ピンキーリング
- 1 名前:いこっぷ 投稿日:2007/02/26(月) 22:55
- 初めまして。飼育初見参のいこっぷと申します。
自サイトでは小説を書いていましたが初めて飼育にやってきました。
あやみきを中心にしたリアルネタを書いていきたいと思います。
- 2 名前:いこっぷ 投稿日:2007/02/26(月) 22:55
- まずはみきたんおたおめということで。
[ Pinkie Ring ]。
- 3 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 22:56
- 『みきたーん』
「はーい☆」
『お誕生日おめでとうマイハニー☆』
「ありがとうマイダーリン☆」
『じゃ、ちょっとそーゆーことで。まだ仕事なんだわ。あとでね』
「え、ちょっ、亜弥ちゃん?」
通話時間、00:10。
ただいまの時刻、2月26日、00:00。
…いくらなんでも、こんな特別の日にそれだけってないんじゃないの?
- 4 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 22:56
-
[ Pinkie Ring ]
.
- 5 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 22:57
- 「亜弥ちゃんのバーカバーカバーカ」
人がせっかく部屋の中まで掃除して片付けてキレイにして待ってるっつーのに。
あなたは仕事ですかそうですか。
いや仕事なのはしょうがないんだけど。それがわからないくらいミキも子供じゃないし。
ミキだって同じ立場になることはある。大事な日に、どうしても動けないってことくらい。
でもさぁそれならそれでもっとちゃんとした電話の仕方くらいあると思うんだよね。
0時0分にきっちりとお祝いしてくれたことはうれしいけども。
ほんの10秒後には仕事モードに戻って切っちゃうとかさ。それじゃムード台無しじゃん? みたいな。
忙しいのかもしれないけどぉー。その合間を縫って電話くれたのはうれしいんだけどぉー。
ゼイタクかな? ゼイタクだと思うよ、たぶんね。
でもそれだけゼイタクになっちゃうくらい、ミキは亜弥ちゃんと一緒にいたいんだよ。
わかってんの? ねぇわかってんの?
亜弥ちゃん、ミキが亜弥ちゃんのこと好きすぎるってことにうぬぼれてないでしょーね?
* * * * *
- 6 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 22:57
-
・
・
・
「……あー、怒ってるんだろうな……」
タクシーの中でこぼれた言葉に、運転手が軽くこっちを見やる気配がした。
あたしはそれに気づかないフリをして窓の外を見る。まだ、到着には時間がかかる。
「まぁ、確かにアレはなかったかな…」
言ってみて、思い出してみて苦笑いする。
発信履歴の00:00は良くできたと思う。
それにしても通話時間の00:10はいくら何でも短かった。
仕事中だったのも忙しかったのも決して嘘じゃないんだけど。
たったの10秒しか時間の余裕がなかったのかといえばそれは嘘になる。
だけど長くしゃべってるほど、心の余裕がなかったんだよというのならそれは本当になる。
- 7 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 22:57
- 手には小さな紙袋がひとつ。中で小さな箱がかたかたと揺れている。
大きめの紙袋もひとつ。そっちの中身は誕生日ケーキ。
真夜中に食べるのはどうかと思うけど、食べるのは朝にしても見せるのはすぐでもいいかな。
ロウソクは22本もらった。吹き消してはしゃぐたんを見てみたいから。
喜ぶかな。喜んでくれればいいんだけどな。何しろ、怒ってそうだからな……
窓から入り込んだ街灯の光にきらりと反射した左手の小指に、そっと唇を近づける。
宝石のひとつ付いたシンプルな指輪。
今のあたしに、不思議な落ち着きを与えてくれる魔法の指輪。
…時間は遅くなっちゃった。もう、3時くらいになる。
けど、やっとたんに会える。
どんな顔して待ってるのかな。いや、もう時間も時間だからあきらめてるかもしれない。
約束をしたわけでもない。家に遊びに行くなんて。ただそれは暗黙の了解であるだけで。
だけどね、アイツが思ってるほどあたしはドライな人間じゃない。
年に一度の特別な日、できるならふたりっきりで過ごしていたいって本気で考えたりする。
たまにはワガママも文句ひとつ言わずに聞いてあげよう。
たまには好きなだけ甘えさせてあげよう…ってこれはいつものことか。
- 8 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 22:58
- 電話の向こうで、このおたおめコールに心底喜んでくれてるたんの表情は簡単に想像できた。
だからあたしは、できるだけ会話を短くして、電話を強制的に切った。
だって。
そうでもしないとね。
…声を聞いて会いたくなってどうしようもなくなってるキモチをコントロールできるほどは、
あたしはまだまだオトナにはなりきれていないから、ね。
- 9 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 22:58
-
タクシーはいつも数百メートル手前で止める。方向もいつもばらばらにしてる。
家が特定されないようにっていうのもあるけど、
まぁ、少し気を落ち着けるのにいい時間だと思ってる。
今日降りたところは、街灯が多くて歩きやすいところ。
早くその顔を見たいとはやるキモチを抑えるように深呼吸しながら、
あたしは一歩一歩、家へと近づいていく。
合い鍵で家の中に入ると、ドアの向こうからかすかにテレビの音が漏れ聞こえてくる。
こんな時間なのにまだ起きてたのか、いや待っててくれたのかな、
そう思いながらドアを開けると、そこにはテーブルに突っ伏しているたんの姿。
「…バカ、誕生日なのに風邪引くぞ…」
テレビを見ながら眠っちゃったんだろう。
何も羽織らないでそのままのカッコで居眠り。
あたしは自分の荷物をソファーの上に置いて、寝室から勝手に毛布を引っ張り出してきた。
そしてもう一度自分の荷物の中から、小さな箱を探し出す。
ケーキは、まだちょっとあとでいい。そっと冷蔵庫にしまう。
- 10 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 22:59
- 「…たん、風邪引くよ、たん」
あたしがいることには気づかず眠り続けているたんの肩に毛布を掛けながら、
あたしも一緒に毛布の中に入って、たんの身体をそっと揺らす。
「……? ぁゃ…ちゃん……?」
「ん。来るの、遅くなっちゃってごめんね?」
「……………ん……」
まだ夢の中と現実を行ったり来たりって顔してる。
テーブルからひょいと身体を起こしたかと思うと、あたしにもたれかかるように身体を預けてきた。
「……遅いよぉ……」
「…うん、ごめん」
「…ミキ、どれだけ待ってたと思ってるのさぁ……」
「…うん、楽しみに、してくれてたんだよね?」
「……そうだよぉ、今日はずっと一緒にいるんだって思ってたんだもん……」
約束は、していない。
でもこれがあたしたちの中の、絶対的な暗黙のルール。
- 11 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 22:59
- 「…うん、悪かった」
「……だから、んっ…」
その唇が文句を紡ぎ出すよりも先に、自分の唇でふさいでみせる。
ただ触れ合うだけのキス。毛布の中では、たんの手があたしの背中に伸びてくる。
それを待って上唇をぺろりと舐めると、たんは驚いたように顔を離して、それからあたしの肩に額を押しつけた。
「…それ、反則」
「目、覚めた?」
「……答えになってないよ、もう」
「ハハ、それもそうだ」
むぅ。不機嫌そうなうめき声を出して、たんはあたしに抱きついてくる。
あたしは笑ってその身体を抱きしめ返す。髪を梳きながら、背中を撫でながら。
だんだんこわばっていた緊張がほぐれてきているのがわかった。
不満分子もそろそろどこかに飛んでいってるだろう。
- 12 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 22:59
- 唐突にあたしはたんの身体をきゅっと強く抱きしめ、それから耳元でささやいた。
「―――誕生日、おめでとう」
5秒くらい間があって返ってきた言葉は、
「……遅いよバーカ」
あたしはまた苦笑いする。だけど彼女の言葉から不満は感じられない。
あたしから隠すように肩に押しつけられた顔がにやけているのは知っている。
それを感じて心底ほっとすると同時に、言い表しようのない愛しさを感じていた。
- 13 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 22:59
- 自分の身体を揺すって、あたしを抱きしめていたたんの手をほどく。
そして左手を捕まえると、たんはとても不思議そうな顔をしていた。
あたしはかまわずに話を始める。たんも、それ以上は特に気にしていないみたいだった。
「…ねぇ、たん」
「ん?」
「…怒った?」
「何が?」
「電話」
「あぁ……うん、まぁ。忙しいのは知ってたけど、10秒はないよね」
あたしはたぶん、10秒でせわしなく切った本当の理由は一生話せないだろうなと思った。
「…ごめん。ホント時間が見つけらんなくて」
「んー。でもまぁ、ミキも…」
たんはあたしの頬に唇を寄せてから言葉をつなげる。
「ゼイタクだとは思ってるんだ。
亜弥ちゃんから、イチバン大好きな人から、決まった時間に電話もらうだけで、
それ以上に何を望んでるんだって……まだまだコドモだよね」
- 14 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 23:00
- そう話す表情はとんでもなく大人びてたりするから、ホントに油断ならない。
あたしはたんの左頬に、お返しのチューをしてやった。
同時に捕まえていた左手の小指に、用意していたそれをはめる。
「…?」
「まだ見ちゃダメ」
毛布の中でもぞもぞ動いた左手を、今度は指を絡めてつなぎ止める。
同じように、空いていた右手を。
頭の中に「?」が飛んでいたらしいたんが何かに気づいたようで、はっと目を丸くしていた。
「じゃーん! おそろいー!!」
次の瞬間、あたしはつないだ手をそのままに両手を高々と上げた。
お互いの小指に光るピンキーリング。宝石がひとつ控えめに付いた、おそろいのデザイン。
- 15 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 23:00
- たんは目の前に広げられているあたしと自分の両手を何度も交互に見つめて、
でも何も言わないでいるから、あたしもさすがに不安になって目を覗き込んだ。
「……あれ、気に入らなかった…?」
「や、その、そうじゃなくて……ビックリした」
「え?」
「だって、亜弥ちゃんが誕生日当日に誕生日プレゼントを、しかもおそろいだよ?」
またコイツはそういうことを言うか… あたしは今日、何度苦笑すればいいんだろう。
いや、これは自業自得か。確かにあたしがそういうことするのは珍しい。
「…ま、たまにはそういう誕生日があってもいいでしょぉ?
今までたんにおそろいをもらってばっかりだったから、じゃああたしからも、って」
「でもなんか、亜弥ちゃんが指輪とか、やっぱり珍しい」
「…リーダー就任記念ってことで」
「あはは、嘘だぁ亜弥ちゃん、ミキの目ぇ見てないし」
- 16 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 23:00
- つい照れくさくて目をそらしていたら、見事にそこをツッコまれた。
なんだか悔しくてむっとしたあたしの顔を見て、たんはニヤリと笑った。
「あー…、ミキ、思い出した。亜弥ちゃんが似たようなプレゼントくれたこと」
「な、なんで急に」
「付き合ってすぐの誕生日…、亜弥ちゃん、ミキにおそろいのピアスくれたよねー。
『あたしとみきたんを繋ぎ止めておくんだ』とか言いながら。それに似てるなーって」
「…へぇ」
冷や汗たらり。なんであたしは追い詰められているんだろう。
逆にたんは、妙に確信めいた顔をしてあたしの顔を見つめている。
別に、その時のプレゼントのことを忘れていたワケじゃなかった。
確かにあの時、今よりもコドモだったあたしは年上の彼女を何とかして繋ぎ止めておきたかった。
おそろいのピアスは今でも時々着けている。同じようにたんも着けてると、妙に安心する。
- 17 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 23:01
- 自分自身でも、あたしがおそろいのものを積極的に探すとか珍しいなとは思ったけど、
…でもプレゼントするものを考えたら、ピンキーリング以外に思いつかなくなって…
「シアワセを逃さないように…、だよね」
たんが口にした言葉に、ハッとする。
そっか、あたし、意識したことはなかったけど…
「…やだなぁ亜弥ちゃん、そんなことしなくたってミキはここにいるし、
今もこれからもずーっとずーっと一緒なのに」
心のどこかで“ちゃんと繋がってるって証”をほしがってたのかもしれない。
「…でも、うれしい。絶対大切にする。このプレゼント」
あたしは曖昧に返事をして、思いがけず明らかになった自分の気持ちをごまかそうとした。
だけど次の言葉で、それは一気に崩壊してしまった。
- 18 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 23:01
-
「そして……亜弥ちゃんを」
.
- 19 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 23:01
- …あぁ。なんてヤツ。なんてかわいいヤツ。
たんの身体を自分の腕の中に強く強く抱きしめて、あたしは目を閉じる。
痛いよ亜弥ちゃん、とかわめいてるけど、笑って抱き返してくるから愛おしい。
「…ねぇ、たん」
心の中にわき上がってあふれ出してくる感情を、あたしはそのまま吐き出してみる。
「……愛してる」
言い終えてあたしはもう一度その身体を強く抱く。
たんは腕の中でぴくりと身体を揺らすと、わざわざ耳元にひとつ吐息をかけてから、
「…愛してる、亜弥ちゃん」
それで、えへへとか言いながら照れくさそうにしがみつくんだから。反則だよもう。
- 20 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 23:01
- あたしはたんの左小指に口づける。さっきタクシーの中で、自分のにしたみたいに。
たんもマネして、あたしの小指に唇を寄せていた。
「…なんかうれしいや、へへ」
たんが照れたように笑う。そして自分の小指を宙にかざして、いろんな角度から自分の指を見つめる。
「おそろい…、うん、やっぱうれしいね」
あたしに笑いかけたその顔はホントに幸せそうで、選んで良かったって本気で思えた。
おそろいの指輪にあたしが無意識に込めていた願いがどんなものであったとしても、
ただ目の前で、同じ指に同じモノを着けているってだけでこんなにも心躍るんだから。
あたしも小指を宙にかざしてみる。
するとその指はすぐに、たんの小指に絡め取られてしまった。
- 21 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 23:02
- 「亜弥ちゃん、約束」
「…え?」
「この先ずっと、ミキは亜弥ちゃんのそばにいる…だから」
たんは一瞬であたしに唇を重ねた。あまりにも早くて、目を閉じることさえ忘れてしまった。
「…亜弥ちゃんも、ミキのそばにいてね?」
瞳の奥で、ほんの少しの不安が揺らめいているのがわかった。
そんな瞳に映るあたしも、どこか不安な面持ちで。
「…うん、約束」
あたしは絡めた小指をそのままに、深く、深く口づけた。
右手で、たんの輪郭をなぞるように確かめながら。
約束。それは暗黙のルールではなくて、お互いを繋ぐ誓いの言葉。
どこかにあった不安も、これで溶けてなくなっていくというのなら…
* * * * *
- 22 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 23:02
-
ベッドの上で布団にくるまりながら、たんはまだ小指を宙にかざして眺めていた。
そんなに見てたら1日で飽きちゃうよ? そう言ったら、
バカだなぁ亜弥ちゃんのプレゼントにミキが飽きるとかあるわけないじゃん、
という、もっともなようなよくわからない答えが返ってきた。
そうはいっても、あたしだって左小指のリングを親指でずっと触って遊んでいたりする。
どっちもどっちかもしれない。結局あたしたちはバカップルなんだ。
「…亜弥ちゃんもうぬぼれてたってわけじゃなかったんだなぁ…」
「はぁ?」
「んー、なんでもなーい」
「なんだようぬぼれって…」
えへへ、とまた妙にうれしそうに笑って、あたしの腕の中に潜り込んできた。
まぁいっか、とあたしは笑って、ベッドサイドの明かりを落とした。
「オヤスミ、亜弥ちゃん」
「うん、おやすみ、たん」
外はもう、明け方みたいな時間なのは知っている。カーテンの向こうでは小鳥が鳴いてるのも知っている。
あたしは目を閉じた。背中に回された、心地よいぬくもりを感じながら。
- 23 名前:Pinkie Ring 投稿日:2007/02/26(月) 23:02
-
あ、ケーキ。
22本を豪快に吹き消してはしゃぐところ、見てないや。
…目が覚めてから、もう一度誕生パーティーだ。
[ Fin. ]
- 24 名前:いこっぷ 投稿日:2007/02/26(月) 23:05
- [ Pinkie Ring ]、以上です。
感想などいただけたら泣いて喜びます。
HNですが某超有名作家様の名前を足して2で割ったみたいになってますが、
全く関係ありません。偶然です。
自分のHNを単純にいじったらこうなってしまいました。
- 25 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/26(月) 23:15
- 最高です。
マジ最高です。
- 26 名前:名無し飼育さん 投稿日:2007/02/27(火) 06:16
- 最高ですっ
二人とも可愛くて幸せそうでとってもいい
- 27 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/27(火) 16:01
- 久々にこんな甘ったるい二人を見た気がします。
おなかいっぱいです。ごちそうさまでした。
- 28 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/27(火) 16:11
- 作者さんは紺ちゃん推しのあの人だったりしますか?
違ったらすみません。もしかして、と思ったので。
っていうか甘々あやみきちゃいこーです。
あやみき中心だそうで…これからもがっつかせていただきますw
- 29 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/27(火) 19:19
- これからもこういうのどんどんお願いします
最高です!ありがとうございました
- 30 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/28(水) 23:47
- あやみき中心嬉しい!!
甘々な二人ごちそうさまでした!
もっと食べたいですw
- 31 名前:いこっぷ 投稿日:2007/03/22(木) 23:32
- あああああ結局1ヶ月近くあいてしまいましたorz
本当は2週間くらいで次のを出したかったんですけどね…
思った以上にレスをいただき感激です。
>>25 名無飼育さん
ありがとうございます! 作者にとっても最高のお言葉です!
>>26 名無飼育さん
やっぱりこう幸せそうなところを書きたいなぁと思ってたので、
それが伝えられたことが嬉しいですね。ありがとうございます!
>>27 名無飼育さん
本人たちが持っている甘ったるい感じを表現できたかな?と思います。
まだまだ書いていきますヨーw ご期待ください。
- 32 名前:いこっぷ 投稿日:2007/03/22(木) 23:36
- >>28 名無飼育さん
ずばり紺推しのその人ですw サイトからいらしてくださったんでしょうか?
自分の得意ジャンルを披露できれば…とか思ったりもしていますw
>>29 名無飼育さん
どんどんいきましょう!w マイペースに作品が描ければいいなぁと。
のんびりと見守ってやってくださいね。
>>30
ありがとうございます! では満腹になりすぎない八分目くらいのペースで(?)
がんばってお届けしたいと思いますのでよろしくお願いします!
さて、今回もあやみきで。[ 梅酒をこぼした王子様 ]。
- 33 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:36
-
「亜弥ちゃーん」
「う?」
「まだ飲んでんの?」
「うー」
「…珍しいじゃんそんなに飲んでんのって」
「たまにはそーゆーこともあるんだよーだ」
ここは亜弥ちゃんの部屋。時間は深夜1時。
ミキはテレビ鑑賞中。
亜弥ちゃんは梅酒片手に、テレビ眺め中。
その梅酒、水割りながら5杯目。
- 34 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:37
-
[ 梅酒をこぼした王子様 ]
- 35 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:37
-
「…………………」
珍しい。
黙々と梅酒を飲む亜弥ちゃん。ほとんどしゃべりもしない。
ミキもその隣で飲んでないわけじゃないけども。
同じ梅酒を片手にちびちびと。まだ2杯目に突入して一口くらい。
ただ、飲みながらテレビ見て笑ってたりとか。同じテレビ見て亜弥ちゃんも爆笑してたりとか。
それってフツーのことだし今まで一日フツーだったはずなんだけど。
フツーにミキとしゃべってたはずの亜弥ちゃんは、
一緒にお酒を飲んでいるうちに急に黙りこくって勝手に飲むペースを上げていってしまった。
見た事のないペースでお酒を作っていく亜弥ちゃんを不思議に思って、
ミキが「今日は飲むんだねぇ」とか聞いてみても、ああとかうんとか言ってそのまま。
- 36 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:37
-
ちなみに、ミキが亜弥ちゃんに梅を投げつけたから怒ってるとか、そういうワケじゃない。
川;VvV)<ほっ、ホントだからねっ!
- 37 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:38
-
うつろな目をしながら6杯目に手を伸ばしかけたのを見て、ミキはさすがに亜弥ちゃんの手を取った。
赤い顔してこっちを睨む。正直、怖くはない。ふにゃふにゃしてるし。
「何すんだよーぅ」
「…あのね、いくらなんでも飲み過ぎだと思うよ」
「なんだよーぅ」
「いやいや何だよじゃなくって、亜弥ちゃん何でそんな飲んでるのさ」
「飲むんだよーぅ」
「ダメだって亜弥ちゃん、何で今日はそんなに飲みたがってんの」
「いーじゃん別に、たんには関係ないよぅ」
「いやいやいや、飲み過ぎ。これ以上飲んだら亜弥ちゃん大変な事になるよ?」
「ここ、あたしん家だし、心配ないじゃーん」
「だからそうじゃなくって…」
…酔っぱらいのクセに反論だけは達者。
目、座ってるし。
困るミキの一瞬の隙を突いて、亜弥ちゃんは6杯目をグラスに注ごうとする。
- 38 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:38
-
「あ」
ごとん。
「あーあーあー…、ほら、もう…」
…ホント酔っぱらってるんだろう。
テーブルにきちんと置けなかったグラスはゆっくりと倒れて、中の液体をどんどんテーブルの上に広げていく。
亜弥ちゃんはそれを、ただ呆然と眺めていた。
「ほら亜弥ちゃん、だからいつもより飲み過ぎなんだってばー。
ちょっと待ってね、拭くもの持ってくるか…」
言い終わらないうちに立ち上がりかけたミキの手を、亜弥ちゃんがぐっと掴んだ。
ミキは立ち上がれずにまた元の位置へぺたり。
- 39 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:39
-
「…亜弥ちゃん?」
その顔は、イタズラがバレて怒られそうになってるコドモみたいにも見えたし、
何かを求めているような、オトナっぽい眼差しを向けているようにも見えた。
ミキはそれで、やっぱり亜弥ちゃんがいつもと違うって確信する。
「…どした?」
亜弥ちゃんの目の前に座り直す。
そっと両手を握って、瞳を覗こうとする。
でも彼女がうつむいてしまったからそれはできなかった。
- 40 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:39
-
ハタチなんだよな、と、横顔を見て思う。
3〜4年前はこういうことはよくあった。
ワガママな亜弥ちゃんが一方的にキレたりしてた。
目に涙をいっぱいにためて、怒ったようにこっちを睨みながら。
それで、なぜかミキが一方的に謝ってた。そうでもしないとその場が収まらなかったから。
それも今はいい思い出かもしれない。
あの時は、幼い部分ばっかりだった亜弥ちゃん。
仕事ではカンペキなアイドルをこなしてる一方で、
ミキの前ではただ普通の甘えんぼの女の子だった。
何よりも、ミキの前でミキだけにそんな姿を見せてくれる亜弥ちゃんがホントに愛しかった。
- 41 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:40
-
いつの間にかすっかりオトナっぽくなった亜弥ちゃんには、ミキが甘える立場になっていた。
亜弥ちゃんの前でなら素直になれる。全部さらけ出せる。どんなバカやってもおもしろい。
昔はミキが王子様だったのに、今はすっかり亜弥ちゃんが王子様。
でも、気を遣わないのは昔から今も一緒。それがとっても心地いい。
ただ、出会った頃はその可愛さばかりに心奪われてきていたけど、
最近はふとした瞬間に見せる表情に、ドキドキさせられる。
だって亜弥ちゃん、あまりにもキレイだから。
そして、ミキのことちゃんとわかってくれるから。
どんなこともわかり合えるこの人に、ミキは……
出会った時から、そして永遠に恋してるんだと思う。
永遠の片想いなんてそんなのは微塵もないくらいに。
- 42 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:40
-
「…ねぇ、たん」
「うん?」
亜弥ちゃんはそれ以上言わずにミキに抱きついてきた。
甘えるように額をミキに押しつけながら。
亜弥ちゃんのさらさらの髪を撫でる。
ミキの背中を捕まえる手に、少しずつ力が加わっていく。
大きく息を吐き出した亜弥ちゃんに、やっぱり何かいつもと違う何かを感じた。
「…何かあったの?」
声はなくて、ただ首を横に振る。
ミキは、あやすように背中をぽんぽんと叩いた。亜弥ちゃんはよりいっそう腕に力を込めていた。
- 43 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:40
-
「…あのね?」
とても小さな、かすれた声。
でもそれは最近聞かなくなった、亜弥ちゃんの甘えた声。
「……たんは、どこにも行かない?」
「え?」
聞かれた事の意図がわからなくて、ミキは思わず身体を離して亜弥ちゃんの顔を見ようとした。
でも、ぎゅっと抱きついた亜弥ちゃんの腕はそれを許してくれない。
「…どこにもって…」
「あたしの前から、ぴゅーっと風になっていなくなったりしない?」
亜弥ちゃん、そうとう酔ってるね?
いつもなら言わない、こんなこと。
- 44 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:41
-
でも、待てよと思う。
GAMのツアーが決まった。3枚目のシングルも出る。
普通に考えたら亜弥ちゃんと一緒の仕事は今までよりも多くなるわけで、
そりゃお互いのスケジュールにもよるだろうけど、泊まったりすることだってかなり増えるはず。
ってことは、亜弥ちゃんが心配してるのはそういうことじゃなくって。
「…あたしの好きなたんは……ずっと一緒だよね……?」
ミキの環境の変化。
ミキが、モーニング娘。のリーダーになること。
- 45 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:41
-
そりゃ、正直どうなるかなんてわからない。
今までよっちゃんがまとめ上げてきたメンバーをミキが同じようにまとめられるかといったら、
ミキは前で引っ張ってくタイプでも何でもないし、不安はないとか冗談でも言える気がしない。
リーダーになることがどこまで大変なことなのか、まだ想像もつかない。
サブリーダーだった時と比べたら、何かにつけて一番前に立つことになる。
忙しくもなるんだろう。変わらなきゃいけないところもあるんだろう。
気をつけなきゃいけないことだって増えてくる。
目に見えない重荷だってたくさんあるんだと思う。
でも、それでも。
- 46 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:42
-
「亜弥ちゃんを好きなミキは、変わらないよ」
- 47 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:42
-
それはミキの中で絶対に変わりようのないことで、
唯一自信を持って言い切れることで、そしてどんな時も大切にしていたい自分の想い。
いくらなんでも照れくさいから、いつもは冗談っぽい言い方しかできないけど。
でも、いつだってミキは本気でそう思ってるんだよ?
あなたの中でその想いが揺らぎそうになるのであれば、ミキは何度でも言葉を紡ごう。
亜弥ちゃんが大好きだと。
亜弥ちゃんを大切にすると。
亜弥ちゃんをずっと好きでいると。
…亜弥ちゃんを、愛してると。
- 48 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:42
-
「…亜弥ちゃん?」
返事はない。
ただ、顔を覗き込んでみるとなんだかシアワセそうな顔をして眠っていた。
まだ赤い顔しちゃってて、明日はこの人、きっと二日酔いになるんだろうなと思う。
…明日はお仕事、昼からって聞いてるけど。
「…ま、いっか」
閉じた目の縁に残っていた涙を、指でそっと拭う。
そして、亜弥ちゃんの髪をまた撫でた。
「熱いよ、亜弥ちゃん」
熱を持ったほっぺたに手の甲を当てる。
すべすべした肌。何度か手を滑らせて、その感触を楽しむ。
それでも亜弥ちゃんは目を覚ます気配はなくて、ミキにしがみついたままだ。
- 49 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:43
-
それにしても。
ミキは思う。
時には甘えたかったんだよね、亜弥ちゃんも。
普段は全然そんなところ見せなかったけど、ミキがリーダーになることをきっとどこかで心配してくれてた。
そして、数ヶ月後の亜弥ちゃんとミキがどうなってるか、考えたりしたのかな。
見えない未来に感じてた不安が大きかった亜弥ちゃん。
お酒を飲みながら、もっとどんどん大きくなったりして、
それであんなにムキになって飲んでたんだろう。
…でも、時々こうして甘えて、不安を吐き出して亜弥ちゃんが楽になれるのなら、
ミキは10杯目でも20杯目でも勧めることだってあるんじゃないかなって思う。
…そこまで行って止めなかったらさすがに犯罪か。
っていうか、もっと早く気付いてあげなきゃね。心の中のモヤモヤに。
- 50 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:43
-
「…あーあ、どうしようコレ」
テーブルの上はこぼれた梅酒でひたひたのまま。
亜弥ちゃんがしがみついたこの体勢では、当然拭くものも取りに行けない。
そこら辺にあったティッシュを適当に敷き詰めたけど、すぐに役に立たなくなった。
結構な量だ。
「もー、どーしてくれんのさ」
明日起きたらこのこと覚えてるのかな?
勢いにまかせて飲んで酔って、ミキにしがみついて離れなくなって。
「…でも、まぁ、ね」
忘れてくれればいいのかなって思う。
ミキの告白は、そりゃあ心の中に残ってくれれば嬉しいけど、
でも亜弥ちゃんの心の中にあった不安も忘れてくれるのなら、それなら。
- 51 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:43
-
テーブルの上で梅酒と一緒にこぼれていた梅の実をつまみ上げる。
ミキはそれを壁に向かって投げるマネをしてから、一口かじった。
「…おいしーい」
甘すぎなくて酸っぱすぎなくて、結局1個食べてしまった。
そして、残っていた自分のお酒を、一気に飲み干した。
頭の中は急にふわふわする。
ミキは目を閉じて、しがみついてる亜弥ちゃんの体温をそっと感じる。
すっかりミキに身体を預けていて、なんかホント赤ちゃんみたいなんだけど。
…かわいいなぁ、もう。
- 52 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:44
-
「えーい、もうどうでもいいや」
ミキは梅の種を壁に投げつけた。
ぺとっという音がして、床に転がる種。
亜弥ちゃんに怒られるかな。それもどうでもいいや。
だいたい、亜弥ちゃんがこんな風に酔っぱらってあんなことするからこんなことになったんだよ?
一気にあおったお酒がミキの頭をどうにかしちゃって、
浮かんでくるのはなんだか亜弥ちゃんに向けての非難というか文句ばかりなんだけど、
別にミキの中で本気で怒ってるわけでもないし、結局はどういうワケか亜弥ちゃんを許しちゃってる。
これはもう、酔ってようが酔っていまいが関係ない気がするけど。
- 53 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:44
-
「…眠いよ、亜弥ちゃん、ちゃんとベッドで寝ようよ、ねぇ…」
ミキは熟睡する亜弥ちゃんを起こそうとする。
亜弥ちゃんは全然目を覚ます気配がない。
ねー亜弥ちゃん、このままじゃ風邪引いちゃうよ。
っていうか、もう、ミキ眠くて限界だよ、
早く起きて、ね、亜弥ちゃん………
- 54 名前:梅酒をこぼした王子様 投稿日:2007/03/22(木) 23:44
-
朝、目が覚めたらミキは亜弥ちゃんの腕枕の中にいた。
ちゃんとベッドの中で、布団も掛けて。
…あれからミキは記憶がない。
そのまま寝てしまったんだろうか。
ということは。
今ここにいるのって。
「…ミキはどうやってここまで連れてこられたんだろ…」
結局、亜弥ちゃんはオトコマエだ。
何か得意げな顔して寝てる亜弥ちゃんの表情が物語ってる。
…普段はオンナノコでもいいよね?
時々はミキが王子様になってあげるから。
ミキはミキだけの王子様にしがみついて、もう一度目を閉じた。
昨日の夜から部屋に広がる、アルコールのちょっと混じった梅の香りを感じながら。
[ Fin. ]
- 55 名前:いこっぷ 投稿日:2007/03/22(木) 23:46
- 更新は以上です。
白馬に乗ってる王子様は梅酒をこぼしてしまったとかそうじゃないとか(何
- 56 名前:名無し飼育さん。 投稿日:2007/03/23(金) 02:56
- 更新お疲れ様です
最後にまっつはやっぱりオトコマエで素敵!!
小ネタも含まれていてプッとなっちゃったりw
作者さんの書かれるあやみき大好きです
また楽しみにしてます、頑張ってください!
- 57 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/23(金) 16:07
- いこーるさんの兄弟分?
- 58 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/24(土) 05:10
- >>57違うと思いますw
今回も良いものをありがとうございます。
亜弥ちゃんキャワ。
- 59 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/25(日) 18:36
- 亜弥ちゃんがカワイイ!!!
最近の亜弥ちゃんは強気なので、ちょっと弱めな亜弥ちゃんが見れて新鮮な感じでした♪
強気な亜弥ちゃんも大好きですがw
やっぱりあやみきイイ!!!
- 60 名前:いこっぷ 投稿日:2007/03/29(木) 00:30
- またまたたくさんレスをいただいて感謝感激です。
>>56 名無し飼育さん。
何だかんだで今の松浦さんはめちゃくちゃオトコマエですからねw
がんばってあやみき書いていきま〜す。
>>57 名無飼育さん
いや違うのです。 >>24の通り、普段のHNもじったらこうなってしまっただけでw
>>58 名無飼育さん
キャワな松浦さんが書きたくなったのであんな風になってしまいましたw
喜んでいただけてこちらも嬉しいです。
>>59 名無飼育さん
最近のあやみきはあや男−デレティですからねぇ、なんかそれを覆したくて。
いろんなあやみきが書けるようにがんばります〜!
- 61 名前:いこっぷ 投稿日:2007/03/29(木) 00:32
- さて、私の周りでは桜が咲き始めました。
あの2人は、お花見を…計画していたのは松浦さんだけのようで。
[ さくら ]。
- 62 名前:さくら 投稿日:2007/03/29(木) 00:33
-
「ねー! お花見行こうよぉ!」
「えぇー? 家出るのめんどくさ…」
「…アンタねぇ、年頃の女の子がそんな引きこもりで…」
「どーせ無趣味引きこもりですからー」
「そのうち根っこ生えるよあんた」
「そんなおばーちゃんみたいな説教しないでよ…」
* * * * *
- 63 名前:さくら 投稿日:2007/03/29(木) 00:33
-
[ さくら ]
- 64 名前:さくら 投稿日:2007/03/29(木) 00:33
-
* * * * *
何とか外に引っ張り出したたんは、自分の意志を曲げられて不機嫌だった。
あたしとデートだっつーのに。
青い空が広がってデート日和だっつーのに。
ポケットに手を突っ込んで。
あたしに手を引かれるままにだらだら歩いて。
この娘はホント、たまには天日干しにしないとカビでも生えるんじゃないかって思う。
- 65 名前:さくら 投稿日:2007/03/29(木) 00:33
-
「あのさー、もうちょっとくらい楽しそうな顔してよぉ」
「えー、だってミキ家でゴロゴロしたかったしさぁ…」
「アンタそのままほっといたらマジで家から出ないじゃん…」
つばの広い帽子に隠れた顔は、明らかに不満顔。
「あたしとのデートが楽しめないって言うのかー」
「やっ、ちがっ、そうじゃなくてほら、休みの日くらいはさぁ…」
「もー、最近休みっていうと家でゴロゴロじゃんよぅ」
- 66 名前:さくら 投稿日:2007/03/29(木) 00:34
-
あたしがちょっと怒ってみせると途端に慌てる。
そうなるってわかってやってるし、それもあたしだけに見せる一面でもあるし、
でも、別にあたしは怒りたいワケじゃなくって。
わかるんだけど。たんが忙しくて疲れてることは。
息つく暇もないスケジュールの中で、やっと出来たお休みだって、知ってるんだけど。
でもほんのちょっとでいいから、あたしのワガママ聞いてほしい。
たまにはこうして、のんびりと手を繋いで歩きたいの。
- 67 名前:さくら 投稿日:2007/03/29(木) 00:34
-
「あー、咲いてるねぇ、けっこうたくさん」
あたしが知っていた桜並木には、思ったよりも多くの小さな花たちが並んでいた。
まだ、満開じゃないんだけど。
なんていうかこう、いいよね。
春だなぁって。あったかいなぁって。
桜って、何かやさしいなぁって。
- 68 名前:さくら 投稿日:2007/03/29(木) 00:34
-
歩き出そうとしたその足は、繋いでいた手に引っ張られて踏み出せなかった。
「と、と、たん…?」
バランスを崩しながら振り返ると、
たんは頭の上に広がっていた桜のアーチをぼんやりと見上げていた。
ちょっと口が半開きになっちゃって。
進み出そうとしたあたしのことなんて全然目に入ってなくて。
でも。
確実に、キレイな桜に目も心も奪われちゃっていた。
- 69 名前:さくら 投稿日:2007/03/29(木) 00:34
-
…なんだ。
アンタ楽しんでるじゃん、お花見。
最初から最後まで不機嫌なままでいるのかと思ってたから、
嬉しいような拍子抜けっていうか、なんていうか。
あたしはたんの隣に並んで、同じように木を見上げた。
薄いピンク色した花が、あたしたちを見下ろしていた。
とても力強くて、そしてとても可憐で。
そんな桜を見ていたらなぜか嬉しくなって顔がにやけちゃって、
何か照れくさくなってたんの方を見たら、さっきと全く同じ体勢のまま。
- 70 名前:さくら 投稿日:2007/03/29(木) 00:34
-
…桜を見せたくてここまで連れてきてはみたものの、
いざ桜しか見てないと、あたしはやっぱりワガママになってしまう。
ちょっと、あたしのことも見てくれる?
繋いだ手を大きくぶんぶん振り回したら、やっとたんはこっちを見た。
少し驚いた顔をしてから、たんはやさしく微笑んだ。
あたしの手を強く握って、ぐっと引き寄せられて。
されるがままにあたしはたんに身体を預ける。
たんがもう一度桜を見上げるから、あたしも同じことをしてみた。
- 71 名前:さくら 投稿日:2007/03/29(木) 00:34
-
「…亜弥ちゃん」
「ん?」
「桜、キレイだね」
「…うん、すごくキレイ」
「…また、見に来たいな」
「うん、絶対だよ? もう文句言わないでよ?」
あたしの言葉に、たんは苦笑いしてた。
- 72 名前:さくら 投稿日:2007/03/29(木) 00:35
-
「あ、あと」
「?」
「…別に桜ばっかり見てたわけじゃないからね?」
あたしのヤキモチは、バレバレだったみたい。
* * * * *
- 73 名前:さくら 投稿日:2007/03/29(木) 00:35
-
帰り道のたんは、ゴキゲンだった。
あたしのちょっとしたワガママだったはずだけど、でも、嬉しい。
「…ね、亜弥ちゃん」
「うん?」
「ありがと、キレイなもの見せてくれて」
たんは照れたようにあたしに言う。
あたしは本気で照れて、顔が赤くなる。
- 74 名前:さくら 投稿日:2007/03/29(木) 00:35
-
伸びた髪に緩くかかったウエーブ。
その毛先で揺れているのは小さな桜の花びら。
ゴキゲンさんにお似合いだから、あたしは気づかないフリしてたんの手を取った。
たんはあたしの髪の毛に同じように付いていた花びらを、笑いながら取ってくれた。
ちょっと恥ずかしかったけど、それでもあたしはそのまま歩き出した。
花びらはきっと、たんの背中でかわいらしく揺れている。
[ Fin. ]
- 75 名前:いこっぷ 投稿日:2007/03/29(木) 00:36
-
更新は以上です。
私自身、桜をぼんやりと見上げてしまうクセがあるんですよね〜。
不思議な魅力持ってると思います。桜って。
- 76 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/30(金) 07:11
- うん。ありそうだ。
松浦さんなら桜にも嫉妬しちゃうことw
かわいいお話を読ませていただきありがとうございました。
- 77 名前:名無し飼育さん 投稿日:2007/04/01(日) 01:15
- きれいな情景が浮かびました。
そしてまた亜弥ちゃんキャワ!!!
桜は不思議です。桜の世界には引き込まれてしまいます。
- 78 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/04/08(日) 01:12
- ほのぼのな二人もいいですね。
最近の松浦さんはかっこいいイメージだったので、懐かしい感じもしました。
- 79 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/05/04(金) 00:00
- あやみき発見!亜弥ちゃん可愛いです♪
あったかいお話しですね。
あやみきスキーなので次のお話しも楽しみに待ってますw
- 80 名前:いこっぷ 投稿日:2007/05/05(土) 15:05
- >>76 名無飼育さん
最近の松浦さんは、あんまり自分からはみきたん大好きとは言いませんがw、
きっと心の中ではやっぱりかわいくてしょうがないって思ってるんじゃないかなぁと。
松浦さんはこのお話、かわいくさせようとがんばりました。ありがとうございます。
>>77 名無飼育さん
キャワ! な松浦さん、最近レアですよねw
桜の季節はとうに通り過ぎてしまいましたが、また1年後が楽しみです。
あんな一瞬なのに、なぜか心に残りますよね、桜って。
>>78 名無飼育さん
もうどこまでもほのぼのなあやみき見てEEEEEEEEEE!! と発作的に書きました(爆)
とにかく最近の松浦さん、かっこよすぎですからねw
>>79 名無飼育さん
あやみき発見された! ご覧いただきありがとうございます。
これからもいろんなお話を書きたいと思います〜☆
- 81 名前:いこっぷ 投稿日:2007/05/05(土) 15:06
- さて、いよいよ明日に迫りました5/6。吉澤さん卒業ですね。
いこっぷは昼夜ともSSAに赴き、見届けてまいります。
それに絡めたお話を2本。
まずはあやみきで、[ ヤキモチ焼きの駆け引き ]。
- 82 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:07
-
アンタがそうやって黙ってると、こっちとしては妙にやりづらいっていうか。
そのくせ一人では居たがらないのは、アンタが甘えっこな証拠みたいなもん。
ベッドの上で雑誌を眺めてるあたしに、アンタは背中合わせのままでうつむいている。
あたしはまだ、何もしてやらない。
- 83 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:07
-
[ ヤキモチ焼きの駆け引き ]
- 84 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:07
-
ページを1枚、また1枚とめくり、別に熱心に読んでいるわけでもなかった雑誌をぱたりと閉じる。
その瞬間、少しだけたんの身体が震えたのが伝わった。
背中越しに伝わるのは迷ってるキモチ。
何かを決心しかけて、でも結局その決心を自分の中にまた引っ込めて。
アンタね、いったいそれ、何度目よ。
あたしのちょっとした動きに反応してみせて、それでいて何もしないとかさ。
でもあたしはまだ、何も言わないよ。
別に意地悪してるってわけじゃなくて。何となくの駆け引き。
- 85 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:08
-
たんがあたしの背中をある意味独占しているおかげで、
あたしは全く身動きが取れないでいる。
正直、飽きた。この体勢。のど渇いたし。どうせ読むなら違う雑誌が見たい。
つーか寝っ転がりたい。人に密着されてこっちの動きをうかがわれて、結構疲れるんだって。
それもこれもあたしが勝手に決めた自分の中のこだわりのせいであって、
全部の責任をたんに押しつけるのもどうかとは思ってるんだけど。
でも元はといえばアンタが何も言わないのが悪いのであってさ…
- 86 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:08
-
あたしたちはどっちも頑固だから、こうして無意味な探り合いを続けてる。
どっちかが折れればそこから話は簡単に進むのに、
どうしてもあたしたちはお互いにそういうことをしたがらない。
そんなことしてる場合じゃないはずなのに、2人とも駆け引きしてる。
無意識のうちに、その駆け引きに負けたくないと思ってる。
だけど今日の場合は、たんはどっちかっていうと一人で自分の世界に入って悩んでるから、
それで一方的にイライラくるのはあたしの方であって。
これってそうとう、シンドイですよ、藤本さん。
- 87 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:08
-
これでもあたしは、それなりに長年たんのことを見てきている。
GAMのツアーやレコーディングがあるとはいえ、
今はそれぞれの仕事をして、別々の行動をしていることが多い。
必要以上の報告とかは特にしないあたしたちだけど、
そりゃ、顔色一つ見ればだいたいのことはわかる。
たんもあたしも、干渉されることは嫌いだ。
言いたいことがあれば言う。聞いてほしいことがあれば言う。
それがお互いの、暗黙というより当然のルール。
なのに厄介なのは、言いたいのに言えないことを抱え込んだとき。
あたしも人のことは言えないけど、たんに多い気がする。
- 88 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:08
-
「…バカだねぇ」
唐突に口にした言葉に、たんはまた身体を震わせて驚いていた。
返事の代わりに背中にかけられる重みが増した。
たんは何も言わない。何も言えないから身体を寄せてくる。
そういうたんの性格、もちろんあたしはよく知っていた。
あたしが身体をずらすと、たんの背中はそのまま後ろに倒れてあたしの膝の上に着地した。
そのくせ、ごろりと身体をひねって、あたしに背中を向ける。
…どうしてこうも中途半端な甘え方をするんだか。
- 89 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:08
-
「アンタが考えてること当ててあげようか」
「別に」
「娘。があってGAMがあってガッタスがあって。いろいろ大変だーって」
「まぁ、そんなとこかな。ご名答」
「バカだねぇ」
「はぁ?」
「それだけじゃないでしょ」
「意味わかんない」
「別にさ、あたしに遠慮なんかする必要ないのに」
「遠慮とか別にしてませんよーだ。亜弥ちゃんが勝手に考えすぎてるだけじゃない?」
「あっそ」
「そうだよ」
- 90 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:08
-
「よっすぃーの卒業。困ってんじゃないの?」
- 91 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:09
-
たんはがばっと跳ね起きて、振り返るなりあたしを睨み付けた。
あたしの肩につかみかかって、ものすごい勢いで迫ってくる。
怒ってる。たんは、あたしに怒りを向けている。
だけどあたしは怯えることもない。怯える必要などない。
急にそのまなざしは弱々しくなって、肩にかけられた手もずるずると落ちていった。
あたしの身体の中に倒れ込むたんは、そのまま弱々しくあたしの背中を捕まえていた。
- 92 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:09
-
「…アンタね、あたしのこと甘く見すぎだよ」
あたしを捕まえる腕に力が入る。
なだめるように、そっと背中を撫で、髪を撫でた。
嫌がらせで言ってるわけじゃない。
嫌がらせでこんなことしたわけでもない。
自分から言うチャンスは作ってあげないと。
自分のココロの中をわかってほしいと思ってるくせに、見透かされたらプライドを傷つける。
難しい。この子に合わせてあげることは、こんなにも難しい。
でも、そのバランスを取ることはきっとあたしにしかできないんだと思ってる。
他の誰にもすがらないこの子が、あたしにすらなかなか見せないモノを引っ張り出すこと。
それは他でもない、恋人だからできるんだって信じてる。
- 93 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:09
-
「…だってさぁ」
たんはふてくされたように、小さく声を出す。
腕の中で小さく小さく身体を丸めながら。
言いづらそうに、でも、もう言うしかなくて仕方なく言っていた。
「亜弥ちゃん、あんまりよっちゃんの話、してほしくないでしょ?」
…だから、遠慮しなくていいってあれだけ言ったのに。
- 94 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:09
-
「…あのね」
「だってさ、亜弥ちゃんやっぱりさ、どこかでさ、
モーニングでミキとよっちゃんが仲良くいろんなことやってるのをさ、
気にしてるかなぁって思ったからさ」
「だからさ」
「ミキね、亜弥ちゃんに迷惑かけたくないんだよ、
ミキとよっちゃん一緒にいる時間が長いから、
亜弥ちゃん、ちょっと妬いたりしちゃうんじゃないかって思ったり」
「…たん?」
「でもね、よっちゃんといると、ミキは」
「たん!!!」
- 95 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:10
-
あたしはたんの身体を強く揺すって、言葉を止めさせた。
たんはびっくりした顔であたしの目を見ている。
一方的にしゃべり続けていた自分に気づいていないんだろう。
いつの間にか零れた涙をぬぐおうともせず、放心状態であたしと向き合っている。
あたしは、そっと頬に触れる。
流れた涙はそっと指でぬぐってやった。
「だいじょぶ、そんなことは気にしなくていいから」
たんは、もう一度あたしに身体を預けた。
- 96 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:10
-
* * * * * * * * *
- 97 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:10
-
あたしはその後、たんの告白を聞いていた。
それはあたしが想像していたことと大差なくて、
わかりやすいヤツだなぁという気もしなくもないんだけど、
それだけ、今のモーニング娘。の中で、たんにとってよっすぃーは大きいんだなと思った。
よっすぃーはモーニング娘。のリーダーであり、ガッタスのキャプテンであり、
たんはモーニング娘。のサブリーダーであり、ガッタスのサブキャプテンであり、
同じ1985年生まれであり、同じく年長者であり。
怖いキャラのたんが、甘えを見せられる数少ない場所の一つだったはずで。
それがモーニング娘。の場ではぽっかりとなくなってしまうこと。
その淋しさは何となく想像ができる。
まして、リーダーが受け渡される。
未知の世界のそれは、きっと見えないプレッシャーだと思う。
- 98 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:10
-
ぐずぐずと泣きながらぽつりぽつりと言葉をはき出すたんを、
あたしは後ろから抱きしめながら見守っていた。
たんも別に何か言葉がほしい訳じゃないから、
ずっと誰かに言いたくて、でも言えなかったことをどうにかすればよかったから、
あたしもただ、相づちを打ったり、ちょっとアドバイスするだけでよかった。
- 99 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:10
-
「ねぇ、亜弥ちゃん?」
「うん?」
「でも、ミキには亜弥ちゃんが一番必要なんだよ?」
「わかってるよ」
それでもこんな話をするのは後ろめたいと思ったんだろう。
たんは、あたしに何度もそう言って念を押してきた。
「…あたしが、アンタを逃がしてあげるワケないでしょーが」
「…うん」
あたしは苦笑いしながら、それでも彼女をきつく抱きしめた。
たんはあたしの胸元に甘えるように鼻を押しつけて、それから腕を回してきた。
- 100 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:11
-
…まったく、かわいいヤツだなぁ。
遊びのつもりで軽く交わした口づけは、
いつの間にか深く、恋人のするそれへと変わっていった。
- 101 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:11
-
* * * * * * * * *
- 102 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:11
-
「…って言ってもさ、いたたた……」
寝息を立てるたんの隣を抜け出して、キッチンで一杯の水を飲む。
あんなこと言われて、それでハイそうですか、って寝られるほど図太い人間じゃない。
「あんなかっこいいこと言ったけど、嫉妬してんのは図星だよ…」
ハローのライブとかで、2人が仲良くしてるところはけっこう見てる。
そのたびにあたしは何とも言えない不安に駆られ、でも、あたしに見せる笑顔で安心する。
他の誰にも見せない、あたしだけが知っているその笑顔。
いつもそうやって心を落ち着かせているはずなのに、それでもこんなになるなんて…
「こんなんじゃ身体がもたないよ…」
胃が痛い。
大丈夫だってわかってるはずなのに、信じてないあたしがバカみたい。
- 103 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:11
-
寝室に戻ると、たんは申し訳なさそうな顔をして座って待っていた。
「たん…? 起きちゃった…?」
ゆるゆると首を振って、無言で腕を広げる。
あたしはその腕の中に収まり、布団と一緒に包まれる。
「…亜弥ちゃん」
「ん?」
「ごめんね?」
「…何が?」
「…妬いて、くれちゃってるんだよね?」
あたしはなんだか恥ずかしくなって、たんの首筋に顔を埋めた。
でも、ここまできて意地を張る必要もないし、もうそんな余裕はなかった。
「…正直、すっごい妬いてると思う」
- 104 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:11
-
それなのにたんは、ちょっと笑ったようだった。
何か腹立たしい。あたしはアンタに乱されてばっかりだ。
「…ちょっと嬉しいかも。
亜弥ちゃん、ミキにメロメロだなぁ〜って」
「…うっさい」
ますます余裕がなくなって、あたしは強く目を閉じる。
逆に余裕が出てきたらしいたんは、そんなあたしを見てきっとにやにや笑ってる。
だけど、不意に目元に落ちてきた指先の感触に目を開けると、
そこには真剣な顔をしたたんがいて。
「たん…?」
返事よりも先に、唇が重なっていた。
- 105 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:12
-
「…亜弥ちゃん、愛してる」
耳元でささやかれて、心音は跳ね上がった。
言葉から、触れ合う体温から、すべてから注がれる愛情を全身で感じていた。
あたしは完全に負けた気がした。
たんから話を聞き出そうとしたとき、あんなに優位に立っていたはずなのに。
結局こうなる。こうしてあたしはたんのペースに持って行かれる。
だけど、こうも満たされた穏やかな気分になれるのは、
やっぱり強く強くつながり合った部分があって、決して揺るがないものがあるから。
「…愛してる、みきたん」
久々の呼び方に、たんは身体をよじって照れていた。
- 106 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:12
-
* * * * * * * * *
- 107 名前:ヤキモチ焼きの駆け引き 投稿日:2007/05/05(土) 15:12
-
もう一度、寝息の聞こえる布団の中。
今度は天井をぼんやりと眺めていた。
ちょっと心に余裕が出てきたような気がするあたしは、
もうちょっとたんを受け止めてあげようと思った。
卒業は、正直そこまでよくわかんない。
でも、誰かが離れていく淋しさはわかるから。
きっとまた誰にもすがれなくて、困り果てているこの子に手をさしのべよう。
その時は、駆け引きなんてしないですぐに抱きしめてあげる。
それが、恋人のあたしだけができる、あなたへの愛情表現。
[ Fin. ]
- 108 名前:いこっぷ 投稿日:2007/05/05(土) 15:14
- ということでまずは一本目。あやみきでした。
次はみきよしです。
みきよしですが、まぁ友情です。
一本目のお話の前にあった話だと思っていただいても、後にあった話だと思っていただいても、
全然違う次元にあったお話だと思っていただいても、どれでも通じるお話です。
[ その出会いのために ]
- 109 名前:その出会いのために 投稿日:2007/05/05(土) 15:14
-
ステージに向かうその背中を、ミキは追いかける。
後ろから飛びつくと、うわっと、何て言いながらちょっとよろけて、
でもおなかの前に回したミキの手をしっかりと握り返してくれた。
よっちゃんは立ち止まった。
ミキはその背中にぴったりと貼り付いたまま。
あと何回、同じコトができるのかな。
- 110 名前:その出会いのために 投稿日:2007/05/05(土) 15:14
-
[ その出会いのために ]
- 111 名前:その出会いのために 投稿日:2007/05/05(土) 15:14
-
「こらミキティ。もうすぐ始まっちゃうから」
「んー」
「んーじゃねぇって」
よっちゃんが軽く、くくっと笑う。
ダイレクトにミキに伝わってくる身体の振動。
ミキはそれでも離れたくなくて、離したくなくて、そのままでいた。
あと15分で、ライブが始まる。
もうすぐスタンバイに向かわなきゃいけない。
でもミキの足は、ここから先に動いてくれなかった。
- 112 名前:その出会いのために 投稿日:2007/05/05(土) 15:15
-
今日を入れて残りのライブが何回かなんて数えたくもない。
だけど残酷にもスケジュールは頭の中に入ってるから、
1秒もしないうちに計算の答えは頭の中に出てくる。
ミキは、頭の中に浮かびかけた答えを打ち消すようにぶんぶんと首を振った。
「どーしたミキティ」
それを何かの意思表示だと勘違いしたのか、よっちゃんが声をかける。
「…何でもない」
よっちゃんはミキの手を、ぽんぽんと叩いた。
- 113 名前:その出会いのために 投稿日:2007/05/05(土) 15:15
-
「あと…、何回? 5、6回? だねぇ」
この人はほんとバカだと思った。
ミキの気持ちも知らないで平気でこんなことを言う。
いや、本当はミキの気持ちも全部知ってて、平気でこんなことを言ってみせてる。
そういうところ何でもお見通しのこのリーダー。
「淋しくなりますなぁ」
そうやって人ごとみたいに。
あんた自身のことじゃんよ。あんたの卒業じゃんよ。
- 114 名前:その出会いのために 投稿日:2007/05/05(土) 15:15
-
「ところで藤本さん。松浦さんとは仲良くやってますかね」
「はぁ?」
唐突に話の向きを変えられてミキは戸惑う。
別によっちゃんとの会話の中で、そうなることは珍しくもないんだけど。
「よしざーは相も変わらず、梨華ちゃんとラブラブでして」
「は、はぁ…」
それはそれは。ってこっちだって、アナタがしょっちゅう電話してるのは知ってますけども。
「で、キミたちはどうなんですか」
「こちらも相も変わらず、ラブラブですが」
「うむ、それなら良かった」
よっちゃんの話の意図はますますよくわからない。
- 115 名前:その出会いのために 投稿日:2007/05/05(土) 15:16
-
ミキとよっちゃんは通路のど真ん中で、まだくっついていた。
通りかかったメンバーには口々に何か言われてたけど、ミキは無視してた。
あ、小春が、
「藤本さん! 吉澤さん取っちゃズルいですぅ〜!」
とか言いながら割り込んでこようとしてたけど、そこはよっちゃんが笑って先に行かせてたかな。
…違う、違うの。
ミキは今、この状態から身体が動いてくれないの。
- 116 名前:その出会いのために 投稿日:2007/05/05(土) 15:16
-
例えば、今、モーニングで一番一緒にいるのはよっちゃんだし、
例えば、今、リーダーをやってるのはよっちゃんだけど、
よっちゃんが卒業しちゃったら、
これから、ミキは誰と一緒にいることになるのかなとか、
これから、リーダーとしてどうやっていけばいいのかなとか。
それを考えたら何だか怖いし、やっぱりどう考えても淋しいし、
それなら今、できるだけよっちゃんを捕まえていたいと思うから。
- 117 名前:その出会いのために 投稿日:2007/05/05(土) 15:16
-
「…ミキティ」
よっちゃんはミキの腕を外して、こちらを向かせた。
ミキは下を向いたまんまで、よっちゃんの顔を見ることができないでいる。
よろよろと、またよっちゃんにすがりつくミキは、その細い腕に抱き止められた。
「そりゃ、淋しくないって言ったらウソになるけど」
バカ。さっきまで人ごとみたいにしてたクセに、急に自分のことにするなよ。
意味不明な抗議はミキの頭の中でぐるぐる回る。
言ったところでどうしようもないのは知っていた。
口に出さないだけ、ミキはそれでも自分で自分をえらいと思った。
- 118 名前:その出会いのために 投稿日:2007/05/05(土) 15:16
-
「もう、これは避けられない道だけど。だけど」
よっちゃんは、二度目の『だけど』という言葉に力を込めた。
「あたしがいた、あたしが引っ張ったモーニング娘。は、今ココにある」
ミキの視線の先に、よっちゃんが人差し指を見せる。
指さす先はまずミキたちの足元で、それから、メンバーがもうスタンバイしてるだろうステージの方。
「そして、ミキティがこれから作るモーニング娘。も、ココにある」
今度はミキの頭を人差し指でポンとつついて、それからやっぱり、ステージを指さした。
- 119 名前:その出会いのために 投稿日:2007/05/05(土) 15:16
-
「サブリーダー藤本さんはー、自分が思ってるよりも、みんなに好かれてますから」
よっちゃんは笑った。まだ顔は見てないけど、笑っていた。
「モーニングでもガッタスでも一緒だった吉澤が保証しましょう。
ミキティが思うとおりにやれば、自然とみんなはついてくる。
サブリーダー藤本さんに、リーダー吉澤はこれでもかと助けられてきたから」
よっちゃんはミキを包む腕を強めた。
反射的に、ミキも背中に回した腕の力を強くしていた。
「メンバーは支え合ってできてるんだから。
ミキティがこの先悩んでるとき、きちんとみんなは助けてくれる。
あたしも、そうだった。
そうやって、今のモーニング娘。に出会ってきた」
そう言ってよっちゃんは、ミキから一歩距離を取った。
それから両手でミキの顔を包んで、グッと正面を向かせる。
強制的によっちゃんと目が合った。
視界がぶれていて、初めてミキは泣きそうになってるって気づいた。
- 120 名前:その出会いのために 投稿日:2007/05/05(土) 15:17
-
親指がそっと目尻に触れる。
涙をぬぐわれているんだと気づいたら、また涙が出てきた。
「ミキティ。約束しよう」
よっちゃんはミキの両方の手を取った。
大きな瞳に覗き込まれて、ミキは息を飲む。
「吉澤のモーニング娘。、最後まで一緒に駆け抜けよう。
それまで、もう泣かないで」
ミキは上を向いて何度かまばたきをして、
ごまかしたってどうにもならないものを何とかしてから、正面を向いた。
「…うん、約束する。最後まで、うん」
そう言うとよっちゃんは満足そうな微笑みを浮かべて、またミキに告げた。
- 121 名前:その出会いのために 投稿日:2007/05/05(土) 15:17
-
「ま、ミキティには最後には松浦がいるし、あたしには梨華ちゃんがいるし、
たいして心配もしてないんだけど」
即座に亜弥ちゃんの顔が浮かんで、ミキは何となく顔が熱くなった。
それを見逃さなかったんだろう。よっちゃんはミキのおでこを突っついた。
「じゃ、次の約束」
今度よっちゃんが指さしたのは、もと来た道のほう。
意図がわからなくて首をかしげていると、
よっちゃんは自分の頬をぱたぱたと叩いた。
「ほれ、メイク直してもらって、5分後にステージ集合。
でないと、藤本さんは遅刻者の罰として、シャニムニで張り切ってもらいます」
「えええー、そんなのイヤだぁー」
あからさまに嫌がったミキを見て、よっちゃんは爆笑していた。
とんでもないことを約束させるこの人は、早く行ってこいと指を動かした。
ミキは笑って、いつの間にか笑っていて、楽屋へと引き返した。
- 122 名前:その出会いのために 投稿日:2007/05/05(土) 15:17
-
「あ、そうだミキティ」
振り返ると、今度は指で作ったピストルがミキを狙っていた。
「でも、卒業式じゃ泣かすからね」
「バッカじゃない?」
ミキの答えによっちゃんは指ピストルを下げる。
手を振りながらステージへと歩く後ろ姿を見つめていた。
あんな頼りがいのある後ろ姿見せられる人、あんまいないよね。
ミキが引っ張る新しいモーニング娘。。
どうか、よっちゃんも見守っていて。
- 123 名前:その出会いのために 投稿日:2007/05/05(土) 15:18
-
「やっべ。あと4分」
ミキは通路を走った。
張り切るシャニムニはミキに合わない。
ひどい罰を考えてくれたもんだ。
でも、それよりも。
もっと大事なこと。
よっちゃんとの大切な約束。しっかり守るために。
[ Fin. ]
- 124 名前:いこっぷ 投稿日:2007/05/05(土) 15:18
-
更新は以上2本です。
あやみきみきよし。
- 125 名前:いこっぷ 投稿日:2007/05/05(土) 15:28
- 流し
- 126 名前:いこっぷ 投稿日:2007/05/05(土) 15:29
- 流し
- 127 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/05/05(土) 22:01
- 自分も明日は昼夜共に参戦してきます。
明日は笑顔で送り出してやりたいものです。無理っぽいけど。
そんなところでこのお話。がっつり心にきちゃいましたよ…。
素敵なお話、ありがとうございました。
- 128 名前:名無し読者 投稿日:2007/05/10(木) 08:19
- 自分も夜のみですがしっかり卒業見届けてきました
泣きわらいでw
いい作品をありがとうございます
- 129 名前:いこっぷ 投稿日:2007/05/31(木) 00:30
- >>127 名無飼育さん
すばらしい卒業公演でしたね。いかにもよっちゃんらしいというか。
私自身も泣いちゃいましたけど、最後は笑って送り出せましたよ。
>>128 名無し読者さん
泣き笑い、確かにその言葉がぴったり来るような卒業式でした。
あんな演出が出来るメンバー、なかなかいませんよね。
お二方ともコメントありがとうございました。
- 130 名前:いこっぷ 投稿日:2007/05/31(木) 00:32
- さて、いこっぷはGAMの初回ライブを見てまいりました。
何か賛否色々あるようですが、GAMとしてのライブ、良かったと思います。
(もし、いこっぷの表での姿w をご存じであれば、サイトを探してレポ読んでみてください)
そんなGAMコン初回公演前の2人。[ Start with YOU ]
- 131 名前:[ Start with YOU ] 投稿日:2007/05/31(木) 00:33
-
[ Start with YOU ]
- 132 名前:[ Start with YOU ] 投稿日:2007/05/31(木) 00:33
-
「始まるね、いよいよ」
「…そうだね。何か、すっごいキンチョーするなぁ…」
ミキはステージの裏で、亜弥ちゃんの手を握りしめる。
ライブの初日なんて今までに何回もあったはずなのに。
GAMとして初めてだからなのかな。
ミキの手は、小刻みに震えていた。
- 133 名前:[ Start with YOU ] 投稿日:2007/05/31(木) 00:34
-
ミキたちを待ってくれているファンの歓声がここまで届いてくる。
手だけじゃなくて、身体の芯までぶるっと震えた気がして、ミキは目を閉じた。
落ち着け、落ち着け。
無意識のうちに手に力が入っていたんだろう。
亜弥ちゃんが、そっとミキの手を撫でてくれた。
- 134 名前:[ Start with YOU ] 投稿日:2007/05/31(木) 00:34
-
「いつも通りのたんでいれば、それでいいんだよ」
あまりにこわばった表情をしてるんだろう。
ミキを見て亜弥ちゃんが苦笑いする。
いつも通り。
わかってるけど、不安だよ。
- 135 名前:[ Start with YOU ] 投稿日:2007/05/31(木) 00:34
- 「聞こえるでしょ、この声援。
見てくれる人たちはたくさんいるんだからさ」
亜弥ちゃんがミキの手をぐいぐいと引っ張ろうとする。
ミキは、腰掛けたパイプ椅子から立ち上がれないでいた。
「…ほら、そろそろ行かないと」
- 136 名前:[ Start with YOU ] 投稿日:2007/05/31(木) 00:34
- 深々とため息をついたミキを見て、亜弥ちゃんまでため息をつく。
「こら、たん」
亜弥ちゃんはペチンとミキの両頬を叩いた。
そのまま両手で顔を包み込まれて、亜弥ちゃんの顔は目の前にあって。
真剣な目をしてミキの中を覗き込んでこようとしている亜弥ちゃん。
それだけで、ミキの胸はいっぱいになるのに。
- 137 名前:[ Start with YOU ] 投稿日:2007/05/31(木) 00:34
-
「…大丈夫。何があっても、あたしが守ってやる」
- 138 名前:[ Start with YOU ] 投稿日:2007/05/31(木) 00:34
-
おでこに振ってきた口付けに、目を閉じた。
唇が触れた瞬間、スッと震えが止まったのがわかった。
ミキは手探りで亜弥ちゃんを探す。
すぐにその存在をとらえて、腕を回す。
亜弥ちゃんは、ミキの髪を撫でていた。
- 139 名前:[ Start with YOU ] 投稿日:2007/05/31(木) 00:35
-
「…ありがと。もう大丈夫」
「ん」
亜弥ちゃんはミキの両脇に腕を差し込んで立たせてくれた。
もう、ミキは迷うことなく立ち上がれる。
だけど照れくさいから、そのまま抱きついてみた。
「あーあー。この甘えっ子めー」
言いながら腕を回して、ちゃんと抱きしめてくれた。
- 140 名前:[ Start with YOU ] 投稿日:2007/05/31(木) 00:35
-
− − − − − − − − − − −
- 141 名前:[ Start with YOU ] 投稿日:2007/05/31(木) 00:35
-
どんな時でも、あなたがそばにいてくれるから。
いつだってさりげなく、ミキを支えてくれるから。
繋いだ手から、あなたの愛を感じることができるから。
ミキは飛び出せる。どんなに苦しい時でも。
大好き。亜弥ちゃん。
- 142 名前:[ Start with YOU ] 投稿日:2007/05/31(木) 00:35
-
ライトの中に躍り出たミキたちを、心地よい歓声が迎えてくれた。
―――Are you READY? OK! All Right Come On!
―――Let's Start!!!!!!!
さぁ、これからが始まり。
亜弥ちゃんとだから踏み出せる、そのスタートへ。
[ Fin. ]
- 143 名前:いこっぷ 投稿日:2007/05/31(木) 00:37
-
藤本さん、色々ありますが私は応援し続けますよ。
という気持ちも込めて、あやみきでした。
- 144 名前:いこっぷ 投稿日:2007/05/31(木) 00:37
- 流し
- 145 名前:いこっぷ 投稿日:2007/05/31(木) 00:37
- 流し
- 146 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/05/31(木) 01:38
- 素敵です。
- 147 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/06/02(土) 14:27
- 本当に色々ありましたが、この二人の話は続けてって欲しいですね。
- 148 名前:いこっぷ 投稿日:2007/06/03(日) 01:04
-
一応スタンスを発表しときますね。
私はそれでも藤本さんが好きです。あの歌声をもっと聞きたいしあの笑顔を見たい。
娘。脱退は、娘。の藤本美貴を見て好きになった自分にはけっこうなダメージですが、
彼女がまだ私たちの前にいてくれるのであれば、何も変わりませんねと言うところでしょうか。
ので、今後も相変わらずあやみき中心にこのスレは動くと思いますw
- 149 名前:いこっぷ 投稿日:2007/06/27(水) 00:10
- 亜弥ちゃんお誕生日おめでとうございま〜す(2日遅れ
>>146 名無飼育さん
ありがとうございます。今後も、ちょっとした「素敵」と言われるお話を目指します!
>>147 名無飼育さん
本当に色々ありましたけれど、何かが変わっても変わらないものはありますよね。
GAMコンを見て、やっぱり、この2人の関係がそれなのかなぁと思わされました。
- 150 名前:いこっぷ 投稿日:2007/06/27(水) 00:11
- さて、あやみき好きにはとんでもない神MCがあった名古屋公演w
いこっぷは参加していないのですが、その時のMCを元にしてこんなお話を一つ。
[ Dreaming ]。
- 151 名前:Dreaming 投稿日:2007/06/27(水) 00:12
-
「ねー、亜弥ちゃーん」
来るだろうとは思ってたけど、まさか全部の荷物持ってくるとはね。
ドアの前で、えへへって顔してるたんは、悔しいけどかわいらしい。
あたしは、どこかで期待してたこの来客を、心底喜んでいる。
- 152 名前:Dreaming 投稿日:2007/06/27(水) 00:12
-
[ Dreaming ]
- 153 名前:Dreaming 投稿日:2007/06/27(水) 00:13
-
「…あんた、荷物そんなに持ってきて、明日の朝どうするつもり?」
「だって、どうせスケジュール一緒なんだしさ、
ミキと亜弥ちゃんが一緒にいたって何の問題もなくない?」
「いや、そうじゃなくてさ…」
ダメだ。もうこの子は独走モードだ。
別に、一人分の荷物を持ってくることくらいなんてことはない部屋だけど、
一緒に寝るだけならともかく、こっちの部屋に移ってきちゃうとかさ。
空いちゃったアンタの部屋、どーすんのさ。
「ま、いいじゃん、だって亜弥ちゃんの誕生日だし」
バーカ。それはもう一つ日付が変わった明日だよ。
- 154 名前:Dreaming 投稿日:2007/06/27(水) 00:13
-
たんもスタッフさんも、そしてお店にも協力してもらったらしい、
あたしを祝ってくれるサプライズパーティー。
次々にケーキに顔を突っ込ませたあたしはほんとに上機嫌で、
そして、隣にいるたんもまた上機嫌で、スタッフさんのテンションも高くて、
ホントは明日だって同じようにライブがあるっていうのに、しかも昼と夜とってあるのに、
あたしたちは何やってるんだろうって、思わなくもない。
でも、年に一度、たった一度だけの特別な日。
そんな日くらい、いつもとちょっと違うことをしたっていいじゃないって思う。
何も考えずにバカみたいに騒げる時間。
それを、たんと共有できているのがホントに嬉しい。
- 155 名前:Dreaming 投稿日:2007/06/27(水) 00:14
-
自分の部屋に戻って一息ついて、さすがにもう寝ようと思ったとき、
何となくケータイが鳴るってことはちょっと予測していて、
そしたら案の定、電話の向こうでたんがぎゃーぎゃー騒いでいたから、
『あたしに会いたいんじゃないのぉ?』
なんて冗談めかして言ったつもりが、急にあの子は黙りこくっちゃって、
あたしはどうすりゃいいのさと、ちょっと困ったりもしたんだけど、
早くおいでよ、待ってるから、そう告げた1分後には部屋のチャイムが鳴っていて。
…元々、自分の部屋で寝るつもりはなかったらしい。
荷物もほとんど開けていなかったんだろう。
さっきまで一緒だった姿と何も変わらない格好で、たんは立っていた。
- 156 名前:Dreaming 投稿日:2007/06/27(水) 00:15
-
たんが持っていた荷物の一つを受け取って、部屋の中に招き入れる。
ドアを閉めた瞬間に、あたしはその荷物を床に置いて、両手でたんの身体を引き寄せた。
お疲れさま。
口から出た言葉はそれだったけど、頭で考えていた言葉はなぜか違った。
ありがと、たん。
やっぱり、そばにあなたがいてくれることは、こんなにも嬉しい。
どれだけ疲れてたって、あなたの顔を見ることが一番癒される。
大好き。大好きだよ、たん。
- 157 名前:Dreaming 投稿日:2007/06/27(水) 00:16
-
シャワーを浴びて、それから、もらってきていた残りのお酒を二人で分け合って、
一つのベッドに潜り込んだときには、たんはだいぶほろ酔い気分に見えた。
あたしは、あまり飲まなかったせいかそんなに酔ってないんだけど。
アルコールで饒舌になったたんは、いろんなことをあたしに話してくる。
- 158 名前:Dreaming 投稿日:2007/06/27(水) 00:17
-
今日のライブさー、アレ間違えたでしょー
何言ってんの、あんただって間違えたでしょ?
亜弥ちゃん、人の髪の毛いじりすぎだからー
それはあんたへの愛情表現だよう
亜弥ちゃんと手つないで歌ったり、見つめ合って歌ったり、嬉しいな
うん あたしも、なんかまだ信じられないな
あとちょっとしかないけど、いっぱいいっぱい、一緒に歌おうね?
そ、ケンカしない限りは、GAMはずーっと続くからね
亜弥ちゃん、ずーっとミキと一緒にいてくれる?
当たり前じゃん? あたしはたんと、いつでも一緒だよ―――
- 159 名前:Dreaming 投稿日:2007/06/27(水) 00:17
-
―――たん?
- 160 名前:Dreaming 投稿日:2007/06/27(水) 00:17
-
次の言葉が飛んでこなくて、あたしはたんの名前を呼んだ。
小さく体を震わせて、必死にあたしに何かを投げかけようとする。
すがるように、たんの手はあたしの腕を捕まえて、
あたしは、そんなたんの身体を、そっと抱きしめてやる。
「…亜弥、ちゃぁん……」
絞り出すようにあたしの名前を呼んで、たんはあたしの首筋に顔を埋めた。
少しだけ身体の向きを変えて、たんを包むように抱きしめる。
そっと背中を、髪をなでてやると、たんは呼吸を整えながらあたしに問いかけてきた。
- 161 名前:Dreaming 投稿日:2007/06/27(水) 00:18
-
「ごめん…ごめんね、ミキ、亜弥ちゃんに迷惑かけてるよね?」
「謝罪とか、そんなの聞きたくないよね?」
「お客さん、ファンの人、どう思ってるか、怖いよね?」
「いろんな人に、歌以外のことで注目されて、つらいよね?」
「ミキ、うまく歌えてるのかな?」
「ミキ、ちゃんと笑えてるのかな?」
「ミキ、ちゃんと―――」
「―――大丈夫だよ、たん」
たんの懺悔が、痛みが、あたしには苦しいくらいに伝わってきて、
こっちまで胸が痛くなって泣きそうになったから、今度はそっと唇を重ね合わせた。
- 162 名前:Dreaming 投稿日:2007/06/27(水) 00:18
-
「…何も怖がることはないからね?
あたしは、ずっとたんの隣にいる。何があっても、どんなときでも」
それから、ぎゅっと腕の中に閉じこめた。
聞こえる? あたしの心音。
こんなにドキドキするほど、たんのことが大切で、愛しくて、離したくなくて。
「…たんが、変わらずにたんでいてくれるなら、
ずっとずーっと…、一生、たんが一番たいせつな人」
たんはかすかに頷いて、あたしの背中に回した手に力を込めた。
それから、こんな静かな部屋でも聞き取れるかどうかくらいのか細い声で、
亜弥ちゃん、と、またあたしの名前を呼んだ。
- 163 名前:Dreaming 投稿日:2007/06/27(水) 00:18
-
「…ミキは、亜弥ちゃんのこと、ずっと好きでもいいですか?」
真剣な問いかけに、何をバカなことをと、あたしは笑うこともできなくなる。
それは、今のたんにとっては全てを揺るがしかねない大きな質問。
だけどあたしの本当の答えなんてこの世に一つしか存在してなくって、
それを言葉にすることは、とっても簡単で、
でもそれだけに決して壊したくない大切な想いだから。
「少なくとも、永遠の片想いにはさせないかな?
だって、あたしだってたんのこと、一生好きでいるから」
腕の中で、たんはくすっと笑っていた。
何かちょっと悔しい。悔しいけれど。
- 164 名前:Dreaming 投稿日:2007/06/27(水) 00:19
-
しばらくしてそっと覗き見たたんの寝顔は、穏やかな微笑みを浮かべていた。
涙の跡も乾いていないのに。
さっきまでとは違って、ちょっと微笑んだようなやさしい顔。
指でそっと目尻を拭いながら、手のひらでほっぺたを撫でる。
「…あんたは、ホントにやさしい子だって、あたしはよく知ってるから」
自分の決めた道を、信じる道を進めばいいってあたしは思う。
あたしはそんなあんたに一生ついて行こうと思ってる。
初めて出会った、あたしがずっと大切にしたいと思える人。
- 165 名前:Dreaming 投稿日:2007/06/27(水) 00:19
-
さぁ、あたしの腕枕で、あんたはいったいどんな夢を見る?
その中に、あたしが出てくるといいな。
やっぱり仲良く手をつないで、そして、いっぱい語り合ってるような。
…あ、ねぇ、次に日付が変わるとき、一緒にいてくれるよね?
もし別々の部屋にいたりしたら、そのときはあたしがケータイを鳴らそう。
ねぇ、たん、そっちの部屋に行ってもいい?
だって、あたしの誕生日じゃない。
って。
[ Fin. ]
- 166 名前:いこっぷ 投稿日:2007/06/27(水) 00:21
-
おたおめ小説なのかちょっと違うのかよく分かりませんが、
ま、これもまたいこっぷ流の、たぶん誕生日小説…
あれ、おめでとうって言わせてないような気が(汗)
- 167 名前:いこっぷ 投稿日:2007/06/27(水) 00:21
-
流し
- 168 名前:いこっぷ 投稿日:2007/06/27(水) 00:22
-
流し
- 169 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/06/27(水) 16:14
- 完璧です。
- 170 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/06/27(水) 17:16
- 読んでてほっとするお話ですね
- 171 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/06/30(土) 06:02
- この話はおたおめ小説だったのですか、気付かなかったわあ!!
でも、うん一緒がうれしいってことですよ。
- 172 名前:いこっぷ 投稿日:2007/08/15(水) 12:17
- 2ヶ月弱空いてしまいました。
>>169 名無飼育さん
ありがとうございます!
これからもあやみきはあやみきらしいお話を書いていきたいと思います。
>>170 名無飼育さん
2人は幸せであってほしいっていう、自分の願望の表れですねw
安心できる絆を持ってる2人なんだと思います。
>>171 名無飼育さん
未だにおたおめなのかビミョーだと思ってますがw
2人の「一緒」って、特別なんですよね。
- 173 名前:いこっぷ 投稿日:2007/08/15(水) 12:34
- と、いいながらあやみきではない小説を上げてみるテストw
いこっぷ、何を隠そう飼育デビュー前はほとんどあやみきを書いていません。
今回は、こんみき。
密かに激推しのCPです。
お話は、いこっぷの中の人が昔書いたお話がベースになっています。
ので、最後にいこっぷのサイトもお知らせします。
それでは、[ネイビーブルーに包まれて]。
- 174 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:35
-
[ネイビーブルーに包まれて]
- 175 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:35
-
私がガッタスに復帰してから何度目かの練習の日。
いつものように体育館に顔を出すと、あの日と同じように、ボールの音がしていた。
ゴールに向かって一心不乱にボールを蹴りこむ姿は、
いつか見たあの姿と少しも変わっていなかった。
変わったことといえば、あの日以上に鋭くなった動き。
迷いが吹っ切れているというか、テンポが良くなってるというか。
ミキちゃんは、確実にあの時の壁を突き破っていた。
- 176 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:36
-
「ミキちゃん」
トラップしたボールを足元におさめる彼女の名前を呼ぶ。
後ろで緩く縛った長い髪を揺らしてこちらを向いたミキちゃんは、
私の姿を見つけると、笑顔を見せてくれた。
「おはよー、紺ちゃん」
軽く手を振ってこっちに寄ってきてくれたミキちゃんに、
私は持っていた飲み物とタオルを差し出す。
「おー、さんきゅ」
片手で器用にフタを持ち上げて飲み物を口にする彼女の額には、
大粒の汗がたくさん浮かんでいた。
首に掛けたタオルには、流れる汗が吸い込まれていく。
- 177 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:36
-
「ミキちゃん、来るの早いねぇ」
「んー、まぁヒマだからねー」
自虐的に笑うミキちゃんに、私はしまった、と思う。
よっぽど私も困った顔をしていたのかもしれない。
ミキちゃんは、ウソウソ、と言って手を振った。
「相変わらずね、朝はちょっと早く来て動いておかないと、
ミキいっつも寝ぼけてるからさ、全然動けないからさ」
でも、こっそり練習してるつもりなんだけどなぁとつぶやくミキちゃんに、
練習場所で練習してたらそりゃあバレちゃうよ、と返しておいた。
ミキちゃんは飲み物のボトルを両手で叩いて、笑っていた。
- 178 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:36
-
* * * * *
- 179 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:36
-
着替えを済ませて体育館に戻ってくると、
置きっぱなしにしていた私の荷物の一番上に置いてあったマフラータオルを、
ミキちゃんはしゃがみながら両手で広げてじーっと眺めていた。
「どしたの? タオルなんて広げちゃってさ」
「んー、いやー、なんとなくねー」
ぱぱっと畳んでまた荷物の一番上にタオルを戻す。
その時、タオルに刺繍された「12」が、表に見えていた。
「…やっぱいいね」
「へ?」
ミキちゃんはタオルに視線を向けたままでつぶやく。
意味がわからなくて、私は思わず問い返した。
- 180 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:37
-
「12番ってさ。やっぱ見慣れた数字だから」
ミキちゃんはちょっと恥ずかしそうに微笑む。
そう言われると、こっちもちょっと恥ずかしい。
「紺ちゃんが卒業しちゃって、あさみとみうなもいなくなって、辻ちゃんも休みで、
馴染んでた数字がどんどん少なくなってっちゃってさ…
やっぱ、淋しいんだよね。知ってる数字って、多い方がいいじゃん」
刺繍をじっと見つめたまま、昔の記憶をたどっているように。
ミキちゃんはぽつりぽつりと、淡々と、でも、ガッタスへの愛を込めた言葉を紡ぎ出す。
だから私は思う。
ここに戻ってきて良かったな、って。
戻ってきたいと思える場所があるって嬉しいな、って。
- 181 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:37
-
「…って、やめやめこんな話!
っあー、恥ずかしーなー」
ミキちゃんは大きく首を振って腕を振り上げて立ち上がる。
そしてまた、コートの方へ戻っていってしまった。
私はその背中を目で追いかけていた。
少し大げさに大股に歩いてみせたりして。
あぁ、私知ってる。こういう時のミキちゃん。
相変わらず隠し事がヘタなんだよなぁ。
笑顔だった。
でも、ちょっと目が潤んでいた。
私は見逃さなかったけど、でも、すごく嬉しかった。
- 182 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:37
-
「ねぇ、紺ちゃん」
「ん?」
「勝負しない? 1対1。
ミキがあの辺からドリブル。シュート決めるか止められるか」
ミキちゃんが指さすのはハーフラインの少し内側。
「いいよ。勝ったらミキちゃん、アイスおごりね」
ミキちゃんは笑いながらボールをセットした。
「じゃあミキが勝ったらレバ刺し3人前」
- 183 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:38
-
* * * * *
- 184 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:38
-
勝負の結果は3本勝負で2−1で私の勝ちだった。
私のアイスにミキちゃんのレバ刺し3人前じゃ釣り合わないから、
今度のガッタスカフェで出てくるはずのタピオカミルクと氷雪花に替えてもらった。
替えてもらっておいて良かった。お台場が待ち遠しいな♪
「ちぇ〜、最後は決まったと思ったんだけどなぁ」
ミキちゃんが汗をぬぐいながら悔しそうにゴールポストを見つめる。
1本目。ミキちゃんのドリブルが大きくなったところを私がカットして先行。
2本目。フェイントからのトーキックに反応できず、ゴールされて同点。
そして3本目。
ドリブルで切り込んできて、シュートを打つと見せかけて横に動かされて、
完全に体勢が崩れた私の指先をかすめるように放たれたシュートは―――
- 185 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:38
-
「でもほら、実戦ならゴール前に誰かいて当たってるからミキの点だよね」
「ミキちゃん、自分で1対1って言ったじゃん…」
ゴールポストに弾かれて、そのままサイドラインを割った。
ホッとしてポストを撫でる私と、憎らしげにポストに軽く蹴りを入れるミキちゃん。
「氷雪花楽しみにしてるから♪」
「あーもうはいはい、おごるよおごるからさー」
2個目おかわり! とかはナシね、なんて念を押されちゃった。
失礼だなぁ。そこまで私だって食いしんぼじゃないよぅ。
…自分で買うもん。
- 186 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:38
-
でも、1年ぶりくらいにこうして1対1でやってみて、私はちょっと落ち込んでしまった。
2本目のシュートに反応できなかったのがショックだった。
昔でも決められちゃってたかもしれないけど、何も出来ないとかなかったはずで…
私の中のイメージと、自分の動きのギャップ。これがブランクなんだなって思わされた。
そして、3本目のミキちゃんのフェイント。
初めて見たミキちゃんのあの動きに本当にビックリした。
あんな動きを入れて持ってくるような選手じゃなかった。
別に、今までにそういうフェイントでかわす選手がいなかったワケじゃない。
他のチームにも、ガッタスだって是ちゃんがやったりしていた。
ミキちゃんをナメてたわけじゃない。
でも、私の知らないミキちゃんがそこにはいた。
- 187 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:39
-
だから正直、私の1勝2敗でミキちゃんの勝ちっていってもおかしくない。
運が良かっただけだと思う。だからミキちゃんに勝てたってだけだと思う。
みんなとの差がついちゃったこの1年間を、私は埋められるのかな?
リトルの子やエッグからもゴレイロ候補は出てきてるし。
その子たちに負けないように、私はスタメンで居続けられるのかな?
「こら、紺ちゃーん」
「え? ふぇっ!?」
ほっぺたに飲み物の入ったボトルを押しつけられて、その冷たさにはっと我に返る。
ずーっとポストとにらめっこしていたらしい。
- 188 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:39
-
「…っくさぁ、ため息ついてポスト睨んでたいのはこっちの方だよ」
「え、いやそうじゃなくて…」
「なかなか呼んでもこっち向かないしさぁ。
勝ったのにそんな顔されちゃさぁ、ミキの立場ないじゃん?」
「う、うん…」
私はにらめっこしていたどころか一人の世界に入ってたみたい。
呼ばれたのにも全然気づかなかった。いったいどんな顔してたんだろう…
「…そんな思い詰めることでもないと思うけどなぁ」
「え?」
「ミキのこと誤魔化せるとでも思ってる?」
ミキちゃんはわざとらしくウインクしてみせた。
この人は、ぐちゃっとした私の心の中なんかすぐにわかってくれている。
- 189 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:39
-
「…ミキだったらあっという間に自信なくしてると思うけどなぁ。
『ミキ1年間何もしてないもーん』とか言って、メンバーに甘えてるかもしれない」
私は受け取ったボトルの口を開けた。
中身を一気に半分くらい、流し込んだ。
身体の中にすーっと広がる冷たい感覚。ちょっと落ち着いた気がする。
「なのにさぁ、紺ちゃんってホント負けず嫌いだよねぇ?
練習戻ってきて、いきなりフルでメニューこなしちゃうとかさぁ」
「だってさぁ、やっぱり試合には出たいからがんばらなきゃって…」
「ね。そういうとこが、ミキにはホントかっこよく見える」
ウソだぁ。ミキちゃんだって、とんでもない負けず嫌いのクセに。
自分のことは置いといて私のことばっかり誉めてくれる。
いかにも、この人らしいことだなぁって思う。そんな感覚も久しぶり。
- 190 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:39
-
「だからさぁ…、っていうか、みんなだってわかってるんだよ?
1年間、紺ちゃんがいなかったことは大きい。
ミキだって、覚えてるよ。
何でそれ止めちゃう? って、ミキ、何回悔しかったことか」
ミキちゃんは両手を前に突き出して、ボールを止めるマネをしてみせる。
「だから今、紺ちゃんの目の前に立ってみて、あれ? って感覚はあるよ、やっぱり」
お互いの1年前の記憶は、きっと同じところに巡らされているんだと思う。
ボールを挟んで1対1で向き合って勝負し合った、あの時のこと。
自分の身体がその時の自分に戻っていないことに、私は苛立ちを覚えた。
「でも、さ」
そんな考えは、ミキちゃんの言葉でまたかき消された。
- 191 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:40
-
「辻ちゃんが休んじゃってる今、試合経験ある人が戻ってきたのは助かる。
ガッタス的に、ズバッと言えばたぶんそんなところかもしれない。
でも、ミキは思う。
『12』が、紺ちゃんが帰ってきたことが、やっぱり何よりも嬉しいかな、って」
そう言ってミキちゃんは、ゴールポストをまた軽く蹴った。
顔はこっちを見ない。あぁどんな顔してるんだろう。耳だけは真っ赤なのが見えた。
「…だから、わかってるんだって。
真面目に地道に練習する紺ちゃんなら、あっという間に『戻ってくる』って」
あの日くらいには動けるようになりたい。そして、もっともっと上手くなりたい。
苛立ちは、向上心へのエネルギーに変えていけばいい。
- 192 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:40
-
「で、あっという間にミキなんか止められちゃうんだろーなー、
もっともっと練習して上手くならないとなー」
ミキちゃんはそう言いながら、自分のカバンの中をあさり始めた。
「これさー、よっちゃんから、紺ちゃんに渡そうって預かったんだけど」
出てきたのは、真新しい紺色のユニフォーム。
背番号は、もちろん『12』。ネームは『KONNO』。
「粋なキャプテンの心意気、探してみてよ」
袋に入れられてキレイに畳まれたユニフォームを、私はていねいに開封する。
一見、ごく普通のユニフォーム。だけど、新しいデザインのものは初めて。
肩に入ったラインの色とか、胴の両脇のデザインとか、今までと違うところをたくさん見つけた。
そして……
- 193 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:40
-
「あっ」
見つけた。キャプテンのメッセージ。
「…“Vamos Jogar Futsal!”…」
『フットサルやろうよ!』
そのかけ声で始まったガッタス。
襟のタグに、吉澤さんの字でハッキリと書かれたメッセージ。
「まったくさぁ、やることがオトコマエすぎなんだよねよっちゃんは」
そんなミキちゃんも、そのタグの裏に『おかえり。miki』と書いてくれていた。
見つけたって言ったらまた照れちゃいそうだから、気づかなかったフリをしておこう。
- 194 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:40
-
さっそく、そのユニフォームに袖を通してみた。
着慣れた紺色の12番のユニフォーム。
だけど、新しいガッタスのユニフォーム。
私もその一員として帰ってきた。12番は、誰にも渡らずに残っていた。
卒業して、復帰して戻ってきた今も、同じ12番を着けられるのってなんて幸せなんだろう。
「やっぱ、紺ちゃんには12番だよね。
他の番号も、他の人にも似合わないと思う」
誰にも譲りたくない、たくさんの思い出が詰まった背番号。
これからも、たくさんの思い出を私と一緒に刻んでくれる番号。
- 195 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:41
-
「ねぇ、ミキちゃん」
「ん?」
「1年後、また、こうやって勝負しよっか」
お互いがどれだけ成長できたか、私たちの軌跡をお互いの心に刻み込むためにも。
「いいねー、去年はミキの勝ちだったから、来年は大事な勝負だなー」
「次は、もうミキちゃんのシュートなんかぽんぽん止めちゃうからねっ」
私は両手を腰に当てて、ゴールの前に仁王立ちして見せた。
ミキちゃんはまた、今度は私のことを軽く蹴るそぶりを見せて対抗していた。
それからお互いの目を見て、思いっきり笑った。
- 196 名前:ネイビーブルーに包まれて 投稿日:2007/08/15(水) 12:41
-
正直、このあとミキちゃんと1対1をやる機会なんて何回も何回もあるんだと思う。
でも、ミキちゃんとの勝負は、そういうのじゃちょっと片付けられない特別なもの。
まだ誰もいない、2人の動く音だけが響くこの体育館で。
決まった日付とかもない、適当な未来だけど。
来年また、1つのボールを挟んで真剣に向き合おう。
「ミキちゃーん」
反対側のゴールへボールを拾いに行っていたミキちゃんを呼び止め、
私は持っていたボールをその足元に向かって投げた。
すかさずミキちゃんはボールをぴたりと足元に止めて、くるりと向き直ってゴールに突き刺した。
その華麗な動きを見て、やっぱり今はまだミキちゃんに敵わないなと、そう思った。
[ Fin. ]
- 197 名前:いこっぷ 投稿日:2007/08/15(水) 12:46
- ということで、こんみきで「ネイビーブルーに包まれて」でした。
ガッタスネタですね(最初に言うの忘れてるし)
このお話は、いこっぷの中の人が1年前に書いたお話に基づいています。
ttp://pockydiary.net/seek_in.html [振り返れば、そこに。]
↑飼育からの入場専用アドレスです
日記やら小説置き場やらですが、小説の中の[ストライカー6]も読んでみてください。
- 198 名前:いこっぷ 投稿日:2007/08/15(水) 12:47
- あ、サイトのお話はここではなく直接サイトの方にどうぞ。
それではそれでは。
- 199 名前:いこっぷ 投稿日:2007/08/15(水) 12:47
-
流し
- 200 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/08/16(木) 23:04
- 賞品をアイスからタピオカミルクと氷雪花に換えてもらう紺野さんはしっかりさんだわぁ。
また彼女の笑顔を見れることの幸せ、ここにあり(笑
- 201 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/08/18(土) 00:13
- 作者さんのあやみきも素敵ですが、こんみきも魅力一杯です。
- 202 名前:いこっぷ 投稿日:2007/10/03(水) 22:34
- しばし空いてしまいました。
>>200 名無飼育さん
彼女オススメの商品でしたからねw 氷雪花は確かに美味でした。
紺野さんも冷凍保存して持ち帰ろうとしたくらいですから、よっぽどのお気に入りですねw
>>201
ありがとうございます。一昔前は紺美貴ばっかり書いたりしていましたね。
紺美貴って不思議な関係なんですよね。先輩後輩ないですから。
- 203 名前:いこっぷ 投稿日:2007/10/03(水) 22:36
- ええと今回は愛ガキです。初挑戦です。しかも短いですw
始まった新体制の娘。コン。そこで、私は強い絆を見ました。
ということで。
[ ラブリーリーダーズ ]。
- 204 名前:ラブリーリーダーズ 投稿日:2007/10/03(水) 22:36
-
[ ラブリーリーダーズ ]
- 205 名前:ラブリーリーダーズ 投稿日:2007/10/03(水) 22:37
-
ステージが暗転してメンバーは舞台の脇から戻っていく。
満面の笑顔で引き上げていく彼女たちを見て、少しだけホッとする。
よかった。
みんな楽しんでくれとる。
このツアーをやりきってみせるって自信はあったとしても、
舵取りがうまくいくって確信まではなかった。
急に就くことになった「モーニング娘。のリーダー。」
10年を数えるこの年に、いきなり巡ってきた役目。
…あたしなんかにできるやろか?
不安になるあたしに、決まってあなたはこう答えた。
…大丈夫、愛ちゃんならできる。私が絶対に支えてみせる。
- 206 名前:ラブリーリーダーズ 投稿日:2007/10/03(水) 22:37
-
ステージの真ん中にあったトランポリンが撤去されていくのを目で追いかける。
隣のガキさんは両手を胸の前で組みながら、大きく1つ深呼吸。
次は、あたしとガキさんとでライトを浴びる番。
ふーっと、目を閉じて息を吐き出した。
まだ心臓がこんなにもドキドキしてる。
いいツアーにしなきゃあかん。
高橋になって、ダメになったとか言われたくない。
新しいモーニング娘。も、さすがモーニング娘。って言われたい。
いかんいかん。
リーダーとして大事なMCの場なのに。
こんなことばっか考えとってどーすんのや。
あたしは大きく1つため息を吐く。
- 207 名前:ラブリーリーダーズ 投稿日:2007/10/03(水) 22:37
-
「…愛ちゃん」
呼ばれた声に顔を上げると、ガキさんがあたしの顔を覗いとる。
「ガキさ」
声はすぐにかき消される。
「またまたぁ、何か考えてたでしょー?」
やだなぁ。同期。何でもお見通しなんやもん。何にも隠せん。
だから、だから愛しい。こんなにもわかり合える仲間がいることが。
「みんなが待ってるよ、ほら」
ガキさんは小さく、観客席を指さした。
聞こえてくる歓声。暗がりのこちら側へ、たくさんたくさん飛んでくる歓声。
- 208 名前:ラブリーリーダーズ 投稿日:2007/10/03(水) 22:38
-
「…そやな、みんながいるもんな」
あたしは前を向いた。
そして一度、会場を大きく見渡した。
すっごいな。あたしら。こんなにお客さんたちに見てもらってるのな。
そう思ったら、あたしは自然に微笑んでいた。
なんだか、何だって出来るような気がしてきた。
「さ、行こうか、愛ちゃん」
ガキさんがそっと差し出す手をあたしはしっかりと握る。
あったかい手。ガキさんの愛情まで伝えてくれる。
ガキさん、ありがとな。
小さく呟いたつもりが、手にきゅっと力を込められた。聞こえとったんかな。
さぁ、ライトがともる。
その時あたしたちは、もう立派なリーダーとサブリーダー。
[ Fin. ]
- 209 名前:いこっぷ 投稿日:2007/10/03(水) 22:40
- 改めて、み、みじかッ! でも書きたいことは書けました。
同期同士のリーダーサブリーダー。
長い歴史、しょっちゅうあるようで実はあまりない体制です。
やっぱり目が離せませんねw
それではそれでは。
- 210 名前:いこっぷ 投稿日:2007/10/03(水) 22:40
-
流し
- 211 名前:いこっぷ 投稿日:2007/10/03(水) 22:40
-
流し
- 212 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/04(木) 21:05
- 短! でも五期愛が一杯。
- 213 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/05(金) 15:48
- 不純な物を濾過して、最後に残ったものって感じですね。
でも不純なものも見たいw
- 214 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/06(土) 00:13
- これからも、いろんな顔ぶれを描いてください。
- 215 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/18(日) 00:06
- あやみきが読みたいよう
- 216 名前:いこっぷ 投稿日:2008/01/03(木) 23:32
- どこかにネタは落ちてねぇが〜
…自サイトに愛ガキなら2本上げたんですけど。本当はあやみき書きたいんですけど。
リアルネタがないと手が進まないのが弱いところorz
ということで、少々お待ちください。
>>212 名無飼育さん
五期ってお互い寄り添い合っていた部分があったと思うんです。
その中で二人は娘。から旅立ち、二人は娘。を率いる。その時に強さを見せてくれたように思います。
>>213 名無飼育さん
そうですね、この話は「ありのまま」をどうにかして残したい一心で書きました。
不純なモノてw ないネタしぼって考えてみます…
>>214 名無飼育さん
ありがとうございます。リアルネタとして昇華したいメンバーが現れたら、
ぜひここで形に出来ればと思っています!
>>215 名無飼育さん
あやみきが書きたいよう_| ̄|○
ちょっとスランプ気味でネタはあるんですが形にならないのです。まったりお待ちください。
ということで、ネタが仕上がったらまたやってきます。
- 217 名前:いこっぷ 投稿日:2008/01/24(木) 23:05
- 書き上がってからここに上げるまで2週間以上かかってしまいましたがorz、
お話を練り上げてきたので上げたいと思います。
時間も20日くらい戻してください。エルダコンが始まる前日、一本の電話から始まったお話。
[ 友達以上、×××。]
- 218 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:05
- 『…風邪ひいたから会いに来てほしいの』
「はぁ?」
『…ミキ、風邪ひいたの』
「あたし、明日からライブなんですけど。今日もリハなんだけど」
『わかってるけど』
「じゃー無茶なこと言わないでよね」
『頭痛くて眩暈もして動けないんだよぅ』
「ママに頼めばいいじゃないの」
『…実家だもん』
「あっそ」
『…ねぇお願い、亜弥ちゃん、ミキの―――』
- 219 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:05
-
[ 友達以上、×××。]
- 220 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:06
- たんのいつもよりひどくなった鼻声を遠くに聞きながら、途中で電話を切った。
年明け早々、とんでもないことを言ってくる人だ。
何だかんだいろいろあって今年初めてまともに交わした会話がこれだもん。
あけおめくらいは言ったしメールもした。
ただ、共通の話題がどうしても見つけづらくなって、うまく話も出来ない自分がいた。
それはたんも同じだったのか、前ほどは電話もメールも来なくなっていた。
初めは仕方ないと思いながらちょっと淋しいと思っていたけど、
慣れるということは怖いもので、あまり気にしなくなってきていた。
あることないことあたしの耳にも入ってくる。でもその真偽を確かめる気にもなれない。
もはや、あたしたちはただの友達程度なのかも。別に、違和感は感じない。
- 221 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:07
- そんな時にかかってきた電話は、この忙しい時期に会いに来いというワガママな発言。
どうせあれでしょ、新年早々一人が淋しくなって、
風邪ひいたことにしてあたしでも呼ぼうとか思ったんだ。
本当は甘えたがりのたんなら、あり得なくもない。
残念ながら長い付き合いで知った彼女のデータがその確率をあたしに示している。
だったら別にあたしは予定通りにリハに入って、予定通りに明日からのライブを迎えればいい。
…そう決めたはずなのにあたしは手の中のディスプレイを眺めていた。
見慣れたはずのたんの番号。実は久しぶりに見たような気がして、何だか懐かしい。
グルグルと着信履歴を適当に見ながら、結局一周させて元の番号に戻ってくる。
無意識に通話ボタンに指がかかり、あたしはそれに気づいて手を離した。
…ホント、どうかしてる。
あたしはまた短くなった髪をばりばりっと掻きむしって、ケータイを睨んだ。
- 222 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:07
- 今さら、たんが何だっていうんだろう。
あたしは、明日からまたライブなのだ。今日だって打ち合わせがある。ヒマな身分じゃない。
あの人だってそんなことくらいわかってるはずなのに。
今までに何回も正月のライブを経験してきてるんだから、予定くらいわかるでしょーが。
「…ちょっとした風邪くらいなら別にひとりだって…ねぇ」
ケータイを放り投げて洗面所へ向かう。
ベッドの上に着地したそれは、カチャリという金属音を鳴らす。
…「A」と「M」、おそろいのキーホルダー。
ちくりと胸が痛む。ただそれはケータイに傷ついちゃったかなと思っただけで。
けっこう大事に、傷なんて付けないように使ってたはずなのに。
あたし今、放り投げたよね?
機種変してから、大事にケースに入れてから大事にカバンに入れるくらいしていたのに。
むかつくのは、自分の考えを自分の胸の中が認めてくれないことだ。
それでいいよと言ってくれない。あたしは、どうも腑に落ちない。
でもそんな警告を無視して、歯ブラシを手に鏡の前に立った。
- 223 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:07
- 腰に左手を当てて歯ブラシを動かしながら目を閉じる。
イライラする。なんなの。待ちに待ったライブが近づいてるでしょ?
口にたまった泡を吐き出したらうっすらとピンク色になっていた。
ハッとして鏡を見たら、ちょっと出血していた。
「…アイドル失格ですかねー…」
無意識のうちに力を入れすぎて磨いていたらしい。
それ以上に、自分の顔がとんでもなく覇気のない様子でビックリした。
「…バッカじゃないの…」
鏡の中の自分と、心の中の誰かに。
あたしの中の彼女のデータは、さっきまでとは違う可能性と警告を強く示していた。
- 224 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:08
-
- 225 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:08
- 気づいたらあたしはコンビニにいた。
思いつくままの買い込みをして、気づいたらあたしはケータイを手に取っていた。
マネージャーさんと、梨華ちゃんやよっすぃーあたりに電話だけして、
気づいたら、久々に目にする合鍵を取り出していた。
それでもあたしは、ドアの前で考えている。
ドアノブと合鍵の先とを交互に見比べながら、かれこれ5分くらい。
気ままに入っていた家に上がり込もうとすることが、いつの間にこんなに勇気のいるものになったんだろう。
こんな時期に、本当に世話が焼けることをしてくれるもんだ。
人を呼び出すあんたも、今ごろ現場を混乱させている原因になっているだろうあたしも。
意を決して上がり込んだ先は、人がいるのかってくらいに静まりかえっていた。
リビングのテーブルの上にもたいしたものは載ってない。
これで風邪ひいてるんだとしたらどんな生活をしてたんだろう、
そんな疑問は寝室のドアを開けたら一発で晴れてしまった。
- 226 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:08
- 「ちょっ…、たん?」
布団にグルグルになって、あたしの声にうっすらとまぶたを持ち上げて、
真っ赤な顔をしてうつろな表情で顔を上げたこの部屋の主の周りには、
ゼリー飲料の空き容器と、飲み終わったらしいペットボトルと、脱ぎ散らかされたパジャマと、
何もかもがそこらに投げ出されていて、…それはもう、とんでもない有様だった。
「…あぁ、亜弥ちゃん…」
もぞもぞと布団が動いた。
髪の毛もボッサボサ。普段着モードのそれ以上にボッサボサ。
「…あんた、何日間こんな…?」
「んー…年明けて…すぐくらいかなぁ…」
「バッ…」
バカ。今日が4日。じゃあ、三日も四日もこんな調子?
- 227 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:09
- 「ちょっと、何ですぐに誰か呼ばなかったの?」
あたしは、ごく当たり前の質問をしたつもりでいた。
あんたの周りには、たくさんの人がいるでしょう?
いくらなんでも、誰も頼れないほどの関係じゃないでしょう?
けど、布団の中のたんは悲しそうに口元を歪ませてあたしを見つめ、
あたしは、次の言葉を聞く前に、自分の発言を後悔することになる。
「バカだなぁ…みんな忙しいじゃんよ…」
逃げ帰りたいと思った。自分の浅はかさに。
ここまで来て弱いところにナイフを突き立てようとしている自分が情けなかった。
そう、あたしだってライブが近づいているから、さっきまで、ああして―――
- 228 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:09
- 沈黙が流れて、あたしは戸惑う。
こんな感覚は、もう忘れかけているほどに昔に経験して以来だった。
せっかく時間をこうして共有することすら久しぶりなのに、
どこか想いの噛み合わないところが、本当に、本当に昔のことを思い出させる。
『意外と気が合う』ということはいきなり何もかもがわかり合えるわけではなく、
出会ってしばらくは、気持ちのすれ違いにあたしもたんもついていけなくて、
いつしか投げ出そうとして、だけど大切に拾い上げてきて、今がある。
あたしは軽く首を振った。
過去を振り返って、いったい何になるの。
いつの間にかあたしに背を向けて目を閉じているたん。
あたしは何も言えなくなって、とりあえず、落ちているゴミを拾い上げた。
何日間かほとんどここから動いてないのだから、それなりにいろんなものがそこら辺に投げられている。
ゴミ箱にまとめて、パジャマも洗濯かごへ入れて、どうせだからと洗濯機を回す。
替えのパジャマ…が見当たらないからTシャツとジャージを持って、
それから、洗面器に熱めのお湯を張って、タオルを手にして、もう一度寝室に戻った。
- 229 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:10
- 少し苦しそうな表情で眠るたんを見て、こんなんじゃなかったと自分を責めた。
ちょっと前なら、言われなくたって当たり前のように気づいていたお互いのこと。
少しでも連絡がなければ、しつこいくらいに電話して追いかけていたのに…
ちょっと会わなくなったからって、こんなもん? あたしたち。
枕元に腰掛けて、ぼさぼさの髪を手で梳く。
その時、たんのケータイが目に留まる。
ごちゃごちゃになっていたこの部屋に似合わず、枕の隣にタオルに載せられて置かれていた。
やっぱりおそろいの「A」と「M」が並び、傷ひとつないケータイ。
あたしは、少し胸が痛む。視線がキーホルダーをなぞり、無意識にため息をついていた。
わずかな刺激に目を覚ましたたんに、出来るだけ優しく声をかける。
「…身体、拭いてあげるよ。お風呂もだるいでしょ」
一瞬、驚いたように身体を引きつらせていたけど、
すぐに小さくこくりと頷いて、またもぞもぞと布団から起き上がろうとしていた。
支えるように手を伸ばすと、寝汗でびしょびしょになった背中に触れた。
「シーツも替えよっか。ちょっと待ってて」
- 230 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:10
- 待たせないようにとすぐに戻ってきたつもりだったけど、
たんは、ベッドに腰掛けてうつむいて、何かを考えているようだった。
「たん? シーツ持ってきたから取り替え…」
「…亜弥ちゃん」
「ん?」
あたしの言葉を遮ってゆらりと立ち上がり、おぼつかない足取りでよろよろと足を踏み出す。
あまりにも危なっかしいその体勢にあたしはシーツを投げ出し、
両腕を差し出して、倒れ込みそうになるたんを抱き止めた。
「…たん…?」
「…ぃたかった…よぉ…」
「え?」
「…亜弥ちゃんに……会いたかったよぉ……」
しがみつくように背中に手を回して、ずるずると床にへたり込むたんを、
慌てて抱きかかえるようにして支えながら、あたしも一緒に座り込んだ。
- 231 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:11
- 熱っぽい額に自分のそれを突き合わせて覗き込んだたんの表情は、
必死で何かを耐えるようにして目元を震わせていた。
「本当は…ホントは、亜弥ちゃんに…っ」
ほっぺたを撫でて、首筋を撫でて、その次に髪を撫でて―――
当たり前だったはずの行為が、あたし自身の中から呼び戻されてくる。
光る目尻にそっと指を滑らせて涙をぬぐうと、
それを合図にしたかのように止まらなくなった嗚咽。
「…たん」
震え出した身体を強く腕の中に閉じこめ、静かに背中をさすった。
ぼろぼろと涙をこぼしながら苦しそうに喘いで、時々咳き込んで。
久しぶりに聞いた心の言葉を、あたしは一つ一つ、自分の中に飲み込んでいく。
- 232 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:11
- 熱のせい、だけじゃない。
あたしにこれほどまでにすがってくるたんが見せている、
人前じゃ滅多に見せない涙と、きっとずっと隠してた本音。
たぶん、気づいてた。
今までのあたしたちならば気づかないはずがなかった。
それなのに、あたしもたんもどこかで気づかなかったことにしていた。
歌う、という舞台から遠ざかってしまったたんと、
1年ぶりのソロツアーを開くことが出来たあたしは、
どうしてもお互いに気を遣って、共通の話題を避けて会話を進めようとしてしまっていた。
それがお互いにとって一番いいやり方だなんて信じたのは、どうしてだったんだろう?
「…ずっと淋しい思いさせて、…ゴメン」
ぶるぶると首を振りながら、今度は声を上げて泣き始めたたんの髪を、
あたしはそっとそっと撫でることしかできなかった。
- 233 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:11
-
- 234 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:12
- 「…今さら恥ずかしがることでもないでしょーが」
「…それとこれとはちょっと違うじゃん」
何十回一緒にお風呂入ったと思ってんのよ。
着てるものを脱がせて身体を拭いてあげようとしたら、とたんに照れてる。
別にいーじゃん。あんたの裸くらい、あたしは何回だって見てるわけだし。
「…こういう時に人に身体拭いてもらうのとか、チョー恥ずかしいんだって」
「じゃああんた、自分でやったとして背中とかちゃんと拭ける自信あるかい?」
そう言ってやったらさらに困った顔をして、諦めたのかパジャマのボタンを外しだした。
上から順番に全身拭き終わった頃には顔も真っ赤になって、シャツとジャージをすごい速さで着込んで、
あたしから顔を背けるようにして向こう側を向いて、ベッドの中に潜り込んでしまった。
- 235 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:12
- 「…あのさ」
寝てるわけでも寝ようとしてるわけでもないだろう。
あたしは布団に向かって伝言する。
「ろくなもん食べてないんでしょ?
おかゆ作ってあげるから、ちょっとしたら起きておいで」
返事はない。
だけどよく見ていると、布団がもぞもぞ動いている。
あたしはそれを肯定だと受け取って台所に向かう。
そんな動きを思い出しては、なぜか頬が緩んでしまう。
何だかあったかい気持ちになれる。
- 236 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:12
- たんの電話を話半分に受け取っていた割には、あたしはいろんなものを買ってきていた。
レトルトのおかゆ。ご飯パック。たんの部屋にもあったゼリー飲料。
スポーツドリンク。ビタミンたっぷりとかいうのど飴。
せっかくだから、買ってきたレトルトそのままじゃ味気ない。
パック詰めのご飯と卵でたまごがゆにでもしてあげよう。
もうすぐできあがりというタイミングで、たんがキッチンに来た。
「…いい匂い〜」
「そりゃね、あたしの愛じょ…」
とん。
背中に軽い衝撃を受けて、あたしの言葉は止まる。
- 237 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:13
- 「こら、火ぃ使ってるんだから危ないでしょ」
「んー」
返事だけして貼り付いてきた相手は動く気配がない。
今なら、この感覚もわかる。さっきまでのあたしなら突っぱねていただろう。
この人は今、精一杯甘えたいのだ。
ずっとずっと見ないフリをしていた空白を埋めるために。
「…あとでいくらでも甘えさせてあげるから、ね?
ヤケドするからちゃんと座ってな」
「……………うん」
あたしの言葉にしぶしぶと離れ、静かにリビングに戻る。
そしてこたつでちょこんと待っている姿。
ちょっと、いやかなりカワイイかもしれない。あたしは手早く味の仕上げをした。
- 238 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:13
- まるで子犬のように目を輝かせておかゆを待っていたたんは、
必死にふーふーして冷ましながら、ものすごい勢いで完食していた。
「…あんた、どれだけまともに食べてないのよ」
「だって起きるのもだるかったからさぁ…」
「風邪ひいてるって時なのに栄養取らなきゃそりゃ治らないでしょ…」
奇跡的に食べ物があったのは、ヤバそうと思った直前にそれなりに買いだめをしたからだそうだ。
ゼリーばっかり買ったおかげで食べられるぐらいだったというか。
とにかく、だったら一緒に薬も買っておけよと言いたい。だから長引くんだ。
「ほら、これ飲んで、これ貼って、早く寝てなさい」
薬とおでこに貼る冷却シートを手渡して、あたしは洗濯機に向かう。
かなり時間も経っているから洗い終わってはいるだろう。
それが終わると次は洗い物…あたしは主婦か。
- 239 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:13
- 一通りの仕事を片付けて寝室に戻ると、たんは体温計をくわえてボーッとしていた。
「何度?」
「んー、37.6度」
「高いねー」
薬が効いてきているんだろう。
さっきからしきりに目をこすっている。
「眠かったら早く寝ちゃいな?」
「ねー、亜弥ちゃん」
「ん?」
「ありがと」
「へ?」
唐突にお礼なんて言われても。
あぁ、洗濯とか炊事?
「…そうじゃなくて」
- 240 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:14
- たんは顔半分を布団の中に隠して、ぼそぼそっと言った。
「…来てくれて。嬉しかった」
…不意を突いてなんてことを言うの。この子は。
顔が真っ赤になったのがわかる。暑い。いや熱い。
「そりゃぁね、あれだけキツそうな声を聞いたら…心配になるよ」
自分の本能をありがたいと思った。
電話を受けた時、あたしはまだ自分の気持ちを誤魔化していた。
めんどくさいと思った自分に従ってそのままにしていたならば、
あたしはまたしばらくたんに会う機会はなかっただろう。
「…だって、今日リハって言ってたじゃん?
明日はライブでしょ? エルダー」
「あんたねぇ、あたしを誰だと思ってんの? 松浦亜弥だよ?
天下のアイドル・松浦亜弥でぇ〜す」
「…亜弥ちゃん、ちょっともうそれキツいってば」
動きまでサービスしたのに、たんがけらけらと笑う。
ちょっとむかついたけど、まぁいっかとあたしも笑えた。
- 241 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:14
-
- 242 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:14
- 「…亜弥ちゃん」
「ん?」
「ミキ、眠くなってきた」
「うん、ゆっくり寝て早く治しな?」
きっと今、睡魔と戦いながらあたしと話をしているんだと思う。
むにゃむにゃとした声があたしに届く。
だけどもっと言いたいことがありそうで、たんはごろりと寝返りを打って、あたしの顔を見る。
「…ミキが寝て、起きたら、亜弥ちゃんはもういない…?」
捨てられそうな子犬の顔って、こういうことなんだろうか。
目を潤ませて、悲しそうな顔をして、あたしの目を覗き込んでくる。
それは本当に、何かに怯えている様子で。
でも、もうそんな顔はさせたくないんだ。
- 243 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:15
- あたしは少し身をかがめてたんと同じ目線になって、
指先で頬を撫でながら言った。
「…明日ね? ここから行くつもりだから。
だから、たんの近くにいる。
大丈夫、目が覚めたとき、あたしはたんの隣にいるから」
たんは目を閉じて微笑んでひとつ頷くと、そのまま眠りに落ちてしまった。
「…参ったね」
帰る可能性も泊まる可能性も頭にはあったけどさ。
「こんなの見せられたら…、一緒にいなきゃって思うよ」
目尻に浮かんだ涙。
愛おしくてそれに口づけると、たんはまた穏やかに微笑んだようだった。
- 244 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:15
- バカだったね、あたしたち。
遣う必要のない気なんて遣い始めるから、どんどん狂ってくんだ。
あけおめの言葉もまともに交わさずに年を明かして、それで何も思わないなんて。どうかしてる。
きっと今ごろ現場はリハも終わって打ち合わせの最中だろう。
よっちゃんと梨華ちゃんに報告をして、
それから、やっぱり中澤さんにも謝って、あたしは大きく息をつく。
『…まぁ積極的に感心はできんけど、
あんたたちらしくてええんちゃうの?
その代わり、明日は覚悟しときなー』
その言葉に救われる。
理解してくれる仲間がいることが、こんなにも幸せなことだなんて。
穏やかな寝息を立てて夢の中にいるたんの手にそっとキスを落として、
あたしはシャワーを浴びに立ち上がる。
夢の中の彼女を起こさないように。
次に目を覚ましたとき、そこにはあたしがいなければならないのだから。
いくらでも甘えさせてあげると約束したのだから。
- 245 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:16
- ―――静かに眠っているたんの隣に潜り込み、そっと身体を抱き寄せた。
夢の中でわずかに気づいたのか、小さく身をよじる。
どこかで強がっていたあたしにも、いつの間にかぽっかり空いていた隙間。
伝わる熱が、少しずつその隙間に流れ込んでくる。
でも、まだ足りない。足りるはずもない。
忘れかけていた想いに衝動的に動かされ、首筋にそっと口づける。
想いが涙となってあふれ、目を閉じてたんの背中に額をこすりつけた。
大事にしたいという感情が、あたしの身体を釘付けにする。
あたしはそれに抵抗せずに、身体に身体を預け続ける。
熱を持った身体はまだ熱い。
だけど今は、あなたに少しでも触れていたいから―――。
- 246 名前:友達以上、×××。 投稿日:2008/01/24(木) 23:16
- 「…久しぶりに遊びに行こうよ、たん」
デートらしいデートだってしてないじゃない。
だから、とっとと風邪なんて治してよ。
出来なかった話、たくさん話したいんだよ?
一緒にご飯食べよう。一緒にプリクラも撮ろう。
そのあと、カラオケに行こうよ。
大好きなあの声に合わせて歌いたい。
…違う。
大好きなあなたの歌声、早く聴きたいの。
まだ、いくらでも取り戻せるよね?
…あんたが、どんなこと言われようと何だろうと。
あたしとたんは、友達以上―――、恋人同士、なんだから。
[ Fin. ]
- 247 名前:いこっぷ 投稿日:2008/01/24(木) 23:18
- 以上、お待たせしましたあやみきでした。
危うく一カ所矛盾満載の記述をしそうになってましたが、うp直前に気づきました。危なかった。
ところで今、容量が115KBくらいのようです。
あと1本短いのを書くかどうしようか。
次スレなんて立てちゃっていいのかどうか。
まぁ次のお話が思いついたときに考えるとします。
ご感想お待ちしています。
- 248 名前:いこっぷ 投稿日:2008/01/24(木) 23:19
-
流し
- 249 名前:いこっぷ 投稿日:2008/01/24(木) 23:19
-
流し
- 250 名前:名無しam 投稿日:2008/01/25(金) 00:48
- あやみき最高です!
- 251 名前:名無し飼育さん。 投稿日:2008/01/25(金) 01:53
- 泣いた。
二人はこうあってほしいです。
次回更新楽しみにしてます!作者さんのペースで頑張って下さい!!
- 252 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/01/25(金) 06:50
- 泣きました
久々に現実から逃げないいいあやみきでした。
本当に藤本さんには早く歌ってほしいですね
- 253 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/01/25(金) 15:02
- 更新お疲れ様です泣きました。
あやみきのこういうストーリーに本当弱いです。
毎回楽しませてくれてありがとうございます^^
- 254 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/01/27(日) 01:50
- 感動で涙があふれてきました
今のこのつらい現状に負けずに頑張ってるあやみき
この二人はこうであってほしいという希望を完璧にとらえてくれてるすばらしい作品でした
- 255 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/01/29(火) 10:13
- あやみきの強い絆
素晴らしいね
作者さんのあやみきが毎回楽しみ過ぎて仕方ない
- 256 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/01/30(水) 20:06
- ありがとう
今この作品を読めて良かった
なんかちょっと救われた気がした
- 257 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/02/01(金) 16:32
- なんだか感動しました
ありがとうございます
- 258 名前:I 投稿日:2008/03/03(月) 23:32
- だいぶ時間が経過してしまいましたが、あやみき最高です。
作者さまのペースでけっこうですので、
ぜひまた「あやみき」を書いてください。
- 259 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/04(火) 15:35
- 新しい話を思いついたら新しいスレを建てればいいと思います
- 260 名前:いこっぷ 投稿日:2008/03/28(金) 15:47
- あうあうあう( ;´д`)
あと1話書いて締めようと思っていたのに話が出来上がらないまま、
皆様のたくさんのコメントにも返事が出来ずにごめんなさい…orz
いこっぷ、前回の話UP直後から皆様のあたたかい感想に大変感激していました。
まさかまさか自分のこの作品にここまでのレスいただけるとも思っておらず、
こんな話を書けて良かったなぁ、と思ってる次第です。
そうこうしている間に着々と藤本さんの復帰の舞台も整ってきていますし、
きっとまた彼女らしいエピソードもたくさん生まれてくるんじゃないかなぁと思っています。
最後の1話はどのカプにするか決めあぐねていますが、あやみきに始まりあやみきに終わりたいのが本音。
[ 友達以上、×××。]のあとがきなんかは>>197のサイトの中にあったりします。
よろしければぜひ探してみてくださいね。
それではラスト1話を書き上げたらまた登場します! 待っていてください。
- 261 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/07/09(水) 00:47
- 次回の更新も待ってます
- 262 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/06/01(月) 15:56
- 待ってますよ
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