AAICLWY
1 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 20:58

はじめまして。
初飼育。緊張してます。
よろしくお願いします。

みやももです。
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 20:59


『 雪 花 』


3 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 21:02
初雪だった。

東京には不似合いな大雪。
強い風の勢いは収まり、今はひとひらひとひら、雪が、ゆっくりと降りてくる。

人通りがない。
車は走らない。
静けさも手伝って、まるで一時停止したような世界。
動かない壁紙に、淡い雪が果てなく舞っていた。


ぎゅっ。ぎゅっ。ぎゅっ。ぎゅっ。
閑散とした駐車場に独特の足音が広がる。
雅は注意深くブーツを進ませる。

一面が白い。
上を向いても、下を向いても、右も左も、白い。
見慣れたスタジオの周囲が、まるで別世界だ。

そして、その真っ白の中に、桃子がいた。
透明のビニール傘越しに、しゃがんで丸まった背中が見える。
傘は差すというより、背負うような格好で、空いた両手を動かしている。

足音に気づいたのか、桃子が振り向いた。
雅を認めて立ち上がる。
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 21:06
「愛理は?やっぱり来ないの?」
「うん、今はどうしても課題優先だって」
「そっかぁ、残念だね」
「だね。……で?雪うさぎは?」
「あ、うん、これ」

桃子が詰め込むように昼食を済ませて外に急いだ理由は、雪うさぎを作る為だった。ブログ用らしい。
雅が下を見ると、楕円形の雪の固まりが二つ。

「これ、なに?」
「雪うさぎ…になる前の雪うさぎ…」
「へぇ…」
「ちょっと!これに葉っぱの耳つけて、赤い実かなんか目にしたら立派な雪うさぎでしょ!」
「はいはい。だいじょーぶ。今も立派だよ」

からかうと、桃子は悔しそうにしばらく文句を続けていた。
雅はそれを普段の調子で聞き流す。

「もうちょっといても大丈夫かな?」
「まだヘーキ」

雪うさぎに目と耳をつけることは諦めたらしい。
桃子は手のひらを少し窪ませて、降る雪を待ち伏せていた。
見つめる瞳がどうしてか寂しげだった。

なに考えてるの?
これだけの歳月を共に過ごしてきても、読み取ることが出来ない。
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 21:11
あ、まただ。
雅は、不安に襲われる。

どこにも行かないでよ。
最近、桃子を見ているとそう思うことが頻繁にあった。

何かが、溢れてしまいそうだった。
雅は灰色の空を見上げる振りをして、瞼を閉じる。
その何かは辛うじて瞳の中に留まる。

切ないような、苦しいような。
焦れる、この気持ちは ーーーー

ふぅ……
溜まった感情が重たくて、声にして大きく吐き出した。
白い息が揺れる。

「ん?どうかした?」
「べつに。なんでも」

どこかおかしいのかもしれない。
雅は思う。

ももは仲間。
大切なメンバーのひとり。
ももは女で。私だって、女で。

なのに私は ――――

ももを、抱きしめたいと思ったりする。

そんなこと絶対に言えない。
静寂が、再びついた雅のため息をかき消した。

積もっていく。
思いが、募っていく。
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 21:16
「もう戻る?」
「そうだね。あ、ちょっと…」
雅は自分の傘を下に置くと、桃子の傘の下に潜り込んだ。

「へ?」
「マフラー」
桃子のほどけかかったマフラーを一度外して、巻き直す。

「あ、ありがとう」
「苦しくない?」
「ん、大丈夫」
「なに?」
じっと見つめられて、雅は目を反らした。

「ありがとね」
「ん」
お礼の声に、また視線が戻る。
雅は恥ずかしさを持て余して、仕方なくもう一度マフラーを直す振りをした。


その時、風に煽られた小さな雪がひとひら、桃子の睫に止まった。
幾度かのまばたき。そこに留まった一片が薄く光る。

気づけば、桃子の瞳を見入っていた。
儚げに揺れる。
吸い込まれそう、雅はそんな風に思った。
そして、そのまま吸い込まれた。

唇が、触れ合う。
ただ押し付けるだけの、キス。


時間が止まった。

7 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 21:18
私、なにかひどい間違いとか、ルール違反とかしてないでしょうか?
心配です。
8 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 21:29
再開してみます。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇
9 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 21:31
「え、なに…」
桃子が先に我に返った。
一歩後ろへ下がる。

「なに、今の?」
「……わかんない」
「わかんないって、なに?」
「ごめん…」
「なにそれ…」
固い桃子の声。

「ごめん…」
「だから、なんなのそれ。みやは、」

続かない言葉に、雅が顔を上げる。
数秒の膠着。
「ごめん」
謝罪の言葉しか出ない。

「ねぇ、ごめん以外になんか言うことないの?」
「………ご」
「信じらんない…」

呆れた声で被せると、深く桃子がため息をついた。
長い、沈黙が続いた。
俯いたまま、再びのため息。

「人の唇奪うなんて、ひどいよ」
「ごめん」

「乙女の唇だよ?」
「ごめん」

「アイドルの唇なのに」
「ごめん」

「ねえ、みや、ここはさぁ」
桃子は片手を上げると、緩く拳を握ろうとして、苦笑いを浮かべた。
そして、諦めたように手を下げた。

「もういい。……よくないけど、もういいよ。でも、これは、貸しだからね、みや」
「……分かった」
桃子が少し笑いを含めてくれたことには気づいたが、他に返事の仕様もなかった。

「戻ろっか」
「うん」
「雪やんじゃったね」
「うん」
「もー…」
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 21:34
いつの間にか、雪は止んでいた。
桃子に倣って、傘を畳む。
歩き出した桃子の背中をぼんやり見つめた。
雅は、地に足がつかない。

キス、した。
そっと口元を押さえる。
冷えた唇。
覚えてる。桃子の、感触。
冷たかったけど、柔らかかった…


うわっ…!
一気に熱くなった。
私、なにした?

キス、した。ももと。
ももに。



私、ももに、キスした。



「みや?行くよ」
振り返った桃子の顔を見て、体温が更に上がる。

「…ん」
自分の顔に熱が集中した気がして、マフラーに顔を埋めた。
動揺した気持ちのまま踏み出すと、雪に足を取られた。

「わっ!」
転ぶ寸前で、手を着く。

「大丈夫?」
桃子は雅の側まで戻ると、手を差し伸べる。
一瞬躊躇って、雅はその手を取った。

「ありがと」
「気をつけてよ。滑って怪我とか、イヤだからね」
「うん」
「ほら、行くよ」

そのまま引っ張られて、歩き出す。
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 21:39
手が…

前を歩く桃子の表情は雅にはよく見えない。
寒空の下、繋いだ手が汗ばむ。

手なんて、何度も繋いできたのに。

鼓動が、速くて。
ドキドキが止まらなくて、雅は手を離そうとした。
けれど桃子が、それを拒むように力を込める。

「危ないから」
怒ったような拗ねたような声と共に、桃子が振り返る。

「やだ?」

真っ直ぐな眼差し。
心臓を突かれた、気がした。

怒っていそうで、恥ずかしそうで、でも不安気な表情。
桃子の素顔。

「やじゃない」
「なら、行こ」

桃子が確かめるように手を握りしめた。
と、くん… 脈打つ。
胸を、押さえた。


唐突に、染み渡る。





私、ももが、好きだ。
12 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 21:44




13 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 22:33
一気に更新するつもりだったのに、時間なくなってしまいました。
近いうちに終わらせます。
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 22:52




やっぱり再開
15 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 22:53




16 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 22:54
思わず零れたのは苦笑い。
なんで、今?
ていうか、なんで今更?
気づいちゃうかな…
分かってた。ほんとは知ってた。
と、思う。


慎重に一歩ずつ進む桃子の後ろに続く。
もも、私…
雅は、呼び止められない。
その後に続く言葉をどう伝えたらいいのか。
もしかしたら、口にしてはいけないかもしれなかった。

「ねぇ、みや」
「う、うん」
「みやは、」

振り向いた桃子は、雅と目を合わせて、そして俯いた。
何かに迷って、堪えるように唇を噛んだのが分かった。
その頬が赤い。

「……いい。なんでもない」
「もも?」
「ごめん、なんでもないか…ぅわっ!」
「ちょっ!わっ!」

踵を返した桃子が、足を滑らせた。支えきれず、雅も転んだ。
積もった雪に、桃子はお尻を、雅は手をついた。

「だ、大丈夫?」
「うん、ももこそ」
「うん、平気。ごめんね」
「ん、ヘーキ」

先に雅が立ち上がった。
雪を払うと、桃子へ手を伸ばした。
17 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 22:55
「……ふふっ」
桃子が雅の手を掴むと、笑い出した。

「どうした?」
「だって」
「うん?」
「ここまで降るのもほんと久し振りだけどさ、こんな雪まみれ、いつ以来だろって思って」
「確かにそーだね」
「でしょ?ちょっと楽しくなってこない?」
「まあ、そうかも?」
「みーや」

桃子が両手で雪を掬う。
企んだ笑顔。雅は危険を察知したが、間に合わなかった。

「待っ…!」
顔面に雪。一瞬茫然とした雅だったが、冷たさが伝わってくると、ふつふつと怒りが込み上げてきた。

「つ……」
「ん?つ?」
「つーぐーなーがぁーっ」

すぐさま桃子は立ち上がって、きゃーきゃー言いながら逃げ出す。
雪道で動きは鈍いが、それは雅も同じ。

「いーじゃん!今日は顔出さないし!」
「そーゆー問題じゃないでしょーがー!」
「分かった。分かったから。謝った方がいいよね。ももち、ちゃんと謝るから。ねっ?」
「今、それやったらどーなるか分かってんでしょーね」
「みや、こーわーいー」

笑い声と怒声が、響く。
あっという間にいつも通りの二人に戻る。
18 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 22:58
「あっ…」
「ふふん。覚悟はいーい?」
「お、大人気ないよ、みや」

雅はようやく桃子の手を捕まえる。
大げさに怯える桃子を見て、笑いを堪えた。

「もう、なんか汗かいたし。いい加減戻るよ」
桃子の返事を待たず、歩き出す。
手は繋いだまま。黙って桃子がついてくる。


雅は空を仰いだ。
温まった体から吐く息は一層白い。
周囲を見渡す。
雪の感触を確かめながら、一歩一歩踏みしめる。
澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んだ。

今日、ももと一緒で良かった。
心の中で呟くと、嬉しさが全身を巡った。


積もった雪に、二人分の足あとが寄り添って、続いていた。


繋いだ手が、とても、熱かった。
19 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 23:00





スタジオに着くと、暖かい空気に包まれる。
夢から覚めてしまった気がした。

「ふぅー寒かったね」
「うん」

桃子の横顔を盗み見る。
忘れたわけじゃない。
もう一度謝った方がいいだろうか。
雅は悩む。
あの唇にキスをした。
思い出したら、顔が沸騰しそうになる。

「ねぇ、みや。もも、クリスマスプレゼント欲しい」
「は?」
「お詫びに」
心の内を見透かされたような、突然の要望だった。

「もらってないし」
「え、でもーー」
「個人的には」

桃子が遮って笑う。
クリスマス、メンバー全員にはささやかなプレゼントは渡したが、桃子一人に何か特別な物を渡すようなことはしていない。けれど、それはいつものことで。
まさか高額な物を桃子がねだるとは思えないし、お詫びにと言われれば拒めない。

ただ……
それで、何もなかったことになる?
自分の気持ちを自覚した今となっては、複雑だった。

「みや」
「うん」
「プレゼントね、時間が欲しい」
「え?時間?なに?どういこと?」
「みやの時間」
「えっと…」
「分からない?だからね、みやに時間作ってほしいの」
「はい?」
「どこ行きたいか考えといてね?」
「えっ?」
「返事は?」
「わ、わかった」

それって……
ウソ…ももと外で会う?私とももが?ウソでしょ?
お詫びなのに?なんで?
パニックのまま答える。

「あとさ、」
20 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 23:05
桃子の両手に引っ張られて、体が傾いた。
少しだけ背伸びする桃子。
頬に、柔らかな感触。

「これは、仕返し」
桃子は口角を釣り上げて、笑う。

「じゃ、先行ってるねー」

雅は数秒のフリーズ後、その場にしゃがみ込んだ。
反対の頬をつねる。
「いた、い…」夢じゃない。
今度は額に手を当てて、「やば…熱出そ…」呟いた。

数分後。雅は、迎えに来た愛理に連れられて、ようやくブース戻った。

その後のラジオ収録の間、いつもより桃子と目が合った気がした。
視線が合う度に、胸の奥が震える。


好き

形には出来ない、目にも見えない、大切な思いが、溢れ出した。

淡雪の日。恋が、始まった。
もう止まらない。
21 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 23:05




22 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 23:06




23 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/15(水) 23:07

昨年の、たぶん1月14日。東京にしてはかなりの量の雪が降りました。
あの日、はらはらと灰色の空から降りてくる雪を見ながら書き出したものを、今更、ここに。

と、とにかく緊張しました。
ありがとうございました。
24 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/16(木) 02:22
素敵なみやももが読めて嬉しいです。
続編期待しています。
25 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/16(木) 16:33
かわいいみやももをありがとうございます。
26 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/16(木) 20:54
おぉぉぉ何かきてましたぞ
初飼育ありがとうございます

雪の中はじまった二人が可愛いです
27 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/17(金) 07:17
おおおお。なんか始まってる!
丁寧な文章で読みやすいですね。きゅんとなりました。
次回更新を楽しみにしています。
28 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/17(金) 20:36

>>24>>25>>26>>27
ありがとうございます!
読んで頂けただけでも嬉しいのに、温かいお言葉に、書いてよかったーと心底思いました。

この話以外全くネタがないのですが、レス頂くと、ちょっとうずうずしてしまいます。
また機会があればよろしくお願いします。

あと、ごめんなさい。この話は単発で、続きは多分ないんです(>_<)
29 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/17(金) 20:40
あ、あれ… ごめんなさい。レスの仕方が変だったでしょうか。
ごめんなさい。勉強します。
30 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/22(水) 15:42
みやももキターーー!
みや目線のみやもも良いですね。
読みやすい文章でわかりやすいです。
またの更新楽しみにしています
31 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/01/22(水) 22:26
とても素敵なみやももでした!
続きものではなくても別のお話も読んでみたいです。
32 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/27(木) 23:52
更新。みやももです。
33 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/27(木) 23:53






34 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/27(木) 23:54

ぬるい性描写を含みます。
苦手な方はご遠慮ください。

35 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/27(木) 23:55


『fall into』

36 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/27(木) 23:58
携帯を忘れたことに気づいたのは、千奈美の部屋を出てすぐだった。

遠征中、さっきまで桃子の部屋で、千奈美、桃子、雅、の珍しい組み合わせで飲んでいた。
千奈美は酔い潰れたというか、ほとんどジュースに近いお酒を、一缶も飲み終えずに眠ってしまい、雅はそんな千奈美をベッドまで送り届けてきたところだった。

自分の部屋とは逆方向の、桃子の部屋のドアを眺める。
取りに行くしかない、けど…

なんとなく気後れしてしまうのは、最近桃子と、微妙、だからだ。
決してもめているとか、仲違いとかそういうマイナスのものではない。
じゃあ、どう微妙なのかというと…… 上手く自分でも説明出来ずにいる。

雅は、ももと、最近、よく目が合う、と思っている。そんな何でもないことが引っかかって、何故か心が落ち着かなくて。
ももがどう思っているのかは、分からない。
でも、きっと気づいてる。
よく目が合う。たったそれだけのこと。けど、ただの偶然じゃない。
37 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/28(金) 00:00

「どうしたの?」
「ごめん、携帯忘れた」
「携帯?とりあえず、どーぞ」

背を向けた桃子から、ふわり石鹸の香りがした。髪をアップにしていて、白いうなじが無防備に見える。シャワーを浴びたのだろう。

「千奈美、大丈夫だった?」
「まあ、重たかったけどさ。水も飲ませたし。あんなちょっとなんだから、大丈夫っしょ。んー、ここでいじってたのは覚えてるんだよね。あ、あった。」
携帯はベッドの枕元に転がっていた。

「ごめん、ありがと。戻るわ」
「あ、みや、悪いんだけど、ちょっとお願いがあって」
「うん?」
「背中に違和感があって。ちょっと押してくれないかな」
「おっけ。でも、雅様のマッサージは高いからね」


冗談交じりに快く引き受けたが、数分後、雅は後悔していた。
うつ伏せた桃子の腰の辺りを跨ぎ、背中や肩を手のひらで揉みほぐす。メンバー同士マッサージし合うのは頻繁にあることで、桃子ももちろん例外ではない。

「く、んっ…」
声に、吐息に、雅の頬は赤く染まっていく。
なんか、ヘン。
酔ってるせい。心の中で言い訳するように呟く。
相手はももなのに。絶対におかしい。絶対、お酒のせいだ。
もうとっくに酔いは覚めてて、本当はそれを知ってるのに、雅は必死に否定した。
38 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/28(金) 00:06

「んっ!」
「あ、痛かった?」
「ううん。きもちいい」

雅の顔は、熱を増してくばかりだった。
Tシャツ越しに、手のひらから、桃子の体温を感じる。
もっと、ふれたい。思いが、頭の中で言葉になると目眩がした。

「……髪、伸びたね」
「ん?みやもね」
無意識に指が伸びる。桃子の髪の毛をそっと掴む。そのまま梳くように撫でると、指が桃子の耳を掠めた。

「あっ…」
桃子の肩が揺れる。その肩に手を添えると、雅は上半身をゆっくり傾けた。
今度は、無意識ではなかった。
もっと、と。その気持ちをはっきり自覚しながら、首筋に唇を当てた。

「みや?」
「あっ!」
雅は、慌てて体を起こす。
「ごめん、なんか、わたし、酔ってるのかも。ごめん、帰るね」
「待って!」
強い力で腕を引かれた。真剣な表情で桃子に見つめられる。

「やじゃない」
「えっ?」
「やじゃない、って言ったの」
「わっ!」

更に腕を引かれて、覆いかぶさるように倒れた。慌てて両手で上半身を支える。
なに、この体勢……

「ほんとは知ってた。携帯」
「携帯?」
「忘れてるの、知ってた。戻ってきたらいいのにって思ってた」
「ど…」
どうして?疑問は声にならなかった。
「みやは、やだ?」
桃子の瞳が不安気に揺れる。
「みや?」
桃子の指が雅の頬に触れる。
39 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/28(金) 00:11
返事をする余裕はなかった。
唇をぶつけるように重ねる。
それだけではすぐに足りなくなって、桃子の唇を優しく噛む。唇を割り開くと、口内で舌と舌が触れ合う。

深いキスを終えて、やっと口にした。
「やなわけない」
首筋に顔を埋めると、桃子の両手が雅の背中を包んだ。


「はっ…!あ、んっ」
今まで聞いたことのない、桃子の甘い声。途切れる呼吸に、熱い吐息が混ざる。

「……ねがい」
差し出された桃子の手を握ると、そのまま口元に引き寄せられる。柔らかい唇の感触。潤んだ瞳が、懇願していた。
「も、じら、さ、ないで…」
「っ……」
指に受けた口づけよりも、その眼差しに欲情した。

雅の手は太ももへ伸びる。優しく、擽るように撫でた。
「足、もっと、開いて」
桃子の耳を食む。要求する声は、自分の物かと疑うほど熱を帯びていた。

わたしだって、もうこれ以上無理…



そして、触れた中心はーーーー


40 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/28(金) 00:13
「やぁ、っん……!」
「だめ」

同性とする、初めての行為。
体は自然に動く。夢中で求め、加速する。
何度も何度も口付けて、呼吸を奪った。桃子は苦しげに喘ぎながら、舌を絡ませてくる。
応えてくれていると思うと、頭が沸騰しそうになる。
熱くて、痺れて、甘くて。全身が、桃子だけを感じていた。

「あ、っん!」
「ここ?」
「ふ、ぁ!やぁ!」
「ももっ…」
「み、や…」
その時、初めて名前を呼び合った。深く見つめ合う。それだけで、こみ上げてくる。
「ダメ、も、あっ!!」
桃子の手が、強く雅の腕を掴む。きつく瞼を閉じる。背中を反らすと、桃子は一気に脱力した。

41 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/28(金) 00:14



42 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/28(金) 00:17
肩を揺すられる感触に、ぼんやりと意識が戻っていく。
「起きて、みや」
「ん…」
誰?鈍い頭で、声の主を探す。もも……?なんで、もも?
「ももっ!?」
一気に目が覚めた。
「ど、どうしたの?寝ぼけてる?」
「え…」

雅は跳ね起きると、自分の体を確認した。服は着ていた。
桃子は、ベッドの脇に立ち、濡れた髪の毛にタオルをかけている。

「大丈夫?」
「え、う、うん…」
「ドライヤー使いたいし、みやもそろそろ戻った方がいいでしょ?」

桃子はいつもと変わらない様子で、雅に話しかける。
「昨日、飲み過ぎちゃったよね?大丈夫?」
飲み過ぎた?雅は、困惑した。
大して飲んでないじゃん。ていうか、昨日うちらは。
うちらは… ももと、わたしは…

「あのさ、」
「ごめん、ちょっと急いでて。課題でやり忘れてることあるの思い出しちゃったの」
「え…」
「戻ってもらっていい?」

拒絶を感じた。帰れ、と言われている。
昨夜は何もなかった。桃子はそう決めたのだろうか。わたしはそんな風に出来ない。雅はそう思うが、何を話したらいいか分からなかった。

「みや?」
「うん…」
帰るしかないかもしれない。今のももとはきっと話せない。経験からそう悟ると、床に足を下ろした。携帯を持って、ドアへ向かう。
腹が立つような、悲しいような。感情が定まらなくて。心がざわいついて、油断すると涙が零れてきそうだった。
泣くなんてどうかしてる。
43 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/28(金) 00:21
「ちょっと待って」
振り向くと、いつの間にか距離を詰めて桃子が近くにいた。
「ここ…」
桃子の人差し指が、雅の首に触れる。
「なにっ…」
「ごめん。あと、つけちゃった」
「えっ!?」
雅は思わず後ずさり、触れられた部分を手のひらで押さえた。
「うそ…」
「うん、うそ」
「は?」
「ね、みや」

桃子は雅の手を取ると、また距離を詰めた。指を絡めながら微笑む。
「また、来る?」
「なっ……」
「来る?」
「来ないっ!」

振り払い、勢いのまま部屋を出た。
自分の部屋に戻ると、急に力が抜けた。ドアに背を預けてしゃがみこむ。

「なんなの…」
雅は、右の指を逆の手でさする。
その指は、さっき桃子に掴まれた指。
そして、昨夜、桃子の中にーーーー

思い出したのは、温かい感触。桃子の匂い、声。
「マジで…なんなの…」
からかわれた。そう思うと、腹が立つのに。
意地悪く微笑みを浮かべた桃子が、脳裏に浮かぶ。その顔は、切なげに自分を求める、昨夜のあの時の顔に変わった。
払っても、払っても、消えない。
雅は頭を抱えると、そのまましばらく動けなかった。

44 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/28(金) 00:22



45 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/28(金) 00:23




46 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/28(金) 00:26




47 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/28(金) 07:23

>>30
ありがとうございます。
わたしもみや視点のみやももの方が好みです。その方がももを愛でられるのでw


>>31
ありがとうございます。
調子に乗って、別のお話も書いてみてしまいました!
48 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/29(土) 21:38
もえました。読めない桃がとてもらしくて、すごい。
また更新があることを期待してまったりまってます。
49 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/30(日) 11:43
>>48
ありがとうございます。感想は求めまいと心かげているのですが、こういうみやももを書くのは初めてで、少しびくびくしておりました。そう仰ってくださって、とっても嬉しいです。
50 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/30(日) 17:47
新作キテたー!
今回の作品も凄く良かったです。
ふたりとも可愛いです。
応援してます。また暇なときにでも書いてくださいね!
51 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/03/30(日) 22:44
腹黒ももちがいいですねー。確かにこういうミステリアスなとこありますね
52 名前:名無飼育 投稿日:2014/04/08(火) 00:33
ツンデレももちもたまにはいいですね。
振り回される雅ちゃんも新鮮。またお話期待してます!
53 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/04/08(火) 23:37
この読めなさ、くせになりそうです。
夏焼さんは振り回されまくったらいい(笑)
54 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/06/28(土) 10:18

>>50
ありがとうございます。嗣永さんも夏焼さんも、そこにいるだけで可愛いですからね。わかります。
またいつか、みやももをお届けできたらと、私も思ってます。

>>51
今回は、何考えてるかわからない桃子を書きたかったので、そういうの表せてたなら、嬉しいです。
ありがとうございます。

>>52
振り回される雅ちゃん、めちゃくちゃ可愛いと思うんです!!!
ありがとうございます。

>>53
私も実はくせになりそうで、ちょっと続きを考えてみたんですが、続きませんでした(笑)
ありがとうございます。また機会があれば、雅ちゃんを振り回したいと思います。

55 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/06/28(土) 17:27

56 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/06/28(土) 17:28

短いですが、更新します。
今回はお姉さんズです。
57 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/06/28(土) 17:31

『ふたりのディスタンス』
58 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/06/28(土) 17:34

佐紀ちゃんの怖い夢の話を聞いてたら思い出した。

ゆめにでてくる きょーふもんすたー
なんで ものくろなの

口ずさむと、佐紀ちゃんが首を傾げる。
「それさぁ、恐怖モンスターってなに?」
「知らない。つんくさんにメールしてみたら?」

明日のイベントの打ち合わせにと、佐紀ちゃんの部屋を訪れたのは1時間くらい前。仕事の話は終わって、なんとなくお喋りを続けてる。
前はこんなことなかった。仕事は仕事。それ以外はそれ以外。あっさりした線引き。上手く関係を続ける為の必要な区別。

前なら、すぐ帰ってた。こんな風に、友達みたく、二人で肩を並べて過ごすことなんてなかった。
私たちは、仲間で、家族で。誰よりも近い存在かもしれないけど、その分の遠慮があった。
暗黙の了解。いつの間にか、距離を、お互いが、保とうとした。

最近、その距離が少しずつ縮まってきてる気がする。
私は、それが嬉しくて、でも、どこか心もとなくて。
もっと近付きたくなる。でも、これ以上は怖い。
気持ちを持て余したまま、前にも後ろにも進めずにいる。
59 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/06/28(土) 17:36

「あの歌、好きだな」
「恐怖モンスター?」
「そう。最初、センター佐紀ちゃんから始まるでしょ。かっこいいよね」

佐紀ちゃんは、一瞬目を見開いて、でもすぐその目細めて。照れて、くすぐったそうに、口元緩めながら、ももに褒められるなんてなんか怖い。そんな失礼なことを言う。
冗談には、冗談を。返そうと思ったけど、佐紀ちゃんの笑顔見てたら、言葉に詰まった。

佐紀ちゃんは、髪を切った。
大人っぽさに拍車がかかって、色っぽいし、可愛いし…

きれいになった。

最初見た時そう思って、何故か私は言えなくて。
だから、今さら言えない。どんな顔していいか、もう分からない。

「なんかもも、ほっぺ赤くない?」
突然伸びてきた指に、大きく上半身を反らしてしまった。
「ちょっとー。驚き過ぎなんじゃないの?」
「ごめんごめん」

慌てて笑顔を作ると、佐紀ちゃんが私を見た。
本当に笑ってるの?そう探られてるのが分かる。
もしかしたら、私より佐紀ちゃんの方が私のこと分かってるのかもしれない。そう思うことだってある。誤魔化すなんて、きっと出来ないんだと思う。
60 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/06/28(土) 17:37

「びっくりしちゃって。赤い?」
頬に手を当てると、少し熱い気がした。
「ん、ちょっとね」
佐紀ちゃんが、反対側の頬を指でつついてくる。目が笑ってる。

「なんか意味深な歌詞だよね」
指は、私の髪をそっと梳いていった。
「え?」
「女の子にしか分かんないちょーどがある、って」
「そう、かな…」
「ももは思わなかった?わたし、ちょっとドキドキした、歌詞読んだ時」

私の胸もざわついていた。
佐紀ちゃんの言葉の意味を考えると、鼓動が更に速まる。

「女の子にしか分からないって、なんだろね…」
なんでそんな目で見るの?
感じたことのない雰囲気に、どう反応するのが正解なのか分からない。
「ねぇ、もも。試してみよっか?」
「え…」

何を?とは、聞けなかった。
過ぎった考えに、体が竦む。
61 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/06/28(土) 17:39

「佐紀ちゃんどーした?酔ってるの?」
「これで?」
佐紀ちゃんが、ペットボトルを手に取って私に見せる。
「うん、ジュースでできあがっちゃったのかなぁーって」
必死に考えた冗談で、私は逃げ道を探す。佐紀ちゃんの真意を探る。

「そういえば、最近よくももの夢も見る」
「ゆめ?」

突然戻った、夢の話。
「ももに話があって。もものこと探してたり、追いかけてたり、やっと捕まえるんだけど、目の前にしたら言いたかったこと忘れちゃうの」

そんな感じの何回か見てるんだ、って。佐紀ちゃんはそう言って俯いた。
沈黙が続く。こんなに静かだと、鳴り止まない鼓動が佐紀ちゃんに聞こえてしまいそうな気がして、余計焦る。

言いたいこと。
目の前にしたら、言えないこと。
私たちが、今まで言えなかったこと。

「ね、お酒、飲もっか」
「えっ?」
「ももが、その方がいいなら」

微笑まれて。優しく。でもちょっと、からかうような視線。
また答えられずにいると、佐紀ちゃんが体を寄せた。後ずさりしかけた自分の体を留める。
真正面から、佐紀ちゃんを見た。

「からかってる?」
「そんなわけないでしょ」
62 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/06/28(土) 17:41

先に目を閉じたのは私だった。
とてもそのまま見つめ合うことが出来なかったから。

佐紀ちゃんの唇を感じた。佐紀ちゃんの匂いに包まれた。
パニックになりそうになる。加減も出来ず、力いっぱい佐紀ちゃんを抱きしめると、
「もも」と、いつもの優しい声が聞こえた。

私たちは、今までで一番近くにいる。
全然イヤじゃなくて、むしろ私は、こうしたいと思ってたのかもしれない。そんな風に思って、怖くなる。

佐紀ちゃん。私たち、これから先どうしたらいいの?
離れられなくなっちゃったら、離れたくないって思っちゃったらどうするの?

「佐紀ちゃん…」
「ん?」
「も…いっかい」
「なに?」
「名前、もう一回呼んで」
「……もも」

吐息と声が耳に染みる。
頭の中が佐紀ちゃんでいっぱいになる。何も考えられなくなる。
力が抜けた。だからもう一度、力を込めた。

距離がどこにもなくなるまで。
私は佐紀ちゃんを抱きしめた。
私たちは、強く、強く、抱きしめあった。




思い出した
夢で、ももに言いたかったこと

体を離すと、佐紀ちゃんが、そう言って、私に微笑んだ。
63 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/06/28(土) 17:42


64 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/06/28(土) 17:44


65 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/06/28(土) 17:45

66 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/06/29(日) 00:40
お姉さんズ!
もっとこの二人のお話も読んでみたいです!
67 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/18(土) 12:45

>>66
お姉さんズ好きなんですー。
機会があればまた書きたいです。ありがとうございました!

68 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/18(土) 12:57

秋ツアー初日おめでとうございます。
とっっっても短いみやももです。
性描写含みます。特に幸せなお話ではありません。
それでもよろしければ。
69 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/18(土) 12:59


『背中にXXX』

70 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/18(土) 13:02

誰もが綺麗って羨む背中に、何度も唇押し当てて、軽く歯を立てる。
強く、強く、吸い付いて、痕を残したくなる衝動。苛立ちに似た感情。
遊び半分に噛みつくだけじゃ、本当は足りない。


浅く途切れた吐息。甘く喘ぐ声。みやの指が逃げ場を探し、諦め、シーツを握った。
体を起こして、みやの太ももに触れる。そっと、ゆっくり、撫で上げる。過敏になった体は、震える。
何も言わなくても、両足は左右に開いていく。
待ちわびているのが分かる。

「どれくらい?」
耳に唇を当てて問いかける。
「えっ…」
「どれくらい濡らしてるの?」
「やっ…」
「確かめてほしい?」
「っ……」
「ほしくないの?」

無言は肯定。それでも強要するのは、言葉にしてほしいからじゃない。
みやが本当は言葉にしたがっているのを知っているからだ。

「ねえ、みや」
「……しい」
「ちゃんと言って。確かめてほしい?」
「もう…ゆ、びが、ほし…」

71 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/18(土) 13:04

たかが、指一本。
繋がりはそれだけで、それでも、熱は混ざり合ってく。
揺り動かすほど、絡みついて、絡まって、この感覚がなんなのか分からない。分からないのに、夢中になってる。

意識が遠退きそうで。熱に浮かされて。
夢中なのは、この名前のない関係?付随するバカみたいな背徳感?

それとも、


「きもちいい?」
「あっ…ももっ」

こんな風に分かり切ったことを聞くのは、私の声に反応してほしいだけなのかもしれない。
指がきつく締めつけられる。

「いいよ、みや」
「あっ、も、あぁっん!!」


脱力した体。背中にキスを落とて、そのまま頭を乗せた。感じる鼓動。心臓はこの辺り。
浮かんだ言葉は、独占欲だった。

72 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/18(土) 13:05



73 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/18(土) 13:05

74 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/18(土) 13:06

75 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/21(火) 18:10
いい・・・。としか言えない。

新作待ってました!ありがとうございます^^
76 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/25(土) 00:10
凄く良かったです!最近ベリ少ないから嬉しい
77 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/25(土) 20:53

>>75
待っててくださった方がいたとは!嬉しいですー。
ありがとうございます!

>>76
今は減ってしまうのは仕方ない時期かもしれませんね。しかし!しかし!みやももは永遠!
ありがとうございます!
78 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/25(土) 21:01

また書いてしまいました。
前回のみやももの、みやバージョン。
補足しますと、同じシーンではありません。
蛇足御免。短文御免。
79 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/25(土) 21:02
80 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/25(土) 21:03

始まりは決まって、探るようなキスだと思う。いつもそれがもどかしい。
ももの腕を掴む。足りなくて、苛立つ。
押し倒されて、深いキスをしても、やっぱり足りない。
いつからか、ずっと足りないでいる。


うつ伏せにしようとするから、抵抗した。ももは最近こうしたがることが多い。
「その方が、みや、感じるでしょ?」
からかうような声。その笑顔はももらしい。らしいから、直感的にウソだと思った。
ウソっていうか、本心を隠してる。そんな感じ。

ももは、きっと。顔を見たくないんだと思う。目を合わせたくないんだと思う。
だったら、じゃあ。腕取って、引き寄せて、正面から抱きしめる。
これなら、ほら、見えなくていいでしょ?

「なにも出来ないんだけど」
「……すこしだけ」

81 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/25(土) 21:07

聞いてみたくなる。
うしろめたいの?って。
ももが女だから?私も女だから?恋人でもないから?好きでもないから?

それとも、


背中に回した手のひら。強く爪を立てたら、ももが息を詰めた。
「みや?」
ダメなことぐらい分かってる。

残ったらいいのに。痕とか傷とか、そういうのじゃなくて。
残らないもの。残せないもの。形にならないから、ほしくなる。

ほしい、って。いつも言わせたがるくせに。ずるい。ももは、ずるい。
なおさら力が入った。

「ね、ちょっと、みや」
本気なわけない。力を緩めると、ももの体が少し離れた。

頬を撫でる。首を撫でる。ももが視線を外す。手のひらを下ろしてく。心臓は、この辺り。
そこへキスをした。
まだ口にしたことない言葉が、頭に浮かんだ。

82 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/25(土) 21:08

83 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/25(土) 21:09
84 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/25(土) 21:11

もうこれはほんとに終わり。続きませんー。
85 名前:名無飼育さん 投稿日:2014/10/29(水) 20:23

良かったです!続いてください(>_<)
86 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/29(金) 21:00

>>85
遅レス申し訳ありません!
そして、本当に続かないんです。ごめんなさい。許してにゃん。
コメントありがとうございました!
87 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/29(金) 21:06
諸事情により、更新。
ちなももです。

『Can't stop』
88 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/29(金) 21:10
シャワーから戻るとももがベッドで寝ていた。
MCの打ち合わせしようって、ももから言い出したのに。

しょーがないか。そっとベッドの端に腰掛ける。
最近は私でさえ寝不足続き。ももはベリーズの仕事の合間に一人の仕事もこなしてる。疲労もピークなんだと思う。

それでも、一時期より顔色はましになった。ももは元々色白だから、疲れが溜まると幽霊みたく青白くなっていく。
うん、今日はそこまでじゃない。

穏やかな寝顔。
見慣れた横顔。
黙ってれば綺麗なのに。あと、変な髪型じゃなければ。

ふと手が伸びる。そして、止まる。
いつも。いつも、この手はももに触れない。
こんなに近くにいても。

ヘンなの。
躊躇する自分に、少しだけ笑う。
これがももじゃなければ、簡単に頭を撫でられる。

お疲れ様って、労う気持ちはある。
テレビでももを見る度に、頑張れって思う。
本当は尊敬だってしてる。口に出さないだけ。

口に出せたら良かった、そう思う時もあるけど。
でも、私に意地を張らせるのは、こいつだ。
必要以上に絡んで、苛立たせる。

特にこの頃、
89 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/29(金) 21:12


「何見てるの?」
「えっ?」
ももが、ニヤつきながら目を開ける。

「やっぱり見てた」
「なに?ウソ寝?」
「寝てたの。でも、気配がして。頭撫でてくれるのかと思って待ってたのに」
「バカ?」
「眠り姫に王子様のキスでもよかったけど?」

ももはこういう冗談を、この頃、よく言う。
ニヤニヤしてるけど、こっちは全く笑えない。

「桃子さん、あなた頭大丈夫?」
「千奈美こそいい加減素直になったら?」

ほら、もう一回寝てあげる。
ももが、仰向けになって目を閉じた。薄い唇が緩んで、笑っているのが分かる。

イライラする。バカバカしいし。
何より嫌なのが、ももの狙いがよく分からないからだ。

「あーそっか。分かった。もも、本当はしてほしいんでしょ?」
「そうだって言ったら、どうするの、千奈美」

ももが真っ直ぐに私を見て答えた。
どくっ、て。大きく、脈打つ。

からかわれてる。そう思うと、無性に腹が立って仕方がない。

90 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/29(金) 21:16
気づいたら、私は、ももの顔の横に手をついていて。
その時、ももは一瞬怯んで、私はそれが分かったから、すぐに唇を押し当てた。

いつの間にか、キスは押し付けるだけじゃなくなってた。服を引っ張られて、我に返った。ももが苦しそうに、息をつく。
徐々に頭が働いて、自分のしたことを自覚するけど、ここで焦ったら私の負けな気がした。

「何してるの、うちら」
「ちーちゃんがしたかったこと?」
「はあ?まだそういうこと言うわけ?」
「千奈美、私のこと、好き?」
「はあっ?」
「何それ?」
「何が?」
「好きでもないのに、押し倒してるの?」
私は慌てて体を起こす。

「ももがじゃん」
「私が、何?」
「だってももが…」
「キスしたの、千奈美でしょ」

にらみ合う。
ももが大げさにため息をついた。
うんざりなのは、こっちの方。

「私のせいみたく言わないでよ。ももだって嫌がらなかったくせに」
「何それ?」
「だから、さっきから何なのそれ?」
「分からないの?」
「分かるわけないじゃん」

ももが起き上がった。
と思ったら、あっという間に顔が近づいてきて、唇がくっついて、離れてった。

「分かった?」
ももが笑う。でも、いつものからかう感じじゃない。

「分かんないよ…」

91 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/29(金) 21:18
そんなわけないじゃん。だって、絶対そんなわけない。
気のせい。勘違い。ありえない。何回否定してきたと思ってんの。

何でももなの?
何で?いつから?
いつから、ももは。
いつから、私は。
何で、こいつのことなんか。

大きく息を吸って、吐いた。
ムカつく。ほんと、ムカつく。
ももの肩を掴んで、ゆっくり押し倒す。

「何?」
「分かんないの?」
「うん、分からない」

唇を寄せると、ももが目を閉じた。私も閉じる。
三回目。やっと、ももの唇は柔らかい、そんな風に感じる余裕があった。

離れると、驚くほどの至近距離でももの睫毛が揺れる。
ももの目に私が映ってる。
でも今、自分がどんな顔をしてるのか見えるわけないし、想像もつかない。

「怖い?」
「え?」
「私は、少し怖い…」
そう言って、ももが目を逸らした。

「……やめる?」
情けないくらい声が掠れた。
ももの手が私の背中に回って、弱々しく服を掴んだ。

「…やだ」
微かに聞こえた声。
私は何故か泣きそうになって、ごまかすようにももを力一杯抱きしめた。

鼻先でシャンプーの香りがした。恐る恐る、その髪を撫でる。
なんか痛い。なんか苦しい。
この力を緩めたら、もう止まらないのは分かってる。
それでも私は体を離して、ももに、四度目のキスをする。
92 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/29(金) 21:19


93 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/29(金) 21:20
94 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/29(金) 21:22
終わり、なのですが、続きがあります。
なるべく早めに更新する予定です。
95 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/30(土) 18:54
ちなももの続き。

『Can't stop lovin' you』

96 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/30(土) 18:56
DVDの表紙を見せると、思いっ切り呆れたという顔をされた。

「また?」
「またじゃないから!この前は、2だし、その前は1。1、2って観たんだから、3も観なきゃ!」
「はいはい。付き合えばいーんでしょ、分かりました」

上から物を言う。
べつに頼んでませんけど!って思うけど、ここは我慢。一応言って良いことと悪いことの区別ぐらいは私にもつく。
ていうか、前だったら、相手はももだし、言っちゃまずいことでも、言いたければ言ってた。
でも、私はあれから調子が出ない。

あれから。
“あれ”とは、あれ、である。
あれから私たちがどうなったのかというと、よく分からない。一見何も変わってない。
ただ、オフが重なると、ももはうちに来る。

何をしていいか分からなくて、お気に入りの映画を観せる。
うちでご飯を食べたり、外に食べに行ったり。
いつも通りおしゃべりをする。話すことは前と変わらない。

もやもやして。普通こんなもやもやが続くの気持ち悪くて耐えられないけど、はっきりさせるのが怖かった。
怖い?うん、たぶん、怖い。
97 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/30(土) 18:58
だって、はっきりさせるって何を?

取り返しのつかないことをした。
そうなのかもしれない。そうじゃないのかもしれない。
で?
取り返せないとどうなる?
もし取り返せたとしたら、どうするの?

自分で自分が分からない。
ももも何考えてるかちっとも分からない。
悩んでるのは私だけなわけ?そう思うと、今度はイライラしてくる。

「なんか結構シビアな話だね」
「まあ…」

なんだかんだももはちゃんと映画を観てる。
私は、映画を観てる最中に話すの好きじゃないから、てきとーに返す。
でもそれは言い訳で、本当は集中してない。

ぜっっったいいわざと。
いつの間にか、床に着いてるももの指が、私の指にちょっとだけくっついてて、私は気になって、気になって、しょうがない。
小学生か!って思うけど、離せば離したで何か言われる気がして、動かせない。

わざとに決まってる。
ももは、私をからうのが好きで。私の反応を見て、いつも笑ってる。
そうだ、だから、やっぱり、あの日もからかわれたんだ。
ぜっっったいそうだ。
そう思うと、ちくり、どこかが痛んで、私は途方に暮れる。

「ちょっと」
「いいじゃん」

ももが、大して空いてもいない距離を詰めてきた。
私は逃げ腰になるけど、ももが画面から目を離さずに、もう一回「いいじゃん」と言う。その声がいつもより低い。
拒否出来なくて黙ると、調子に乗って寄りかかってきた。諦めて、もう反応しないことにした。
98 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/30(土) 19:01
ラストシーン。ももは泣いてる。
声立てないように、鼻をすすらないように。気をつけてるけど、バレバレ。
私は初めて、この映画で泣けなかった。

興味ないエンドロールを眺める。
無言でティッシュを渡す。ももの涙が引くのを待つ。
次はどうしよう。何を話そう。今更、何を話したらいいか分からなくなるなんて。
ケンカじゃないのに。一緒にいると、窮屈な気がして、苦しくて。

どうしたら元に戻れる?
考えるけど、きっと元通りにはならない。
それはなんとなく分かってた。

「もうちょっと肉付けたら?」

落ち着いたのか、ももが私の二の腕を掴みながら言う。
人が悩んでるのに、ほんと無神経な奴。

「ももがくれたらちょうどいいかもねー」
「ちょっと、何それ?」
「そのまんま」
「ガリガリよりはよくない?触り心地あんまりよくないし」
「じゃあ離れたら?」

ももが体を離して、私を見る。
そーゆーこと言う?目にはそう書いてある。
それはこっちのセリフだし。
無言のまま、しばらく目を合わす。

「ね、ちーちゃん」

次に向けてきたのは、作り物の笑顔。
その顔は嫌い。やな予感がする。

「キス、しよっか」
「は?」

袖を引っ張られる。
縮まる距離。ももの唇がすぐそこにあった。
99 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/30(土) 19:06
「ちょ、ちょっと待ってよ」
「何で?」
「何でって」
「やなの?」
「やだよ!」

思わず大声になる。
表情のない顔。
傷ついてるのが分かる。傷ついてること、隠してるのが分かる。傷つけたのは私?そりゃそうかもしれないけど…

「帰る」
「は?」
「ごめんね。なんか、色々」
「ちょっと!何でそうなるの?」

完全にシカト。ももはさっさと手荷物をしまうと、立ち上がった。
ベリーズはみんな頑固だけど、シャッターを下ろしたももはより一層頑固だし意地っ張り。そして、めんどくさい。

そうだ。こいつは、めんどくさい。本当に、本当に、めんどくさいんだ。
ていうか、なんで私がこいつのことでこんなに悩まなきゃいけないの!?

「あーーー!もーーー!めんどくさいっ!」

何かが切れた。
100 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/30(土) 19:07
悲鳴みたく大声上げると、ももがびっくりして体を停止させた。
その隙に、がっちり腕を取る。

ももなんか。

勝手だし。思わせぶりな態度で振り回すし。本心言わないし。自己中だし。しつこいし。うるさいし。うるさいのは私もだけど、でも、うるさいし。

最初から苦手だった。
話した瞬間に、苦手なタイプだって思った。
ケンカする程仲が良い?
ケンカ出来ない程、仲が悪かったし、嫌いだったこともある。
今だって嫌いなとこも、苦手なとこもたくさんある。

だから、もものことなんか。

「何なの!?私だけが悪いわけ!?」
「何が?」
「何がじゃないじゃん。言いたいことあるなら、言えばいーでしょ?何なの、その態度」
「べつに」

すっとぼける。
あーもー本当に腹が立つ。
こーゆーところも大嫌い。
101 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/30(土) 19:10
なのにいつから?
あんなにうざいと思ってた部分が尊敬に変わっていった。
ももの努力を理解出来るようになっていった。
仕事の相談をしたら、驚くほど真剣に聞いてくれた。

いつの間にかすっごく近くにいて、ビジネスとか言って、プライベートでは全然仲良くありませんなんて振りしながら、私はももを頼りにしてるし、本当はこの関係をとても大事に思ってる。
でも、私はビジネスを強調し続けた。

ももがくっついてくると、イヤでイヤでしょーがなくて。
他の人には何とも思わないのに、ももだけがイヤで。
こんなにムカついたり、腹が立ったりするのはももにだけ。

もも、だけ。
その理由を考えたくなかった。
だってありえない。
浮かんだ可能性は、その度に否定した。
ビジネスって言葉を利用してた。隠したいことが本当はあった。

「あーそう。あーそうですか。じゃあ、こっちから言わせてもらいますけどね」
「べつに言わなくていいけど」
「うるさい!聞け!」

にらみ合う。この前と一緒だ。
あの時はどうしたっけ?
キスした。それ以上のこともした。

またキスしたらいい?
そしたら元通り?
違う。元にはもう戻らない。
本当は分かってたのに。ちゃんと話さなきゃいけないこと。


神様。
勇気をください。
あぁ、そっか。想いよ、届け、だ。
102 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/30(土) 19:11
「もも、この前、怖いって言ったよね?」

ももは答えない。
でも、表情が少し変わったのは分かった。

「私だって、同じなのに…」

まただ。悲しいわけじゃないのに、涙腺が緩む。
何でだろう。何で泣きたくなろんだろう。
泣くわけにはいかなくて。
ももの肩に頭を乗せて、顔を隠す。

「私だって…怖いよ、やっぱり…」

怖い。けど、この先を続けなきゃ、何にも始まらない。
私は顔を隠したまま、ももの手を掴んだ。抵抗はなかった。


言わなきゃいけないことがある。


103 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/30(土) 19:15
「ごめん」

先に口を開いたのは、ももだった。

「え?」

思わず、顔を上げる。
ももから無表情が消えてた。

「千奈美、全然目合わせてくれなくて。最初は照れてるんだと思ってたんだけど」

俯いて、ももが話し出す。

「ほんと素っ気なくて。その内、もしかしたら避けられてるのかもと思って。もしかしたら、後悔してるのかも、とか。なかったことにしたいのかもとか。しつこくするの今日で最後にしようと思ったんだけど、怖くて…確かめるのも、怖くて」

身に覚えはある。
それは!とか、だって!とか、飲み込んで、私は深呼吸した。

「笑わない?」
「え?何?」
「ぜっっったい、絶対笑わないでよ」
「う、うん」

顔が熱い。胸もどくどくうるさい。

「あれから、ずっともものこと考えてるし… した…ことも頭から離れなくて、どうしていいか分かんなかったの!照れてるとか、そんな次元じゃなかったの」
「そんなの、私だってそうだよ」
「ももは普通だったじゃん」
「私まで避けたら、どうしようもないでしょ?普通にしようと思って頑張ってただけだよ」

ちょっと怒ってるような、でも悲しそうな顔。
ごめん。謝るのと同時。無意識に出た手が、ももを引き寄せてる。
ももが素直に私に体を預けた。体中に、想いが広がる。

「…きだよ、もも」

振り絞った声はあまりに小さくて聞こえなかったかもしれない。
そう思ったけど。

でも、

「私も、すき」

ももも、そう言ってくれた。
104 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/30(土) 19:17
鼻がつんとする。きっとバレてる。なんか泣きそうなこと。
でも、べつにいい。
ももを抱きしめる。ももの手が、私の背中に回る。
知らなかった。幸せだと、こんな風に泣きたくなるのか。

「やじゃない」
「え?」
「さっきは急だったから、やだって言っただけだから」

数秒の沈黙。
ももがゆっくり、顔を上げた。
今まで見たことないような、恥ずかしげな顔。たぶん、私も顔が赤いと思う。

あと少し。鼻先が触れる。ちょっとだけ見つめ合う。私はももの頬に手を添える。

私たちはキスをする。
くっついて、離れて。それを繰り返して。
まだ恥ずかしくて。途中から笑っちゃって。おかしくて、恥ずかしくて、笑いながら抱きしめ合った。

「勘違いじゃない?」
「え?」
「私たち両思い?」
「うん」
「夢じゃない?」
「つねってあげようか?」
「ちょっと!そういう時は―――」

そして、また。私はももにキスをした。
何度も。何度も。
きっと、これからも。何度も。
105 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/30(土) 19:19
106 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/30(土) 19:21


『愛さずにはいられない』終
107 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/30(土) 19:23

ありがとうございました。

108 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/31(日) 03:00
素敵なちなももをありがとうございます。
悲しいわけじゃないのに泣きたくなる感覚、とても共感します。
あれってなんなんですかね。
109 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/31(日) 15:40
おぉぉ更新ありがとうございます
ちなももよいです
不器用で愛おしい
110 名前:名無飼育さん 投稿日:2015/05/31(日) 21:48
ちなももかわいかったです。かわいい。
めんどくさいももさんのリアリティはんぱない!

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