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06 Regret 

1 名前:06 Regret 投稿日:2003年09月14日(日)00時11分58秒
06 Regret
2 名前:06 Regret 投稿日:2003年09月14日(日)00時12分46秒
「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」
3 名前:06 Regret 投稿日:2003年09月14日(日)00時13分53秒
あっさりとそう言って吉澤さんは、コーヒーを一口飲んだ。
私が唖然として何も言えなくなっているのに気づいたのだろう、吉澤さんは私を見てニコリと笑う。

「だって、そうするしかないじゃない?紺野をそのままにしとくワケにはいかない」

「だけどそんな、ムリですよ」

「しょうがないじゃん。やるしかないんだよ」
4 名前:06 Regret 投稿日:2003年09月14日(日)00時14分23秒
それが本当にカンタンなコトであるかのように笑って言う吉澤さん。
平然としたカオで外に目をやってもう一度つぶやいた。

「やるしかないんだよ」
5 名前:06 Regret 投稿日:2003年09月14日(日)00時14分54秒

……………………
6 名前:06 Regret 投稿日:2003年09月14日(日)00時15分24秒
私たちの仲間の1人、紺野あさ美が囚われの身となってから数日たつ。
何も出来ないでいる自分たちの組織に歯痒い思いをしながらも私は1人、情報収集に奔走していた。

相手の組織は相当に手強い、手強いなんてコトバでは控えめすぎるだろう。
彼らに捕らわれて生きて帰った者はいないと言われている。

もちろんきっちりと搾り取れるだけの情報を搾り取って、利用できる限り利用するというのも有名なハナシだ。
利用価値がなくなった後の処理は…考えるまでもないだろう。

だからこそ私は、彼女がまだ生きているコトを確信していた。
紺野あさ美…あさ美ちゃんの行方がわからなくなってまだ1週間もたっていない。

その失踪が彼らの手によるものであるという情報がすぐに入ってきた。
同期の仲間であり、親友である彼女を助けるべく私は、ありとあらゆる手段を尽くそうと考えていた。
7 名前:06 Regret 投稿日:2003年09月14日(日)00時15分57秒
外国での1ヶ月の任務を終えて仲間と共に戻ってきた吉澤さんにもすぐにあさ美ちゃんについての報告がなされる。
あさ美ちゃんが囚われているのは組織の隠れ家の1つであるコト、拷問などはまだ行われていないコト、など、知り得た限りの情報を吉澤さんに伝える。

「組織のトップが集まる会議が今夜本部で行われるらしいです。おそらくその時にあさ美ちゃんのコトも…」

私は予想出来る具体的なコトを口にしたくはなかったから、最後まで言わずに口をつぐんだ。
目をつぶって私の話を聞いていた吉澤さんは、しばらく黙っていた。

そして、こう言ったのだ。

「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」
8 名前:06 Regret 投稿日:2003年09月14日(日)00時16分30秒
やるしかない、吉澤さんはそう言ったけれどもちろん、私だってそれを考えなかったワケではない。
けれどそれが実行出来るほどの易しい相手ではない。
それこそ「生きて帰った者はいない」だろう。
あさ美ちゃんを助けるドコロではなくこちらの組織自体が危うくなってしまう、私はそう考えていた。

「新垣はさ、紺野を助けたいと本気で思ってるんでしょ?」

「当たり前じゃないですか」
9 名前: 06 Regret 投稿日:2003年09月14日(日)00時17分04秒
早朝の陽射しを背に受けた吉澤さんの表情は逆光で少しわかりにくかったけれど、黙って私のカオを見つめる瞳は何だか、悲しそうに見えた。
けれどもそれは一瞬のコトだった。

「決行は今夜1時。それまでに各自準備をしておくように。長官にはあたしが許可を得るから」

私たちのチームを集めてそう言うと吉澤さんは、そのまま部屋を出て行った。
10 名前:06 Regret 投稿日:2003年09月14日(日)00時17分39秒

……………………
11 名前:06 Regret 投稿日:2003年09月14日(日)00時18分17秒
「4期」と呼ばれていた吉澤さんの同期の仲間は今、この組織にはいない。
例の組織の手に落ちた彼女たちはもう、この世には存在していないのだ。

その頃の私たちの組織には、捕まった仲間を助けようという選択肢はなかったようだ。
下っ端だった吉澤さんはどうするコトも出来ずに、そのコトを今でも悔やんでいるという話を私は聞いたコトがある。

0時55分。
チームを乗せた黒いバンと密に連絡を取りながら私は、本部でモニタを見つめていた。
最年少である私は本部でサポートのアシスタントをしている。

息の詰まるような時間が流れる。
そして。
12 名前:06 Regret 投稿日:2003年09月14日(日)00時19分20秒
いつものようにカウントダウン。

「ファイブ」

吉澤さんは知らない。
何かと組織のやり方を変えようとしている吉澤さんは、危険分子として「処分リスト」に入っているというコトを。

「フォー」

吉澤さんは知らない。
そんな吉澤さんを、成功率10%とコンピュータが分析した今回の救出任務にそのまま使うと午後のトップ会議で決まったというコトを。

「スリー」

吉澤さんは知らない。
今回初めて例の組織が、あさ美ちゃんと引き換えにして、捕虜の交換を申し出てきたコトを。
13 名前:06 Regret 投稿日:2003年09月14日(日)00時19分55秒
「ツー」

突然、私だけに聞こえる回線を使って吉澤さんが声を発した。
14 名前: 06 Regret 投稿日:2003年09月14日(日)00時20分33秒
「ワン」

「新垣、成功率が何%だろうとあたしは、それがゼロでない限り紺野を助けるよ、必ず」
15 名前:06 Regret 投稿日:2003年09月14日(日)00時21分08秒
ゴーサインと共にチームのメンバーがバンを飛び出す。

高性能のインカムから、複数のマシンガンの音が私の耳の奥に響き渡った。
16 名前:06 投稿日:2003年09月14日(日)00時22分10秒
(0^〜^)
17 名前:06 投稿日:2003年09月14日(日)00時22分40秒
(0^〜^)
18 名前:06 投稿日:2003年09月14日(日)00時23分18秒
((((0^〜^)

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