前:22 天使なんかじゃない 投稿日:2003年09月15日(月)23時14分26秒
- ま
- 9 名前:22 天使なんかじゃない 投稿日:2003年09月15日(月)23時15分02秒
- そ
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