love
1 名前:三田久郎酢 投稿日:2008/06/08(日) 09:46
ごめんなさい容量に気付かなかった…
前スレdesireの作者です
あやみきの「変わらないもの」でスレが終わってしまったので、これからも
あやみきとか色々で始めたいと思います
2 名前:三田久郎酢 投稿日:2008/06/08(日) 09:49
前スレ
>>300 ありがとーございます。最近あやみきネタ少ないんで四苦八苦です。

>>301 妄想繰り広げさせてもらいますw

>>302 新スレでも宜しくお願いします(切実
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/06/10(火) 01:12
レスはこっちでいいんでしょうか?
ちょっと大人なあやみき良かったです
4 名前:三田久郎酢 投稿日:2008/06/14(土) 20:27
>>3
構いません、ありがとうございます。
最近あやみき時事ニュースが乏しくてエネルギー切れしそうですorz
5 名前:三田久郎酢 投稿日:2008/06/14(土) 20:28
ここらでちょっとあやみき中編でも。
学園物で、設定滅茶苦茶ですが目をつぶって見てやって下さい。
一昔前の松浦さんと藤本さんを想像してもらえれば。
ちゃんと完結するかなorz
6 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:29



入学早々、「こんな事態」になるとは思ってもみなかった。


7 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:30

カメラのシャッター音、黄色い声があちこちから聞こえる。
女子高ってこういうもん?
と心の内で思ったものの、まんざら悪い気もしなかった。
容姿には、自信があるほうだった。けれど、だからと言って、周囲に愛想を振りまく気もさらさらなかった。

ったく、あたしは人形じゃないっつーの…

軽く唇を突き出す。それでも笑顔を絶やす事は、彼女にとっていけないことだった。
8 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:30

部活の練習中にも関わらず、ギャラリーが増えるのは良く無かった。
軽く会釈をして、小走りでその場を去る。
白くしなやかな足に似合う、短いテニススコートがひらりと舞った。




「お…」


白。いや、ピンク?




「アイドル」が颯爽と記者からの質問から逃げてゆくのを、彼女も気付かないであろう、遠い場所で美貴はそれを眺めていた。
視力は悪い方じゃない。
無性にその「アイドル」を間近で、この目に焼きつけたい。ふと、そんな衝動に駆られる自分がいた。

9 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:31


「松浦さん、一緒に帰ろうよー」
「あー…ごめん。自主練して帰るから、先に帰って?」
「そっか、分かった!じゃあ明日ねー」
「うん、バイバイ」


申し訳程度に小さく頭を下げ、ペアを組んでいる友人に別れを告げた。
入部早々、先輩から「洗礼」を浴びてしまったからには、部活動の時間以外にも練習をしなければならなくなった。

シューズに画鋲って…いつの時代よ、いつの。

かわいがられる事には慣れている。こういう嫌がらせでも、好意のもてなしでも。
亜弥にとっては、シューズを履く前にその凶器に気付く事が出来てよかったのが何よりだった。
中学時代からずっと続けてきたテニスをやるためにこの学校に入学したようなものであり、この手の嫌がらせはもう飽きてしまっている。
テニスをしている割には真白な手足をぐんと伸ばして、腰をひねる。
どうせしばらくの間は、試合には出してくれないんだろう。予想はいくらでもできる。
だからこそ力をつけなければいけなかった。「かわいいだけ」の人形で、いたくはない。

10 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:31




パコーン、と軽快な音が聞こえる。

耳を澄ますまでもなく、美貴にはそれが何なのかすぐに分かるのだった。
とっくに下校時刻は過ぎているが、一向に帰ろうとしない美貴に、ついにまいは口を挟んだ。


「ねー、帰ろうよ。お腹空いた」


パコーン


こつん、と胸に球があたるような、刺激。
美貴はまいの問いかけに笑みを浮かべて、どてっと机に上半身を任せてみた。
落書きだらけで傷だらけの机上をうっすらと眺めて、窓の外に視線を移した。

11 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:32

しなやかな弧を描いたテニスボールは、白のラインを越える事なく地に弾む。
徐々に暗くなりつつあるグラウンドに、真白のライトがかっと点灯された。
美貴はそれとともに、ガタンとイスから跳ね上がる。まいの目は、大きく見開かれていた。

12 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:32


「どう思う?」
「…あやや、かぁ。美貴って年下好きだったっけ?」
「…いや、そういうわけじゃないけど」
「気になる?」



ふと気付いたのは、何十本目かのサーブを打った瞬間だった。
栗色の、自分よりもいくぶん長い髪の生徒が、こちらを見ていた。
汗と疲労でよく見えないものの、自分と同じ学年ではないことは確認できる。
ギャラリーがまだ残っていた。と、亜弥が若干の面倒くささを感じた事は言うまでもない。
それでも向こうの視線は、確実に亜弥へと向けられていた。
スポーツドリンクを飲み干し、口元をタオルで吹く。一瞬だけ、二人の目が合った。

13 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:34




「おはよー松浦さん」
「あ、おはよ」
「昨日遅くまで練習してたみたいだけど、大丈夫?」
「…ふぇ?何が?」

移動教室後、できれば会いたくない集団に出くわしてしまった。
部活の友人達が、異様な目つきをして亜弥を囲むように立ちはだかる。
無論、恐れはなかった。それよりも、これから起こる事が予想できてしまい、ますますうんざりとさせられる。

14 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:34



「ホラ、腕とか壊しちゃったら大変でしょ?新人戦のシングルスは松浦さんが選ばれるんだし」
「…あはは。でも、まだ決まってないし」
「どうせそうなるって。じゃ、放課後ね」

彼女達は、ひらひらと亜弥の顔の前で手をかざす。ネイルで彩られた指先が印象的だった。
こうなることが日常。妬みや恨みを買うことはしょっちゅうだし、これで傷付く事はまずなかった。
現に、彼女達の色とりどりのちぐはぐな化粧がが可笑しくて、思わず吹き出してしまいそうになるほど。


…そう言えばあの子達、一応友達なんだっけ。


そう思うと、寂しさは切りが無かった。



15 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:34



「梨華ちゃん、亜弥ちゃんて子、知ってる?」
「知ってるもなにも、後輩だけど。どうかしたの?」

亜弥の姿を見てから、美貴の様子はいつもより少し違った。
まいはなんとなくそれを感じていた。フットサル部の練習中も、テニスコートをぼんやりと見つめ、時折妙な笑みを浮かべるのだ。
あの美貴が、「アイドル」に夢中になるなんて。まいは、そんなこと、地球がひっくりかえっても有り得ない事だと信じていた。けれど、

16 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:35


「…なんでもない」
「何よ、変な美貴ちゃん」
「変って、おめーには言われたくないよなー」
「ちょっと、勝手に会話に入ってこないでよ!」
「あーうっせうっせ。美貴ー、部活行こー」
「う、うん」


梨華は美貴の不可解な質問も忘れ、ぷんぷんとしながらテニスラケットを抱いてコートへ走って行った。
ひとみは、べっ、と舌を出して美貴の肩を抱き、ずるずるとグラウンドへ連れて行く。
今日はテニスコートに、あの子がいる。
そう思うと、向こうの意識とは関係なく、胸が高鳴るのだった。

17 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:35







「ねえ、あれ…」
「わ、美貴先輩じゃん!かっわいーなぁ」
「あたしは吉澤先輩だなぁ、マジかっこいいー」
「ね、松浦さん手振ってみてよぉ。きっと振り返してくれるから」


どこまで便利な人形なんだろう。つくづく思ってしまう。
人数が多いせいか、同じ学年でも会話をすることのないチームメイトはたくさんいる。
だから、さっきみたいな事がよく起こるわけで―――
入部して数カ月が経つというのに、未だに名前で呼べる関係は作れていない。
ネット越しに黄色い声をあげる彼女達は亜弥を引き連れて、嫌味な笑みを浮かべる。
あさはか そんな言葉がぴったりだと、そう思った。
18 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:36


「あ、こっち見た!」
「………あ、」


背番号6。栗色の、きれいな髪。
昨日の放課後、目が合ったのは、あの人だ。



19 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:36

「あれ、絶対あたしの事見たんだよ!」
「バーカ、そんなわけないでしょー。あたしだって、あたし」
「いーや、今のは絶対……」
「…………」


かわいい、人だ。
いや、自分には劣る……けれど、亜弥は思わずはっとした。
隣で煩くああだこうだと言う声すら、耳に入らない。

もしかして、昨日、あたしの事見てたのって――



ギャラリーの一人だと思っていたが、本当だろうか。
何故か、美貴の瞳に吸い込まれるような気がした。




20 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:36



「亜弥ちゃん、今日も残って練習?」
「あ、ハイ」
「そっか、気を付けてね!フットサル部の子が部室の鍵もらいに来るから、それまでには上がりなよ?暗くなるし、亜弥ちゃん可愛いから危ないし」
「あはは、ありがとうございまーす」


部長を務める梨華として後輩を想う気持ちがあるのは当たり前なのだが、亜弥にとってはそれが唯一の救いだった。
亜弥の頭にぽんと手を置いてにっこり笑う。その笑顔のせいか、後輩からもよく慕われている。皮肉や嫌味など全く含まないその笑顔に裏表はないと、亜弥もよく分かっているからだ。

21 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:37

梨華やその他の先輩が帰ると、亜弥は早速自主練を始めようと、一息ついて立ち上がる。
その時、目の前にいた数人のチームメイトが、ぐいっと亜弥の肩を押し倒した。
突然の出来事だったが、亜弥が我を忘れる事はなかった。
いつかは来ると思っていた事が今、起こっている。いやに冷静な自分がおかしいくらいに、地面に座り伏していた。


「った…
「あははっ、ごめんごめん。いー加減目障りだなーーって、ごめんね?」
「チョーシ乗るのここまでー!ってことで!」
「チヤホヤされて楽しそうだよねー、新人戦の切符まで勝ち取ってさー」
「マグレもいいとこだって」


次に何を言われるかと身構えたが、もう無駄だった。
ライトが点灯する前、まだ薄暗い時間は外からテニスコートの様子は見えづらい。
もしここで「たすけて」などと叫んだとしても、亜弥は今目の前にいる彼女達に何をされるかよく分かっていた。
擦りむいたひざ小僧が痛む。けれど、彼女達の言葉が一番の凶器だった。
22 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:37


一人がラケットを振り上げる。いつそれが振り下ろされるのか、わからない。
噛み締めた唇で抵抗の声をあげるタイミングを逃し、頭を垂れて彼女達の笑い声をただ聞いていた。


「可愛いだけの人形はさぁ、目障りなんだよ」


あたしは、人形じゃない。


それが振り下ろされた瞬間、亜弥は小さく悲鳴を上げて身を縮めた。
がつん、と鈍い音が聞こえたが、痛みは感じなかった。
その代わりに目を開けると、真っ青な顔をした友人達と、血だらけの右手を振り上げる、美貴の姿があった。
23 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:37


地面に、数滴の赤いしたたりがこぼれる。
手首の肉をえぐったそれがカランと落ち、美貴も右手を下ろした。


『フットサル部の子が、部室の鍵もらいに来るから』


ふと、梨華の言葉が亜弥の頭中を過った。


24 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:38




「何、してんの?」



「やっ…あの、ごめ、ごめんなさ…
「今、この子に何しようとしたの?」
「っ…え、と」
「答えろよ」


声にならない声で、彼女達はうろたえた。
美貴の鋭い瞳と言葉で、震え上がり、怯えていた。
亜弥は事態をようやく飲み込んで、ゆっくりと胸を撫で下ろした途端、今まで我慢してきた事の全てを吐き出してしまいそうになった。
血の付いたラケットを見て、座り込んだまま思わず美貴の腰に抱き着いた。
びく、とラケットを振り上げた本人達が反応を示す。外はもう、真っ暗だった。



25 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:38


「…もう、いいから帰りな。この事、黙っててあげるから」
「っ…は、はい」
「その代わり、この子に指一本触れるな」


弱々しくぶらさがった右手は、青く変色してしまっていた。
亜弥はその手にそっと触れて、大急ぎで退散した彼女達をぼうっと見つめていた。
友人、ではない。この関係に、どんな名前を付ければ良いのだろうか。
そう思うと、涙が溢れた。


「っく、ふ…うぇっ…」
「…って、ちょ、どっか怪我してたの?!」
「…ぅ、う…ふぇっ…手、ごめんなさ…」
「え…いや、全然、へーきだよ?」


驚くより先に、怒りと、衝動が止まらなかった。
梨華の言った通り、部室の鍵をとりに来たのは美貴だったのだ。

テニスコートに行けば、もしかしたら会えるかもしれない。少なからず、そんなチャンスを願って。
26 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:39


それとは逆に、酷い光景を目にしてしまったと美貴は思った。
二年半も女ばかりの集団生活をしていれば、いじめなどということは少なからず起こる。
しかし、その被害者が想い人となれば、ただ傍観しているというわけにもいかなかった。
こうして目の前で小さな子供のように涙する亜弥に、美貴はますます胸をときめかせた。


平気だ、とは言うものの、実際我慢しようのない痛みを堪えきれるわけがない。
左手で亜弥の頭を撫でてなだめながら、曲げる事も動かす事も出来ない右手をかばって、そっと抱き締めてみる。
…よ、良かった…抵抗されなくて…


27 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:39



「…亜弥ちゃんは、人形なんかじゃないから」
「…え…?」
「あんなやつらの事なんか気にしなくていいんだよ。亜弥ちゃんの事、美貴はそんな風には思わないし。確かに凄く可愛くて人形みたいだなって思うけど…っていやいやいや!!み、美貴が言いたいのはそういうことじゃなくてっ…
「…く、ふふふっ…にゃはは。…ありがとうございます」
「あ、うん…へへ」


とん、と寄り掛かる小さな身体が、美貴の頬を綻ばせる。
遠く感じていた亜弥の存在を、今はこんなに近くで感じる事が出来るなんて、誰が予想していただろうか。
幸か不幸か、ライトはまだ点灯されていない。この二人きりの空間を邪魔するものは、いっさいなかった。
28 名前:be in love 投稿日:2008/06/14(土) 20:40


「とりあえず…医務室行きませんか?」
「…そう、だね」
「ごめんなさい、あたしのせいで…」
「いやいや!そんな悲しい顔、しないで…」


しゅん、としょげた顔を見せられては、こちらとしてはたまらない。
美貴は口から出かけたとんでもない言葉を飲み込んで、向こうから状況を察して走ってくるまいや吉澤にだらしない笑顔を向け、亜弥に繋がれた左手をやわく握り返した。

29 名前:三田久郎酢 投稿日:2008/06/14(土) 20:41
今日はこんな感じで。
誤字脱字等多いですが脳内変換でお願いします(土下座
吹く→拭く だしorz

いつになるか分かりませんが完結するまでおつきあいお願いします…
30 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/06/15(日) 01:56
面白そうな感じですね!
私の好きな感じのあやみきです。
次回も楽しみにしてます。
31 名前:I 投稿日:2008/06/15(日) 22:22
新作読めるなんてうれしいです。
さっそくな展開に、次回も期待しています。
32 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/06/16(月) 20:03
良いですね!
続きをゆっくりお待ちしています。
33 名前:三田久郎酢 投稿日:2008/06/22(日) 10:15
れっつ更新
34 名前:be in love 投稿日:2008/06/22(日) 10:15
あの事件以降、亜弥に対する嫌がらせや皮肉などが嘘のように消えてしまった。
それはそれで本人も安心した。しかし、まさかテニス部を退部するとは思わなかった。

梨華は全ての事情知り、とても残念そうだった。
それでも亜弥の事を考えると仕方ない事だと、落胆の笑みを浮かべていた。
亜弥は亜弥で、ほんの少しの負い目を感じていた。彼女達が部活を辞める事を引き止める気持ちは無いが、廊下で顔を合わせる度に怯えた顔を見るのは、こちらとしても良い気はしない。

美貴に怪我を負わせたのは彼女達である。しかし、原因を作ったのは、自分だ。

35 名前:be in love 投稿日:2008/06/22(日) 10:16



「ミキたん!」



顔を合わせる度に、この名前で呼ばれる事が本当に良いのだろうか、と照れてしまう。
もちろん周りだって不思議に思わない筈はない。完全無欠の「アイドル」松浦亜弥が、藤本美貴に奇妙なニックネームをつけることなど、以前の当人では考えられない。
そう呼んで良いと許可を出したのは、美貴なのに。

36 名前:be in love 投稿日:2008/06/22(日) 10:17



「な、何?」
「お願いがあります!」
「…お願い?」
「…一緒に、帰ってもいいですか?」
「え?美貴と?」

予想外の幸運に巡り合えた。

美貴は、亜弥がいつも同じクラスの生徒と帰っている事を知っていた。
だから帰り道が一緒の事を理由にして、偶然を装った所で一緒に帰るとしても、格好がつかない。

いくらあの事件から親しい仲になったとは言え、はたから見ればただの先輩と後輩の関係である。それを逸する手段としてはいくらでもあるのだが、へたれな美貴がそんなことをできるはずもない。

37 名前:be in love 投稿日:2008/06/22(日) 10:17


「今日は部活もないし、たんと一緒に帰れるかなって思って」
「え…あ、うん!亜弥ちゃんがいいなら、もちろん!」
「へへ、良かったぁ」

「いつもの子は?」と尋ねると、美貴の予想通りその生徒は風邪で休みだと言う。
不本意ではあるが、休んだ子に感謝限り無いほどである。


「手、大丈夫?」
「うん、へーきだよ。もうすぐ包帯とれるし」
「そっかぁ、良かった」

屈託のない笑顔を見せて、優しく美貴の手をとった。
「もうすぐ」と言ったところで、完治にはまだまだ時間がかかるのだが、気休め程度の言葉でも亜弥は納得してくれたようだった。

ここ数日で、美貴は亜弥がどんな人物なのかよく分かるようになった。
テニスの推薦で強豪校であるこの学校を選んだ事、家族構成、趣味、特技。どれも美貴が知りたかった事を、聞かずとも教えてくれる亜弥に、なぜか惹かれていく。
3年間女子高を経験してはいるが、本気で同姓にこんな気持ちを抱いた事は初めてだった。
38 名前:be in love 投稿日:2008/06/22(日) 10:18


もちろん、おふざけ程度のキスやハグは慣れている。
それとは違う、亜弥に対する気持ち。こればかりは全くお手上げである。


「たん、聞いてる?」
「…う、わっ!」

ぐい、と空いてるほうの手を引かれて、瞳を覗き込まれた。


「あたしの話、つまんないですかぁ?」
「違う違う!ちょっと、考え事してただけ!」
「ほんとに?じゃあ何考えてたの?」
「う…亜弥ちゃんのこと」
「…え?」

思わず、とんでもないことを口走ってしまった。
亜弥も亜弥で、さすがに照れた様子で美貴の手をするりと離し、うつむき加減に頭を垂れる。
他に言い訳をするならたくさんあっただろう、目の前にいる本人にこんなことを口にするのは、妥当ではないのに。
39 名前:be in love 投稿日:2008/06/22(日) 10:18


「……なんか、嬉しいな」
「…え?ひ、引かないの?」
「違うよ。たんは、ちゃんとあたしのこと見てくれてるんだなって思ったの」

亜弥の意図する事を、美貴はすぐに理解する事が出来た。
「アイドル」の肩書きを背負わされた彼女にとって、興味本位の感情だけで近寄る人は少なくない。それに、あの事件のようなことも、一度だけではない。


「…ちゃんと見てなかったら、骨折してまで助けないよ」
「…え?骨折って…」
「あああ!だ、打撲ね!」
「うそ、ごめん…」
「うわぁ…な、泣かないでよぉ…」

40 名前:be in love 投稿日:2008/06/22(日) 10:20

何故だろう、美貴と出会ってから、泣く事が増えた気がする。

目の前で慌てて亜弥を抱きとめるこの人が、愛おしくて仕方ない。
本当に自分だけを見て、対等になってくれるのは、この人だけだと亜弥は思った。

泣きながらしがみついた美貴の身体からは、包帯と、薬の匂い。
美貴はただ泣きじゃくる亜弥の背中をさすって、壊れないよう、優しく抱き締める。


「何度も泣かれたら、美貴、困っちゃうよ」

ゆらゆらと身体を揺らして、子供をあやすように美貴は言う。
――診察で、骨折してた事が分かった。 こんなこと、口が裂けても言えない。そう思っていたのに。
どうせならずっとこのまま困らせてやろうか。そうしたら、この腕が離れる事はない。
もう少しこのままでいいならと、美貴の肩にひたいを擦り付けて、そのままふらふらと歩き出す。
41 名前:be in love 投稿日:2008/06/22(日) 10:20

美貴は引きずられるように、ふらふらとそれについて行く。ふてくされたような亜弥の顔を見れない事は残念だったが、不思議と心地よい。

怪我の功名――ってやつかなぁ。 

別れ際に腫れた瞳を下げて手を振った亜弥を、これ以上ないくらいに愛しいと感じた。


42 名前:be in love 投稿日:2008/06/22(日) 10:21
   
43 名前:be in love 投稿日:2008/06/22(日) 10:21
44 名前:三田久郎酢 投稿日:2008/06/22(日) 10:25
なんだろうなーこんな展開になる筈じゃなかっ(ry
2002年の松浦さん春コンDVDを見て思わず悶絶してしまうほど可愛かったので、
その頃の松浦さんを意識したつもりなんですがもうgdgdもいいとこになってしまいました。
あれからもう6年も経ってるわけですね。松浦さん美人になったなぁ(黙


レス返


>>30
どうもです。gdgdすぎて申し訳ないですorz

>>30
学園物好きの作者です。この頃の松浦さんは神。

>>31
続きうpっときました。これからどうなるかは未定orz
45 名前:三田久郎酢 投稿日:2008/06/22(日) 10:26
>>30
>>31
>>32

でしたすいませんorz
46 名前:三田久郎酢 投稿日:2008/06/22(日) 21:26
思い付きで超短編
47 名前:no title 投稿日:2008/06/22(日) 21:26
君が見る幸せの風景に、もう僕はいないんだね
48 名前:no title 投稿日:2008/06/22(日) 21:27





「あ、もしもし亜弥ちゃん?えーとね、さっきまでお風呂入っててね」


「じゃ、そういうことで。また明日電話するね。おやすみー」


今、何してる? 美貴は今、一人だよ。

49 名前:no title 投稿日:2008/06/22(日) 21:27


「あ、もしもし亜弥ちゃ―
「オカケニナッタデンワバンゴウハ、ゲンザイツカワレテオリマセン――」





50 名前:no title 投稿日:2008/06/22(日) 21:28


君が見る幸せの風景に、もう僕はいない
51 名前:no title 投稿日:2008/06/22(日) 21:28
52 名前:no title 投稿日:2008/06/22(日) 21:28
53 名前:三田久郎酢 投稿日:2008/06/22(日) 21:29
はい、超短編w
最近松浦さん藤本さんがイチャコラしてくれないのでこんな暗い話になってしまいました。
あやみきは不滅…であってほしい泣
54 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/07/09(水) 00:46
めちゃくちゃ続き待ってます
55 名前:三田久郎酢 投稿日:2008/08/08(金) 21:20
作者です
大学受験が迫っている為更新が滞っておりますが…今しばらくお待ちをorz
56 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/15(金) 01:44
うわそんな若い作者さんだとは思わなかったww
そこはもちろん学業優先で頑張ってくださいね
57 名前:三田久郎酢 投稿日:2008/08/15(金) 19:20
お待たせしました。
と言ってもわずかです…申し訳ないorz
58 名前:be in love 投稿日:2008/08/15(金) 19:20
ドロドロに溶けてしまいたい、衝動。
ちょうど口の中で転がされているこの甘いキャラメルのように、あの子と。
59 名前:be in love 投稿日:2008/08/15(金) 19:21



「って、キモすぎでしょ…」



バフバフと枕元にあった大きなティディベアにパンチを食らわす。
痛いよ!なんて抗議一つしないティディベアは、ぽすんとベッドの下に頼り無く倒れた。

美貴は躊躇った。亜弥の泣き顔に、笑顔に。
これでもいくつかの恋はしてきた。けど、オンナノコに対してのこの気持ちは、いったい何だ?どんな名前がちょうど良い?

サイレントモードにしたままの携帯が光る。
無意識に手が動いて、即座に顔が綻ぶ。亜弥からのメールだった。
別れ際にアドレスを渡された。帰り道、メモと画面を交互に見ながら思わずにやついてしまったことを、一体何人の通行人に見られただろう。
60 名前:be in love 投稿日:2008/08/15(金) 19:21
歯にくっつく。キャラメルはしつこく、なかなか甘い。
61 名前:be in love 投稿日:2008/08/15(金) 19:22


『今度、また一緒に帰ってもいい?』


胸が、とくんと高鳴った。
亜弥のことだから、絵文字をたくさんつけてくるだろうと思った。
しかし、いつになく真面目そうな亜弥の表情がすぐに浮かぶ。

美貴は小さく ふ、と笑って返事を打った。
――どうしてこんなに愛しいかなぁ?


62 名前:be in love 投稿日:2008/08/15(金) 19:22



『もちろん!亜弥ちゃんがいいなら、いつでも構わないよ』


シンプル過ぎた?いや、これで良い。
美貴は、ごろんと寝転がったついでに落ちたティディベアをひょいと拾い上げて、ぎゅうっと抱き締め、脚をバタバタとさせる。

これが亜弥だったら…なんて思いながら、その夜は眠りについた。
とても、幸せな眠りに。



63 名前:be in love 投稿日:2008/08/15(金) 19:22
64 名前:be in love 投稿日:2008/08/15(金) 19:22
65 名前:be in love 投稿日:2008/08/15(金) 19:23



「はぁーぁ…」



風呂上がり、勉強机に向かってみたものの、どうもペンを走らせる気にはならない。
試験もそう遠く無い。そろそろ本格稼動しなければと思いつつも、さっきから点滅し続ける携帯が気になってしょうがない。
落ち着かないのはどうやら、こちらも同じらしい。

「…みき、たん」

いつからか、そう呼ぶ事が常になっていた。
おかしい? ううん、嬉しいよ。
不安げに見つめた先に、照れ笑いを浮かべた美貴の顔があった。

あたしだけだよね?こういう、トクベツなのって…

思い込みだと疑いたくはなかった。こう信じていれば、他の誰より美貴に近付く事が出来るような、そんな気がしたからだ。
すき。単純に、亜弥は美貴を好きなのだ。自分よりも好きだと言える自信がある。これは亜弥にとって大きな変化だった。
66 名前:be in love 投稿日:2008/08/15(金) 19:23


近くにいたい、話したい、それよりももっと近くで――



「…〜っ、何考えてんだろアタシ…」



自分でも分かる程、身体が、心臓が熱くなっていく。
異性ならともかく、だ。 同姓に憧れる事なんて、部活をやっていても年上に対してそんな気持ちを抱いた事は、生まれてこの方一度だってなかった。

この気持ちに、どんな名前を付けよう?


どうやら、二人は似たもの同志である。




67 名前:be in love 投稿日:2008/08/15(金) 19:23
68 名前:be in love 投稿日:2008/08/15(金) 19:24
69 名前:三田久郎酢 投稿日:2008/08/15(金) 19:25
お待たせしました。ほんと少なくてすみませんorz

>>56
ピチピチの18さ(ry
受験など早く終わらせてしまいたいものです…お待たせして申し訳ございませんでした。



70 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/16(土) 23:41
わお、作者さんがタメだったとはw
受験勉強はしんどいですよね、私も真っ只中なんで…お互い頑張りましょう(苦笑
71 名前:I 投稿日:2008/08/17(日) 21:27
前々スレから拝見させて頂いているので、お若いのにびっくりです。
私は楽をしてしまったので受験の大変さが分かりませんが、頑張ってくださいね。
72 名前:三田久郎酢 投稿日:2008/08/18(月) 23:04
>>70
来年は亜弥紺参戦と決めているのでさっさと受験なんて終わらせてしまいたいです←
お互い頑張りましょうorz

>>71
結構前から飼育にはちょくちょくいたんですけどねw
いえいえ、高3の夏は色々と忙しいですから…頑張ります!


スマスマ亜弥ちゃんキャワ(髪型ちょっとあれだけど良しとする

73 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/11/04(火) 23:51
まだまだ待ってますよ
74 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/12/10(水) 00:56
待ちますよー
75 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/12/25(木) 04:02
まだまだ待ちます
ガンバです
76 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/06/01(月) 15:42
まだまだ待ちますよー
77 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/05(月) 17:30
待ってます

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