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05 花火
- 1 名前:05 花火 投稿日:2003年09月13日(土)22時48分36秒
05 花火
- 2 名前:05 花火 投稿日:2003年09月13日(土)22時49分13秒
「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」
- 3 名前:05 花火 投稿日:2003年09月13日(土)22時49分45秒
- 「え…?」
携帯の画面に浮かび上がった文字に、思わず声を上げてしまう。
だって…そんな、攫いにって…。
慌ててメールを返信する。
『本気ですか? ―――後藤さん』
1分もしない内に、またメールの着信音がホテルの部屋に鳴り響く。
『本気だよ』
―――当たり前じゃない
そんな気持ちが込められているような文字に、また私は戸惑う。
- 4 名前:05 花火 投稿日:2003年09月13日(土)22時50分19秒
- そんなこと、絶対に無理だって思ってたから。
だって、お仕事も最近では一緒になる事が殆どないし。
メールとかは、毎日のようにしてるけど…やっぱり逢うのは出来なくて。
逢いたいって、連絡したのは私だけど…。
そんな、すぐに逢えるような立場じゃないのに、どうやってここまでくるんですか?
もう夜という時間まで、2時間もないんですよ?
訊き返したかったけど、自信満々な後藤さんの返事に…待ってみようって思ったんだ。
どうやって攫いに来るのかを、確かめてみようって。
それから、きっかり2時間たった、その時。
- 5 名前:05 花火 投稿日:2003年09月13日(土)22時50分53秒
- ドォ―――ン…!!
いきなりホテルの外で鳴り響いた大きな音に、ビックリしながら窓を開いた。
そしたら、その空には大きな花火が打ち上がっていたんだ
季節外れの花火が、何発も…何発も。
突然の事に、他のメンバーも窓を開いて花火を見上げてしまってる。
ううん、ホテル中の人が…通りを歩いている人が、みんな上を見上げていた。
コンコン…
外に出て、見てみようかなって思ったその時、部屋の扉がノックされて。
窓の外を気にしながら扉を開くと、そこには…
- 6 名前:05 花火 投稿日:2003年09月13日(土)22時51分52秒
- 「…攫いにきたよ、紺野」
「ごっ、後藤さんっ!?」
信じられないけど、後藤さんがいたんだ。
帽子を被って、バレないようにしてるけど、その人は間違いなく後藤さん。
それから驚いて何も言えない私に、後藤さんはへらっと笑って手をとった。
「みんなが気づかないうちにホラ、行くよ。」
「え…っ? えぇっ!? じゃあ、この花火って…」
私のその質問には答えなくて、後藤さんはぎゅっと繋いでいた手を強く握ってくる。
- 7 名前:05 花火 投稿日:2003年09月13日(土)22時52分27秒
- 「制限時間1時間だけの、しかも屋上で花火を見るだけのデートだけど、それじゃ不満?」
1時間…。
その1時間のために、後藤さんはこうして無茶な事をしてくれて…。
私を、本当に『攫い』にきてくれた。
それだけで胸がいっぱいになった気がして…
「全然、不満なんかじゃないです…っ」
繋いだ手を、私も握り返したんだ。
後藤さんは柔らかな笑みを浮かべてくれたっけ…。
- 8 名前:05 花火 投稿日:2003年09月13日(土)22時52分59秒
- 予告通り、鮮やかに攫われた私は…1時間という長くて短い時間を、ホテルの
屋上の特等席で花火を見て過ごしたんだ。
後藤さんと一緒に。
- 9 名前:05 花火 投稿日:2003年09月13日(土)22時53分38秒
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- 10 名前:05 花火 投稿日:2003年09月13日(土)22時54分12秒
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- 11 名前:05 花火 投稿日:2003年09月13日(土)22時54分50秒
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