G.R.M
1 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/28(金) 14:00




「まいどありぃ。ウフフ」
2 名前:第一話「少女の名は」 投稿日:2007/09/28(金) 14:04



どこにでもあるような、何の変哲もない川。
橋の下に簡易テントを張り、一人暮らす少女がいた。
3 名前:第一話「少女の名は」 投稿日:2007/09/28(金) 14:08
何が悪かったわけでもない。強いて言えば、貧しさが悪かった。
少女は生まれながらの貧しい子だった。
でも、心は清らかだった。そう、少女のねぐらである河原を流れる、川のように。
と思ったら川からは肥溜めのような悪臭が。おや、心なしか川の水も濁っている。


……
………
…………

とにかく、少女の心は清らかだった。
4 名前:第一話「少女の名は」 投稿日:2007/09/28(金) 14:11
腹が減ってきたので、とりあえず近所のコンビニで食料調達をすることにした少女。
もちろん、日本国で公式に認められている通貨など持っていない。
なので、少女はいつもちょっと「借りる」という気持ちで食料を持ち出す。
後で返せばいい。
3日後。
3週間後。
3年後。
まるで軽い気持ちでサラ金に手を出す若者と一緒だ。
ご利用は計画的に。
5 名前:第一話「少女の名は」 投稿日:2007/09/28(金) 14:17
1時間後。
人の形をした光のようなお姉さんがカウンターにいるコンビニで、少女はある品物を狙っていた。
もちろんそれは牛乳じゃない。牛乳なら少女の代わりにおしっこ臭い皇室顔の子が万引きをしなければならない。
違う違う、そうじゃない。少女が狙っている商品は。

煮豆のパック。

少女にまだウナギの寝床のような我が家があった頃、母親からよく手渡されていたお弁当。
煮豆弁当、というタッパーの中がすべて煮豆で埋め尽くされていた、弁当。
少女は母の味を思い出すかのように、今でも煮豆をコンビニから借りてゆくのだった。
6 名前:第一話「少女の名は」 投稿日:2007/09/28(金) 14:23
だが間の悪いことに、少女の借りパクは未遂に終わってしまう。

「こら、なにしてるだべか」

東京に出てきて10年近くたつというのに、いまだに室蘭の訛りが抜けていないお姉さんが少女に声をかける。
少女は「ちょっと手に取っただけなんですよぉ」と天性のぶりっこスマイルで難を逃れようとしたが、時既に遅し。
煮豆パックは少女の汚れたTシャツの中に隠されているところだった。

「こんなことしちゃダメだべさ。あたしも昔はよく形のあるものやないものをステキだなしたことはあったけど……」

お姉さんが回想モードに入ってる隙に、少女は逃げ出していた。
7 名前:第一話「少女の名は」 投稿日:2007/09/28(金) 14:25



この煮豆パックが、後に少女を大きな成功へと導くことを、まだ誰も知らない。
後に人々は彼女のことをこう呼んで尊敬の念を抱くことになる。

Great Rental Momoko と。
8 名前:第二話予告 投稿日:2007/09/28(金) 14:30

「あっ! ももの煮豆が!!」

落とした煮豆がおむすびころりんどんぐりころころ。
煮豆がいざなう、帝愛もびっくりの地下労働所。
握り締めたペリカで、桃子は最後の賭けに出る!!

次回第二話「賭博黙示録モモコ」乞うご期待。
9 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/28(金) 23:29
ちゃいこーです。
あなたのような人がいて嬉しい。
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/29(土) 01:15
定番ネタだけどオモロイ
11 名前:第二話「ももっピンク重ピンク」 投稿日:2007/09/29(土) 22:42



煮豆パックを片手にご機嫌な桃子。
スッペシャルジェネレーションのスペシウム光線を出す振り付けをしながら河原を歩いてると、どうも自宅のあたりが騒がしい。
自宅、とは言っても桃子が勝手にテントを構えているだけなのだが。
とにかく、トンテンカンテンと音が聞こえてくるので桃子は鬼の形相になって走り始めた。
まさかもう、役所の人間の強制執行がはじまるなんて!!
でもよくよく考えてみれば、この前やってきた役人のおっさんには桃子の履きたてパンツ(原価315円)を手渡したはずなので、あと1ヶ月は待ってくれるはずだった。
案の定、桃子のテントの前にいたのは役人ではなかった。
12 名前:第二話「ももっピンク重ピンク」 投稿日:2007/09/29(土) 22:49


そこには、かわいいけれど少々脂の乗った少女が一人。
黄色いヘルメットを被った作業員数人にてきぱきと指示を出している。
ああ、今ミニショベルで潰したのは桃子が河原で勝手に作った家庭菜園。
桃子は思わず抗議の声を上げる。

「ちょちょっと何してるんですかぁ!」
「ここは今日からさゆみの倉庫になるの。だからがらくたを片付けてるの」
「えー、ここはももの家なんですよ!そんな勝手なことしないでください!!」

正確に言えば桃子が不法占拠している場所なのだが、この際どうでもいいことに違いない。
13 名前:第二話「ももっピンク重ピンク」 投稿日:2007/09/29(土) 22:57
「あらそうなの。じゃあこれあげるから、さっさと公園にでも引っ越せなの」

さゆみはそう言うと、桃子に向かって野口英世を1枚投げつけた。
それを払いのけた桃子の蛭子顔が、怒りに震える。しかし、すぐに冷静さを取り戻すと、

「道重さん。あなたが今しがた小汚い労働者のおじさんに命令してミニショベルで潰した家庭菜園は、ももの大切な菜園だったんです」
「そんなに大事な菜園ならこんな目に付くところじゃなくて山奥でやればいいの」
「……道重さん、あなたと煮豆ゲームをします!!」

突然桃子の口から飛び出た煮豆ゲームなる言葉、その真意やいかに。
14 名前:第二話「ももっピンク重ピンク」 投稿日:2007/09/29(土) 23:04
「あなたはももの(盗んだ)野菜を植えた(不法占拠した場所の)家庭菜園を潰しました。のみならず、英世1枚で事を済まそうだなんて。この傷ついたプライドは煮豆ゲームで取り返します」
「あはは、何でさゆみがそんな貧乏くさいゲームに乗らなければ…」
「嗣永憲法第99条。かわいい子は、煮豆ゲームを必ず受けなければならない」

その言葉で、さゆみの顔色が変わる。
世界で一番かわいいのはさゆみ。さゆみは世界で一番かわいい。道路はロード。全部ひっくり返せばいいんだぞ。
とにかく、さゆみは煮豆ゲームに乗る決意をした。

「わかったなの。さっさとルールを説明しやがれなの」
「いいんですね、ウフフ……」

桃子が、いやらしく微笑んだ。
15 名前:第二話「ももっピンク重ピンク」 投稿日:2007/09/29(土) 23:11
馴れた手つきで、煮豆パックをタッパーに移す。艶々と輝く煮豆が、二人を勝負の世界にいざなう。

「ルールは簡単。タッパーから自分の年と同じ数だけの煮豆を取り出し、食べる。これだけです」
「は?あんたさゆみを馬鹿にしてるの?そんなの誰にでも…」

さゆみが言い終わる前に、桃子が煮豆を食べ始める。
1、2、3、4……14、15。
桃子がにやり、と微笑む。ついでに、タッパーを持つ手の小指も立った。
16 名前:第二話「ももっピンク重ピンク」 投稿日:2007/09/29(土) 23:19
「さあ、道重さんの番ですよぉ?」
「言われなくてもわかってるの」

桃子からタッパーを受け取り、煮豆を手につけるさゆみ。

「ところで道重さん、いくつでしたっけ」
「18だけど」
「そうなんですかー……プッ」
17 名前:第二話「ももっピンク重ピンク」 投稿日:2007/09/29(土) 23:21
さゆみの右眉が、思い切り釣り上がった。
何よ、何なのこの子。蛭子のくせに今、さゆみを嘲笑ったわね。許さない。
しかし気持ちとは裏腹に、煮豆がある数から、一向に口に運ばれない。

「あれー?みちしげさぁん、早く食べてくださいよぉ」
「……」
「はやく食べないと、負けちゃいますよぉ?」
「……さゆみの、負けなの」

そう、さゆみは煮豆を15個以上食べれなかったのだった。
自らのプライドが、目の前の少女より自分が3歳もおばさんだということを認めなかったのだ。

「やったぁー、もも勝っちゃいましたよ?」
「く、屈辱なの」
「それじゃ早く撤収してくださいねー。それとこの英世はいただきますから」

ひらひらと1000円札を翻してさゆみを見送る桃子。
しかしこの大勝負が、のちにとんでもない事件を引き起こすことを、桃子はまだ知らない。
18 名前:第三話予告 投稿日:2007/09/29(土) 23:27
舞美の前に現れた、愛理とえりか。
迷うな、やじうめなの?やじすずなの?どっちがタイプよ?
やじすずを選んだあなたは東条派だ!ラジオが終わってもやじうめは不滅です!!

「あれ、ももの出番は?」

そんなことはどうでもいいんだ!
次回第三話「いちご注意報」乞うご期待!!
19 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/30(日) 00:50
私はや、やじすず派よ!
20 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/30(日) 18:40
それを言うなら東城派でしょうが
ちなみにぼくは西野派です
21 名前:第三話「限定ジャン毛ン」 投稿日:2007/10/10(水) 02:35


無事脅威を追い払った桃子は、河原の土地をレンタルする仕事を始めた。
もちろん法的には違法、しかしレンタルを利用する輩も公園で永久キャンピングのおじさんだったりビザの切れたお隣の国の人だったりしたのであまり問題はなかった。
さゆみからぶん取った野口英世は、あっという間に福沢諭吉に進化した。初期舞美がまっさら舞美に進化するようなものだ。
とにかく、桃子はサクセスストーリーへの第一歩を踏み出したのは間違いなかった。のんはたーくんとセ(自主規制)クスストーリーへの第一歩を踏み出したのれすよ、てへてへ。
22 名前:第三話「限定ジャン毛ン」 投稿日:2007/10/10(水) 02:41
そんな桃子の躍進を快く思わないものがいた。
雅だ。間違えた。さゆみだ。
あの屈辱の煮豆ゲームから数ヶ月、さゆみは新たな仲間とともに桃子への復讐を遂行しようとしていた。
そして、彼女は桃子の前に姿を現した。

「何の用ですか、道重さん」
「今日という今日こそはこの土地をさゆみのものにするの」

そう言いつつさゆみは、後ろに立っていた二人の少女のほうを見る。
一人はどことなくクネクネしていて、変な子だった。
もう一人は鬼のイラストが描かれた紫のTシャツを着た、ヤンキー。
3対1、このままではまずい。桃子の背中に、冷や汗が流れた。
23 名前:第三話「限定ジャン毛ン」 投稿日:2007/10/10(水) 02:49
こうなったら、一子相伝桃乳(ももち)拳を繰り出すしかない。
桃子の心は決意に満ち溢れていた。
しかし桃子が一歩前へ踏み出す前に、さゆみが口を開く。

「目には目を、ゲームにはゲームなの。その名も「ジャン毛ン」なの」
「ジャン毛ン?」

聞いたこともない名前のゲーム。遊戯王の初期連載では、こういう意味不明のゲームが毎週行われていたという。苦し紛れにどっかのカードゲームをぬっちしなければあの巨万の富は得られなかったのだ。
しかしゲームを言い渡されたからには、受けないわけにはいかない。じっちゃんの名にかけて。でも桃子のじっちゃんはりしゃこや岡井ちゃんのようにハーフでもなんでもないただの貧乏人だったので、名前をかけたところで何の意味もなかった。

「ルールは簡単なの。お互いにパンツに手を突っ込んで、引き抜いた陰毛の本数が多いほうが勝ちなの」

思わず桃子はさゆみを睨み付けた。
いかにも性毛の濃そうなさゆみに対し、桃子はあまり毛の本数に自信はなかった。いざとなったらアナルからお毛毛を拝借するしかない。そう思った矢先の出来事。
24 名前:第三話「限定ジャン毛ン」 投稿日:2007/10/10(水) 02:54
「もちろんさゆみはそんな下品なゲームはやらないの。代わりに、れいながやるの」

桃子以上に驚いたのはれいなだった。
とにかく怖い格好をして威嚇してればいいから、というさゆみの言葉を信じてやって来たのに飛んだとばっちりだ。
でも、ここで敵前逃亡をするのは博多の女として到底できなかった。

「じょ、上等っちゃ。れいながこん娘、痛めつけるけん」

れいなが無い胸を張って大見得を切っている時に、さゆみと絵里の顔がニヤニヤしているのを、れいな自身はまったく知らなかった。
その頃、桃子は自分の肛門に生えた毛を一本ずつ数えていた。勝負師は、いついかなる時も自らの戦力を把握しなければならないのだ。
25 名前:第三話「限定ジャン毛ン」 投稿日:2007/10/10(水) 02:55
後半に続く
26 名前:第三話「限定ジャン毛ン」 投稿日:2007/10/13(土) 14:54
「じゃあ、お互いに『♪最初はキュートー』って言ったら試合開始ばい」

そんなことを言い出したれいなに対し、桃子は思い切り首を横に振る。
ダメだそれだけは。それを認めたらももたちが今までやってきたことは何になるの。ああまいh
忘れかけてた名前が飛び出しそうになり、慌てて頬を押さえた。スマップだって某森君の名前は頑なに出さないじゃないか。
というわけで仕切りなおし。

「最初はグー、で毛を引っこ抜いて、ジャン毛ンポンで周囲に開示。これでいいですか?」
「いいっちゃよ」

河原に、一陣の風が吹く。それが、勝負の合図だった。

「さーいしょは」
「グー!!」

二人の右手が、パンツの中で堅く握られた。
27 名前:第三話「限定ジャン毛ン」 投稿日:2007/10/13(土) 15:00
最初に表情を変えたのは桃子だ。
まさかの空振り。そう、桃子は手のひらに毛を掴み取ることが出来なかったのだった。
いったいどうして。桃子は顔に似合わず、しっかり生えているはずなのに。確かに桃子はボーボーだった。トゥルトゥルの人が羨むくらいの。それがいったい。
毎日毛が立派に生えてくるように、煮豆パックの中に入ってるひじきを一本残らず食していたというのに。そうだ、そこにまさに今回の事態を引き起こす罠があった。
結論から先に言えば、桃子の毛はしっかりと生えすぎていたのだ。それがゆえに、たったひと掴みでは抜くことができなかったのだった。

しかし一方で、れいなもまた苦悶の表情を浮かべていた。
28 名前:第三話「限定ジャン毛ン」 投稿日:2007/10/13(土) 15:07
それもそのはず、れいなは地元博多でも有名なトゥルトゥルだったからだ。
ゆえに、いくらパンツの中に手を突っ込んだとしても、生えていないものを掴めるはずがない。無い袖は振れないし、無い乳も振れないのだった。
後ろで何故か、さゆみと絵里の笑い声が聞こえてくる。やーね、トゥルトゥルのくせに。無毛のくせに生意気なの。れいなはここでやっと一つのことに気がついた。
ハメられたのだ。あいぼんは浅野忠信似のあいつに文字通りハメられたのだ。いや違う。れいなは絵里とさゆみに騙されたのだ。
二人にとっては勝負に勝てばよし、負けてもれいなが無毛なのをカムアウトするからそれでよし、という心積もりに違いない。れいなは思わず歯軋りをした。
もうカミングアウトするしかない、そう思いかけた矢先の出来事。
29 名前:第三話「限定ジャン毛ン」 投稿日:2007/10/13(土) 15:12
あった。
ラピュタは本当にあったんだ。
れいなの指先に軽く触れた、天使の産毛。
決して諦めたわけではなかった。毎日ワカメを茶碗3杯掻き込み、入浴の後のたわしマッサージは欠かさずにやった。
楽屋で美貴からくすねたカロヤンアポジカを試したこともあったし、森脇健児も使ってるという魔法のふりかけをかけたこともあった。
そして今、その努力の結晶が、れいなの右手の指先に。思わず、涙が出そうになった。
相手はなぜだか知らないけど、どうやら毛をつかめなかった様子。この奇跡の一本を差し出せば、絶対に勝てる。母ちゃん、やったばい。
30 名前:第三話「限定ジャン毛ン」 投稿日:2007/10/13(土) 15:18



結果から言えば、れいなは負けた。不戦敗だった。
勝利のためにその大河の一滴のような毛をちねり取ることは、れいなにはできなかった。
つまらなそうにその場を去ってゆく絵里とさゆみ。

「トゥルトゥル風情が」
「無毛の上に無能なんて、笑えないの」

次々と痛々しい言葉を、捨てゼリフのように投げつけられるれいな。
勝っても負けても、こげん目に遭うっちゃね・・・・・・
しかし、次の瞬間だ。対戦相手の桃子が、握手を求めてきたのだ。

「そのはぶられてる気持ち、ももにもわかりますよ」
「も、桃子ちゃん」

そう、桃子もまたBerryz工房、もとい世間からはぶられた可愛そうな子だったのだ。
それでも彼女はたくましく生き続けている。まさしく、人間賛歌だった。
31 名前:第三話「限定ジャン毛ン」 投稿日:2007/10/13(土) 15:21
二人の間に、やさしい空気が流れる。

「桃子ちゃん……お願いがあると」
「なんですか?」
「あの、その…れいなの友達になって欲しいっちゃ」

桃子は満面の笑みを浮かべて、言った。

「それはヤですぅ」

ウフフ・・・と笑いながら河原を去る桃子。
れいなはその場に崩れ落ち、そして泣いた。
32 名前:第四話予告 投稿日:2007/10/13(土) 15:58
「ももち、今度は私が相手だよ」
「くっ、くまいちょー!!」

オッスオラ桃子!
ボーノが一段落ついたと思ったらガリバー星からくまいちょーが襲ってきたんだ!
オラびっくりしたー!!
くまいちょーは二階の窓からキャプテンの頭を掴んでそのまま握り潰しちまうくらいのスゲエ奴なんだ!
オラ、わくわくしてきたぞ!!
次回モモコンボールZ「でっけえ友理奈とちっちぇ桃子の地球丸ごと大作戦!」見てくれよな!!
33 名前:第四話「探偵ガリモモ」 投稿日:2007/11/14(水) 02:13
舞波が死んだ。
血反吐を吐き出しながらベッドの上でのた打ち回って死んだ。
34 名前:第四話「探偵ガリモモ」 投稿日:2007/11/14(水) 02:18
名作「嘆きのおまんまん」の冒頭によく似ているが、そうではない。
桃子が飼っていたペットの鼠が死んだのだ。ある日下水管の入り口で弱っていた溝鼠を
桃子が食用にするため拾い上げたのだが、鼠のくせに「クゥ〜ン」とか泣くものだから
舞波と名づけ可愛がっていたのだ。

その舞波が、歯茎まで剥き出しにして酷い顔をして死んでいたのだ。
これも「嘆きのおまんまん」の一節にあったような文章だが、断じてそうではない。
素敵だな、と思ってちょっと拝借しただけである。
35 名前:第四話「探偵ガリモモ」 投稿日:2007/11/14(水) 02:25
「もものたった一人の親友を…許せない」

桃子は、舞波を殺した犯人をこの手で捕まえると、心に誓う。
翌日から、聞き込み調査が始まった。
まずは河原によく来る保田のばあさんを捕まえ、尋問する。

「保田さんって、舞台とディナーショー以外に仕事ってあるんですか?」
「ちょっとなにあんた失礼なこと言ってんのよ、これでも石川より仕事はあるのよ!」

事件解決のヒントになる情報は、まったく得られなかった。
36 名前:第四話「探偵ガリモモ」 投稿日:2007/11/14(水) 02:32
続いて、近所に住む中澤のばあさん。

「中澤さん中澤さん」
「何や」
「辻さんや飯田さんに先を越されてどんな気分ですか?」
「やかましいわ!あたしだってその気になれば子供の一人や二人産めるっちゅうねん!!」
「閉経してるのに?」

ボコッガスッ!

辻加護をシメていた往年の凶暴性は未だ健在、桃子はきついお土産を貰ってしまった。

「ったく、最近の若いやつは礼儀もしらんのか。アタタタ、無理したら三十路肩と腰が」

そう言って肩と腰に手をやる中澤。
37 名前:第四話「探偵ガリモモ」 投稿日:2007/11/14(水) 02:39
瞬時に、桃子の中で何かがひらめいた。
そこら辺の土がむき出しになっている地面に、何やら数式のようなものを黙々と書き始める。
ちょっとどうした桃子、通信制のくせに頭いいじゃん。
と思いきや、書かれているのはチワワでおなじみの某消費者金融の利率計算の式だった。い
つでもご利用は計画的に、の桃子だった。

しかし、これで犯人はわかった。
最初から妙だとは思っていたのだ。舞波が殺された現場には、幾筋もの線が引かれていた。
その形は、まるでミステリーサークル。
て言うかガリレオのぬっちならここから先に説明をして話を進めなければダメじゃん、い
やいやこれでいいのだ、どうせ直書きだしそもそも誰も見てやしない。

というわけで、桃子は犯人のもとへ向かうのだった。
38 名前:第四話「探偵ガリモモ」 投稿日:2007/11/17(土) 11:39



「中澤さん」

桃子は、愛読書のゼクシィを眉間に皺を寄せながら読んでいる中澤に声をかけた。

「なんやねん、今忙しいから後にして」
「舞波を殺したのは、あなたですね」

途端にひきつる中澤の顔、ただでさえ皺だらけの顔がくしゃおじさんのようになる。

「もう何やのやぶから棒に。そんな鼠うち知らんわ」
「・・・何で舞波が鼠だってわかったんですか?」
「!!」
「もも、舞波が鼠だなんて一言も言ってませんよぉ?」
「・・・いかにも鼠につけそうな名前やん。そ、それにあんたとその鼠が歩いてるの見たことあるしな」
39 名前:第四話「探偵ガリモモ」 投稿日:2007/11/17(土) 11:50
あくまでも否認する中澤に、桃子は奥の手を出すことにした。

「中澤さん。舞波が殺された現場の地面が、まるでミステリーサークルのようになってたんです」
「それがあたしに関係あるん?」
「ええ、もちろん」

そう言いながら、おもむろに中澤に襲いかかる桃子。

「ちょっといきなり何すんねん!ってそこうち弱いねんああああくすぶってた性欲に火が」
「はい、終わりましたよ」
「お前アホかうちまだイッてへん…って、あっ!!」

桃子はいつの間にか中澤の上半身を脱がしていた。
背中には、おびたただしい量のピップエレキバンが貼られている。

「この河原の砂には、砂鉄が多く含まれてるんです。もももよく磁石で採取して金物業者に売ってますから。
でも誰かの弟さんみたいによそ様の金属を盗んだりしませんけど、ウフフ」
「だから砂鉄がどないしたんや!!」
「中澤さん、小学校の時の理科の授業…覚えてません?」
40 名前:第四話「探偵ガリモモ」 投稿日:2007/11/17(土) 11:53

桃子が、あるものをポケットから取り出して地面に置く。すると、地面の砂がわらわらと動き出し、ついには
模様のようなものを形作りはじめた。

「磁石の性質、ってやつですよ。中澤さんが歩くと、その背中の磁石の力でこうなっちゃうんです」
「・・・そんな」

がっくりとうなだれる中澤。そして顔を伏せたまま、事件の真相を話す。

「あんた、河原の空き地でバナナ育ててるやろ。あれが嫌で嫌でたまらんかっ
た。だからあんたのペットを殺したら、バナナ園潰して墓でも建てるやろなと
思って…」
「そんな、バナナならいくらでもあげたのに」
「は?」
「だって中澤さん、バナナがおちんちんに見えてしょうがなかったんですよね。
でも男がいないからそれが憎くて憎くて。心中お察ししますわ」
「違うわボケが!!」
41 名前:第四話「探偵ガリモモ」 投稿日:2007/11/17(土) 11:54
こうして事件は解決した。
しかし舞波はもういない。ベリーズ工房は永遠に7人なのだ。
今度は野良猫を拾ってめぐと名づけよう。心に誓う桃子だった。
42 名前:第五話予告 投稿日:2007/11/17(土) 12:00
ついに顎王ミヤビが動いたぁ!!
ミヤビの圧倒的な顎の力に人々が戦慄の血の涙を流すぅぅぅ!!!
いよいよ世紀末救世主伝説に永遠のまくが下りる!!!!!!
天が選ぶのははミヤビか、それともモモコか?!!!!!!!
次回「ももちの拳」最終回、女たちは戦いの中に光を見出すぅぅぅ!!!!!

「お前の顎はもう、伸びている」
43 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/03(月) 18:15
だんだん楽しくなってきました
44 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/18(火) 15:16
まいは…めぐぅ…。・゜・(ノД`)・゜・。
45 名前:第五話「不祥事探偵キャラ&メル」 投稿日:2007/12/31(月) 16:13


桃子は不法○拠した土地を元手に、少しずつ裕福になっていった。
とは言え、ホームレス中年生や国籍不詳の方々が相手なので収入はたかが知れていた。
でも、いつかはお金持ちになれる。桃子はそう信じてやまなかった。

テントからプレハブ小屋にクラスチェンジした桃子の自宅を怪しい二人組が訪れたのは、そんな日の午後だった。
46 名前:第五話「不祥事探偵キャラ&メル」 投稿日:2007/12/31(月) 16:22
「オラァ!いるんやろこの守銭奴が!!」
「隠れてねーでとっとと出て来いなのれす!!」

ノックもせずに家のドアをぶち破る二人組。
呆気に取られている桃子を尻目に、傍若無人な二人はゴミ収集所から拾ってきたちゃぶ台の前に座った。

「ふう。おっそろしく狭いのうこの家」
「ちょ、あいぼん何やってんの」

軽く森三中の村上に似てるほうが懐からヴァージニアなアレを取り出そうとするのを、軽く北斗晶に似てる
ほうが嗜めた。

「ああ、うちまだ二十歳になっとらんかったか」
「でももう遅いけどね」

しばしの沈黙。
あいぼんと呼ばれた女は再び煙の出るお線香に火をつけると、おもむろに桃子のいるほうへ顔を向けた。
47 名前:第五話「不祥事探偵キャラ&メル」 投稿日:2007/12/31(月) 16:35
「なあ自分、儲かっとんのやろ?」
「えー、それほどでもないですよぉ」

そんな桃子の態度が、加護の心に火をつけた。
確かにうちの写真集はこの隣にいるゴリラのよりも売れへんかった。でもな、あれはちょうどカゴック期に撮ったからあかんかったんや。
今のパーフェクトボディで写真集出したら、ワニブックスの本社ビルがもうひとつ立つでえ。もう「ちょうだい、あの長いビルを」どころの話ちゃうで。
そんな心の叫びが聞こえてきそうなほどに、加護は桃子をぎろりと睨んだ。

「うちらに挨拶もなしに儲けるなんて、10年早いわ!!」
「そうなのれす!のんみたいに舞台を降板するのれす!アニメも降板するのれす!!」

自分のことをのんと呼んだ女が、涙ながらにそんなことを訴えた。
言葉の意味はわからなかったけれど、桃子は目頭が熱くなってくるのを感じていた。
いまなら蛭子能収に似てるという暴言も許せる。そう思った矢先のことだ。
48 名前:第五話「不祥事探偵キャラ&メル」 投稿日:2008/02/24(日) 18:42
「なあ自分。今、ボーノとかいうユニットやってるやろ」
「はいやってますよ。ニューシングル『恋愛ライダー』絶賛発売中ですぅ」

加護の質問に淀みなく答える桃子。
ってあれ、この話アンリアルじゃなかったの?いやいやいいんです、現実の世界なんて
リアルとかアンリアルとかそう簡単に割り切れるもんじゃないんですよ、お嬢さん。

「で、や。そのボーノに、うちらも入れてや」
「入れるのれす」
「え、ちょ」

桃子は絶句した。
あんたたちが入ったらボーノが煩脳になっちゃうじゃん、とは口が裂けても言えない。
だって桃子が狐顔を晒して仔犬ダンに出てた頃、彼女たちは既にスーパースターだったのだから。
その代わり、桃子は二人に提案するのだった。

「じゃあこうしましょう。お二人がご自分の特技をアピールできたら、ももも考えます」
「ほんまか。うちなんて復帰するのが先か毛ぇ出すのが先か迷ってたんや」
「のんも復帰するかまた中に出されるかどっちが先か心配だったんれすよ」

実際桃子に二人をボーノに入れるなどという考えは微塵もなかった。
しかし桃子にはこの危機を脱する秘策があったのだった。
49 名前:第五話「不祥事探偵キャラ&メル」 投稿日:2008/02/24(日) 18:49
「えー、じゃあまずはあいぼんから」

加護は急にかしこまった顔になると、自らの特技をアピールしはじめた。

「色白で赤ちゃんみたいだねってよく言われます」
「哺乳瓶の代わりにバージニアスリムを吸ってるのれす」
「運動は苦手ですけど、トークじゃ誰にも負けません」
「ああ、よくあいぼんワールドとかいってお茶の間を凍りつかせてたのれす」
「とにかくもう一度、歌いたいんです」
「そんな白々しい台詞の直後れしたっけ、麻原似のおっさんと写真撮られたのは」

アピールタイム終了。
加護がいぶかしげに後ろを振り返る。辻は何食わぬ顔をして、旦那にメールを打っていた。

「じゃあ次は辻さんの番ですよ、がんばってください」
「まかせるのれす」

辻が鼻の穴をマックスに広げ、アピールをし始めた。
50 名前:第五話「不祥事探偵キャラ&メル」 投稿日:2008/02/24(日) 18:56
「のんはどこにいても自分の存在感を出すことができるのれす」
「その割には娘。時代は常に日陰におったけどな」
「いざという時にはホームラン級のインパクトを出すこともできるのれす」
「出す出すってさすが中出しされた女は出すのが好きやな」
「とにかく今は復帰のことしか考えてないのれす。よろしくお願いするのれす」
「ああ、旦那が売れてへんもんなあ。DQNな名前の赤ん坊も養ってかんとあかんしな」

アピールタイム終了。
辻が明らかに加護のことを睨みつけている。

「あいぼん何れすか。さっきからのんの株を下げるようなことばっか」
「ははは、言いがかりやって」
「ふざけたことばっか言ってるとその薄毛毟るぞハゲ」
「ハゲ言うなゴリラ。元はと言えばお前がうちの悪口言うからあかんのやないか」
「悪口じゃなくて事実ですから」
「ほー、うちのおまけがよう言うようになったなあ」
51 名前:第五話「不祥事探偵キャラ&メル」 投稿日:2008/02/24(日) 21:54
「のんがビックリマンのシールで、あいぼんが子供たちにポイ捨てされるチョコか」
「お前何狼で使われとるような常套句使ってんねん。お前さては謹慎中のうちのスレ荒らしとったろ」
「のんはパソコンなんて使えないのれす、てへてへ」
「お前コンドームの使い方も知らへんもんなあ」
「知ってるのれす。でも生のほうがよかったんれす」
「あー今の言葉頂きました。お前の嫌いな石川敏男に100万で売ったる」
「お前殺す。次石川の名前出したら殺す」
「妊娠ドタキャン女が殺すやて。そうなったらもう二度と復帰なんてでけへんなあ」
「お前なんてもともと復帰できないじゃん」
「て言うかお前芸能界引退状態やん」
「お前がだろ」
「お前引退しろ」
「お前が引退しろ」
・・・・
・・・
・・
52 名前:第五話「不祥事探偵キャラ&メル」 投稿日:2008/02/24(日) 21:58
桃子はどこかで見たような言い争いをしている二人を尻目に、プレハブ小屋を出る。
そして小屋の周りにガソリンを撒くと、ポケットから取り出した100円ライターに火をつけた。

「さよなら、ぶりんこうんこ」

運命の相方、南の島で二人で挙式。
それはきっとヲタの夢なんかじゃない。
立ち上ってゆく煙を見つめながら桃子は思うのだった。
53 名前:第六話予告 投稿日:2008/02/24(日) 22:05
「桃子、この美食倶楽部の至高の料理を超えられるかな?」
「超えてみせるわ、この幻の食材で!!」
美食倶楽部の主宰・海原茉麻に究極の料理対決を挑んだ桃子。
しかし茉麻の提供する「雅の顎の素揚げ」に審査員の一同が絶句する。
誰もが至高の料理の勝利かと思いきや、桃子はあきらめていなかった。
究極の料理の鍵は、黄色い液体が握っていた。

次回・美桃しんぼ「佐紀尿の力」ご期待ください。
54 名前:第六話「喫茶桃子」 投稿日:2008/04/26(土) 23:46


桃子は焼けたプレハブ小屋の跡地に、喫茶店を作った。
その名も「喫茶桃子」。
店の目玉は、看板娘の桃子特製ミックスジュース。
その怪しげで不可思議な味はたちまち常連のアウトドアおじさんたちを魅了
した。もちろんミックスジュースの材料はそこら辺から拾ってきた○○○や
××、おまけに行き倒れの(自主規制)などを使っていたため、あっという
間に桃子の貯蓄は増えていった。

そんなある日のこと。
招かざる客が、喫茶桃子を訪れた。
55 名前:第六話「喫茶桃子」 投稿日:2008/04/26(土) 23:55
「なにこのしけたサ店。美貴の趣味じゃないんだけど」

その柄の悪そうな女は店に入るや否や、悪態をつく。テーブル席にふんぞりか
えっている姿はまるで竹内力のようだった。

「いらっしゃいませえ、喫茶桃子へようこそぉ。うふぅ」
「…なんか背筋が寒いんだけど。とりあえずそこのヘタウマ漫画家、その美貴
の癇に障る猫なで声をやめろ」

桃子の心からのサービスも、まったく女の心を打たない。
桃子のTシャツを着た30代の男性などは桃子の声を聞いただけで悶絶してし
まい「桃子!桃子!ぼくのピーチッチ!!」と呟きながら昇天するというのに。
とにかくその北海道の真ん中ら辺から来た女は、殺し屋のような目つきで桃子
を睨みつけて言うのだった。

「今から美貴を満足させる料理を作れ。でなかったら美貴がこのサ店を乗っ取る」
56 名前::第六話「喫茶桃子」 投稿日:2008/07/07(月) 01:14
桃子は恐れおののいた。
これじゃまるでチンピラ。滝川の狂犬。駅弁クイーン。ドサ周りの女王。
言いたいことは山ほどあったが、桃子は美貴との対決を決意する。
いろいろ法に触れることまでして築き上げたこの財産を、ヤンキーポコ腹に
渡すわけにはいかないのだ。

「わかりました藤本さん。ももの、最高の料理を振舞ってあげます」

美貴はこの言葉を聞いて戦慄を覚える。
何この明らかに料理にかこつけて美貴を毒殺しちゃいますようふふふふみたい
なノリは。でも美貴だって滝川の貧民街で育った女。毒のひとつやふたつ盛ら
ることもあった。だから…

「この勝負、勝つ。美貴には実績がある。ソロにもなったし紅白にも出たし、
国民的アイドルのリーダーにも…」
57 名前::第六話「喫茶桃子」 投稿日:2008/07/07(月) 01:29
「終わってしま〜った、とつぜぇんにぃ♪」

美貴が鬼のような形相で桃子を睨む。

「お前終わったって美貴の人生が終わったって言いたいんじゃないだろうな。
人生がもう終わってるのはギター抱えた難民とでき婚したあいつだけで十分
なんだよ!!」
「もも別にそんなこと言ってませんよ?「置き手紙」好評発売中ですぅ」
「くっ…」

こいつ、侮れない。
美貴は改めて相手の狡猾さに身構えるのだった。
58 名前::第六話「喫茶桃子」 投稿日:2008/07/07(月) 01:36
かくして数分後、それは運ばれてきた。
料理ではなく、ドリンクであった。

「おい。美貴は料理を作れっていったんだけど」
「ドリンクも料理のうちですよ」

しかし。
どこからどう見ても、ただの濃縮還元林檎ジュースにしか見えない。
グラスを手に取ると、少し生暖かい。ホットドリンクだろうか。
しかしその液体に鼻を近づけた瞬間、美貴はとんでもない表情になる。
59 名前::第六話「喫茶桃子」 投稿日:2008/07/07(月) 01:43
「ちょ、おま、これ!!!!!」
「何ですか?」
「こんなものを美貴に飲ませようだなんて、いい度胸…」

そこまで言いかけた美貴が、言葉を止める。
桃子の顔が、すっかり勝ち誇っていたからだ。

「て言うか、藤本さん飲まないんですか?飲まなかったら、味がわからないで
すよね。ということは、藤本さんの負けですよね」
「お前何むちゃくちゃなこと言ってんだよ!こんなション…」
「白旗、ですか?」
「てめえ!!!」

いやしかし。
桃子の言うことにも一理ある。
ここで飲まなかったら負け。ただでさえ負け犬街道を歩み始めているというの
に、飼育の短編小説でも負けるなんて。
美貴のプライドは死んではいなかった。
60 名前::第六話「喫茶桃子」 投稿日:2008/07/07(月) 01:55
でも。
美貴は飲むのか、これを?
だってこれ、明らかにアレじゃん。色といい、人肌程度の温さといい。
駅弁と暖かいお茶はいかがですか、ってまったくシャレになってないし。
こんなの飲んだら明日から美貴はスカトロガールになる。
亜弥ちゃんに「たん、口が公衆便所の臭いするんだけど。芸人の便所になった
だけじゃ飽き足らなくなった?」とか言われちゃうかもしれない。
待てよ。
これはあの蛭子のフェイクなのかも。アレと思わせて本当は伊藤園のおーいお
茶だったり。ありうる。そうだ、そうに決まってる。
そうと決まれば話は簡単。この液体をぐいっと飲み干して…
61 名前::第六話「喫茶桃子」 投稿日:2008/07/07(月) 02:24
「それでは本日の料理を作ったコックを紹介します」

桃子の一言で美貴の手が止まった。
何が本日のコックだよ。こんなのペットボトルからコップに注いだだけの手抜
きメニューじゃん。そんなやついるんだったら見せてくれっての。

しかし厨房の奥から現れた人物を見て美貴は驚愕する。

「あの、シェフの清水佐紀デス」

何、何なのこの展開。
この手のうちに収まった液体がアレであるかのような。
いやいやいや、これもあいつのブラフだ。そうに決まってる。
しかしそんな美貴に桃子はさらなる揺さぶりをかける。
62 名前::第六話「喫茶桃子」 投稿日:2008/07/07(月) 02:35
「キャプテン、感想はどう?」
「はい。気持ちよかったです。出し切ってすっきりしました」

気持ちよかった?
スッキリした???
もう確定じゃん。ドイツ名産ホットビアーじゃん。

いやでもあまりにも二人の会話は不自然。これは全て美貴を惑わせるための罠。
明らかにアレだとわかっているものを普通は飲まない。そう、普通は。
でも美貴は普通じゃない。むしろ駅弁をこよなく愛する変態だ。ついでに男の
趣味も悪い。だから。
これはお茶だ。からだ巡り茶だ!一気に飲み干せ、美貴!!
63 名前::第六話「喫茶桃子」 投稿日:2008/07/13(日) 15:40
しかし、黄色い液体を口に含んだ美貴が見たものは。

「ちょっとおしっこしたくなったデス…」

そう言いながら、その場でペットボトルを使って用を足す佐紀の姿だった。

ちょ、じゃあ美貴が今飲んでるのってやっぱり。
尿!NO!尿!NO!
そのまま美貴は白目を剥いて倒れてしまった。

「あれ、どうしたんですか?」
「ちょっとキャプテンこんなとこでおしっこしないでよ。一応飲食店なんだから」
「どうしても我慢できなくて…」

結局美貴の飲んだ飲み物はおいしいのかおいしくないのか、わからなかった。
ということはつまり勝負はドロー、この物語ももうちょっとだけ続くんじゃ、
という亀仙人的な展開を見せるのだった。
64 名前:第七話予告 投稿日:2008/07/13(日) 15:52
ネークストモモチーズヒーント!!

「使ったタオル」

たった一つの真実見抜く、見た目は蛭子さん、中身はアイドル!
その名は名探偵モモチ!!

「あらあーた、今使ったタオルって言わな…」
「言ってない言ってない」
65 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/12/23(火) 08:57
もう馬鹿すぐるwww
最高wwww
66 名前:第七話「華麗なるモモッツビィ」 投稿日:2010/07/10(土) 17:50



気がつくと、美貴は喫茶店のテーブルに座りながらうつ伏せで倒れていた。
そうだ、私はあのキャプテンズゴールデンウォーターを飲んで気絶していたの
だ。にしても随分長いこと気を失っていた気がする。それこそソロ失格の烙印
を押された三流タレントがこれまた三流芸人と式を挙げ、連日連夜の駅弁ファ
ックの結果新しい命を宿すくらいの長い年月が。
それはいい。とにかく、限りなく負けに近いような引き分けという恥ずかしい
結果になってしまったのだ。ここは一矢報いるべき、美貴の心は復讐心に駆ら
れていた。
67 名前:第七話「華麗なるモモッツビィ」 投稿日:2010/07/10(土) 17:51
「おい、地味顔アイドル!いるんだろ?さっさと出て来いよ!!」

誰も居ない店内で、美貴は雄叫びを上げる。程なくして、桃子が奥のキッチン
から姿を現した。

「本日の二品目、もも特製のカレーですぅ。ウフフフフ」

その言葉を聞いて、美貴は苦笑した。
ホットビールの次がカレーだなんて、芸が無さ過ぎる。どうせ厨房でどっかの
誰かがひり出したものに相違あるまい。既に筋肉バカに騙されている身、もう
二度と騙されない。美貴はそう心に誓っていた。
68 名前:第七話「華麗なるモモッツビィ」 投稿日:2010/07/10(土) 17:52
桃子自ら、皿に被せていた蓋を開ける。つやつやのご飯、そこにかけられた茶
色い液体状の何か。あまつさえ、おいしそうな湯気すら立っている。しかし。

「本日のシェフを紹介します。うんこみたいな舞台仕事以外大して仕事の無い
石川さんです」
「ちょっと桃子、DEBUYAのロケの仕事が入ったからって来てみたのに、
何よこれ!」

眉間に皺を寄せながら登場する梨華。
やっぱり。生産者を表に出して相手を揺さぶる手口はさっきと一緒だ。それに
しても梨華ちゃん、そんなに仕事ないんだ。しかもDEBUYAなんてとっく
の昔に終わった番組なのに。

「まあまあ、ドガドガ7の仲じゃないですか」
「それとこれとは話が違…」
69 名前:第七話「華麗なるモモッツビィ」 投稿日:2010/07/10(土) 17:54
プスゥ〜

「ちょ、やだ!今のは発声練習、わたしのエンジェルボイスだからっ!って言
うか桃子さっきわたしに何飲ませたの!さっきからビチャビチャ止まらないじ
ゃない、いや違うよ、梨華しないよ!!」

プビビッ・・・ビチャッ!

「あっ・・・実が出・・・なっ何でも無い!パイの実が食べたいなぁって思って!そ
う言えばここら辺なんか下水臭いわね、どっかの下水管が漏水でもしたんじゃ
ないの?じゃちょっとわたしハンアンの仕事思い出したから!あとはみんなで
よろしくやって!チャーオー!!」
70 名前:第七話「華麗なるモモッツビィ」 投稿日:2010/07/10(土) 17:55
尻を抑えて脱兎の如く店を出る下水管。美貴はそんな梨華のことを少しだけ不
憫に思ったが3秒後にはすっかりそのことは記憶から消えていた。
それよりも、これで美貴へのプレッシャーは完了。あとは葛藤しながらこの得
体の知れないものを食し悶絶するだけ。でも、桃子の思い通りになるような、
美貴じゃない。

「おいお前、ちょっとこれ食べてみろよ」
「え?」
「えじゃねえよ。お前自分が食えないものを、人に食わせる気かよ」
71 名前:第七話「華麗なるモモッツビィ」 投稿日:2010/07/10(土) 17:56
桃子の蛭子顔が途端に青ざめる。そこで美貴は勝利を確信した。
どうだ、参ったか!これが単独で紅白に出場できた歌手とその他のおまけに過
ぎなかった歌手との超えられない壁だ!!
追い詰められる立場から一転して、追い詰める立場へ。アイドル歌手から演歌
歌手、そして汚れ芸人の嫁という華麗なる転身を果たした美貴に相応しい身の
こなし方だった。

だが、桃子の意外な一言で驚愕したのは美貴のほうだった。

「じゃあ、ももがこれを食べたら、藤本さんも食べてくれますよね?」
72 名前:第七話「華麗なるモモッツビィ」 投稿日:2010/09/18(土) 04:33
意外な反撃。
しかしこれもブラフだ。美貴には桃子の全てがお見通しな気がしてきた。

「食べるんだったらさっさと食べればいいじゃん、一輪車乗ればいいじゃん!」

笑いが止まらない。美貴はまるで場末の酒場の酔っ払いのように豪快に笑った。
ついにこのいんちき臭い蛭子先生を打ち負かすことができるのだ。この勝利を
きっかけに美貴は再びスターダムにのし上がるのだ。最近はしょっぱい特撮も
どきの番組でちょい役の教師役という仕事しか貰っていない旦那。そんな情け
ない旦那でも、美貴の愛した人なのだ。
73 名前:第七話「華麗なるモモッツビィ」 投稿日:2010/09/18(土) 04:34
しかしそこで美貴は驚愕の表情を見せる。
桃子が、目の前の茶色い液体を啜っているのだった。
ちょ、まさかスカトロ趣味? 最近の大学生ってみんなそうなの?

「ああ、スパイスが効いてておいしい」

恍惚の表情を浮かべる桃子。
まさか桃子がそっちの趣味の人だとは。今日も美味しくいただきますってそう
いう意味だったのか。しかし待てよ。こうも考えられる。さっきの梨華ちゃん
の存在こそが引っ掛けで、目の前の物体]は本物のカレーなのでは。
74 名前:第七話「華麗なるモモッツビィ」 投稿日:2010/09/18(土) 04:35
「それ、本当はカレーだったりするんじゃないの?」
「正真正銘のカレーですよ、ウフフ」

人間嘘をつきすぎると、めぐり巡って100%正直者になるらしい。誰も信じ
てくれなくなるからだ。安倍さんとか、加護ちゃんとか。そして美貴の勘は正
しい。こいつの食しているものはリアルカレー、間違いない。

美貴はここぞとばかりに銀色のスプーンを取り出した。
勝った。美貴がこれを食べれば、終了。もともと何が勝利の基準かもよくわか
らなかったけれど、能力バトルって案外そういうものなのかもしれない。躊躇
無く白米の部分にスプーンを差し入れ、カレールーとともに掬い上げ、口に入
れた。
75 名前:第七話「華麗なるモモッツビィ」 投稿日:2010/09/18(土) 04:36
口の中に広がる、白米の暖かさ。
鼻腔をくすぐる、牧場の香り。
何だよ、牧場の香りって。いや、ちょっと違うな。
これは美貴がまだ幼い頃に嗅いだ、通学路の脇にあった肥溜めのような香りだ
な。
最高級のスパイスは時として発酵臭を…

ってこれうんこじゃねえか!!!!!!!!!!!!

美貴は再び白目を剥いて卒倒した。
小便を飲み、そして大便を食す。美貴は文字通り、公衆便所になった。
泡を吹きながら、ソロ、きょにゅう、ふさふさ、そううわ言の様に呟いていた。
76 名前:第七話「華麗なるモモッツビィ」 投稿日:2010/09/18(土) 04:36
「まっさかぁ。ももが食べた部分はカレーですよぉ? 貧乏で意地汚い藤本さ
んは、必ず白米に近い部分から食べるって信じてたんです。まさかがっつり食
べるとは思いませんでしたけどね。ウフフフフ」

こうして桃子は最大の敵・藤本美貴を倒した。
詐欺師桃子の未来に栄光あれ。
77 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/09/18(土) 04:37
G.R.M  おしまい
78 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/09/25(土) 09:04
何てヒドイ話だよw

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