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走れカオリン―炎のランナー【友情編】
- 1 名前:_ 投稿日:2002年08月11日(日)18時05分56秒
- 「すみません、急いでもらえませんか」
運転手はバックミラー越しにこちらを一瞥したあと無言で前方を指さす。
前の車は赤ランプを点けたまま一向に動く気配がない。
「友達の命がかかってるんです何とかお願……」
「見ればわかるだろ。この渋滞じゃどうしようもないね」
名ばかりの高速道路。悪名高き首都高速に乗ってしまったのが間違いだったのだ。
脇道に抜ける事も出来ず、焦る気持ちを抱いたまま、もう一時間近く車の中に閉じこめられている。
「あとどれくらいで着けますか…」
「さてね。前に進まないんじゃ見当もつかないね……ほらあれだ」
助手席側のウインドウを顎で示す。
「緑の区域があるよな。その向こう側にでかい建物が見えるだろ?あそこが○○病院」
(なんだ、あんな近くに!)
何度か行ったことがある見覚えのある建物がすぐそこに見えている。
- 2 名前:_ 投稿日:2002年08月11日(日)18時07分01秒
- 「あそこまで何キロくらいあるでしょうか?」
「そうだな……4キロってとこじゃないか」
(4キロ――前に映画のロケで走ったことがある――あの時は確か20分ちょっとだった)
時計を確認する。
(6時――何とか間に合う!)
「ここで降ります」
「だめだめ、高速の上では降ろせないよ」
「でも……」
「規則で決まってるんだから。それに何かあったら俺の責任になるしな」
「そこをなんとか……友達の命がかかってるんです」
運転手は片手をひらひらさせて拒否しそのまま話を打ち切る。
私は膝の上のバッグを握りしめる。
油の臭いが染みこんだ…
- 3 名前:回想1 投稿日:2002年08月11日(日)18時08分10秒
- そのことに初めて気が付いたのは、みんなで歌番組のビデオを見ながら反省会をしているときだった。
その歌番組は出演歌手が出番以外でもそのまま映し出される。そんな普段の表情を見られることもウリな番組だ。
「ごっちんボーっとしすぎ〜」
「のの、口が開いてる」
「梨華ちゃん黒い…」
「ひど〜い」
歌ってる所では真剣に。そのほかの場面ではワイワイと騒ぎながら試聴会は進んでいく。
「あれ?」
「ん?なにかあったの矢口」
「なっちがいない…」
「ここにいるっしょ」
私の隣に座っている安倍が答える。
「いや、ビデオに……ちょっと巻き戻してみて…………あ〜ここ。ほらオイラの横が空いてる」
確かに娘。がズラッっと並んだ席の中央に空白の部分がある。
「トイレにでも行ったんじゃないの?」
「……そんなことなかったと思うけど……」
矢口はしきりに頭を捻っている。
「勘違いだよ。きっと……ねえなっち?」
横を見ると安倍は青い顔をして画面に見入っていた。
「なっち?」
「う、うん。そうだよ矢口の勘違い、あの時なっちおなか壊してたし…トイレに行ったんだと思う」
矢口は納得していない様子だったが、その日はそれで終わった。
- 4 名前:カオリ走る1 投稿日:2002年08月11日(日)18時11分03秒
- 道路上に出て息が詰まった。
冷房の入った車内に居たせいもあって、外がこんな状態になっていることには頭が回らなかった。
地平線に近くなってるとはいえまだ強い日差し。
完全に熱しきったアスファルト。
地表に充満し漂う排気ガス。
しかし気後れしている時間はない。
車内からバッグを引き出す。
中身が破損してないことを確認し肩へと回す。
「ごめんなさい……」
助手席に料金表示よりかなり多めの金額を置くと、頭上に出ている表示を確認して走り始める。
『インター出口まで500メートル』
- 5 名前:回想2 投稿日:2002年08月11日(日)18時12分05秒
- 矢口の疑問はすぐに解消された。
誰も予想できない。
誰も望まない形で…
「安倍が消える?」
チーフマネージャーがあきれた顔で聞き返す。
現場マネージャーと二人で相談しに行ったときの最初の反応だ。
予想していたことなので別に不満には思わなかった。
私たち自身でさえ未だに信じられないのだ。
実際消える瞬間を見た者はいない。
目を離した時。
あるいはまばたきをした瞬間。
ふと、いなくなるのだ。
最初からそこに存在していなかったかのように…
そして、また不意に現れる。
今度はいなかったことが嘘のように…
安倍自身には記憶がないらしい。
本人の感覚からいうと、記憶がそこの部分だけ抜け落ちる。
そんな感じだと。
仕事上では今のところ支障は出ていない……しかしそれも時間の問題だろう。
不在が多くなっているのだ……時間も回数も。
症状――と呼んでもいいかはなはだ疑問だが――を確認したチーフはあせりその場で緊急入院の手続きをとった。
- 6 名前:カオリ走る2 投稿日:2002年08月11日(日)18時12分44秒
- 車の脇を駆け抜ける。
汗がTシャツを濡らしていく。
料金所の坂を下りゲートをくぐり抜ける。
職員のおじさんが何か言いたそうだったが、見て見ぬ振りをしてくれた。
標高が下がったので少しは暑さがマシになるかと思ったが甘かった。
今まで少しは流れていた風が完全に止む。
目的地が見えなくなったのが焦る気持ちを増幅させる。
方向は間違っていないはずだ。
『日の沈む方向へ走れ』
太陽がまた一段と低くなった。
- 7 名前:回想3 投稿日:2002年08月11日(日)18時13分48秒
- 入院してすぐに病院へ呼び出された。
安倍からの希望らしい。
病院へ着くとすぐに院長室に全員で向かう。
安倍本人と両親、チーフマネージャーと私だ。
安倍は少し痩せたみたいだった。今までと違い透明な印象を受ける。
一言も話せないまま部屋に入る。
部屋では誠実そうな院長(宇津井健似)と神経質そうな主治医(田村正和似)が待っていた。
主治医(田村正和似)から説明を受けるがよくわからない。
他の人の表情を盗み見るが同じに当惑しているみたいだった。
皆の反応に気が付いた院長(宇津井健似)が話の区切りで言葉を挟む。
主治医(田村正和似)は不満そうだったが黙って一歩下がった。
「つまりハッキリ申しますと……」
ゴクッ
「お嬢さんの病気ですが……」
息が止まる。
「不治の病です」
こう告げると深々と椅子に腰を下ろす。
院長(宇津井健似)は満足げな表情を浮かべていた。
その日のウチに安倍は両親と共に病院を移った。
- 8 名前:カオリ走る3 投稿日:2002年08月11日(日)18時14分32秒
- 「すみません、通してください!」
記録的な暑さにかかわらず町には人が溢れていた。
「すみません……」
うるさげな視線を送られることもあるが、目が合うとスッとスペースを空けてくれる。
しかしこのままのペースでは間に合わない。
- 9 名前:回想4 投稿日:2002年08月11日(日)18時18分05秒
- 芸能人専門の胡散臭い病院から権威のある大病院へ移った安倍だったが。結果は変わらなかった。
『原因不明、治療方法不明』
そういった意味では前の病院長も嘘を言ったわけではなかった。
数日後また安倍に呼び出された私は奇妙な頼みを聞かされることとなった。
「青い薔薇?」
「うん」
「それを見れば治るの?」
部屋には両親も居ず二人きりだ。席を外してもらったらしい。
「……それはわからない」
「……」
「なっちはねえ、どこかに帰るの」
「……」
「今度の誕生日に」
遠くを見ているその先になにが見えているかわからないでも……
「約束して!見たら行かないって」
「…でも」
「なら、行かないよう努力するって約束して!」
「うん」
「なら……はい」
私は小指を突き出す。
「なに?」
「ゆびきり」
嬉しそうに笑った安倍は指を絡める。
「ゆびきりげんまん嘘ついたら……」
不意に絡めていた指の感触が消える。
「ゆびきった」
戻ってきた安倍が悲しそうに続けた。
「約束したから……」
涙が溢れてくる。
「娘。だけの秘密だよ……他の人には言わないで……親にも」
寂しげな音楽が流れてきた、面会時間も終わりのようだ。
- 10 名前:カオリ走る4 投稿日:2002年08月11日(日)18時19分09秒
- 足踏みをしながら隙間を見つけている私に声をかけてくる人もいる。
「ねえ、おねーさん、いまヒマ〜?」
何回声をかけられただろう……
――切れた
「でィア〜〜〜〜」
一斉に視線が集中する。
一瞬の間の後に正面に道が出来た。
「でィア〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
矢は放たれた。
太陽はビルの谷間にかかるところだった。
- 11 名前:回想5 投稿日:2002年08月11日(日)18時20分03秒
- その日レギュラー番組の収録のために集まったメンバーに安倍の言葉を伝える。
「なんだ、簡単じゃん」
「……」
「いや、確か青い薔薇って存在しないんじゃなかったっけ?」
そうなのだ、あの後安倍と別れた私はその足で近くにある花屋さんに駆け込んだのだった。
そこで聞いた説明は青い薔薇は薔薇職人にとって永遠の夢だということ……そしてまだ誰も成功した人はいないと言う事実だった。
私はそのことをみんなに伝える。
「ならなんでなっちはそんなことを頼んだんだろう……」
矢口がポツリと呟く。
誰も返事をしない。
みんなわかっているけど口に出せないんだ。
『存在しない物を見たいというその理由を……』
話し合いは何の進展も見せないまま収録が始まる。
幼いながらも私たちはプロだ。動揺を見せぬよう明るく演技を続ける。
彼女の居たはずの場所を視線の片隅で求めながら……
- 12 名前:カオリ走る5 投稿日:2002年08月11日(日)18時21分14秒
- 「でィア〜〜〜〜〜」
叫ぶと一呼吸おいて前方に道が開ける。
その度に精神が一段階登っていくのがわかる。
山頂がどこなのかはわからないが…
『私の前世は雄馬』その思いが確信に変わる。
「ヒィヒィヒィヒ〜〜〜ン」
- 13 名前:回想6 投稿日:2002年08月11日(日)18時22分01秒
- ベッドで昼間見た安倍の顔を思い出す。
透明になっていたその表情。抑揚のなくなった言葉。
不意に携帯の呼び出し音が鳴った。
ドキドキしながら液晶画面を見る。
保田からだった。
もしかの期待をすかされた私はテンションを少し落として繋げる。
「もしも〜し」
対照的に向こう側の声は妙に明るい。
「どうしたの?こんな夜遅く」
「見つけたのよ!」
「なにを?」
「青い薔薇!」
「えっ!」
「灯台もと暗し!千葉で手にはいるらしいから朝寄ってくる。遅れるかもしれないからよろしく!」
「けいちゃ……」
ツーツーツー
もしかして、花屋さんで聞かされたあのことだろうか……
私は止めようと発信ボタンに指をかけた。
ふと思いとどまる、無駄だと思われることでもやってみた方がいい。
無駄かどうかはやってみなければわからないんだ。
ベッドから起きあがると部屋の片隅に置いてあったキャンバスに手をかけた。
眠れそうにない夜。
長い夜が続きそうだ…
- 14 名前:カオリ走る6 投稿日:2002年08月11日(日)18時23分02秒
- ペッタンペッタン……
カオリン的にはパッカパッカ……で欲しいんだけど。
暑さによって半分溶けたアスファルトはスニーカーから離れる度に餅つきの音がする。
- 15 名前:回想7 投稿日:2002年08月11日(日)18時23分50秒
- 保田の顔を見た瞬間すぐにわかった。
やはりダメだったのか……
彼女はすぐに腰を下ろすと机に突っ伏し頭を抱えた。
「圭ちゃんどうだった!」
矢口がすぐに駆け寄る。
保田は無言でポケットから折り畳んだ印刷物を取り出し矢口に渡す。
すぐに広げた矢口は…
「これが青い薔薇……」
脇からのぞき込む。
やはり、あの店で見せられたものと同じHPを印刷したモノだった。
「青じゃなくて薄紫だね……」
保田はキッと矢口を睨みつける。
「なっちにも言われた!」
私は制作中の絵を思い出す。
『なっちが望んでいること、自分に出来ること……』
- 16 名前:カオリ走る7 投稿日:2002年08月11日(日)18時24分44秒
- なんだか、焦っているはずなのに気持ちがハイになってきた。
信号もカオリのハートに感じ入って青になるみたい。
赤になんかぶつからない!
パァ〜〜〜〜ン
あっ、今のは赤だったか……
- 17 名前:回想8 投稿日:2002年08月11日(日)18時25分41秒
- 東京を離れて何日が経ったのだろう…
一心不乱にキャンバスに向かいながら時々思い出す。
連絡先も告げず、今頃……でもこれが完成しなければ。
最後に保田に連絡をとってから携帯に触れていない。
逃げ込みそうになる自分に気が付いたから。
目の前には、青い薔薇が咲いている。
北海道の澄み切った空のような澄んだ青。
13枚の花びら。
それぞれに名前が付けてあった。
大きさも、形も、違う13枚。
一枚として同じ形はないけど、13枚でなければいけない。
一枚でも失われれば、存在理由がなくなる。
そんな薔薇を描きたくて。
なっちにわかってほしくて。
- 18 名前:カオリ走る8【都市伝説】 投稿日:2002年08月11日(日)18時26分29秒
- 記録的猛暑に見舞われた東京。
その日人々の間にある物語が伝わった。
『40度を超えた日には、身の丈3メートルもある馬女が、真っ赤な顔をして町中を駆け回る』
新たな都市伝説の誕生である。
- 19 名前:回想9【最終章】 投稿日:2002年08月11日(日)18時27分43秒
- 「出来た…」
私に出来る精一杯。
携帯を確認する。
なにも表示されない液晶…
嫌な予感がする。
電話に飛びつきフロントにかける。
「今日は何日ですか!」
「はい8月10日です」
(うっそー)
「今何時ですか!」
「え〜ともうすぐ15時になりますが…」
ガチャ
急いで電話を切る。
キャンバスをクリップで挟みバッグに放り込む。
鏡を覗いたが……あきらめた。
財布だけを確認すると部屋を飛び出す。
『なっちはねえ、どこかに帰るの』
『今度の誕生日に』
思い出す。
時間は言ってなかった。けど、日が沈んでからでは遅いと直感した。
『だってなっちは太陽の子だから…』
- 20 名前:そして…… 投稿日:2002年08月11日(日)18時29分17秒
- 病院に着いた。
(大丈夫まだ日は残っている!)
威圧的に思えていたその外観もいまのカオリンには関係なし!
正面から乗り込むと、エレベーターを待ちきれずに階段へと駆け込む。
そのまま二段抜かしで駆け上がる。
最上階にある特別室まで無呼吸で突っ切った。
『安倍なつみ様』
ノックをするのももどかしく一気に開け放つ。
「なっち!出来た……」
そこには……
夕日に照らされ濃い紫色に染まった無数の薔薇の花が……
部屋を埋め尽くしていた。
- 21 名前:_ 投稿日:2002年08月11日(日)18時30分39秒
- 今までの高揚した気分から一気に落とされた私は、ふらつく足取りでベッドに歩み寄る。
赤く染まったシーツの上に一本の薔薇が……
私の描いた青い薔薇が一本置かれていた。
薔薇の花を手に取る。
「……なんで…まだ…まだ日は出てるじゃない!」
握りしめた手のひらから血が流れ出すのを感じる。
苦痛は感じない。ただ熱さが指の隙間を充たし溢れてゆく。
うえ〜ん
思わず泣き声が出た。
大きくなってから声に出して泣くことなんてなかったのに。
幼子のようにのどから出てくるのが止められない。
「あれ?カオリ?」
「!?」
思わず振り返る。
「やあ。久しぶり元気してた?」
なっちがそこにいた。薔薇の花束を抱えニコニコ笑っている。
- 22 名前:_ 投稿日:2002年08月11日(日)18時32分08秒
- 「いいらさん、食べますか?」
「……」
「大丈夫れす、看護婦さんにはナイショにしますから」
「あ〜〜ん」
「はい」
冷たいアイスが口内を充たす。
辻はニコニコしてまた徳用サイズのアイスカップを抱え食べ始めた。
私は……
なっちのベッドに寝て点滴を受けている。
ベッド本来の持ち主は、床に寝っ転がりなにやら話し合いの真っ最中。
「…安倍さんこっちがパイロットで真ん中がプラチナ。で端っこがセーラーですけどどれがいいですか?」
「ん〜なっち的にはパイロットかな?」
「安倍さん、新垣のは〜」
「新垣は折り紙からとったんだ、キレイだよ」
「…おかしい、青汁を使ったのに青くならない…」
「安倍さぁ〜ん、薔薇の歌を歌いまぃしょう」
「薔薇の歌?」
「ば〜らが咲いた〜ば〜らが咲いた〜真っ青なば〜ら〜が〜〜……ハイィ」
「…愛ちゃんなにその歌?」
「真木シンジがぁうたぁってた歌でぇす」
(ちが〜う。ってかなんでそんな古い歌知ってるの……)
ここはいったいどこ?……あたしはいままでなにをしてたんだろう。
- 23 名前:_ 投稿日:2002年08月11日(日)18時32分51秒
- 「ねえ、カオリ?カオリはどれが好き?」
なっちが青い薔薇を差し出す。
「……」
「どれがいい?」
「……それでいいの」
「ん?」
「…インクの色が回って青く染まった薔薇でいいの?」
「…ん〜キレイでしょ。カオリはそう思わない?」
「…思う…綺麗…」
「ならいいっしょ…アハハ」
(アハハって……)
なんでも、新垣が学校で習ったばかりらしい。
インクの入ったコップに切り花を刺しておくとその色を吸った花がインクの色に染まる。
昔習った記憶が私にもある。
私の持ってきたバックは無造作にベッドの脇に押しやられていた。
「今日はなっちの誕生日だし、仕事が済みしだいみんな集まるって」
病院はこの特別室に押し込んで隔離しているので多少のことにはお咎めなしらしい。
事情を察してかマネージャーさんは何も言わなかったけど、みんなには迷惑をかけた。
まだしばらくかけそうだけど……
- 24 名前:_ 投稿日:2002年08月11日(日)18時35分08秒
- 「カオリはあとでいいから」
「なにが?」
「プレゼント」
「……」
思わずバックの中身を考えたけどやめた。
きっとなっちにはもう必要ない。
みんなの思いを受けたなっちには……
これから先なっちはあの絵を見る必要はない。
……
そ、れ、よ、り!
私の誕生日はどうなった!
私の誕生日を忘れてないか!
「ねえねえカオリ」
「…ん?」
「なにか欲しいモノがあったら言ってみれば」
なっちはニッコリ微笑みながらそうささやく。
(……まさか……ね)
「カオリがいま欲しいモノ……」
「うん」
「ラベンダー」
- 25 名前:_ 投稿日:2002年08月11日(日)18時35分59秒
- END
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