インデックス / 過去ログ倉庫
『GOOD POP』
- 1 名前:12 『GOOD POP』 投稿日:2003年09月14日(日)20時53分05秒
- ゼロ......ドーゾ
- 2 名前:『GOOD POP』 投稿日:2003年09月14日(日)20時54分20秒
「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」
- 3 名前:『GOOD POP』 投稿日:2003年09月14日(日)20時55分04秒
- 約束したんだ。
夜が私の腕に張り付いて泣いてやがる。
止めないでおくれ。私はやるときはやる女なんだ。
風を泳いで、揺らめきはためきスカートは舞う。
高い所って向かい風がグーン、グーン来るんだもんな。不思議なくらい。
今宵は月も星も私を見やしない。つーか、見に来てやしない。無愛想な奴らだ。
- 4 名前:『GOOD POP』 投稿日:2003年09月14日(日)20時56分12秒
- さぁーどうすんべ。コンちゃんよ。
あんたを攫う一大計画を建てたはいいが、空はあきれるくらい高いや。
金網の向こう側がなんだか眩しく見える気がするよ。
でもやるさ。あーやるさ。約束だもんな。
神様、準備はいい?今からあんたに逆らっちゃうよ。
人が飛べるって信じれるかい?翼は見えるかい?
今そっちに行くんだ。
- 5 名前:『GOOD POP』 投稿日:2003年09月14日(日)20時56分58秒
『GOOD POP』
- 6 名前:『GOOD POP』 投稿日:2003年09月14日(日)20時58分44秒
- 「藤本さん、空は青いですかね?」
風がそよぎ揺らぐ、屋上で彼女は言う。
「見りゃわかんだろ」
彼女とは学年は一緒だけど、上履きの色は違う。
人生、人それぞれ。私には私だけの道が用意されてる。
「あそこは気持ち良いですかね?」
彼女が指差した空はギザギザに分割されてた。錆びが目立つ金網仕立てのフェンスによって。
「行きゃわかんだろ」
彼女は金網を掴み、空を見つめる。私は金網に背中を預け、あくびをする。お昼前のお日様は眠気を誘う。
- 7 名前:『GOOD POP』 投稿日:2003年09月14日(日)21時00分13秒
- 私達は二人ぼっち。何処までも二人ぼっち。
だけど私はあの人達みたいなりたかったわけじゃないし、彼女もたぶんそうだろう。
「じゃあ、そろそろ私は行こうかなー。空の向こう側に」
気付けば金網の向こう側に彼女はいた。運動神経いいなー。
「私あっちで待ってますね。もーこっちは疲れましたよ」
脱ぎ去った、薄汚れた上履きを丁寧に並べながら彼女はそう言った。
そして両足を揃えて彼女は空に飛び込んだ。
その瞬間、時の粒子が見えた。緩やかに進む時の粒子が。
- 8 名前:『GOOD POP』 投稿日:2003年09月14日(日)21時00分54秒
- 彼女は飛んだ。ほんの一瞬でも空に溶け込んだ。翼が見えたよ。きっと私には見えたよ。
あまりに綺麗な放物線を描くもんだから、通った軌跡に虹色のストライプが見えたよ。
言い過ぎかも。
- 9 名前:『GOOD POP』 投稿日:2003年09月14日(日)21時01分35秒
- 「あーあ。やっぱ朝から学校来るもんじゃないなぁー。碌なことないや」
勝手なこと言ってくれちゃってさ。私はこっち側だってそんなに嫌いじゃないんだぜ。
待たれても困るよ。朝は嫌いだしさ。
でも、あんたは結構好きなんだよなー。まいったなー。
- 10 名前:『GOOD POP』 投稿日:2003年09月14日(日)21時02分16秒
- ──仕方ない。
「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」
金網を越えた空の向こう側に向けて私は言った。
聞こえてるかな?
金網の向こう側がやかましかったから、少し心配だった。
- 11 名前:『GOOD POP』 投稿日:2003年09月14日(日)21時02分49秒
- スリー......
- 12 名前: 『GOOD POP』 投稿日:2003年09月14日(日)21時03分22秒
- ツー......
- 13 名前:『GOOD POP』 投稿日:2003年09月14日(日)21時04分26秒
- ワン......
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