キャプテンですYO
1 名前:パム 投稿日:2008/02/21(木) 02:47
ども、パムです。
現行のを書けよと思いつつも、音楽ガッタスを見て、書かずにいられなくなったのでスレ立てちゃいました。
基本的には、キャプテンとその仲間たちの話ですYO
2 名前:キャプテンと呼べ 投稿日:2008/02/21(木) 02:48
「んっ、ん、おほん。みんな揃ったか!」

「よしこ、風邪みゅん?」

「違うYO。柴ちゃんはちょっと向こうに行ってみようか」

「ツアー中だから風邪には気をつけないといけないみゅん」

「う、うん。そうだね。気を付けるYO」

「今日は何の練習するんだみゅん?」

「えっとね、とりあえず柴ちゃんは向こうでシュート100本やっててくれYO」

「わかったみゅん。こんちゃん手伝ってくれみゅん」

「あー!こんこんはちょっと話があるから、柴ちゃん一人でやっててくれYO」

「仕方ないみゅん。できるだけ早く話済ませるんだみゅん」

「そうするYO。じゃあ、後で」

「何で、柴田さんがいるんでしょうか?」

「まだ柴ちゃんには言ってないからだYO」

「何をですか?」

「音楽ガッタスに柴ちゃんは入ってないことだYO」

「いくらなんでも気づいてるんじゃないでしょうか」

「キャプテンもそう思ってたYO。でも、気づいてないんだYO」

「ある意味凄いですね」
3 名前:キャプテンと呼べ 投稿日:2008/02/21(木) 02:48
「凄いですYO。さてと、まのえりちゃん、こんこん、梨華ちゃん、まいちんに………ひぃ、ふぅ、みぃ、う〜ん。是ちゃん!よし!音楽のみいるな」

「未だにまのえりちゃんしか覚えていないんですね」

「そんなことないYO!多いから飛ばしたけだYO」

「そういうことにしておきましょうか」

「そうしといてくれYO」

「で、何でしょうか?」

「えっとぉ〜、音楽ガッタスのツアーも始まり、絶好調な諸君達に言っておきたいことがあるんですYO」

「はい。何でしょうか?」

「これからはキャプテンのことはキャプテンて呼ぶんですYO」

「それはガッタスのときはってことですか?」

「いつもだYO。常にキャプテンはキャプテンですYO」

「わかりました。キャプテン」

「えっ?あっ、うん。まのえりちゃんもわかったかYO」

「はい。キャプテン」

「う〜ん。まあ、可愛いからいいですYO」

「キャプテンは何をしたいんですか?」

「えっとね、何か違うような気がするYO」

「言い方がですか?」

「そうじゃないYO。えっと、是ちゃんもいいかい?」

「はい、キャプテン」

「う〜ん。みんなもいいかい?」」

「はい、キャプテン」
4 名前:キャプテンと呼べ 投稿日:2008/02/21(木) 02:49
「う〜ん」

「どうしたんですか?」

「みんな素直過ぎてつまんないYO!」

「いいじゃないですか」

「いいけど、張り合いがないですYO」

「よくわからないです」

「求めているものが簡単に手に入るとつまらないってことですYO」

「じゃあ、キャプテンって呼ばない方がいいんですか?」

「呼べYO」

「困りましたね」

「つまり、」

「よしこ、終わったみゅん。何してるみゅん、早くみんなも練習するんだみゅん」

「柴ちゃん、これからはキャプテンのことはキャプテンって呼ぶんですYO」

「わかったみゅん。キャプテン、次は何の練習するみゅん?」

「えっとぉ〜」

「柴田さんも意外と素直ですね」

「もう、何がなんだかわからなくなったYO」

「吉澤さん、あっ、間違えた。キャプテン、私たちも練習行きましょうか」

「こんこん。そこは間違えずに間違えろYO」

「先が思いやられますね」
5 名前:キャプテンと呼べ 投稿日:2008/02/21(木) 02:49
「次は歌の練習するみゅん?」

「あー!!まいちん大変だYO」

「ええっ?よしこ、どうしたの?」

「キャプテンって呼べYO」

「うん。で、何?」

「柴ちゃんの練習相手してくれYO」

「うん。わかった。よしこはやんないの?」

「キャプテンって呼べYO」

「うん。わかった。で、よしこはどうすんの?」

「あとから行くYO。キャプテンって呼ぶんだよ。まいちん」

「うん、わかった。わかった。よし!柴ちゃん、カラオケ行くか!」

「行くみゅん!キャプテンも行くみゅん」

「うん。あとから行くYO」

「よしこ、早く来いよ」

「里田さんみたいな感じがいいんですか?」

「あれじゃ、ただのバカですYO」
6 名前:パム 投稿日:2008/02/21(木) 02:49
終わりです。
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/02/21(木) 22:46
これは確かにある意味凄いですね
8 名前:柴ちゃんへの誕生日プレゼント 投稿日:2008/02/22(金) 01:12
「ガキさん、今日は柴ちゃんの誕生日なんだYO」

「知ってますよ」

「でさ、どうしYO」

「プレゼントですか?」

「まあ、それもそうなんだけど。それよりもさ、柴ちゃん音楽ガッタスに自分も入ってると未だに思ってるんですYO」

「入ってないって言えばいいじゃないですか」

「そこでガキさんの登場なんですYO」

「何で私が言わなくちゃいけないんですか!」

「困ったときはガキさんですYO」

「私を巻き込まないで下さい。吉澤さんがリーダーなんだからちゃんとやって下さいよ」

「ガキさん違うYO。キャプテンですYO」

「どっちでもいいです。じゃあ、私は帰りますね」

「ちょっとぉー!サブリーダぁ〜」

「あなたのサブリーダーじゃありませんので、失礼します」

「キャプテンを見捨てる気か!」
9 名前:柴ちゃんへの誕生日プレゼント 投稿日:2008/02/22(金) 01:13
「というか、副キャプテンに頼めばいいじゃないですか」

「副ティも音楽じゃないですYO」

「あっ、副はもっさんだったんですか」

「それくらい覚えておけYO」

「それじゃ、石川さんに頼めばいいじゃないですか」

「梨華ちゃんに頼むと、その後が面倒ですYO」

「確かに。じゃあ、というか、つんくさんに頼めばいいじゃないですか」

「そういうのはつまんないですYO」

「ひょっとして面白がってます?」

「ん?」

「とぼけないで下さい。まったく、くだらないことにいつまでも付き合ってられませんので本当にこれで失礼します」

「みゅん、みゅん、みゅん。よしこおはようみゅん」

「柴ちゃんおはYO。誕生日おめでと」

「柴田さん、誕生日おめでとうございます」

「ありがとうみゅん。明後日の生誕祭楽しみだみゅん」
10 名前:柴ちゃんへの誕生日プレゼント 投稿日:2008/02/22(金) 01:13
「ほら!ガキさん出番ですYO」

「ちょっと!こんな乗り気な状態で無茶なこと言わないで下さいよ」

「どうしたみゅん?」

「何でもないです。それでは、私は失礼します」

「ガキさん、ちょっと待つみゅん」

「はい?何でしょうか?」

「プレゼント忘れてるみゅん」

「あっ、えっと、しまったぁ〜」

「ガキさん、とっておきのプレゼントをあげてやれYO」

「だから、嫌ですって。私は関係ないじゃないですか」

「何こそこそ話してるんだみゅん!」

「ほら、ガキさん早く!」

「え〜。何で私が」

「言うんだガキさん!」

「はあ、もうぁ〜。あのですね。柴田さん」

「はいみゅん」

11 名前:柴ちゃんへの誕生日プレゼント 投稿日:2008/02/22(金) 01:13
「えっと、とても言いづらいことなんですが」

「プレゼント忘れたみゅん?」

「それもあるんですが、あの音楽ガッタスには柴田さんは…」

「何で忘れるんだみゅん!ガキさんは音楽ガッタス失格だみゅん!」

「えっ?いや、私は入ってませんよ?」

「入りたければ入ってもいいですYO」

「お断りです」

「柴ちゃん、ガキさんこんなこと言ってるYO。どうする?」

「あっ!ちょっと、あんた何言ってんのさ!」

「ガキさんにはシュート100本の罰だみゅん」

「シュート100本?」

「みゅん!」

「イタッ!ちょっと柴田さん!」

「みゅん!」

「ちょっと、やめて下さいって」

「ほらYO!」

「ちょっとぉー!!何であんたまで蹴るんだぁー!!」
12 名前:柴ちゃんへの誕生日プレゼント 投稿日:2008/02/22(金) 01:14
「柴ちゃんこれくらいで許してやってくれYO」

「よしこが言うなら仕方ないみゅん。許してやるみゅん」

「だから、キャプテンですYO」

「もぉ〜。本当に私帰ります!」

「バイバイみゅん」

「吉澤さん、自分でしっかり言って下さいよ」

「ああ、わかったYO」

「うちのキャプテンに向かって何偉そうなこと言ってるみゅん!レッドカードの刑だみゅん!」

「えっ?レッドカード?うぉーおおお!!ちょっとぉー!!」

「う〜ん。ガキさんはそのうちマネジャーにでもしYO」
13 名前:パム 投稿日:2008/02/22(金) 01:16
終わりです。
柴ちゃんオメデトウですYO
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/02/22(金) 06:18
ガキさんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
柴ちゃんかわいいよ柴ちゃん
15 名前:コレコレと呼んで 投稿日:2008/02/26(火) 00:36
「あっ、新垣さん」

「あっ、えっと、是永さん。おはようございます」

「おはようございます」

「それでは」

「ちょっと待って下さい」

「はい?」

「あの、相談があるんですけど」

「えっ?私に?」

「はい」

「吉澤さんとか石川さんにした方がいいんじゃないの?」

「ダメなんです」

「まあ、ダメなのはわかりますけど、じゃあ、つんくさんとかマネージャーさんにでも」

「ダメなんです」
16 名前:コレコレと呼んで 投稿日:2008/02/26(火) 00:36
「んん?ひょっとして、吉澤さんに何か言われた?」

「その逆です」

「逆?う〜ん。あんまり関わりたくないんですけど」

「お願いします」

「そうですか。じゃあ、そこに座って話でもしましょうか」

「はい。すみません」

「いえいえ、悪いのは全部あの人ですから」

「キャプテンは悪くないんです」

「キャプテン?ああ、キャプテンね。あの人が悪くないわけないでしょーが!」

「悪いのは私なんです」

「それは思い違いですよ。仮にそうであっても違いますよ」

「そうなんでしょうか」

「そうです!では」

「ちょっと待って下さい。まだ終わってません」

「やっぱり?」
17 名前:コレコレと呼んで 投稿日:2008/02/26(火) 00:36
「はい。あのですね。私、コレコレっていうあだ名があるんですよ」

「へぇ〜、そうなんですか」

「やっぱりご存知ないんですね」

「えっ、いや、ある。ありますよ。コレコレ、コレコレ?」

「おかしいですか?」

「はい。あっ、いや、違う。そんなことないですよ」

「でも、みんな呼んでくれないんですよ」

「でしょうね。あっ、違う。大丈夫だから、言い続ければ、みんな呼びますから」

「でも、吉澤さんのよっすぃ〜や新垣さんのガキさんとは違って、みんなしっくり来てないみたいなです」

「えっと、じゃあ、普段はどういう風に呼ばれているんですか?」

「是ちゃんとか」

「ああ、それでいいじゃないですか」

「でも、コレコレでいかないとダメみたいで」

「それは誰が言ってるんでしょうか?」

「キャプテンが」

「うん。それは無視していい」
18 名前:コレコレと呼んで 投稿日:2008/02/26(火) 00:37
「でも、キャプテンですよ」

「呼び方までキャプテンに従っててもしょうがないでしょうが」

「そうですか?」

「そうです。是永さんは、」

「コレコレです」

「えっ?使うの?じゃあ、コレコレさんはあの人の本性を知らないんですよ。あの人はアホです。思いつきだけで生きてますから、一々言ったこと真に受けてても損するだけですよ」

「そんなことありません!」

「えっ?そ、そうですか。う〜ん、どうしましょうか。というか、なんで私に…」

「キャプテンが困ったときは新垣さんだって」

「チクショー!あのバカ!」
19 名前:コレコレと呼んで 投稿日:2008/02/26(火) 00:37
「ガキさん、バカって言った奴がバカだYO」

「もうそれは終わりましたよね?」

「ええー、続けようYO」

「もう付き合いきれません。私を巻き込まないで下さい」

「あれYO。じゃあ、これからは是ちゃんに相手しもらおうかな」

「ちょっと待ったぁー!!」

「おっ、やっぱガキさんやる?」

「違う!違う!あんた今なんて言った!」

「朝食べたパンが固かったYO」

「そんなこと言ってないでしょうが!是ちゃんはコレコレ!」

「はいYO?」

「だから、是永さんは、是ちゃんじゃなくてコレコレ!」

「何それ?変なの」

「うわぁ〜。ね、言ったでしょ。思いつきなんだから、真に受けちゃダメ」

「キャプテン、コレコレはもういいのでしょうか?」

「はい。キャプテンはキャプテンですYO」

「で、私は?」

「是ちゃんですYO」

「はい、終了!」
20 名前:パム 投稿日:2008/02/26(火) 00:37
終わりです。
21 名前:いしよし夫婦〜まのえり旅立ち〜 投稿日:2008/03/06(木) 02:20
「恵理菜、お父さんにちゃんと挨拶しなさい」

「お、お父さん?」

「母さん、酒だ。酒持ってこいYO」

「あなた、恵理菜の話を聞いてやって下さい」

「あ、あのぉ〜」

「ほら、恵理菜早くしなさい」

「はい。あ、あの。短い間でしたがお世話になりました」

「フン!どこにでも行っちゃえYO」

「もう、あなた。ちゃんと聞いてあげて下さいよ」

「あの、これは一体?」

「母さんもういいだろ。酒持ってこいYO」

「あなたはすぐそうやってお酒に逃げる。今日はちゃんと恵理菜にお別れするまでおあずけですからね!」

「うるさい!持ってこい!」

「キャー」

「吉澤さん!!」
22 名前:いしよし夫婦〜まのえり旅立ち〜 投稿日:2008/03/06(木) 02:21
「何だYO。行くならさっさと行きやがれ!」

「吉澤さん…」

「恵理菜。お父さんも本当は寂しいんだよ」

「あ、はい」

「何言ってんだバカ野郎!!」

「お父さんももうちょっとは素直になれたらいいのにね」

「はい。あの、これはコントですか?」

「まったくどいつもこいつも勝手なことばかりしやがって。ののなんか勝手に子供まで作りやがって」

「私たちもお婆ちゃんお爺ちゃんになっちゃいましたね」

「私は認めて何かないぞ!」

「本当は一番お父さんが喜んでるのよ」

「そうですか」

「あいぼんもどうしてるのかしらね」

「あいつの話はするなって言っただろう!」

「ごめんなさい。でも、心配じゃないですか」

「うるさい!酒だ!酒持ってこいYO」

「あんまり飲んじゃダメですよ」

「うるせぇ。飲まなきゃやってらんねぇYO」
23 名前:いしよし夫婦〜まのえり旅立ち〜 投稿日:2008/03/06(木) 02:21
「困ったなぁ。あっ!そうだ」

「ちょっと恵理菜!どこ行くの!」

「やっと行く気になったか」

「あなた、恵理菜に話したいことあったでしょ」

「そんなのないYO」

「もう素直じゃないんだから」

「新垣さん、こっちです」

「いや、ちょっと。だから、私を巻き込むなって」

「あなた!里沙が帰ってきましたよ」

「はあ?リーダーになるまで帰ってこないじゃなかったのか?」

「誰がいつそんなこと言いました?」

「ほら、里沙もあがんなさい。今日は恵理菜の旅立ちのお祝いだから」

「ああ、そうだったね。良かったね、まのえりちゃん。毒される前に出れて」

「何言ってんだバカ野郎!だから、お前はいつまで経ってもサブリーダーなんだYO!」

「関係ないでしょーが!」

「もう、いつもすぐに喧嘩するんですから。久しぶりに会ったんだから仲良くしなさいよ」

「久しぶりじゃないですよ。しょっちゅう迷惑かけられてますよ。石川さんからもちゃんと言ってやって下さいよ」

「父さんはな、サブなってすぐリーダーになったって言うのにお前と来たら」

「それは矢口さんがあれだったから、たまたまリーダーになっただけじゃないですか」
24 名前:いしよし夫婦〜まのえり旅立ち〜 投稿日:2008/03/06(木) 02:21
「何だと!もういっぺん言ってみろ!」

「ああ、はいはい。すみませんでした」

「何だその口の利き方は!」

「下らないこといつまでもやってないでちゃんとして下さい!」

「何だと!」

「ちょっと、あなた、やめて下さい!」

「離せ!」

「離しません!」

「よし。もう放っておこう。まのえりちゃん行こう」

「でも、お父さんが」

「いやいや、お父さんじゃないから」

「ほら、お父さん。恵理菜行っちゃいますよ」

「ここはお前の家だからいつでも帰ってこいYO」

「はい!」

「里沙にも何か言ってあげて下さい」

「たまには帰ってこいYO」

「帰りません!!」
25 名前:パム 投稿日:2008/03/06(木) 02:21
終わり。
26 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/06(木) 02:44
ちょwwタイムリーwwww
いしよしはアフォだなあ
27 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/17(月) 21:30
醸し出す雰囲気がなんだか年期が入ってるなぁw

28 名前:いしよし夫婦〜シンデレラ〜 投稿日:2008/09/02(火) 02:24
「里沙か、よく来たな。まあ座りなさい」

「よく来たなって、吉澤さんが呼んだんじゃないですか」

「里沙、シッ」

「ええぇ〜、何ですかそれ」

「シンデレラ、見に行ったぞ」

「あっ、本当ですか?ありがとうございます」

「まさか、里沙があんな子だったとは。どうしてうちの子はこうも色々とおかしなことをするんだ。それもこれもお前がしっかりしてないからだぞ!」

「ちょっと、すぐそうやって私の所為にしないで下さい」

「口答えするな!」

「キャー」

「ええっ!?ちょっと吉澤さん。落ち着いてくださいよ」

「まあ、男子たるもの多少の性癖があるのはわからんでもないが」

「性癖?いやっ、ていうか私、女ですよ。モーニング娘。」

「ちょっと、あなたいきなりその話は」

「お前は黙ってろ!」

「キャー」

「ちょっと吉澤さん、やめて下さいって」
29 名前:いしよし夫婦〜シンデレラ〜 投稿日:2008/09/02(火) 02:24
「まさか里沙が靴フェチだったとはな」

「はあ〜?」

「いや、いいんだ。構わない。度が過ぎなければな」

「いやいや、違いますって。えっ?ていうか、何の話ですか?」

「何の話だと?今さらしらばっくれるな!みっともない!」

「もうー意味わかんない」

「里沙、あなた女の子が落とした靴を大事そうに持ってたでしょ」

「えー!!そういうことですか?違いますよ。それはミュージカルの話であって、私はそんなじゃないですよ。ていうか、本当に見ました?」

「まあ、私もおっぱいフェチでな。まあ、それで、そのぉ〜、かあさんをだな」

「ちょっと、あなた子供の前でやめて下さいよ」

「いいじゃないか。このおっぱいだからこそ里沙がここまで育ったんだぞ」

「帰っていいですか?いいですよね?」

「まあ、待て里沙。ときに、マノピアノはどう思う」

「マっ………。靴はちゃんと女の子に返したのでもう心配しなくても結構ですよ」

「あれはないよなぁ。かあさん」

「あなた!頑張ってるんだから応援してあげないとダメじゃないですか!」
30 名前:いしよし夫婦〜シンデレラ〜 投稿日:2008/09/02(火) 02:25
「応援はしている。当たり前じゃないか。ああ、そうだ。里沙、お前にもこれをやろう」

「いらないです」

「やっぱり靴の方がいいのか」

「そうじゃないですよ!頂きます。ありがとうございます」

「あなた、こんなのはいいから、早くあの話を」

「あっ!かあさん何するんだ!せっかく買ったマノピアノを」

「もうそろそろ帰りますよ?」

「待て里沙。お前に頼みたいことがある」

「断ります」

「いいじゃないか。靴フェチのお前じゃないとダメなんだ」

「いや、ですから…」

「この靴にピッタリ合う女性を探して欲しいんだ」

「こんな、つっかけ誰でも合いますよ!」

「それはどうかな?」

「ていうか、これ石川さんのですよね?」

「まっ、まさか!?」

「もう、何ですかその小芝居は。石川さん、さっさと履いてください」
31 名前:いしよし夫婦〜シンデレラ〜 投稿日:2008/09/02(火) 02:25
「えっ?私が?合うかしら?」

「ドキドキするな、里沙」

「全然」

「あらっ!ピッタリだわ!」

「おお、あなたの名前を教えてください」

「トメ子です」

「知ってるYO」

「お疲れ様でした」

「ガキさんお疲れ」

「またね、ガキさん」

「もう二度と来ませんよ!」
32 名前:パム 投稿日:2008/09/02(火) 02:25
終わり。
33 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/09/02(火) 11:39
ガキさんマジお疲れ
34 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/09/03(水) 00:12
マっ………ww
映像つきで見たらまだ聞けましたよw
35 名前:いしよし夫婦〜ラッキーオーラ〜 投稿日:2008/10/14(火) 01:40
「あっ、これはこれは賞金女王の吉澤さんじゃないですかぁ〜」

「何だYO」

「あれ?今日はいつものバカ夫婦コントじゃないんですね」

「いっつもバカやってる訳じゃないYO」

「そうですよね。バカやって儲けられるのは里田さんだけですもんね」

「何かガキさん今日おかしいYO大丈夫?」

「吉澤さんよりはいつも大丈夫ですよ」

「あっそ、HANGRYなんでもう行くYO」

「あーちょっと、ちょっと、私もお腹ぺこぺこなんですよねぇ〜」

「ん?ベーグル食べる?」

「これだけですか?」

「じゃあ、ゆでたまごもつけてやるYO」

「いやいやいや、違いますよ。もう冗談はやめて下さいよ」

「冗談なんかじゃないYO」
36 名前:いしよし夫婦〜ラッキーオーラ〜 投稿日:2008/10/14(火) 01:40
「またまた、もうやだなぁ。元娘。リーダーだった後輩想いの吉澤さんじゃないですか」

「奢れってか」

「いやぁ〜、別にそこまでは言ってはいないですけどね。でも、賞金貰ったらやっぱりみんなで焼き肉!とかになりませんか?」

「里沙、お父さんに無理言っちゃダメよ」

「あっ、ANGRY」

「アングリー?なんですかそれは?日本語か韓国語でお願いします」

「あなた、今は違うわよ」

「おっと、そうだったYO。里沙、元気にやってるか?」

「あっ、そう来ましたか。そうやって誤魔化すんですね」

「里沙!あなたももうすぐで大人になるんだからわがまま言うんじゃないの!」

「でも…」

「いい、里沙。よく聞くのよ。お父さんは恵里菜にピアノを買ってあげるために賞金稼いでるのよ」

「そんなこといちいち言わんでいい!」

「でも、あなた・・・」

「というかですね。それはスタッフさんに言えばいいんじゃないんですか?」

「スタッフなどおらん!」

「いや、いますよ。いますよね?」
37 名前:いしよし夫婦〜ラッキーオーラ〜 投稿日:2008/10/14(火) 01:40
「ごめんね里沙。私たちが貧乏なために辛い思いばかりさせちゃって」

「ええ、まあ辛い思いは幾度となくしていますけどね」

「わかった。里沙にもくれてやる。いくら欲しいんだ」

「ちょっと、あなた。無理しちゃダメですよ」

「私を誰だと思ってるんだ!賞金くらいいくらでも稼いでやる!」

「うーん。急にいくらって言われてもなぁ」

「いくらでも構わんぞ」

「うーん」

「遠慮はいらんぞ」

「じゃあ、2億」

「わかった。2億だな」

「ちょっとあなた。そんなお金どこにあるんですか!」

「うるさい!黙れ!」

「きゃー!」

「ちょっと、吉澤さん!」

「黙ってろ。すぐに2億くらい用意してやる」

「ホントですか?別に無理しなくていいですよ」
38 名前:いしよし夫婦〜ラッキーオーラ〜 投稿日:2008/10/14(火) 01:41
「ほれ、2徳」

「字、間違ってますよ吉澤さん」

「ん?そうなの?」

「はい。違います」

「どういう字だっけ?」

「億は、こう書くんですよ」

「ふーん。さすがは里沙だな!あはは」

「まのえりちゃんにはピアノ買ってあげて下さいね。辛い思いをするのは私一人で十分です」

「里沙も大人になったな。なあ、母さん」

「そうねぇ。なんだかんだ言ってもお姉ちゃんですものね」

「あははは」

「あははは」

「幸せな人たちだなぁ」
39 名前:パム 投稿日:2008/10/14(火) 01:41
終わり。
40 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/10/19(日) 16:07
ガキさんがやられるばっかりじゃなくなってきましたねw
41 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/01/12(月) 01:52
パムさんのお話、好きで〜す
42 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/02/22(日) 04:14
いつまでもよっすぃ〜とガキさんのやりとりを見ていたい(笑)
43 名前:ごっちん 投稿日:2009/12/16(水) 00:45
( ´ Д `)<ついたぽ
ttp://m-seek.net/test/read.cgi/grass/1190222502/101
44 名前:猫に注意 投稿日:2009/12/16(水) 00:46
とある昼間。
中澤さんは、お出かけ。
藤本さんは、ソファで昼寝。
後藤さんは、キッチンで料理。
石川さんは、パソコンでネットショッピング。
吉澤さんは、床でおかしな動きしてる。

「何してるんですか?」
「ヨガ」
「よが?」
「ガキさんもやってみ」
「いえ、結構です」
「あっそ」

気ままといえば気まま。
みんな、それぞれに穏やかな午後のひとときを過ごしている。
で、私もそんな午後のひとときをDVDを見て過ごすことにした。
ここの近くにレンタルショップがあるのをこの間見つけたので、そこで映画でも借りて見ること決めた。

「ちょっとでかけてきます」
と、お財布を持って出かけようとしたとき、背後から石川さんに声をかけられた。

「あっ、私、紅茶とチーズケーキ」
「私はビールとゆでたまご」
「美貴は、コーヒーでいいや」
「うーんと…」
すると、石川さんに続けて、みんな一斉に私に言ってきた。

「はい?」
「コンビニ行くんでしょ。ついでに買ってきてよ」
石川さんが言った。
ああ、そういうことか。
45 名前:猫に注意 投稿日:2009/12/16(水) 00:47
「えっと、石川さんが紅茶とチーズケーキ、吉澤さんがビールですね」
「あと、ゆでたまごもね」
「ゆでたまご?はい、わかりました。後藤さんは?」
「うーんとね。ちょっと考え中」
「早くしてくださいね」

「美貴のコーヒー忘れるなよ」
「寝てるくせにコーヒー飲むんですね」
「いいや、今は起きてるよ」

「そうですか。で、後藤さんは?」
「みりん買ってきて」
「み、みりん、ですか?」
「うん。ちょっと切れそうだから」
「はい、わかりました。では、行ってきます」

メモをちゃんと取って外を出ると、日差しの割には肌寒かった。
戻ってコートを持ってこようかなって思ったけど、戻ったらさらに注文されそうだから、我慢することにした。
コンビニもすぐ近くだしちょっとの我慢だ。

マンションを出て、南へ300mまっすぐ歩けばコンビニ。
途中、手前100mほどにある角を右に曲がって、信号を渡ったところにレンタルショップがある。
まずは、コンビニに行くことにした。
買い物の前に、雑誌をペラペラっと立ち読みしていると、誰かの視線を感じた。
雑誌から目を離して、コンビニの外を見ると、道路を挟んだ向こう側の家の塀の上に猫が座って私を見ていた。
可愛い白い猫ちゃんだった。私はにこっと笑い返すと、猫ちゃんはプイっとそっぽを向いて塀を降りて、どこかに行ってしまった。
愛想のない猫だな。
46 名前:猫に注意 投稿日:2009/12/16(水) 00:47
雑誌を元の場所に戻して、頼まれたものを順にカゴ入れていく。
ついでにお菓子も適当にいくつか入れて、レジに持っていく。
買い物を済ませて、コンビニを出た先に、さきほどの猫ちゃんが座って私を見ていた。
けど、もう相手をする気はなかった。どうせ、相手したところで、そっぽ向かれるのがオチだ。
猫ちゃんを無視して、レンタルショップに向かう。
何のDVD借りようかな、なんて考えながら歩いていると、猫ちゃんが私のあとをついてきていることに気付いた。
一度止まって、猫ちゃんを見ると、猫ちゃんも止まった。けど、まるで私はあなたの後をついてきてませんよとでも言ってるかのようにそっぽを向いた。
ちょっとイラっとして、猫ちゃんに追いつかれないように早く歩いた。

レンタルショップのある場所の角を曲がって、信号待ちをしていると、追い付いてきた猫ちゃんが私の隣でピタリと止まった。
無視だ。野良猫なんて相手するつもりはもうない。
すぐに猫から離れたくて、信号が青に変わるよりも早く一歩踏み出したところで、猫が私よりも先に飛び出した。
そして、もう信号が赤になっているのに一台のスピードを出した車が猫ちゃんを引いて、派手にスピンして信号に激突した。

「きゃあっ」
両手で目を覆って、大声をあげた。
目の前の光景を見たくなくて、しばらく目を覆ったままでいた。
野次馬が続々と現れて、辺りが騒々しくなった。
いつまでも目をつぶっている訳にもいかなくて、勇気を出して、目を開けた。
47 名前:猫に注意 投稿日:2009/12/16(水) 00:47
「あっ、私、紅茶とシュークーム」
「私は、ワインとゆでたまご」
「美貴は、コーヒーでいいや」
「うーんと・・・」
目を開けた瞬間、次々にみんなの声が聞こえた。そして、目に映るのは、みんなのいる家の中だった。
キョロキョロと周りを見渡しても、ここはここで、何も変わりはなかった。
確かに私はさっきまで信号待ちをしていたはずなのに。

「コンビニ行くんでしょ。ついでに買ってきてよ」
石川さんが、先ほどと同じことを言った。

「えっと、石川さんが紅茶とシュークーム、吉澤さんがワインで、後藤さんはみりんですよね」
「あと、ゆでたまごもね」
「ああ、そうでしたね」
「うーんとね。ちょっと考え中」
「みりんですよね?」

「おい、美貴のコーヒー忘れるなよ」
「忘れてませんよ」
「いいや、今は起きてるよ」
「そんなこと聞いてませんよ」

「醤油買ってきて」
「えっ?みりんじゃないんですか?」
「ん?おっ、みりんも切れそうだ。じゃあ、みりんも」
「はい、じゃあ、醤油とみりんですね」
48 名前:猫に注意 投稿日:2009/12/16(水) 00:47
もう一度メモを取ろうと手帳を開けると、先ほど書いたメモがちゃんと残っていた。
これは一体どういうことだ?
もう一度みんなを見た。とくに後藤さんを見た。ひょっとすると、私が目を閉じている間に後藤さんが私を連れ戻したのかもしれないと思った。
けど、後藤さんは私と目があっても、「よろしくね」とだけ言って料理を続けた。
よくわからないけど、もう一度、コンビニ行くことにした。
玄関で靴を履こうとしたとき、外が寒かったことを思い出して、コートを取ってから外に出た。
つもりだった。
それなのに、外に出ると寒くて、コートを着ていなかった。
気のせいかと、あやふな気持ちのまま、もう一度、さっき歩いたばかりの道を歩いた。
そして、コンビニに入って、もう一度同じ雑誌をしばらく見た。
すると、先ほど車に引かれたはずの猫ちゃんが私を見ていた。そして、そっぽを向いて塀を降りて行った。
さっきのは夢だったのかと、なんとももやもやした気分で買い物をして、コンビニの外に出た。
そして、歩いていると猫ちゃんが私の後を追ってきた。
そして、同じように信号待ちをした。
この信号が青に変わる直前に猫ちゃんが引かれてしまう。
そう思った私は、信号が変わる直前に、猫ちゃんを抱え上げようと手を伸ばした。
けれど、猫ちゃんは、私の手をすり抜けて、道路に飛びだしてしまった。
そして、同じように飛び出してきた車に引かれそうになったところで、私はまた目を閉じた。
49 名前:猫に注意 投稿日:2009/12/16(水) 00:47
少し経ってからゆっくりと目を開けた。
また、家に戻っていた。

「あっ、私は、牛乳とチーズケーキね」
「私は、焼酎とゆでたまご」
「美貴は、コーヒーでいいや」
「うーんと・・・」
微妙に注文が変わってるけど、同じだ。また、戻ってきた。
私の記憶以外はすべて時間が戻っている。

「コンビニ行くんでしょ。ついでに買ってきてよ」
石川さんが、先ほどと同じことを言った。

「あのですね。みなさん」
「あと、ゆでたまごもね」
「ちょっと、私の話を聞いてください」
「うーんとね。ちょっと考え中」
「後藤さんはみりんです。わかってますから、私の話を聞いてください」

「おい、美貴のコーヒー忘れるなよ」
「もうそれ三度目です。いいですか、みなさん、私は今、この状況を三回繰り返しているんですよ」
「いいや、今は起きてるよ」
「藤本さんなら私が今、何を思っているのか、考えているのかわかりますよね?」

「ソース買ってきて」
「みりんでしょうが!」
「ん?おっ、みりんも切れそうだ。じゃあ、みりんも」
「わかりました。みりんとソースと醤油も買ってきますよ。でも、その前にですね」

と、言いだそうとしたとき、自然と手帳が落ちて、先ほど書いたメモのページが開いた。

「これです!これ、見てください。さっきみんなが注文したものです。すでに二回、頼んでるんですよ。しかも微妙に違うし」
と、叫びながらも、体は自然と玄関に向かっていた。

「ちょっと、みんな!おかしいんです!この状況、おかしいです!助けて下さい!」
50 名前:猫に注意 投稿日:2009/12/16(水) 00:48
そして、私は外に出た。
やはり外は寒い。
体が勝手にコンビニ向かって進んでいく。
レンタルショップに先に行ってしまおうと、曲がっても目の前に見えたのは信号ではなくコンビニだった。
それなら、雑誌を立ち読みするのをやめてみようしたら、何故かエッチな本を立ち読みしてて、慌てて本を投げ捨てた。
そして、また、猫ちゃんと目が合った。
あの猫だ。あの猫が怪しい。
私は急いで買い物を済ませると、走った。
猫に追いつかれないように走った。信号を待たなくて済むように急いだ。
けれど、また繰り返した。

「あっ、私は、マンゴージュースとプリンね」
「私は、ウィスキーとゆでたまご」
「美貴は、コーヒーでいいや」
「うーんと・・・」
まただ、また、石川さんと吉澤さんの注文が変わってる。むしろ、藤本さんが同じなのが怪しいくらいだ。

「コンビニ行くんでしょ。ついでに買ってきてよ」
これで四度目だ。もうわかってるから、何か腹が立つ。

「ゆでたまごは、もうさすがに忘れてませんよ!」
「あと、ゆでたまごもね」
「だから、待って下さいよみなさん」
「うーんとね。ちょっと考え中」
「後藤さんはみりんです!絶対にみりんです」

「おい、美貴のコーヒー忘れるなよ」
「忘れるか!たまには変えてみたらどうですか!」
「いいや、今は起きてるよ」
「知らないよ、そんなの!」

「みりん買ってきて」
「えっ、みりん?ここに来て同じ?」
「うん。ちょっと切れそうだから」
「というか、後藤さん」
「何?」
「なんで後藤さんだけちゃんと会話してくれるんですか?」
「どういう意味?」
「今はそんなことはいいや。私ですね。今、何度も同じことを繰り返してるんですよ」

そう言いながら後藤さんのところへ詰め寄ると、手帳が飛び出して、後藤さんの目の前で広がった。
51 名前:猫に注意 投稿日:2009/12/16(水) 00:48
「後藤さん、これ見てください。これ、同じような注文が書いてあるでしょ。これで4度目なんですよ」
「あっ、そうだ。醤油も切れそうだった」
「ちがーう!そういうことじゃなくて!」
「しょうゆうこと?」
「もういいです!」

ダメだ。凄いチャンスだったのに、決定的にアホすぎる。
頼れるのは自分だけだ。自分でこの状況を乗り越えないといけない。
コートを掴んで、玄関を開けるときも何度も確認して、外に出た。
ある!今度はある。これで寒くない。
いや、そういうことじゃない。変えようと思えば変えられるんだ。現に、石川さんも吉澤さんも違うこと言ってた。
同じことを繰り返しているように見えて、実際には違うんだ。
だから、変えることができる。
私が外に出て、レンタルショップに寄らずに先にコンビニに行くことが変えられなくても、微妙に変えることができる。

雑誌を読んで、猫ちゃんと目を合わせる。そしたら、そっぽを向いて逃げる。
私がコンビニを出たところで、猫ちゃんが私の後を追ってくる。
きっと、変えることができないのは、猫ちゃんが死ぬことだと思う。
車に引かれなくても、猫ちゃんはあの時間で死んでしまう。
そう考えた私は、今まで違ってゆっくり歩いた。
信号に辿りつく前に、その時が来るのを待った。
車も人も通らない道で、私はゆっくりと歩きながら待った。
そして、静かに引き金を引いた。
52 名前:猫に注意 投稿日:2009/12/16(水) 00:48
「あっ、私は、ビールとゆでたまごね」
「私は、紅茶とチーズケーキ」
「美貴は、コーヒーでいいや」
「うーんと・・・」

「えー!!嘘ー!!!」
また、戻った。違ったんだ。これじゃダメなんだ。
ていうか、石川さんと吉澤さんの注文が逆になってるし!

「コンビニ行くんでしょ。ついでに買ってきてよ」

「ええ、行きますとも、これで最後ですよ!」
「あと、ゆでたまごもね」
「あんた、ゆでたまご頼んでないでしょうが!」
「うーんとね。ちょっと考え中」
「後藤さんはみりんです!絶対にみりんです」

「おい、美貴のコーヒー忘れるなよ」
「ゆるさーい!」
「いいや、今は起きてるよ」
「一生寝てろ!」

「みりん買ってきて」
「わかってます。醤油も買ってきます」
「おっ、気が利くねガキさん」
「ええ、これで5度目ですから」
「どういう意味?」
「次は絶対買ってきます!行ってきます!」
「行ってらっしゃ〜い。猫に注意してね」

えっ?
一瞬、空耳かと思ったけど、確かに後藤さんが「猫に注意してね」と言った。
振り返って、後藤さんの所へ行こうとしたけど、今の私の運命は外に出ることだった。
後藤さんに気を取られて、メモを取るのも、コートを持ってくるのも忘れてしまった。
でも、この際どうでもいい。もう何を買うのか覚えているし、だいたい買い物なんて二の次だ。
53 名前:猫に注意 投稿日:2009/12/16(水) 00:49
まっすぐ歩く。

コンビニ入る。

雑誌読む。

猫見る。

猫どっか行く。

買う。

出る。

54 名前:猫に注意 投稿日:2009/12/16(水) 00:49
さあ、これからどうしよう。
猫が死ぬタイミングで私が戻ってしまうのだから、やはり猫を死なせないようにしなくてはいけない。
すると、とるべき手段は。

信号待ちの間、覚悟を決めた。
何の関係のない人を巻き込むのは申し訳ないけど、このまま永遠に繰り返しては、こっちの身が持たない。
私は、右の遠く先を見た。かなりスピード出している車がいた。
何をそんなに急いでいるのかは知らない。しかし、あなたの所為で、猫ちゃんが死んでしまう。
あなたは悪い人だ。
だから、私があなたに罰を与える。
右手を車の方向に向ける。
天使のリボルバーの輪郭が浮き立つ。
猫ちゃんが不思議そうに見上げていた。
射程内に入るとすぐに引き金を引いた。
大きな音を立てて、右側前輪が破裂して、スピードを出していた車は派手にスピンして、歩道に乗り上げ、民家の塀に激突した。
そこで、丁度、信号が青に変わった。
そして、猫ちゃんは、無事に信号を渡りきって、私を見ていた。
私は、ようやく解放されたことが嬉しくて、猫ちゃんに向かってにこっと笑って、猫ちゃんのところへ駆け寄ったが、猫ちゃんはぷいっとそっぽを向いてどこかに行ってしまった。

55 名前:猫に注意 投稿日:2009/12/16(水) 00:49
「もう、せっかく死なずにすんだんだからお礼くらい言いなさいよ」
なんて、もうどこかに行ってしまった猫ちゃんに嫌味を言ったけど、心は晴れていた。
すっきりとした気分で、レンタルショップに入ると、レンタルショップの店員やお客さんが、さきほどの事故を見に外に出て行った。
私は、ゆっくりと店内を歩き回って、2,3本の映画のDVDを借りてお家に帰った。

「ただいまー」

「おかえり、まさにガキの使いだな」
最初に迎えてくれたのは、すっかり起きていた藤本さんだった。

「ああ、はいはい。ちゃんと買って来ましたよ」
石川さんには、紅茶とチーズケーキ。
吉澤さんには、ビールとゆでたまご。
後藤さんには、みりんを渡して、私は紅茶とケーキを開けて、DVDを見る準備を整えた。

みんな、何度も違う注文したけど、何度繰り返しても最初に買ったものを変えることはできなかった。
けど、みんながとくに何も言わないところを見ると、これで間違っていなかったようだ。

「おい!ガキさん!誰がコーヒーゼリー買って来いって言った!コーヒーって言っただろう!」

これは最初からワザと。

DVDを鑑賞しながら、ようやく午後のひとときをのんびりと過ごした。
56 名前:猫に注意 投稿日:2009/12/16(水) 00:50
☆。。。
57 名前:絶句 投稿日:2009/12/24(木) 02:24
「ガキさーん!!ガキさーん!!」

朝、吉澤さんの大きな呼び声で目が覚めた。
吉澤さんは、寝ている私を引きづり出して、無理矢理ベランダへと連れて行かれた。

「ガキさん!雪だよ!すんごい積もってるよ!」
「そ、そうですね。とりあえず、寒いから中に入りましょうよ」

あまりの寒さに目が覚めたけど、すぐに永遠の眠りについてしまいそうなほど外は冷たかった。

「ガキさん!雪だるま作って!」
吉澤さんは、中に戻った私に言った。
作って?
普通言うなら「作ろう」じゃないのだろうか。聞き間違いなのか?きっとそうだろう。

「寒いですから、もう少ししてから作りましょう」
「ヤダヤダ。早く作ってよ」

うーん。やはりおかしい。
こういう場合、普通「作ってよ」じゃなくて「作ろう」のはずだ。

「とりあず着替えますから、吉澤さんもその格好じゃ寒いでしょ」
「寒くないよ」
「今は部屋の中ですからね。でも、外に出たら寒いですよ」
「こんな寒い日に外に出るわけないじゃん」

うーん。やっぱり、聞き間違いじゃなさそうな雰囲気だ。
58 名前:絶句 投稿日:2009/12/24(木) 02:25
「でも、雪だるま作るんですよね?」
「ガキさんがね」

あー、やっぱりだ!こいつ、私一人で雪だるま作らせようとしてる。
誰がやるかってんだ。

「ガキさん、早くしろよ。朝食あげないぞ」
「別に吉澤さんが朝食作るわけじゃないじゃないですか」
「ごっちんもガキさんが作った雪だるま見たいよね?」
「あっ!吉澤さん、ずるいですよ!」

朝食を作っている後藤さんの手が止まり、後藤さんが私を見つめた。
えへっと笑うだけで、何も言わなかった。

「ほら、ごっちんも見たいって言ったよ」
「いいえ、言ってません」
「ごっちんとは長い付き合いだからわかるんだよ」
「藤本さんじゃあるまいし、そんなことでは騙されませんよ」
「ごっちん。そうだよね?」

後藤さんは、あはっと笑うだけで、また何も言わない。

「ほら、やっぱりそうじゃん」
「いや、笑っただけですよ」
「ガキさんの雪だるま見たーい!見たーいよー!」
「うるさいな。子供かあんたは!」
「あー、ごっち〜ん。ガキさんに怒られたよ〜」

雪が降ってはしゃいでる子供な吉澤さんは、子供のように後藤さんのところに縋りついた。
なんなんだこの人は。
59 名前:絶句 投稿日:2009/12/24(木) 02:25
後藤さんは吉澤さんの頭を撫でながら、私を見て、にこっと笑った。
なので、私もにこっと笑い返した。

そしたら、外に出た。

「さむーい!!!なってこったぁー!!」

まさかこんなことされるとは!
私は、ダッシュでマンションの中に入ると、外に出た。

「うそぉーーー!!えっ!?何これ?どういうこと?」

もう一度、走って中に入る。
でも、外。
扉開ける。
入る。

やばい、中に入れなくなってる。
後藤さんの力がとんでもないところで発揮してる。
上を見上げると、ベランダから吉澤さんが靴とコートと手袋を投げてきた。

「ガキさ〜ん。立派な雪だるま作ってね」

とりあえず、背に腹は代えられないので、コートと手袋を身につけた。
60 名前:絶句 投稿日:2009/12/24(木) 02:25
「吉澤さんも一緒に作りましょうよ!」
と、叫ぶと同時に吉澤さんは「寒い寒い」なんて言いながら中に入って行ってしまった。
ちくしょー、後で絶対にぎゃふんと言わせてやる。

どうやってもマンションの中に入れそうにはなく、否が応でも雪だるまを作らなくてはいけないようだ。
とにかく急いで作るしかない。
こんな場所にずっといたら凍えて死んでしまう。

ちっちゃい雪玉を作って、転がして大きくして、さらにもう一個作って上に乗せて完成だ。
なんか不格好だけど、雪だるまは雪だるまだ。

「吉澤さーん。作りましたよー」
大声で吉澤さんを呼ぶと、ベランダから吉澤さんが顔を出した。
「作り直し!」
それだけ言ってすぐに戻ってしまった。

「ちょっと!いいじゃないですかこれで!」

さすがにもう一度作り直す余裕はないので、出来ている雪だるまに雪をのせて整えて、枝を差して、それなりの雪だるまに見せた。
そして、吉澤さんを呼ぶ前に、銃の準備をして、呼んだ。

「吉澤さーん。出来ましたよ」

これでダメだと言ったら、撃ち殺してやる。

61 名前:絶句 投稿日:2009/12/24(木) 02:25
「うーん。まあいいっか。いつまでもそんなとこにいないで戻ってきなよ」
「あんたが出したんでしょーが!」
銃を一発放ったけど、それよりも早く吉澤さんは部屋の中に入ってしまった。
まったく、無駄に機敏だなあの人は。
というか、そんなことよりも寒い。急いで中に入ると、今度はちゃんと中に入れた。
急いでエレベータで上まで昇って、ダッシュで部屋に戻ると、隠し持っていた雪玉を吉澤さんに投げつけた。

「うおっ!やったなガキさん!」
そう言って吉澤さんは、嬉しそうに雪玉を投げてきた。

「ちょっと!なんであんたが持ってるのさ!」
「うりゃー!」
何故かよくわからないけど、吉澤さんの傍らには多量の雪玉が転がっていた。

「ちょ、ちょっと、もうやめましょうよ!」
「えーい!」
「だからっ!」

まったく言うことを聞かない吉澤さんは、立て続けに雪玉を投げつけてきた。
ようやく、雪玉が尽きた頃には部屋中、びしょびしょで、雪玉を何度もぶつけられた私もびしょびしょになっていた。

「お風呂入ってきます!」
頭に来て、怒り気味で言っても、吉澤さんは満足した様子でいたのがさらに腹が立った。

お風呂に入って、熱いシャワーを浴びていると、外から中澤さんの怒鳴り声が聞こえた。
きっと、部屋をびしょびしょにしたことを怒られているんだろう。ざまあみろ。
怒られてしょんぼりしている吉澤さんを早く見たくて、急いでお風呂から出ると、吉澤さんは至って普通だった。
そして、びしょびしょだった部屋は綺麗にはなっていた。
62 名前:絶句 投稿日:2009/12/24(木) 02:26
「中澤さん。おはようございます」
「おはよう」

中澤さんはかなり不機嫌そうだった。
怖くてどうしようかと思ったけど、少しでも気分良くしてもらおうと、私は自分が作った雪だるまを見せようとベランダに出た。

「中澤さん、私、さっき雪だるま作ったんですよ。見てくださいよ」
と、言っても中澤さんはこちらに来る様子はなく、私一人で、ベランダから自分が作った雪だるまを見下ろした。
が、しかし、なかった。
雪だるまが、というよりも、雪自体が、このマンション周辺綺麗になくなっていた。

「あっ、あれ?吉澤さん!雪がなくなってますよ!」

「アホみたいに寒いからうちが全部溶かした」

「えっ・・・」

中澤さんのその言葉に私は絶句したまま、しばらくの間、動けなかった。
63 名前:絶句 投稿日:2009/12/24(木) 02:26
☆。。。
64 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/12/25(金) 01:03
ごっちん最強だなぁw
65 名前:気になって仕方ない 投稿日:2010/01/05(火) 03:23
珍しく後藤さんが本を読んでいる。
表紙には何も書かれていない真っ白な本を熱心に読んでいる。
時折、ぶつぶつと呟いては、まるで暗記でもしているかのように天井を仰いでいる。

気になる。

「後藤さん、何の本を読んでるんですか?」

私の声は聞こえないみたいで、後藤さんは何も答えることなく熱心に本を読んでいる。

「ごっちんだって、本くらい読むさ」

私も藤本さんの声は聞こえない。

「聞こえてるじゃん。あのさ、ごっちんは集中してるんだから邪魔するなよ」

後藤さんが集中している?
どうして?何のために?
余計に気になる。

「後藤さん。それ面白いですか?後で、私にも読ませて下さい」

私の声に気付いた後藤さんは、私をチラリと見ると、パッと消えてしまった。

「あーもー!!あんたが邪魔するからだ!」
「何にもしてねぇじゃん。むしろ邪魔してんのガキさんじゃん!」
66 名前:気になって仕方ない 投稿日:2010/01/05(火) 03:24
仕方ないから、藤本さんに聞いてみようか。

「美貴は何も知らないよ」
「やはり聞くまでもなかったですね」
「まあ、そんなこと言うなよ。代わりに美貴が面白い話をしてやろう」
「結構です。それより、後藤さんどこ行っちゃったんですかね」

「昔々、あるところにとっても可愛い魔女のミキちゃんと使い走りの猫のれいにゃがいてな」

後藤さんが戻ってきた。
スタバのコーヒーを持っている。
なんだ、飲み物を買いに行ってただけなんだ。

「とっても可愛い魔女のミキちゃんは、とっても怖い魔女のゆゆたんに脅されて旅に出るんだよ。可哀そうなミキちゃん」

「後藤さん。何読んでるんですか?」

後藤さんの背後に回って、本をのぞき見ようとすると、後藤さんはまた消えてしまった。
教えてくれたっていいのになぁ。

「そして、旅に出たとっても可愛い魔女のミキちゃんは、途中でのろまなカメと捨てられた王子を家来にするんだよ。なんて心優しいミキちゃんでしょうか」
「もー、うるさなー」

「うるさいとはなんだ!最後まで聞け!」
「聞きたくもないですよ。なんですか、とっても可愛いミキちゃんって。アホですか?」
「ううん。アホじゃないよ。で、とっても可愛い魔女のミキちゃんは、とっても強くて、雷の魔法でバッタバッタと敵を倒していくんだ。凄いぞミキちゃん!」

また、すぐに後藤さんが戻ってきた。
今度は、マックのハンバーガーを持っている。
飲み物は次は食べ物か。
後藤さんって、気軽に色んなところに行けていいな。
67 名前:気になって仕方ない 投稿日:2010/01/05(火) 03:24
「とっても可愛い魔女のミキちゃんは、最後のボスに辿り着くんだ。けれど、へっぽこ家来たちも使い走りの猫れいにゃもすでに犬死にして、ミキちゃん一人だけ。ピンチだミキちゃん!」

後藤さんは、ハンバーガーを食べながらも熱心に本を読み、時折、小さな声で何度も繰り返し読んでいる。
うーん。あっ、わかった。勉強してるんだ。
資格でも取るんだろう。
後藤さんだったら、料理関係の資格だろうか。
いいなぁ、私も何か挑戦してみようかな。

「とっても可愛い魔女のミキちゃんは、とっても強いから、一人だって大丈夫。最後のボスをドッカーン、バコーンとやっつけちゃった。強いぞミキちゃん!」

何にしようかな。ネイルとかがいいかな。
色々と思いをはせていると、後藤さんは読んでいる本を閉じてテーブルに置いてトイレに行った。
今がチャンスだ!
いくら瞬間移動できる後藤さんでもトイレならすぐには戻っては来ない。
ちょっとだけ見るなら大丈夫だよね。

「とっても可愛い魔女のミキちゃんは、再び世界に平和を取り戻しました。やったねミキちゃん!」

トイレを警戒しつつも素早く本のところへ移動する。
けれど、手を伸ばしたところで、本が消えてしまった。
くぅー、あともうちょっとだったのに。

「後藤さんって、侮れないですよね」
「当たり前じゃん。ごっちんは召喚獣を呼べるんだぞ!まっ、とっても可愛い魔女のミキちゃんの方が凄いけどね」
「何の話ですか?」
「おいおい、ちゃんと聞いてろよ。魔女ッ娘。ミキティの話を」
「そんな人、出てこなかったじゃないですか」
「あっ、聞いてたんだ」
「聞こえてたんです」
68 名前:気になって仕方ない 投稿日:2010/01/05(火) 03:24
後藤さんがトイレから戻ってくると、また本を読み始めた。
真剣な目をして、じっくりと何度も読み返して、そして、何度も繰り返し小さな声で読み返す。
あっ、そうだ。見なくても、聞けばいいんだ。
後藤さんに気付かれないようにじわりじわりと近づいて聞き耳を立てる。
けれど、いまいちよく聞こえない。
もっと近寄ってみると、後藤さんが私に気付いて本を閉じてしまった。

「ガキさん、どうしたの?」
「あっ、いえ。何を読んでるのかなって」
「秘密」

後藤さんはそれだけ言うと、姿を消してしまった。
怒らせちゃったかな。
けど、教えてくれたっていいのに。

69 名前:気になって仕方ない 投稿日:2010/01/05(火) 03:25
「とっても可愛い魔女のミキちゃんは、とっても怖い魔女のゆゆたんのところに帰りました。とっても怖かった魔女のゆゆたんもミキちゃんの成長に感激して、大粒の涙を流して迎えてくれました。むしろそっちの方が怖いよね?ミキちゃん」
「あの、どうでもいいんですけど、そのデタラメな話するのいい加減やめてくれませんか」
「デタラメなんかじゃないよ。何言ってんだよ」
「ていうか、藤本さんなら後藤さんが何の本を読んでいたのか知ってますよね」
「知らないっつうの」
「嘘だー。わかるでしょ」
「仮に知っててもだな、ごっちんが秘密っていうなら、勝手に教えたりなんかしないよ」
「嘘だ―。藤本さんは、そういう人じゃないでしょうが」
「いいじゃん別に、気にする程のことでもないだろう」
「気になっちゃったもんは仕方がないじゃないですか」
「じゃあ、美貴がごっちんの本以上に気になる話をしてやろう」
「もういいですよ。藤本さんの話は」
「まあ、そう言うなって。実は、意味もなく魔女ッ娘。ミキティの話をしてた訳じゃないんだぞ」
「ん?」
「あっ、気になってきた?」
「別に」
「ふふん。実は、魔女のゆゆたんってのは、中澤さんなんだよ」
「バカじゃないですか」
「バカだな。魔女ゆゆたんは、怖くて不老不死で炎の魔法を使うんだぞ。中澤さんとそっくりじゃないか。というか中澤さんじゃないか」
「作り話じゃないですか」
「まっ、そうなんだけどね。いや、ちょっと気になったから」
「気になるようなことですか?」
「そう!それだ!美貴が言いたかったことはまさにそれだ!ガキさん!!」
「黙ってて下さい」
「まあ、聞けって、つまりはガキさんが気になることも、実は気になるようなことではないんだよ」
「それとこれとではまったく違うじゃないですか」
「うーん。じゃあ、美貴のとっておきの気になる話をしてやろう」
「もういいですって。もう寝てください」

藤本さんは、少し間を取って、不思議そうに私を見ながら口を開いた。

「ガキさんってさ、いつまでここにいるの?」

「はあ!?」
70 名前:気になって仕方ない 投稿日:2010/01/05(火) 03:25
☆。。。
71 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/01/06(水) 09:40
まさかこっちであの話の結末がわかるとはwww
72 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/01/07(木) 00:46
ちょ、そこに突っ込んでいいのかww
なら私が気になるのは、いったいいつ事件がおk(ry
73 名前:失言 投稿日:2010/02/28(日) 04:27
「石川さんって役立たずですよね」
「はあ?」

思わず口にしてしまった言葉で、石川さんの眉が吊り上がった。
周りのみんなも何言ってんだこいつと言うような目で私を見ている。

「あっ、いや、違うんです。そういう意味じゃないんです」
「他にどういう意味があるっていうのよ!」

石川さんの絶叫にみんなが耳を塞ぐ。
中澤さんは、面倒なことが始まったなといった表情をみせて、一人、部屋に行ってしまった。

「ガキさん!ちゃんと説明しなさいよ!私が役立たずってどういう意味よ!」
「いや、だから、そのぉ〜。藤本さん?」

「何だよ」

「説明お願いします」
「はあ?何をだよ。意味わかんねぇよ」
「いや、藤本さんならわかるでしょ。私の気持ちが」
「わかんない」
「うっそだぁー!こんな状況で冗談やめてくださいよ」
「こんな状況にしたのはガキさんだろ。自分で始末しろよ」

藤本さんはそっぽを向いて寝たふりをした。
こいつも役立たずだ。

「ガキさん。ちゃんと説明するまで許さないからね」
「はい。あの〜、なんて言うか。つまりですよね。石川さんって必要ですか?」
「何言ってるのよ!」
「あ、あ、いや、違います!違います!そういうことじゃないんです!」
「だから何が違うのよ!」

どうも上手いこと言葉にできない。
ぼんやりとした曖昧でもやっとした感じで自分でもこの感じをきちんと言葉にできない。
だから、言うつもりはなかった。けれど、つい口にしてしまった。
74 名前:失言 投稿日:2010/02/28(日) 04:27
「ガキさんが言いたいことはつまりあれだよね」

そんな中、助け舟を出してくれたのは意外にも吉澤さんだった。
こうなれば誰でもいい。
この状況を、私のこのあやふやな感情をすっきりさせてくれさえしてくれるのなら。

「梨華ちゃんはおっぱいでかいのに、それを使わないのは勿体ないってことだよね?」
「ちがーう!なんですかそれ!吉澤さんは黙ってて下さい!」

「あれ?間違ってた?」
吉澤さんは藤本さんに投げかける。
藤本さんは、「ううん」と首を横に振っている。
さも、どうでもいい感じだ。

「ガキさん、早く説明しなさい」
石川さんの冷たい口調がさらに恐怖を増す。
何であんなことを言ってしまったのだろう。
石川さんだって、何かの役に立っているはずなのに。
はずなのに。
うーん、例えば何だろう?
うーん。

「うーん。何の役に立ってるんですかね?」
「もうー!何よ!ケンカ売ってんの!」

石川さんは怒りに怒って、近くにある色んな物を手当たり次第、当たり散らした。

「うわっ、ちょっと石川さん落ち着いて下さい」
「何よ!何なよ!突然、役立たずって言っておいて!私の何が役立たずだって言うのよ!」

とりかえしのつかない失言をしてしまったと、今更ながら思う。
石川さんの怒りは頂点になり、手がつけられない。
藤本さんは、怒る石川さんを見て大笑いしている。
吉澤さんは、石川さんを宥めようと必死だ。どこ触ってんだ。
後藤さんは、石川さんが投げた物を片づけている。
うーん、困った。
75 名前:失言 投稿日:2010/02/28(日) 04:27
「あーはっはっは。いひひ、もうこのくらいで許してやるか。十分面白かったし」
藤本さんは、笑いに苦しみながらも立ち上がった。

「梨華ちゃん。ガキさんはさ、梨華ちゃんの能力は役に立たないってことを言いたいんだよ」

ああ、そうだ。石川さんの超音波の能力は役に立たないということを私は言いたかったんだ。
ああ、すっきりした。
私は、藤本さんの言うとおりですよ満足気に見せたが、石川さんの気はそれでも収まらない。

「は?何よ!能力って何のことよ!」
「さあ、それはよくわかんないけど」
そして、助け舟を出してくれたはずの藤本さんも、わからないと言った感じで首を傾げた。

「いやいや、藤本さん。藤本さんが言ったとおりですよ」
「ん?どういうこと?」
「いや、だから、石川さんの超音波の能力って何の役にも立たないですよね?」
「何それ?」
「え?何言ってるんですか」
「いや、こっちが聞きたいよ。ガキさん、何言ってんの?」

まったく話がかみ合わない。
よくわからないので、みんなの顔を見て同意を求める。
でも、みんなも首をかしげている。

「わかった。わかったわよ。そういうことよね」

その中で石川さん一人だけわかったようで、腕を組んで、意味もなく部屋を一周して回った。

「つまりガキさんは、超能力を持ってない私が何でここにいるのかって言いたいんだよね。どっか行けってことよね」
「そこまで言ってませんよ。それに、超能力を持ってないじゃなくて、超音波って役に立ちますか?っていう意味です」
「だから、その超音波ってどういう意味よ!」
「その、今もほら、無駄に力使ってますよね。あまり使い過ぎは良くないですよ」

石川さんの顔が見る見ると紅潮して、今にも爆発しそうな雰囲気だ。
藤本さんや吉澤さんは笑い転げている。
私は何か間違ったことを言ってしまったのだろうか。
76 名前:失言 投稿日:2010/02/28(日) 04:27
「これは地声です!生まれたときからこういう声なんです!超能力でも何でもないです!」

「えっ?うっそだー!だって、凄いやかましいですよ」
「今度、そんなこと言ったらタダじゃ済まないからね」

石川さんは怒りと恥ずかしさで顔を真っ赤にしている。

「え?本当ですか?じゃ、じゃあ、石川さんの能力って何ですか?」
「知らないわよ!」

石川さんは怒ってしまって、きちんと答えてくれそうにない。
笑いに苦しむ藤本さんが、必死で何かを言おうとしているが言葉になっていない。
何がそんなに面白いのだろうか。

「ガキさん、梨華ちゃんはね、超能力持ってないんだよ」
藤本さんの代わりに答えてくれたのは、普通にしていた後藤さんだった。

「持ってないってどういうことですか?ここはそういう人の集まりじゃないんですか?」
「ううん。違うよ。幼馴染だよ。裕ちゃんは違うけど」
「え?それだけなんですか?」
「うん。よしこもミキティも梨華ちゃんも小さい頃から一緒だったの」
「へぇー、そうだったんですか。じゃあ、本当に石川さんは超能力を持ってないんですか?」
「うん、そうだよ」

「ふーん。じゃあ、やっぱり役立たずじゃないですか」

「もーいやぁー!!!」

石川さんは今日一番の絶叫をして、泣きながら部屋に行ってしまった。
77 名前:失言 投稿日:2010/02/28(日) 04:28
ああ、しまった。ここに来て、また失言をしてしまった。
超能力がなくたっていいじゃないか。幼馴染なんだから、一緒にいてもいいじゃないか。
そうは思っても、やはり思ってしまう。では、何のために石川さんはいるのだろうかと。

「梨華ちゃんは、最後の切り札なんだよ」

ようやく落ち着きを取り戻した藤本さんが答えた。
最後の切り札?
意味がわからない。
結局は役立たずではないのだろうか。

「うん。まあ、今のところはそうなんだけどね」
藤本さんは、もう少し何かを言いたげそうに口をつぐむと、遠くを見るような目をした。
吉澤さんも後藤さんも同じように、何かを思い、同じように見ていた。

「あの、カーテン閉まってますよ。どこ見てるんですか?」

チラッと、藤本さんが睨んだ。
ああ、また余計なことを言ってしまったようだ。
78 名前:失言 投稿日:2010/02/28(日) 04:28
☆。。。
79 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/03/02(火) 00:09
梨華ちゃんがんばれ…
80 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/03/03(水) 03:54
がきさん・・・(ノ∀`)
81 名前:花見をしよう 投稿日:2010/03/28(日) 03:30
みんなと暮らし始めて、いつの間にか春が訪れようとしていた。
春だというのに、外に出ると肌寒く風も冷たい。
近くの公園の桜はほとんどかつぼみのままで、一本だけがわずかに咲いていた。
中澤さんはその桜の木の下で花見をやると言って聞かないので、私が場所取りをすることになった。
誰もいないこの公園でただ一人、ゴザを敷いてみんなが来るのを待っている。

空を見上げて、これからどうすれば良いのか物思いにふける。
このままみんなと一緒にいて意味があるのだろうか。
あの人たちは本当に悪い奴を退治するつもりなのだろうか。
というか、どうして一緒に暮らしているのだろうかと。

色んな疑問が次々と頭をよぎるけど、答えは出ないまま、時が過ぎていく。
そして、誰も来ない。

すうっと風が流れて、身を震わせ、空から視線を戻すと、いつの間にか私から10メートル先に一人の見知らぬ女性が立っていた。
いつ、どこから来たのかまったく気配を感じなかった。突然、現れたかのようだった。
ひょっとしてこの人も場所取りに来たのかと思ったけど、それにしては何も持っていない。
単なる通行人なのだろうか。でも、妙に嫌な感覚を感じる。
私は、一度だけその女性の顔を見ると、すぐに目を反らした。
その女性の顔はどこかで見た記憶があるような、ないようなそんな感じで、なんとも気味の悪い感じがした。

目を反らした瞬間に強い風が吹いた。
砂ほこりが舞って、私は思わず目を閉じた。

「無防備過ぎるよ」

女性の声が聞こえて、女性がいた方向を見ると、すでにそこには姿はなく、いつの間にか私の背後に回っていた。

「あっ!ちょっと、ここは私が先に場所を取ったんですからね。譲りませんよ」

やはりこの人も花見の場所取りに来たんだ。そして、最初から他人の場所を奪うつもりでいたんだ。だから、荷物も持っていなかったんだ。
しかし、そうはいかないぞ。
82 名前:花見をしよう 投稿日:2010/03/28(日) 03:31
「場所?ああ、このゴザのこと?」
「当たり前じゃないですか。ちょっと、土足厳禁ですよ」
「ああ、ごめんね」

彼女は、ぴょんと跳ねてゴザから離れると私の前に回って歩いてきた。

「何でこの場所取ってるの?」
「花見をするんですよ」
「ふーん」

そして、彼女は腕を組み、私を舐めるように見まわした。
やはり何か嫌な感じがする。
彼女は一体何者なのだろうか。まずはそれを知るべきだ。

「あの、あなたは誰ですか?私に何か用ですか?」
「うるさい」
「へ?」

彼女はぴしゃりと私の質問を止め、そして、何かを考え込んでいるようだった。
うーん、うーんと彼女は唸りながら、何度も私を見ている。
非常に気まずい、出来れば彼女から離れたいけど、ここを離れてしまったら中澤さんに怒られてしまう。

「あっ、そうだ。良いこと思いついた」
彼女は手を叩いてニンマリと笑って見せた。
あっ、この笑顔。やはりどこかで見たことがある。
しかし、思い出せない。

彼女の良いことというのはきっと私にとっては悪いことであろう。
彼女が何をするのかわからないけど、私はここを死守しないくてはならない。
両手、両足を踏ん張り、テコでも動かないぞと彼女に意思表示してを見せた。

しかし、彼女は私の行動には意も関せず、右手を横にあげた。そして、そのまま横に振った。
彼女が手を振ったときに起きたわずかな風が私の顔にあたった。
そして、その後すぐに突風が起きた。
ゴザの四方においてあった石ごとゴザを吹き飛ばし、ゴザの上にいた私も巻きあがるゴザに浮かされて、ゴザから落ちてしまった。
そして、ゴザは風に飛ばされて、あっという間に50メートル先まで飛んで行ってしまった。
突風はすぐに止み、私はダッシュでゴザを回収に行って戻ると、彼女に私が取っていた場所にゴザを敷き座っていた。
やはり彼女も場所取りに来ていたんだ。
83 名前:花見をしよう 投稿日:2010/03/28(日) 03:31
「ここは私が先に取っていたんですよ。知ってますよね?」
「まあ、座りなよ」
彼女は、横取りしたことなど気にせず、自分の隣を叩いて、私に座るように即した。
ひょっとして花見の仲間に入りたかっただけなのだろうか?
それにしては、おかしなやり方だ。
やはりそれはないよね。一人で来て、誰かの花見の仲間に入ろうとするなんて、そんな奇特な人間がいるわけがない。

「早く座りなさいよ!」
「え!?」
彼女は、強く地面を叩いて怒鳴った。
やはりこの人は危険な人に変わりはない。
かと言って無視すれば余計に嫌なことをされそうな感じがする。

「土足厳禁だよ」
「わかってますよ」
ちゃんと靴を脱いで、というか、最初から靴を脱いでいたので、結局はそのままゴザに上に座った。
彼女の隣に座り、彼女を横顔を見た。
やはりどこかで見た覚えがある。

「あの、どこかでお会いしたことありましたっけ?」
「私に質問していいって誰が言ったの?」
「え?誰って、言われても」

困ったなぁ。
これは本格的に困ったなぁ。
84 名前:花見をしよう 投稿日:2010/03/28(日) 03:31
「ひーちゃんが新しい子が入ったって言ってたけど、大したことなさそうだね」
「はい?」

突然、彼女は今までの会話とは脈絡のないことを言ってきた。
やはり困ったことになってきたぞ。
それにしても、ひーちゃんって誰だ。

「そんなに険しい顔しなくても大丈夫だよ。とって食ったりはしないよ」

新しい子というのは、きっと私のことだろう。
けれど、そのあとの大したことないというのはどういうことだろう。

「ねぇ、ガキさんはひーちゃん達と一緒にいて、それで良いと思ってるの?」
「はい!?」

な、なんだこの人は、何で私のことガキさんって呼ぶんだ。
ガキさんって呼ぶのはあの人達だけだ。
ということは、ひーちゃんというのはあの人たちの誰かということだ。
誰だ?
『ひ』がつく人なんていたかな。

「ちょっと聞いてるの?」
「ひーちゃんって誰のことですかね?」
「私に質問しないの!ガキさんが私の質問に答えるの!」

もー、何だよこの人。中澤さん並みに一方的な人だぞ。

「まあ、あの人達と一緒にいて良いかと問われれば、良いとは思いませんね」
「だよね。だったら、私達のグループに入りなさいよ」
「グループ?」
「質問しないの!」

それくらい教えてくれたっていいじゃない。

「さあ、どうするの?」
「いや、どうするって言われても・・・」

確かにあの人達はダメ人間ばかりだ。
かといってこの人は無茶苦茶な人だ。こんな人がいるグループには、きっと同じような人達がいるってことだ。
85 名前:花見をしよう 投稿日:2010/03/28(日) 03:32
「はい。時間切れ」
「はい?」

一方的に彼女は私にそう告げると私の前に立ちあがった。

「ガキさん。銃だしなよ。それくらいのハンデはあげるよ」
「えっ?」

しまった。迂闊だった。
グループってそういう意味だったんだ。
つまり、彼女のグループと中澤さんのグループは敵対しているということだったんだ。
それで、新しく入った私がどんな奴か見にきて、さもよくば仲間に引き入れようとしていたんだ。
そういうことだったのか。花見の場所取りに来たわけじゃなかったんだ。
つまり、彼女も当然、能力者ということで、そして、私の能力のことも知っている。
さらに、私に銃を出せと言っているということは、今から殺し合いが始まるということを意味している。
これはヤバい。
彼女の能力が一体何なのか私は知らない。
それに、私には彼女を殺す理由がない。

「どうしたの?出さないの?そんなんで私に勝てると思ってるの?」
「どうして、戦わないといけないんですか?」
「私に質問はしないの」
「何も知らないまま戦う気になんてなれません」
「うーん。やっぱり、似たもの同士が集まっちゃうもんだね」

彼女はガッカリしたように肩を落としたと思いきや、先ほどのように右手を横に振った。
その瞬間、突風が吹き、私の背後から桜の花びらが舞った。
桜の花びらは竜巻状に舞い上がると彼女を巻き込んで遠くに飛んで行ってしまった。
86 名前:花見をしよう 投稿日:2010/03/28(日) 03:32
桜の舞いに目を奪われた私は何もすることができないままだった。
彼女がいなくなると同時に、私の背後で何か巨大な物が倒れて地面が揺れた。
まさかと思いながら背後を振り返ると、今まであった桜の木が無残にも砕かれなぎ倒されていた。
彼女の能力は風なんだ。
そして、その力はとてつもなく強大であることがこの状況で存分にわかる。
今頃になって、彼女に対して恐怖を感じて、その場に尻もちをついた。

ここに来てまだ数ヶ月に過ぎないけど、あの人達は私が想像する以上の敵と戦っているのかもしれない。

そして、この後、さらなる恐怖に呑みこまれることを予感した私はダッシュで逃亡した。

物陰に隠れて、様子をうかがっていると、中澤さん御一行は大量のお酒とお弁当を持って現れた。
無残な姿の桜の木を見た中澤さんは怒りに震えて、公園にあったすべての桜の木を一瞬にして灰にしてしまった。


どうしよう私。
どっちの仲間にもなりたくないし、敵にも回したくもない。

あっ、そうだ。それと、ようやく思い出した。
彼女はあややだ。あの国民的アイドルのあややだ。
サイン貰っておけばよかった。
87 名前:花見をしよう 投稿日:2010/03/28(日) 03:32
☆。。。
88 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/03/29(月) 08:26
やはりパムさんの小説にこの人は必要不可欠な存在ですねw
89 名前:ボインちゃん 投稿日:2010/04/10(土) 03:30
昼過ぎ、みんなに頼まれた買い物を済ました帰宅途中の出来事だった。
たくさんの荷物をカゴに乗せて自転車に乗っていると一人のおばあさんが胸に手を当て苦しそうにして地面にうずくまっていた。
私は自転車から降りるとおばあさんの背中に手をかけた。

「おばあさん、どうしたんですか?」
「私はおじいさんだよ」
「あっ、ごめんなさい。おじいさん、大丈夫ですか?」
「胸が苦しくて、苦しい」
「大丈夫ですか?救急車呼びましょうか?」
「これはきっと恋。医者では治せん」
「何を言ってるんですか。救急車呼びますよ」
「じいさんは恋をしちゃいかんのか」
「そんなことないですけど、どう見てもそうは見えませんよ」
「あれは一週間前のことじゃった」
「救急車呼びますよ」
「一目ぼれじゃった。紫色の髪をしたボインちゃん」
「ボ、ボインちゃん?」
「そうボインちゃん。やはり女はいくつだろうが乳じゃろ」
「そんなことないですよ」
「いいや、そうじゃ。若くてもぺったんこじゃ、ねずみのしっぽの価値もない」
「どういう意味だぁ!!!」

「これ、あまり大きな声を出すな。ビックリして死んでしまう」
「ああ、すみません。で、救急車は呼ばなくていいんですか?」
「ボインちゃんが来るのかい?」
「絶対来ません」
「じゃあ、いらん」

そういって、おじいさんは一人で立ち上げるとゆっくりと歩いて行った。
何がボインちゃんだ、このスケベじじい。
90 名前:ボインちゃん 投稿日:2010/04/10(土) 03:30
「と、いうことがあったんですよ。どう思います?」
私は帰ってからみんなに先ほどのことを話した。

「それは清作じじいだな」
「は?」
「この辺じゃ有名なエロじじいだよ」

藤本さんの話では、その清作じじいは、よく道端にうずくまっては女性に声をかけられるのを待っているらしい。
そして、声をかけた女性があわよくばボインちゃんならば、よろけたフリをしてそのボインちゃんに顔うずくめるそうだ。

「なんというエロじじいだ!」
「だろ。ガキさんもやっぱりうずくまれた?」
「そんなことされるわけないじゃないですか!」
「やっぱりな」
「ん?どういう意味ですか?」
「ううん、何でも」
「そういう藤本さんだって無いでしょう」
「何言ってんだよガキさん。もう、それは、とても口では言えないほど、ボインボインされちゃったよ」
「バカじゃないですか」
「何だよ。どういう意味だよ!」
「ねずみのしっぽの価値もないってことですよ」
「ふざけんなよ!表出ろコラ!」
「いやですよ」
「まっ、美貴も表には出たくないけどね。春なのにまだ寒いよね」
「石川さんとかはされちゃったりするんじゃないんですかね」
「おい、ガキさん。春なのに外はまだ寒いよね?」

「私は…」
石川さんは、顔を真っ赤にして俯いてしまった。
91 名前:ボインちゃん 投稿日:2010/04/10(土) 03:30
「あー、ひょっとして石川さんはあるんですか?」
「あれは、あるって感じだな。清作じじいにボインボインされちゃった感じだな」
「ボインボインされるってどういう感じですか?」
「そうりゃもう千切れるくらいだよ」
「痛いじゃないですか」
「いや、それが返って気持ちいいかもよ」
「そんなことあるわけないじゃないですか」
「わからんよ。ひょっとすると梨華ちゃんは毎週ボインボインされてるかもよ」
「それじゃ変態じゃないですか」
「そうだな。変態だな」

「うるさいわね!そんなことするわけないじゃない!」

石川さんは、キリッと顔をあげると、大声を張り上げて叫んだ。

「だいたいね。さっきから黙って聞いてれば何よ。何がボインボインよ。あんた達なんて、そのボインボインされるものが無いくせに!」
「何だとコラ!表出ろ!」
「出ないわよ!」
「ほら、やっぱり、春なのに外はまだ寒いんだよガキさん」

「それにしても困ったじいさんですね」
「いいじゃん別に、どうせガキさんは被害に合うことないんだし」
「藤本さんもね」
「ははっ、どういう意味だこの野郎。ぶん殴るぞ」
「撃ちますよ」
「冗談だってガキさん。まあ、じいさんのことはほっとけよ。案外あれでもいなくなったら寂しいだろ」
92 名前:ボインちゃん 投稿日:2010/04/10(土) 03:31
「そんな訳ないじゃない!ガキさん撃ち殺してきてよ!」
「えっ?ちょ、ちょっと石川さん。それはちょっと…」
「そうだよ。梨華ちゃんだっていなくなったら貯まっちゃうだろ」
「キィイイイ!!ふざけないでよ!もう許さない!表出なさいよ!」
「出ないよ。だって、春なのにまだ寒いんだろ、ガキさん?」
「まあ、石川さん落ち着いて下さい。ここはひとつ、中澤さんに相談してみしょうか」
「おいおいガキさん死にたいのかよ。中澤さんに乳の話はタブーだぜ」
「あっ、そうですね。困りましたね」
「表出なさいよ!」
「その前に、春なのにまだ外は寒いか答えろよガキさん!」
「寒いですよ。ったく、しつこいな」
「じゃあ、出ない!」

桜が咲き始めているけど、外はまだ肌寒い。
吹く風は強くて冷たい。
今も窓ガラスを振るわせるほどの強い風が吹いている。
そして、風に舞い飛ぶ清作じじい。

「ちょっと私、出掛けてきます」
「外寒いんじゃないの?」

「あっ、そうだ。サイン色紙持っていかないと」

清作じじい、ありがとう。
おかげで、あややのサイン貰えました。
93 名前:ボインちゃん 投稿日:2010/04/10(土) 03:31
☆。。。
94 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/04/11(日) 19:42
あややに挑むとは命知らずのじいさんだな
95 名前:狂信者 投稿日:2010/05/01(土) 00:21
珍しく吉澤さんと二人で買い出しに行った。
意外にも吉澤さんは普通で、普通に買い物をして、途中で寄り道してアイスなんか食べたりしっちゃたりして、普通にお家に帰ってきちゃって、ちょっと意外で残念だった。

「ただいまぁ〜」

玄関を開けると見慣れない靴が一足あった。
奥の方ではにぎやかな声が聞こえてきた。
誰かお客さんが来ているのだろうと思いながら、私は靴を脱ぎ、吉澤さんよりも前を歩いた。

「ひーちゃん、おかえりなさーい」
「えっ?」

賑やかな声の主は、あややで、そのあややが家にいることにもビックリしたが、さらには私を突き飛ばして後ろにいる吉澤さんに抱きついたことに驚いた。

「あやや、来てたんだ」
「うん。みきたんが暇だっていうから来たの」

みきたん?誰だ?
というか、何であややがここにいるんだ?
何で吉澤さんに抱きついているんだ?
96 名前:狂信者 投稿日:2010/05/01(土) 00:22
「おーい、ガキさん。早く、美貴のケーキを持ってこいよ」
奥から藤本さんの呼ぶ声がしたので、後ろの二人はとりあえず放って、奥に行くことにした。

「はい。買ってきましたよ。一時間も並びましたよ」
「それは御苦労だった」

後藤さんが紅茶を入れてくれて、みんなでケーキを食べている。
左から順に、吉澤さん、あやや、藤本さん。
回って、後藤さん、私、石川さん。
そして、中澤さん。

いつもの光景のように見えて、いつもと違う。
私の目の前にあややがいる。
あややが私の目の前でケーキを食べている。
あややとみんなが楽しそうに喋っている。
私はただ目の前にいるあややを凝視するばかり。

「ちょっと、ガキさんどうしたの?」
「えっ?あっ、いえ、何も」

突然、あややに話しかけられたものだから、大したことも言えず、一時間も並んで買ったケーキもじっくり味わうこともなく一気に食べてしまった。

「亜弥ちゃん、ガキさんはあやちゃんのファンだから緊張してるんだよ」
「にゃはは、ガキさん可愛い」

あややに可愛いって言われたぁー!!
でも、あややの方が可愛いですよ。
なんて、思わずニヤけてしまったら、ニヤけ面の藤本さんの顔が目に入った。
いつもならここで弾丸の一発でも撃ち込むところだけど、今日はあややに免じて許してあげよう。
97 名前:狂信者 投稿日:2010/05/01(土) 00:22
「あっ、あの、あややさん?」
「何?」
「この間、サインありがとうございました」
「いいえ、どういたしまして」

はあ、凄いなぁ〜。この間、サイン貰ったばかりなのに、今はこうして一緒にケーキを食べてお喋りしてるなんて。

「ガキさん、せっかくなんだからさ、亜弥ちゃんと一緒に写真撮ってもらえば」

おー!!珍しく良いこと言いやがったなフジモン!!
「おい、コラ。聞こえてるぞ」

「じゃあ、ガキさん撮ろうっか」
「いいんですかっ!!!」

やった!これは凄いぞ!あとでカメにメール送って自慢してやろう。
「亀に自慢してどうすんの?」

「じゃあ、みきたん写真撮って」
「えっ?美貴が撮るの?」
「だって、みきたんが言ったんじゃん」
「まあ、いいけどさ」

ん?みきたんって藤本さんのことか?
みきたんって、柄にもない。

「おい、ガキさん。その気味の悪い薄ら笑いはやめろ」

こんなのがみきたんって
「おい、こんなのってどういうことだ!」
「みきたん!早くしてよ!」
「だって、ガキさんが!」

ぷっ、みきたん怒られてやんの
「このガキー!!」

「みきたん!!!」

「チッ。撮るぞ」
98 名前:狂信者 投稿日:2010/05/01(土) 00:22
撮った写真は早速、カメにメールした。
カメが羨ましそうにする表情が目に浮かぶ。


「しっかし、あれだね。ガキさんがアイドルオタクだったとはね」
「いえ、私はアイドルオタクなんかじゃありませんよ」
「でも、亜弥ちゃんのファンってことは、そういうことだろ」
「みきたん、いいじゃない別に」
「別に美貴もそれが悪いとは言ってないよ。意外だなってこと」
「だから違いますって」
「いいってガキさん。亜弥ちゃんはうちらの知り合いだしさ、その知り合いのファンっていうのはこっちも嬉しいもんなんだよ」
「だから違いますって」
「しつこいな、何だよ」
「私は、アイドルオタクでもなければ、亜弥ヲタでもないです」
「あ、亜弥ヲタ?」
「私は、なっちヲタです!」

「「なっ!!!ち?」」

「そうです。みんなのアイドルなっちです」

「なっ、、、ち、、、ねぇ〜」

「どうしたんですかみなさん。みなさんも大好きですよね?」

あれ?おかしいな、みんなのテンションが上がってこないな。

「なっちってあれだよね。あのなっちだよね?」
「そうですよ。なっちと言ったらなっちしかいないじゃないですか」
「やっぱそうだよね」
「何ですか?まさか嫌いとか言うんじゃないでしょうね。撃ち殺しますよ」

「ちょい、ちょい待てガキさん!何も言ってねぇだろ!」
「じゃあ、みんなも好きですよね?」
「まっ、好きっていうか、」

このみきたん野郎。

「わっ!好きです!大好きです!」

「よし!それでは、みんなで言いましょう」
「な、何を?」

「なっちは天使!」



99 名前:狂信者 投稿日:2010/05/01(土) 00:23
「どうしたんですか、みなさん。はい、ご一緒に、なっちは天使!」

「ちょっとー。恥ずかしがらずに行きますよ!はい!なっちは天使!」
「なっちは、、、」

「なっちは天使!」
「な、、、」
「声が小さい!なっちは天使!」

「なあ、ガキさん。その辺にしとこうぜ。召喚されそうでこえーよ」

「なっちは天使!さあ、ご一緒に!」

「中澤さん、何か言ってやって下さいよ」

「なっちは天使というよりか、悪魔やろ」

なんだと?

「うわぁー!!ガキさん!何してんだよ!死にてぇのかよ!」

「許さん!こいつ許さん!なっちは天使なんだ!」
「わかったから銃しまえって、次、中澤さん撃ったら、ガキさんの命がないぞ!」
「殺してやる!悪魔はお前だ!」
「ガキさん、やめろって!死ぬぞ!」

なっちを侮辱する奴は誰であろうが許さない。
なっちは天使なんだ。

私はみんなに取り押さえながらも必死に銃を撃った。
天使のリボルバーは悪を貫く。
天使を守るためのこの銃で悪をぶち壊してやるんだ。

「中澤さん!とりあえずガキさんに謝って下さい」

「ブヒブヒ、ブヒヒ」

「きぃーさーまぁあああ!!!」

みんなに押し倒され、揉みくちゃにされても撃ち放った。
弾丸がなくっても撃ち続けた。

ここにいる奴らは全員悪だ。
なっちの敵だ。天使の敵だ。悪魔だ。
いつか必ず倒してやる。

結局、私は簀巻きにされ、三日間押入れに閉じ込められた。
それと、あややと一緒に撮った写真は削除されていた。
100 名前:狂信者 投稿日:2010/05/01(土) 00:23
☆。。。
101 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/05/02(日) 23:43
さすがガキさんw
102 名前:今日はミキティがお送りします 投稿日:2010/07/04(日) 02:10
ごっちんは夕飯の支度。
よっちゃんは奇妙な踊りを踊っている。
梨華ちゃんはDVDを見ている。
中澤さんとガキさんはオセロをしている。

そして、美貴は雑誌を見ている。
いつもヘッドフォンをしているけど、実は音楽を聴いていることは少ない。
今も無音の状態だ。
だから、みんなの心の声が良く聞こえる。

『おしょうゆ♪しょうゆ♪砂糖にチンパンジー♪』

ごっちんは料理中、鼻歌を歌っている。声に出してはっきりとした歌詞を歌うことはないが、実は頭の中ではおかしな歌詞が繰り広げられている。
まあ、今となっては突っ込む気にもならない。

『ミネラルよっすぃ〜!』

ん?何だ?よっちゃんか?
何をしてるんだろう?

『ああ、つまんないなあ、このDVD』

じゃあ、見るのやめろよ。美貴はテレビ見たいんだよ。
103 名前:今日はミキティがお送りします 投稿日:2010/07/04(日) 02:10
『あー、どうしよう。ここ取ったら、中澤さん怒るかなぁ〜』

接待オセロか。ガキさん大変だなぁ〜。

「ガキさん遅い!アホちゃうんか。そこしかないやろう」

中澤さんは考えるより先に口に出る。

「ああー、本当だぁー。じゃあ、ここ頂きま〜す」
『ふー助かった』

ガキさん大変だなぁ。

『ミネラルよっすぃーですYO!うん、こっちの方がいいかな』

何がいいんだ?

『ミキティーのパンツはミキミキパンツ♪よしこのパンツはよしよしパンツ♪』

ミキミキパンツって何だ!
なんちゅう歌詞だ。

『どうしようかなぁ、見るのやめようかな。そしたら、次、オセロの相手を私がしないといけないよね』

なるほど、そういうことだったのか。
いっそのことのDVD止めてやろうかな。

『うわぁ〜、ヤバいよ。このままじゃ、私勝っちゃうよ』
ガキさん大ピーンチ!
半分以上が真っ白だもんな。どう考えてもガキさんの勝ちだな。
104 名前:今日はミキティがお送りします 投稿日:2010/07/04(日) 02:10
『ミ!ネ!ラ!ル!よっちぃー!あっ、よっちぃって言っちゃった』

だから、一体何をしてるんだ、よっちゃんは。
ミネラルがどうした。

『ミネラルよっすぃー♪ビタミンごっちん♪お肉ミキティー♪』

なにぃー!!?よっちゃんとごっちんがシンクロしたのか?
てか、なぜ美貴だけ、そのまんま肉なんだよ。
あっ、いや違う、そういうことじゃない、何だこれは。

『あーもう次で勝っちゃうよぉ〜、助けてぇ〜』
どうしようもできないだろう。
ガンバレガキさん。

「チッ!もう一回や!」
うわぁー下手なくせして負けず嫌いだな。

「なんやと藤本?」
「えっ?何ですか?」
「今、何か言ったやろ」
「い、言ってませんよ」
「どうせ、下手なくせして負けず嫌いだなとか思ってるんやろ」
「なーにを言ってるんですか中澤さん。今のはたまたまガキさんが勝っただけですよ。」

こえーなチクショー。
たまに中澤さんも実は美貴と同じ能力持ってるんじゃないのかと思うときがある。
こっちが自由に他人の考えを読み取れるだけに、自分が思ってることを当てられると、ぞっとする。
ひょっとすると、この能力は美貴だけじゃなく、普通にみんなが使える能力ではないのだろうかと思ってしまう。
105 名前:今日はミキティがお送りします 投稿日:2010/07/04(日) 02:11
「ガキさんは、もうええや。石川、次、相手せえ」
「私、DVD見てるんです」
「大して面白くないやろ。ほれ、こっちこい」

あっ、また、当てた。
うーん、まっ、長く生きてる分、なんとなくわかるってとこなんだろうな。きっと。

『もー、ガキさんちゃんとやってよね』
ははっ、梨華ちゃんがあからさまに不機嫌だ。

『ああ、助かった』
ガキさんは、肩の荷が降りたように、ほっと一息つくと、ごっちんのところへと行った。
こういうプレッシャーから解放されたときの心境は、言葉だけじゃなく、そよ風のようなものも美貴に流れてくる。

『ミネラルよっすぃー!!』
ああ、もーうるせぇな。
もうそろそろ聞いても良い頃かな、てか、誰か相手してやれよ。

『裕ちゃんオセロ♪オセロ♪オセロ♪白、黒、ホワイト、ブラック♪』

ったく、コロコロ歌詞が変わるな。イライラするなー。

『あっ、藤本さん、チョコ一個残してる。食べないのかなぁ〜』

ん?あっ、ホントだ。一個残ってた。
ガキさんの顔をちらりと見ると、すぐに目を反らしたので、チョコは食べた。

『ああ、食べちゃった。ひょっとして、聞かれちゃったのかな。でも、それだったら譲ってくれてもいいのに』

欲しけりゃ言え!

『藤本、ビール』

「ガキさん、中澤さんがビールだって」

ったく、なんでこういうことは口出して言わないんだろうか。

「あっ、はい」
『ああ、やっぱり、さっきのも聞かれてだんろうな。藤本さんってケチだな』

ったく、どいつもこいつも言いたいことがあるならはっきり言えよ。
106 名前:今日はミキティがお送りします 投稿日:2010/07/04(日) 02:11
『はあ、やっぱり私が黒なのね』

プッ。そんなこと一々気にすんなよ。

『ミーネーラールーよっすぃーー!!!』

「よっちゃん!さっきから何やってんだー!!ミネラルよっすぃーって何だ!」
「えっ?」

あれ?なんだ急によっちゃんの顔が真っ赤になったぞ。

「どうしたの美貴ちゃん?」
「あっ、いや、さっきからよっちゃんがミネラルよっすぃーって連呼してるから」
「何それ?」
「知らないよ。何、よっちゃん?」
「な、何でもないよ」
「でも、さっきからおかしなポーズとともに言ってるよね?」
「言ってないよ!」

なぜ、すぐにバレる嘘をつくんだ?

『ミネラルよっすぃ♪カルシムミキティ♪不足してるぞぉ〜』
「ふざけんなごっちん!さっさと作れ!」

『藤本うっさい。殺すぞ』

ったく、もー。
うるさいのはみんなの方だよ。
あー、この能力なくならないかな。
107 名前:今日はミキティがお送りします 投稿日:2010/07/04(日) 02:11
☆。。。
108 名前:ミネラルよっすぃ〜 投稿日:2010/07/11(日) 01:41
「おおっ」
「はあ?」
「ふっ」
「プッ」
「ブッ」

「おい!今、誰か屁しただろ!」
「わ、私じゃないからね!」
「真っ先に言う奴が一番怪しいよな」
「真っ先に言ったのは美貴ちゃんじゃない」
「まあ、いいって、何も言わなくても美貴にはわかるんだから」
「だから、違うって言ってるじゃない!」

藤本さんと石川さん言い争いはさておき、先ほどまでおかしな踊りをしていた吉澤さんの謎を吉澤さんの口から聞いたわけなんです。
今度、遊園地で戦隊ショーに出るということまでは理解できたけど、その名が「ミネラルよっすぃ〜」ということでみんなが失笑した次第なんです。
109 名前:ミネラルよっすぃ〜 投稿日:2010/07/11(日) 01:42
「そ、それで、あのっ、ミ、ミネ、プププッ」
「何だよガキさん、笑うなよー」

吉澤さんもおかしな名というのは承知しているのか、吉澤さんにしては珍しく顔を真っ赤にしている。
そして、そんな珍しい吉澤さんの姿をすかさず中澤さんはカメラに収めている。

「これはなかなかレアなショットやな。松浦に高く売れそうや」

何で松浦さんが吉澤さんの写真を高く買うのかは理解できないけど、とりあえず今は「ミネラルよっすぃ〜」について深く掘り下げて、吉澤さんをいじめたいと思います。

「で、ミネ、ミネラル、、プププッ」

あー、ダメだ。笑いが止まらなくて上手く喋れない。

「ごとーも出たいな。ビタミン真希とかどう?」
「ダメだよ。もう揃ってるんだから」
「えー、裕ちゃんは魔王役なんでしょ、ごとーも出たいよ」
「なんでやん!そんなアホみたいのにうちが出るわけないやろ!」
「なんだー。つまんないの」
「こんなもん、始まる前からつまらんわ!」

「それで、あのっ、よ、よ、吉澤さん。ミネっ、ミネラル、よよよよ、よっすぃって、、、何するんですか?かっかっ」
「ん?」

不意に吉澤さんは鋭い目をして、誰もいないところを睨みつけた。
さすがに怒らせてしまったのかと、笑いもすぐに止まり、その場が凍りついた。後ろでは未だに藤本さんと石川さんが言い合いをしているけど。
110 名前:ミネラルよっすぃ〜 投稿日:2010/07/11(日) 01:42
「どうしたんや!ミネラルよっすぃー!」
「ぶざけないで下さいよボス。誰かそこにいます」
「誰がボスやねん」

「誰もいないですよ。吉澤さん、話そらさないで下さいよ」
「いや、いるよ。可愛い泥棒猫ちゃんがいるよ」
「ほんまか」
「イエス、ボス」
「よし、ミネラルよっすぃ、出撃や!」
「ラジャー」

あっ、なんだ。コントが始まったのか。
いつも急に始めるからわからないんだよね。

「ちょい待て、ミネラルよっすぃー」
「はい?」
「ちゃんと登場のポーズしろや」
「え?登場のポーズ?」
「戦隊ものならあるやろ。決めのポーズ」
「それはまだ考え中で、、、」
「ええから、さっさとやらんか」

「ミネラル!よっすぃー!!」
ここぞというときは恥ずかしがらずにやってしまう吉澤さんを私はまったく尊敬はできないけど、立派だとは思う。

「がははっ、アホや、こいつホンマもんのアホや」
「んもー、とにかく捕まえに行きますよ」
「ははっははっ、良いの撮れたわ。これは5万くらいで売れるやろ」

は?ひょっとしてさっきの変なポーズの写真を5万で売るつもりなのかこの人は。
誰があんなの買うんだ?
111 名前:ミネラルよっすぃ〜 投稿日:2010/07/11(日) 01:42
「うりゃー!捕まえたぞー!!」

中澤さんが撮った写真を苦笑いして見ている間も、吉澤さんは一人でコントを続けていた。

「なんでみつかったんちゃん?離すっちゃ!」

「ええっ?」
奥の方から吉澤さんとは違う声質で、しかも訛りのある女の子の声が聞こえてきた。

「どこ触ってるっちゃ!やめろっちゃ!殺すっちゃよ!」
うるさい声にみんなも吉澤さんを注目している。
しかし、その中で一人、石川さんだけは何故か泣いていた。
藤本さんは何をしたんだ?

吉澤さんがこちらまで何かを引っ張るようにして戻ってきた。しかし、声は聞こえるが女の子の姿はなかった。

「やめろっちゃ!れいにゃを誰だと思ってるちゃ!後で痛い目に合うっちゃよ」
「はいはい。よちよち、れいにゃれいにゃ」
「くぅーバカにしてるっちゃ!許さんっちゃ!」

バシっ!と何かを叩く音が聞こえると同時に、ついにその姿を現した。
が、しかし、その声に似合った、ちょっと強気な小さな女の子で、みんなはさして驚くことも警戒することもなく、私達は吉澤さんのコントを黙って見ていた。

「撃つちゃよ。死にたくなかったら、大人しくするっちゃ」

れいにゃは、拳銃を吉澤さんに向けて、構えている。
しかし、吉澤さんは余裕の表情だ。

「れいにゃは本気っちゃ。ヤルときはヤルっちゃ」

そうは言っているが、この子はきっと一度も銃を撃ったことがないのだろう。
銃だけを前に押し出し、腰は完全に引けていて、体も震えている。まるで怯える子猫だ。
こんな変態ばかりいるところに、のこのことやってくるなんて、なんてバカな奴だ。
112 名前:ミネラルよっすぃ〜 投稿日:2010/07/11(日) 01:43
「可愛い〜」

吉澤さんとれいにゃがにらみ合う緊迫したコントに割って入ってきたのは後藤さんだった。
銃を持っているれいにゃをもろともせず、後ろから掴みあげた。

「ねぇ、ごとーこの猫飼いたい」
「は?」

突然、何を言い出すんだ後藤さんは。

「何言ってんだよ。ごっちん。たださえ、タダ飯食らいの居候がいるってのにペットまで飼えるかよ」
「何だと?」
「だって、そうじゃん」
「別に、私は居候なんてしてるつもりはありませんよ。お金出せっていうなら出しますよ。それに大体、私がここに来てから一つも仕事がないじゃないですか!どういうことですか一体」

「ごとーが面倒みるからいいでしょ。裕ちゃん」
「あかん。うちは犬派や」
「ごっちん、そういうことだから、その猫は元の場所に返してこい」
「やだぁー!飼うもん、ごとーがちゃんと面倒みるもん」

後藤さんがこんなに駄々こねるのは始めだ。珍しい。
けど、

「ていうか、それ猫じゃなくて人間ですよね」

「猫だもん!にゃーって言ってるもん」
「れいにゃは猫じゃないっちゃ!人間ちゃ!離すっちゃ!撃つちゃよ!」
「ほら、にゃーにゃー言ってるじゃん」

あっ、やっぱコントか。
しまったな、さっきのマジレスは後で怒られそうだな。

「藤本、ごっちんがここまで言うのも珍しいから飼ってやってもええやろ」
「あれ?なんだよ。中澤さんがダメって最初言ったじゃん」
「せやけど、ごっちんが駄々こねたらいつまで経っても終わらんぞ。一匹くらいなんとかなるやろ」
「まっ、中澤さんがそう言うならいいけどさ」

「やったー!!裕ちゃんありがとう」
「ちゃんと面倒みるんやで」
「うん」

これにて一件落着?
んな、訳ない。
113 名前:ミネラルよっすぃ〜 投稿日:2010/07/11(日) 01:43
「くぅううーー。れいにゃのことみんなしてバカにしてるったい!もう怒ったっちゃ、もう許さんけんね」

れいにゃは後藤さんの手を振りほどくと、銃をろくに構えもせず、乱射しだした。
一発、二発と意思を持たない弾丸は誰にも当たることなかった。
そして、最後の一発が私に向かって飛んできた。
私は、その弾丸を掴むと、私の黄金のリボルバーにその弾丸を詰め、れいにゃが持っている銃を狙い撃ちした。

「ぎゃふん!」

れいにゃの叫び声?と同時に、銃が弾かれた。
ようやく一件落着だ。


「あーー!!れいにゃー、大丈夫?怪我してない?」
「痛いっちゃ。撃たれたっちゃ。れいにゃもう死ぬっちゃ」

えー、まだコント続くんですか?

「痛いっちゃ、あややに言いつけてやるっちゃ。もう終わりっちゃ、みんな殺されるっちゃ」

あやや?
れいにゃは、痛む手を押さえながらも、忽然と姿を消して、玄関から逃げて行った。
なるほど、れいにゃは透明になれる能力を持ってるんだ。そして、透明になっても吉澤さんの能力なら見破ることができるんだ。
それと、あややのチームの一員なんだ。
なるほど。
しかし、あややのチームならここにヘンテコな奴らがたくさんいることは知らなかったのだろうか。
それとも、あややがわざと教えていなかったのだろうか。
きっと後者だろう。

「あ〜、れいにゃ逃げちゃったよー。ガキさんのせいだよ」
「えっ?ああ、すみません」
「まあ、ええやんごっちん。今度、ペットショップ行って犬買いに行こうや」
「猫がいいー」
「絶対、犬やドアホ!」

結局、あのれいにゃという女の子が何しに来ていたのかはわからないけど、犬が飼えるのは楽しみだ。
114 名前:ミネラルよっすぃ〜 投稿日:2010/07/11(日) 01:43
「あのぉ〜。みんな、ミネラルよっすぃ〜のこと忘れてない?」

そして、途中からコントを後藤さんに奪われた吉澤さんが所在なさげに立っていた。

「よっしゃ、最後に勝利のポーズや!」
「え?勝ったの?」
「当たり前やん。ほれ、はよやれ」

「ミネラルよっすぃー!!!」
「さっきと同じやんけ!」
115 名前:ミネラルよっすぃ〜 投稿日:2010/07/11(日) 01:43
☆。。。
116 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/07/18(日) 17:15
れいながヘタレで可愛いですなw
117 名前:超能力 投稿日:2010/09/12(日) 02:11
あややとのツーショット写真をカメにメールしていたことを思い出した私は、カメに写真を送ってもらうことにした。
そして、私は、珍しく役に立ったカメにランチを御馳走することにした。

私があの変人5人衆と共にするようになってから、気付けばカメを始めとする友達との交流がなくなっていた。
忘れてたつもりはないが、日々あの変人に付き合わされると他への余裕がきっと無くなってしまったのだろう。
しかし、久しぶりだというのにカメは至って普通だ。久しぶりって言葉もなければ、さも昨日も会っていたかのような話振りだ。
それが親友ってもんだよ。と、誰もが思うだろう。
しかし、私はそうは思わない。これが亀井絵里なんだと私は思う。


「ぐへへ。うへへ」

一通り近況をお互いに話し終えると、カメは突然、薄気味の悪い笑いをした。
これもいつものことだから、大して気にはしない。

カメの笑いは無視して、食後のデザートのアイスを食べながら、この後、どこに行こうかなと思いを馳せらていた。

「どうしようかなぁ〜。言っちゃおうかなぁ〜」

カメは、アイスには手をつけずにスプーンをブラブラとさせながらニヤニヤとし続けている。

「何かあったの?」
どうせ大したことはないのだろうけど、とりあえず聞いてあげないと終わらない。

「えー、どうしようっかなぁ〜」
ほっといても終わらないけど、ここから中々終わらない。
118 名前:超能力 投稿日:2010/09/12(日) 02:11
「さっさと言いなさい。アイス溶けちゃうよ」
「でもなぁ〜、怒られるちゃうかなぁ〜」
「怒らないから、早く言いなさい」
「ガキさんにじゃないよ」
「誰に?あんた、何かしたの?」
「それがねぇ〜。すんごいだよ、絵里」
「あんたの凄いはどうせ大したことないんだから、さっと言いなさい」
「あっ、そういうこと言っちゃうんだぁ〜。どうなっても知らないよ」

ったく、もー。相変わらずじれったいな。

「でも、ガキさんになら言っても大丈夫かな。絶対にガキさんビックリすると思うんだ」
「はいはい。ビックリしてあげるから言いなさい」
「本当にビックリするよ。ガキさん、昭和のリアクションしちゃうよ」
「昭和って言わないの!あんただって昭和でしょうが!」

「うへへ。どうしようかなぁ〜」

はあ、また振り出しに戻った。もう、面倒臭いな。
こういう時、藤本さんがいたら、カメが何を言いたいのかすぐにわかるのに。

「ぜっ、たいに、ガキさんビックリするよ。あんまり大声出さないでよ。周りに迷惑かかるから」
「今、あんたに私が一番迷惑かけられてるんですけど」
「もー、そんなこと言わないの。じゃあ、やるよ。いい?」
「いいよ。早くして」

「うへへ」

ニヤけ面のカメは、手にしていたスプーンを両手で握りしめると、じっとスプーンを見つめていた。

「何してんの?」
「ガキさん、静かに」

カメは、手をプルプルとさせるくらい力をスプーンに込めていた。

「エイっ!」

カメの拍子の抜けた声と共にスプーンが曲がった。
119 名前:超能力 投稿日:2010/09/12(日) 02:11
「やったー!!ほら、ガキさん見て!スプーン曲がったよ!」
「ちょっと!!あんた何やってんの!お店のスプーンでしょうが!!」

「え?いや、ガキさんそういうことじゃなくて、スプーン曲がった・・・」
「どうすんの?あんたが弁償しなさいよ」
「いやいやガキさん。驚くところ違うよ。絵里、手を使わずにスプーン曲げたんだよ」
「それがどうしたの?元に戻せるの?」
「戻せないよ。超能力だもん」
「これのどこが超能力だー!!」

「へ?いや、でも、超能力と言ったらスプーン曲げでしょ?」
「こんなの超能力なんて言わない。ただのスプーン曲げ」
「いや、だからスプーンを曲げる超能力」
「下らない!帰るよ!」

「えっ、ガキさん」

結局、私がお店の人に謝って弁償した。
始終、カメは俯きながらブツブツ何かを言っていたが、聞き取れなかった。
そして、私は、何故かむしょうに腹が立って、そこでカメと別れた。

帰りながら次第に冷静さを取り戻すと、カメにしたことを申し訳なく思うようになった。
カメがしたスプーン曲げは手品やインチキではなく、超能力によるものであることが、感覚的に私にはわかった。
微々たる力だったけれど、カメにしてみれば、スプーンを曲げたということは凄いことなんだ。
しかし、強力な能力を持った人達がいる環境に慣れてしまった私には、スプーンを曲げるだけの能力なんて、無いに等しいくらい些細なことに感じるようになっていたのかもしれない。
そして、さらに考えていくと、マイペースでいつもぽけぽけしてて、だらしないけど憎めない私の大切な親友が能力を持ってしまったことを受け入れらなかったのかもしれない。
カメにはこっちの世界には来て欲しくはなかった。
カメのような人間では、あっという間に殺されてしまう。
それこそ、中澤さんに会ってしまったら、5秒と経たずにカメはこの世から完全に消えてしまうのかもしれない。

このことは私の胸の中にしまっておこう。そして、もうカメとは会わないようにしよう。
120 名前:超能力 投稿日:2010/09/12(日) 02:12
しかし、私の胸の中にしまっておいても、簡単に引き出せる奴がいる。

「ほー、スプーン曲げね。かなり初歩的な超能力だな。誰なんだそいつ?」
「藤本さん、気にしないで下さい。ホントに大したことないんで」

帰ってきた途端、藤本さんに読まれた。
私が未だに考え過ぎている所為もあるけど、たかがスプーンを曲げるだけの能力に構わないでほしい。

「いや、ガキさん甘いな。今はスプーンしか曲げることが出来ないと考えるべきだ。サイコキネシスは古くからある能力だ。それだけに、その能力を的確に強力にする手段もある」
「そうかもしれませんが、カメはそんな大そうな人間じゃありませんから心配いりませんよ」
「だから、甘いって言ってんだよ!いいか、サイコキネシスはその気になればビルも破壊できる力を持つんだ。これがどういう意味かわかるよな?」

藤本さんが、珍しく真剣な表情だった。
真剣に怒っている。
藤本さんの言うとおり、訓練すればビルも壊す力を持ってしまうかもしれない。
しかし、カメは努力しない人間だ。

「そういう問題じゃねぇよガキさん!こっちは真剣に話してるんだぞ!」
「大丈夫ですって、カメのことだから、明日には超能力なんて消えてますよ」
「違う!全然違う!ガキさんは何にもわかっちゃいない!」

藤本さんは私を掴み寄せると真剣な目を見せていた。
こんなに真剣な藤本さんは初めてで怖かった。

「ガキさんの能力は自然に身に付いた物だろ?」
「そ、そうですけど、それがどうしました?それが当たり前じゃないですか?」
「違う。人の手によって無理矢理引き出すことができる」
「そうなんですか?」
「ああ、そういう能力を持ってる奴がいる。そして、引き出された力の強さはまちまちだし、まったく出てこない奴もいる」
「そうなんですか。そんな能力もあるんですね」
「おい、何、のん気なこと言ってんだよ。つまりは、そのカメって奴は、自然と身に付いたものなのか、それとも誰かに引きだされたのかを調べる必要がある」
「どうしてですか?」
「ったく、もうちっと考えろ。意味もなく超能力者にする奴がいるか?」
「じゃあ、何のために?」
「何のためって、超能力者を増やすために決まってるだろ。考えろって言ってるじゃんかよ」
121 名前:超能力 投稿日:2010/09/12(日) 02:12
増やしてどうする?
何をするんだ一体?

「ったく、ダメだなガキさんは。ガキさんがここに来る前に、ガキさんだってやってただろ」
「天使の仕事ですか?」
「ぶざけんなよ、ぶん殴るぞ!人殺しだろうが!」
「わ、私はっ!私のは人殺しなんかじゃない!天罰なんだ!神に与えられた使命なんだ!」
「人殺しには代わりねぇよ」
「違う!」

咄嗟に私は銃を出して藤本さんに向けた。
私がこれまでしてきたことは、罪を逃れてひょうひょうと生きている悪い奴に天罰を下したんだ。
人殺しなんかじゃない。

「ガキさん、落ち着けよ。別に責めてる訳じゃない。この力は使い方次第で天使にも悪魔にもなれる」
「それは、、、でも、カメが悪いことに使う訳がない」
「それはわからない。そいつ自身の思いとは裏腹に利用されることだってある」

カメなら確かに利用されそうだ。
あのぽけぽけプーが人殺しなんてしてしまったら、私、どうしたらいんだろう。

「だから、調べる必要があるし、そいつに力の使い方をきちんと教える必要がある」
「そうですね。わかりました。今度、カメを連れてきます」
「今度じゃダメだよ。今すぐ連れて来い」
「はいっ!」


私は、すぐに飛び出した。
走りながらカメに電話をした。しかし、カメは電話には出なかった。
きっと拗ねているんだろう。
とりあえずメールだけ送って走った。
122 名前:超能力 投稿日:2010/09/12(日) 02:12
「カメちゃん!全然わかってないじゃん!」

公園を横切ったところで、聞き覚えのある声とともにカメの名が聞こえて足を止めた。
そこには、あややとカメがいた。
カメは汗を流しながら真剣に空き缶に向かって念を飛ばしているようだった。

どういうことなんだろう。これは。
まさか、あややがカメの能力を引き出したのだろうか。
しかし、あややの能力は風だ。じゃあ、他の誰か?
それとも、カメの能力を知ったあややがカメを仲間に入れたのだろうか。
そういえば、あややは前に私を誘おうとしていた。
あややは何か目的があって能力者を集めていることには間違いはなさそうだ。

私は、右手をポケットに突っ込み銃を準備して、ゆっくりと二人の元に近寄った。


「カメちゃん。集中して、イメージするの。自分であの空き缶をどうしたいのか、どうやればいいのか、イメージするの」
「やってるよー。うるさいなぁ」
「うるさいって何よ!カメちゃんがもっと力付けたいって言ったんでしょ!こっちは忙しいんだからね!」
「ごめんなさい」

どうしてカメが力をつけたいなんて思ったんだろう。
ひょっとして、私がスプーン曲げをバカにしたから?もし、あのときスプーン曲げに驚いて、カメの気分を良くさせておけば、カメはこんなこと思わなかった?
カメを止めなきゃ。カメの力を強くさせちゃいけないし、悪いことに使わせては絶対にいけない。けど、あややの力は強大だ。中澤さんに匹敵する力を持っている。
そのあややが教えれば、カメもひょっとすると強大な力を持ってしまうかもしれない。
私が止めないと。

カメは必死に念を送っている。
空き缶はわずかに震えている。カメの力が届いている。

カメにはこっち側には来て欲しくない。
カメだけは、私の心の拠り所で居続けてほしい。
123 名前:超能力 投稿日:2010/09/12(日) 02:12
私は、リボルバーの引き金を引いた。

弾丸が命中した空き缶は弾き飛ばされて地面に落ちた。
自分の力で落としたと勘違いしたカメは喜んでいた。
しかし、私に気付いたあややは私を睨みつけていた。

「ガキさん、邪魔しないでくれるかな」
あややの言葉にカメは私の方に振り向いた。
そして、私が持っているリボルバーを見て、言葉を失くしている。

「カメ、カメはそんなことしなくていいから。こっち来なさい」
「ガキさん、邪魔しないでって言ってるでしょ」

「カメは私の親友です。あややさんが何を企んでいるのか知りませんが、カメを渡すわけには行きません」

「ガ、ガキさんが撃ったの?なんで銃なんか持ってるの?」
カメは喜びもつかの間、一転して怯える目で私を見つめていた。

「カメ、こっちきな」
「ガキさん、どうしたの?なんでそんなことするの?」
「いいからこっち来なさい!」

「やだ!ガキさんはいっつもそうやって絵里のやることを否定する。絵里だって頑張ればもっと凄いことできるもん」
「あんたが頑張れるわけないでしょう!利用されてるだけなんだよ!」

「何を言ってるのかな?ガキさん」
あややが近づいてきた。
私を威圧するかのように、あややの周りには竜巻が発生している。
リボルバーを握る手に力が入る。

「私が何を企んでるって?」
「じゃあ、なんでカメに力の使い方を教えているんですか?」
「今は私が質問しているの!」

あややの怒鳴り声と共に一陣の風が私の右頬を掠めた。
ずっと伸ばし続けていた髪がばさりと落ちた。
124 名前:超能力 投稿日:2010/09/12(日) 02:13
カメは怯えた目をして私を見ている。

「みきたんが何か言ってたの?」
「カメを返して下さい」
「答えなさい!」

今度は左頬を風が掠め、髪が落ちた。

「天使のリボルバーは悪魔を貫きます。あなたが悪魔ではなければ当たることはありません」

「撃ってみなさいよ」

あややの目に怯えは一切ない。
私の方が震えあがってしまう程に威圧的な目をしている。

「ガキさん、やめなよう」
カメの弱々しい声が聞こえる。
この状況で弱気になるカメはやはり向いていない。

「どうしたの?脅しなんて私に通用しないよ」

撃鉄を引き起し、あややの眉間に銃口を向ける。
憧れていたあのアイドルのあややに銃口を向けているのに、一切の迷いも緊張もない。至って冷静だ。
あとはタイミングを待つだけだ。
あややのあの自信は、私の弾丸を弾き返すことができるという自信だろう。
私だって、素直に撃つ気はない。
チャンスは一回だ。
確実にあややに命中する時を待つ。

あややが引き起してる嵐が私に近付いてくる。
髪が切れたことは返って良かったのかもしれない。髪で視界が遮られることもない。

「ガキさん!やめなよ!やめないと、絵里が撃つよ!」
横目でチラリと見ると、カメが空き缶を狙っていたときと同じように手の平を広げ私に向けている。
今は、カメに構っている暇はない。

「ガキさん、どうしたの?やるの?やらないの?私、忙しいんだけど」
「カメをどうするつもりですか?」
「ガキさんは質問しないの」

話しても無駄だということか。
ならばやるしかない。
私たちがどういう世界にいるのかカメに知らしめることもできる。
もう一度、銃口を向け直し、鼻から息を深く吸う。
そして、ゆっくりと口から吐き出す。吐き出し終えたときが合図だ。
125 名前:超能力 投稿日:2010/09/12(日) 02:13
「もずくマン参上!!」

「はっ!?」

残りの息は、驚きとともに全て吐き出して、一瞬呼吸が止まりそうになるくらい驚いた。
こんな状況で、全身緑の吉澤さんが現れてきた。
この人は、本当にバカなんだな。

「えーーーい!」

吉澤さんが現れたと同時にカメが大きな声をあげた。
せっかく登場してポーズまで決めた吉澤さんは、突然、誰かに肩を押されたように背後によろけると尻もちをついた。
状況がわからず混乱している中、カメの喜ぶ声とあややの叫び声が混ざった。

「ひーちゃん!大丈夫?」
「痛いよぉ〜」

「やった!命中したよ。あやや、絵里もやればできるんだよ」

なるほど、カメは突如現れた変な人に向けて放ったのか。
力は弱かったけど、藤本さんが言っていたように訓練すれば強大な力に変わるのかもしれない。

「ひーちゃんになんてことすんのよ!」
「へ?何で?」

そして、あややは怒りにまかせて、カメを吹き飛ばした。
カメは空の彼方に飛んでいき、あっという間に見えなくなってしまった。
だから、こっちに来なさいと言ったのに。

「あー、ビックリしたよ」
「ひーちゃん、大丈夫?痛くない?」
「もずくマンがこのくらいでやられないよ!」
「ひーちゃん、格好イイ!!」

あややは吉澤さんに付きっきりで私のことは忘れているみたい。
というか、ひーちゃんって吉澤さんのことだったんだ。
でも、なんでひーちゃん何だろう?
吉澤さんの名前なんだっけ?

うーん。まあいいや。
帰ろう。

帰り途中で吉澤さんが走って私に追いついてきた。
吉澤さんは私を助けに来たのだろうか。それともたまたま通りかかっただけなのだろうか。

「ミネラルよっすぃ〜はどうしたんですか?」
「もずくマンも掛け持ちでやってるんだよ」
「大変ですね」

吉澤さんは、とくに言葉を返すことなく、無言で真っ黒のグラサンを出すとそれを付けた。
そういえば、今日はカラコンを付けてなかった。
てことは、丸見えだったのか。まあ、それも今更どうしようもできない、諦めるしかないことだ。

「ガキさん、髪切った?」

この人にこそ人の気持ちを知る能力が必要だと思う。

126 名前:超能力 投稿日:2010/09/12(日) 02:13
☆。。。
127 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/09/12(日) 18:10
もずくマン△
ストーリーが大きく展開する予感でwktk
128 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/09/14(火) 13:36
それを言うためだけにグラサンつけたのかw
129 名前:Lv7 投稿日:2010/09/28(火) 02:40
亀が親友という仲であるなら、彼女はなんというべき存在なのだろう。
親友というにはちょっと違う。けれども、家族でもない。
まっ、簡単にいうと幼馴染なのだが、そういう簡単な間柄でもない。
さてはて、一体なんであろうか。

ニューヨークに行くといって、本当に行ってしまった彼女は、この一年間、まったくの連絡もなかった。
彼女の母親に何度か様子を尋ねてはみたが、家族にも連絡を寄こしていない。
便りがないのは元気な証拠なんだろうと、自分に言い聞かせて無事を祈るしかなかった。

そして、今、一年ぶりに再開した彼女が目の前にいる。
その名は高橋愛。
さすがにニューヨークに一年行っていただけあって、英語がペラペラになったのだろう。
私には、まったく理解できない言葉をさっきから連呼している。

「ケアル!ケアル!ケアル!」

両手一杯に買い物の荷物を抱えたまま、ダイナミックに大コケして、膝を擦りむいた石川さんに対して。
130 名前:Lv7 投稿日:2010/09/28(火) 02:40
恥ずかしさからすぐにその場を離れたかったのだが、買い物の量が多すぎて、辺りに散らばったのを二人してかき集めているところへ、愛ちゃんが現れた。
愛ちゃんは、私には気付かず、石川さんの膝を見るなり、「ケアル」という謎の言葉を連呼し始めた。

うーん。一体、これは何だろう?
私だって、それなりの英語は知っている。しかし、「ケアル」なんて言葉は知らない。
ニューヨーカーならではの言葉なのであろうか。しかし、怪我をした人に何を必死に言う必要があるのだろうか?
たとえば、日本語の場合であったら、さしずめ「大丈夫?大丈?大丈夫?」というとこだろうか。
うん、そうだな。

「愛ちゃん。膝擦りむいただけだから、大丈夫だよ。石川さんも大丈夫ですよね?」
「うん。大丈夫だよ。ありがとうね」

「まだ、治ってないんやよ。ケアル!」
「愛ちゃん。これは、すぐには治らないけど、でも、大丈夫だから、変なこと言うのやめて」

「ん?」

あっ、ようやく、愛ちゃんが私の存在に気付いたみたいだ。
さて、なんて言うのだろう。

「ガキさーん!どうしたん」
「は?ガキさんって、なんで愛ちゃんが知ってるの?」
「髪切ったんやー」
「う、うん。まあね。人の話聞いてる?」
「はー、可愛い。ケアル!」

「だから!なんだそれは!」

「ケアルやよ。傷治るんやよ」

「そんなんで治るんならお医者さんいらないでしょーが!」
「いらんよ。あっしは、今、白魔法Lv6なんやよ。もうすぐで、Lv7にレベルアップして、プロテス覚えるんや」
「は?何それ?」
「防御力アップするんやよ!」
「それがどうした!ったく、ちっとも連絡寄こさないと思ったらおかしなこと覚えて、大丈夫なの?」
「Lv10になったら、黒魔法使いにジョブチェンジするんやよ」
「人の話を聞けぇー!」
131 名前:Lv7 投稿日:2010/09/28(火) 02:40
一体、何をしに愛ちゃんはニューヨークに行ったのだろう?
白魔法とか黒魔法とか、まさか変な宗教に入って、おかしくなってしまったのだろうか。
それならば、私が救ってあげないと。

「よし、愛ちゃん病院行こう!」

「ケアル!」

「だーかーらー。もう、よしなさいって!」

「あっ!治った」
石川さんは、擦りむいて滲んでいた血を手でふき取ると、綺麗に傷が無くなっていた。
そして、どこからともなく、奇妙な音が。

「あっ!レベルアップした!Lv7やよ!プロテス覚えたやよ」

何それ。どういうこと?
私と石川さんは互いに首をかしげ、喜ぶ愛ちゃんの姿を眺めていた。

「プロテス!」

愛ちゃんが、おかしな言葉を言うと、突如、私の目の前が光だした。
光のカーテンのようなものがあって、とても前が見づらい。

「こらー!何するんだぁー!」

「大成功やよ。これでガキさんの防御力がアップしたんやよ」

「ねえ、ガキさん。この子と知り合いなの?」
「えっ?まあ、一応」
「じゃあ、私は先に帰るね。じゃあね!」
「えっ?あっ、ちょっと石川さーん!」

石川さんはタイミングよく現れたタクシーに乗ると、私を待つことなく、行ってしまった。
ちくしょー。逃げられた。
元々、厄介な愛ちゃんがさらに厄介になって戻ってきた。
私の回りには、どうしてまともな人間がいないのだろうか。
132 名前:Lv7 投稿日:2010/09/28(火) 02:41
「ガキさん、久しぶりやし、どっか遊びに行こう」
「うん、そうだね。とりあえず、これ消してくれないかな」
「あっ、そうや!自分にプロテスするの忘れとった。プロテス!」
「こらぁー!何やってんだ!」
「これで二人は大丈夫やよ」
「こんなので大丈夫なわけないでしょうが」
「Lv7だからってバカにするなよ!」
「してないよ!なんだよLv7って!」
「これやよ」

そう言って愛ちゃんが見せてくれたのはiPhone。
画面にはLv7と表示されている。
ああ、ゲームか。なんだ。

「それって、面白いの?」
「面白いんよ。ガキさんもやる?」
「うん。やりたい!」
「なら、まずはガキさんのレベル計るんよ」
「どうやって?」
「写真撮るんやよ」
「ああ、そういうことね」

愛ちゃんが写真を撮ると、目を大きく見開いたまま固まっている。

「ねえ、何?どうしたの?」
「嘘やよ」
「何がぁ」
「ガキさんごときがLv11って嘘やぁー!これ壊れてるや。しかも、ガンナーってなんやよ。初めて見るジョブや!」
「うーん…」

ガンナーってつまりは銃ってことか。
間違ってはいないかも。でも、Lv11ってどういうことだろう。強いのだろうか、愛ちゃんがあれでLv7ってことはそう大したことなさそうだ。

「おかしいんよ。これ、おかしいんよ」
「うん。わかったから、どこか行こうか」
「買ったばかりなのに、壊れてしもうた」
「じゃあ、新しいの買いに行こうよ」
「もう一回計ってみるんよ」
「もう、いいって」
133 名前:Lv7 投稿日:2010/09/28(火) 02:41
言いだしたら聞かないのは昔から変わっちゃいないが、これは変な方向に行ってしまったようだ。
ひょっとしてというか、確実に愛ちゃんも、私たちと同じような能力に目覚めたのかもしれない。
自分だけと思っていたこの力が、実はごくありふれたものになってきているのだろうか。誰もが、特殊な能力を身につけてしまったら、やりたい放題だ。
もういい加減にしないと。あいつらは敵がいるとかいっておきならが、今の今まで一度も敵と戦った試しがない。
私がなんとかしないと。

「あー、やっぱりLv11やよ。やっぱ壊れてしもうた」
「うん。そうみたいだね。新しいの買いに行こうか」
「あー、ショックやよ」

「あれ?ガキさんやん。こんなとこで会うなんて珍しいな」
「うぉおおお!!な、な、中澤さんッッッ!!!」
「そんな、驚かんでもええやろ。うっさいな」
「ど、どうしたんですか?まだ、太陽沈んでないですよ」
「うちは吸血鬼か!」

「試しにこの人、計ってみるんやよ。このおばさんなら、せいぜいLv4ってとこやよ」
「ん?愛ちゃん!この人はダメぇーー!!!」

私が手を伸ばしたときにはすでに遅く、計測完了したようで、愛ちゃんはその結果に愕然として微動だにしない。

「Lv999。魔王。ラスボスやよ!!あっし、まだLv7の雑魚キャラなのにラスボスまで来てしまったんやよ!」
「は?なんやねんこいつ」
「なんでもないです!ゲームです!中澤さんのこと言ってるわけじゃないですよ!」
「ホンマかぁ〜」

「プロテス!」

「なんやこれ?」
「愛ちゃん!こんなの通用しないからっ!」

「ひょっとして、あんた…」
「愛ちゃん逃げるよ!」
「そうやね!今は逃げるけど、レベルアップして絶対に倒すやよ!」
「そんなこと言わなくていいから!」

「こら!ガキさん待たんか!」

魔王が放った一撃の前では、覚えたてのプロテスも役には立たずLv11の私は簡単に打ちのめされ、その場に倒れた。
愛ちゃんは必死になって、また「ケアル」という謎の言葉を連呼していた。
134 名前:Lv7 投稿日:2010/09/28(火) 02:41
☆。。。
135 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/09/28(火) 07:41
愛ちゃんおもろいワロタw
136 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/10/01(金) 13:33
ウザイにも程があるw
そして姐さん強えぇぇぇー!
137 名前:バースデー 投稿日:2010/10/21(木) 02:40
こんな寂しい誕生日を迎えたのは初めてだ。
何をやってるんだろうか私は。
何で私はここにいるのだろうか。

藤本さんを除いて、みんなはおでかけ。
私だって遊びに行きたかったのに「ガキさんは部屋の掃除」と命令されて、渋々、掃除。
藤本さん邪魔だな。

「何?」
「そこ、どいてくださいよ」
「やだ」
「掃除してるんですよ!」
「他のところすればいいじゃん」
「他もやりますが、今はここを掃除しているんです」
「しょうがないな」

藤本さんは、ゴロゴロと転がりながら場所を移動。
いっそのとこ捨ててしまおうか。

まあ、確かにこの人たちに今日が私の誕生日であることを伝えていないから仕方のないことだとしても、カメや愛ちゃんからもメールの一つもないなんて一体どういうことなんだろう。

「ガキさんもさ、今日が誕生日なら誕生日って言わなきゃダメだよ」
「えっ!?」
「えっ?じゃねぇよ。昨日から延々と誕生日のことばかり考えてただろ。ったく、うるさくて仕方ない」
「知ってたんですか!」
「知ってたというか、否応なしに知らされたって感じ。特に0時になる直前とか」
「いいじゃないですか別に!」
「まあ、いいけどね。うるさいんだよ」
「いいじゃないですか!誕生日ですよ。そりゃ、色々と思うことがあるじゃないですか!」
「明日、みんな誕生日祝ってくれるかな?ひょっとしてサプライズなんかやってくれるんじゃないのかなとか?」
「そ、そんなこと思ってませんよ!」
「いやいや、いいんだよ。その気持ちわからんでもないから」
「ったく、藤本さんにはデリカシーってものがないですよね」
「人並み外れてあるよ」

「もういいです」
138 名前:バースデー 投稿日:2010/10/21(木) 02:41
はあ、まあ、でもそうだよね。ちゃんと伝えなきゃ知らないもんね。
でも、ひょっとして藤本さんが気付いて、それをみんなに伝えてとか、なんて期待した私がバカだったか。

「うん。バカだね」

「うるさーい!もー、藤本さんは黙ってどっか行ってくださいよ!」
「まあ、落ちつけよガキさん。美貴は結構良い人なんだぜ。なんで今日に限ってガキさんに掃除をさせたと思う?なんでみんなが出かけたと思う?」
「えっ、、、と。それって、、、」

「部屋が散らかってるだけなんだけどね」
「それはあんたら散らかしたんでしょうが!なんで私が片付けなきゃいけないんですか!」

「冗談だよ。今頃、ごっちんが特上のバースデーケーキを買いに行ってるぜ」
「本当ですか!」
「嘘だよ」
「もー!喋らないで下さい!」

「まあ、それにしてもなんだね。ガキさんの場合、どういうサプライズがいいのかい?」
「別にサプライズじゃなくてもいいですよ」
「いいから言えよ。ひょっとすると叶うかもしれないよ。なんせ誕生日なんだし」
「私がそんなの言ったらサプライズじゃないじゃないですか」
「何言ってんだよ。何で美貴だけ残ったと思ってんだよ。ガキさんが何をしてくれたら一番喜ぶのか聞き出すためだろ」
「本当に聞いてどうするんですか。そういのは考えてくださいよ。何でも嬉しいもんですよ」

「えー、美貴、何でもいいって言うのが一番嫌い」
「だから、もういいですって!」

「よし、わかった。じゃあ、こうしよう」
「無理しなくていいですよ別に」
「来年やろう」

はあ、どっと疲れが出てきた。
私をからかって何が面白いというんだ。
最悪だ。こんなバースデーを迎えてしまうなんて、今年は本当に最悪だ。

「うーん。それにしてもみんな遅いね」
「そういえば、どこ行ってるんですかね」
「そりゃあ、ガキさんの誕生日プレゼントを買いに行ってるに決まってんじゃん」
「そんなわけないでしょ」
「おいおい、そう卑屈になるなよ。誕生日なんだろ。そしたら、みんなは誕生日プレゼント買いに行ってるに決まってんじゃん」
「じゃあ、藤本さんは何で行かないんですか?」
「そりゃ、美貴はみんなよりもガキさんの誕生日を先に知ってたからさ」
「そうですか」
「信じてねぇな。ったく、みんなが帰ってきてから渡そうと思ってたけど今、渡してやる」

「え?」

藤本さんは、起き上って自分の部屋に行ってしまった。
ひょっとして、本当に買ってきてくれたのだろうか。
いや、どうだろう。藤本さんだぞ。
そんなわけがない。
139 名前:バースデー 投稿日:2010/10/21(木) 02:41
藤本さんが部屋に行ってから30分くらい過ぎた。
部屋の掃除をほとんど終わった。
やっぱり嘘だったんだ。ていうか、ただ、寝に行っただけな。
はあ、やっぱり藤本さんは藤本さんだ。


「ただいまぁ〜」

「うおっっと!!後藤さん!ビックリするから突然現れないで下さいよ」
「はは、ごめん。おっ、綺麗になったね」
「ええ、大変でしたよ」
「お疲れちゃん」

と軽く言っただけで、それ以上何もなく後藤さんは自分の部屋に行ってしまった。
が、しかし、後藤さんは大きな箱を持っていた。
あれは見覚えのある箱だ。ひょっとして?
いや、まさか。そんなわけない。


「ただいまー。ガキさん!ガキさん!」
「何ですか!」

次に帰ってきたのは吉澤さんだった。
帰ってくるなる大きな声で私を呼んでいる。

「ガキさん。これ見てみ凄いよ」
吉澤さんは、両手で何かを包みこんでいた。

「何ですか?」

手に収まるサイズだと、アクセサリーとか小物系かな?

「セミの抜け殻」
「はあ???」
「ねえ、凄くない?もうとっくに秋だぜ。なんで今頃セミの抜け殻あんだろうね。異常気象?」
「知りませんよ!そんなの持って帰らないで下さいよ!」
「えーなんでだよ。凄いじゃん。ひょっとすると新種のセミかもしんないぜ」
「そんなわけないでしょうが」
「ふーん」

なんて言って、吉澤さんはなぜかちょっと口をとがらせて不貞腐れて部屋に行ってしまった。
ったく、一体なんだ!
140 名前:バースデー 投稿日:2010/10/21(木) 02:41
「はあ、ただいま。疲れたぁ〜」
「おかえりなさい。今日もたくさん買いましたね」

石川さんの場合は、どこかでかければたくさん買い物するから、逆に何の期待もない。
まさか、この中に、私の誕生日プレゼントがあるなんてことは到底ない。

「あっ、そうだ。ガキさんにプレゼント」
「ええっ!!?ウソっ!」
「何よ。そんなに驚かないでよ。別に大したものじゃないんだから。はい、これ。クジで当たったんだよ凄くない?でも、私いらないから」

そう言って、ごく自然に渡されたのは、エコバックだ。
私もいらない。

「ありがとうございます」

ああ、これだったら何も貰わないほうがよっぽどマシだ。

残るは中澤さんか。
まあ、中澤さんの場合、これと言って何もだろう。機嫌さえよければそれでいい。

しかし、中澤さんはなかなか帰ってこなかった。
夕食は至って普段通りに済ませ。
夕食後もみんなでテレビを見ながらダラダラと時間が過ぎて行く。
私の誕生日も、もうすぐ終わりだ。


141 名前:バースデー 投稿日:2010/10/21(木) 02:42
「たらいまぁ〜」

中澤さんがようやく帰ってきたかと思えば、酔っぱらって帰ってきた。
機嫌は良さそうだけど、これはこれで最悪だ。
みんなもそれとなく静かに自分の部屋に逃げて行く。

「ちょっと、裕ちゃんしっかりしてよ」

ん?

誰かもう一人の声が聞こえた。

「ヤバっ!」
「はい?」

声をあげたのは藤本さんだった。
そして、藤本さんは逃げるように自分の部屋に行ってしまった。
そして、それとは逆に後藤さんはニコっと笑って、玄関の方へと駈けて行った。信じ難い言葉を言い残して。

「なっちだ」

なっちだ?
なっちといえば、安倍なつみ。
それ以外に考えられない。
しかし、そんなわけがない。こんなところに、なっちが来るわけがない。
なっちは天使なんだ。こんな悪魔の巣窟のようなところに来るはずがない。


「あっ、ごっちん。裕ちゃんお願い」
「そこらへんに置いとけばいいよ。なっち、ちょうどいいとこに来たよ。とっても美味しいケーキあるんだよ」
「本当?でも、もう夜だしな」
「いいじゃん、せっかくなんだし」

うーん。遠くから聞こえてくる声はかなりなっちに似ている。
が、しかし、後藤さんがごときが気易くなっちと喋れるわけがない。

「安倍さん、お久しぶりです」
「あー、よっちゃん梨華ちゃん久しぶりぶり」

後藤さんの後に続いていった吉澤さんと石川さんの声が聞こえた。
安倍さんと言った。確かに安倍さんと。
安倍さんで、なっちと言ったら間違いないじゃないか!
いやっ!でも、嘘だ。そんなはずはない。
吉澤さんや石川さんごときがなっち同じ空気を吸って良いはずがない。
嘘だ。絶対に嘘だ。そうだ、単なる同姓同名だけなんだ。きっと、そうだ。


「美貴ちゃーん。美貴ちゃーん。なっちだよ、なっちが来たよ」
「うわぁー!なんだよ!あっち行けよ!」

何が起きたのかよくわからないけど、藤本さんの部屋から藤本さんの叫び声が聞こえた。珍しい。というか、初めて聞いた気がする。
何だ?一体、誰なんだ?
142 名前:バースデー 投稿日:2010/10/21(木) 02:42
「ガキさん、どうしたの?」
「誰が来たんですか?」
「ガキさんもケーキ食べる?」
「あっ、はい。で、誰が?」
「なんかね。ミキティが予約したケーキなんだよ。すっごい美味しいらいしんだよ」
「いや、それはいいんですけど、誰?」
「ガキさんは紅茶だっけ?」
「はい。で、あの、後藤さん?」

「なんやー、よっちゃん。うち襲うんか?うち襲われるんか?今日だけは許したるで」
「しっかりしてくださいよ」
「なんや!襲ってみろや!」

酷い有様の中澤さんを担ぐ吉澤さんと石川さんが現れた。そして、その後ろに見えるその人は。



なっちだぁー!!!
えっ?ウソ?ホント?なんで?なんで、こんなとこにいるの?
うわっ、眩しくて何も見えない。

「あら、こんばんは。この人が裕ちゃんの言ってた新人さん?」
「そうやで、こう見えて凄いねんで」
「へえ、はじめまして。安倍なつみです」

あ〜〜〜
信じられない。こんなことがあって良いのだろうか。
私の目の前に確かに、なっちがいる。眩しくて顔もよく見えないけど、でも、このオーラは間違いなくなっちだ。
どうしてだろう。なぜ、こんなことが起きているんだろう。

「あれれ?どうしたのかな?」
「ガキさん、安倍さん目の前して緊張してるんじゃない」
「そうなの?」
「うん。ガキさん、安倍さんのファンだって前言ってたよ」
「ははっ、そうなんだ。ありがとうね。ガキさん」

あーーー!!!
なっちがガキさんって呼んでくれた!
ガキさんってあだ名がこんなにも心地よく聞こえたは始めだ。


「おおっ??」
「どうしたのごっちん?」
「このケーキ。バースデーケーキだよ」
「誰の?」
「ガキさんおめでとうって書いてあるからガキさんかな?」
「そうなの?」
「知らない」
「ねえ、ガキさん今日誕生日なの?」
143 名前:バースデー 投稿日:2010/10/21(木) 02:42
ああ、幸せだ。
最高の誕生日だ。
なっちありがとう。
144 名前:バースデー 投稿日:2010/10/21(木) 02:42
☆。。。
145 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/10/22(金) 19:50
ええ話や(ホロリ
146 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/10/23(土) 18:43
ミキティ 泣けるわ…
147 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/10/23(土) 19:34
正直本当にみんなサプライズがあると期待してた
でもガキさん結果的に幸せそうでよかったw

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