dis-communication
1 名前:高津 投稿日:2012/12/02(日) 01:56
娘。現メンベースの鞘石とかの短編。

10年弱ぶりにスレ立て。どうぞよろしくですw
2 名前:dis-communication 投稿日:2012/12/02(日) 01:57
「亜佑美ちゃん、今日はありがとね」
「いえいえ!こっちからお願いしたのに!ありがとうございました!」
「またねー」
「はい、また明日!」

そう言って鞘師さんは手をひらひらと振って背を向けた。
ふっと一息つく。

別に安心した、とかじゃない。
ただ、なんだか最近思うところがあるだけなんだ。

鞘師さんと話していると、私はなんだか最近難しくなる。
なんだかまーちゃんのような言い回しだけど、それ以外表現できないんだからしょうがない。

「どうしよ…」

何ともなくついて出た言葉にちょっと違和感。
口から出た言葉とはいえ、今の自分の中を表現したい言葉とはまた違ったからだ。

考えながらふとスタジオの中を見回すと、クリアファイルが落ちていた。

「あれ?」

これは私んじゃない。
鞘師さんのだ。

と、思った瞬間、ガチャリとドアが開いた。
3 名前:dis-communication 投稿日:2012/12/02(日) 01:58
「ぅわすれものしたぁ!」
「鞘師さん」
「ファイル忘れちゃって!家で復習できんとこだった」
「よかったぁ。今連絡しなきゃないと思ってて」

なんて言うと、小首を傾げる鞘師さん。

「どしたんですか?」
「しなきゃないって何?」
「え?あれ?しなきゃないって使わないです?」
「使わん。うちも標準語かどうか分からんけど、他の人が使ってるのは聞いたことないかも」
「そっか…方言だったか…」

どうやら無意識に使っていたというか、まさかしなきゃないが方言だとは思ってなかった。
気づかずに使ってるの多いかもしれない。

「面白いね」
「方言ですか?」
「うちとか道重さんとか田中さんはちょっと言葉似てると思うけど、亜佑美ちゃんとこはたぶん全然違うよね?」
「あー、そうかも。私はたぶんまーちゃんと近い…のかな?わかんないですけど」
「いいなー。なんかこういうの調べるの楽しそう!」
「鞘師さん調べるとかなんか勉強好きですよね〜」
「うん、大好き。ンフフ」

あ、かわいい。
こういう顔見ると年相応なのかなって思ってしまう。

「あ、何?子供っぽいと思った?」
「イヤイヤ、そんなことないですよー?」
「嘘だ!嘘だぁ」
「いやいやいや、子供っぽいとは思ってないですよ」
「じゃあなんだよぅ」
「年相応でかわいいなって」

そういうと、絶句、とばかりにぽかんと口を開けたまま固まる鞘師さん。
そんな変なこと言ってないと思うけど。
4 名前:dis-communication 投稿日:2012/12/02(日) 01:58
「嘘…」
「え、なんでそんな深刻な顔になってるんですか」
「だってあんまり亜佑美ちゃんがうちにかわいいとか言う感じの褒め言葉言うの珍しいから、なんか、嘘かと思った」
「えぇ!?ひどい!」

こっちがびっくりすると、鞘師さんはンフフと笑いながら、私の首に腕を回してきた。

「もー、どうしたんですかぁ」
「ンフフフ」

鞘師さんは二人のときはびっくりするぐらい甘えてくる。
同年代だと心を許してるのかな?
道重さんにはあんなに顔がこわばってるのに。

「あゆーみちゃぁん。ンフー」
「…鞘師さん猫みたいですよね」
「そう?そうかな?イヒヒ」

嬉しいのか。
なんだかよく分からない人だ。

それにしても…最近気づいたけど、鞘師さんってこんな目線上だったっけ?

「鞘師さん背伸びました?」
「うん、ちょびっとだけ伸びた」
「そっかぁ…いいですね」
「亜佑美ちゃんは?」
「私たぶんもう伸びませんよ」
「えー?でも、女の人は30歳ぐらいまで伸びるって聞いたことあるけど…」
「ホントに!?…あ、ホントにとか言っちゃった」

そういうと、鞘師さんがちょっと難しい顔をする。
いつも思うけれど、この人は表情と感情がうまく読み取れない。
ここで?というところで変な顔をしたりするから、なかなか難しかったりする。

「早く敬語なくなるといいのになぁ」
「私ですか?」
「うーん。先輩後輩とかはしっかりしなきゃいけないと思うんだけど…。田中さんとか道重さんとかは新垣さんにタメ口のときあったし」
「あぁー」
「もっと時間が過ぎればいいのにね」
5 名前:dis-communication 投稿日:2012/12/02(日) 01:59
そういって、床に置いてるファイルを手にとろうと、首から腕が離れた。
不思議と名残惜しく感じてしまう。

こうやって見ると、鞘師さんはかわいい反面すごく大人な感じもする。
横顔がすごく綺麗だから。

鞘師さんは最近すごく大人っぽくなったように思う。
ふとしたときに大人な表情になるときがあって、…正直ドキッとしてしまう。

「亜佑美ちゃん」
「はっ、はい」
「なにーそんなびっくりしなくていいじゃん」
「すいません、ぼーっとしてて…」
「ふふ」

何か妙な間があって。

「帰ろ?」
「あっ、はい」

電気を消して、廊下に出て、スタッフさんに挨拶をして。
鞘師さんにレッスンを付き合ってもらったいつも通りの私たちの帰りの流れなのに。

何故か今日は特別感があった。
鞘師さんの隣がこんなに緊張するなんて。

短いはずの出口までがすごく長い。
早く終われ、早く出口まで辿りついて欲しい。

顔から耳にかけてなんだかチリチリする。熱い。


「じゃあまたね」
「はい…また」
「明日ね!おやすみ〜」
「おやすみなさい」

手を振ってまた別れると思った。
けど、急に耳元で


「亜佑美ちゃん、 すき」


瞬間手をぎゅっと握られて。
そのまま鞘師さんは走り出した。

私は何も考えられない頭でそれを見つめるしかなくて。


今度の一息は、とても熱く一息とはいえないほどの長さになった。


6 名前:dis-communication 投稿日:2012/12/02(日) 02:01
おわり。

リハビリも兼ねてアップでした。
リハビリはまだまだ続く予定ですw
感覚を取り戻すのに時間かかりそうですがw

最近本当に鞘石が楽しくてしょうがない。
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/02(日) 22:42
お帰りなさい&新スレおめでとうございます!
思わせぶりな鞘師さんに翻弄され始める石田さんとかすげー続きが気になります!
自分は鞘石きっかけで、またseekを読むようになったので
書き手さんが帰ってきてくれる事はとても喜ばしいです!これからも期待しています。
8 名前:めぐる 投稿日:2012/12/03(月) 02:07
「…あ」

亜佑美ちゃんに『しなきゃない』の意味を聞き損ねた。
それに気づいたのは家に着いてお風呂から上がったあとだった。

タオルで頭をがしがししながら今日の出来事を思い出す。

――私は今日すごいことをしでかしてしまったのだ。

亜佑美ちゃんに好き、とか…。


「…言っちゃった」

本当はもっとあっためておくつもりだった。
もっと秘めて、秘めて。大事にしてしまっておくつもりだったんだ。

でもそうはならなかった。

たぶんかわいいとか言われたのが決め手だったのかもしれない。
普段、鞘師さんはすごいとしか言わなくて、あんまり言われた記憶がない。

だから単純に嬉しかった。

それまであっためてた思いが、一気に熱を持った感じ。
9 名前:めぐる 投稿日:2012/12/03(月) 02:08
お風呂入ったからかもしれないけど、顔の熱がいつまでも治まらないような錯覚を覚える。
あの顔を思い出してしまう。

『年相応でかわいいなって』

あの猫みたいにふにゃっとした笑い顔がたまらなく好きで。
ぷるっとした唇も好きで。

優しくて、なんだか甘えられる。

年上の後輩って最初はどうしようって思ったけど、こんなに夢中になるなんて思ってもみなかった。
それぐらい好き。

しかもまさかの同性。
道重さんに影響されすぎ?と思ったけど…影響されての気持ちがこんなに大きいはずないって思い直した。

この間は手が触れるだけど、心臓が飛び出すかと思った。
思春期の感受性は強いので、初恋は信用しないほうがいいみたいなことをどこかで聞いたことあるけど、嘘だと思った。

こんなに苦しいのに、こんなに愛おしいのに。
それをニセモノだなんて思いたくない。

「はぁ…」

ため息つきながらベッドにうつ伏せになる。

今日の朝のおはようございます!という元気なメールを眺めながら思う。
そういえば、あのあとメールしてない。
元々メールはあんまり得意じゃない方だけど。

「んーーっ、亜佑美ちゃーん…」

隠し撮りした寝顔の写真にキスする真似。
…なんだかうち、バカみたい。
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/03(月) 02:08

というか…そもそも良く考えたら、好きって言っただけだった。
返事ちょうだいとも言ってない。

自分の思いの丈を放出しただけだった。


「うわああ!どうしよううー!」

どうしよう、明日からどうしよう。
どうなっちゃうんだろう。

き、嫌われたりしないかな?
避けられたりしないかな…。

そうなることを想像したらすごく胸がぎゅうっと締め付けられる。

気持ちは本物だけど、謝らなきゃ。
とにかく謝ろう。
困らせたことは事実だし。


iPhoneを持つ手が震える。


"今日はごめんね。"


送るのにも息を呑んでしまう。
大丈夫。大丈夫。

ぷわっ、と送信が終わった音がする。

怖くてマナーモードにした上、iPhoneを伏せる。
返事しにくいだろうなって思ってた矢先、ぶぶっとiPhoneが鳴った。

「えっ…早い」

恐る恐る開いたメールには


"謝るようなことされてませんよ"


「えっ!?」

思わず大きい声が出ちゃって周囲を見回してしまう。
お母さんはもう寝てるはずなんだけど。たぶん。
11 名前:めぐる 投稿日:2012/12/03(月) 02:09

"どういう意味?"


メールを打つ手も逸る。
怖いと思いつつも先を期待してしまう。

この感覚はなんていうんだろう。
どういう感情なんだろう。
うちにはきっとまだ分からない。
苦しい、それしか表現できない。

待ち時間が待ち遠しい。
ものの数分かもしれない。それなのにすごく…すごく長く感じる。


"だって鞘師さんの気持ちなんですよね?"


そうだよ!
だから言った。言ってしまった。
もういつもと同じに戻れないなんて分かってるんだ。


"そうだよ"


指先が冷たい。
気持ちが身体にも影響を出してる。

あまりの緊張にiPhoneを取り落としてしまう。

「もぉっ」

落としたところでまた、鳴る。
12 名前:めぐる 投稿日:2012/12/03(月) 02:10


"だから、私嬉しいです"



「はっ?」

メールにはなんて書いてある?

「だ、から。私、嬉しいです…」


"どういう意味?"


また聞いてしまう。
返って来た答えが怖い。
だから、確認しないわけにはいかなかった。
まだ分からない。


"そのままの意味ですよ

また明日話しましょう!

中学生は早く寝なきゃいけないんですよ!"



「えっ、急に何この感じ」

亜佑美ちゃんお得意のシリアスなシーンで滑り芸ってこと?
それとも…て、照れ隠し?
13 名前:めぐる 投稿日:2012/12/03(月) 02:10

「わかんない、わかんない!」

だからって電話できる勇気はない。
でもこの気持ちの置き所が分からない。
どうすればいいんだ!
でも勇気のない私は…


"分かりました。また明日聞くね。おやすみ"


なんともそっけないメールになってしまった。
そしてメールはすぐ返って来た。


"おやすみなさい、鞘師さん"


「なっ…」

なんとそっけない返事が返ってきたことだろう。

「なんだよー!どうしたらいいの!?」

また大きな声を出してしまった。
いや、だってこれはもうしょうがない。

思いを告げてスッキリしたつもりが、逆にもやもやしてしまった。
ん、もしかしたらこの人はうちを弄んでるのかもしれない。

やるな、石田亜佑美。

もう寝よう。
今日のことはもう考えずにぐっすり寝てしまうんだ、わたしは。


そして寝る前にもう1度亜佑美ちゃんの隠し撮り写真を見る。

「やっぱかわいい…」


明日何を聞かされるのかとか、もう何も考えられないままうちは寝てしまった。

きっと、明日が解決する。

きっと。
14 名前:高津 投稿日:2012/12/03(月) 02:13
更新です。

1つ1つ短編で書いていきたい感じです。
そして一部タイトル抜けがあり、失礼をば致しました。

そして感想がついてる!ありがとうございます!

>>7
もうホント長いことぶりで、お帰りなさいっていうのはくすぐったいですねw
リハビリ中なので、だらっとした感じになってしまいましたが、気になって頂けた様でなによりですw
ありがとうございますw
15 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/03(月) 10:13
とても気になる展開です〜!!
鞘石が大好きなので更新楽しみに待ってます。
16 名前:めしこ、相談に乗るのこと。 投稿日:2012/12/04(火) 01:19
「おはようー…」

朝一番にこの表情。
いつも元気なのに、何かあったんだなとすぐに分かった。

「ど、どうしたの?」
「うんー…」
「何かあった?悲しいこととか?」

への字口のあゆみんの目から涙が零れる。

「ちょ、ちょっとー。どうしたの本当に…。大丈夫?」
「うああーん!はるなーーん!」
「よしよし…聞くよ?」
「うぅ…」

ぐずぐずと鼻を啜りながら、あゆみんから聞いた言葉を総括すると…。
どうやら告白をされたということみたい。

泣いてる理由が分からないけど…。

「それは…なんというか…。でもなんで泣いちゃったの?」
「なんか…わかんない。告白されてから、1日経ってるのに、まだ気持ちに整理がつかなくって…」
「そっかぁ…」

少し泣き止み始めてきたあゆみんの頭を撫でる私。
とにかく話を少しそらしてあげなきゃ。

「うーん…そ、それじゃあさ、どんな人だったの?かっこよかった?」
「うん…かっこよくて、かわいい…」

かわいい?J系の人なのかな?
17 名前:めしこ、相談に乗るのこと。 投稿日:2012/12/04(火) 01:19
「どんな感じの人?」
「いつも見てるじゃん…」
「えっ!?私の知ってる人なの!?」

これは一大事だ。
スタッフさんかな、それとも事務所の方?
まさかまさかの、同業者の方…!?

「鞘師さん…」
「そっか…鞘師さ………鞘師さん!!????」

思わずいつも以上のキーの声が出てしまった。
えっと、私の方が整理できない!

お、落ち着け私。
それはなんというか…なおのこと話を真剣に聞かなきゃいけないよね。

「ごめん、私もちょっと慌てちゃってるけど、あゆみんはそれ以上だもんね…」
「ううん…」
「あゆみんは…鞘師さんのこと、す、好き、なの?」

そう聞くと、こくんと頷く。

「それはどっちの意味で?」
「…まだね、なんかわかんないの。でも…好きって言われて、嫌な気持ちはしないっていうか…嬉しかった」
「うん」
「ずっとね…考えてて、なんか、もやもやしてて。鞘師さん見ると」
「うん」
「一人でいるのもよく見るけど、誰かと一緒にいると結構甘えてるような気がすんの」
「あぁー…」

譜久村さんとかかな?
確かに鞘師さんはよく寝てるのも目撃するけど、特に譜久村さんにはくっついてるようなのもよく目撃する。

「こないだもまーちゃんとくっついてたりして…私、まーちゃんに嫉妬とかしちゃったのかなってあとから考えちゃって」
「うーん…」
「わかんないの、まだ。でも誰かと一緒にいるのを見るのも結構キツイ…」

私だっていっちょまえに恋愛しましたとか自信を持って言えるわけじゃないけど、これは結構重症な気がする。
18 名前:めしこ、相談に乗るのこと。 投稿日:2012/12/04(火) 01:20
「そっか…。それで、返事はしたの?」

ふるふると頭を振るあゆみん。
そうだよね。難しいよね。

「昨日ね、ごめんねってメールがきたの。謝るようなことしてないですって、鞘師さんの気持ちなんですよねって言った」
「うん」
「だから嬉しいですって。でもそういったけど、自分の中ではまだなんかヘンで怖くて、また明日話しましょうって強引に終わらせちゃった」

表情が痛々しくて見ていられなかった。
きっとたくさんの気持ちがあゆみんの中で巡ってるんだろう。

「とりあえず、落ち着こう。うん」
「うん…」
「それで、明日話しましょうってことは今日何か言わなきゃいけないってことだよね?」
「そう…」
「時間もないか…」

好きですって言われて、好きですって返さなくてはいけないわけでもないと思う。
シチュエーション的には鞘師さんの言い逃げみたいな感じだったようだし…。

でも、あゆみんのこの感じを見ると、もうきっと心の底では決まっているのかもしれない。
動揺してるだけ、慣れてないだけ、気持ちの整理がつかないとかそんな感じが混ざってしまってるんだろう。

「まず、あゆみんが今考えてるようなことを言ったらいいんじゃないかな?」
「今考えてることって…」
「さっきみたいなの。好きだけど鞘師さんと同じ好きか自分の中ではまだ分からないですって。でも嬉しかったですよって」
「それ…で、いいのかなぁ…」
「それしかないよ。だって付き合ってくださいって言われたわけではないんでしょ?」
「うん…」

少し俯き加減なあゆみんの背中を撫でながら、私も決意。
この子を支えてあげなくてはいけない。
あゆみんだってまだ高校生になったばかりだし、色々落ち着いてないと思うし。
頑張ろう、いいお姉さんにならなきゃ。
19 名前:めしこ、相談に乗るのこと。 投稿日:2012/12/04(火) 01:20
「あとはあゆみん次第だよ。お付き合い前提でもいいわけだし。友達からはじめませんか?的な!」
「ばか」
「うふふ」
「うふふじゃないよまったくもぉ」

ようやく笑顔が戻ってきた。
やっぱりあゆみんは笑ってる方がかわいらしい。

「あーあ、なんか羨ましいな」
「何が?」
「だって、なんか青春してるっていうか…青春ど真ん中だね」
「うまいこと言ってんじゃないよもー」

もうそろそろみんな来る時間かな?
よく考えたら私復習のつもりで早くきたけど、すっかり時間が過ぎてしまった。

「やばい、かも?」
「えっ」
「復習のつもりだったから…」
「えっ、嘘っ!超ごめん!」
「いいよ、大丈夫。頑張るから!」
「わかんなかったら聞いて!一緒にフォローし合おう?」
「ありがと〜。助かります、石田氏」
「いいんですよ飯窪氏。いつものことじゃあないか〜」

調子も戻ってきたし、みんな来ちゃうからもう着替えよう。
これからレッスンだ。

そしてまたあゆみんの頭をぽんぽんする。

「頑張ってね」
「…うん」

はにかむあゆみんがかわいい。
鞘師さん、こんなにかわいいあゆみんを泣かせたんだから、頑張ってくださいね。

もうきっと、あゆみんの気持ちは鞘師さんのところにありますよ。

たぶん、ね。
20 名前:高津 投稿日:2012/12/04(火) 01:22
更新です。
最近9期10期の映像ばっかり見てますw

>>15
ありがとうございます!頑張りますww
21 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/04(火) 02:54
うお!3日連続更新ひゃっっほーい♪( ´θ`)ノ
第三者が間に入るとより青春テイスト満載でドキわくが増しますね!
だーちゃん可愛いなあーもー。続きも楽しみにしてます。
22 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/04(火) 20:56
セリフが脳内再生できる箇所がたくさんあって、
ものすごい入り込んで読んでしまって、笑う所は声出して笑ってしまい、
周りに変な目で見られていますw
楽しみに待ってます〜〜!!
23 名前:ソボクなぎもん 投稿日:2012/12/05(水) 18:21
「ハァー?何言ってんの?」
「だって、だって、なんかしゃやしさんがなんか、怖いんだもん…」
「鞘師さんが怖いわけないじゃん」
「だってぇ…」

ハルにはどうも分からん。
鞘師さんが怖いとこなんて想像できないんですけど。

鞘師さんはいつも優しいし、かわいいし、ダンスすげーし、歌もうまい。
完璧超人かと思う。

そんな鞘師さんが怖いとか…ありえない。

「まーちゃん誰か違う人と見間違えたとかじゃないの?」
「違うよ!だってしゃやしさんと後ろがおんなじのなんてあゆみんしかいないしょ!でもあゆみん髪茶色だし…」
「んー、まぁ確かに」

そう。
あゆみんは高校生になってから髪を茶色に染めた。
ハル的にはちょっと羨ましいなとか思うところもあるけど。

だから鞘師さんと見間違えるなんてのはないハズ。

「じゃあ確かめにいこ!」
「えっ、なんでだよ、いいよ」
「だってだって、なんかヤじゃん」
「ハァー?嫌だっての!自分で行きなよ!」
「まーちゃんはもう見たの!くどぅーも行かなきゃわかんないじゃん!」

なんだよもう。
つーか、ハルいつもまーちゃんに乗せられてね?というか無理やり引きずられてね?
24 名前:ソボクなぎもん 投稿日:2012/12/05(水) 18:21
「さっきすぐサイダー飲んでたから絶対まだいるよ」
「なんで小声なんだよ…。てかさっきすぐってなんだよ…」
「いいの!これからしゃやしさんをりこうするの!」
「尾行だろ…」

結局謎の探偵ごっこに付き合わされることになってしまった。

とりあえず…ドアに隠れて鞘師さんを見たら…。
鞘師さんはサイダーを味わって飲んでた。

いつもどおりのかわいい顔の鞘師さんだった。

「なんだよまーちゃん、鞘師さんいつもどおりじゃん」
「さっきは怖かったんだもん…」
「うーん」

まーちゃんの考えることはよく分からん。

そうやって黙ってみてると、ソファーでサイダーを飲んでた鞘師さんと目があった気がした。
まーちゃんも同じだったのか、ピッとかいいながら隠れる。

「ちょっ、目ぇ合った!」
「どうしよどうしよ」
「覗いてたのばれたんじゃないの?もう…まーちゃんのせいだからね?」
「だってだって!」
「どうすんだよもう…」


「何をどうするって?お二人さん」


「ヒッ!」
「しゃやしさん…」

いつの間にか後ろに鞘師さんが立ってた。

…まーちゃんの言うとおりだった。
鞘師さん怖い。

なんか、ズウウンって感じ。
ハルとそんな身長変わらないのに、なんかすごい迫力がある。今日の鞘師さんは。
25 名前:ソボクなぎもん 投稿日:2012/12/05(水) 18:22
「いやっ、あの、ホントなんでもないんスよ」
「なんでもないんす!」
「いやいや、覗いてたじゃんどう考えても。どうしたの?」

どうしたの?がこんなに怖いことなんてあったかってぐらい怖いんですけど、鞘師さん怖い!

「だって、しゃやしさん今日なんか怖くて!まーちゃん気になってたんです!」
「うわああ、まーちゃんブッ込みすぎだろ!すいませんすいません、まーちゃんがどうしてもって!」

「怖い?うちが?」

「はい!なんかね、さっきまーが鞘師さん見たときにね、怖い顔で紙ぐしゃーってしてゴミ箱にドシャン!て投げてたから。どうしたのかなーって」

その話さっき言ってなかっただろ!
とは口に出せず、とりあえずまーちゃんを引きずり上げて立ち上がった。

「そんな顔してたかな?」

鞘師さんは意外にも怒った風じゃなかったけど、でもなんだかちょっといつもと違って近寄りがたい感じはした。

「はい!」
「なんでまーちゃんはそんな自信満々なんだよ」
「だって気になったんだもん」

ぷうとほっぺたを膨らませて少しご機嫌斜めになった。
まったく…まーちゃんは本当に分からん。
26 名前:ソボクなぎもん 投稿日:2012/12/05(水) 18:22
「鞘師さんホントすんません…別にまーちゃん悪気あったわけじゃないんです。でも!なんか悩みとかあったらほら、えっとハルたちに言ってもいいことだったら言ってください!」
「ってください!えへへ」

そういうと、鞘師さんはふっと笑って

「ありがと」

って言ってくれた。
でもやっぱりなんかいつもとは違った。

ハルたちにも言えない悩みとかがきっとあるのかもしれない。

…つっても、ハルたちはやっぱり後輩だし、そんな悩み話してくださいとかホントは言っちゃいけなかったかも…。
大きなお世話しちゃったかもしんない。

鞘師さんは手を振ってそのまま出ていった。


……でも。

なんかスッキリしないな。


「まーちゃんしゃやしさん怒らせちゃったかなぁ」
「とりあえずまーちゃんのせいではないんじゃない?」
「そっかぁ。じゃあいいか」

そういうとお菓子食べよとか言って、自分のバッグの方に走って行った。

…なんなんだよ。
なんだったんだよ。

まーちゃんが絡むといつもこんなのばっかりだ!
でも分かっててハルはまーちゃんと一緒にいるし、何故か勝手に通訳にされるし。

とりあえずよくわかんないことに巻き込まれたし、なんだか納得いかないのでこっちだって治まりつかない。

だから――

「まーちゃん!ハルにもお菓子!!」


27 名前:高津 投稿日:2012/12/05(水) 18:25
更新です。
たぶん本日はもう1回ぐらい更新すると思います。

>>21
ひゃっほーいありがとうございますw
二人だけの世界観も好きですが、間に誰かいれるのが結構楽しかったりしますw

>>22
脳内再生嬉しいです!
書くにあたってできるだけそれを目標にしてます。
外でSSはご注意をw
28 名前:判決待ちからの…? 投稿日:2012/12/06(木) 16:57
「怖い、かぁ」

2人と別れて、さっきのことを思い出す。
昨日の出来事はなんとなく収まりがよくない。

自分がやったことなはずなんだけれど、もやもやが抜けてくれなくて。
なんともつかない憤りを、紙くずにこめてしまった。

そしてまーちゃんに見られた。

「見られたのはよくなかった…うん」

うちが結構暗い子って知ってるのってどれぐらいいるんだろう。
年長の先輩はもう分かってることだと思う。
特に田中さんには見抜かれてるし、道重さんも基本的には察しがいい。

同期も言わないだけだし、10期の子はどう?
…亜佑美ちゃんは?


自分が暗いのにたまにイライラすることもある。
みんな楽しそうなのについていけなくて、1人で行動が結構多い。

別に仲が悪いってわけじゃない。

ただ、自分が場違いじゃないかって感じることがあるだけだ。


「はーぁ…」

今日のレッスンはもう終わりっぽいし、帰って勉強でもしようかな。

と思って顔を上げると、


「わあ!」
「うわっごめんなさ…い…」

「「………」」

「亜佑美ちゃん…」
「鞘師さん…」

曲がり角でぶつかりそうになるというベタな感じになっちゃったけど…。
今一番会いたくなくて…会いたかった人に会ってしまった。

今日のレッスンは期ごとにしてたから…会ってもみんないたし、声なんてかけられなかった。
29 名前:判決待ちからの…? 投稿日:2012/12/06(木) 16:58
「あの、昨日は、あの」
「さっ、鞘師さんちょっとこっち来てくださいっ」
「えっ?何何っ、ちょっ、亜佑美ちゃん!」

そのまま引きずられて誰もいない部屋に連れてこられて…後ろ手にドアを閉めて、亜佑美ちゃんは俯いた。

「鞘師さん」
「は、はい」
「昨日の、話なんですけど」
「はい…」

これは死刑宣告だと思った。
うちがあんなこと言ってしまったから。

もうこんな感じになってる時点で、関係としては思わしくない状態になってる。

思いのままに告白してしまったことがこんな風になる。
今までと同じではいられないと思ったけど、こんなにつらいなんて思いもしなかった。

「そんな、困った顔しないでください」

困ったような笑顔で亜佑美ちゃんが言う。

「私ね、たくさん考えたんです」
「う、うん」
「私にとって鞘師さんってなんなんだろって。もちろんメンバーで、先輩で、でも…年下で。今更ですけど、やっぱ最初は抵抗ありました」
「そうなんだ…」
「でもね、なんかモーニング入って、すごく変わりました。私自意識過剰だったなって。鞘師さんすごいもん」
「うちなんか…」
「そんなことないです。やっぱり鞘師さんすごい。だから…!」

バッと上げた顔は濡れていて、亜佑美ちゃんが泣いてたことが分かった。

――それがすごく嫌で。

泣かせてるのがうちだって分かってるから、余計嫌だった。

「泣かないで…」

思わず踏み出して、親指で涙を拭う。
30 名前:判決待ちからの…? 投稿日:2012/12/06(木) 16:58
「…鞘師さんはずるいです」
「ずるいって…」
「普通こんなこと…します?そんなんだから、私…」
「亜佑美ちゃん…」

「もぉ、なんっ…うっ…もっとわかんなくなるぅ…」
「なんで…?何がわからんの…?」
「ちゃんと言いたいのにぃ…」

そのまま亜佑美ちゃんは本格的に泣いてしまって。
うちはぽんぽんと背中を撫でるぐらいしか出来なかった。

ぼろぼろ流れてくる涙は、私の小さな親指では太刀打ちできなかった。


どれぐらい時間が経ったんだろう。
ようやく亜佑美ちゃんは落ち着いてきて。

「す、すいません…鞘師さん、も、大丈夫です」
「そう…?」
「はい…。すいませんホントに…」

うちは内心気が気じゃなかった。
判決の瞬間はこんなに怖いんだ。

「無理、しなくていいよ?」
「え?」
「だって、なんか、アレなんでしょ、こう…ほら、お断りだ、的な?」
「えっ」
「うちもほら、焦ってたし!あの、亜佑美ちゃんがメールでほら、嬉しかったっていうのは、なんていうの、うちを困らせないために言ってくれたってだけ…」

「違います!!!!」

突然の大きな声に、うちもびっくりしたけど亜佑美ちゃん自身が自分の声に驚いてたみたい。

「ご、ごめん…」
「私は、ホントに嬉しかったんです!鞘師さんが好きだって言ってくれて…」
「そう、なの…?」
「でも、鞘師さんと同じ気持ちなのか分からなくって、でも誰かと一緒にいる鞘師さん見てもやもやしてて…わかんないんです、まだ」
「そう…なんだ」

やばい。
なんだか嬉しいぞ、これは。
31 名前:判決待ちからの…? 投稿日:2012/12/06(木) 16:59
「もぉ…だから私どうしたらいいのか分かんないんです!ていうか!鞘師さんはどうしたいんですか!?」
「へぇっ!?」

2度目の大きな声と内容にこっちも素っ頓狂な声が出てしまった。
目に涙浮かべながら詰め寄ってくる亜佑美ちゃんにびっくりしつつも、なんだか嬉しい。

「ちょ、何笑ってんですかぁ」
「いやぁ…ンフフ」
「とにかく、鞘師さんはどうしたいんです?」

急に強気になった。
それもまた嬉しくて、口角が上がってしまう。
今のうちは相当気持ち悪いと思う。

「うちとしては…その、まぁなんというか…えーとだな、亜佑美ちゃんがよければ付き合いたいかなーと…」
「あ、はい…」

変な空気が流れる。

「な、なんか言ってよ」
「いやっ、あぁそうだったのか…と思って」
「何いってんの!だ、だって好きっ…だし…じゃけぇ付き合いたいって思うもん…」

語尾が小さくなってしまった。
ああ…もう、めっちゃ恥ずかしい!

「さ、鞘師さん照れてんですか?」
「照れてるっというか、恥ずかしい…」
「照れてんじゃないですか」
「こんなん照れるじゃろ!普通!」

なんかもう顔も熱くなってしまってるし、どうしよう。
うちがそんな中、亜佑美ちゃんは目を細めてにこっとしてて。

「よかった」
「…へ?」
「好きだけ言われて、私はどうしたらいいんだろうって思ってたんで…へへ」
32 名前:判決待ちからの…? 投稿日:2012/12/06(木) 16:59


――あ。

し、しまったああ!!
今そう言われて気づいた!

うち、好きしか言ってない!

「ごめん、亜佑美ちゃんごめんね!」
「えっ、何がですか?」
「いっぱい困らせたじゃろ?うち、好きだけしか言ってなかった…そのあとどうしたいとか何も言ってなかったね、ごめんね…」
「あはは、ホントですよ〜。鞘師さんは一言多いのに、肝心なときに一言足りないんですから」
「う、うぅ…何にも言えん…」

メンバーにも散々いじられたけど、ここで本格的に明るみになった上実感するはめになるとは…。

でもでも、とりあえずこれから付き合える…のかな?
ん?でもあれ?

「あ…亜佑美ちゃんは、どうしたいのか、聞いてなかった…」
「私ですか?…私は、鞘師さんがよければ。…いや、そうじゃないな」
「ん…」
「私でよければ、是非」
「そっ、それは、いいってことでいいの?」
「もちろん」

そう聞いた瞬間、全身に幸せが広がっていく気がした。

大好きな大好きな亜佑美ちゃんと付き合うことができるんだって。

「いひひっ、にひひひっ」
「何、鞘師さん気持ち悪い!」
「や、ちょっとひどい!嬉しさが笑いに出ちゃっただけだよ!」

そのあとよく分からないツボに入っちゃって、2人でめっちゃ笑い合った。
なんだかそれも楽しくて、嬉しくて。

もうホントひゃっっほーい♪( ´θ`)ノって感じだった。

嬉しい、嬉しい!

「あはは、やばい、超嬉しい今」
「それはよかった。…私も嬉しいですし」
33 名前:判決待ちからの…? 投稿日:2012/12/06(木) 16:59
あ。
そういえば唐突に思い出した。
聞かなきゃって思ってたんだ。

「ねえ亜佑美ちゃん」
「ん?何ですか?」
「しなきゃないってどういう意味?」
「あっ、あー、教えてなかったですね」
「どんな意味?」
「しなければいけないってことですよ。…あっ」
「ん?」

亜佑美ちゃんがニマニマし始めた。
こういうときはなんか狙ってるときの顔だ。
仕事中だと百発百中で滑るけど。

「ふふふ、鞘師さんは私を幸せにしなきゃないってことです。ハイ」
「おぉ。頑張る。ンフフ」
「また笑ってる!ウケる」
「ウケんでよ、そこは。幸せじゃろ?こういうの」
「そうですけどぉ」


そうやってじゃれあって、なんだかくすぐったい。
これが恋っていうのかな?
なんかすっごい恥ずかしいけど。

でもとにかく嬉しい。

もっともっと亜佑美ちゃんを好きになりたい。
好きになって欲しい。

だから頑張ろう。

まずは、もっとあなたのことを知ることから。


「ね、亜佑美ちゃんはうちのこと好き?」


「大好きですよ!」


…っっっ!!


ひゃっっほーい!!!( *´θ`)ノ

34 名前:高津 投稿日:2012/12/06(木) 17:02
更新です。
昨日更新するとかいって更新できず申し訳ありませんでした!
完全に予定は未定みたいな展開に…w

そしてそういえば、焼鳥つくね丼食べてきましたw
お肉とタレとごはんが合う合うーっ!でしたww

それにしてもいつものことながらタイトルのセンスがない…w
35 名前:センパイ×2+1 投稿日:2012/12/07(金) 23:38
「ねえちょっとれいな!!…あいたっ」
「なんね、そんなおっきい声だして」

勢い余ってドアに足ぶつけたぁ!
楽屋で野菜ジュースを飲んでるのは知ってたから走ってきちゃったけど…。

「今…さゆみすっごい恐ろしい話聞いちゃったんだけど…。やばい…超足痛い」
「何、もう?」

勿体ぶらないで早く言えみたいな顔してるし、声してる。

「なんか、りほりほが…」
「何、鞘師がなんしようと」
「りほりほ付き合ってる人いるんだってー!!!」
「はぁーー!?」

ガタンと椅子から立ち上がって、野菜ジュースをちょっと強く握っちゃったみたいで、うわうわこぼれた!とか言ってる。

「もー!さゆのせいよ?」
「気になるやろ?」
「なるけど!こぼした!さゆティッシュ!」
「あぁハイハイごめんね」

言われるがままにティッシュを取ってあげるさゆみ。
あぁ優しいなぁさゆみは。
ティッシュを渡されたれいなはちょっと不機嫌っぽくなってるけど。

「心がこもっとらんし、で?何、鞘師が誰と付き合っとーと?」
「フフフ」
「笑っとうし。てか何鞘師、モーニングの自覚あると?まだちょっと早くない?」
「まぁそんなに怒らんでもいいのよ」
「え?どゆこと?…あ、まさかまさか?」

れいなも察したみたいで、ニヤニヤし始めた。
まぁでも…話題的には面白いけど。
36 名前:センパイ×2+1 投稿日:2012/12/07(金) 23:39
「そうなんだよねー…グループ内恋愛です」
「アッハッハ、モーニングは外の恋愛禁止やけど、グループ内は別に禁止やないけんね」
「もぉーりほりほ取られたぁ!」
「アハハハ!超ウケる!誰、誰よ?」
「石田…」
「ヤバーイ!!ウケる!!」
「さゆみ的には超ショックなんですけどぉーーもう…マジでショック…さゆみのりほりほが…」
「別に鞘師もさゆのもんやないっちゃろうが」

冷静にツッコミを入れてくるれいな。
ツッコミはさゆみのポジションなのに!

もう色々頭が混乱してる。

「しかも石田っていう…」
「いいやん、元々あの2人仲よさそうやったっちゃろ」
「もぉー!やだー!あ、れいなお菓子ちょうだい」
「ほい。…まぁれーなはギスギスせんでくれれば、なんでもいいっちゃん」

れいなはこういうのはさらっと終わらせちゃう。
サバサバ系ってのはれいなのこと言うと思う。マジで。

基本れいなは自分に迷惑かけなければいいって感じだからなぁ…。
羨ましい。

それに比べてさゆみは真面目に嫉妬ですよ。もう。

「あぁもう!石田!ずるい!」

れいなはさゆみを見ながら呆れ半分。
いいですよー、さゆみはこういう役回りだもん…いつも。

「まぁでもさー、正直りほりほ見てたら石田のことよく見てたからね。分かるっちゃ分かる」
「おぉ、認めとうやん」
「だってさゆみりほりほのこと、ほんっと、すっごい見てるからね」
「キモっ」
「ちょっとキモいとかいわんで!かわいいから仕方ないやん!」
「さゆはちょっとストーカー入っとうよ」
「えー!?普通じゃない?かわいい子いたらちょっと写真を…ってならん?」
「ならん…」

また呆れられた。
最近絶対このパターン多いと思う。

さゆみはただかわいい子が好きなだけなのに!!
37 名前:センパイ×2+1 投稿日:2012/12/07(金) 23:40
「てかさゆ、その話って誰から聞いたと?」
「生田」
「へぇ〜」

れいなは意外〜みたいなことを言いながら、さゆみのお菓子をつまんでる。
もう、すごい食べてない?お菓子ばっかりだから大きくならないと思うの。
てかさゆみももっと貰おう。れいな食べすぎやし。

しかしさゆみのこの胸の動揺は抑えきれないわけで。
でも…

「……あーでもさゆみ見てるほうがいいかもしんない」
「そうなん?」
「なんか9期10期楽しそうって思っても、中に入らないで見てるほうがかわいいとか思わん?」
「それは分かる。あーなんていうとかいな…なんかワイワイしとうやん、いっつも。うるさーい!とか思うっちゃけど、なんかね、かわいい」
「じゃろー?」
「あ、れーなちょっとトイレ」
「はーい」

れいなの話の腰を折る能力は天下一品だと思う。
いいの、もう慣れたから。

もはやさゆみが許してくれると思ってるからの行動だと思うし、まぁ信頼してるし…というか別に怒ることじゃない。
そもそも嫌な気はしないし。



それにしても、りほりほが石田とねぇ…。

さゆみはここでこうやって10年ちょっと過ごしてきて、色んな人の恋路を目撃してきたわけで。
幸せそうなのも見てるし、ケンカも見てるし、泣いてるところも見てた。

ちょー現実的かもしれないけど、ホント、外への恋愛はご法度だし。
だからかもしれないし、そうじゃないかもしれないけど、このモーニングっていう場所はそういう人を惹きつけるのか、なんだか『そういう』子が多かった。

今怪しいのはフクちゃんかな。
あの子は本当にそういう子なんだと思う。
グループの雰囲気にあてられてるわけじゃない感じだし、そっと見てる感じがね。

さゆみ自身は…まぁ少し今は保留。
かわいい後輩を育て上げることの方が今は大事だし。
38 名前:センパイ×2+1 投稿日:2012/12/07(金) 23:41


"コンコン"


あ、誰か来た。

「どうぞー?」

れいなかな?

「失礼しまー…す」

……おお、ちょうどいいところにちょうどいい人がきましたよ。

「石田ぁ、ちょっとこっちきて」
「えっ、えっ…はい?」

ちょうどいい。
これぐらいは許してもらわないと困る。

と、前もって思いながら。


「さゆみのりほりほ取ったでしょ〜〜〜!!」
「えっ!?あっ…あのっ、えーっと、ごめんなさい!!」
「絶対許さなーーい!」
「ええぇー!?すいませんっ!ごめんなさぁい!…えっ、ちょっ、アハハハハハ!!やめっ!道重さんやめてください!!イヤアハハハハ!!!」
「このままくすぐり地獄だーー!」

ホント、これぐらいは許してもらわないと収まりがつかないんだから!

「何コレ?楽しそう!ウケる!アッハッハッハ」

トイレから帰ってきたれいなが何故かウケてるし。


「苦しっ、もぉーー道重さんやめてくださアハハハハ!!」


石田をくすぐりながら思う。

さゆみはみんなの幸せな顔が好きだよ。

だから、泣かせたら許さないの!


39 名前:高津 投稿日:2012/12/07(金) 23:43
更新です。

今更だけど、ソボクな疑問にて佐藤が鞘師さんってはっきり言っちゃってるとこありますねw
すいませんw
実際はしゃやしさんじゃなく、「しゃーしさん」に聞こえるときがあるのでそうしたかったんですが、
違う意味に聞こえるのでやめましたw

そして今回は嘘博多弁vs嘘山口弁(ちょっとだけ)でした。
難しいですw
脳内補完してくださると幸いですw
40 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/09(日) 23:26
いろんなメンバーの視点から2人の事が描かれている作品は、910期作品としてめずらしいですね!
大体、短編だと2人の間で終始してしまうので。
短編だけど繋がってる高津さんの作品は、続きがとても楽しみだったりします。
果たして他の9期メンバーはどの様に絡んでくるのでしょうか?2人の今後も気になりますw
さゆとれいなの会話は自分が北国育ちのせいもあり違和感なかったですヨ。
41 名前:決戦前インターバル 投稿日:2012/12/10(月) 23:01
お付き合いを始めて1週間。
それは突然訪れた。

「おっ、おとっ、お泊まりっ…」
「ど、うですかね?」
「おおぉ…」

出会ってもう1年も過ぎ、お付き合いして1週間。
お泊まりですか!

そして、我々はですね…実はキスもまだだったりするのです。
手を繋いだり、はぐはぐしたりするぐらいです。
至極健全なお付き合いをしております。

「おうちの人は?」
「いや、なんか仙台の実家に用事があるとかで、ちょっと週末戻るーっていう話らしく。私もたまには一人で過ごしてみなさいと」
「は、はーなるほど…」

い、いかん。
動揺している。

今まではなんとも思っていなかったであろうお泊り。
むしろ違う意味では楽しみだったと思う。
女の子同士でキャッキャッみたいな、今まではそういう意味では、うわー!楽しみ!早くお泊まりしたーい!

…とかなってたはずなんです。

はずなんですよ。

でもこれが、亜佑美ちゃんだけとのお泊りとなるとまた話は別。
お泊まりしたいしたいしたい!!という気持ちもだけど、それとは別にどうしようどうしようという動揺の方が大きい。

「なので、どうですかね?正直料理もするわけじゃないし…一人で過ごすっていっても、なんかねぇ?寂しいじゃないですかっ」
「それで、うち」
「ハイ」

亜佑美ちゃんのキラキラおめめが眩しい。
期待されてる。
うち期待されてる。
42 名前:決戦前インターバル 投稿日:2012/12/10(月) 23:01
「都合悪そうです?」
「いいいいいやっ、そんなことないっ!行く!行きます!」
「ホントですか!やった♪」

ちょっと顔がこわばり気味なうちとは対照的に、亜佑美ちゃんは嬉しそうだった。
うちはこんなに緊張しているというのに…。

「いっぱいお話しましょうね!」
「う、うんっ」

眩しい!眩しいよ亜佑美ちゃん!

「じゃあまた金曜の夜に!」
「分かった。楽しみにしてるね」
「ハイ!」

そう言って、亜佑美ちゃんは足取りも軽く去っていった。

「っ…はぁぁ……」

胸に溜まった熱を吐き出す。
いつもわりとドキドキしてるけど、こんなにもドキドキすることなんてあったかなって言うぐらい。

お泊りって。
さっきの亜佑美ちゃんから想像するに、あんまりたいしたことではないと思ってる…んじゃないかと思う。

だからこその自分の不健全さに嫌になる。
いや、本当に…別にどうってことはないんだと思う。きっと。

けれど、うちとしてはもう一歩先に進みたいというのも事実だった。

「りーほーちゃんっ♪」
「わあ!」

突撃されたのと声にびっくりして振り向くと、超ニコニコ顔のフクちゃんが後ろから抱きついてた。

「びっくりしたよ」
「ふふー。お泊まりですかぁ」
「えっ、ちょっと、聞いてたの!?」
「聞こえてきたんですぅ」

「聞こえてきたんですぅーー」
「里保ちゃんも隅に置けないね」

フクちゃんの後ろからは、えりぽんのニヤニヤ顔、香音ちゃんすらもニコニコしている顔が見える。
…勘弁して欲しい。
どうしてここの人たちは覗き見とか、そういうのが好きなんだろうか。
43 名前:決戦前インターバル 投稿日:2012/12/10(月) 23:02
「ていうか里保動揺しすぎやしね」
「聖もそれ思った!」
「そういえばそうだよね。あんまり里保ちゃん動揺って感じしないもんね」
「あー分かる。いつもクールな感じやけん、顔にあんまり出んよね」
「そうそうそう。ただ普段は、の話だよ。いやー、里保ちゃんも人並みに感情を表に出すんだよ…ふっふっふ」
「ねー!前とか聖いっぱい甘えてこられたもん。あ、里保ちゃんほっぺやわらかぁい♪」
「浮気や浮気!」
「こ、これは一大事ですよ!まさかの浮気事件勃発か!?」

好き勝手なこと言ってるし…。
ていうかフクちゃんに至ってはずっと抱きついてるから、その…色々と困ります。
でもそれを顔に出すほどうちもバカじゃない。

「浮気してないし。ていうかフクちゃんはもう離れて」
「里保ちゃん冷たぁい」
「つめたーい」
「クールだなぁ」

まったくもう。

「なんなんだ、キミたちはもう。うちはこれからレッスンで忙しいのです」
「これからレッスンなのは衣梨たちも一緒やん」
「そうだそうだー」
「里保ちゃん冷静さを失ってるね。顔が赤いぜ…」
「うっ…嘘だっ」
「里保さっきからほっぺた真っ赤よ?」
「嘘だぁぁ。うわぁああ」

ひー!恥ずかしい恥ずかしい!
なんてことだ…。

「ていうか、もう、あれだ、触れないで。動揺していたのは、認めます」
「おぉ」
「色々考えることがうちにはあるですよ。では、うちはトイレに行ってから行きますので」

もう半分おちゃらけた振りでもしてないとやってられない。
そのままシュタッとでも音が出そうな手振りをして、トイレにダッシュした。

後ろでえりぽんの、逃げた!という声が聞こえたけど知らない振りしてそのまま走った。
そして個室に飛び込んだ。
44 名前:決戦前インターバル 投稿日:2012/12/10(月) 23:02

…そもそもえりぽんがどこから嗅ぎつけたのか、道重さんに話を漏らしてしまったことが原因で大変なことになってしまった。
亜佑美ちゃんが、道重さんに襲われちゃった…とかなんかちょっと嬉しいんだかよく分からない顔をして戻ってきたときには…。

あの時は本当に驚いた。
思わずうちもダッシュで道重さんの元に行ったものの、抱きつかれて…りほりほと連呼されて、お嫁に行かないでーとかわけの分からないことになってしまった。
横にいた田中さんが、鞘師困っとうやんと言ってくれなかったら大変だったと思う。
田中さんには頭が上がらない。
今度お菓子とサイダーでも差し入れしようと思う。

もうメンバー内公認の中になったのは、隠すこともなくなったからいいとは思うけど…やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。
たまにくどぅーとかに亜佑美ちゃんも囃されて、コラーッ!とか言ってるのを見る。

とりあえずそっとしておいてくれ…。

いろんなことを考えつつ、携帯を見たらもうそろそろ始まる時間だった。


ちなみに、この日のレッスンは半分上の空、半分集中できたという、中途半端な感じで終わってしまった。
最悪だ…。


45 名前:決戦前インターバル 投稿日:2012/12/10(月) 23:03



――それから2日過ぎて。


いよいよ、決戦の金曜日。

ただでさえ大きいうちのバッグは荷物パンパンで、その上もう1つバッグが追加されていた。
えりぽんには、里保気合入っとうねとニヤニヤされた上、あぁー!衣梨奈も新垣さんの家にお泊りしたいいい!とか言い出して、フクちゃんを困らせていた。
そうだそうだ。えりぽんはあのままフクちゃんに怒られればいいんだ。

「鞘師さんすごいっスね」
「へ?何が?」
「荷物」

レッスン終わりにぼやーっとしてたうちに、くどぅーが話しかけてくる。
そしてそのままうちの隣に座って、荷物置き場を指差した。

「あぁー」
「一泊の荷物じゃないっスよ」
「いいのっ。使うものちゃんと入ってるんだから」
「なんか、よかったですよね。ホント」

図星を指されて、うっとなってたうちの気分を変えるように話を切り替えられた。

「なに?」
「いや、なんていうんですかね。うちのあゆみんさん、すごい嬉しそうでしたよ。なんか、鞘師さんが今日泊まりに来るの!とか言って」
「そ、そうかー」
「あゆみんって結構分かりやすいんですけど、今日はいつも以上にピョンピョンしてますもん」

ついていけねーっスよ、と言いながらくどぅーは笑った。
46 名前:決戦前インターバル 投稿日:2012/12/10(月) 23:03
「なんかあゆみんだけじゃないけど、10期のみんなが楽しそうだとハルも嬉しいし。なはは」
「そっか…ま、うちもそうかな?」
「9期のみなさんっスか?」
「そそ」
「ですよね。……ま、あれですよ。ありがとうございますってことです。鞘師さんに」
「なんでどぅーがお礼言うのさ」
「いいんスよ、そこは!…てな感じなんで!じゃ!」

返事もする間もなくくどぅーは行ってしまった。

…そっか、嬉しそうだったか。

ニヤけが抑えられない。
隠すために頬に手を当てるけど、なかなか解消してくれない。

もう着替え終わった。
あとは決戦場に挑むのみ。

そしてその決戦の始まりは……

「あ、鞘師さん準備万端ですよ!」
「あ、うん」

この人の一声からだった。

レッスン終わりに顔を洗ってきたとはいえ、上気したちょっと赤いほっぺに釘付けになってしまう。

…いかんいかん。
うちはいそいそと、でっかいバッグを2つ持って亜佑美ちゃんのもとに向かった。
47 名前:決戦前インターバル 投稿日:2012/12/10(月) 23:04


「うわさむっ」
「ホントですね」

この時期って夜は本当に寒い。
うちは広島モンじゃし、東京の冷たい風にはなかなか慣れない。

「そう言いながら亜佑美ちゃんあんま寒そうじゃないけど」
「いやぁ…まぁこんぐらいは許容範囲内かなって。一応東北出身なもんで」
「あ、そっか。きっともっと寒いよね」
「そうですよ。雪はあんまり降らないですけど、仙台」
「あ、そうなんだ。東北ってどこも雪降るのかと思ってた」
「日本海側じゃない…えーっと、あれだ、太平洋側はあんまり降らないみたいです。まぁ山とかは降りますけどね」
「へぇー勉強になる」
「ふっふっふ」

亜佑美ちゃんはドヤァとばかりに、口元を手で押さえて笑った。
そして押さえてる反対側の手は、うちの右手と繋がってた。

それがすごく嬉しくて。
楽しくて。
指先は少し冷たいけれど、内側がすごくあったかい気がした。

無言の時間は続くものの、足は止まらない。
ふと亜佑美ちゃんの横顔を見ると、ほぅ…と白い息を吐き出してる。
なんかすごく絵になってた。

亜佑美ちゃんは横顔がすごく綺麗。
もちろん正面から見たって美人なんだけど、すごく、なんというか…。
横顔に心臓を持っていかれそうになる。


「ん?」
「イヤイヤ」
「今すっごい見てませんでした?」
「見てないよぉ。イヒヒ」
「嘘だぁ」
「ンフフ、見てた見てた」
「どうしたんですか?」
「いや、なんとなく。…かわいいなって」

亜佑美ちゃんは、口をイーッとしたあと、照れるからやめてくださいよと言って俯いてしまった。

「事実を言ったまでだ。ンフフ」
「もぉー」

そんなことを言いながら、強く手を握ってきてくれて。
気持ちが伝わってる気がしてすごく嬉しかった。


亜佑美ちゃんがもうすぐですね!とか楽しそうに教えてくれる。

――もうすぐ着く。
うちの緊張は跳ね上がるばかり。


今日はうち、一体どうなってしまうんだろう。

48 名前:高津 投稿日:2012/12/10(月) 23:07
更新です!
切り方間違えてしまった…w

>>40
普段は二人完結型で書くタイプなのですが、スタイルを変えてみようと今の形になりました。
長編は苦手分野なので、今後もこんな感じになると思います。
他の9期の子はようやく出したのですが、今後もうちょい出てくる予定ですw
あと、方言ですが自分も北国育ちなのでどっちかというと佐藤のとこの方が得意ですw
違和感なく見えたようでなによりですw
49 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/13(木) 00:04
続きが気になりすぎる!
メンバーのしゃべり方が自然で、話に入りやすくていいですね。
自分も910期で飼育に帰ってきたので仲間がいてうれしいですw
50 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/13(木) 17:01
今1番楽しみにしている小説です。
51 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:21
「あ」

そういえば、と思い足を止めた。

「ん?」
「あ、すいません、よく考えたら料理できるわけじゃないし…何か買っていかないと」
「そっか、そうだよね。何がいいかな?」
「コンビニとかでいいです?」
「だいじょぶ」

家の近くにコンビニあるし、そこで買おうと思い少しだけ方向転換。

こういうとき生田さんはすごいなーと思う。
前に料理するって話してたし。
私も料理できるようになりたいなぁ。

そんなことを考えていると、緑色のコンビニが見えて、中に入る。
暖房がきいてたみたいで、結構あったかい。

「あーっ、あったかい!」
「ホントだ」
「何買います?」
「うちあったかいものがいいなー」

本棚からぐるーっと回ろうとしたら、鞘師さんがUターンした。

「おでんとかですか?」
「んー。きになる」
「おでんお腹溜まります?」
「あー、そっか…うーん」

そう。
よく考えたら鞘師さんよく食べるんだよね。
もぐもぐしてる姿は小動物みたいでかわいいし。

「ふふ」
「えっ、何で笑ったの今」
「いやぁ、ちょっと思い出し笑いです。スイマセン」
「むー」

鞘師さんはほっぺを膨らませて拗ねモード。
うーん。かわいい。

「おでん私が買いますよ。一緒に食べましょ?」
「ホントっ?やったー。じゃあうちはお腹に溜まりそうなのにしよー」

そういうとピョコピョコとおにぎりの売り場に歩いていった。
52 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:22
なんか鞘師さんが歩くと謎の効果音が鳴る気がする。
あくまでも気がするだけだけど。

なんだか鞘師さんがかわいくて、少しキュンとなる。
こんなとき14歳らしいなと思ってしまう。

普段の鞘師さんは、二面性を使い分けてる…らしい。
私から見てもそんな気がする。

クールで真面目な部分と、甘えん坊の部分。
付き合ってからは二人っきりになると、甘えん坊の方に切り替わるんだよね。
それもわかりやすいぐらいに。

そんなことを考えていると、おでんを選んでた私に、おにぎりを持った鞘師さんが声をかけてきた。

「亜佑美ちゃんおでん何にするの?」
「んー、だいこんと…」
「うちはんぺん!」
「はんぺんですね、あとは?」
「ちくわとね、たまご」
「はーい。私はあとつくねとさつま揚げにしようかな」
「んふー。やったっ」

むしろ、年相応よりは幼く見えてしまう。
私は老け顔だから、ある意味羨ましい。

「飲み物どうしよかな」
「サイダー買ってありますよ」
「ホントぉ!?…あ、やばおっきい声出しちゃった…」

コンビニでちょっと騒いでしまって、焦る鞘師さん。
53 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:22
じゃあもうお会計しましょうってなって、レジに向かう。
なんだか鞘師さんが後ろに並んでる。

「あ、鞘師さん出しても大丈夫ですよ。お母さんからお金貰ってきたんで、私」
「えっ、悪いよ」
「大丈夫です!泊まりにくるからって言ったら、夕飯買いなさいって渡されてるんですよ」
「あ、そうなんだ。じゃ、じゃあお言葉に甘えて」

そっとおにぎりセットを置く鞘師さんにちょっと笑いかけて、そのままお会計。
お会計終わりに振り向いたら、鞘師さんが微妙な顔をしてる。

自動ドアから出て、声をかけてみる。

「どうしました?」
「や、どうもせんよ?大丈夫大丈夫」
「そうです?まいっか。じゃあ行きましょう」

こくんと頷いて、持つよと言ってくれる。
じゃあ、とおにぎりのほうだけ渡す。

「おにぎりだけじゃん!」
「だって均等に分かれてないですもん」
「そうじゃけどー」

と言ってる鞘師さんの右手を取って歩き出す。
ぴくっと跳ねる鞘師さんがかわいくて、ついふきだしてしまった。

「なんで笑うんかいねー、もぉー」
「鞘師さんがかわいくて」
「うぅ」

喋らなくなってしまった鞘師さんを連れて、家まで向かうことにした。

そして本当に鞘師さんは家に着くまで、たまにうーとか言って頭をふるふるするだけであんまり喋ってくれなかった。
54 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:22
「じゃじゃーん!到着です!」
「おー、お、お邪魔します…」
「どうぞどうぞ!」

鞘師さんは靴を脱ぎながらきょろきょろしてる。
私はいつもどおりぱっぱと靴を脱いでリビングの電気を付けに行った。

遅れて鞘師さんがぱたぱたとやってくる。

「ただいまーって誰もいないけど!」
「うちがおるよ。ふひひっ」
「そうだった!鞘師さんただいまー」
「亜佑美ちゃんおかえりー」

そんなやりとりをして二人で顔を見合わせて笑った。

「鞘師さんが来るから綺麗にしたんですよ〜」
「ありがとう…」

そういってはにかんだ表情を見せてくれた。

とりあえず家に着いたからには手洗いうがいが石田家の鉄則。
鞘師さんを洗面所に促して、順番こに手洗いうがい。

アイドルは喉大事ですから。うん。

「おでん冷めちゃうし、食べちゃいましょう」
「そだね」

リビングに戻った私たちは、テレビをつけて手を合わせていただきますをした。
それからは他愛ない話をしつつ、鞘師さんはおにぎりセットを食べながら、しっかりおでんも食べてた。
もちろんサイダーもしゅわしゅわぽんしながら。

しかし、本当に鞘師さんは太らないし食べたものはどこにいっちゃってるんだろう…。

「なんか足りないなぁ…」
「亜佑美ちゃんおでんしか食べてないもんね」
「パンとかあったかな…。ちょっと探してきます」
「うん」

探す前に、お風呂入れておこう。
掃除はお母さんがしてくれてるはずだから。
自動で止まる仕組みとかホントすごい。とりあえず終わったらピーピー鳴るはずだから。

そしてそのあとお菓子カゴの中身を漁ったら、パンはなかったけどホームパイが2袋見つかった。
…ないよりましか。
55 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:23
「鞘師さんホームパイしかなかったぁ」
「えっ!?あっ、ホント…」
「どうしたんですか、そんなびっくりして」
「いやぁ…なんか、よそん家は緊張して…」

なんて言いながら、おふふぅーとか言いながら膝を両手でなでなでしつつ正座している鞘師さん。
たまに思うけど、鞘師さんって変な擬音出てるよね。
それもおもしろかわいいんだけどさ。

「んっ、ホームパイおいしいな」
「うちも1個欲しいなー」
「どうぞー」
「ンフフ、うまい」
「それはよかった」

食事とおやつが終了して、ほっと一息。
だらだらとテレビを見ながら時間が9時を過ぎているのに気づく。
テレビでピーピーいってたの気づかなかったかも。
確認しに洗面所に向かったら、ちゃんとお風呂張れてた。

「鞘師さんお風呂入ります?」
「あ、うん。じゃあお借りしてもいいのかな」
「大丈夫ですよー」
「えっと、着替えとタオル出さないと」
「タオルなら貸したのにー」
「なんか悪くて…。持ってきちゃった」

別に気にしなくていいのになぁ。
鞘師さんは妙なところで律儀だ。

それがなんだか面白くて、ついついからかいたくなってしまい…

「あ、そうだ。一緒に入ります?」
「…ほ、え?お風呂?一緒に?……え、あ、は、入らんよっ!!」
「あはははは、冗談です」
「もぉー!お風呂借りるっ!」

そう言って、洗面所に飛び込んでいった。
と思ったら…

「亜佑美ちゃん、お湯…って捻れば出るよね…?」
「出ます出ます」
「……ありがと」

こんな感じで、1人になってから笑ってしまった。
56 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:23
今更思うけど、なんだかすごくこういう時間が楽しい気がする。

最近は本当に2人のときは、クールな鞘師さんは身を潜めている感じで。
そうだからなのか、レッスンのときはあまり近づいてこない。
本当にプライベートと仕事を分けようっていう、鞘師さんらしさがすごく出てる気がした。

…まぁそれはそれで、私的にはちょっと寂しくもあるけど。

てかやばい。
食べたから眠くなってきた。

眠い、寝たらダメ、眠いを繰り返していたら、どれぐらい時間が経っただろう。
洗面所のドアが開く音がした。

「お風呂頂きましたぁ」
「おかえりなさーい。…ふあぁ」
「寝てた?」
「寝てはいないんですけど、ちょっと眠かったです」
「早く入ったほうがいいよ、冷めちゃうし」
「ですね。じゃちょっといってきますねー」
「うん」

眠すぎて洗面所に入って気づいた。

「パンツ忘れた!」
「びっくりした…」
「すいません、パンツで驚かせて」
「だ、大丈夫。パンツはちゃんと持っていってください…」
「はーい。じゃっ、またあとでー」

鞘師さん微妙な顔してた。
大声でパンツはやはりダメだったか…。

ここは私んちだけど、家にいるのと変わんない感じでやってしまった…。
変な子だと思わなかったかな。

ま、まぁでもいいよね!ギャグだし!ギャグギャグ!

とりあえずそんなことを考えながら、シャワーを浴びた。
57 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:23
58 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:23
59 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:23
 
60 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:24
「はぁぁぁぁぁ…」

ようやくお風呂に入ってくれた。
うちの緊張は収まることがなく、常にバクバクしている。

…ってことに、亜佑美ちゃんは気づいてるのかな。

気づいてないだろうな…。

お風呂一緒に入る?にはもうホント心底焦った。
確かにメンバーとは温泉に入ったりとかしてるけど…それとこれとはまた別なのだ。
亜佑美ちゃんと一緒のタイミングにはできるだけ見ないようにしてたし、とにかく他のメンバーとおしゃべりして誤魔化したかった。

そしてさっきのパンツ。
亜佑美ちゃんは本当に分かってるんだろうか。

「分かってねぇーーー…!」

付き合ってもまったく意識されてない気がしてならない。

そもそも亜佑美ちゃんはうちのこと好き?
でも大好きって言ってくれたよね?
でもでも、最初はわかんなかったみたいなこと言ってなかったっけ?

そんなことがぐるぐる頭の中を回る。

「だっ、だめだ」

こんなことを考えててはどんどん沈んでしまう。
もっと距離を詰めることを考えよう。

まだ付き合って1週間。
分からないことだってたくさんある。

どんどん知っていけばいいんだ。
61 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:24
「よしっ」

気合を入れたところで、目に入ったのは飾られてた写真。

「あ…」

みんなで撮った集合写真。
新垣さんもいる。
いつだっけこれ、ウルトラスマートの前かな?
たぶんライブ前にプライベート的な感じで撮ったやつだったはず。

そういえばこの写真、センターがうちと亜佑美ちゃんだった。
このときは大変だったなぁ。

隣が亜佑美ちゃんだから内心すごいドキドキして、うちはちょっと微妙な顔で写真に写ってる。

亜佑美ちゃんかわいいなぁ…。
写真で見てもかわいい。
実物はもっとかわいい。

そしてここは改めて思えば亜佑美ちゃんの家…。

さっきからずーっと緊張してる。ホントに。
いつになったらこれが治まってくれるのか。

いや、むしろ今が一番落ち着いてるかもしれん。

よし、頑張ろう頑張ろう。
うちは今日頑張るんだ。
今決めた。うん。
62 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:24
 
63 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:24
64 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:24
 
65 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:25
「何ガッツポーズしてるんですか?」
「うわぁ!?」
「アハハ、びっくりしすぎですよ!」
「お、おぉごめん…気づかなかった」

人が正座で飛び上がるのをはじめてみた。
いや、そこまで飛び上がってはいないけど、ビクッとなった鞘師さんを見るのはちょっと面白かった。

「お風呂上がりましたー」
「お疲れ様でした」
「いいえこちらこそ?」
「フフフ」

なんだかんだしてたので10時を過ぎてしまった。
女子のお風呂は長いから仕方ない。うん。
ちょっと早いけどいっぱい話そうって言ったし、もうお布団入ろうかな?

「鞘師さん、今布団敷いてきますね!」
「えっ、お布団?」
「はい、私のを敷いてこようかと…」
「うちは?」
「鞘師さんは私のベッドで寝てください」
「えーーーっ、ダメだよ!あ…あー…悪いよ!!」
「でもお客さんだし…」

どうしよう。
布団2つもあったっけ?

「えっと、じゃああれです。布団もう1つあるか見てきますね!」
「えっ」

と同時に、両親の寝室に向かおうとした私のパジャマが引っ張られる感覚。

「ど、どうしました?」
「えーっと」
「あの、布団…」
「いや、あのっ、あのねっ」
「は、はい?」
「あのっ…あのだな…」
「はい…」
「あっ、亜佑美ちゃんがよければ、あの、うちと一緒に寝て…ください…布団は、いいので」
「えっ!」

あっ、あー…そういう手もあったか。
なるほど。
66 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:25
「鞘師さんがいいなら!私は大丈夫ですよ?ちょっと狭いかもしれませんけど」
「いいっ、全然大丈夫!うちは平気。何も問題ないです」
「おぅ、そうですか。じゃあ部屋行きましょ?」
「の前にうち、歯磨きしたい」
「あ、私も」

部屋に向かう前に忘れてた歯磨きをしに洗面所へ。
そのあとすぐに自分の部屋に向かった。

「おぉ、これが亜佑美ちゃんの部屋…」
「リビングと違ってあんま綺麗じゃないですけどねー」
「全然大丈夫だよ!うちもっと汚い…」
「鞘師さん片付け苦手って言ってましたよね、どっかで」
「うん…」

鞘師さんはまたきょろきょろ。
特別面白いものなんてない気がするけどなぁ。

「お布団入っちゃいましょ?中のほうがあったかいですよ!私お風呂上がりだし」
「う、うん」

お先にどうぞと鞘師さんを壁際にすすめる。
続いて私も。

「わ!やっぱちょっとひやいね」
「ひやい?」
「あ、冷たい。ニヒヒ」
「じゃあ私が暖めてあげますよー!」
「わあ!」

布団の中で抱きついたら、急に大人しくなってしまった。

「鞘師さん?」
「………」
「どうしました?」

なんか、難しい顔をしてる。
67 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:26
「……亜佑美ちゃんは、気づいてない?」
「えっと…なんでしょう…」
「気づいてない」
「あの…」
「うち…ずっとドキドキしてた。亜佑美ちゃんがお泊まりって言ってくれたときから」
「あ、はい…」
「でも、亜佑美ちゃんはそうでもなくって、うちは、さっきお風呂一緒にとか言われて、すごい緊張して、冗談って分かっても、バクバクして」


あ…。


「今だって、すごい、もう…なんてーのかな…どうしようもなくドキドキしてる」

「だから、気づいてない、亜佑美ちゃんは全然。うちが、こんなに大変なのに」


潤んだ目でじっと見つめられて。

すごくすごく近い距離で、鞘師さんは私を見つめてた。


「うちばっかりが、期待してたみたいで…なんか、もう…わからん」
「ご、ごめんなさい…」
「別に謝って欲しくてとか…そういうことじゃないんよ」
「はい…」
「うちのこと、もっと見て欲しい。うちがこんなに亜佑美ちゃんのこと好きって分かって欲しいんよ!」


一瞬何が起こったのか分からなかった。

――瞬きをしたら、私の上に鞘師さんがいた。


「じゃけぇ、うちは…今、亜佑美ちゃんと一歩先に進みたい」
「さ、やしさん…」



「キス、したい」



68 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:26


私はなんてことをしてたんだろうと思った。
今こうやって鞘師さんが普段しないようなことをしてる。

むしろ、布団に一緒に入りたいって言われたときに気づくべきだったんだ。

…私はバカだ。
鞘師さんのこと、全然考えられてなかった。


「ごっ…ごめんなさい…」
「ごめん言われても、それでもうちは亜佑美ちゃんと…!」
「ちがっ、違うんです!」
「えっ…」
「あの、私…全然鞘師さんのこと考えられてなくって…すごい、ダメだなって…」
「ん…」
「だから、あの…ごめんなさい…」

涙が出て止まらない。
自分の無神経さに腹が立つ。
こんなことをさせることになるまで気づかなかったなんて。

いつのまにか鞘師さんは私の隣に戻っていて、私の涙を拭ってくれて。

…これで2度目だ。鞘師さんに涙を拭って貰うのは。

何故だか安心してしまう。

そしてドキドキもしてしまう。


今更言って呆れられないかな?
嘘だって思われないかな?


でも今言わなきゃ、私はもっとダメな子になる。

だから――

69 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:27
「鞘師さん」
「ん…?」
「今、すごい…あの、ドキドキしてます。今更…って思うかもしれませんけど、嘘じゃないです」
「そっ…か」
「だから、ホントに…ごめんなさい」
「いいよ」

鞘師さんがふわっと笑って、まだ零れ落ちる涙を親指で優しく拭ってくれる。

ああ…。
これがきっと好きってことなんだ。

漠然としか分かってなかった。

今この胸に広がるじわじわした思いが熱に変わっていく。



「私、鞘師さんが好きです」



分かってなかった自分が恥ずかしい。
フツーの好きを恋と勘違いしてた。

あのときの大好きは…恥ずかしいぐらいにバカだった。


「亜佑美ちゃん…」
「今の、好きがホントの好きです」
「っふふ、今までのは嘘じゃったん」
「嘘、ではないですけど…今ならホントって言えるのはホントです」
「何それー」

そう言って鞘師さんは笑ってくれた。
だから、鞘師さんの手を取って自分の胸に当てた。

「ちょっ」
「分かります?今、すごいドキドキしてるんです」
70 名前:take a step 投稿日:2012/12/14(金) 23:27
そう。

ドキドキが治まらない。
熱が引かない。
顔が熱い。

「…亜佑美ちゃんはやっぱりわかっとらん」
「え?」
「いいの?うち、触っちゃってるよ?」

今度は困ったように笑う鞘師さん。
触ってる…?

「あ!」
「ふふ、役得だった」
「もぉ…」


どちらともなく、手を下ろして繋いだ。
そこから熱が体中に広がるみたいになる。

今、気づいたけど鞘師さんとこんなに至近距離なことあったかな。
そう思うと余計ドキドキしてきた。


「キス、してもいいのかな」


「……して、ください」


「じゃあ、遠慮なく」


ふっと鞘師さんが笑って。
私も目を瞑る。

唇に慣れない感触。

柔らかくて、なんだか気持ちのいい感覚。

あぁ、これがキスなんだ。


何度も何度も鞘師さんが唇を合わせてくる。

もう、私もなんだか分からなくなりそう。

キスってこんなに気持ちよかったんだ。


そんなことを考えながら。



――私たちは今日、一歩先に進んだ。



71 名前:高津 投稿日:2012/12/14(金) 23:31
更新です。

なんかリハビリかねてとか最初に書いてるだけに、本当に色々ダメな点が目立つ感じで申し訳ないです…w
ようやく一息つきましたw

>>49
ありがとうございます!
別の方にもレスしましたが、なるべくそれっぽく書くように心がけてるので本当に嬉しいですw
9期10期には謎の魅力がありますよね!

>>50
ありがとうございます。すごく嬉しいですw
72 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/16(日) 00:12
すれ違いというほどでもない青春な二人の行ったり来たりが実にかわいらしい!
今やお姉さん組になってしまった6期やまわりをうろちょろする9期・10期もそれっぽくて読んでいて実に楽しいです。

一歩先に進んだ二人とその周りの今後、期待しております。
73 名前:スズキカノンの憂鬱 投稿日:2012/12/19(水) 02:33


「鞘師さん大丈夫ですかー?」
「亜佑美ちゃん大丈夫だよー。もちょっと強く押してー」
「はーい」
「んふー、ちょうどいいちょうどいい♪」


むせ返るような光景が目の前…だけどちょっと遠くで繰り広げられている。
すっごいピンク色の空気が見える見える。

いや、特別なことをしてるわけじゃないんだ。
ただ、普通にストレッチしてるだけ。
喋ってることも普通だしね。

けど、けどですね。
あたしにはなんとも刺激が強い。

この!甘ったるい空気!!!
そして片方の甘ったるい声!!

いやぁ〜、うまくいけばいいと煽っておいてなんだけど。
こんなにまで2人の距離が接近するとは思わず。

「はぁ…」

横目で見て溜め息も出るってーの。

「香音ちゃん、さっきから溜め息ばっかりやね」
「溜め息もでますよね!フツーにね、あんなの見せられたらさぁ…」
「まぁ分かるけどさぁ。里保があんな表に出すようになってしまうとは…衣梨奈も思ってなかったと」

里保ちゃんの名前のとこのボリュームを絞りながら、えりちゃんも苦笑い。
そうだよね、あたしもそう思うわ。
74 名前:スズキカノンの憂鬱 投稿日:2012/12/19(水) 02:34
「いや、ガチでさ…里保ちゃんってこんなんだったっけ。主に里保ちゃんからまずいオーラが出てるよ、確実に」

声の音量をぐっと落としてえりちゃんに話しかけた。

「いやぁ、どうやろね。ホントは里保も甘えたいキャラやと思うけん、なんていうとかいな、亜佑美ちゃんがきっかけで表に出よったのかもねぇ」
「みんな気にならないのかな?」
「どうやろね、衣梨は…まぁいいかなと思うっちゃけど」
「えりちゃん寛大だなぁ」
「衣梨、人のこと言えんからね。ンフフフ」

ちょっと分からないけど、新垣さんのことを言ってるのかな?

まぁでも鬱陶しいとは思うけど、否定してるというわけではないんだ。
里保ちゃんのことね。

裏では結構子供っぽいところをあたしにだけ見せてくれてたからなぁ。

「…ヤキモチかな」
「ん?」
「いや、なんでもないなんでもない」
「香音ちゃんが?」
「ったく…聞こえてるんじゃん」
「ンフフ、まぁまぁ。まーねぇ、里保がこっそり甘えられるのは香音ちゃんだけやったからね」
「ま、まーね」

意外とえりちゃんって鋭い?
KYKYって言ってたけど、もしかしたら狙ってるのか?

…いやそんなはずはない。
こういう面もあるんだと思っておこう。

「里保のねー、あんなにトロットロになってるの初めて見たとよ、衣梨」
「トロットロって」
「里保ってさぁ、顔とかはなんか子供っぽい感じやん」
「うん」
「でもさ、里保って中身がビシッとしとぉやん」
「そうだね」
「あれよ、ギャップがあったとよ、今までは」
「はぁー、なるほどね。それが中身と外見が合った、みたいな?」
「そうそう、それを言いたかった!プラス、亜佑美ちゃんにメロメロでトロットロやけん、すごいことになっとぉ。見てみ?今」

ちょいちょいと指さされて見た先は…。
75 名前:スズキカノンの憂鬱 投稿日:2012/12/19(水) 02:34
「やだっ、ちょっと鞘師さん変なとこ触らないでくださいよもぉ」
「ごめ、間違っ…イヒヒ、ごめんごめん」
「もぉー」
「イヒヒヒ」

もう、なんなんだあの空気。
ピンクはピンクでもホットピンクだよあれは。
聖ちゃんも真っ青だよ!

「はい…もう無理です」
「完全に2人の空気やね。そのまま道重さんに目線移動して香音ちゃん」
「見たくない怖い」
「目が死んでるとよ、道重さん」

「コラァ生田聞こえてるよ!!」

「ンフフ、すいませぇん!」
「もぉーーー!鈴木も!!」
「スイマセンスイマセンッ」

うちらのすぐそばでストレッチしてた道重さんがツッコミを入れてきた。
やっぱえりちゃん空気読まない。

ちょっと他のみんなが何何、みたいな顔で見てきちゃったし。
あやうく当のご本人様たちにもバレるとこだったので、適当に笑って誤魔化した。

そして流れでつい言ってしまったあたしも空気読めてなかった…。
…そしていつまでこの空気が続くんだろう。

「ま、しばらくすれば収まると思うっちゃけどね、あまり鬱陶しいとれーなが言うから大丈夫」

なんて道重さんとペアの田中さんが言ってくれたので、ほっとした。

「れいなホント変わったよね…」
「なんもう、さゆは最近そればっかっちゃん」
「佐藤様様だよホントー」
「もぉー、さゆうるさい」

照れた田中さんはかわいいと思いました。
でも、

「あれが石田も一緒になってピンクい空気にしとったら、れーなもソッコー言っとぉけど」

と、真顔で仰ってました。
つくづく先輩は怒らせるものではないと学びました。ハイ。

その流れで先生がパンパンと終わりの合図をしたので、ストレッチ終了。イコールレッスンも終了。
76 名前:スズキカノンの憂鬱 投稿日:2012/12/19(水) 02:34
そしてレッスン終わりにも洗面でイチャイチャイチャイチャ…
隣で顔洗ってたあたしは…

「うおおおおおお!」

バシャバシャバシャバシャ!!!
勢いよく水で顔を洗った。もうここぞとばかりに。

「うわぁ!香音ちゃんどうしたの!?」
「鈴木さん大丈夫ですか!?」

亜佑美ちゃん何気に失礼。

「ごめん、タオルとって」
「あ、ハイ。どうぞ」

タオルで顔を拭いて覚悟を決めた。
どうしてもどうしても言いたかった一言を2人にぶつけることにした。

「お2人さんよ」
「ん?」
「はい?」
「な、仲良くするのもいいですが、あーーーー、もうちょっと…周り見てくれ。耐えられん…」

田中さんには申し訳ないけど、言ってしまいました。

「えっ、あ、ご、ごめん」
「気をつけます…」

2人とも顔を真っ赤にしての謝罪を頂戴した。

「じゃ、おつかれ!」



後ろから、鞘師さんが悪いんですよ!と責める声が聞こえた。
そして、ごめんよごめんよと謝る声も聞こえた。

そうそう、言ってくれたまえよ。
亜佑美ちゃんが里保ちゃんの手綱を握っているのだよ。

そして何故あたしまで恥ずかしくなってるんだ!
もう、ちゃんと、ちゃんとしてくれとにかく!
こっちは家でまたお菓子食べちゃいそうだよ…。

……あたしが一番ちゃんとしてないってか。

はーあ…参ったなぁもう。

好きな人を取られた気持ちってこんなんなのか?
ホント、ヤキモチってこんな感じなのかもしれない、とひっそりと思った。

もちろん、里保ちゃんは亜佑美ちゃんと幸せになって欲しいと思ってるので、別に恋心とかじゃない。


「友情にも、あるんだなぁこういうのって…」


そうつぶやいて、後ろから聞こえてくる声に耳を傾けながら荷物置き場に向かった。
77 名前:高津 投稿日:2012/12/19(水) 02:37
更新です。

今しがた今まで書いたSSのテキストが全部吹っ飛んで、どうしようか本気で焦っていますw
いや、書いた分は全部アップしてるので大丈夫といえば大丈夫なのですが…。
書き溜めとかなくてほっとしました…。

>>72
微妙な感じを出したかったんですよねw
若さゆえのかわいさとズレみたいなw

お姉さん組かぁ…6期もそうなってしまったんですよね、と実感ですw
78 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/20(木) 00:37
娘。の曲の男友達を思いだしましたー
つんくさんが親友まことさんが結婚する時に作った曲ですが、
りほかのも大人になっても、ずーっとそこに居るのが当たり前の関係であって欲しいですね。
79 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/20(木) 00:46
りほかのいいですね
このスレの鞘石以外のメンバーの話も読んでて楽しいです。
続きも楽しみにしてます。
80 名前:小ネタ 投稿日:2012/12/20(木) 23:49
ノリ*´ー´リ.o0(今日こそ調べるけぇ)

ぐぐる[女の子同士]

ノリ*´ー´リ<わぁぁー…わぁー…
ノリ*´ー´リ.o0(いっぱい出てきた…)
ノリ*´ー´リ<どうしよどうしよ
ノリ*´ー´リ.o0(これにしよかな…)
ノリ*´ー´リ<女の子同士でエッ…よくするんですか…

ノリ*´ー´リ<どうやってするんじゃろ(興味津々

ノリ;´ー´リ<胸をも……な、なるほど…他は?………なっ、なめ…!!
ノリ*´ー´リ<こっちはどうじゃろ…女の子同士の画像くだs…
ノリ*´ー´リ<こ、これはいかん!刺激が強い!

画面伏せる

ノリ;´ー´リ.o0(こんなこと考えてるのきっとうちだけだ…)
ノリ*´ー´リ<ハァー…

ポワッ♪

ノリ*´ー´リ !!
ノリ*´ー´リ<亜佑美ちゃん♪

『鞘師さん今何してましたー?』

ノリ;´ー´リ<おおぅ
ノリ*´ー´リ<勉強…し、て、たよっと

『えぇーホントですかー?』

ノリ;´ー´リ<亜佑美ちゃん鋭い…
ノリ;´ー´リ<まだ終わってないんだよー、でいいか…
ノリ*´ー´リ.o0(うー、罪悪感)

『あ、そうなんですか!邪魔してごめんなさい(><)ではこれにて!』

ノリ;´ー´リ<あうー…

メール画面からブラウザに切り替える

ノリ;´ー´リ<わあ!!さっきのが!
ノリ;´ー´リ.o0(…あぁ…明日まともに亜佑美ちゃんの顔が見れる自信ない…)

ノリ*´ー´リ.o0(でも、でも…ちょっと胸…とかは触ってみたい…カモ)


エロ師爆誕
81 名前:高津 投稿日:2012/12/20(木) 23:51
小ネタ更新w
ネタだけ思いついてSSにならなかったのでAAにてw
バカ丸出しですw

>>78
あ!確かに、男友達っぽいですねw
鞘鈴はそういう関係であってほしいんですよね、いい距離というかw

>>79
ありがとうございます!
鞘石を巡る他の子達の話も書いてて楽しいので頑張ります!
82 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/21(金) 01:02
あああ、そうして揉むものが無い事に愕然とするんですね。
わかります。・゜・(ノД`)・゜・。
いやいや、ちっぱいは正義!
83 名前:そのすばらしいフォルムをこの手に 投稿日:2012/12/22(土) 00:01

「うーん…」

最近すごく気になっている。
すごくすごくすごく。

ただやっぱり、真正面切ってするのは…躊躇われる。
こういうのは練習を積まなきゃいけないと思うんです。たぶん。

「里保ちゃんどうしたの?」
「フクちゃん」
「悩んでるとか?」

隣に座ってにっこり笑顔のフクちゃん。
うーん、美人さんだ。

「悩んでるっていうか…」
「聖、悩みだったら聞くよ!」
「ホント?」
「うん、里保ちゃんの役に立つのなら!」

流石フクちゃん、優しいし素敵だ。
大人のお姉さんだね。

「ありがとぉ、じゃあねぇ…ちょっと立って後ろ向いて貰っていい?」
「え?う、うん?」

もにゅ

「キャッ!!!」
「おぉ…」
「ちょちょちょっと、里保ちゃん!やだやだっ」
「すごい」
「何がー!?」
「すばらしい」
「もぉー!ちょっとー!ダメッ!!」

そう言うと身体ごと反転されてしまった。
うーん、惜しい。
84 名前:そのすばらしいフォルムをこの手に 投稿日:2012/12/22(土) 00:02
「なっ、もぉ…何!?いきなり!…り、里保ちゃんのエッチ!」
「えーっ、なんでエッチ!」
「だだだって、聖のおしり!」
「だってー、触りたかった…」
「触りたくても触っていいもんじゃないでしょ!もぉ…」
「ニヒヒ、ごめん」
「絶対悪いと思ってない!」
「ンフフフ」
「で?何?まさかホントにおしり触りたかっただけ?」

フクちゃんはぷんぷんしながらも椅子に、ドスッと座って足を組んだ。
セクシーだなぁ…。
うちには真似できんね。

「いや、実は…そうなんです」
「…聖相談乗るのやめよっかな」

おしりまで触られたっていうか揉まれたし、と続けるフクちゃん。

「まままって!おしりの話だけど真剣な話だから!」
「すごい打ち消してるし」
「いや、だって…あのね、えっと、ホントはさ…亜佑美ちゃんのね…」
「えっ、ちょっまさか亜佑美ちゃんのおしり触りたいからとか言うんじゃないよね?」
「えっ、フクちゃんすごい、なんで分かったん」
「信じられない…」

フクちゃんすごい。でもなんか絶句してる。

「聖完全に練習台じゃん!里保ちゃんのエッチ変態スケベ!」
「わああ!ひどい!うち変態じゃないもん!」
「里保ちゃん…それは変態っていうんだよ…」

フクちゃん完全に人のこと言えない!
とは言えないシャイなうち。

と思ったら、ノックされたので

「どうぞー?」

と返事はしておいた。
だがしかしにらみ合うのは忘れないうちら。
85 名前:そのすばらしいフォルムをこの手に 投稿日:2012/12/22(土) 00:02

「おはよーございまぁ…す…え、何この空気。どうしたんですか?」

「「ちょっと亜佑美ちゃんきいてよ!!」」

「ちょっと!里保ちゃんは黙ってて」
「えーなんでぇ」
「聞いてよ亜佑美ちゃん」
「なんですか?どうしたんです?」
「里保ちゃんったらひどいんだよ!聖のおしり突然揉みしだいてきたんだから!」
「うっ、嘘だ!揉みしだいてはないじゃろ!」
「鞘師さん…ホントですか?」
「うっ…」

亜佑美ちゃんが怖い。
超真顔。

でも急に笑顔になった。
怖い。

「鞘師さん」
「は、はい」
「嫌がる譜久村さんのおしりを揉みしだくだけ揉みしだいたっていうのは本当なんですか?」
「えっ、なんか誇張されてるよ!?」
「鞘師さん」
「はい…」
「本当なんですか?」
「えっあの、えと、まってまって、えっと、あの」
「鞘師さん?」
「……おしり触ったのは本当です」

「嘘だよ亜佑美ちゃん!聖ぐにゅってされたんだから!」

くっそーフクちゃん完全に仕返ししてきてる!ううぅ…
あの流し目が憎い!!


ぱぁん!

「あぁん!あふいひゃん、いひゃいいひゃい」

ほっぺたを勢いよく両手で挟まれて、まさに蛸師状態になってしまった。
亜佑美ちゃんの顔はほどよく引きつっている。
笑顔なのに引きつってる。

「鞘師さんは!誰と!付き合ってるんでしったっけ〜〜???」
「いひらあふいひゃんれふ」
「そして誰のおしりを触ったんでしたっけ?」
「ふふひゃんれふ」
「それで?」
「あふいひゃんのおひりがひゃわりははっはんれふ」
「何言ってるかわかんないんで、開放してあげます」

亜佑美ちゃん意外と優しい…。
うちはほっぺをさすさすしながら、亜佑美ちゃんを見た。
86 名前:そのすばらしいフォルムをこの手に 投稿日:2012/12/22(土) 00:02

「あぁん…痛かったぁ」
「何か言い訳でも?」

嘘です撤回亜佑美ちゃん超怖い。

「亜佑美ちゃんのおしりが触りたかったんです…」
「バッ…バカじゃないの!?」
「あ、亜佑美ちゃんが敬語やめたぁ!」
「そりゃやめたくもなりますよ!何を言い出してるんですか急に!」
「だってだって!」
「だってもかってもないです!ていうか私のおしり触りたいのになんで譜久村さんの触っちゃうんですか!セクハラですよ!!」
「そうだそうだー!」

フクちゃん合いの手入れてきてるし。
うちはただ亜佑美ちゃんのおしりが触りたかっただけなのに…。
あのぷりぷりしたおしりを。

「だって!触りたかったんだもん!」
「開き直ってるし!」
「フクちゃんのおしりで練習してそれから亜佑美ちゃんにいこうと思ったんだもん!」
「だもんじゃないですよ!色々失礼ですよ!」
「うああん!亜佑美ちゃんのバカ!」
「なんで私がバカなんですか!」
「うちはバカじゃないもん!」
「どう考えてもバカみたいな行動じゃないですか!」

亜佑美ちゃんがうちを責める。
だってだってだってだって!
亜佑美ちゃんが好きだもん触りたいんだもん!

「んんぅぅぅううーーー」
「拗ねるな!」

マジ怒りがきた。
なんだよ、なんだよ!
うちだってそういうときぐらいあるんだよ!

「はぶててるだけじゃ!」
「意味の分からないこと言わないでください!」
「はぶてるも分からんようじゃいかん!」
「こっちだってめっちゃいずいっすわ!」
「いずいってなんじゃ!」
「だれー!いずいも分からねーんじゃダメだ!」
「誰って誰だよ!いずいってなんじゃ!」
「あーもう!うるさぁい!」
87 名前:そのすばらしいフォルムをこの手に 投稿日:2012/12/22(土) 00:03
 
88 名前:そのすばらしいフォルムをこの手に 投稿日:2012/12/22(土) 00:03
89 名前:そのすばらしいフォルムをこの手に 投稿日:2012/12/22(土) 00:03
 
90 名前:そのすばらしいフォルムをこの手に 投稿日:2012/12/22(土) 00:03

すっかり仲間はずれになっちゃった。

「…何あれ聖」

見入ってたら後ろからえりぽんがいつのまにか来てたみたい。

「あ、えりぽんおはよう。…なんか大変なことになっちゃった」
「どうしたと?」

しかめっ面で2人と聖を交互に見るえりぽん。
とりあえず今までの流れを話さなきゃ。

「なんかぁ…里保ちゃんが急に聖のおしり揉んできたから、亜佑美ちゃんに叱ってもらお…」
「はぁーー!?ちょっ、里保ぉ!!!」

えっ、どうしよ、えりぽん突撃していっちゃった…。

「わわ!何、えりぽん!どうし…」
「聖のおしり触ったって何?なんで?なんで触ったと!」
「えっえっ、ちょっとフクちゃん!」

里保ちゃんが動揺してる。
でも…いいのかも?聖被害者だし!

「聖知らなぁい。里保ちゃんが悪いんだもーん」
「嘘っ!えー!!」
「里保ぉぉーー!絶対許さんけんねーー!!」
「なぁんで、フクちゃんのおしりでえりぽんが許さないんだよぉー!」
「そんなのはどうでもいいっちゃん!絶対許さん!」


ふふふ。なんかちょっと気分いい。
えりぽんが守ってくれるんだったらいっかな?

亜佑美ちゃんはすっごい顔して椅子に座った。
そして里保ちゃんはえりぽんに追い掛け回されてるし。

ま、なんていうかー、そちらのお2人さんは…ちゃんと幸せだからいいじゃん。
だから、まぁたまには頑張って♪
と、聖は思うのでした。
91 名前:高津 投稿日:2012/12/22(土) 00:05
更新です。
バカ話その2w
エロ師妄想が止まらなかったのでつい…

>>82
だっ、大丈夫!ちゃんと一応たぶんありますから!!
正義正義ーっ!!
92 名前:オトナ 投稿日:2012/12/23(日) 23:30
思いというのがある。

もちろんそれは衣梨奈にもある。


新垣さんへの思い、メンバーへの思い。
家族への思い。

そして、止められない思い、というのもある。


衣梨奈は今


――譜久村聖への思いが、止められない。


 
93 名前:オトナ 投稿日:2012/12/23(日) 23:31
「まったく…何考えてると、里保はぁ」
「あはは、里保ちゃん最近すごいそういうのに興味ある感じするよね」
「聖も聖よ、里保んこと怒らんかったん?」
「怒ったよー!でも里保ちゃんふふふとかいって笑ってるしさぁ」

余裕の聖。
自分が被害者なのに、意味が分からん。
よっぽど衣梨奈の方が怒りよう気がする。

ぶすくれた顔もせんと…オトナやね、聖は。

「なんか、すごい。聖オトナやね」
「そう?でもまぁずっと怒ってるっていうほどのことじゃなかったし」
「でもセクハラよ?あれー」
「そうだけどさ。里保ちゃんまだ14歳だし、こんなことでいつまでも本気になってもしょうがなくない?」
「んー…衣梨奈はそうは思わんっちゃけど」
「えりぽんももう少ししたら分かるよ、きっと」

そう言って聖はスマホをいじり始めた。

聖の横顔見ると、衣梨奈と1つしか違わんはずなのにすごく遠くにいるように見えるときがある。
横顔もオトナやけど、考えてること…っていうか、難しいけどそういうのもオトナに見えるし。
だけん、たまに聖が衣梨奈から離れてしまうとか…そういう風に見えたりもする。

「聖は先に行きすぎっちゃん」
「なぁに?」
「なぁーんか、オトナやけん、聖」
「さっきも聞いたよー」
「だけん、衣梨奈追いつけんよ、聖に」
「どういう意味?」

聖は不思議そうな顔して衣梨奈の目を見つめてくる。

―これ。

この目。
衣梨奈はこの目に吸い込まれそうになる。
94 名前:オトナ 投稿日:2012/12/23(日) 23:32
「仕事のこともそうっちゃけど、中身っていうか…頭ん中?」
「そんなのえりぽんの方が頭いいじゃん。聖バカだもん」
「そういうんじゃなくて、なんか…分からんけど、とにかく中身の話!精神的な!」
「はぁー、分かんない」
「もぉー!」
「こっちの台詞だよー」

また笑って答えた。
この余裕。
これよこれ。
なんでこんなに余裕?

「もぉ分からん!」
「聖が分かんないよー、えりぽんはもうしょうがないな…」
「聖が構ってくれん…」
「さっきから構ってるじゃん」
「ちがーうーー!」

「それとも、もっと違う何か?」

え、今の…聖?
声のトーンが、なんか違う。

細まった目にドキッとしてしまう。

「えっ…と、み、みずき?」
「ふふふ、なぁに?」
「あ……」
「えりぽん」

え、何これ、えっ。

聖の顔が近づいてきて、顔に聖の手が触れて。

唇の端を聖の指が滑る。

「ハイ、とれた」
「え、な、なに?」
「なんか口元についてたよ?」
「あ…あ、りがと」

そしてまた、笑う聖の目に吸い込まれる。
ホント、釘付けになる。

ねえ、聖は衣梨奈を試してるの?

衣梨奈は…聖を好きになってもいいの?

KYKY言われてるけど…実際そうかもしれんっちゃけど、ホントはいっぱい考えとうし、気持ちだって嘘やないし。
でも、分からん。
今がそのときなのか分からん。
95 名前:オトナ 投稿日:2012/12/23(日) 23:32
「うぉーい、準備だぞー!」

ドアをちょっと開けて、香音ちゃんが声をかけてきた。

「はーい」
「あ、うん。今行く」

衣梨と聖は一緒に立ち上がって、椅子を戻す。
ドアに近かった聖が先に行こうとしたけど、何故かそこで振り向いた。

「聖、どうした?」
「えりぽん」
「ん?」

「早く迎えにきてね?」

「はっ…?」
「さ、早くいこ?」

聖は今何を言ったんやろ。
どういう意味?

「ちょ、待って聖、意味分からん!」
「知〜らな〜い♪」

手を急に握られて、ビリビリッという感覚がきた。
何、何これ。

分からん!色々分からなすぎ!

「みずきー!!もぉーー!」
「ふふふっ」

いくら衣梨奈が大声上げても、聖は笑うだけで何も教えてくれんかった。

長い髪が衣梨奈の前を跳ねて、すごくいい香りがした。
いつか、衣梨奈もこんなオトナの香りの女の子になれるんかな。

そして衣梨奈がもう少し成長したら、色々分かるのかもしれん。


――聖の言葉の意味も。


 
96 名前:高津 投稿日:2012/12/23(日) 23:34
更新です。
生田本当に難しい!れいなも!今回は出てないけど!w

もう色々妄想が捗りすぎて、ちょっと過剰な感じになってますがw
頑張って更新していきます!
97 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/23(日) 23:45
リアル更新キタ!
この二人からも目が離せないようで…
これからも楽しみにしてます。
98 名前:Sweet,Sweet! 投稿日:2012/12/25(火) 01:40

「すごーいですよね!ね!」
「ねー!超キラッキラ」

街がイルミネーションで彩られてて。
街行く人がカップルばっかりで。
私たちはその中を手を繋いですり抜ける。

誰も私たちに気づく気配もない。
といっても…先輩たちほどの知名度がないからかもしんないけど。

「東京はすごいですねぇ」
「じゃろー?うちもね、来たときホントすごいと思った!」
「どこもかしこもキラキラですもん。もーびっくり」
「ねー!」
「仙台もね、街中がイルミネーションですっごくなるイベントがあるんですよ!毎年いっぱい人来ますよ!」
「へぇー行ってみたい!」
「いつか一緒に行けたらいいですね!」
「ンフフ、そうだね」

鞘師さんの笑顔がかわいくて、なんだか照れてしまう。
こんな人ごみでもちゃんと拾えてしまう、鞘師さんの高いんだけどちょっと低い感じのする甘い声。
ずっと聞いてたくなってしまう。

そしてなんだか恥ずかしくなって俯いてしまう私。
だって顔がニヤけてきちゃう。

「亜佑美ちゃん?」
「えっ?はい」
「なんかあった?」
「いやっ、あの…なんかなんていうか…ちょっと嬉しくなっちゃって…へへ」
「えっ、急になんで?」
「いやぁ…なんか嬉しいじゃないですか、2人で…クリスマスに手繋いで歩いて、イルミネーション見て、とか」
「あっ…そうだね。イヒヒ」

そう言って鞘師さんは私の手をぎゅっと握り返してくれた。
それがもう本当に嬉しくて、私もぎゅぎゅっと握り返した。

目を見合わせて、笑って。
ありきたりかもしれないけど、この世に自分たちしかいないみたいなそんな感覚。
99 名前:Sweet,Sweet! 投稿日:2012/12/25(火) 01:40

「たのしい」
「ねー!」
「ふふー、嬉しい。ひひ」

あの独特の笑い声が耳を擽る。
このまま2人だけでずっと過ごしたい。

こんなに鞘師さんのこと好きになるなんて思わなかった。
自分でも意外すぎるぐらい。

年下の先輩で…恋人とか、意外性の塊すぎて。

「結構歩いたね」
「疲れました?どっか入ります?」
「んー…ヤだ」
「えっ」
「もっと一緒に歩きたい。だってさ、どっか入るといちゃいちゃできない…あ、うそうそ!あった!」
「えっ!?ちょっ、鞘師さん!」

急に早歩きになった鞘師さんに、必死でついていく私。
鞘師さんこんなに歩くの早かったっけ?

「てか、どこ行くんですか!」
「ンフフ、いいとこ!」

えー?いいとこってどこですか!
と言う間もなく、ちょっと歩いた路地裏に到着。
めったにこないところで、人もあんまりいない。

え、超怪しいんですけど。

「ここですか?」
「そーう!んふふ、いこいこ」

そう言って看板を見る間もなくエレベーターは7階へ。
たどり着いた先は…

「ネカフェですか…」
「そ!」

鞘師さんなんか手馴れてるし。
カードも持ってるし。

そして案内された席は、なんか椅子がない部屋だった。
BGMは少しかかってるけど、基本静かだからうちらも小声で話さなきゃと思い、声のトーンを落とす。
100 名前:Sweet,Sweet! 投稿日:2012/12/25(火) 01:40
「こういうのなんですね、ネットカフェって」
「初めて?」
「はい。あんまり来る機会ないですよね、こういうの」
「そう?うち地味に行ったりしてる」
「カード持ってましたもんね」
「なんか楽しいんだよね。飲み物飲み放題だし」
「そっちか!」

というと、靴を脱いでシートでごろごろし始める鞘師さん。
私も真似て、隣に座る。

「亜佑美ちゃんも」
「横になれって?」
「そうそう」

言われて横になってみる私。
ふむ、結構快適かも?

「ふふふ、これなら存分にいちゃいちゃできるじゃろ?」
「はっ…それが目的だったのか!」
「だって…ねえ、家帰ったら2人っきりになれんし、なんというか…カラオケはカメラあるし…あー、あともう1個は入れないじゃろ」
「もう1個?」
「ひひひ」

もう1個?なんだ??

「亜佑美ちゃんえろーい」
「…あっ、あぁー……ちょっ、やだ鞘師さんでしょ、えろいのは」
「ウヒヒ、だって、ひひっ」

そう笑って、見詰め合う。
目を細める鞘師さん。
私もそれに倣って、目を瞑る。

「んっ…」

いつもの、唇を合わせるだけのキスとは違った。
唇を舌でなぞられる。

そのまま委ねて、口を少し開くとするりと鞘師さんの舌が。

こんなの初めてで、わかんなくなる。

キスってこんな感じだっけ?
頭おかしくなりそう。

今、鞘師さんと一緒に溶けてる。そういう感じ。
きもちよくて、いつまでもずっとこうしていたくて。

鞘師さんをぎゅっと抱きしめる。

ちゅるっと音がして、唇が離れる。
なんだかもどかしい。
101 名前:Sweet,Sweet! 投稿日:2012/12/25(火) 01:41
「っはぁ…」
「んぅ…」
「亜佑美ちゃん、それ反則」
「えぇ?」
「だって、腰抱かれたら…ちょっとね、盛り上がっちゃうじゃろ?気持ち」
「やだぁ」
「んふふ」

また見詰め合って、今度は私から軽くチュッとする。
そうすると何故かびっくりした表情をする鞘師さん。

「どうしました?」
「や、亜佑美ちゃんからチューは初めてだったから…」
「あれ?あ……そうかも」
「やば、嬉しい…」

はにかむ鞘師さん。

「鞘師さんかわいい」
「イヒヒ、やめて」
「かわいいですよ、鞘師さん」
「もぉ」

「んぅぅ」

また、唇を奪われる。
今度ははむはむしてくるし。

でも、すごく好き、こういうの。
こういう時間も。

なかなか2人になれなくって、もどかしくって。
人のいない間を狙って抱き合ったり、チューしてたりしてたから。

そしてまた顔が離れて、笑い合う。

「ずっとこうやっていれたらいいのにね」
「そうですね」
「…うち、早く大人になりたい」

そんな風に言う鞘師さんの気持ち、すごくよく分かる。
私だって早くはるなんぐらいにはなりたい。
そしたら、たくさんのことが変わってくるだろうから。
102 名前:Sweet,Sweet! 投稿日:2012/12/25(火) 01:41
「私もです」
「亜佑美ちゃんはうちより早く大人になっちゃうもん」
「あぁ…」
「うち、なんで年下なんじゃろ…亜佑美ちゃんと一緒がよかったよ。フクちゃんが羨ましい」
「鞘師さんはそのままでいいんですよ。鞘師さんが年下で、先輩で、だからこんな風に出会えたのかもしれないし」
「でも…」
「お姉さんの言うことは聞いておくもんですよ?」
「こんなときばっかり年上ー」

ほっぺた膨らませて不満げな顔をする。
これがまたかわいいんだ。
よくされるけど。ホントかわいい。

「いいんです。むしろこんなときじゃないと、鞘師さんのお姉さんになれないんだから」
「うちは、亜佑美ちゃんがお姉ちゃんじゃないほうがいいな」
「あら、嫌われた」
「ちが、違うっ。亜佑美ちゃんはやっぱ、恋人がいい…もん」
「かわいいっ!」
「んぅーーーっ」
「鞘師さんかわいいかわいいー」

あまりにもかわいすぎてほっぺたをスリスリしてしまった。
窮屈そうにしてても嬉しそうな鞘師さん。

「あ、今何時?」
「えっ?あ…えっと、18時半かな」
「あんまり遅くなってもだし、そろそろ時間だし出るかぁ」
「そですね」

いそいそと準備をする私たち。
時折目を見合わせて、チュッてしたりして。

「あ、サイダー飲むの忘れちゃった」
「しょうがないですよ」
「いっか、亜佑美ちゃんを頂きましたし」
「ばか」
「んふふ」

靴をトントンして、受付まで。
お金払ってお店を出る。

すっかり外は冷え込んでた。

「さぶぅっ」
「超寒いですね!」
「早く帰ろっ!」
「ですね」

すっと出された左手に幸せを感じながら、指を絡める。

だからこっそり耳打ち。


『鞘師さん、大好きですよ』

びくっと鞘師さんが跳ねるのを見て、笑う私。
それに少し笑って、うちも!って手をぎゅうってしてくれる。

これからずっとこんな風に続きますように。
そんな風に願って、キラキラの街の中をまた歩き始めた。
103 名前:高津 投稿日:2012/12/25(火) 01:43
更新です!
クリスマス間に合ったー!
本当はイブのうちの予定でしたが…w

現実の色んな細かいことはスルーでお願いしますw

>>97
ぽんぽんも実は色々考えてる感じでw
ありがとうございます!頑張りますw
104 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/25(火) 06:39
ひたすら甘くて最高です。
鞘石デート読んでるだけで楽しすぎるっ!!
今日のブログで鞘石は家族とパーティーと2人揃って言っていた為
私の脳内ではこっそりデートだったのでw、タイムリーすぎて無問題ですw
105 名前:sage 投稿日:2012/12/25(火) 19:18
毎回キュン死にそうw
鞘石可いいなー愛いなーと思ったら
ぽんぽんもピュアで素敵でした!
106 名前:サンタサン 投稿日:2012/12/26(水) 00:54
「まーちゃんち、サンタさん来た?」

楽屋で準備をしてると、くどぅーがまーちゃんに話しかけていた。

「きたぁ。ウヒヒッ、いいもの貰っちゃった〜!」
「へぇ、よかったじゃん」
「くどぅーにも来た?」
「きたよ!ちゃんと貰ったもんね!」

まーちゃんに負けないぐらい、くどぅーもふふん、みたいな様子で自慢げに笑う。
かわいいなぁ。

「あ、にんじんはしたの?」
「ん?あぁ、置いたよ、ちゃんとかじってあった!すげーわトナカイ」
「すごーい!やっぱサンタさんはいるんだぁ!」

そういうと、まーちゃんはうちんとこに走ってきた。

「しゃやしさん!しゃやしさんとこにはサンタさん来ましたか!?」
「えっ…うち?うちはこなかったなぁ。もう14歳だからね」
「そうなんだぁ…まーも来年サンタさんこなくなっちゃうのかな…」

まーちゃん超落ち込んでるし。
どうしよどうしよ。とりあえずサンタさんは来るっていうことは強調しなきゃ!

「大丈夫だよ!まーちゃんのとこにはちゃんと来るよ!」
「でもでも…しゃやしさんは大丈夫ですか?」
「えっ、何が?」
「だってだって、しゃやしさんこんなにいい子なのにどうしてサンタさんこないんだろう…」

落ち込むまーちゃんに、道重さんが頭を撫でた。
107 名前:サンタサン 投稿日:2012/12/26(水) 00:55
「そりゃあ佐藤、りほりほはもうお手紙出しちゃったからだよ。ね、りほりほ?」
「えっ、あ、はいっ」
「お手紙ですか?」
「そうそう、サンタさんにはもう大丈夫ですよ、他のたくさんの子供にプレゼントしてくださいって手紙出すとその年からこなくなるんだよ」
「そうなんだ…!しゃやしさん大人ですね!」

道重さんのフォローに感動してしまって、うちは一瞬何もいえなくなってしまった。
流石道重さん、気配り行き届いてる人だ。

「じゃあまーはお手紙はしばらくしないでおこうっと」
「ハルもー」
「くどぅーまねしないで!」
「いーじゃん、ハルだってサンタさん来て欲しいもん!」

お子様同士の言い争いが始まりそうになったので、道重さんがコラコラと窘めてくれた。
その流れで二人はトイレだかなんだかで、連れ立って楽屋を出て行った。

「道重さん、ありがとうございます」
「ううん。大丈夫よりほりほ。だってしょうがないよね。むしろ、誰かさんがブログで夢壊すんじゃないかってヒヤヒヤだったよさゆみは」

道重さんがそういうと、ちょっと離れて携帯をいじってた田中さんが笑いながら返事をした。

「アッハッハ、誰のことっちゃろーねー?」
「れいなは直球すぎ!」
「いつかは分かることっちゃん、だけんしょうがないしょうがない!」
「工藤が怪しんでたのさゆみがフォローしたんだから、ホント感謝して欲しいぐらいなんだけど」
「へーへー」
「もぉー」

そんな2人を見て、みんなも少し笑う。
みんなまーちゃんとくどぅーがかわいいから。

うちとは1つしか違わないけど、やっぱりなんだか妹みたいだしすっごいかわいい。

「でも、お手紙ってのは名案ですよねっ。流石道重さん」
「確かに。聖もそれ今度使おうっと」

はるなんとフクちゃんがうんうんと頷きあってる。
そこから目を移すと、亜佑美ちゃんがスマホをいじってる…ように見えたけどなんかちょっと違う。
だからなんとなく亜佑美ちゃんの隣に座ってみた。
108 名前:サンタサン 投稿日:2012/12/26(水) 00:55
「鞘師さん」
「どしたのー?」
「いやぁ…ねぇ」
「うん?」

もごもごもする亜佑美ちゃん。
何か言いにくいことなのかな?
机の上でだらーんと、腕を伸ばしてる。

「うちにはサンタさんこねぇなーと…」
「えっ、サンタさん信じてた?」
「や、いるかどうかはほらなんていうか、まぁ分かんないですしね?」
「まぁそうだけど…」
「なんかいないかもしれないけど、いるかもしれないみたいな。なんていうんですかね、もっと思い出が欲しかったというか」
「はぁ」

なんやらよく分からん。
なんかあったのかな?

「あんまクリスマスってこれだみたいな思い出ってなくて」
「そうなの?家族でパーティーとかは?」
「したにはしたんですけどね。うちほら、忙しいから」
「あぁー」

そういえば亜佑美ちゃんちはなんかやってるとか言ってたような気がする。

「私にもサンタさん来て欲しかったなぁ…」
「うちがサンタさんなってあげよっか?」
「へ?鞘師さんが?あーでもいいですねぇ、それ」
「んっふっふ、ちょっと待ってて」

今日プレゼント交換用以外にも、実は持ってきていたのだ。
亜佑美ちゃん用のを!

「あ、亜佑美ちゃんもバッグこっちに持ってきて」
「あ、はい」

よしよしいいぞいいぞ。
みんな遊んでるし、気づかない。

「はいっ」

亜佑美ちゃんのバッグにうちからのプレゼントを無理やり入れた。

「えっ?えっえっ?」
「うちが亜佑美ちゃんのサンタさんじゃけぇ、大事にしてね?」
「えっ、嘘っ、嬉しい!」

バッグを開けて、中とうちを交互に見る亜佑美ちゃん。
よしよし、驚いてる顔もかわいいです。

「そういうわけで、またあとで」

潔く身を引くうち。
あんまり仕事場ではいちゃつかないように気をつけています。鞘師里保です。
109 名前:サンタサン 投稿日:2012/12/26(水) 00:56
そんなことをしてるうちに、出番になったようで、みんな呼び出される。
各々準備完了してたから、ぞろぞろと楽屋を出ようとすると、肩を叩かれた。

「お?」
「鞘師さん、ありがとうございます!あとで中見て感想言いますからっ」
「あー、うんうん。でも実は家で開けて欲しいかな?」
「そうなんですか?じゃあそうしよっかな…あ、でも鞘師さん用の…私今日持ってきてない…」
「いいよ、今日は」

「里保ー!亜佑美ちゃーん!」

「あ、やば。えりぽん呼んでる。ね、今日はいいから気にしなくて、でもさっ」
「は…」

返事をさせないように、唇を塞いだ。

「っ…これでオッケーなんで!じゃ、行こう行こう!」
「不意打ちは卑怯です!もぉ!」

文句言ってるけど、超嬉しそうなの顔に出すぎですけど、石田さん。
とか思ってるうちも大概だけどね。

最近こういうの実は好きかもしんない。

サプライズ的な!

「ふぉっふぉっふぉー」

変な声を上げながら、ダッシュでレッスン場に向かった。

「うわ、里保がまた突然変なテンションなっとぉ!」
「ふぉっふぉっふぉー!」
「もぉ、誰なのそれー」
「わたしががサンタじゃ」
「サンタかよ!」

後ろから着いてくる亜佑美ちゃんに振り向いてウインクをして、合図。
亜佑美ちゃんもウインク返してきた。

顔がニヤニヤしちゃう。

「ふぉふぉふぉ」
「里保ちゃんウケる」
「ンヒヒ、テンション上がっちゃった」
「里保のスイッチはどこにあるとか分からんとよもう」


プレゼント、喜んでくれるといいな。

亜佑美ちゃんのサンタさんはうちがずっとやったげるけぇ、次も楽しみにしててね!

 
110 名前:高津 投稿日:2012/12/26(水) 00:58
更新です!
クリスマス三連発しましたーw
明らかに今日は間に合ってないですけどw

>>104
タイトル通り甘ったるいのを目指して書きましたw
ありがとうございます!
もう現実とあんまりリンクさせなくてもいいのかなと思い始めたので、補完して頂けてありがたいですw

>>105
キュン死頂きました!死なないで!w
ぽんぽんはピュアとな!w ありがとうございますw
期待を裏切らないよう頑張りたい感じです…たぶんw
111 名前:イヤなオンナ 投稿日:2012/12/28(金) 12:37

夢を見る。
好きな人と結ばれる夢。
心地よい夢。
その夢の中に浸って、どろどろのスープのようになる。

そして夢はやっぱり覚める時が来る。

「あぁ…」

それは夢だったと悟る。
そして現実はそうではなかったことを改めて実感する。

胸がチクリと痛む。
なんであの子の隣は私じゃなかったんだろうと思う。

横にある鏡が目に入る。



――私は、最高に嫌な女だ。



 
112 名前:イヤなオンナ 投稿日:2012/12/28(金) 12:37
「おはよー!聖っ!」
「あ、えりぽんおはよー」
「なん?ちょっと暗くない?大丈夫?」
「そう?大丈夫だよ」
「ならいいっちゃけど」

そうやって頭を少し背伸びしてぽんぽんとしてくれるのが嬉しかった。
その時どんな顔してるか、見てしまう。

そう、例えるなら愛でるような。

聖は知ってしまった。
聖に対するえりぽんの態度が、他と少しだけ違うことに。

けど、それもなんだか心地よかった。
なくなってしまった隙間を埋めるような感覚。

身代わりみたいでなんだか心苦しくもあったけれど、苦しい感覚がずっと続くよりは正直よかった。
だから、それを見届けたいと思った。
いつ、聖にアクションをかけてくるのか。

誰かが自分を好きという感覚を知るってこんなにもわくわくするんだって。

聖は本当に性格が悪いと自分でも思う。
自分自身のことだけど、笑えてきちゃう。

こないだのことだって…えりぽんが聖を大事にしてくれてるって方が嬉しくて、わりとどうでもよくなっちゃったし。
だから、里保ちゃんぐらいにならセクハラのひとつやふたついいかなとか思っちゃった。
きっとえりぽんは怒るだろうけど。
113 名前:イヤなオンナ 投稿日:2012/12/28(金) 12:38
「えりぽんっていっつも元気だよね」
「そうー?でも衣梨奈も元気ないときぐらいあるとよ」
「そっか…ま、でもそうだよね。みんなそんな時あるよね」

ぽんぽんで撮影するときが多いから、こういうときすごく得してるなって思う。
満たされてるなって。

あのじわじわとした嫌な感覚が、解けていくみたい。
愛されてるかは分からないけれど、間違いなく好かれてはいると思う。

この心臓にずしりとくる感じ。
頬に熱が走る。

じりじりと指先が熱い。
熱いのかも本当は分からない。熱いような気がする、だけかもしれない。

「なんかあれやね、やっぱ聖は今日なんかちょっといつもと違わん?」
「そうかな?」
「元気ない…んじゃないとね。なんかセクシー?」
「なぁにそれー?」
「んふふ、衣梨奈にも分からん」

そう言ってえりぽんは笑う。
笑うとくしゃっとなる顔、かわいいなと思う。

ひとつ年下だけど、なんだか年下とも思えなくて。
自分が子供なだけかもしれないけど。

人懐っこくて、かわいい。
聖も甘えるのは好きだけど、そういうのじゃない感じ。

ないものねだりだな、と思う。
えりぽんは聖に持ってないものをたくさん持ってて羨ましいもん。


楽屋のドアがノックされた。
誰かくるんだ。

もう2人の時間も終わり。
ちょっともったいないな。
114 名前:イヤなオンナ 投稿日:2012/12/28(金) 12:38

入り口で会ったのか、一気に3人も来た。

「「「おはようございまーす!」」」

「おはよ〜」
「おはよー!」

「あったかいこの部屋!」
「外そんな寒いと?」
「超寒いっスよ!」
「やばい私リップ忘れたかも。どぅー後で貸して」
「えー?いいよ」

寒い寒いといいつつも室内だからコートを脱ぐはるなんに、マフラーをほどくくどぅー。
亜佑美ちゃんはがに股で足踏みしてるし。ウケる。

コートを脱ぐ亜佑美ちゃんと目が合って。
お互いふふふって笑う。

「亜佑美ちゃーん♪」
「譜久村さぁーん♪」

はぐっ

今日も亜佑美ちゃんはかわいい。
ちっちゃくてかわいくて。
憧れる。

抱き合う聖たちに気づいたのか、えりぽんが寄って来た。
ふふ。

「もぉ、何ふたりー」
「いちゃいちゃしてまーす」
「ふふふ、生田さんも触ってくださいよ。譜久村さんすごい触り心地いいんですよ」
「やだぁ、ふふ」

そういうと、えりぽんは少しムッとした表情をしたあと、すぐに切り替えた。

「里保に怒られるとよ、亜佑美ちゃん」
「えー?怒りますかね、鞘師さん」
「里保は意外と嫉妬深いけん、すぐヤキモチ焼くっちゃん、気をつけないかんよー?」
「えっ、そうなんだ。じゃあやめておきます。へへ」
「えー、もうちょっとー」
「聖が引き止めてどうすると!」
「あぁん、もったいない」
115 名前:イヤなオンナ 投稿日:2012/12/28(金) 12:39

こういうのがたまらない。
楽しくてしょうがない。
わざとやってる自分に嫌気がさすけれど。


――そう。

えりぽん、もっと聖を見て。
もっとヤキモチ焼いて。

まだ未練がある聖を早くえりぽんに夢中にさせて。

「えりぽんもぎゅーする?」
「えっ?いやぁ…」
「生田さんどうしたんですか?いつもなら、いくー!とか言って飛び出していきそうなのに」
「そうやったとかいな?いやー分からん分からん」

そう言って聖たちのところからえりぽんは離れていった。

「生田さんどうしちゃったんですかね」
「さぁ…分かんないのはいつものことだから、えりぽんは」
「確かにぃ」

まるで分かってない亜佑美ちゃんも、照れて行動を起こさないえりぽんも、愛おしい。

えりぽんが本気になってくれたら聖はいつでも受け入れるのに。


…ホント、最低。
分かっててやってる。
上から見てるって知ってる。

お姫様気質とか言われても仕方がないと思う。

でもね、聖は勇気が出ない。
好きだけど。
確かに好きなんだけど。

聖から好きですって言っていいの?
でも、何かそれだと自分自身に自信が持てなくて。

だから待ちたい。
何を言われても待ちたい。

もっと聖を見て欲しい。
早く連れ出して欲しい。

けど、我慢ができないから…糸をかけて手繰り寄せる。
116 名前:イヤなオンナ 投稿日:2012/12/28(金) 12:39

「えりぽん」
「ん?」
「聖さむぅい」
「え、何」
「カイロになって!亜佑美ちゃんがダメなんだもん、えりぽんがしてよ」
「はぁー?」

隣にいた亜佑美ちゃんが譜久村さんウケるとか言って爆笑してる。

「ねーねーえりぽーん」
「もぉ、今日だけよ!?」
「ふふ」
「もぉ…」
「えりぽんあったかい」
「聖はよーわからん…」

そういってちょっと嬉しそうなの、分かってる。
唇がもごもごしてる。

好きだよ。
大好きだよ。

だから早く、早く迎えに来て。

お願いだから。


そう思って抱きしめる力を少しだけ強める。
えりぽんの肩が少し上がった気がした。




――あぁ、私って本当に嫌な女だ。




 
117 名前:高津 投稿日:2012/12/28(金) 12:40
更新です。

最近ずっとこれを書きたくて書きたくてしょうがなかったんですw
腹黒キャラを活かしたかった…!
118 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/28(金) 21:13
フクちゃんの色気を伴った腹黒い感じがムンムンの文章に
読んでてクラクラして鼻血出そうになりましたw

鞘石小説がきっかけでまた飼育に頻繁に来るようになって
りほかのやぽんぽんも気になりだして小説探してたところなので
自分としてはこのスレと出会えて嬉しい限りです。
またの更新を心待ちにしています!
119 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/12/28(金) 23:04
ちょっと来てない間にすげー更新されてて得した気分です!
Sweet,Sweet!が、もー可愛すぎてニヤニヤが止まらんかったですw
只々いちゃいちゃのド直球もたまにはいいっすね!萌えました(´д`*)
現実のえりぽんはあっちこっちフラフラしてるイメージですがw
ここのえりぽんはヘタレだけど一途ですね。可愛い!
120 名前:やきもちもち 投稿日:2012/12/30(日) 01:25
トイレから出ると、私を見つけてなのか鞘師さんが急に突撃してきた。

「…おっと。どうしたんですか?」
「亜佑美ちゃんがいたのだ」
「のだ?」
「のだのだー」

猫が喉を鳴らすみたいに、私の首に頭をすりすりしてくる。
今日は甘え鞘師さん、かな?
こういうときは『鞘師さん』っていうよりは、『里保ちゃん』って感じだ。
本人には絶対言えないけど。

「鞘師さんって結構甘えん坊ですよね」
「んふー」

それは肯定ってことですね。
実際長女だからなのか、年上の人に甘える傾向があるみたい。
本人が分かっててやってるかどうかは分からないけど。

こういうときちょっと鞘師さんより年上でよかったかなって思う。
後輩ではあるけれど、なんとなく気持ちに余裕があるかなって時があるし。

「なんか、いいですねこういうのも」
「んー?」

鞘師さんが私の腕に抱きついてて、それがなんだかすごくいいなって思ってしまった。
まぁ…私の方が背が低いからちょっとちぐはぐな感じするけど。

「さっきの譜久村さんとは全然ちが…」

と言い掛けて失敗したことに気づいた。
ヤバという顔をした途端、鞘師さんの機嫌が急降下したのが分かった。

「さっきのフクちゃんって何?」
「えーっと…」

いつもの甘い鞘師さんの声のはずなのに声が重い。
マジでヤバい。
121 名前:やきもちもち 投稿日:2012/12/30(日) 01:25

「はっきり言おう、亜佑美ちゃん」
「あー、あのぉ…ですね、楽屋で、おはようございまーすってしたんですね、はるなんとくどぅーと私がね」
「うん」
「最初ね、生田さんと譜久村さんがいて。それで、コート脱いでたら譜久村さんが亜佑美ちゃーんって手を広げるから」
「うん」
「抱きついてこいみたいなそういう…」
「抱きついちゃったのか」
「…抱きついちゃいました」
「ふーん」

焦る気持ちの中にも、なるほどという気持ちがあった。
生田さんが言ってたのはこれか、と。

けど、なんだかちょっと楽しくなってきてしまった。
別にやましいことしたわけじゃないし、私。

「妬いてます?」
「なっ…」

ニヤニヤする私に、絶句とばかりに鞘師さんが固まる。

「ふふー。譜久村さんは触り心地いいですよね」
「そうじゃけど!ううー、なんだよ!亜佑美ちゃん!」
「なんかかわいいですよ、鞘師さん」
「うぅ…」

むぅと唇を尖らせる鞘師さん。
かわいいなぁ。

「さっき生田さんがね、里保に怒られるとよーって」
「えぇ?えりぽんが?なんで?」
「譜久村さんに抱きついてたから。里保は意外と嫉妬深い、すぐヤキモチ焼くからーって」
「うっ…」
「それ言われてすぐ離れましたよ?私も鞘師さんには嫌われたくないので」
「そっ、そうか…。で、でもなんか、余裕って感じで、ヤだ。今の亜佑美ちゃん」
「ホホホッなんとでも言ってくださーい」
「急に余裕見せるのはずるい。うちが主導権握ってたのに!」
「ほっ」
「何その反応」

いやぁ、だってねぇ。
主導権握ってると思ってたというのがかわいすぎて。
だからって私が握ってるとも思えないけど。
122 名前:やきもちもち 投稿日:2012/12/30(日) 01:26

「なんか楽しくて」
「もぉ、なんだよ!」

鞘師さんって、結構不思議な子だなと思う。
ストイックで自分に試練を与えるのが好きな人で、Mっぽいかなぁとか思ったりするんだけど、私に対しては優位に立ちたい感じがする。
でも甘えん坊で、子供っぽいところもたくさんある。
多面性っていうんだっけこういうのって。

「鞘師さんって色んな顔ありますよね」
「…何急にー」
「いや、なんかね、そう思って。カッコイイところもあるし、大人なところもあるし。今みたいに子供っぽくてかわいいところもあるし」
「…こういうのは亜佑美ちゃんの前だけじゃけ、他の人にはしないもん」
「そうじゃなきゃ困りますよ」
「んー」

そう返事ともなんともつかない言葉を発すると、またぎゅうっと腕を組んできた。
さっきよりも強く。

「えりぽんよく見てる」
「え?」
「うちはヤキモチ妬きで、嫉妬深いもん。…亜佑美ちゃんがフクちゃんに取られたらどうしようかと思った、さっき」
「そんな心配はないですけどね」
「仮に!」
「ハイハイ」

今度は私の腕をぶらぶらとして、駄々を捏ねるように鞘師さんは口を尖らせる。

「…やだもん」
「アッハッハ」
「もーー!」
「だって急に!やだもんとかいって」
「今日の亜佑美ちゃん嫌い!」
「嫌われたし」
「…嘘じゃけど」
「はやっ」

すっと私から離れて大人しくなる。
いつも笑ってるような唇は、富士山みたいにヘの字になって。

「んんぅーーー」

こういうときはきっとこうだ。
123 名前:やきもちもち 投稿日:2012/12/30(日) 01:26

「ハイハイ、おいで?」

手招きすると、口をもごもごさせて抱きついてくる。

「ううー!亜佑美ちゃんのばかぁ」
「私が悪かったです。ちょっとからかいすぎましたね」
「ホントだよっ」

私の肩のとこで顔を塞いで、うーうー言う鞘師さん。
こういうところ、もっと出して欲しいと思いつつもそれは言えないな、なんて。

背中をぽんぽん、とゆっくり叩いてあげるとなんだか落ち着いたみたい。

「あゆみちゃん」
「はい?」
「好き?」
「好きですよー」
「うちも、すき」

んふふ、と独特の笑い声が聞こえて。
あぁご機嫌になったかな?お姫様は。

本当にこの人はかわいい人だなって思う。

ホントはここで、仕事中はいちゃいちゃ控えるんでしょ?とか言いたいけど、今日はお預け。
抱きついてきてる鞘師さんのかかとが上がったり下がったりで、本当に嬉しそうなのが分かったから。


「ホント、かわいいなぁ。『里保ちゃん』は」
「ちょ、えぇ!?きゅ、きゅうにっ」
「りーほちゃん」
「もぉ!」
「ふふ」
「…でも嬉しい。ひひ」

またかかとがトントン、ってなった。

でも、そのあと

「やっぱ里保ちゃんはちがう。亜佑美ちゃんの『鞘師さん』が好きなの」

と言われ、結局いつもどおり鞘師さんに戻すことになったのでした。
まぁでも、流石に毎日は里保ちゃんとは呼べないしね!へへ。
124 名前:高津 投稿日:2012/12/30(日) 01:30
更新です!
コミケで鞘石充したので、投下!w

>>118
うちのフクさんはこんな感じです。
アホの子だけど大人で腹黒い感じですw
自分も鞘石が出戻りの入り口なので、同じですねw

>>119
ちょいちょい更新してるので、覗いて頂けてなによりですw
Sweet,Sweet!は本当に甘ったるいのが書きたかったんですよねw クリスマスってのもありましたがw
うちのナマタさんは基本的には一途です。
ただ、いろんな人に優しいだけでw
125 名前:夜ぞ現 投稿日:2013/01/01(火) 23:18
気づいたら、亜佑美ちゃんと一緒に布団に寝てた。
隣を見ると、すっごい幸せそうな顔で寝てるし。

亜佑美ちゃんが横向いて寝てるから、それに合わせてうちも向き合うようにしてみる。

すー、すー、と規則正しい息遣いが聞こえて。
うちはそれだけで異様な感覚を覚えた。

あぁ、今隣で自分の好きな子が寝てるんだ、って。

今なら起きない?
今ならバレない?

うちは、亜佑美ちゃんのぷるぷるの唇に手を伸ばす。

柔らかいほっぺたを押さえて、親指で唇をなぞる。
あぁ…すごい。

なんだろうこのなんともつかないような感覚は。

喉からせりあがる何か。
指先がチリチリして、髪の毛の先まで鳥肌が立つみたいにゾクゾクした。

「あ、ゆみ…ちゃん…」

キスしてもいいかな、いいよね?

寝てるんだから、寝てるからさ。うん。

多少強引にしてもいいよ、大丈夫大丈夫。
卑怯だって分かってても。

そのまま唇を合わせる。

柔らかくて、気持ちいい。
好きな人とキスするってこんなに幸せなんだなって。

そのまま舐めたり、唇ではむっとしたり。
すごい幸せ。
126 名前:夜ぞ現 投稿日:2013/01/01(火) 23:19

――好きだよ、大好きだよ。

何度言葉にしても足りないぐらい。
だから、行動で表現する。

本人には内緒で、こんなことをするぐらいに。
それぐらい好きなんだよ。

ちゅっ、ちゅっと音を立てながら、右手を持て余してることに気づいて。
そのまま、亜佑美ちゃんの腰を抱いてみた。

細い。

そのまま手を少し下にずらしていったら、こないだ触れなかった形のいいおしりに辿り着く。

あー、これだよこれ。
これが触りたかったの。
すっごい触り心地いいし。

でもうちすごい変態みたい。
おしりさわさわしてるし。

「んっ…?」

あ、やば。と思った瞬間。

「んっ…??んーっ!!」

自分から唇引くのが間に合わなかった。
亜佑美ちゃんがもがいて弾かれるように、亜佑美ちゃんとうちがお互いに引いてしまう格好になってしまった。

「…さやしさん、何してんですかぁ」
「えっと…ちゅーをですね…したくて」
「私の寝てる間にですか…」

眠そうな顔で亜佑美ちゃんがムッとしてる。
目をこすって、ようやく覚醒したみたいになって、あ。と声を出す。

「この手はなんなんですか、鞘師さん」
「えーっと…素敵な、おしりだなと…」
「セクハラですよ!」
「ご、ごめん…」

慌てて手を引くうち。
亜佑美ちゃんとの距離は少しだけ離れてしまった。

たかだか何センチかだけど、すごく距離があるように感じてしまった。
罪悪感がそう感じるのかもしれない。

「起きてるときに…すればよかったのに…」
「えっ」
「もう言わないですからね!」
「えーっえーっ、なんで!言ってよ!」

顔がニヤニヤしてくるのが分かる。
現金なもので、急に距離が縮まった気がした。

亜佑美ちゃんは怒っても照れてる風で、すごくかわいい。
やっぱりこの人を好きになってよかった。
127 名前:夜ぞ現 投稿日:2013/01/01(火) 23:20

「ホントに?」
「…何がですか」
「起きてるときにしていいの?」
「…もう言わないって言ったのに」
「じゃあ勝手にする。いいよね?」

好機とはこのことだ。
勉強しててよかった。
チャンスだよチャンス。

「……」
「沈黙は肯定と受け取りますが」
「の、臨むところだ」
「いいねぇ」
「もぉ…ばか」

二人して顔赤くしてるんだから、ケンカにもなるはずもなくて。
バカみたいだけど、すごく、すごく緊張して、嬉しくて、色んな感情が混ざり合ってた。

「脱がすよ?」
「えっ、えっ、そういう系!?」
「えっ、違うの?」

え、どうしよう!違ってたのか!
やばい超恥ずかしい、と思ったけど、今更後には引けない。

「ち、違ってもいい…です」
「今日は素直なのか捻くれてるのか分からんね、亜佑美ちゃん」
「もう…」
「ごめんね?」
「謝んないでくださいよ…イヤとかじゃ…ないですもん。むしろ…」
「むしろ?」

そうやって聞くと、イーッて顔をされた。
照れてるときの顔。
かわいいなぁ。

「ホントもう…超恥ずかしい…」
「ほらほら」
「わ、分かるでしょ?」
「分かんない分かんない」
「もー…鞘師さん、意地悪しないで…」
「うわ…」

かわいい。
何この子、すごいかわいい。
どうしよう。
ごめんなさい、もう無理。焦らすの無理です。

「ごめんね…?」
「ん…」
「ほんっとごめん、我慢できない」
「えっ、ちょっ…やっ、急に!」

パジャマのボタンをはずしにかかるけど、焦ってるのかなんだかうまくいかない。
128 名前:夜ぞ現 投稿日:2013/01/01(火) 23:20

「んー、もういいや」
「えっ、ちょぉっ」

そのままインナーごとたくし上げて、中に手を差し入れた。

「すごい綺麗な身体してるんだよね、亜佑美ちゃんって」
「嘘です、もぉ」
「嘘じゃないよ。ホントに。お腹とか好き」
「ちょっ、やだもう…」
「触るよ?」

結構真面目なトーンで言ったら、うんって頷いてくれて。
うちから目をそらした。
恥ずかしいのはうちだって一緒だ。
でも、これ以上は強制みたいなことはできない。

「うちね、亜佑美ちゃんの胸…結構好き」
「…ちいさいですよ私」
「そうかもしれんけど。でも好きなの」

そのまま上に手を滑らせた。
控えめだけど、柔らかいし形も好き。
触るたびに、ぴくん、ぴくんって身体が小さく跳ねるのがたまらなくかわいかった。

「鞘師さんって…ほんっと、変態ですよね」
「うちが変態なら、亜佑美ちゃんはうちにとってめっちゃやらしい子じゃけ」
「私は別に…やらしくないですもん」
「うちから見たら…すごいエロく見えるけぇ、触りたくなる」
「……そうですか…」
「そうなんだよ。だから、いいよね?」
「…も、好きにしてください」

上気した顔が本当に色っぽくて。
目もうるうるしてて。

「ホントに好きにするよ?」
「ん…」
129 名前:夜ぞ現 投稿日:2013/01/01(火) 23:21

亜佑美ちゃんの方から、キスされた。
いつもの軽いものじゃなく、より深く。

それがスイッチになって。

もうそこから記憶がばらばらで。
とにかく思うが侭に求めた気がする。

唇も。

胸も。

……も。

そのたびに跳ね上がる亜佑美ちゃんの身体。
色っぽい声。

お互いじんわり汗もかいて。
夢中で求めた。

なんだか、こっちが主導権握ってるはずなんだけど…不思議と甘えてる感じがした。
亜佑美ちゃんを抱いてるはずなのに、包み込まれてる感覚。

ずっとこのままでいたかった。
ふたりだけでずっと。
130 名前:夜ぞ現 投稿日:2013/01/01(火) 23:21

「鞘師さん」
「んー?」

仰向けになってたうちに亜佑美ちゃんが声を掛ける。
うちは視線だけ亜佑美ちゃんに移したら、意地悪っぽい顔で笑ってる。

「変態っ」
「なんてことを言うんだ」
「だって…こんなの中学生がすることじゃないですよ、もう。どこで覚えてきたんですかっ」
「いやー、ンフフ。そりゃ、まぁなんていうか、色々?」

まぁホントに色々なので、それはまぁなんというか、亜佑美ちゃんには言えない感じですけど。

「でも…そういうとこも、実は好き、です」
「なんっ、…あーもう、なんでそういうこと…言うかな」
「鞘師さん照れてるー」
「照れてないっ、も、もぉ、君が悪いんだぞ!いっつもうちのこと煽って!」
「私普通にしてるだけですもん。いっつもいやらしい目で私のこと見てるからですよ」
「うー…」

そう言われると否定は…できない。

「さっきも言いましたけど、そういうとこ好きなんですよっ」
「んー…」
「仕事熱心なところも、頭いいところも、だらしないところも、ちょっとエッチなところも…私のこと、好きでいてくれるところも」
「…そっ…か」
「そうなんですっ」

なんか、持って行かれた気がする。
こういうとき、急に亜佑美ちゃんはお姉さんになる。

負けてるんだなぁ、うち。
勘違いしてたのかもしれない。
主導権握ってるって。
でもホントは、亜佑美ちゃんの手のひらの上なのかもしれない。
 
131 名前:夜ぞ現 投稿日:2013/01/01(火) 23:21
 
132 名前:夜ぞ現 投稿日:2013/01/01(火) 23:21
133 名前:夜ぞ現 投稿日:2013/01/01(火) 23:22
 
134 名前:夜ぞ現 投稿日:2013/01/01(火) 23:22
 

「…っていう夢を見たんじゃけど」
「事細かに説明しなくていいですよ。っていうか詳しすぎですよ、どんだけ覚えてるんですか…ていうかエロい夢だし…」
「それが素晴らしかった…」
「ていうか、夢って人に言うと叶わないとか言いません?」

「でもさ、そういうこと、したくない?」
「……でもさの意味が分かりませんけど」
「したくない?」

「……」
「沈黙は肯定と受け取りますが?」
「…好きに受け取ってください、もぉ」

「じゃあ、頂きます」
「もぉ…ホント、バカじゃないの、鞘師さん」

そういう亜佑美ちゃんの顔、真っ赤だけど言わないでおいてあげるよ。

好きだからね。

 
135 名前:高津 投稿日:2013/01/01(火) 23:23
明けましておめでとうございます!
新年一発目がこんな感じですいませんw

とりあえず自分の中で年明けにちょいエロを更新っていうのを有言実行ということでひとつ。
136 名前:名無飼育さん 投稿日:2013/01/03(木) 05:50
エロ師降臨!夢オチからの現実でヨカッタヨカッタと思ったけど
無限ループに入りそうな感じの終わり方ですねw
ここの鞘師さんは明け透けでエロくてあほですねw可愛い
137 名前:LUNAR FEVER 投稿日:2013/01/04(金) 22:25



――目覚めたら今までの私じゃなかった。


抱きしめたら急に大人になった気がした。
年の差なんてなかったみたいに。



 
138 名前:LUNAR FEVER 投稿日:2013/01/04(金) 22:25

横で布団を被り、寝ている顔を見つめたら自然にこっちも笑顔になる。
ふと窓を見ると暗く、まだ朝には早いみたい。

そっとベッドを抜け出して、カーテンを少しだけ開ける。

暖房を切った部屋は、やっぱりこんな時間だと寒い。
ぶるっと震え、すぐにでも布団に戻る。

携帯を見たら、2時。

まだこんな時間かと思い、背向けていた反対側に寝返り、亜佑美ちゃんの方を向いたら急に目が開いた。

「さやしさん?」
「ごめ、起こしちゃったね。うちももう寝るから」
「んー…ねむれないんですか…?」

眠そうな顔で言うもんだからかわいい。

「違うよ、急に目が覚めちゃったけぇ。大丈夫、もう寝るよ」
「うん、おやすみ…」
「おやすみ、亜佑美ちゃん」

眠すぎて敬語抜けてるのがかわいい。
亜佑美ちゃんのさらさらの髪を撫でて、肩に手を置く。

まるでうち、年上みたい。
そんな錯覚を起こすぐらい、亜佑美ちゃんがかわいく思える。
139 名前:LUNAR FEVER 投稿日:2013/01/04(金) 22:25

昨日の夜が嘘だったみたい。
熱に浮かされたみたいに亜佑美ちゃんを求めた。

まるで夢の時みたいに。

ぎこちない子供同士のやりとりだったかもしれない。
でも、亜佑美ちゃんは優しく応えてくれた。

それが嬉しかったし、心を揺さぶった。


この人をいつまで自分の元に置いておけるんだろうって。

思ってから気付く。

思い上がってるなぁ、うち。
手に入れたつもりだったのかな、と。

実際お互い好き同士で、キスもして、結ばれて。
最後ってどこなのか考えもしなかった。

好きの先ってどこなんだろう。

亜佑美ちゃんとうちはどこまでいけるんだろう。

きっと考えても答えは出ないのかもしれない。
それでもうちは亜佑美ちゃんを手放すつもりなんかなくって、ずっと一緒にいたい。

誰かに抱きついてるのを見るだけで、嫉妬でおかしくなりそう。
子供じみた独占欲かもしれない。

 
140 名前:LUNAR FEVER 投稿日:2013/01/04(金) 22:26

目に映る亜佑美ちゃんはすっかり寝入ってしまって、かわいい寝顔を見せてくれてる。
口がちょっと開いてるし。

「ふふ、垂れそう…」

今、うち最高に変態っぽいこと考えてしまった。
でも、引く気はない。最初から。

零れ落ちてきそうなところを、舌で舐め取ってしまった。
そのまま唇の端をつっ、となぞる。

頭の中がピリピリしてる。
恥ずかしいともまた違う感覚。

ぞわっと身体が震える。

ああ、うちって最悪。
亜佑美ちゃんのすべてを手に入れたいと思ってる。

これってきっと気付いちゃいけなかった。


真っ暗な部屋の中、さっき明けたカーテンの少しの隙間から月明かりが伸びる。

そう、今夜は月夜の晩なんだ。
そうだよ。うちは今日変わったんだよ。

今までとは違う。
どこか違う一歩を踏み出してしまったんだ。

亜佑美ちゃんに軽くキスをして、うちは目を瞑る。


そう。すべて月のせいにしてしまおう。


 
141 名前:高津 投稿日:2013/01/04(金) 22:28
更新しました。
短めのをw

エロ師なかなか離れてくれないなーw

>>136
降臨させてみましたw
無限ループとは考えてませんでしたが、今回はちょっとした続きではありますw
うちの鞘師匠に関しては136さんの感想がすごく嬉しいですw
そのつもりで書いてましたので…w
142 名前:Love Dealer 投稿日:2013/01/07(月) 00:35

初めて見たのは、オーディションの番組。
誰が受かるか、どの子が後輩になるのかドキドキしていた。

結果、やっぱり!と思った。
ダンスのできる子が入ってきたって思った。
とにかく嬉しかったことを覚えてる。

それからもう半年過ぎた頃のシングルで、運命だと思ってしまった。
何かに目覚めたというか。

どっかでも何回か言ってるけど、とにかくタイプだったんだと思う。
なんで気付いてなかったんだろうって。

それだけ魅力的だった。
頭のてっぺんからつま先まで。

目が釘付けになってしまった。
あの時撮影のチェックしてる自分は、我ながら相当キモかったと思う。

あれからのうちは大変だった。
何をこんなに動揺してるのかってぐらいに動揺してて。
それを表に出さないようにするのは一苦労だった。

でもそれが、何をきっかけにしたのか分からないけれど、自分の中から溢れるようになってきてしまった。

止められなかった、好きが。

だって、だって、好きになってしまった。
だから積極的にくっついていった。

うちのことを見て欲しかった。
ただの先輩だけじゃなくて、鞘師里保っていう存在を刻み付けて欲しかった。
143 名前:Love Dealer 投稿日:2013/01/07(月) 00:36
あの時はあまりに気持ちが溢れすぎて、そのあとのことをまったく考えてなかったのは失敗だったなぁ。
結果オーライだったからよかったけど。

でもホントよかった!
亜佑美ちゃんが、うちのこと好きになってくれた!

うち、天国にでも行った気分だった。
行ったことないけど!

たくさんぎゅーってした。
たくさんちゅーもした。
ちょっと、一歩進んだことも…した。


――あなたと巡り会えて、少しずつ変わっていった。


世界が広がるみたいになった。
眩しくなった。


だから―


 
144 名前:Love Dealer 投稿日:2013/01/07(月) 00:36

「ねえ、亜佑美ちゃん」

隣で雑誌を読んでるあなたに声をかける。

「なんですかー?」

目線は雑誌のまま、次のページをめくる。
細くて小さい指に惹かれる。

「ずっと好きでいてね?」

バッと、キレのいい動きでうちの方に向く。
その顔は真っ赤になってて。

うちはつい笑ってしまった。

「な、ちょっと何笑ってんですかっ」
「なんにもー。それよりも答えて欲しいなぁ」
「…笑ったから答えませんよ」

そうやって拗ねるあなたが大好きで。

「てか急に…何いってんですか、もぉ」
「照れてるー!」
「照れますよそりゃ!」
「で?」
「え?」

いつまでも照れてくれるあなたが大大大好きで。

「……そりゃ、好きでいますよ。鞘師さんのこと」
「ウフフィヒヒ」
「キモイ!」
「あー、亜佑美ちゃん遠慮がなくなってうちは悲しいですよ」
「だって鞘師さん!」
「ウヒヒッ」

かわいい。
かわいいです。

こういうやりとりができるようになったことも、なんていうか収穫みたいな感じで。
楽しくてしょうがない。

「ちゅーしよ」
「もぉ…いいですよ」

「んっ…」

唇はすぐに離れた。
少し見詰め合って、自分のおでこであなたのおでこをぐりぐりしてみた。
145 名前:Love Dealer 投稿日:2013/01/07(月) 00:36

「わっ!なんですかぁ…ふふ」
「おでこ好きです」
「それはどうも」
「全部好きです」
「あ、ありがとうございます」

目を開いてこんなに近くで見ることって意外となかったかもしれない。
一緒に寝るときは暗いから細かいところまで分かんないし。

「目ぇホント茶色だよね」
「色素薄いんですかね?」
「そういうよね。茶色の人って」
「…目も好きですか?」
「好きだよ」
「顔も?」
「だってタイプだもん。好きだよ?」
「うぅ…」

言って恥ずかしくなってるし。ウケる。

だからいきなりチュッてしてみた。

あなたは、目を細めて笑ってくれて。
うちも笑った。

あなたと一緒ならもっと頑張れる。
あなたと一緒ならもっともっと楽しい!

この甘くて切ない気持ちをずっと受け止めていて欲しい。
だからあなたももっと甘えて、もっと好きになって。

うちが全部受け止めてあげるから。

だから、だからね?



こんな日々がずっと続きますように!



 
146 名前:高津 投稿日:2013/01/07(月) 00:38
だーちゃん誕生日おめでとう!更新!
まるで誕生日らしさのない鞘師匠目線ですw

もうちょっと何か書きたいかなーとか思ってますが、予定は未定ですw
147 名前:名無飼育さん 投稿日:2013/01/07(月) 10:02
誕生日更新きてた!
2人の関係が少しづつ進んでいくのがかわいすぎてw
ついつい見守りたくなりますね。
また歳の差が離れたけどいつか主導権にぎれるように鞘師ガンバレ!w
148 名前:2015年1月6日22時25分。 投稿日:2013/01/07(月) 23:23

「もー…いい加減掃除して下さいよ」
「えー?」

部屋はとっちらかった状態。
ソファーの上には服が散乱。
テーブルの上にはお菓子のカラが散乱。
床には仕事の資料が散乱。

「ホント何度も言い続けてる私これ」
「イヒヒ」

そういって、すんませんなぁとニヤニヤ笑う鞘師さん。

「何度もっていうか年単位になってきたんですけど?」
「そう?」
「そうですよ。ていうかね、結構私やってますよね?というかすべてやってますよね」
「そしてうちは料理ができるように…」
「なってないですからね?」

間髪容れず突っ込むと、うっ、と詰まる。
そりゃそうですよね、あなた何もしてませんよホントいつもいつも。

「料理も掃除も私がやってますし」
「でもでもうち洗濯はしてるよ?」
「でも出して干すのは私がしてます」
「…ハイ」
「一体鞘師さんは私に何を与えてくれてんのかって話ですよ」
「愛を?」
「バッカじゃないの?」
「あぁん亜佑美ちゃんが冷たい…」

拗ねて服がとっちらかったソファーの上でごろつこうとしたため阻止。
せめて避けてから座って。
ほらほら、と言いながらかけてあった服をよけて少ししわを伸ばして畳む。

そうすると、ほら。
すぐくつろぎ始める。
149 名前:2015年1月6日22時25分。 投稿日:2013/01/07(月) 23:23

「まったくもう…私は鞘師さんのメイドじゃないんですからね?」
「あ!」
「…なんですか」
「そういえば昔亜佑美ちゃんの誕生日に執事やったよねー、うち」
「そんなこともありましたよねー…って騙されませんから、とっとと片付ける!どっちも努力すればなんとかなるんですから!」
「えー!、もう夜だよ!!」
「えーじゃない!ちゃっちゃとやる!」

はぁいと呟いてしぶしぶ動くもんだから、おしりを軽く叩いてハッパをかける。
まったく私はこんな日に何やってんだろと思う。

まぁ、この年下の先輩は仕事はできるけど、自分の身の回りのことが一切できない人だからもうしょうがないのも分かってる。
やらせなきゃだらしない状態のまま過ごしてしまう人だし、クセをつけるのもイヤだし叱り飛ばしてるわけで。

「まったく…鞘師さん服のセンスいはいいんだから、料理とかだったらうまくりなりそうなもんなのに」
「めんどい」
「コラッ!」

結局ハイハイ言いながら煽ったら30分ぐらいで片付けてくれた。
いつもこうなら何の文句もないんだけどなぁ。

「ほら、散らかってるだけなんだから整理すれば綺麗になるじゃないですか」
「うちすごいじゃろ」
「指示は私ですけどね?」

フフンとばかりにふんぞり返る鞘師さん。

「偉そうな意味が分からない」
「やー、でもね、うち2人暮らしで良かったよホントに」
「私が全部やるからでしょ?」
「ちが、違うんだ。だってだってね、ホントうち何もできないから。1人だと死んでた」
「結局私が全部やってるって話じゃないですか」

そう笑いながら言うと、そうだけどさぁなんて呟いて口を尖らせる。
こういうところは本当にいつまで経っても変わらない。
150 名前:2015年1月6日22時25分。 投稿日:2013/01/07(月) 23:23

「あとうちね、年上が好きだから安心すんの。亜佑美ちゃんといると」
「それはどうも」
「愛されてますよ石田さん」
「…それはどうも」
「嬉しくなさそう!」
「あはは、嬉しいですって」
「ホントー?…ていうかね、ホント真面目な話!うちもさぁ、高校入学して1人暮らししてみたいとか親に言ったら、里保は絶対に無理とか言われるしね」
「そりゃそうでしょうねぇ」

テーブルについて、私が出したコーヒーを啜る。
いつも向かい合って喋ってるはずなのに、なんだか今日はいつもと雰囲気が違う気がする。

「誰かと一緒ならいいよって言ってくれたから助かったけどさ。オカゲサマで」
「まぁあの時は私のとこも親が仙台戻るって言ってたときでしたからね。良かったですよ。私も18ですしね、明日で。ちょうどよかった」
「そうだよね。早いけど誕生日おめでとう。改めて」
「ありがとうございます」
「遅くまで仕事できるじゃん。いいよねー。うちは夜中できないもん、まだ」

コーヒー越しに頬杖をついてる姿が様になってる。
鞘師さんホント美人になったなぁ。

初めて会ったときはかわいい子だなぁと思ったんだけど、2年って早い。

「あと2年ですよ」
「長いよー。あ、でももううち結婚できるからね?」
「いきなり何の話かと思ったけど、まぁそうですよね」
「亜佑美ちゃんと結婚したい」
「法律変えてくださいよ」

ズッとコーヒーを啜りながら思う。
ホント、2年で私たちはどれぐらい変わっただろう。
きっとたくさんあるだろうとは思う。

まぁ、自分たちの中での大きな出来事は、この一つ屋根の下に一緒に住んでるってことだけど。
151 名前:2015年1月6日22時25分。 投稿日:2013/01/07(月) 23:24

「えー、無理。あーでもさ、うちらがカミングアウトしたら大変なことになっちゃうよね!」
「大変なんてもんじゃないでしょ!」
「うちが男になるしかないか…」
「唐突に何言ってんですか…」
「もー亜佑美ちゃんのってくんないんだもん!」
「鞘師さんの意味が分からないからのれないですし」

唐突に話が変わるし、ツボも全然違う。
1人でイヒイヒ笑ってるのも見てて面白いし、いつでもわりとニコニコしててくっついてくるのもかわいい。

この人と結ばれるのは必然だったのかなって思う。

最初はライバルとか場違いなこと言ってたけど、自分は。
若気の至りかもしれないけれど、頑張れば肩を並べられるってあの時は本気で思ってた。
でもそうじゃなかった。
鞘師さんは私のずっと前を歩いていて、私は全然追いつけなくて、あるとき競うのを諦めた。

それでも鞘師さんは私に振り向いて、手を差し伸べて待ってくれる。
この人はそういう人だ。

なんか感慨深くなっちゃったな。
とか思ってると、なんだか目の前の人はそわそわし始めた。

「どうしたんですか?」
「とりあえず片付けたしケーキ食べようよ」
「変わり身早っ!!てか私の誕生日だし!」
「まぁまぁ」
「何のまぁまぁか分かんないし!」

目を細めてイヒッと笑う。

「ホールは食べきれないからいっぱい買った」
「うわ、ホントだ」
「亜佑美ちゃん何がいい?」
「じゃあチョコレートで」
「じゃあうちはいっちごショートー!」

すっすっとお皿にとりわけてくれて、誕生日おめでとうをもう1回頂いて。
そして鞘師さんのフォークは私のチョコレートケーキに。
152 名前:2015年1月6日22時25分。 投稿日:2013/01/07(月) 23:24

「はい、あーん」
「…あ、あーん」
「おいしい?」
「んっ、んん、うん、おいしい!これ超おいしいですね!」
「じゃあそのおいしいチョコをうちもいただき」
「ちょっ、んんんーーーっ!」

この人こういうの好きだなぁ。
とか思いながら、テーブル越しに身を任せる。

好きだなぁ、と改めて思う。

好きの形は2年前と少し違う。
あんなに新鮮で激しい恋だったはずなのに、今はすっかり落ち着いてる。
もちろんそれは悪い意味ではなくて、自分の中に浸透したんだなって、そういう感じ。

鞘師さんの押し押しな感じも変わらないし。
私は2年前より少し強くなった気がする。
だから。

「鞘師さんもあーん!」
「あーん♪…ん、んー!おいひぃ」
「私もショートいただき!」
「んむぐっ…あひゅみひゃん、はやい!はひゃい!!」

唇の脇についてたクリームも舐め取ってやった。
ふっふっふ。

「やってやったぜ…!」
「仕返しされた…」

互いにバカみたいなことをして日々が過ぎていく。
まだ一緒に暮らし始めた私たち、何かまたたくさんいろんなことがある気がする。

もっともっと一緒にいたいな。

「ねえ鞘師さん」
「んー?」
「ここにいてくださいね?」
「ん?いるよー、うち、亜佑美ちゃんに追い出されない限りは。ふひひっ」
「ちゃんとしてくれれば追い出しませんよ」
「えーっ、うん、頑張る」
「頑張ってくださいね、先輩」

そういうと、頑張る、とはにかんだ。

 
153 名前:高津 投稿日:2013/01/07(月) 23:26
本日2度目の更新です。
だー誕2本目ですw

今回は趣向を変えて、ちょっと未来のお話。
2人が少しだけ大人になってますw

>>147
頑張ってかわいく書くようにしてるんですが、うまくいってないと思っていたものでw ありがとうございます!
また2歳差になりましたので、うまいこと距離感も書けていけるといいなと思ってますw
154 名前:高津 投稿日:2013/01/07(月) 23:30
あ、途中で出てくる執事の話は実在のネタじゃなくて、自分がぽしゃった誕生日ネタです…w
155 名前:名無飼育さん 投稿日:2013/01/08(火) 02:19
未来の話は新しいですね!
二人はさぞかし綺麗になってるんんだろなぁ(*'A`)
156 名前:second impression 投稿日:2013/01/15(火) 01:11
久々の2人の撮影。
私は浮かれていた。

雑誌のグラビア撮影。もちろんインタビューも兼ねて。

浮かれているのは私だけじゃなかったみたい。
鞘師さんもテンションが高くて、自惚れてもいいんじゃないかってぐらい嬉しそうだった。

「2人久々だね」
「ですねー!」
「イヒヒ」

嬉しさが笑った感じにも出てた。
それがすごくかわいくて、こっちもつられて笑ってしまった。

しばらく2人で話していて、一瞬スタッフさんの呼び声にも気づかなかったぐらい。
ダメだダメだ。
仕事はしっかりしなきゃ。

程なく撮影が始まって、最初は一緒に。
滞りなく進んだ。

私もようやく慣れてきたけど、鞘師さんはやっぱりうまいなぁって思う。
しかもかわいい。

その後は鞘師さんのソロ撮影。
私は待機。
その間鞘師さんの撮影をじっと見てたけど……。

ふと、気づく。

あれ?
鞘師さん、こんな感じだったっけ?

って。
157 名前:second impression 投稿日:2013/01/15(火) 01:12
長い髪が緩くウェーブがかってて、鞘師さんの表情とか仕草を引き立てて。
スッと目を一瞬細めたのが印象的だった。

今まで、すごくかわいいけど、内面が年齢よりも上…っていう感じだと思ってて。
いや、でもそれだと大人っぽいってなるし、ていうか大人っぽくても別に何も問題ないし。

あれ?あれ?おかしいな。
何か自分の中で食い違ってる気がする。

そんなことを考えていたら、撮影が終わっていたようで。
鞘師さんに肩を叩かれる。
それにビクッとなってしまい、ちょっと鞘師さんを驚かせてしまった。

「亜佑美ちゃん、次」
「あっ、はーい」

今は考えないようにしよう。
ちょっと上の空気味だったけど、ちゃんと…できたはず。

けどやっぱり、終わったあともやっぱり腑に落ちない感じだった。

「お疲れ様ー」
「あ、お疲れ様です」

鞘師さんと会って、何か変な感覚が私に訪れる。
胸のあたりがチリッともつかないような、不思議な感覚。

「このまま帰る?」
「や、私ちょっと用事あって」
「あ、そうなんだ残念…」

一緒に帰れると思ってくれていたのか、鞘師さんはちょっと寂しそうな顔をする。
158 名前:second impression 投稿日:2013/01/15(火) 01:12

「ごめんなさい!今度は一緒に帰りましょうねっ」
「いいよ、大丈夫だから!」
「よかった。じゃあまた…」

「あ、でも待って」

鞘師さんがそう声を掛けてくれた時。
ふわふわの黒髪が揺れる。
目を細めてにっこり笑ってくれて。

何かおかしい。
おかしな感覚が膨れあがる。

何かが喉の奥からせり上がってくる。

「またね!」

頬を両手で包み込まれて、キスされた。

目の前がパチパチする。

鞘師さんは、少し照れたような顔でバイバイと言って手を振って。
そのまま走って行った。

私は、呆然とそこに立ち尽くしていて。

心臓が早鐘を打つ。
息が苦しい。
涙が零れる。

前とは圧倒的に違う感覚。
回らない頭で必死に考えながら歩く。



――そっか…私。


 
159 名前:second impression 投稿日:2013/01/15(火) 01:12
 
160 名前:second impression 投稿日:2013/01/15(火) 01:12
161 名前:second impression 投稿日:2013/01/15(火) 01:13
 
162 名前:second impression 投稿日:2013/01/15(火) 01:13

その日の翌日から、亜佑美ちゃんはおかしかったんだと思う。
最初は気づかなかった。

「亜佑美ちゃん、一緒にご飯食べよ?」
「あ、は、はい…」

微妙に距離を取られる。
その時は仕事場だし気を遣ってるのかなと思ってた。

別の日も。

「亜佑美ちゃん、あのさー」
「あ、ごめんなさい、ちょっとトイレ行ってくるんで…」
「あ…うん」

また別の日も。

「あ!亜佑美ちゃ…」
「スイマセン!」

今度は走って逃げられた。

「……なんだよ」

なんなんだよ。
うちが何したっていうんだ…。

もしかしてキスがイヤだった?
でもその前までは嬉しそうにしてくれてたのに…。

突然こんなことになるなんて、納得いかない。

もしかして…うちのこと嫌いになった?

急に不安でいっぱいになる。
亜佑美ちゃんに嫌われてしまったら、うちはどうしたらいいの?

そう考えるだけで胸が締め付けられる。
苦しい、苦しいよ。
163 名前:second impression 投稿日:2013/01/15(火) 01:13

あんなに一緒にいて、あんなにたくさん好きって言ったのに。
まだしたいことたくさんあるんだよ。
2人でもっとデートだってしたい。
ホントは一緒に暮らしたりしたい。
まだ何にも叶ってないのに。
それがこんな風に終わるなんて、とてもじゃないけど耐えられそうにない。

心臓が変な風にバクバク言う。
早く確認しなきゃ、亜佑美ちゃんに。

うちは納得いかないんだよ。

力の入らない足で、亜佑美ちゃんを探した。
どこ?どこにいるんだよっ…。

走るごとに不安になる。
もしかして亜佑美ちゃんが本当に、うちのことどうでもよくなっちゃってたら。
でも、分からない。
まだ期待を持ちたい。

そんなのがぐるぐるぐるぐる頭の中を回る。
めまいがしそう。

それでも聞かなきゃいけない。
本当のことが知りたい。


階段の前にきたら…重たい鉄の扉が閉まりきってない。
…ここ?

少しためらう。
でも、開けなきゃ始まらない。

――いた。

踊り場で蹲っているのを発見。

心臓のバクバクはさっきよりも強くなる。
164 名前:second impression 投稿日:2013/01/15(火) 01:14

「あゆみ、ちゃん」

ハッとしたように顔を上げて、階段を駆け上がる亜佑美ちゃん。
こういうときの反応はホントいいんだから。

でも、うちだってこういうとこでは負けてられん。

「待って…っ!」

ようやく掴んだ亜佑美ちゃんの右腕。

亜佑美ちゃんに触ったの、なんだかすごく久しぶりな気がした。

触った先からビリビリと感電するみたい。
ぞわぞわと鳥肌が立つ。

あぁそうだ、この感覚。
これを味わいたかった。

いつ触れても、うちはあなたのことがいつでも好きだった。
いつ見ても、ドキドキが収まることなんてなかった。

でも、今それを再び正面から感じることができるか、それを確認しなきゃならなかった。

「言いたいこと、分かるよね?」
「………」
「なんで?うち、何かした?」
「なん、も…してないです」

掴んだ手が震えてる。
何を怯えてるの?

「じゃあなんで…」

力なく掴んだ腕を下ろす。
亜佑美ちゃんはもう逃げるのはやめたのか、そのまま階段に腰掛ける。
うちもそれに倣って隣に座った。

そしてやっぱり、うちと亜佑美ちゃんの間には少しの距離があった。
亜佑美ちゃんが少し、横にズレたから。
それがやっぱりショックで、悲しくて。泣きたくなる。

「なんで、離れちゃうの…?」

えっ、と声を上げて自分がしていることに初めて気づいたみたいな反応だった。

それがなんだかうちには許せなくて。
あれだけ逃げてて、なんで、なんで!

亜佑美ちゃんの左腕を押さえて、うちの方を無理やり向かせる。
165 名前:second impression 投稿日:2013/01/15(火) 01:14

「うち、なんかした?こうやって、距離取られてさ、なんでってずっと思ってた。
何かしたなら、言って欲しい。嫌いになったのなら…言って欲しい」

最後の方は情けないことに声が小さくなってしまって。
だって嫌われてるなんて思いたくなかった。
でも聞かなきゃ分からない。

言葉が出てこない、たくさん言いたいことがあるはずなのに。

亜佑美ちゃんは俯いたままで、涙が膝に落ちる。

「ごめ、ごめんなさい…!」
「ごめんだけじゃ分からんよ。ちゃんと、理由が聞きたい」
「ごめんなさい…!ごめんなさい!」
「うちだってねぇ、すごい苦しい!でも、こんなに好きでさ、なんでって思った。好かれてると思った。
でもうちは手放す気なんてないからね!?亜佑美ちゃんが何をしてもどう思ってもうちは…うちは、絶対手放さないからね」

息が上がる。
バカみたいな独占欲。
泣きたいのはこっちだ。

でも、逃げるなんてことがなくて、正直安心した。
今は。

とにかく亜佑美ちゃんが落ち着かないと先には進まない。
だから、うちの右手は亜佑美ちゃんの背中を撫でていて。
早く泣き止んで、落ち着いて。
お願いだから。

そうやってしばらくしたあと、ようやく亜佑美ちゃんが泣き止んで。

「…最初は、私も分からなかったんです」
「ん…?」
「あの、一緒の撮影の日、なんか自分の中で色んなことが起きて」
「うん」
「自分の中で、感じてた違和感みたいなのがあって…それがなんだか、わかんなくて。…でも、気づいちゃって」
「何に?」
「鞘師さんが、好きって」

え?と思った。
それまで、うちのこと好きっていってくれてたのはなんだったの?

「ずっと、好きだと思っててっていうか、好きなんです。ずっと。
でもあの時からなんか変なんです。鞘師さん見るだけで胸が苦しい。心臓がジリジリするし。電気がバチってなったみたいになるんです。
それが、怖くて。私、どうなっちゃうんだろうって。だから…逃げ、ました」

ホッとした。
嫌われていたわけではなかった。

さっきまでの黒い感情が嘘だったみたいに、靄が晴れていく。
166 名前:second impression 投稿日:2013/01/15(火) 01:15
「触るのが、怖かった。好きすぎて、自分が分からなくなりそうで。
……私、鞘師さんのこともう1度好きになってた」

急速に胸が熱くなってくる。
さっきとは違うめまいを起こしそう。

この人はそれだけ私を好きになってくれてたんだ。そう思うとこっちまでおかしくなりそうだった。

「に、逃げたのは許しました」
「は…はい」
「亜佑美ちゃんの気持ちも、分かりました」
「ハイ…」
「罰として、うちへの思いの丈を形にして表現してください」
「えっ?」

許したけど、意地悪したくなった。
だってこんなにうちを困らせたんだ。これぐらいは許されるはず。

「表現って…えと」
「なんでもいいよ。ヒントはなしじゃけ、頑張って」

しばらくうんうん唸っていたけど、震える手を伸ばしてきて、うちの首の後ろに回してきた。
顔はうちの肩のところで表情は見えない。
身体も少し震えていた。
これが逃げた原因である『好き』であることだって実感して、うちはとろけそうになるぐらい嬉しかった。

「鞘師さんが、好きです」
「うん」
「すごく…好きです」
「うん」
「だから、ごめんなさい。今日まで苦しい思いさせて…ホントにごめんなさい」
「もういいよ、怒ってないよ」
「ありがとうございます…」

亜佑美ちゃんの声が涙声になってて、何故だかちょっと嬉しいなんて思ったりした。

そういえばと、行き場を忘れてたうちの腕を亜佑美ちゃんの腰に回す。
そのまま抱き寄せて、一呼吸。

「うちも、好きだよ」

そういうと、亜佑美ちゃんはうわぁぁってちょっと大き目の声を出して泣いた。
やっぱりそれが、うちには嬉しかった。

うちのことで泣いてくれるんだよね。
うちのことを思ってくれてるんだよね。

亜佑美ちゃんが好きで胸がいっぱいになる。

だから…抱きしめた腰をさっきよりも強くぎゅってした。
亜佑美ちゃんの身体はまだちょっと治まってなかったけど、それもまたいいかなって。

どんどん好きになって。
うちを離さないでいて。

きっとまた始まったんだよね。
亜佑美ちゃんはもう1度うちを好きになったって言ってくれた。

だからまた1から始めよう。
ね?
167 名前:高津 投稿日:2013/01/15(火) 01:17
更新しました。
2人でのグラビア撮影っていう話があったのでこんな話を。
つながりは一切ないですがw

>>155
そればっかりを想像して未来の話を書きましたw
ホント美人になってると思うんですよね!
168 名前:名無飼育さん 投稿日:2013/01/15(火) 04:38
このふたりが可愛すぎてだーいしと一緒に泣きたいw
毎度、すごい萌えです!
できればでいいのですが、この話をだーいしsideだけでも読んでみたいですね
169 名前:名無飼育さん 投稿日:2013/01/21(月) 07:24
にやにやきゅんきゅんが止まらんw
だーちゃん可愛いな(*´Д`)ホワワv
170 名前:はぐはぐアタックのその後で 投稿日:2013/01/29(火) 22:11


メンバー内で流行っていることがあった。
とはいえ、それはある意味恒例行事のようなもので。

ただ、新メンバーさくらちゃんが入って来てからそれが顕著になった。

そう。
抱きつき合戦。


「うおおおっ」

「ちょぉ、小田ちゃんやーめーてー!きゃははは!」

「おっと、危ないよー!」

「さくらちゃんこういうの好きなん?」

「ふふふ、かわいいー」

「うおっと、ハハハ、甘いな!」

合戦ではないな。
さくらちゃん単独の特攻だ。

反応は様々。
うちはというと、結構抱きつかれる回数も多くて半ば諦めているところもある。
171 名前:はぐはぐアタックのその後で 投稿日:2013/01/29(火) 22:11

「さくらちゃーん、もういいでしょー?」
「えー?いいじゃないですかー」

椅子に腰掛けてるところを後ろから抱きつかれてるところだったりする。

「えりぽんじゃないけどさぁ、好きなの?こういうの」
「うーん、えっと、うーん、そうですね、わりと」
「何その答えっ」

そういうとさくらちゃんは何かを含んだような笑い方をした。
謎だ。

さくらちゃんと仕事を重ね、お喋りを重ねていくうちに分かったことがある。
この子、すごく頭がいい。

客観的に物事を見ることができるし、何より人間関係もこの短期間でぐっと距離を縮めたところがある。
本人はまだですよーとか言ってるけどそんなことはない。
9期は10期のみんなが入ってくるまで先輩とも距離があったし、何よりうまいこと運ばせるようになるまで時間がかかってしまった。

それがさくらちゃんは1人でこうだもんなぁ。
すごいとしか言いようがない。


「お疲れ様でー……す」

あ、亜佑美ちゃんが撮影から帰ってきた!
んふふ、何の話しよっかなぁ。

「あ、亜佑美ちゃ…」

話しかけようとすると、ぎょっとされて、ぷいっとそっぽを向かれてしまう。

えっ、うち…何かした?

「石田さんどうしたんですかね??」

172 名前:はぐはぐアタックのその後で 投稿日:2013/01/29(火) 22:12

あ…。
あーあーあー。
これは、なんというか。

まずい、非常にまずい。

ここ最近亜佑美ちゃんとあんまり話してなかった気はしていた。
でも繋がってると思ってちょっとスルー気味になってたのは事実。
メールもおやすみも普通にしてくれてたし。

でも…亜佑美ちゃんがいるときにもこの子はだれかれ構わず抱きつくもんだから、うちもおろそかになってた。


「さくらちゃん、も、いいから。うん、離れて、うん」
「えっ?」

後ろを向きながら、さくらちゃんに離れるよう促したと同時に。

「小田ちゃん」
「あっ、はいっ?」
「そういうの、やめな」
「えっ?」
「先輩とはある程度ね、一定の距離っていうのを保たなきゃいけないと思う」
「えっと…」

すっとうちから離れるさくらちゃん。
でも、きっとさくらちゃんにはさくらちゃんなりのルールがあってこういうことをしてるっていうのは分かってた。
それが何かは分からないけど。
でも、一定の距離っていう亜佑美ちゃんの意見も分かる。

ただそれを強要すべきじゃないっていうのも、またひとつの意見だと思う。

実際…さくらちゃんは納得いってないみたいだし。

「あっ、分かりました!」
「な、何が」
「石田さんは鞘師さんのこと好きなんですね!」
「なっ…!」
「ブッ…」

飲んでいたお茶を噴き出しかけた。
なんてことを言い出すんだこの子は!

「あー、なるほどね。そういえば小田は知らんかったもんね」
「あ、道重さんお疲れ様です!」
「「お疲れさまです」」

どうやらいつの間にやら道重さんも楽屋に戻ってきてたみたい。

「何がですか?」
「ちょ、ま、道重さん!!」
「石田はちょっと静かにしてて」
「はぃ…」

大好きな道重さんに窘められてしょんぼりの亜佑美ちゃん。
うん、ちょっとかわいいと思ってごめんね。
173 名前:はぐはぐアタックのその後で 投稿日:2013/01/29(火) 22:12

「さゆみは小田のすることはいいことだと思うよ。先輩と距離を縮めるっていうのは。やっぱりコミュニケーション不足になるのは避けたいし。
10期だって佐藤が真っ先にれいなやさゆみに抱きついてきたわけだし」
「はい…」
「それを一時にヤキモチでダメっていうのはおかしいって分かってるよね?」
「……はい」
「さゆみも怒って言ってるわけじゃないし。それは分かって、ね?」
「すいませんでした…」
「謝るのはさゆみにじゃないよ」

うちは傍観するしかなかった。
やっぱりこういうのはうちからよりも先輩からの方がいい気がしていたし。
…実際うちが口出ししたらちょっと大変になってたと思う。

「小田ちゃん、ごめんね」
「えっ、いや、大丈夫ですよ!こちらこそスミマセン…」
「やっ、なんで小田ちゃんが!」
「いやいや、石田さんがそんなに鞘師さんのこと好きだと思ってなくて…本当にごめんなさい!」

なんだこのやりとりは。
うちの方が恥ずかしいぞ!

「やばい、小田超ウケる!こんな真面目な話した後なのに!」
「えっ、えっ、何がですか!?」
「そうだよね、石田はりほりほが大好きだもんね〜!あははは、やばーい!」

爆笑する道重さんの横で、顔を真っ赤にしてる亜佑美ちゃん。
そして何が何やら分かってないさくらちゃん。

「おおお、お茶買ってきます!」

ダッシュで逃げ出した亜佑美ちゃん。

うーん、これは…。

「えっ、石田さんどうしたんですか!?」
「さくらちゃん」
「は、はい?」
「えーっとだな、うちとね亜佑美ちゃんは…その、付き合ってるんよ」
「えっえっ、えーっ!?」

「ということで…道重さん、ちょっとうちもお茶買いに行ってきます…」
「あっはっは、いってらっしゃーい」

後ろで、さくらちゃんのそういうの、ありなんだぁ…という呟きが聞こえたけど気にしないことにした。
うん。これは気にしないほうがいい。


財布を握り締めながら、うちはちょっとニヤついて亜佑美ちゃんを追いかけた。


「かわいいなぁ、ホント」

 
174 名前:高津 投稿日:2013/01/29(火) 22:14
更新しました!
おださく初登場ですw

>>168
ありがとうございます!泣かないで!!w
序盤がだーちゃんサイドなので…あえてこのままにしたのでご容赦!w

>>169
にやきゅんありがとうございますw
だーちゃんは本当にかわいいですw
書くのが楽しいw
175 名前:ほっこりしまい 投稿日:2013/02/05(火) 00:28
珍しいね、と譜久村さんが言いながらテーブルのほうを眺めていた。

「ですよね〜。私もちょっとほっこりしちゃって」
「里保ちゃん勉強できるのに宿題するのが苦手っていうのがわかんないよね」
「確かにそうですよね!」

鞘師さんが難しそうな顔をして教科書と向き合ってる。
その隣ではあゆみんが頑張って教えてるんだけど…。
それがなんだかちょっとほのぼのする光景で、私と譜久村さんはたぶんすっごく癒されてた。

「わかりました?」
「わかんない」

うんうん唸る鞘師さん。

「なんか今回は難しい。亜佑美ちゃん何でわかるの?」
「なんでって…そりゃ私が?高校生ですから?」

あゆみんはムフフとドヤ顔。
呆れた顔をする鞘師さん。

「もぉ、亜佑美ちゃんだと進まん!」
「嘘嘘、ちゃんと教えますって」

今度はちゃんと真剣な顔をして教科書+参考書と向き合ってる。
いいなー、私数学まったくできないからなぁ。
176 名前:ほっこりしまい 投稿日:2013/02/05(火) 00:29

「いいなー」
「何が?」
「だって私数学全然ですもん。あゆみんどころか鞘師さんにだって教えられないですよー」
「聖も!聖バカだし。はるなんは国語できるからいいじゃん」
「私数学壊滅的ですよ!国語だって…そこそことかですよ?」
「そうなの?でもいいよねー、ああいうの。青春ぽくてかわいい」

お茶を飲みながら譜久村さんが微笑んでる。
この人はこの人ですごい貫禄というか、落ち着いた雰囲気っていうか。
もはや学生という感じではない感じというか。

そんな二人で眺めていると、聞こえてくる声が頑張ってるなぁという感じがして、こっちまで笑顔になってしまう。

「じゃあこれちょっとやってみてください。さっきの参考にして、ね?」
「うん…」

カリカリとシャーペンを動かす音が聞こえる。
きっとお気に入りの0.3mmの芯のシャーペンなんだろうな。

しばらく無言で頑張ってる鞘師さんを横目に、あゆみんも参考書を確認しつつ、ちらちら鞘師さんを覗きこんでる。

「で、できた」
「…うーん」
「どう?どう?」
「違いますね」
「えええー!」
「ここんとこは、こうやってこっちの公式当てはめるのが正解だったわけですねー。うんうん」
「ううううぅん、わかんない!難しいよ今回やっぱり」
「もぉー、数学は答えが1つなんだから公式さえわかれば大丈夫ですよ?」
177 名前:ほっこりしまい 投稿日:2013/02/05(火) 00:29

わかんないを連呼してる鞘師さんが何かおかしかったのか、あゆみんは怪訝な顔。

「てかさっきからどこ見てんですか?」
「唇がねぇ、綺麗だなと思って。ウヒヒ」

人間観察が趣味です、とか趣味悪いー!とかいわれそうだけど、やっぱり楽しいなってちょっと実感してしまう瞬間。
現に隣の譜久村さんは、でたでたーとか言って笑いを堪えてる。
私だって微笑ましくって面白くて、自然にニヤけてきちゃう。

「ちゃんと聞いてくださいよもう!」
「亜佑美ちゃんの説明が下手くそじゃけ、いけんのよもー」
「私のせいですか!もー教えませんよ?」
「あぁん、嘘ー、教えて!これやってかないと怒られちゃう」

もうしょうがないなぁといいつつも、顔は頼られて嬉しそうなあゆみん。

ホントだったら甘い雰囲気とかになりそうな感じの2人なのに、なんだか今日はただの姉妹みたいで。
もちろん、あゆみんの方がお姉さんに見えるってことで。

私と譜久村さんはそれを見守るそのまた上の姉ってところなのかな?

「かわいいよねー、ふたり」
「ですよねぇ」

目の前の妹2人を見つめる私たちの目はどんなだったかな。
そんなことを考えながら。

口元はやっぱり端っこがあがるのが抑えられなかった。
178 名前:高津 投稿日:2013/02/05(火) 00:32
更新しました!
ブラウザから直接なんで勝手が違った感じでしたが、短いのをひとつ。
いつも短いですけどw

最近鞘石ネタが多すぎて、動揺しすぎてしまい頭がついていきませんw
179 名前:高津 投稿日:2013/02/05(火) 00:44
あ!某所でネタ提供頂きましてありがとうございます!
と、この場を借りてお礼をば….w
180 名前:名無飼育さん 投稿日:2013/02/06(水) 19:26
高校生チーム+鞘師きゃわわ(*´д`)ホワワv
181 名前:affection 投稿日:2013/02/06(水) 21:43

もうわかっているはずなのに。
頬杖をつきながら、撮影中のあなたを眺める。

誰とでも仲がよくて、誰にでも好かれる。
性格ってすごく大事だと思う。

どうしてもえりぽんのようにはできない。
聖も愛情を一生懸命まっすぐに本人に伝えることができたなら、変わっていたのかもしれない。

悔しくて泣きそうになる。

本当は私のことが好きなんでしょ?

そうやって聞きたい。
聞いてしまいたい。

誰かと一緒の撮影風景を見ただけでこんななんて。
想いが溢れて零れだしてしまいそう。
 
182 名前:affection 投稿日:2013/02/06(水) 21:43

「フクちゃんどしたの?」
「里保ちゃん…」

そんなにどうしようもない顔だったのか。
里保ちゃんがこんな風に心配して声を掛けるなんて珍しいことだった。

「えりぽんが気になるの?」
「撮影中はかっこいいよね、って思って」
「んふふ、そうかもね」

誤魔化しで言ったことに里保ちゃんも同意してくれた。
そんな風に思ってたんだね。
いつもはえりぽんのこと邪険にしてるのに。ちょっと意外。

「フクちゃん最近ちょっと元気ないね」
「そうかなぁ?聖前からこんな感じじゃない?」

この間もえりぽんに同じようなこと言われた気がする。
やっぱり顔に出てるのかな?

「んー、うちはそうは思わなかったけど」
「そう?」
「うん。あと、すっごいえりぽんのこと見てるよね」

さっきから意外なことを言われてる気がする。
里保ちゃんって結構鋭い?

「…そうかも。だって見てて面白いよ、えりぽん」
「そうだけどさぁ…うちが言いたいのはそんなんじゃなくてだな」

何かいろいろ聞きたいのかな?

「里保ちゃん、なんか気になってることあるの?」
「えっ…あー、うん」
「いいよ」
「…ほ、ほんとに?」
「うん」

何故か尻込みし始めた里保ちゃんがなんだかおかしくて、ちょっと笑ってしまった。
一瞬むーっと言ったものの、どうしても聞きたかったみたいで真剣な顔に戻る。
183 名前:affection 投稿日:2013/02/06(水) 21:44
「フクちゃんはさぁ…えりぽんのことどう思ってる?」
「どう思ってるって……そうだね、大事な同期?」
「そういうんじゃなくてさ、もっと違うっていうか、なんか、あるじゃん」
「あぁー…そういうのを聞きたいの?」
「う、うん」

自分の中に思い留めてることを本人じゃない人に言ってしまう。

それも、……元自分の恋敵に。

ヘンなの。
別に本人は知ってるわけじゃないしね。
ていうか…そっか、もう、元になっちゃったか…なんて笑えてきちゃうけれど。

興味なのか、純粋に心配にしてくれてるのかはまだわかんない。
それでも、自分の中にこの思いを留めて置くことが今は少しつらかったから…。

「……好きだよ」
「そっ…か。やっぱ、そうか」
「やっぱりって?」
「最初はうちね、フクちゃんは亜佑美ちゃんのことが好きなのかと思ってた」
「そう、なの?」
「なんかそんな気がしてて。でも…最近違うかな?って思っててさ」
「へぇ…」
「最初はさ、亜佑美ちゃんだったら困るって思って。う、うちっ、うちの亜佑美ちゃんを渡すわけには…いかんって」

里保ちゃんは独占欲が強いと思う。
普段、自分のものだって自信を持って言うわけじゃないのに、自分のものだという表現をしてるから面白いなぁって。
今日は自信はなさそうだったけど、自分のものだってはっきり言ってきた。

…それが、聖を試したかったのかどうかは分かんないけど。
184 名前:affection 投稿日:2013/02/06(水) 21:44
「里保ちゃん、案外鋭いんだね」
「何…えっ、えっ…ホントに?」

返事をする代わりに頷いた。

「あ、あぁあ亜佑美ちゃんはっ、うちのだから!うちの!」
「ふふ、もう…違うから、大丈夫だよ」
「ああ、あわぁ、そう、だよねそうだよね。さっき…えりぽんが…って言ったもんね」

うろたえる里保ちゃんがかわいい。
本当に亜佑美ちゃんのこと、大事に思ってるんだ。
羨ましい。

聖も早く、惜しみない愛情を受けられるようになりたい。

「いいな、里保ちゃんは」
「なっ、何が?」
「亜佑美ちゃんからも、たくさん好きーって言ってもらってるんでしょ?」
「ちょっ…フクちゃん、恥ずかしい!」

聖だって『愛』って使うのは恥ずかしいから、好きって使ったのに。
真っ赤になってぶんぶん手を振る里保ちゃん。

「照れてる。かわいいね里保ちゃん」
「やめてっ、やめてー」

いいな、いいなぁ。
えりぽんも早く聖に向かってきてよ。

もう待てないよ。
苦しいよ…。
185 名前:affection 投稿日:2013/02/06(水) 21:45
向こう側では、10期のみんなとさくらちゃんがこそこそ遊んでる。
聖たちに気づいた亜佑美ちゃんが、手を振ってきたから振り返してみる。
そうすると、にこーっと笑って走ってこっちに向かってきた。

椅子を引く音が聞こえて、何を思ったのか里保ちゃんが亜佑美ちゃんに向かっていく。

「…なるほどね」

やっぱり抱きついてる。
急に抱きつかれた亜佑美ちゃんはびっくりしてはいるものの、嬉しそう。

「どうしたんですか急に!」

亜佑美ちゃんが言っても里保ちゃんは黙ったまま。
そうだよね、聖にヤキモチ焼いて亜佑美ちゃんに抱きつきました、なんていえないよね。

「いいなぁ」
「何がいいと?」
「きゃっ!……びっくりした」

横にはいつのまにか撮影を終わらせたえりぽんが立ってた。

「何?里保?」

視線の先に里保ちゃんたちがいたからなのか、そんなことを聞いてくる。

「そうだね…。ラブラブで羨ましいなって思ってた」
「羨ましいん?」
「…うん」

どうしようもない空気が聖たちの間に流れる。
ガタンと椅子に腰掛ける音が聞こえる。
聖の視線は里保ちゃんたちから離せない…というか、えりぽんを見ることができない。

見たらきっと、情けない顔してしまいそうで。
186 名前:affection 投稿日:2013/02/06(水) 21:45
「…聖は、好きな人、おる?」

あ…。

きた。

こんなときにくるなんて。

「……なんでそんなこと聞くの?」
「聖のことが知りたいから」
「そう…」
「好きな人、おるん?」

ずるいよえりぽん。
もし聖がいないって言ったらどうするの?
いるって言っても…どうするんだろう。

「いるよ」
「うそっ!!」
「ちょ、声おっきい!」
「ごめ、ごめん……嘘や、ホントに…?」
「…ホント」
「そう…」

急に大きな声を出したと思ったら、明らかにすぐ落ち込んだ。
もう、勘違いするってわかってるから…言いにくかったのに。

結局聖も我慢できないし、もういいかな。
いいよね。

チラっと横目で確認する。

「だ、誰?」

ショック受けてるくせに、自分でそういうところまで追い込んじゃうの、えりぽんの悪い癖だよ。

…でも、そういうところも好き。

自分で全部確認したいんだよね。
ショック受けたとしても、知りたいんだよね。

だから聖はちょっとだけ。ほんのちょっとだけ意地悪をする。
187 名前:affection 投稿日:2013/02/06(水) 21:46

えりぽんの右手をぎゅっと握った。
びくっとえりぽんが跳ねる。

「…誰だと思う?」
「えっ、えっ?」

横で何か動いてる。
たぶん確認してるのかもしれない。

「えっ、…え?うそ、嘘や。ホントに?ホント?」
「ホント」
「聖、はっきり言って!こんなんじゃ衣梨分からん」

もう、しょうがないなえりぽんは。

そういうところが好き。
全然我慢できないところも。

視線ははしゃいでる里保ちゃんたちからはずさずに。

手はぎゅっとしたまま、聖は答える。


「えりぽんだよ」


えりぽんの手が少し熱いなって思って横を見たら、口元がむにむにしててもうどう見ても嬉しそう。
こっちは恥ずかしいんだよ、えりぽん。

「やっつ…!!!!」
「えりぽん静かに!」

立ち上がって叫びそうになるえりぽんを小声で怒鳴る…ってヘンだけど、そうしてから椅子に座らせる。
落ち着いたのか、ため息なんかついてるし。

「嘘や、めっちゃ嬉しい!」

喜びを噛み締めてるのか、ホントに嬉しそうにしててこっちも嬉しいけど、ちょっとだけ呆れちゃう。
いつものえりぽんすぎて。

「えりぽんは?」

「衣梨奈?そんなん決まっとうよ」

ニコニコ顔で、耳元に口を近づけてきて…


「聖のこと、大好きっちゃん」


そんなの、聖もに決まってるよ!…とは言えずに、少し椅子を近づけて、えりぽんの肩に頭を乗せることで返事をした。
188 名前:高津 投稿日:2013/02/06(水) 21:48
更新しました!
久々のぽんぽんですw
どうしてもフクさんが大人になりすぎてしまうなぁ…w

>>180
かわいいですよね!
もっとかわいらしく10代らしく書けるように頑張りますw
189 名前:名無飼育さん 投稿日:2013/02/06(水) 23:21
ぽんぽんコンビが可愛らしすぎるー
190 名前:名無飼育さん 投稿日:2013/02/07(木) 01:30
ぽんぽん良かった!
しかし独占欲さやしすんカワユス(*´Д`)
191 名前:赤と青のバレンタイン 投稿日:2013/02/14(木) 23:58

失敗した…と思いつつも、やってよかった。
慣れない気合の入ったお菓子作りで四苦八苦したものの、ようやくオーブンに入れ終わって満足。

最初は大口叩いただけにやらなきゃという気持ちだったけど…、ちょっと大きいこといいすぎたと後悔しはじめた頃。
隣ではやる気まんまんで、使ってる調理器具やらなんやら数々を揃えてくれた人がいるわけで。

…親ですけど。

やっぱやめない?と尻込んだら、あんたここまでやっといて何いってんの!といわれるし。
そりゃあそうですよね…そうなんですよ。

でもね、なんかやってたら楽しくなってきちゃって、みんなの喜ぶ顔が見れるんだと思うとやっぱりやってよかったと思う。

「へっへっへ」

遠くから何笑ってんの気持ち悪いとか言われて軽くショック。
お母さん買い物行くからね、ケーキは焼けたらオーブンから出して開けずにそのままにしておきなさいと釘をさされて、ドアが閉まる音がした。

…よし、ここから決戦だ。
お母さんが買い物に行くのは知ってたし、時間かかるのも知ってる。

自分の部屋に隠してたミルクチョコとさっきケーキに使ったココアパウダー。
そして冷蔵庫の奥底に置いておいた生クリーム。

大丈夫。
レシピサイトも見直したし、前に何度か作ってる。
192 名前:赤と青のバレンタイン 投稿日:2013/02/14(木) 23:58
「よし、やるぞ!」

生クリームから湯せんして、チョコレートをゆっくり溶かして。
大丈夫大丈夫。
手順は間違ってない。

ボウルを水につけて、今度は硬くなるまで混ぜる。

「こんなもんかな」

ラップにとって、1つずつころころくるくる、まるくする。

「いいんじゃないの〜?」

10個ぐらい作れば大丈夫かな?
なんか形悪いのがあまっちゃったけど…これはお父さんにでいいや。

ココアパウダーの上を転がして完成。
ラッピング用の箱もちゃんと買ってきてる。

茶色かわいい箱。
喜んでくれるといいなー。

そんなことを考えながら、ひとつひとつ大事に入れていく。

「よしっ」

全部入れ終えて、ラッピングも完了。
赤に白のドットがいい感じ。
流石に中の箱までは赤にしちゃうとくどいから茶色にしてよかった。

カモフラージュ…ってわけじゃないけど、さらに茶色の袋に入れて冷蔵庫にイン。

よし、明日だ明日。
そんなことを考えながら、お母さんが帰ってくるのを待った。
193 名前:赤と青のバレンタイン 投稿日:2013/02/14(木) 23:58
 
194 名前:赤と青のバレンタイン 投稿日:2013/02/14(木) 23:58
195 名前:赤と青のバレンタイン 投稿日:2013/02/14(木) 23:58
 
196 名前:赤と青のバレンタイン 投稿日:2013/02/14(木) 23:59

いつもより多い荷物を持って会社に向かう。
冬だったらよっぽどあったかい部屋じゃない限り、ケーキは大丈夫だからそのまま冷蔵庫の上に。

定位置のバッグ置き場には、いつもと違うちょっとおしゃれな紙袋。

…緊張する。

なんでこんなに緊張するかなぁ。
私ってこういうときホント弱いっていうか。

はいどーぞ!ってすればいいんだ、よしよし、そうしよう。

そんなことを考えてくると、続々とみんなが集まりだした。
中学生組は学校が終わってからだからちょっと遅めの集合。

広げて見せたらみんな結構すごいすごい言ってくれて、やっぱり嬉しかった。
みんなチョコレート交換してて、なんだかかわいいなって思ってた。
譜久村さんなんかは生田さんへあげるチョコのサイズがなんか違ってて、まーちゃんにブーイング貰ってたりしてちょっと面白かった。

そして…私と鞘師さんは…まだお互いに意識して声をかけたわけじゃなかった。

もうすぐ握手会メンバーが移動する時間。
その前に絶対渡さなきゃ。

「さっ…鞘師さんっ!」

恥ずかしい!ちょっと声が裏返った。

「ん?」
「ちょっ、こっち…」
「おおう、おおおおう。待って待って、うちも持ってく」

意図を理解してくれたのか、鞘師さんも何か紙袋を持ってきてくれた。
197 名前:赤と青のバレンタイン 投稿日:2013/02/14(木) 23:59
「あの…ハッピーバレンタイン…と、あのクリスマスのお礼も、です!」
「えっ!?ホント?嘘っ、嬉しい!ンフフ、やった」
「へへ、手作りですから!」
「えっ、嘘ぉ!?ケーキだけじゃないの?」

驚く鞘師さんに緊張してたのがちょっと落ち着いた。
なんとなくいつもどおりの私でいける気がする。

「実は違うんですよ〜。ふふー。流石にチョコは今食べれないと思いますけど」
「え?いいよ、食べるよ今。今すぐ食べたい」

ガサガサとラッピングを解いていく。
赤い袋だったのが嬉しかったのか、うちの色ーとか言いながら開けてくれるのがこっちも嬉しかった。

「とるふ!!噛んだっ、とりゅふ!」
「頑張りましたっ」
「よし、頂きます」

ひとつ手にとって、もぐもぐ、もぐもぐ。
んふーっと嬉しそうな顔をしてくれる。

「んっ、やばい、おいしいねこれ」
「よかったぁ…何度か作ったことあるけど、やっぱり鞘師さんが喜んでくれるかが気になってて…」
「えー?うちは亜佑美ちゃんが作ってくれればわりとなんでも嬉しいけど」
「そ、そうですか」
「うん。やばい、もいっこ」

むぐむぐ食べてる鞘師さんの顔がかわいくてかわいくて。
なんかこっちも幸せな気分になるというかもうなんだ、顔が熱い。
198 名前:赤と青のバレンタイン 投稿日:2013/02/14(木) 23:59
「亜佑美ちゃんありがとね!うちはー去年の失敗がありますので…既製品で申し訳ないけれど」
「いえいえ、鞘師さんが選んでくれたんですから。嬉しいですよ!」
「そっ、そっか、んふふ。よかった」

そろそろ握手会へ行かなければいけない鞘師さんは、また私にありがとうと言ってくれてそのまま会場に向かった。
その後は残ったみんなでレッスンをしたあと、私が持ってきたケーキをまた食べてくれて、ケーキはありがたいことに売り切れになった。
199 名前:赤と青のバレンタイン 投稿日:2013/02/15(金) 00:00
 
200 名前:赤と青のバレンタイン 投稿日:2013/02/15(金) 00:00
201 名前:赤と青のバレンタイン 投稿日:2013/02/15(金) 00:00
 
202 名前:赤と青のバレンタイン 投稿日:2013/02/15(金) 00:00
家に帰って夕飯を食べて、鞘師さんから貰ったのを開封。

「あ、かわいい」

雪だるまのかわいいチョコレート。

「ふふ、嬉しいなぁ」

4つ入ってて、今日はまずひとつ。

「んま」

おいしいチョコ探して買ってくれたのかなぁと思うと、やっぱり嬉しくなる。
ただ、時間も遅かったし今日はもうお預け。
歯磨きしてお風呂入ろう。


――お風呂に入って携帯を見たらメールが入ってるのに気づく。

「あら」

鞘師さん。
いつもより少しだけ早い時間。
203 名前:赤と青のバレンタイン 投稿日:2013/02/15(金) 00:00
・・・

今日はケーキとトリュフありがとう!

さっき会ったときはちゃんと見れなかったけど、プレゼントもありがとう♪

パジャマ嬉しい!色もうちと亜佑美ちゃんが入ってるんだね!



さっき開けて嬉しくてひゃっっほーい♪( ´θ`)ノってなりました♪♪

今日は亜佑美ちゃんに包まれて寝ます♪

では、おやすみなさやしぃー


p.s.
あ。
言い忘れてしまってた!
亜佑美ちゃん、好きだよー!ふふふ


それでは今度こそおやすみ!


・・・
204 名前:赤と青のバレンタイン 投稿日:2013/02/15(金) 00:01
「…亜佑美ちゃんに包まれてって…もぉ、もぉぉぉ」

照れるぅー!!
鞘師さんはこういうのがずるい!
人が喜ぶ言葉を知ってるのがずるい。

くっそー…好きだなぁこういうところ。
ようやく収まったほっぺの赤みがまた増してきそう。

…実際また熱くなってきたし。

なんかまた嬉しくなってきて、もう1度鞘師さんからのプレゼントを開ける。

「ん?んんー?」

さっきは気づかなかったけど、奥に何か入ってる。
小さな茶色の袋。中身は見えない。
開けてみると、

「あ…」

ちょっとだけ星の飾りがついてるシンプルなブレスレットが入ってた。

…うわ、やばい。すっごい嬉しい。

嬉しくてちょっと腕に通してみる。

「ふふーふふふふ!やばい、嬉しいっ」

……あ。
お礼のメールしなきゃ!鞘師さんが寝てしまう!

メールを打っててもニヤニヤした顔は抑えられない。
なんて言おう。
ありがとうございます?好きです?
言いたいことはたくさんある。

そんなことを考えながら、割れた画面とにらめっこを始めた。
205 名前:高津 投稿日:2013/02/15(金) 00:02
更新しました!
間に合ってなかった!!ww
ぽんぽんが間に合わなかった…ガッデム!

>>189
ありがとうございます!かわいく思って頂けてなによりですw

>>190
ありがとうございます!
鞘師は独占欲強そう。ホントにw
206 名前:高津 投稿日:2013/02/15(金) 00:05
そして切る場所間違えたという…2度目です。
申し訳ないです!w
207 名前:本日は天井知らず 投稿日:2013/02/23(土) 22:42

「気持ちよかった?」

すべすべの背中の向こうからそう問いかけられる。
ホントこの人ってこうなんだよなぁ、とひとり苦笑。

「そりゃ…まぁ」
「何その反応っ」
「だって…そんな、普通言います?こんな、ちょっと、ねぇ?恥ずかしいじゃないですか」
「今更じゃん。何回したと思ってるんだよー」
「そういうところ意外と恥ずかしがらないですよね」

そう言うと、だって今更だもんとキャミを着始める。
私もそれに倣って床に落としたキャミとパンツを着直す。

「鞘師さんってホント…」
「ホント、なに?」
「ホントエロい」
「直球すぎるっ。あのさぁ、なんていうっ、何?あのさ、やっぱ好きな人にはそうなりますよ。分かるでしょ?」
「分かりますけどぉ。鞘師さん年齢の割にガッツリなんですもん」
「2つしか違わないじゃん」
「そうだけどー」

うーんと伸びをして、鞘師さんくつろぎモードに入る気だ。

…というか、こっちこそ今更だけど鞘師さんって太ももがすごくセクシーだよね。
携帯で写真撮らせて貰ったときも、あの太ももちょっとすごいなと思った。もちろんいい意味で。
208 名前:本日は天井知らず 投稿日:2013/02/23(土) 22:43

「鞘師さん」
「んー?」
「太ももセクシーですよね」
「はっ、はぁ?」

驚いたみたいな風で少し距離を取られる。
ちょっとショックー。

「触っていいですか?」
「ちょっ、改めて言われると…なんかヤだ」
「えー、いいじゃないですかぁ。魅力ある鞘師さんの太ももを触らせてくださいよ、石田に」

冗談交じりに言うと、ますます目線が冷たくなる。
ひどいんだぁ鞘師さん。

でもセクシーだなって思うのは本当だし。
少し乱れた髪の毛も。
デコルテのラインがキャミだと良く見えるし。
ホント、なんか。ねぇ?

「さっ、さやしさんっ触らせて!」
「ちょぉっ、亜佑美ちゃん目がマジじゃん!」
「へっへっへ、いいじゃあないですかー」
「エロ親父!エロ親父だよ!亜佑美ちゃんが危ない!」
「危ないのは鞘師さんの方ですよ」
「へっ?」

…こんなことしたこともなかった。
私が鞘師さんを見下ろすなんて。

なんだかちょっといい気分。
肩のところ押さえてるから、向こうも動けないし…動く気配もなさそう。

ただただ私を見つめてるだけ。
209 名前:本日は天井知らず 投稿日:2013/02/23(土) 22:43

「変な感じ」
「何がですか?」
「こんな体勢になるの初めてじゃない?」
「私も今そう思ってたとこです」
「…気が合うね」
「そりゃあやっぱりねぇ、お付き合いしてますから?」

ニヤニヤと言ったからなのかなんなのか、鞘師さんは半ば諦めたような顔。
でもほっぺたはほんのり赤い。

「鞘師さんってかわいいですね」
「今知ったん?」
「フゥー!自信満々っ」
「…嘘に決まってんじゃん」

煽った私に呆れたのか、溜め息をつく鞘師さん。
その反応は悲しいですっ。
だからちょっとだけ仕返し?

「嘘なわけないじゃないですか。かわいいです」
「っ…ありがと…」

あぁ…。
鞘師さんの気持ちが分かった。

いつもこんな感じなんだ。
私を組み敷く時、こんな気持ちでいるんだ。

だって、今私すごく鞘師さんがかわいい。

「やばい…ホントかわいいですね、鞘師さん」
「…もぉ、恥ずかしい」

さっきより少し赤くなった鞘師さんが身を捩る。

うっ…どうすんのこれ。
喉の奥が熱くてなんか変な感じ。

肩から手を下ろし、すぐ横で身体を支えて。
右手は鞘師さんの顎に添えて、唇を指で撫でる。
210 名前:本日は天井知らず 投稿日:2013/02/23(土) 22:44

「私好きですよ?」
「なに?」
「鞘師さんの唇」
「くっ、唇はうちの専売特許じゃろ」
「あはは、そうですけどね。私も鞘師さんの好きですよ」
「うぅぅ〜…」

いつもとは違う感じ。
なんだか楽しい。

鞘師さんが私に押し負けるなんて。

なんだか嬉しくなって、そのままほっぺにちゅー。
くすぐったそうに笑うのがかわいくて、こっちが赤くなる。

「2回戦行きます?」
「………」
「あれ?」

なんか私変なこと言った?

「…亜佑美ちゃんはムードってもんがない」
「そりゃあ…失礼しました」

こんなことで雰囲気が悪くなる私たちじゃないから、もはやお互いに笑ってしまってる。
自然体でいられるのが一番いいよね。

そう思ってると、焦れたのか鞘師さんの方からキスしてきた。

「ダメですよ。今は私が上ですから」

微妙な顔をされた。
照れたような、引きつったような。

「ん?」
「……今の、ちょっとドキッとした」
「鞘師さん、もしかしてM?」
「そっ、そうなのかな…わかんない…」
「それはそれでちょっと楽しいですね」
「楽しいとかっ。亜佑美ちゃんってS…っぽくはない、よね?」
「さぁ?どうでしょう。…試してみます?」

うんとも、ううんともつかない声で返事をされる。
恥ずかしそうで嬉しそうな表情。

…もちろんもう答えは分かってる。


だからまずは、キャミの下から。

 
211 名前:高津 投稿日:2013/02/23(土) 22:45
更新しました。
本日は趣向を変えてお送りしましたw

たまにはこんなのを!ということでひとつw
212 名前:名無飼育さん 投稿日:2013/02/24(日) 14:47
うわぁぁぁ!!!
これはいい!!いいものを読ませていただきました。
二回戦目の関係、好きですw
213 名前:ティーブレイク 投稿日:2013/03/05(火) 01:08

「へぇー。結構うまくいってるんだね、じゃあ」

譜久村さんが、パフェをつつきながら嬉しそうに言う。
なんだか恥ずかしくなってしまう。

「いや、まぁ…うん、そうですね」
「でも見てれば分かるもんね!幸せそうだもん、二人」
「聖もそれは思う。羨ましいと思ってたよ」
「もぉー…やめてくださいよぉ」

2人はやっぱり嬉しそうに笑ってて、ホント恥ずかしい。
でも、嬉しい。


私たち高校生組は仕事が午前中で終わった後、暇だったのでお茶しようという話になって、はるなんオススメのカフェにきていた。

譜久村さんはチョコパフェ。
私はストロベリータルト。
はるなんはバナナシフォンを注文してて、ガールズトークに花が咲いてたはずなんだけど…。
やっぱりするのは恋愛の話。

それでいじられるのは私ーっていうわけで。

「そっ、そんなん譜久村さんだって最近生田さんといい感じじゃないですかっ」
「ふふふ、そうなの♪」
「おっとー、否定しないですねぇ」

その間にもチョコパフェをぱくり。
それはそれは嬉しそうに食べてる。
きっと生田さんとの仲が発展したことで余計にそう見えるのかもしれない。
214 名前:ティーブレイク 投稿日:2013/03/05(火) 01:09
「えりぽんね、KYだけどやっぱり優しいし」
「やだノロケー!」
「ブログに書いちゃおうかな!ふふふっ」
「やだやめてはるなん!ダメだよっ」
「大丈夫ですよ、メンバー内で仲良しとかに見えるだけですよ!」
「もー!ダメダメ!」

生田さんと譜久村さんは本当に最近すごくいい感じ。
なんだっけ、こう…生田さんが紳士的っていうか。すごく最近カッコイイし。

うちの鞘師さんとは全然違うなぁ。なんて思ったり。
そうなって欲しいわけじゃないけれど。
いや、でも鞘師さんもカッコイイんだよ、みんな知らないだけだよ!
…いや、知ってるか。

「はるなんだって和田さんとほら!仲いいじゃん!」
「えっ、えーーっ、私!?」
「嘘っ、ホントに!?聖知らないっ」

遊びに行ったりっていう意味で仲いいのは知ってたけど、と身を乗り出してくる譜久村さん。

「そうなの?どうなのはるなん!」
「えーっ、えっと…まぁそれなりに…?」
「嘘だぁ、こないだデートしてたじゃん」
「亜佑美ちゃんホント!?」
「ホントですよー、その日メールしたら出掛けてるーとかいってて、友達?って聞いたら彩ちゃんとか言うんですもん」
「ちょっともぉ、あゆみん!」
「へっへっへ。はるなんだけに楽はさせねぇぜ…私たちだっていじられたんだもん。ねー?譜久村さんっ」
「ねー?」

溜め息をついてもやっぱり嬉しそうなはるなん。

やっぱり好きな人の話って嬉しいよね。
私だって嬉しい。

だって鞘師さん好きだもん。
 
215 名前:ティーブレイク 投稿日:2013/03/05(火) 01:09

「へへへ」
「えっ、何急に!」
「えっ、何!?」
「こっちの台詞だよー、急に笑い出すんだもん」
「えっ、嘘っ!?私笑ってました?」

二人とも、うんって頷くし。

「あー!聖わかったぁ」
「えっ」
「どうせ里保ちゃんのことでも考えてたんじゃない?」
「嘘ー!そうなの?」
「いやっ、えとっ…いやぁ…」
「やだもー亜佑美ちゃん!」
「もぉ、やめてくださいよー!好きな人の話してたんだから、か、考えてもおかしくないじゃないですかっ」
「開きなおりですよこの子ったら!」
「やだー亜佑美ちゃんやだぁ♪」

「もういいですよっ、私は鞘師さんのこと考えてました!笑っちゃったのは…記憶にないですけど」
「ふふふ、ラブラブじゃん」
「譜久村さんだってそうじゃないですかぁ」
「んふふ、でもえりぽんKYだけどね。みんなにも優しいしさ」
「でも生田さん、譜久村さんには特別ですよね、前から」
「嘘っ、はるなん気づいてた!?そうなのぉーー!うふふっ」

たぶんこの流れだと譜久村さんのノロケ大会が始まる。
それもまた楽しいっていうか、聞きたいっていうか。

幸せな話って楽しいと思う。
みんなうまくいけばいいな。
つらいことなんてホントはなければいい。

でもそんなわけには行かない。
私たちだって長いこと付き合ってないのに何かあったんだから、みんなきっと何かしらあるはず。
それを乗り越えてこその恋愛だと思うから…もし二人に何かあったら相談には乗ってあげたい。

それがメンバー愛じゃないかなって思うし。へへへ。

こういう時間、大切にしたいな。
ホントに。

そう思いながら、少しぬるくなった紅茶を啜った。
 
216 名前:高津 投稿日:2013/03/05(火) 01:11
更新しました。
短いのですがw

最近ばらついたネタはあるのですがうまくまとめられなくて苦戦中…。

>>212
ありがとうございます!
こういう決まらない感じが楽しいなと思って書いてますw
217 名前:ヒロイン 投稿日:2013/03/05(火) 23:16

「珍しいですね」

そう声を掛けても、返事がない。
目は文庫本に向けられていて、私に気づく気配もないみたい。

「鞘師さん」

…やっぱり。

だからもう一度。

「鞘師さん」

今度は肩に手を置いてみた。
ようやく気づいてくれたみたいで、

「亜佑美ちゃん。どしたぁ?」

ホント気づいてなかったんだと笑えてくる。

「ツッ…さっきから呼んでたのになぁ」
「嘘っ!全然気づかんかった」
「だと思いましたよもぉ。で、何読んでるんですか?」
「国語の宿題。読んで感想文書かなきゃいかんのよ」

栞を挟んで本を閉じる鞘師さん。
なんか構ってくれる感じがしてちょっと嬉しい。

「へぇー!東京の中学は大変だなぁ」
「亜佑美ちゃんだって去年は中学生だったじゃろ」
「そんなのやんなかったもん」
「いいなぁ〜。でもいいや、うち本読むの別に嫌いじゃないけ大丈夫

なんかすっかり気を許されてるなぁと思ってしまう。
思わずニヤニヤ。
218 名前:ヒロイン 投稿日:2013/03/05(火) 23:16

「何ニヤニヤしよるん」
「だって、鞘師さんすっごい訛りまくりですよ」
「えっ、嘘だっ」
「嘘じゃないですよ。今だってしよるんとか言ってたし」
「あ、ほんまに?嘘っ、嘘嘘、あーもぉ、亜佑美ちゃんがいけん!うち気ぃ抜いてしまう」
「あら。アレですねじゃあ、気ぃ許されてる?私」
「そーだよ。てか、亜佑美ちゃんも訛ったらいいのに」
「私特別訛らないですもん。仙台はー、シティですからー?」
「うわ、ウザっ」

全力で引かれた。
いいもんいいもん。
石田は滑るのが仕事なんだもん…。

「でもまぁ実際そんなに強烈な訛りはないですよ、仙台って」
「へぇー、そうなんだ」
「うーん…私があんまり詳しくないからかもしれないですし。わかんないんですよね、仙台弁って」
「そうなんだ…。もったいないなぁ。亜佑美ちゃんの訛り聞きたかった……あ、嘘だ、聞いたことある!」
「あれ?そうでしたっけ?」
「うん。なんか、いじ?いず?なんじゃったか、そんなんだった気がする」
「あぁ…」

あのケンカの時か。
思い出した。

「いずいですか?確かにあれはこっち来て通じなくてびっくりしたかも」
「どういう意味?」
「なんか、えーと…うまいこと言えないんですよねこれって、不快とか落ち着かないっていう感じっていうか」
「へぇ」
「ひとつの言葉では表現できないっていうかー…。他だと、お年寄りとかはだっちゃとか使いますけど」
「ふーん。なんかえりぽんと似てるのかな?」
「やー、たぶん生田さんのとは全然違うんじゃないかなぁ」
「面白いなー。うちは東北の言葉は全然分からんけすごい気になる」
「いやぁ、すいません」
「普段から喋らないんだったら仕方ないよー」

そういえば方言のことなんて最初だけだったなぁなんて思いつつ。
鞘師さんも普段から広島弁使ったらいいのになぁ。
道重さんも田中さんも生田さんも方言だし。
219 名前:ヒロイン 投稿日:2013/03/05(火) 23:17
「鞘師さんも仕事で広島弁使ったらいいじゃないですか」
「やっ、えー、なんか畏まると方言が出なくなるんよ」
「あ、そんなこと言ってましたね」
「まーでも亜佑美ちゃんの前だけじゃけ、こんな喋るの。あんまり9期の間でも喋ってなかった気がするし」
「あら嬉しい」
「亜佑美ちゃんおばちゃんみたい」
「えーっ?」
「あらっ、てよく使うよね?」
「使うかも…?」
「イヒヒ、そういうの実は好き」
「もぉっ」

今度はなんだかニヤニヤしてるし。
超嬉しそう。

鞘師さんって最近こういう顔よくするなぁ。
それだけ私がいじりやすい感じだからなのかもしれないけどさっ。

「なんですかーもー」
「いやぁ、楽しいなぁと」
「なんか私いっつも鞘師さんにニヤニヤされてる気がするんですよね」
「そぅお?」
「そうですよー!だから…こうだーー!」
「えっなに、やだやあああっ!あっははははあああ!いやああー!!あはははは!!!」
「へへへ!鞘師さんくすぐり弱いですもんねー?ふふふふっ!」
「いやっ、ちょやめああは−はははは!!ホントやめてやめて!あはははは!!」

長いことやると苦しくなるのはわかってるので、切りのいいところで手を離す。
鞘師さん息上がってます。

「ちょ…ホント…亜佑美ちゃ、ちょ、意味わかんない…いきなり…ハァ…」
「ホント鞘師さんこんな声出るとか絶対みんな知らないですよ」
「だからって突然くすぐらなくてもいいじゃん!もーー」
「ふっふっふ。突然だから面白いんじゃないですか!」
「…もー、ホント笑い疲れた…」

目じりに涙浮かべて、それを腕でごしごし擦る。
鞘師さんの悪い癖で、すぐこういう風に気を遣うのを忘れてしまう。
220 名前:ヒロイン 投稿日:2013/03/05(火) 23:17
「ダメですよ、赤くなっちゃう」
「わっ」
「え?」
「ちかい」
「こんなん慣れてるじゃないですか」

そうやって言うと、少し拗ねたみたいに頬を膨らませる。
まったくもう…。

「亜佑美ちゃんが大人になってしまった…」
「何言ってんですか、中学生が」
「子供扱いするなー!」
「いいですか?擦って痕なったらダメって言ってたでしょ?それがわかんないんじゃ子供ですよ」
「うぅ…亜佑美ちゃんが急に意地悪だ…」

そして拗ね拗ねモード発動。
でもここで甘やかさないのが石田流というか、鞘師喜ばせ流というか。

「分かりました?」
「わ、かりました」
「ならよろしいっ」
「ンフフ」
「また笑ってるし」
「叱らりた」
「喜んでるしー」

最近鞘師さんは叱られる+押し切られるのが好きみたい。
基本的に自分の意見を優先したい人なんだけれど、何故か私に叱られるのは好きみたい。
謎だ。

「叱られると嬉しくなっちゃう」
「鞘師さんMですよ、もう」
「亜佑美ちゃんにだけだよ」
「そりゃー…どうも」
「今度もこないだみたいにSっぽくしてよ」
「…考えておきます」
「んひひ、楽しみにしてるー」
「もぉ…」

すっかりエロい話に抵抗のない感じになってるなぁ。
慣れちゃった私もなんだかって感じだけど。

しかもMなのに上からなのが鞘師里保。
面白い人だなぁ。
221 名前:ヒロイン 投稿日:2013/03/05(火) 23:17

「ん?」
「鞘師さんは面白いなーって」
「そう?うち全然面白くないよ?」
「そう思ってるのは鞘師さんだけですよ」
「そうかなー?そうかぁ??」
「そうですよ」
「そっか…よくわかんないけど」

そしてかわいい人だ。

綺麗な黒髪に手を伸ばす。
指ですくとくすぐったそうに、でも嬉しそうにしてくれる。

「チューします?」
「聞かんでよ」
「それは失礼」

いつもの感じ。
いつもの感覚。

甘ったるい。
でも、こういうの好き。

むしろ好きじゃなきゃやってられない。

恋愛ってこういうもんなんだなって実感する。

唇が離れて、二人して笑い合う。
こういう時間も大切にしたい。

「やっぱうち、亜佑美ちゃんには相当気ぃ抜いてる」
「そーですか」
「そー。じゃけぇ、うちといてね?」
「ツッ…」
「なんで笑うんっ」
「かわいくて」
「そ、そっか」

寂しがりで甘えん坊な鞘師さんがやっぱりかわいい。
いつもは強気で攻め攻めだけど、急に気弱になったりするから。
余計に目を離しちゃいけないなって思う。
確かに私の方が後輩かもしれないけど。

「ねぇ」
「分かってますよ。ちゃんと隣にいますから」
「ん…」

この暖かい感じをずっと続けていけるように。

…大事にしなきゃなぁ。

貴女だけの私でいられるように、私だけの貴女でいてくれるように。

 
222 名前:高津 投稿日:2013/03/05(火) 23:18
更新しました!
久々の2日続けての更新w

秘密ドールズを鞘石でやらないかなという妄想でひとり盛り上がっています。
賛同者募集中ですw(ちょ
223 名前:センパイ! 投稿日:2013/03/12(火) 00:45

「私だけ何にも知らない…」

先輩たちが帰ったあとテーブルに突っ伏して、項垂れる私。

「…何、小田ちゃんどしたの?」
「わかんない」

遠くで工藤さんと佐藤さんの声が聞こえる。
パッと顔を上げると、聞こえてたんだとこっちに近づいてきた。

「小田ちゃん、どうしたのさ」
「まさたちに話してみるといいよ!」

何故か自信満々な佐藤さん。
この人はこういうところがいいなと思う。
対して工藤さんは落ち着いていて、ひとつ下とはとても思えない。

「なんか、あのですね…こないだ鞘師さんと石田さんが付き合ってるっていうのを初めて知っちゃって…」
「「あー…」」

口を揃えて顔を見合わせる二人。

「仲良しだからねぇ、あゆみとしゃやしさん」
「まーねぇ。それで、それがなんかあったの?」

少し言うのを悩んだけど、終わったものだからしょうがない。

「…実はちょっといいなって思ってたんです。私」
「えっ…どっち!?」
「鞘師さん…」
「えーー、嘘っ、小田ちゃん失恋かぁ…」
「でもいいんです。別に恋とも呼べない感じでしたし」
「あ、そうなんだ」
224 名前:センパイ! 投稿日:2013/03/12(火) 00:45

そう。
恋なんて呼べなかった。

ただ、素敵な先輩で。
なんでもできてかわいらしくて。
同い年だけどそれがなんとなく距離を近づけてくれてる唯一のものだった気がして、勝手に喜んでただけだった。

でも。

「…問題はそのあとなんです」
「そのあと?」
「そこに生田さんがなんか優しくしてくれて…あっ、嬉しいって思ったんですけど…」
「まさかと思うけど…」
「生田さんは最近譜久村さんと付き合い始めたって知って…もぉどうしたら…」
「あー…まーじかぁ…」
「うそっ、まさ知らないよ!?生田さんとふくぬらさん付き合ってたの?」
「何でまーちゃん知らないのよ。あんなに分かりやすいのに…。ごめん、小田ちゃんそれで?」
「あっ、ハイ…。なんかあの、ホントショックで。別に鞘師さんと生田さんが悪いとかそういうことじゃなくって…なんで私何にも知らないんだろうって」

二人はまた顔を見合わせた。
相談した側の身で思うのもなんだけど、本当に申し訳ない。

こんなこと悩みとしていえるかどうかだって微妙なのに。

困ってる私に向かって佐藤さんが、あー、と口を開いた。

「でもさぁ、しょうがないじゃん?小田ちゃんが知らなかったのは別に悪いことじゃなくって、なんだっけ、なんだっけあのー、たっ、たー」
「タイミング?」
「そうそれ!タイミングが悪かっただけしょ。しょーがない!」
「まーちゃんの言う通りっていうか…まぁなんつーか、元々できてた中に割り込んじゃうことになっても仕方ないからねぇ」
「そうなんですよね…だからなんかちょっと寂しいっていうか、悲しいっていうか」
「小田ちゃん元気だしなよー。まさがお菓子あげるからさ!」
「あ、ありがとうございます…」

そう言ってポケットから純露をくれた。
渋い…!
225 名前:センパイ! 投稿日:2013/03/12(火) 00:45

「そうだ!」
「くどぅーどしたの」

急に叫んだ工藤さんに、佐藤さんも私もびっくり。
そして叫んだ工藤さんはニマニマしてる。

「ハルこれからママに電話するからさ、今日は3人でご飯食べいこうよ!ファミレスだけど!」
「ファミレスですか?」

名案とばかりに工藤さんが提案してくれる。
その横で佐藤さんはちょっと困り顔。

「まーあんまお金持ってないよ?」
「いいじゃんサイゼ行けば。超安いじゃん」
「あ、そっか。いいよ行こう行こう!」
「小田ちゃんお母さんに連絡したらいいよ!今から電話しないと夕ご飯作っちゃうだろうし」
「いいんですか?」
「え?何?ああー、いいよいいよ。ハルたちは今日は小田ちゃんを励ます会だからさ。なはは」
「はげますー!」
「まーちゃんは寮?電話すんの」
「しゃやしさんに言えばいいと思う」
「あらそう。んじゃ決定ね!」

そのあとお母さんに電話したら、夕飯作る前でよかったとほっとされた。

佐藤さんも鞘師さんに電話をしたみたいで、いいってー!と叫んでた。
すかさず小田ちゃんのこと言ってないでしょうね?と工藤さんに釘を刺されていて。
佐藤さんは自信満々で言ってるわけじゃないじゃん!とムッとしてたけど。
なんだかそれが二人の『らしさ』っぽくて少し笑ってしまった。

そして同時に先輩二人の気持ちが嬉しくて、私はちょっと泣きそうになってしまった。
226 名前:センパイ! 投稿日:2013/03/12(火) 00:46

「工藤さん、佐藤さん」
「んー?」
「何?」
「ありがとうございますっ」
「なんでー?」
「ホントなんでだよ、別に気にしなくていいのに!ね、まーちゃん」
「そうそう、未来は明るいのさっ!君にもこれからいいことがあるっ!」

二人ともピカピカの笑顔を向けてくれた。
本当に嬉しくて、私幸せなんだなぁって実感してしまった。

「ありがとうございます…!」
「小田ちゃん、今日はハルたち3人でご飯食べながら色々話そう!ねっ?」
「はいっ!」

年下の先輩ってどうしようって思った時もあったけど、やっぱり先輩は先輩だった。
すごく素敵って思う。

二人の後ろを歩きながら思う。

「まさ何食べようかなー」
「まーちゃんドリアでいいじゃん」
「なんでくどぅーが決めるんだよぉー!」
「なははは!もー、早くいこ!」
「行こう行こうー!」

嬉しくて、嬉しくて。
思わず二人に飛びついてしまう。

「工藤さん!佐藤さん!」
「うわあっ!どしたー!」
「わっ、ちょっと小田ちゃーん!」
「えへへ。二人とも大好きですっ」
「は、恥ずかしいな!」
「まさもー」
「えへへへっ」

私、この人たちの後輩で本当によかった。

 
227 名前:高津 投稿日:2013/03/12(火) 00:48
更新しました。

odsk誕生日記念…というのは後付けでしてw
書いてて誕生日が今日だということに気づいたという大失態ですw
話の中では誰も突っ込んでないけど、おださく気が多いキャラですw
228 名前:こわがり 投稿日:2013/03/19(火) 00:31


――それは、下弦の月の夜のことでした。


夜空はオレンジと夜の濃い紺色が混ざり合って、少し紫がかっているそんな夜でした。

なんだか気味が悪いなぁと思いながら、帰り道を歩きます。
しかも帰り道であるここの道は、一番近いけれど暗い道です。
いつもなら木漏れ日の漏れる綺麗な通りなはずなのに、夜だけはゾッとするぐらい怖い。

だからいつものように早足気味で歩きます。
コツコツコツ。
辺りに靴の音が響きます。

コツコツコツ。

コツコツコツ。

コツコツコツ。

トットットッ。

コツ。


足を止めます。
何か不思議な音が混ざります。

誰か後ろからきたんだろう。
途中で横から入ってくるところもあるしと後ろを振り向いてみます。
ですが、後ろには誰もいません。

おかしいなと思い、また歩き出します。


コツコツコツ。

コツコツコツ。

トットットッ。

コツコツコツ。

トットットッ。


コツ。


やっぱり何かおかしい。
早く行きたいなら後ろから自分を追い抜けばいい。

それもないし、足を止めると音は聞こえなくなる。
もう1度確認して何もなかったらダッシュで帰ろう。

そう思い、振り向くと…
 
229 名前:こわがり 投稿日:2013/03/19(火) 00:31


「見つけたぁ…と青白い男の顔が肩のすぐ横に」

「「「「キャーーーーー!!!」」」」

何人かは話をしていた飯窪ちゃんからザザッと離れた。
うちはというと、こ、怖くてちょっと動けずにいた。

「そ、その人はどうなっちゃったの?」
「さぁ…それは分かりません。私が知ってるのはここまでですから…フフ」

香音ちゃんが聞いたことに、思わせぶりな顔をして答える飯窪ちゃん。
怖いよっ!もぉ。

「もーー。怖いっていうかもぉ…聖、これだから男の人ヤダっ」

フクちゃんはフクちゃんで見当違いなことを言ってたり。

「えりぽん何泣いてんの…」
「だってぇ、怖くない?怖いやろこんなん!後ろから男の人がワーーとかなったら!」
「そりゃ怖いけどさぁ」
「な、泣くほどのことじゃないっ、っすよね」

横で同意してきたくどぅーは、泣いてはいないけど声が震えてる。
ティッシュで鼻をかむ振りをして、目じりの涙を拭くのをうちは見逃してませんよ。

まぁこの二人怖い話苦手だからなぁ。

「鞘師さん怖くないんですか?」
「いや、怖いよフツーに」

くどぅーにそう聞かれたけど、ホント怖かったし。
そんな人後ろから来られたらうち絶対無理。

「全然そんな風に見えなくて、話した側としては物足りないですー」
「里保ちゃん顔に出ないときたまにあるよね」

がっかりする飯窪ちゃんの横で、フクちゃんが頭を撫でながら何気にひどいことを言う。

「ええー!超怖いよ!怖がってるよ!」
「ぜんっぜん見えないからそんな風に」
「ええー…」

なんでかみんなにまで笑われた。
くっそー。
この猫口がいけんのか。
230 名前:こわがり 投稿日:2013/03/19(火) 00:31

「なんか怖い話だったのに里保ちゃんの話でほんわかしちゃったな」
「ホントだよね。でも、聖今日は迎えに来てもらおうかなぁ」
「いいなぁ聖ちゃん」

とか言いながら、香音ちゃんはこういうの割とあたし大丈夫だからとかいって帰り支度をしていた。

いいなぁ…。
うちはこういうの実はダメだ。
顔に出ないのもホントに怖いからだと思うし。っていうか自分では表情に出てると思ってたんだけど。

今日は亜佑美ちゃんは別の仕事、寮が一緒の優樹ちゃんは学校の用事でこっちにこれなかったから今はいない。
えりぽんしかいないか…。

「衣梨今日は聖んち行く!」
「ええー!いきなり!?」
「ね?ね?聖お願い!衣梨今日は一人無理やけん、お願い泊まらせて!」
「う、うーん…ちょっと待って、お母さんに聞いてみるから」
「やっつー!よかった!」

今希望が絶たれた!
フクちゃんはまんざらでもなさそうな感じで、お母さんに電話をかけてる。
く、くそー。どうしよう。

「ハルはとりあえずうちの駅ついたら迎えに来てもらえばいいかな」

くどぅーは余裕でそんなこと言ってるし、もううちひとりだけ何にも決まってない。
してやったりな飯窪ちゃんは、お先に失礼しまーすとニコニコ笑顔で帰って行った。

どうしよ。
もうひとりで帰るしかない。

はぁ…。

 
231 名前:こわがり 投稿日:2013/03/19(火) 00:31
 
232 名前:こわがり 投稿日:2013/03/19(火) 00:31
233 名前:こわがり 投稿日:2013/03/19(火) 00:31
 
234 名前:こわがり 投稿日:2013/03/19(火) 00:32

そろそろみんなレッスン終わった頃かな。
今日は珍しく私一人だけ別口の仕事だったので、嬉しくもあったけどちょっと残念だった。
少し早めに終わったとはいえ、レッスンに間に合うわけもなく電車に乗っていた。
ぼーっとしてたら携帯が震える。

「ん」

はるなんからだ。

"どうしよう、私すっごい悪いことしちゃったかも!"

何のことだ??
と思って、どういうこと?と返事した瞬間、今度は電話がかかってきた。

画面には鞘師里保の文字。

えーっとどうしよう。
あ、電車止まるしとりあえずここで降りよう!
慌ててドアから飛び出して、電話に出る。

「もっ、もしもし!?」
『あ、だーさま?』
「お、おぅ…どしたんですかりーさま」
『なにそれっ』
「や、だってだーさまって言うから…」
『んふふ。あ、今どこ?』
「えっ?どこだろ、今ちょうど電車乗ってて、電話きて止まったから降りたんですけど…」
『えっ、嘘っ亜佑美ちゃんごめんね!』
「大丈夫ですよ。あ、今○○駅です」
『嘘っ。じゃあじゃあじゃあ、あのさっちょっと△△駅まで来てくれん?』
「別に近いから大丈夫ですけど…どうしたんですか?」
『あぁああぁあとで話す!早く来てね!出たとこの交番の近くで待ってるから!』
「あ、はぁ。分かりました。今行きますね」
『うん!じゃあね!』

慌しい電話はすぐ終わった。
235 名前:こわがり 投稿日:2013/03/19(火) 00:32
「なんだ…?」

とりあえず駅は3駅だし、別にダメってこともないし…。
なんかあったのかな?そう思いながらまた電車に乗った。

そして駅から出てすぐ近くの交番のとこで待ってたりーさまこと鞘師さんは…私を見つけた途端私に向かって走ってきた。

「あぁぁあぁん!亜佑美ちゃああーーん!」
「えっえっえっ、どうしたんですかもぉ」
「う〜〜〜〜」
「よ、よくわかんないですけど…大丈夫大丈夫」

よくよく顔見たらちょっと泣いてるし。
ホントにどうしたっていうんだ。

「今日さぁ…」

と、話し始めた鞘師さんの話をまとめると。

レッスン後にはるなんが怖い話を始めて、その場にいた全員がその話を聞いてたと。
で、鞘師さんが一緒に帰ろうと思ってたまーちゃんは今日いないし、同じく同じ方向の生田さんは譜久村さん家に泊まる流れになって。
結果的には鞘師さんが一人残った形になってしまったということみたいだった。

しかもなんで交番?と思ったら怖くておまわりさんがいるとなんだか安全だと思ったから、だそうである。

結局その日は怖がっていつも以上にくっついてくる鞘師さんをうちに泊めることになり、手を繋ぎながら最寄駅から家まで向かった。

「しかもひどいんだよ!うちは怖がりなのにさぁ。顔に出ないとか言われるしさぁ」
「めっちゃ顔に出ますよね?機嫌悪いときとか」
「それは言わなくていい」
「これは失礼」
「もーー」

ちょっと不機嫌になるところとか分かりやすいんだけどなぁ。
それとも分かるのは私が良く見てるからなのかもしれない…とか?
自惚れかな。
236 名前:こわがり 投稿日:2013/03/19(火) 00:33

「早くっ早くっ亜佑美ちゃんちいきたいなー」
「ハイハイ」

今日は甘えんぼ鞘師さんだから、めいっぱい甘やかしてやらないといけなそうだなぁ。
ま、それはそれで?心の広い石プロは大いに受け止めますけどねっ!

「ツッ…っふふ」
「また亜佑美ちゃん一人で笑ってるよ…」
「やーやー、気にしないでくださいよ」
「気になるよ!」
「鞘師さんかわいいなって話です」
「はぁー?」

怖い話なんかすっかり忘れたみたい。
でも私の左手はぎゅっと握られてて、よっぽど嬉しかったんだなと思うとこっちも気持ちが暖かくなる。

必要とされてるんだ、って。

「やー、今日はサイダー奢りますよ!」
「えっ、嘘っ何で!?やった!」

と思ったらバッグの携帯が震えてることに気づく。
はるなんからのメールだった。

"怖い話しちゃって、みんな大丈夫かなぁ…?すっごく心配"

ハニーのおかげでこういう日になったわけなので、ま、一応感謝かな。
私が聞かされてたら怒ってたけど、今日に限ってはハニーよくやったぜ!と返しておいた。
たぶん言われたほうは、なんで?かもしれないけど。

今日はいつもとは違うちょっと楽しい夜になりそう。


――あ、ちなみに。
はるなんの怖い話はちょっとあのあと問題になり、しばらく禁止となりましたとさ。


 
237 名前:高津 投稿日:2013/03/19(火) 00:34
更新しました。

呼び方ネタはこないだのモー女でフクちゃんがだーさん!と言ってたのが面白くてアレンジしましたw
こういう感じの出来事がなさそうでありそうな感じだったのでw
238 名前:オソロ 投稿日:2013/03/20(水) 00:34

「亜佑美ちゃーん、もういいじゃーん」
「えー?ヤですよぉ。もうちょっと探しましょう?」

うちはもうヘトヘトだよ。
亜佑美ちゃんタフだなぁ。

亜佑美ちゃんが今何に一生懸命になってるかというと、どうしても欲しいものがあるから。
どこのお店回ってもなかなか見つからない。

「うち疲れたよぉ」
「うーん…休憩入れます?」
「休憩欲しい欲しい。お茶しようよう」
「しょうがないなぁ」

苦笑いしながら、腰に手を当てて言う。
苦笑いしたいのはこっちだよ!…とはいえない。

探してるものが探してるものだから。

すぐ傍にあったコーヒーショップでようやく腰を落ち着けることができた。

「なんでないかなっもー」
「うちだって偶然いいなって思ったものだし、買ったの結構前だよ?」
「でもなんとなくあるような気がするんですよ…」
「その自信はどっからくるんだ…」

亜佑美ちゃんの意味不明な自信はいつも不思議。
それがかわいいところでもあるけど。

私はコーヒー。亜佑美ちゃんはロイヤルミルクティー。
しかも亜佑美ちゃん砂糖も結構入れるし、甘党だなぁ。

「鞘師さんってあんまり砂糖入れないですよね」
「亜佑美ちゃんほど甘党じゃないので。ヒヒ」
「私結構入れちゃうんですよね」
「ホント入れるよね!ホントに」
「だって、甘いほうがおいしいじゃないですかぁ」
「いやぁ、うちはちょい苦ぐらいがいいよ」
「えー?」
239 名前:オソロ 投稿日:2013/03/20(水) 00:35
他愛もない話。
いつからこんな風に仲良くなったんだっけかなぁ。

もう覚えてないぐらいだよ。
それぐらい親密度が高まりまして…今ではもう…って感じだもんなぁ。
時が過ぎるのは早い。

こうやって今日みたいに…かっ、彼女に振り回されるのもなんだかいいのかもしれない。
大人のカップルはこういうのをもっと知ってるのかな?

「あー早く探さなきゃ!」
「粘るねぇ」
「だってツアー始まる前に買いたいじゃないですか!」
「気持ち分からんでもないけどさぁ」
「鞘師さんは一緒じゃイヤなんですか…?」
「うっ…」

その顔やめて。
うちその顔弱いから。
椅子に座ってるはずなのに上目遣いだしさ。
キラキラしてるよ亜佑美ちゃん…。

「イヤとかじゃないから、それはもう」
「それはもう」
「いやいやいやっ、あの、まぁそりゃ嬉しいですよ!嬉しいけどね!」
「けど?」
「流石にもうないのではないかと…」
「ありますから!さ、探しにいきましょ!」

えっ!?もう!?
と思ったら、トレイにカップを乗せて返却口に持ってこうとしてた。
行動が早いです亜佑美さん。

「んもぉ、わかった、わーかったよ」
「へへっ、行きましょ行きましょ!」

それからの亜佑美ちゃんはアクティブだった。
かわいいアクセサリーや服に目移りしながらも、しっかり探し物は探してて。
抜け目がないなぁ。

鞘師さんこれ似合いますよとか、これ着たらきっとカッコイイです!とか張り切ってたし。
ホント、デートって感じだ。
いや、デートなんだけどさ。

そんなことをしながらうろうろを続けいてると、ちょっとメインの通りから外れたところの奥を眺めて、亜佑美ちゃんが一時停止。

「ん?」
「あああああああ!」

と思ったら急にダッシュしていった。

「な、なんだなんだ?」
「あった!鞘師さんあったー!」

棚とディスプレイを交互に指差していた。
240 名前:オソロ 投稿日:2013/03/20(水) 00:36

「おおおお!」
「よかったぁ!」
「あとはサイズだね」
「あ、そっか」

今度はサイズを吟味中。
2つ持って店員さんに声を掛けて試着。

「どう?」
「あ、大丈夫です。これでいける」

がさごそと音がして着替え完了。
亜佑美ちゃんはニコニコ顔でお会計してた。

ホント喜びが分かりやすいぐらいに顔に出るなぁ。
かわいい。

「へっへっへー!だからあるって言ったじゃないですかぁ」
「恐れ入りました…」

帰り道の亜佑美ちゃんはドヤドヤドヤのドヤ顔祭りだった。
まぁそりゃ欲しいものが手に入ったんだから嬉しいよね。

「これでほら、鞘師さんとお揃いのサルエルでレッスンできますよ。フフ」
「お、おー。そうだね」
「やっぱ嬉しくないですか?」
「嬉しいよっ!う、嬉しいけど反応に困るの!」
「なんでですかぁ。素直に喜んでく・だ・さ・い・よっ!」
「もぉー」

嬉しすぎて色々寒々しくなってるけど、亜佑美ちゃんらしいっちゃらしいか…。
うちだって嬉しい。
お揃いだもん、だってさ。

「やばい、やっぱ超嬉しい。お揃い」

しまったと思った瞬間、隣でニヤニヤされたと思ったら…手をぎゅっと握られた。
うっかり呟いてしまったのを亜佑美ちゃんが聞き逃さなかったわけで。

参ったなホント。

「私がお揃いしたかったんですよ。鞘師さんと」

そんな風に言われたら。

「亜佑美ちゃんずるい」

そうとしか思えなくて。
向こうはこっち向かずに横顔でふふっと笑うだけだった。

なんだかその瞬間、みたいなのが嬉しくてドキドキして。
ああ明日からお揃いのなんだと思うとワクワクして。

早く明日にならないかなと思ったけど…とりあえず今はデートの余韻を楽しんでおこうと思った。
241 名前:高津 投稿日:2013/03/20(水) 00:37
更新しました!

ハロステのリハでお揃いのおズボン履いてたのでつい…!
ついSSがどんどん増える一方ですw

すっかり忘れてたけど、このスレそろそろ容量いくかな…
242 名前:名無飼育さん 投稿日:2013/03/22(金) 21:11
オソロ萌ェ(*´Д`)
243 名前:高津 投稿日:2013/03/29(金) 21:12
>>242
オソロいいですよね!
どんどんオソロのもの増やして欲しいですニヤニヤ


こっちのスレが容量的に間に合うのか分からなかったので新スレ立てました。
どうぞよろしくお願い致します。

hoLIc
ttp://m-seek.net/test/read.cgi/grass/1364558814/

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