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02 YUME DE SKY

1 名前:YUME DE SKY 投稿日:2003年09月13日(土)02時02分09秒


YUME DE SKY



2 名前:YUME DE SKY 投稿日:2003年09月13日(土)02時02分46秒

「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」


3 名前:YUME DE SKY 投稿日:2003年09月13日(土)02時04分00秒
後藤さんが私にこう言ったのは秋の日でした。
みんなで楽しく焼肉を食べていた時のことです。
『最近、何か悩みごとある?』と誰かが言いました。
色んな悩みを色んな人が話しました。
みんなそれを真剣に聞きました。
だから私も言ったんです。

「夜が寂しそうで寝れないんです」

みんな首を傾げました。
私も首を傾げます。
4 名前:YUME DE SKY 投稿日:2003年09月13日(土)02時05分03秒
聴こえなかったのだと思って、もう一度言い直しました。

「夜が寂しそうで寝れないんです」

みんな笑いました。
わかったよとか、さすが紺野とか、みんなが言いました。
少し鈍い私でもわかります。
みんなが本当はわかっていないことは。
5 名前:YUME DE SKY 投稿日:2003年09月13日(土)02時05分56秒
だから私は丁寧に言いました。

「夜が寂しそうで哀しそうで心配で寝れないんです」

みんなはまた笑いました。
私は胸の辺りが哀しいのに熱くなって、涙が零れそうになりました。
6 名前:YUME DE SKY 投稿日:2003年09月13日(土)02時06分51秒
私が涙を堪えて俯いていると、隣にいた後藤さんが不意に私の頭を撫でました。
そして誰にも聴こえないように耳元でこう言いました。

「じゃあ夜が来たら紺野を攫いに行くよ」

涙は勝手に流れちゃいました。

「だから目を瞑って待っていて」

私は、一つ大きく頷きました。
7 名前:YUME DE SKY 投稿日:2003年09月13日(土)02時09分16秒
そして私は今、四角い窓を眺めています。
夜の空には丁寧に鏤められた星たちと人懐っこい丸い月が笑っています。
まんまるお月様が夜の静寂を心地良さそうに唄っています。
それに合わせて小さな虫たちが鳴いています。
私は重ねられた布団の中で寝た振りをしています。
待ちます。
後藤さんを待ちます。
でも気付くと夢を見終わって、四角い窓からは太陽が笑って見せるのです。
8 名前:YUME DE SKY 投稿日:2003年09月13日(土)02時10分49秒
本当は夜が心配なんかじゃありませんでした。
月は唄っているし、星たちも一緒に居ます
私が独りでいることが寂しかったんです。
哀しかったんです。
でも、もう大丈夫です。
後藤さんが私を攫いに来てくれるからです。
夜を攫いに来てくれるからです。



9 名前:YUME DE SKY 投稿日:2003年09月13日(土)02時11分48秒
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10 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月13日(土)02時12分34秒
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11 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月13日(土)02時13分09秒
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