more close, more feel
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/05/18(金) 03:09
- 吉愛とか。
某スレに触発されて書いてみます。
更新は遅いと思いますがお付き合い頂けると嬉しいです。
- 2 名前:more close, more feel 投稿日:2007/05/18(金) 03:10
-
きらきら。
先輩の大きな瞳がいつもの何倍も煌めいて。
それを隠すように長い睫毛が瞬いて。
きらきら、が。
こぼれた。
先輩の頬を濡らすそれは、あまりにキレイで。
あたしの手は無意識に伸び、いつの間にかそれに。
そして先輩の頬に。
触れていた。
- 3 名前:more close, more feel 投稿日:2007/05/18(金) 03:12
- 気付いた先輩はあたしの指先をそっと握る。
拒絶されるかもと一瞬身を硬くしたけど、その意思は無かったらしくあたしの手を握ったまま。
「あんま見ないで」
カッコ悪いから、とにへっと笑った。
そのせいで、また一粒きらきらがこぼれて。
「そんな顔で、笑わんでええのに」
あたしは思わず先輩の頭を抱えるように、自分の胸元に抱き寄せていた。
「高橋いい匂いすんね」
どれくらい時間が経ったのだろう、ひょっとしたら10分も経ってないのかもしれない。
大人しくされるがままになっていた先輩は顔を上げずにそう呟いた。
その声は少し鼻声ではあったけど、いつもと変わらないトーンで。
「好きになりそう」
「またそんな冗談言うて」
- 4 名前:more close, more feel 投稿日:2007/05/18(金) 03:14
- 先輩はいつもそう。
優しい笑顔を崩さずにあたしが真っ赤になるようなことをぽんぽん言って。
初めの頃は、その全部に反応してドキドキさせられてたけど。
何度か話すうちにこの人はそういう人なんやってわかって、それからはあんまり真に受けんようにしてた。
「違う」
それが、今日は。
「冗談じゃないよ」
あたしの胸から離れたその顔は笑ってなくて、真剣で。
あたしの目を見つめる瞳は、まだ少し潤んでいたけれど。
「なりそうってゆーか、もう手遅れなんだけど」
その大きな瞳があたしを見つめたまま段々近くなって。
その中には真っ赤な顔をしたあたしが見えて、うわーありえんくらい赤いわ恥ずかしい、とか思ってたら。
それも見えなくなって。
先輩は目を閉じていた。
- 5 名前:more close, more feel 投稿日:2007/05/18(金) 03:16
- 「…なっ、なに言ってるんですかっ!」
あたしは。
それに耐えられなくて、思わず。直前で。
先輩の顔に手のひらを押し付けていた。
「本気だって」
あたしの手にチュウした先輩は一瞬目を丸くしたけど、ため息とともに拗ねたように俯いて。
試合に勝ったら言おうと思ってたんだけど、と呟いた。
「まぁ負けちゃったんだけどさ」
顔見たら我慢できなくなっちゃって、と笑って。
笑って、顔を上げたけど。
その顔は少し、傷ついてるみたいで。
「…あ」
違う、違うんやて。今のはそんなんじゃなくて。
あたしかってずっと。きっと、先輩よりずっと前から。
「ホント、ですか…?」
だから、冗談に一人で振り回されたくなくて。
「もう一回、言って、くれますか?」
本当に本当にそう思ってくれてるんなら、これほど嬉しいことなんかなくって。
だから。
なりそう、とか。誤魔化さないで、もう一度。
- 6 名前:more close, more feel 投稿日:2007/05/18(金) 03:18
- 「…好きだよ、高橋が」
「あたしも、好きです」
ずっと、何度も夢見てたその言葉は。いざ言われてみたらあたしを妙に落ち着かせて。
逆になんだか落ち着かない先輩をじっと見つめ返したら、あたしに負けんぐらい赤くなっていく。
それで。目を逸らすと、ずるい、と呟いた。
「ずるいってなんでですか」
「人の精一杯の告白を冗談とか言うし、言い直させるし、可愛いし」
「か、可愛いって…わけわかんないですよ」
さらりと、そんなことを言われて。
先輩のがよっぽどずるいと思う。
「可愛いよ、高橋は」
ちょーかわいい。いつも思ってた。
なんて、突然ぎゅって抱きしめられたりとか。
さっきはあたしのが落ち着いてたのにあっとゆうまに逆転してもて。
「よ、吉澤さんも可愛いです」
負け惜しみのように言い返してそっと背中に手を回してみたら。
照れたような笑い声が耳元を擽って。
抱きしめられた体以上に、胸の辺りがぎゅーってした。
- 7 名前:more close, more feel 投稿日:2007/05/18(金) 03:19
-
- 8 名前:more close, more feel 投稿日:2007/05/18(金) 03:20
- 「てゆか、なんであそこにいるってわかったの?」
二人でぎこちなく手を繋いで校門を出たところで先輩は不思議そうに首を傾げた。
それもそのはず。
先輩は試合が終わった後そのまま姿が見えなくなって、あたしが見つけたのはクラブハウスの建物の裏側で座り込んでいるところだったから。
「藤本先輩が、教えてくれて」
「ミキティ?」
「あそこにいるだろうからこれ持ってってやって、て荷物渡されて」
そう言ったら先輩は、なんだか微妙な顔をしていたけど。
「まぁでも、ミキティに感謝しなきゃだ」
そう言って、繋いだ手を小さく揺らして笑った。
- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/05/18(金) 07:52
- 面白いです!
楽しみにしてるので頑張って下さい。
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/05/18(金) 23:36
- よよよ吉愛!!!!!!!!11
ものっそい期待してるっす
- 11 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/05/24(木) 00:56
- 吉愛! 面白い!
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/06/05(火) 01:22
- >>9さん
ありがとうございます。頑張ります。
>>10さん
期待ハズレにならないよう頑張ります。
>>11さん
ありがとうございます。
最初に書き忘れてしまったのですがこのお話は性別と年齢を少しいじってあります。
今更ですがご了承ください。
- 13 名前:more close, more feel 投稿日:2007/06/05(火) 01:24
- 改札で離れた手を繋ぎ直すタイミングが掴めないまま、電車を待つ。
先輩はそんなこと気にしてないように見えて、まるでさっきのことが夢だったみ
たいで。
ちょっと切なくなった。
一度触れてしまったら、我慢できんくなってもて。
さっきまで繋がってた自分の手と先輩の手をじっと見つめてみたり。
「高橋?」
「へ?」
あと数センチ動かせば触れるその距離を恨めしく思って目を逸らすと、急に名前
を呼ばれて。
慌てて顔をあげると隣にいたはずの先輩が斜め前からあたしを見ていた。
「電車来たよ?」
「え?あ、はい!」
先輩の向こうではあたしらが乗る電車がホームに着いたところで。
電車が来たことにも気付かんぐらいに、手を繋ぐことを考えてた自分が恥ずかし
くなる。
照れ笑いでごまかして、先輩の元へ一歩踏み出すと同時に。
「ん」
「…あ」
あたしの右手は、先輩に捕まっていた。
- 14 名前:more close, more feel 投稿日:2007/06/05(火) 01:26
- そのまま力強い手に引かれて電車に乗り込んだところで、あたしはやっと状況を
理解する。
あんなに恨めしかった数センチの距離はもうなくなって。
繋いだ手から全身に向けて、じんわりと体温が上昇していくような気がした。
きっと赤くなっているだろう顔で先輩を見上げると、先輩はふにゃりと表情を崩
して。
「どうやったらもう一回手繋げるかなって、ずっと考えてたんだよね」
照れ臭そうにそう言った。
その言葉とか、ほんのり赤くなったほっぺたとか。
年上の男の人なのにそれが妙に可愛くて、思わず笑ってしまう。
「笑わなくてもいーじゃん」
「や、だって吉澤さん可愛くて」
「…だって繋ぎたかったんだもん」
高橋はそうじゃなかった?
なんて、俯いて手を離そうとするから。
あたしは慌ててその手を握り直す。
「あ、あたしも!…そう、思ってました」
だから離さんでください。
そう言って先輩の顔を覗いたら、目が合った先輩は意地悪そうに笑ってた。
「…笑わんでくださいよ」
「だって、高橋が可愛くて」
にやにやと笑ってあたしの顔を見る先輩。
抗議の意味を込めて繋いだ手を振りほどこうかと思ったけど、やっぱりそんなも
ったいないことは出来んくて。
2人の手を揺らしただけで終わった。
- 15 名前:more close, more feel 投稿日:2007/06/05(火) 01:27
- 「そう言えばさ」
「はい?」
「覚えてる?去年、一度だけ一緒に帰ったこと」
しばらく手を揺らしながらあたしの顔を見たり窓の外を見ていた先輩がふいにそ
う言って。
「覚えてないわけないじゃないですか」
あの時は当然今みたいに手なんて繋いでなくて、2人の間にも微妙な距離が開い
てて。
先輩があたしに話しかけてくれても緊張して顔もちゃんと見れんくて、靴ばっか
り見てた。
それでもあたしの最寄り駅に着くまで先輩は一緒にいてくれて降りる時にはじゃ
あねって笑いかけてくれて。
結局ちゃんと顔を見れたのはその時だけだったんやけど。
そんなだったから、先輩の方こそ覚えてないんだろうなって、そう思ってたのに
。
まだ窓の外を見ている先輩にそう言うと、先輩はバツが悪そうに頭を掻いて笑う
。
「あの時、言えなかったんだけど」
止まっていた電車がゆっくりと走り出すと同時に、先輩はあたしを見て。
「ウチの最寄り駅、ここなんだよね」
そう言った。
- 16 名前:more close, more feel 投稿日:2007/06/05(火) 01:28
- 「おーい、高橋?聞こえてた?」
「…あ、は、はい」
目の前を先輩の手がひらひら揺れるのを見て我に返る。
「って、吉澤さん!は、はよ降りんとぉ!」
「いやいや、もう電車出ちゃってるから」
窓の外に見えていたホームはもう見えない。
一人焦ってるあたしに先輩は笑いを堪えている。
「そんな焦んなくていいから」
「で、でもあたしの駅あと2つも先ですよ?」
前の時も、あたしが降りるまで見送ってくれたってことはそのあとわざわざ折り
返してるってことで。
先輩は何でもないことみたいに言うけどやっぱり気にしてしまう。
「いいんだって、もうちょっと高橋といたいんだから」
だけど、そんな事をそんな笑顔で言われたら。
素直に嬉しくて、頷いてしまう。
だって、ホントはあたしだってそう思ってたから。
- 17 名前:more close, more feel 投稿日:2007/06/05(火) 01:29
- 結局そのままあたしの駅で2人で電車を降りて、改札の前でお別れ。
けど、繋いだ手を離したくなくてさっきから15分以上も立ち話。
「あー、っと…じゃあ電車来るから行くよ」
会話が途切れたところで先輩がそう切り出す。
繋いだ手がそれまでより少し強く握られて先輩を見上げる。
あたしと目が合うと先輩は、まだ離したくないけど、と呟いた。
「でもそんなん言ってたら帰れないしね」
「あはは、ですね」
やっぱりちょっと淋しいけど、また明日も会えるんだし。
いつまでも先輩引き留めてるんも申し訳ないし。
「んじゃー」
「あ、でも」
「ん?」
「明日からはちゃんと自分の駅で降りてくださいね?」
あたしの言葉に先輩はあからさまに不満そうな表情をする。
やっぱりこれからもそうするつもりだったみたい。
「えーなんで?」
「その分、電車乗る前に寄り道しましょう」
その方が2駅分よりもっと楽しいですよ。
そう付け足すと、先輩は少し驚いた顔をしてでもすぐに笑って頷いた。
「じゃあ、また明日」
「はい」
繋いでいた手をゆっくり離して、またすぐ繋いでしまわんように改札を出る。
出てから振り返るとまだ先輩はそこにいて、振り返ったあたしを見て手を振った
。
「気を付けてね」
「はい、吉澤さんも」
「うん」
「吉澤さんはよ行かんと乗り遅れてまうって」
先輩の駅に折り返す電車の発車時刻はもう迫っている。
あたしの言葉でそれに気付いた先輩は最後にもう一度小さく手を振ってホームに
戻っていった。
その後ろ姿を見てから、あたしも歩き出す。
たぶんすっごいニヤけた顔してるけど、そんなの関係ないぐらい心がふわふわし
てた。
- 18 名前:more close, more feel 投稿日:2007/06/05(火) 01:30
-
先輩と後輩、から。
彼氏と彼女、になった。
言葉にしたらただそれだけなのに、いつもの帰り道が全然違う景色みたい。
見える世界をきらきらにする。
- 19 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/06/05(火) 02:46
- よしあいいいわー(*´д`*)ムハー
これからも期待大です。。
- 20 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/06/06(水) 21:25
- >>19さん
よしあいちゃいこーですよね(*´Д`)
頑張ります。
話の途中ですが超短編を1つ。
吉愛です。
- 21 名前:大丈夫 投稿日:2007/06/06(水) 21:26
- 「あ、高橋?」
「…っ、よしざーさんっ」
その事を知らされた時、真っ先に頭に浮かんだのはあのコの事だった。
泣き虫なあのコが、一人で泣いてないかって。
それが、一番に。
「今から会える?」
電話に出た声は既に鼻声で、あたしは言いながら答えを聞く前に家を出る。
答えない高橋。
答えれない、高橋。
微かに聞こえるぐすぐすと鼻をすする音に胸が痛んだけど、今から行くからとだけ伝えて電話を切った。
- 22 名前:大丈夫 投稿日:2007/06/06(水) 21:27
-
* * * * * *
- 23 名前:大丈夫 投稿日:2007/06/06(水) 21:28
- ドアを開けた高橋は真っ赤に泣き腫らした目をしていて。
あたしを見るなり、またその大きな目から涙を溢した。
「…っく、…うぅ、よしざぁさん」
「うん、うん」
子供のように泣きじゃくる高橋の背中をぽんぽんと叩いて落ち着かせる。
しばらくそのまま玄関で抱き合っているとようやく高橋の呼吸も落ち着いてきて。
「とりあえず、座ろう、な?」
そう促すあたしに大人しく着いてきてソファに座った。
- 24 名前:大丈夫 投稿日:2007/06/06(水) 21:29
- 「…もう、どうしたらいいかわからん」
「ん?」
温かい紅茶を入れてきてそれを手渡す。
一口飲んだ高橋は、ティーカップを両手で包んだままぽつりと呟いた。
「よしざーさんがおらんくなってそれだけでも大変やのに美貴ちゃんまでおらんくなってあーしがリーダーなんて」
そんなん無理やわ。
カップの中をじっと見つめたまま話す高橋の顔は緩く巻かれた髪に邪魔されてよく見えない。
「あーし人をまとめたりとか向いてないしよしざーさんみたいに人を引っ張ったりもできんし」
「…高橋」
「よしざーさんみたいにかっこよくもできんし下の子達みんなあーしなんかじゃついてきてくれん」
「高橋」
「あーしなんかにできるわけないんよリーダーなんてっ」
「高橋!」
でもその髪の間からぽたぽたと涙が頬を伝うのは見えて。
高橋の手からカップを取り上げてテーブルに置くと、ゆっくりと顔を上げてあたしを見た。
- 25 名前:大丈夫 投稿日:2007/06/06(水) 21:30
- 「言ったよね、泣きたくなったら吉澤んとこ来いって」
「ほ、ほやけどっ」
未だにぽろぽろと溢れる涙をそっと親指で拭う。
「よしざーさん、舞台とかディナーショーとか、あったし」
「そんなの気にしなくていんだよ」
高橋が言ったみたいにあたしだって高橋のためにいつでも胸空けてあるんだから。
そう言って抱き寄せるとぎゅうっと背中に腕が回ってきた。
「あたしと比べる必要なんかない、高橋は高橋らしく娘。のリーダーやればいい」
「…そんなんできんもん」
「できないことないよ」
あーしにはできんもん。
あたしの肩に額を押し付けた高橋はもう一度そう呟いて。
その小さな背中を撫でた後、柔らかい髪にそっとキスをした。
- 26 名前:大丈夫 投稿日:2007/06/06(水) 21:31
- 「できるよ、高橋なら」
「…無理やよ」
「あたしの知ってる高橋愛は充分かっこいい」
ステージで歌う高橋はあたしなんかよりずっと強くてかっこいいよ。
髪を撫でながらそう言うと、あたしの背中に回っていた高橋の腕の力が強くなる。
「それに、高橋は一人じゃない」
あたしもみんなに助けられてた。
一人でリーダーなんじゃないよ。
みんなに支えられたからリーダーが出来たんだよ。
「だから、高橋も大丈夫」
あたしもいるから。
言いながら、高橋の腕を取って体を離し、その顔を覗く。
涙に濡れたその顔はひどかったけど、それでもこんなに愛しい。
- 27 名前:大丈夫 投稿日:2007/06/06(水) 21:32
-
「大丈夫、大丈夫」
- 28 名前:大丈夫 投稿日:2007/06/06(水) 21:32
- ぽんぽんと頭を撫でながらそう言うと、高橋は自分の目をぐしぐしと擦りあたしを見て。
ぎこちなく笑った。
「よし」
「いひゃいです」
やっと笑ったその頬をぷにぷにと引っ張ると、高橋はさっきより自然に笑う。
手を離してキスを降らすと擽ったそうに声をあげた。
「がんばれ、リーダー」
「…はいっ」
- 29 名前:大丈夫 投稿日:2007/06/06(水) 21:32
-
おわり
- 30 名前:静岡名無し 投稿日:2007/06/06(水) 22:11
- 愛ちゃんが本当によっすぃ〜の胸を借りていたらいいですね(*^艸^)
これからの愛ちゃんの成長にも期待♪
- 31 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/06/07(木) 00:14
- あなたさては最高ですね?(*´д`*)
- 32 名前:吉愛好き 投稿日:2007/06/07(木) 00:50
- いいねいいねー
これからも頑張って!
- 33 名前:石吉愛好き。 投稿日:2007/06/07(木) 07:09
- なんか、おもしろそう!次の更新も期待してます。
- 34 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/06/08(金) 03:13
- さゆみ四試合マニアなのに見落としてたの
悔しいから毎日チェックすることにしたの
- 35 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/06/10(日) 03:16
- 脳内ハイビジョンで四試合劇場絶賛上映中!
- 36 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/27(金) 01:17
- >>30さん
本当にそう思います。
ハロコンでの愛ちゃんは立派にリーダーでした。
>>31さん
いいえ、最高なのは吉愛です!
>>32さん
素敵なお名前ですねw
頑張ります!
>>33さん
ありがとうございます、頑張ります!
>>34さん
さゆ乙なの。
チェックしてくれたのに更新遅くなってすみません…。
>>35さん
それの一般公開はいつされるんでしょうか?
見たいですw
- 37 名前:more close, more feel 投稿日:2007/07/27(金) 01:18
- 「そんな感じ、で」
昨日の夜、吉澤さんと付き合うことになったと一言メールを入れてきた愛ちゃん。
今までの経験上、そこで詳しい報告を求めたら寝かせてもらえないのは分かっていたし。
おめでとう詳しい話は明日聞かせてね、とだけ返したのだけど。
「ガキさん?聞いとる?」
「え?あーはいはい聞いてたよ」
家の前で顔を合わせた瞬間から学校に着くまでノンストップで聞かされるのはさすがに疲れる。
まぁ、愛ちゃんの性格は嫌ってほど知ってるから予想通りではあるんだけど。
「ほんとにぃ?」
「いやいや聞いてたからー」
しかし吉澤さんも愛ちゃんのこと好きだったんだねぇ。
と、スネかけている愛ちゃんに慌てて話しかける。
「そうなんよ、全然気付かんくて」
もうずっと両思いだったのにお互い気付いてなかったなんてね。
愛ちゃんは照れながらそう笑った。
その笑顔は誰もが見とれてしまうように可愛らしくて。
正に恋する乙女って感じで。
そういえば。
初めて吉澤さんのことを聞かされた、去年の夏。
あの時も愛ちゃんは、こんな風にほっぺたを赤く染めて。
照れながら笑ってたっけ。
- 38 名前:more close, more feel 投稿日:2007/07/27(金) 01:20
-
- 39 名前:more close, more feel 投稿日:2007/07/27(金) 01:22
- 「ガキさん」
「なによ、愛ちゃん」
夏休みも終わりに近付いたある日。
進まない課題を協力して終わらそうと私の家に来ていた愛ちゃん。
「あたしな、好きな人ができたんよ」
その声に私がいくらにらめっこしても埋まらない数学の課題から顔を上げると、突然そう言った。
「はぁ?」
「ほやから、好きな人が」
「何、また宝塚でカッコイイ人でも見つけたの?」
その時、私には『愛ちゃんの好きな人=先輩や同級生などの身近な人物』なんて浮かばなくて。
だっていつだってそんな話題で愛ちゃんの口から出る名前は宝塚とか歴史上の人物ばかりだったんだもん。
「そーゆうんやなくて…」
また宝塚トークに付き合わされるのかと身構えたのに。
愛ちゃんは俯いてしまった。
- 40 名前:more close, more feel 投稿日:2007/07/27(金) 01:23
- 「何、どしたの?」
「学校のな、先輩なんやけど」
そのままさっき置いたシャーペンをイジりながら喋り出す。
正面に座った私から見える顔がどんどん赤くなっていって、これは今までとは様子が違うな、と思った。
「へぇ、誰?私の知ってる人?」
「…知ってる人」
そう言ったきり黙ってしまった愛ちゃんに、しばらくは続く言葉を待ってみたけど。
課題にぐりぐりとよくわからない絵を書き出した愛ちゃんに我慢できなくて声をかけた。
「…誰?」
あんたそれ提出しなきゃいけない課題だよ、なんてことじゃなくて。
こんな風に話されて教えてもらわないわけにはいかない、その相手のこと。
私の問いかけにちらりと視線を上げた愛ちゃんは、またすぐに視線を課題に戻して。
ぐりぐりとシャーペンを動かしたまま、口を開いた。
「サッカー部の、吉澤さん」
- 41 名前:more close, more feel 投稿日:2007/07/27(金) 01:24
- 同じ学校の生徒でその名前を知らない人なんていないと思う。
「ちょ、ほんとにぃ?」
サッカー部の吉澤さん、は。
モテる人だったから。
それもすごく。
「うん」
「…あー、うん、でもわかるかも」
顔だけなら女の子でも通りそうな、綺麗な顔をしていて。
ボールを追い掛けて走る姿は人の目を惹き付ける。
少女漫画から抜け出てきたみたいな人。
顔を合わせたら会話できるぐらいに仲良くなった今では、その外見だけが人気の原因じゃないこともわかる。
明るくて優しい人。
「でもなんで?」
「んー…話すようになる前からカッコイイ人やなとは思ってたんやけど」
そんな人と知り合いになったのも、クラスメイトの亜弥ちゃんが吉澤さんと仲の良い藤本さんと幼馴染みだったからなんだけど。
どうやら愛ちゃんにとってはその前から気になる人だったらしい。
- 42 名前:more close, more feel 投稿日:2007/07/27(金) 01:25
- 「音楽室と図書室の窓からグラウンドってよく見えるんよ」
愛ちゃんは合唱部に入っている。
週3回の活動しかないので、バスケ部に入っている私が部活を終えるのをそれ以外の日は図書室で待っていた。
「たまに外見ると部活やってる吉澤さんの髪の毛がきらきら光っとってキレイやなーとか」
「髪の色いつも明るいもんねぇ」
「なんかすっごい声出しとるのが聞こえてきたり」
赤い顔をぱたぱたと手で扇いで、愛ちゃんはまだシャーペンを動かす。
いつもは話し出すと隙を与えないぐらいなのに、今はゆっくりと話を続ける。
「そんなんで気になっとる内になんかどんどん目で追うようになってもて」
私に話しながら、自分の気持ちを再確認するように。
「ほんで話してみたら見た目がカッコイイだけやないし」
「優しいよねぇ吉澤さん」
「そんなんやから吉澤さんおるといっつもドキドキしとった」
ゆっくりゆっくり。
手はぐりぐりと動かしたまま。
…そろそろ止めた方がいいのかな。
課題が答えとは無関係の落書きで埋まりつつある。
- 43 名前:more close, more feel 投稿日:2007/07/27(金) 01:26
- 「そんで昨日な、借りたい本あって学校行ったんよ」
「うん」
「で、吉澤さんに会って…ジャージ貸してもらって」
「うん」
「…で、やっぱり好きだなぁって」
「うん…って、はぁ?」
ジャージ借りてなんで好きになんのぉ?
愛ちゃんの話が飛ぶのはよくあることだけど今の話で好きになった経緯が全然理解できない。
「2人でちゃんと話したの初めてやったけど吉澤さん優しくてなんか…」
そう言ったきり俯いてニヤニヤしている愛ちゃん。
その時の事を思い出しているのか、だらしない顔のままで。
「…あぁ、そう」
これ以上何を聞いてもしばらくはこちらの世界に戻ってこなさそうだった。
仕方なく私はそれだけ呟いて課題に取り掛かることにしたのだ。
この日から、毎日のように。
愛ちゃんの吉澤さん談義に付き合わされるなんて、思ってもいなかった。
去年の夏の話。
- 44 名前:more close, more feel 投稿日:2007/07/27(金) 01:27
-
- 45 名前:more close, more feel 投稿日:2007/07/27(金) 01:29
- あの時は、まさか吉澤さんと愛ちゃんが付き合うことになるなんて思わなかった。
そりゃあ愛ちゃんは幼馴染みの贔屓目を抜きにしても可愛いけれど、相手はあの吉澤さん。
ライバルは数えきれないぐらいいたはずだもん。
それが今、愛ちゃんは。
毎日聞かされていた今日の吉澤さん情報を話す時より、もっと幸せそうに笑っている。
その笑顔は、なんかきらきらしてて。
私もいつかこんな風に、誰かを想って笑えるのかな。
「よかったね、愛ちゃん」
少しだけ、羨ましくなった。
「…なんやの急に」
でも、それと同じくらいこのどうしようもない親友の恋が実ったことも嬉しくて。
急に改まってそう呟いた私に、愛ちゃんは顔を赤くして照れていた。
- 46 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/08/05(日) 22:48
- 愛ガキの雰囲気でてますね
今度は吉澤さんの恋の芽生えがきになったり
これからの展開に期待してもいいですか?
- 47 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/08/13(月) 20:12
- 作者様に一生ついていく
- 48 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/08(土) 17:03
- 頑張ってくださいね
- 49 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/01/07(月) 20:46
- >>46さん
ありがとうございます。
ガキさんをガキさんっぽく書けるように頑張ったつもりなのでそう言ってもらえて嬉しいです。
遅筆ですが吉澤さんの視点も書きたいと思ってるのでもうしばらくお待ち下さいorz
>>47さん
ありがとうございます。
そんな嬉しいお言葉を頂いたのにお待たせして申し訳ないですorz
>>48さん
ありがとうございます。
読んでくれている方を少しでもお待たせしないよう頑張ります。
大変お待たせしていて申し訳ないのですが吉澤さん視点を書くのに行き詰まりまくってますorz
少しでも妄想のネタになるようにもしこの設定で見たいシチュエーションなんかありましたら書いてくださると嬉しいです。
それが書けるかはお約束出来ないので申し訳ないんですが…。
今日はあまりにも放置しているので保全代わりに前に書いてあったのが出てきたあやよしを。
新年早々吉愛じゃなくてほんとすいません(ノ∀`)
あやよしも好きなんです。
吉澤さん娘。リーダー就任時ぐらいの設定です。
- 50 名前:ばかみたい。 投稿日:2008/01/07(月) 20:47
-
「「…あ」」
応接室から出てきた顔を見て、思わず口から漏れた声は。
その人が発した少し低い声と重なって。
私はちょっと泣きたくなった。
- 51 名前:ばかみたい。 投稿日:2008/01/07(月) 20:49
-
「…ひさしぶりー」
驚いたような表情はすぐによく見るへらりとした笑顔に変わって。
それがスイッチのように
――そう、それはいつからかそうなっていたのだ、私にとって
私も笑みを返した。
「よっすぃ〜じゃーん。一人?」
「うん、ちょっとねー」
相変わらず彼女はへらへらと笑っている。だから私も笑う。
何をしにここに来たのか、なんて聞かない。
今この時期に彼女が何故事務所に一人で立ち寄ったのかなんてわかっているし。
彼女もまた、私が事務所にいる理由なんて理解しているだろう。
だから、聞かない。
そして当たり障りのない会話を交して。
仕事の時間が近付けばその場で別れる。
- 52 名前:ばかみたい。 投稿日:2008/01/07(月) 20:50
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それが、この数年の私と彼女の距離だったのに。
- 53 名前:ばかみたい。 投稿日:2008/01/07(月) 20:51
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「大変そうだね」
そう口をついて出たのは、どうしてだろう。
彼女が弱っているように見えたのか、それとも私が弱っていたのか。
自分でもよくわからない。
彼女も私からその話題に触れてくるとは思っていなかったのか、一瞬面食らったような顔をして。
でもすぐに、いつものようにへらりと笑顔を作った。
「あーあはは、まぁね、うん」
それが、なんだか少し悔しくて。
私だって人のことなんて言えるような状況じゃないのに。
「…大丈夫?」
溢れた言葉は自分でもびっくりするぐらい、素直なトーンで響いて。
自分で発した声なのに、なんだかあの頃に戻ったような気になった。
- 54 名前:ばかみたい。 投稿日:2008/01/07(月) 20:52
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いつだってどこでだって、見掛けたらその傍に駆け寄って。
どんな些細な話も教えて欲しくて。
他の誰よりも彼女を知りたかった。
そんな頃。
- 55 名前:ばかみたい。 投稿日:2008/01/07(月) 20:55
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同時に、その頃の感情が何年経っても変わらずに自分の中にあったことに今更気付かされる。
誰と付き合ったって、それは変わらずに私の中にあったのだ。
なんて女々しいんだろう、私。
「…ん、まぁ…ね」
でも。
少しの間を置いて返ってきた声も。
さっきまでとは違う、あの頃の彼女のようで。
けれど。
睨みつけていたミルクティから顔を上げて見た、目の前の彼女は。
いつものようには、笑っていなかった。
「でも…大丈夫、だよ。みんながいるし」
だけど、そう呟く表情はあの頃でも今まででもない。
私の知らない顔で。
知らない瞳をしていて。
「よっすぃ〜は…変わったね」
「…そう?」
昔は、そんなこと人に言わなかった。
自分の中に隠してしまって。
私は、それに私だけが気付いているんだと優越感を感じていたのだから。
それなのに。
目の前の彼女は、なんだかとても。
とても遠い人のよう。
- 56 名前:ばかみたい。 投稿日:2008/01/07(月) 20:55
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何を。
期待していたんだろう、私は。
- 57 名前:ばかみたい。 投稿日:2008/01/07(月) 20:57
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「まー、私も、変わったし、ね」
ちくちくと痛み出した胸をごまかすように。
わざとらしく、でもいつも通りになるように。
にゃははと笑った。
「変わってないよ、あややは」
それで、会話は終わるはずだったのに。
変えようとした空気を、たった一言で引き戻されてしまう。
「変わってないよ」
彼女は、あたしを見つめたまま。
静かにそっと、笑った。
「まぁ、外見は立派にお姉さんになったけどねー」
そう言って、立ち上がりながら。
私の頭を軽く撫でる。
子ども扱いされたようなその仕草は、不思議と不快ではなくて。
その手の温もりを、ドキドキしながらも身近に感じていた日を思い出す。
「そろそろ行くね」
そんな私にまるで気付かずに、彼女はあっさりとその場を離れていく。
遠ざかる足音が憎たらしくて。
でもそれを悟られないように冷めかけたミルクティーを口に含んだ。
- 58 名前:ばかみたい。 投稿日:2008/01/07(月) 20:58
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バタン、と。
ドアが閉じられた音を合図に、私は体の力が抜けたようにソファに背中を預ける。
「…ばっかみたい」
何年も遠回りしていたのが。
結局辿り着いた答えはあの頃と同じで、こんなことならずっと追い掛けていればよかった。
そうしたら、今も傍にいれたのかもしれない。
今、彼女が頼れるような位置に、いられたのかもしれない。
「う゛ー…」
そんなこと後悔したって仕方がないことはわかっているけど。
それでも、再び自覚してしまった想いはたくさんの感情を連れてくる。
- 59 名前:ばかみたい。 投稿日:2008/01/07(月) 21:00
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こんなに。
こんなに好きだなんて。
「…よっすぃ〜のばぁーかっ」
気付かせないでよ、ばか。
- 60 名前:ばかみたい。 投稿日:2008/01/07(月) 21:03
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おわり
- 61 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/01/08(火) 17:18
- 待ってましたあー!
吉松もいいですねー!!( ´∀`)
- 62 名前:名無し飼育さん 投稿日:2008/01/10(木) 09:30
- 待ってたよー
よしあやイイヨイイヨー
吉澤さん視点ゆっくりと待ってるからがんばれ
- 63 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/12(火) 23:51
- 希望設定しちゃいますw
吉澤さんは実は初めて愛ちゃんを見かけたときから一目惚れしちゃってどうした物かと
悩んでいたらなんと幼馴染の藤本さんの彼女の友達だと知って藤本さんと亜弥ちゃんに
頼み込んで引き合わせってもらったって言うのはどうでしょうか?
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