Ballad
1 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/22(木) 21:18

ぐだぐだと短編を書いていきたいと思います。

2 名前:覇王樹 投稿日:2007/02/22(木) 21:30

「まじ、面倒くせー」

携帯電話の画面を見てそう嘆く吉澤に、
後藤は、ははっと苦笑いを返した。

吉澤の言う面倒くさい女というのは、
彼女が1年前に付き合いだした年上の恋人のことで、
名前を藤本美貴という。

2人が出会ったのは、後藤のお陰と言っても過言ではない。

元々藤本は後藤が通うサロンの美容師で、
暇を持て余していた吉澤が後藤に付き添ってそのサロンを訪ねた際に、
吉澤の髪を洗ってくれたのが彼女ってわけだ。
3 名前:覇王樹 投稿日:2007/02/22(木) 21:32

あれから2年。
約1年の友達期間中も、現在進行形の恋人期間中も、
吉澤が藤本の我が儘に振り回されるのは
いつもの光景として後藤の中で定着していた。

ついでに言うなら、吉澤が彼女の我が儘を愚痴るのも、
それを後藤が酒の肴に聞いてあげるのも、
全てがいつも通りだった。

「ミキティ、今日はなんだって?」
「焼き鳥持って逢いに来てーって」
「行ってあげりゃーいいじゃん」

そんなお願い、可愛いものだ。
まったくよしこは女心ってやつをわかってないな、
なんて後藤は考えながらタコワサを摘む。
4 名前:覇王樹 投稿日:2007/02/22(木) 21:39

「バカ、ミキティ今実家帰ってんだよ」
「へ?北海道?」
「うん」

後藤はその昔お土産で貰った白い恋人と、
授業で見たであろう日本地図を思い浮かべた。
日本の首都に位置するこの居酒屋から、
新幹線すら通らないその島に行くには、
優雅な空の旅を楽しむしかなさそうだ。

「行かなかったら怒るかなぁ?」
「そんなん知らないよ」
「うー、ごっちんつめてー」

庶民、ましてや学生が簡単に行き来する距離でも運賃でもないことは明白で、
だからこそ吉澤は途方に暮れていた。
ビールをチビチビと啜る姿には哀愁さえ漂っている。

「ミキティ、いつ帰ってくんの?」
「お盆明けだから明後日かな」

二日ぐらい我慢しろよと思ったが、
如何にも彼女が言いそうな我が儘だと思い
つい笑いが込みあげる。
5 名前:覇王樹 投稿日:2007/02/22(木) 21:42

「まー、手の掛かるヒトだってわかってて、手だしたよしこが悪いよ」

吉澤に同情はするが、過度に吉澤の肩を持つことはしない。
それが後藤の二人に対するスタンスだった。
なぜなら藤本美貴も吉澤と同様後藤の友達だからだ。

目の前のカクテルグラスに口をつけて、
隣で頭を掻いて困り果てている親友の肩を叩く。

「まっ、頑張れ」
「ぅえー、ごっちんめっちゃ他人事じゃん」
「他人事だもん」
「むぅ」

不貞腐れてビールを煽る吉澤を見ながら、
何の脈絡も無く、後藤は1年前のことを思い出していた。

――――――――
6 名前:覇王樹 投稿日:2007/02/22(木) 21:50

中学、高校、とバレー部で、散々女の子達からかっこいいだのと騒がれていた吉澤が
女の人と付き合うのは意外にも初めてだった。
本当は違うのかもしれないが、
少なくとも後藤が吉澤からそんな報告を受けたのは初めてだった。

「もっと、驚かないの?」
「いや、よしこって昔から女の子にもててたし」
「あれは、みんな面白がって騒いでただけじゃん」
「んー」

高校時代、体育館の脇では常に女子高生が陣取り吉澤に黄色い声援を送っていた。
吉澤がその気になれば
ホイホイ付いて行きそうなコもいるような気がしていたのだけど、
本当のことは本人にしかわからないし、
あえて後藤はそれを指摘するようなことはしなかった。
7 名前:覇王樹 投稿日:2007/02/22(木) 21:53

「で、もうヤったの?」
「っ?!ダイレクトだねーごっちん」

勢い良く飲んでいたコーラを吹き出した吉澤は
服の袖で口を拭った。

「汚いなー。まー、やっぱそこが1番興味があるっていうか」
「えー、そこなん?もっと2人の馴れ初めとかさー」
「わかったって。じゃあそれ話して?」

後藤は興味なさげに冷たく尋ねた。
そんなこと全く気にしない吉澤はでれでれとした笑みを浮かべる。
8 名前:覇王樹 投稿日:2007/02/22(木) 21:55

「えーっとね、ノリかな」
「なんだそれ」

自ら聞いてくれと言ったくせに、
吉澤の口から飛び出したのはドラマチックなストーリーや
砂糖を吐き出しそうな甘い言葉からは
随分かけ離れた言葉だった。
後藤は拍子抜けというか、少しムカついて
吉澤の頭を軽く叩いた。

「いてーよ、ごっちん!なんで殴んの?」
「ノリじゃわかんない」

もっと事細かに教えろと促すと、
吉澤は再びにやにやと締まりのない顔に戻った。
9 名前:覇王樹 投稿日:2007/02/22(木) 22:05

「いやー、前からチューとかはしてたのよ」
「ほぉー」

その場面は後藤も何度か見ていた。
なぜなら藤本は酔うと誰彼かまわずキスをせがむのだ。
現に後藤も何回か唇を奪われていた。

「もちろん、最初は酔った勢いとかでね?」
「うん」
「それが、シラフのときも普通にするようになってさ」
「おー」

ここで、話す事を躊躇うように、吉澤がコーラに口を付けた。
10 名前:覇王樹 投稿日:2007/02/22(木) 22:10

「んで、ベットの中で、寝る時にもするようになってね」

確かに、吉澤は以前から頻繁に藤本の家に泊まっていた。
それは、藤本のアパートが大学から近いからであって、
現に後藤も次の日の授業が早い時なんかはよくお世話になっていたから、
まさか2人がそんな事になっていたとは全く予想していなかった。

「まぁ、体を触っちゃったりなんかもして」
「よしこから?」
「うん」

耳をほんのり赤くそめて恥ずかしそうに頷く吉澤に、
後藤は心の中でおまえは中学生男子かよっと突っ込んでいた。
けど、言うとこの先の話を聞けなくなってしまいそうなので、
黙って先を促した。
11 名前:覇王樹 投稿日:2007/02/22(木) 22:17

「上半身をこう色々と…舐めたり…触ったりしててさ」
「うん」
「やっぱ、下の方も触ってみたいなーと思って、ある日手を伸ばしたわけですよ」
「そしたら?」
「手を掴まれまして」
「えー」

そこで止めるか、と今までの話の中で一番驚いた。
後藤の場合、そこまでヤッてしまったら止めるのも面倒臭くて
流れに身を任せてしまうのにと、自分の今までの経験を振り返った。

「美貴、付き合ってない人とはエッチしないんだって言われてさ」
「いや、それ殆どヤってるようなもんじゃん」

何処までがじゃれあいでどこからが性行為になるかなんて、
人それぞれだとは思うが
後藤には藤本の価値観が理解できなかった。

「んー、まぁミキティにはそういう拘りがあったのか、と私は思いー」
「で?」
「じゃあ付き合おうと言いました」

吉澤は小憎らしい程満面の笑みを浮かべながら言い切った。

「は?よしこはヤりたいから付き合ったの?」
「え?えええ?あー、そう、なのかな?」
「女の敵だね」
「えー、あたしも女なんだけど」

――――――――
12 名前:覇王樹 投稿日:2007/02/22(木) 22:27

あの時は何ていい加減なヤツだと思ったけれど、
何だかんだ言って吉澤は藤本をとても大事にしているのを
後藤は知っていた。

野菜しか食べないのに週3日焼き肉だった時も文句一つ言わなかったし、
迎えに来いと言われればどんな寒い日でもバイクを飛ばしていたし、
DVDの返却を頼まれて断ったことはなかった。

だから、2杯目の生ビールを飲み干した後に、
吉澤がウーロン茶を頼んだのも、申し訳なさそうに伏し目がちになるのも、
後藤にとっては全てが予定調和だった。
13 名前:覇王樹 投稿日:2007/02/22(木) 22:34

「ほんと、ごめん!」

両手を合わせて謝罪の言葉を述べる吉澤に、
怒っていない意思を伝えるべく
後藤は笑顔を向けた。

「まーいいよ。そのかわり、ここ、よしこの奢りねー」
「もちろん」

早速呼び出しボタンを押すと、
吉澤はジーパンのポケットをごそごそと探り始める。

そういえば、昔からよしこは財布を持つの嫌いだったなぁ

14 名前:覇王樹 投稿日:2007/02/22(木) 22:38

しかし、意外にもポケットから出て来たのは、
くしゃくしゃのお札でも、
擦り切れたクレジットカードでもなかった。

「あー、それいいなー」

吉澤が取り出したシルバーのマネークリップを指差す。
ブランドのロゴがあしらわれたシンプルなデザインが
何故だかひどく吉澤らしいと思った。

「これ?」
「うん」
「かっけー?」
「うん。」
「ミキティに貰ったんだー」

でれでれとした笑みを浮かべる親友に対して、
少し本気で可愛いと思ってしまった自分に
後藤はひどく驚いていた。

ここ最近はめっきり姿を潜めていたから、
とっくに無くなってしまった感情だと思っていたからだ。
15 名前:覇王樹 投稿日:2007/02/22(木) 22:59

それは恋や愛なんかの甘酸っぱいモノでは決してない。
ただ飼い主が犬を可愛がるように
吉澤の頭をくしゃくしゃと撫でたい衝動に駆られるだけだ。


まぁ随分変な感情を親友に持ってしまったと思うが、
別に首輪をつけて監禁しようってわけでもないから、
まだ自分は正常だと言い切る自信があった。

「てか、ごっちん気付くのおそいよ。これ4ヶ月前から使ってんのに」

そんな葛藤など露知らず、犬はへらへらと話を続ける。

「えー、そーだっけ」

生返事を返しながら、
後藤はぼんやりと、そういえば藤本も犬好きだって言ってたなぁ
と昔々の会話を思い出していた。
16 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/22(木) 23:03

おしまいです。

特にオチはありません。

ごめんなさい。

次こそ頑張ります。
17 名前:名無し飼育さん 投稿日:2007/02/23(金) 00:24
更新お疲れ様です。
なんだか文の流れがとてもよかったです。
次回もまったり待っています。
18 名前:名無し飼育さん 投稿日:2007/02/23(金) 03:47
非常に好きな組み合わせです。
テンポいいですね。
19 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/23(金) 20:30
もっともっと読ませて下さい
20 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/20(木) 13:06
新しい話を書きたいと思います。
少し男の陰が出てきたりするので、
苦手な人はスルーして下さい
21 名前:1.若者は夢をみる 投稿日:2007/09/20(木) 13:09

幼なじみと一緒に登下校。
そう聞くと、相手は大抵、羨望の眼差しを向ける。
それはあたしの幼なじみが
人並みはずれた美貌をもっているという理由だけでなく、
日本人というのは、そういう定番ともいうべき設定が好きなのだろう。

「よっちゃーん、はやくー」

しかし現実というものは、どこぞの青春漫画のように甘酸っぱいものではない。
あたしの幼なじみは女で、
その上、とても、を頭に100回ぐらい繰り返しつけるぐらいの性悪だ。
現に彼女は、今日も我が物顔であたしの自転車の荷台に乗っている。
22 名前:?P?D?a´?O`?I´−2?<eth>?Y´?e´ 投稿日:2007/09/20(木) 13:10

「おーそーいー!遅刻しちゃうじゃん」
「美貴が準備遅いせいだろー」
「うっさい。早く漕げ」
「へーい」

こんな理不尽なやり取りは、それこそ日常茶飯事で、
叩かれなかっただけマシだった。
もう高校2年生になったっていうのに、
毎朝自転車の二人乗りで汗だくになってる女は、この学校であたしぐらいだろう。
彼氏ができないのも、男にもてないのも、そのせいに違いない。

23 名前:1.若者は夢をみる 投稿日:2007/09/20(木) 13:11

あたしと美貴の出会いは16年前、つまり生後数ヶ月の頃だ。
母親同士が仲が良かったらしい。
美貴はその頃から可愛かった。覚えているわけがないけど、そのはずだ。

彼女は末っ子という家庭環境の所為で、
小さい頃から甘やかされまくって育てられていた。
それはもう、どこかの国のお姫様のように。
美貴いわく、それはただの手抜き育児らしいけど、
それでもあたしには羨ましかった。

あたしときたら、不運にも3人兄弟の長女で、
生温い教育を傍目で見ながらも、
両親から気合いの入った躾を受けた。
我慢する事も、面倒みることも、あたしにとっては当たり前で、
気がついた時には、従順な奴隷が出来上がっていた。

年が経ち、お姫様から女王様に成長した美貴は、
相も変わらず横暴で、傲慢だ。
24 名前:1.若者は夢をみる 投稿日:2007/09/20(木) 13:13

通学路を3分の2まで進んだ交差点で、信号機が赤に変わった。

「あーまじ疲れた…もう無理」

足を地面に着くと同時に弱音が漏れる。

「根性ないなぁ。そんなんじゃ甲子園行けないよ?」
「バレー部は甲子園行かねーもん」
「細かいなー、よっちゃんのくせに」
「てか今日は学校諦めね?」
「やだよ。亜弥ちゃんに怒られる」
25 名前:1.若者は夢をみる 投稿日:2007/09/20(木) 13:14


亜弥ちゃんの顔を思い浮かべる。
美貴の親友、松浦亜弥。
何故か美貴は昔から、松浦の言いつけはよく守るのだ。
その関係はあたしにはよく理解できないけれど、
美貴にとって、松浦というのは何よりも信頼できるものなのかもしれない。

中学の頃、美貴の周りには、品行旺盛という言葉からはかけ離れた、
ろくに授業もでないような友人が集まっていた。
反面、松浦は先生からも好かれる、学校のアイドル。
松浦と出会っていなければ、
美貴が人の道を踏み外していたであろうことは、想像に難くない。
26 名前:1.若者は夢をみる 投稿日:2007/09/20(木) 13:15

「まつーらには、うちがちゃんと言っといてやるから」

彼女の許可さえ下りれば、美貴は納得するだろう。
そもそもがこいつは学校大好きって性分でもないし。

「よっちゃん、亜弥ちゃんの携帯知ってんの?」
「知ってる知ってる。あれでしょ?アヤヤハイフンみたいな」
「それ随分前のアドレスだね」
「ええ?!またアドレス変えたの?」

連絡網はちゃんと回してほしい。

「亜弥ちゃん、アドレス変えても、いっつもよっちゃんに教えないじゃん」
「嫌われてんのかな?」
「たぶんね」

美貴はまるで興味が無さそうに答えた。
あたしと松浦の唯一の接点の癖に呑気なもんだ。
理由がわからないが、松浦は昔からあたしのコトが嫌いだ。
あたしが一体何をしたっていうのだろう。
27 名前:1.若者は夢をみる 投稿日:2007/09/20(木) 13:17

「よっちゃんが男だったらいいのにな」

短く切ったあたしの髪の毛をぐしゃぐしゃと弄びながら、美貴は唐突に嘆いた。
脈絡の無い会話はいつものことだ。
美貴は基本的に人の話を聞かない。

「何?また彼氏と別れたん?」
「うん」
「そっかー。ドンマイ」
「なにそれ。全然興味なさそう」
「ないもん」

この女、恋人関係が3ヶ月以上続いた試しがない。
最短でいうと3日で別れたなんてコトもあった。
しかも毎回、決別は美貴の残念な性格に男が根を上げる、
ワンパターンな展開なもんで、
聞いてる方が先に飽きてしまう。
28 名前:1.若者は夢をみる 投稿日:2007/09/20(木) 13:18

「べつにいいし。亜弥ちゃんに慰めてもらうもんねー」

美貴が彼氏と長続きしない理由を
一晩中かけてでも説明してやりたいところだけど、
あたしが逆に怒られるから、試した事はない。
というか、美貴はきっとそんなものに聞く耳をもたない。

「まあ、直ぐ新しいのできるよ」

生暖かい風が耳の周りを通り過ぎた。
通学路の筈のこの道に、
あたし達の高校の生徒は見当たらない。
間違いなく、遅刻だ。
29 名前:2.好き嫌いはいけません 投稿日:2007/09/20(木) 13:19

こういうと、ありふれた漫画みたいで嫌なんだけど、
幼なじみの好みは大体わかる。
それは昔から一緒にいるからで、
人の好き嫌いなんて、歳を重ねても変わらないことの方が多いからだ。
  
葱。グリンピース。あんこ。石川。人混み。

これは嫌いなもの

肉。犬。松浦。

美貴の場合、好きなものは嫌いなものよりわかりやすい
30 名前:2.好き嫌いはいけません 投稿日:2007/09/20(木) 13:20

「よっちゃーん、焼きそばパン買って来てー」

3時間目の終わりのチャイムと、
頭をがしがしと掻き回されたのは、どっちが先だっただろうか。
机に突っ伏したまま顔をあげると、
見慣れた女王様がいた。
寝惚けた頭で考える。焼きそばパンってなんだっけ。

「弁当は?」
「おかーさん作ってくんなかった」

最近育児放棄が甚だしい美貴の家では、
弁当の代わりに現金が支給されるようになったらしい。
そしてそのとばっちりは全てあたしの所へ。
31 名前:2.好き嫌いはいけません 投稿日:2007/09/20(木) 13:22

「自分で行けよ」
「混んでるからヤダ」
「あたし眠い」
「じゃあ起きろ」

言い終わると同時に、美貴はあたしの頬を抓りあげた。
声に鳴らない悲鳴が口から漏れる。
涙目になったあたしを確認して、
美貴は勝ち誇ったように頬を離した。

「てゆうか、他にもっと頼めるやついんだろー」

昔から美貴はモテる。
幼稚園の時は、ひつじ組の男のコ全員に結婚を申し込まれていた。
小学校の時は、クラスの男子の殆どが、美貴の隣の席を狙っていた。
中学校の時は、すれ違うだけで男達が色めきだっていた。
だからワザワザ他のクラスのあたしんとこ来なくても、
喜んで購買に走る男は、この学校に腐るほどいる。はずだ。

32 名前:2.好き嫌いはいけません 投稿日:2007/09/20(木) 13:23

「亜弥ちゃんが、そういうのしたら怒るんだもん」
「あたしのことパシってもあややは怒るだろ」
「怒んないよ。亜弥ちゃん、よっちゃんのコト嫌いだもん」
「…う」

誰にでも優しい明るいイイ子のあややは、
どうしてかあたしに冷たい。
美貴があたしのコトを酷く悪く伝えているんだろうと思ってたんだけど、
美貴にも心当たりが無いという。
だけど、きっと美貴のせいに違いない。

「実はあれって好きの裏返しだったりしないの?」
「しないね」
「だよねー」
「じゃ、行ってらっしゃい」

満面の笑顔に見送られて、教室から購買への道を急いだ。
手を振る美貴はやっぱり可愛かったけど、
100円では焼きそばパンは買えないだろう。
33 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/20(木) 13:24
すいません!区切り入れるの忘れてました。
>>29から2話になります。

続きます
34 名前:3.女子は占いが好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:26

幼なじみってやつと、
高校生にもなって一緒にいるってのは、
結構珍しい事らしい。

例えば今日も、あたしは部活帰りに、バイト終わりの美貴を迎えに行かなくてはいけない。
ちなみにそれが、学校から家までの帰り道としては、
かなりの遠回りであることは毎回言っているのだが、
当然全く聞く耳を持ってくれない。
35 名前:3.女子は占いが好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:27

「はい」

自転車を漕ぐ足を緩めずに、
薄い長方形の箱を、肩越しに美貴に渡した。

「なにこれ?」
「携帯」
「みりゃわかるよ」

美貴は荷台に跨がりながら、
興味無さそうに液晶画面を眺めた。
あたしの携帯には、精一杯のキメ顔をした男の映像が、銘一杯に映し出されている。

36 名前:3.女子は占いが好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:28

「どーよ?」

あたしの男友達がよく言う台詞がある。
「おまえの友達ってカワイイ子多いよな」
その後には大抵、そのコを紹介してほしいだとかいう
希望が添えられる。
優しいあたしは、その都度こうして斡旋業を営んでいるわけだ。

「んー、やだ」

美貴の声は酷くつまらなそうだった。
これでは一緒にカラオケなんて展開には持ち込めそうにもない。
ごめん、お前魅力ないって。心の中で男友達に謝った。
37 名前:3.女子は占いが好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:30

「美貴ってさ、どんな男がいいの?」

今後の参考の為に聞いておこう。

「言う事きいてくれそうな人」
「そりゃーあたしだ」
「あーそうだね」
「付き合う?」
「ばーか」

頭を強く叩かれた。
力加減の下手なヤツだ。

「いってー」

叩かれた頭を摩りながら、
文句を言おうと後ろを振り返る。

38 名前:3.女子は占いが好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:31

「ちょ、よっちゃん!前!」

美貴の声に反応して、
前に向き直した。
眼前には、よく事故の再現ビデオで使われるシーン。
転がったボールを追いかけて子供が
脇道から飛び出してくる。
その光景が今まさにあたしの目の前に広がっている。

「ぉおう」

急ハンドルを切って、間一髪子供を避けた。
さすがあたし。スポーツ万能。
ただ一つの問題点といえば、
この自転車が致命的にバランスを崩していることだ。

39 名前:3.女子は占いが好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:32

「っぁあー」

ハンドルを持つ手がグラつく。
それに連動して、あたし達を乗せた自転車も右に左に蛇行する。
傾いていく車体を止めることは出来そうもない。
追い打ちをかけるように、突然自転車が軽くなった。

「うわー!!」

間抜けな叫び声と共にあたしは自転車の下敷きに。
左足がアスファルトと車輪の間に挟まっている。
紺のハイソックスの上、擦りむいた膝から血が流れている。
少しブルーになっているあたしを他所に、
けたけたと笑う聞き慣れた声が聞こえた。

40 名前:3.女子は占いが好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:32


「よっちゃん、まじうけんだけどー」

美貴は一人安全を確保し、しゃがみ込んで、
自転車に潰されているあたしを見て大笑い。

美貴に前世があったとすれば、
きっと悪魔に違いない。
パンツも黒だし。
41 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/20(木) 13:33



――――――――――――――
42 名前:4.女子は恋の話も好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:35



あたしは美貴を恋愛対象として見た事は、今まで一度たりともない。



43 名前:4.女子は恋の話も好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:36

「またまたぁー」

そう言って、
前の席から後ろを向くクラスメイト、里田まいは、
にやにやと笑った。

「いや、まじで。あいつのどこがいいの?」
「顔じゃん?」
「あたし、小っさい時から見てるから慣れたよ」

なぜかいまだに睨まれるとビビるけど。
それよりも、彼女は大前提を忘れている。

「てゆうか、あたし女なんですけど」
「まー、そこはよっすぃーだし」

あっけらかんとした物言いに、一瞬言葉に詰まる。

44 名前:4.女子は恋の話も好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:40

「カワイイ子大好きでしょ?」
「ん、まぁ。」

そこは否定できない。

「けど、まいだってカワイイ子好きだろ」
「あたしと違ってよっすぃーモテんじゃん、女の子に」

反論できずに言葉に詰まった。
要するに、需要と供給。

「女子校でもないのにさー、女子からめっちゃキャーキャー言われてるし」

心当たりが無くもない。
実際、男子達から何度か恨み辛みを聞かされたこともある。
バレンタインデーなんか特に。

45 名前:4.女子は恋の話も好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:41


「正直、何人か食ったしょ?」
「いやいやいや」
「まず3年の飯田さんでしょー。1年の岡田と道重と、あと教育実習に来てた…」
「すいませんでした」

まいは勝ち誇ったように、にんまりと笑った。
どこからそんな情報が漏れたのか、あたしには検討もつかなかった。
しかし、とかく女という生き物は噂話が好きなので、
驚く事でもないかもしれない。
46 名前:4.女子は恋の話も好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:42


「ぶっちゃけ美貴ともヤッたんでしょ?」
「それはない!!」

首と手をブンブン横に振って、全身で否定する。
これはあたしの名誉にかかわる問題だ。

「うっそぉ」
「ホントだって」
「みんな言ってるよ。二人、怪しいって」

みんなって誰だよ、と口走りそうになったけれど、
さっきのように個人名を羅列されたら、
今後の人間関係に支障がでそうなので止めておいた。
とりあえず、誤解だよ、とだけ伝える。

47 名前:4.女子は恋の話も好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:46


「えー、じゃあもし裸の美貴がよっすぃのベットで寝てたっけどうする?」
「はぁ?」

随分頭の悪い質問だ。
現にまいは頭が悪かったけど、これはないだろうと思う。
美貴があたしの部屋で裸になっているとすれば、
それはあたしの部屋をラブホ代わりに使ったってことだ。

「ハブ ア ナイス セックス!」
「なにそれ?」
「よいセックスを」
「は?」
「避妊しっかり!の方がいいかな?」
「いや。意味分かんないよ。そうじゃなくさ、襲うとか、色々あんじゃん」

まいはどうしてもあたしと美貴にセックスして欲しいらしい。

48 名前:4.女子は恋の話も好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:48


「あたし、おっぱいはおっきい方が…」
「そっか」

おっぱいの一言で、まいは先程までの主張を一転、
いとも簡単に納得した。
美貴の貧乳は偉大だ。

「じゃああややとかどうよ?」

美貴の貧乳と同様、巨乳とあややも頭の中でイコールで結ばれているらしい。

「松浦に嫌われてんの知ってるくせに」
「うん。ああ、いい気味だ。
 かわいい女の子が全部よっすぃにいくと思ったら大間違いだかんね」
「まい、あたしの事嫌い?」
「好きだよ?」

まいは満面の笑みをあたしに向けた。
女とは恐ろしい生き物だ。
49 名前:4.女子は恋の話も好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:49


「てかさ、素朴な疑問なんだけど」

長年抱え続けた大いなる謎。

「ん?」
「美貴ってそんな人気あんの?」
「あるよ」

まいはしれっと言い放った。
さも当然とばかりに。

「なんで?」
「だから顔だって」

そんなにいいか?あの顔。
正直、まいだって綺麗な顔してるし、
他にも可愛いコたくさんいると思うんだけど、
別にそんなにもてない。
世の中とは不思議なものだ。


50 名前:4.女子は恋の話も好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:50


「まー、美貴の場合はあの目つきの恐さと、
 笑顔の可愛さのギャップじゃん?」

不服そうなあたしを察したのか、まいが解説を付け加えた。

「あ、それうちの弟も言ってた!」
「でしょ?男子はそれにコロっといっちゃうんだよ」

つまりは、あたしに見せる冷たい態度と、
あややに見せる甘えた笑顔の対比が
世の男共を虜にしちゃってるわけか。
それって損してんのあたしだけじゃん!

「納得いかないなぁ」
「まー、よっすぃも一応女子だからね」
「一応かよ」
「ともかく美貴は
 あややと合わせて、いまやうちの高校の2topなんだって」

51 名前:4.女子は恋の話も好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:51

「いや、サッカーじゃないんだから」

聞き慣れた鼻声が背後から聞こえた。

「美貴!」

美貴は、「よっ」と軽快にあたしの頭に手刀を落とすと、
まいに愛想よく目で挨拶した。

「よっちゃん、今から彼氏んチ行くから送ってー」
「あー新しいヤツ?」
「うん」

一昨日、美貴に新しい彼氏ができた。
話を聞いたのは昨日の朝で、
美貴は大して嬉しくも無さそうにその話をした。
今度は長続きするといいなとか、
差し障りの無い言葉を返した記憶がある。


52 名前:4.女子は恋の話も好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:52


「これから5時間目始まるよ」
「どうせ寝るだけなんだからいいじゃん」

美貴は、人にモノを頼む態度とは思えない目つきで、あたしを睨む。
普段のあたしならここで折れていた。
むしろここで美貴を甘やかしていたから、
まい、ひいては全校生徒の皆さんに誤解が生じたのだ。

「ヤダ。疲れてんもん」
「なに、今日反抗的だね」
「あたしは生まれ変わったのさ」
「あっそ。どうでもいいから送ってよ」

そう、あたしは忘れていた。
こいつは人の話を聞かない自己中女だってことを。

53 名前:4.女子は恋の話も好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:55

「いーやーだー」

駄々をこねるあたしに、美貴の冷たい目線が注がれる。
怖じ気づいちゃいけない。
断固拒否の姿勢だ。

「わかった。ちゅうしてやっから」
「はぁ?」

瞬間、頬に生温い感触が落ちてきた。
それが唇だと理解するのに、少しの時間が流れた。

「前払いね。さぁ送れ」

無茶苦茶だ。
ちくしょう、やられた。

54 名前:4.女子は恋の話も好きだ 投稿日:2007/09/20(木) 13:56


「行くよ!」

美貴に腕を引っ張られて
あたしの身体は引きずられていく。
振り返ると、まいが苦笑いしながら手を振っていた。

頼む、助けてくれ。

口をパクパク動かして、必死に伝えた。

無理

まいの口が動くのを確認した。
友情とは、脆く儚いものだ。

55 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/20(木) 14:06



――――――――――――――
56 名前:5.恋のきっかけは、大抵がくだらない出来事だ 投稿日:2007/09/20(木) 14:07


「よっすぃ!!!」

息を切らして柴ちゃんが走り込んで来た時、
あたしは好物のベーグルサンドを半分まで食べ終えた所だった。
必死そうな彼女は珍しい。
いつもはとても穏やかな人だったはずだ。

「おー、なひたー?」
「美貴が喧嘩してる!!」

有無を言わさず、制服を引っ張られた。
なんで、あたし?そう思ったけど、口には出さなかった。
というか、ベーグルを詰め込みすぎて、喋れなかった。

57 名前:5.恋のきっかけは、大抵がくだらない出来事だ 投稿日:2007/09/20(木) 14:09


あたし達が教室の中に滑り込んだ時、
隣のクラスでは、とても平穏な空気が流れていた。
ガラスも割れていなけりゃ、机も壊れていない。
血に塗れた怪我人もいないし、
返り血を浴びた美貴の姿も全く見あたらない。

「いないじゃん」
「あれー?どこいったんだろ?」

柴ちゃんは焦ったように、教室を見回した。

「まつーらは?」
「今日休み」
「え、なんで?」
「知らない」

そもそも松浦がいれば、喧嘩なんて事態は起こらなかっただろうから
彼女の不在は当然といえば、当然だ。
中学時代、美貴が問題を起こすのは、
決まって松浦が一緒にいないときだった。

58 名前:5.恋のきっかけは、大抵がくだらない出来事だ 投稿日:2007/09/20(木) 14:10

「で、美貴は誰と喧嘩してんのさ?」
「あーよっすぃー!」

質問の声を遮るように、ハスキーな声で呼ばれた。
3人の女子高生。
金髪やら巻き髪に短いスカート。
濃い化粧にくずした制服。
記憶の中を探り出す。
確か美貴と一緒に、何回かカラオケに行った人達だ。

「よっ!ねーねー美貴どこいったか知ってる?」
「あー、なんかイシカワにいじめられてるよ」

ギャル達はゲラゲラと下品に笑った。
みんな、それ逆じゃん?とか
いじめられる美貴とかちょーうけんだけど、なんて口にしている。
あたしも概ね同意だ。

「で、どこいったの、2人?」
「あー、あそこじゃん?プレハブの教室」

ありがちだよねーなんて言う彼女達を横目に、
ありがとーじゃーねー、なんて軽く言い残して、
柴ちゃんと2人、教室をでた。

59 名前:5.恋のきっかけは、大抵がくだらない出来事だ 投稿日:2007/09/20(木) 14:11


「ちょっと、柴ちゃん」
「ん?」

早足で歩きながら、柴ちゃんは引きつった笑みを浮かべた。

「梨華ちゃんは、キミの係だろう」
「美貴はアナタの係でしょう」

畜生、なんであやや休んでんだよ
彼女の天性の運を尊敬する。

「こーゆうのは事前に何とかしよーよ」
「いや、止めたんだけどね」
「だけど?」
「梨華ちゃん、後輩から相談されたらしくてさ」
「あー、梨華ちゃんが喜ぶパターンだね」

梨華ちゃんを構成する要素の大半は、
必要以上の責任感でできている。
別に悪いヤツじゃないんだ。
ただしつこいだけで。

60 名前:5.恋のきっかけは、大抵がくだらない出来事だ 投稿日:2007/09/20(木) 14:12


前にも同じような事があった。
あのときの被害者はあたしだったけど、
あたしと違って短気な美貴は、梨華ちゃんに絶対キレるだろう。
凄惨な光景が目に浮かぶ。

「で?何で美貴は怒られてるの?」
「なんか、美貴が教室から捨てた煙草が、後輩のコに当たったみたいで、
そのコ手の甲に火傷したんだって」

まじかよ。

61 名前:5.恋のきっかけは、大抵がくだらない出来事だ 投稿日:2007/09/20(木) 14:13



教室のある本校舎に隣接された、通称プレハブ教室は、
3年前に無計画にも生徒をたくさん入れすぎた我が校が、
教室不足を解消するため、急遽建てたモノだ。
生徒数はその後例年通りに戻った為、
3年前の生徒達が卒業した今、プレハブ教室は
授業で使わないのをいいことに、生徒達の無法地帯と化している。

「うっさい!うざい!キモイ!」

扉をあけたとたん、
聞き慣れた美貴の声が耳に届いた。
と、同時にがらんごろんと空の机が転がる。
蹴り上げた張本人である美貴は、不機嫌を顔に貼付けていた。

62 名前:5.恋のきっかけは、大抵がくだらない出来事だ 投稿日:2007/09/20(木) 14:14

「ちょっと、よっすぃ、とめて」
「あぁ」

すっかり役目を忘れてた。
こそこそと二人の間に割って入る。
当たり前だけど、空気は緊迫していた。
とても居心地が悪い。

「まぁまぁ、2人共落ち着いて」
「よっすぃは黙ってて」
「だってさ。まだ美貴に話あるみたいよ?」

挑発するように美貴が言い放った。
あぁ、目が座っちゃってるよ。
長年の経験から言おう、これは危険だと。

63 名前:5.恋のきっかけは、大抵がくだらない出来事だ 投稿日:2007/09/20(木) 14:16


「なんでごめんの一言が言えないの?」
「言う理由がない」
「美貴ちゃんは人に火傷させといて謝りもしないわけ」
「だから美貴じゃないってば」
「嘘つき」
「は?」

睨み合う両者。出来れば関わりたくないな。
ほら、美貴の手、グーになってるし。
梨華ちゃんも怒らすと面倒くさいんだよなー。
どっちか折れて仲直りしないかなー
到底有り得なさそうな妄想を浮かべた。

「よっすぃ!ぼけーっとしてないで、何とかしようよー」
「あぁごめん」

64 名前:5.恋のきっかけは、大抵がくだらない出来事だ 投稿日:2007/09/20(木) 14:17


すぅっと息を吸い込む。

「ちょっと待って」

できるだけ、真面目な声で言った。
内心、美貴に「ちょっとって、どれくらい?」
と聞かれるのではないかとビクビクしていたけど、
そんなことも起こらなかった。

「梨華ちゃん、その後輩のコは煙草が当たったんだよね?」
「うん。そう言ってたけど」
「じゃあそれ美貴じゃないよ」

梨華ちゃんは怪訝そうな顔を浮かべた。
まるで敵を見るような、そんな眼。
「よっちゃんはミキティの味方するのね」
なんて思っているんだろう。全くもって心外だ。
あぁ、あたしは日々平穏に生きていきたいのに。

65 名前:5.恋のきっかけは、大抵がくだらない出来事だ 投稿日:2007/09/20(木) 14:18


「美貴は煙草を吸わない」

梨華ちゃんは、はぁ?っと一瞬顔を歪ませ、
記憶を巡るように遠くを見た。
彼女は見た事がないはずだ。美貴の喫煙姿。
彼女は知らない筈だ。美貴が吸う煙草の銘柄も、使っているライターのデザインも。
だってそんなモノ存在しないんだから。

美貴の煙草が嫌いは昔からで、
家族でさえも美貴の前では煙草を吸わない。
ちなみに中学の頃の口癖が、
「おまえ、その煙が美貴の肺に入ったら殺すからな?」だ。
それを不良少女を絵に描いたような風貌で言っていたのだから笑える。
この言葉は、友達にだけでなく、
親子、兄弟、先輩後輩、はては赤の他人にまで使われていて、
最後に関しては、もはや只のカツアゲだった。

だからたとえ美貴が、教室からロケット花火を、
人に(特にあたしに)向かって打つことがあったとしても、
吸い殻を落とす事なんて、絶対にありえない。

66 名前:5.恋のきっかけは、大抵がくだらない出来事だ 投稿日:2007/09/20(木) 14:19

「そんなの、よっちゃんが見てないところで吸ってるかもしれないじゃん」

梨華ちゃんは不貞腐れたように言った。
諦めが悪いところも、彼女の愛すべき特徴のひとつだ。

「あたし鼻いーからわかるもん」
「よっちゃんも煙草吸わないんだっけ」
「うん。だから、吸ってるやつは一発でわかるね」

といってもこの学校、偏差値に反比例して、
喫煙率の高さは市内最大ではないだろうか。
そういうアイテムでカッコつけたがる年頃なのだから仕様が無い。
梨華ちゃんの犯人探しは困難を極めるであろう。
しかし彼女は決して諦めない筈だ。
梨華ちゃん、しつこいから。
心より同情します、犯人さん。

67 名前:5.恋のきっかけは、大抵がくだらない出来事だ 投稿日:2007/09/20(木) 14:20



「ごめんなさい」

梨華ちゃんは美貴に向き直り、深々と頭を下げた。
美貴は照れくさいのか、頭をポリポリ掻きながら「もういいよ」と、呟いた。
多分、美貴が梨華ちゃんを苦手だと言っていたのは、
こういう真っすぐなところなんだろう。
梨華ちゃんは何度も謝って、予鈴の少し前に教室から柴ちゃんと一緒に出て行った。
少し開いた窓から、涼しい風が入って来る。
もう夏は終わった。

68 名前:5.恋のきっかけは、大抵がくだらない出来事だ 投稿日:2007/09/20(木) 14:22

「このウソツキが」

並んで机に腰掛けたまま美貴が言い捨てた。
あたしは悪戯が成功したガキンチョの気分で、美貴に笑いかけた。

「よっちゃん、煙草吸うじゃん」

その通り。
あたしのスカートのポケットには、
セブンスターと愛用のヴィヴィアンのライターが入っている。

「まぁ嘘も方便ってことで」
「ばーか」

いつもの調子で美貴があたしの頭を叩いた。

69 名前:5.恋のきっかけは、大抵がくだらない出来事だ 投稿日:2007/09/20(木) 14:23


「美貴が吸わないのはホントだからいいじゃん」
「なんであんなどーでもいい嘘つくかなー」
「あの場面で煙草吸うのバレたら、ぜってー梨華ちゃんしつけーもん」
「まぁ、たしかに」

二人で執念深く食い下がってくる梨華ちゃんを想像して笑った。
ちなみに名誉の為に言っておくが、
犯人はあたしではない。
あたしはポイ捨て反対派だし、歩き煙草もしないし、女の子も大好きだ。
ちなみにこの事件は次の日あっさり解決してしまうんだけど、
それはまぁここでは語らないでおく。


「まぁ、とりあえずありがと」


そう言って、美貴はにこっと笑った。


そんなありふれた微笑み1つで、あたしはあっけなく恋に落ちた。

70 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/20(木) 14:26

ごめんなさい。ミスりました。
>>66、よっちゃん→よっすぃーに脳内変換しといて下さい。

お話的には、この後もたぶん続きます。

71 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/22(土) 11:38
面白いです。
続き楽しみに待ってます。
72 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/23(日) 13:09
このシチュエーション好き!
73 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/03(月) 03:17
続きが気になりすぎます
更新お待ちしてます
74 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/02(日) 00:42
まだまだ待ってます!
生存報告だけでも…
75 名前:6. 相談しようそうしよう 投稿日:2008/08/22(金) 18:51


あたしが漫画から得た知識によると、
恋とは、思考が占領され、胸が高鳴ったりすることらしい。

美貴と一緒にいると胸がドキドキして
一緒にいないときまで美貴のコトを考えているあたしは
やっぱり彼女に恋をしているみたいだ。

76 名前:6.相談しようそうしよう 投稿日:2008/08/22(金) 18:53

「で?そんなことで好きになったと?」

あたしが恋を自覚した経緯を聞かせると、
ごっちんは驚きも好奇心も感じられない、
低いテンションで応えた。
恋の話をする時は、女の子はもっとウキウキとはしゃぐべきであろう。

「まーそうなんだけど」

吐き出した白い煙は、あたしの気持ちと同じように
部屋の中をもやもやと漂った。
寄りかかったベットの端がキシキシと音をたてる。

「今時、笑顔にヤラレタなんて、少女漫画でも言わないって」

最近の少女漫画は過激だっていうからな。
あたしのような純愛はもう流行らないのか。

77 名前:6.& ◆iDix3eBVp2 投稿日:2008/08/22(金) 18:54

「ひとめぼれなんだよねー」
「いや、そういうのひとめぼれって言わないから」
「そうなの?!」
「うん。たぶん」

久しぶりに来たごっちんの部屋は、
あまり片付いてはいないけれど、
何でだか落ち着く。

「どうすればいいかなー」
「なにが?」
「美貴と」

今更何をどうしたら美貴との距離を縮められるのか、
全く見当がつかない。

自分であれこれ考えても何も浮かばなかったから、
ごっちんに相談しているわけだけど。
バレーと同じように、あたしには優秀な指導者が必要だ。

78 名前:6.相談しようそうしよう 投稿日:2008/08/22(金) 18:55

「とりあえずさ、よしこはミキティとどうなりたいわけ?」
「どうって…」

一緒にいたい。
けどそれはきっと、友達のままでも一緒にいることはできるだろう。
なら、あたしのこの感情はなんなんだ。

「おーい」

煮詰まるあたしの頭を、椅子に座ったごっちんがぐしゃぐしゃと撫でた。

「わかんねぇ」

あたしがそう言うと、ごっちんは困ったように笑った。
出来の悪い生徒を持つとコーチは大変だ。

79 名前:6.& ◆iDix3eBVp2 投稿日:2008/08/22(金) 18:56

「灰落ちるよ?」
「おぉ」

慌ててテーブルの上の灰皿で煙草を揉み消した。
ごっちんが鳴らす椅子の背もたれの軋む音が、
きいきいと部屋に響く。

「ミキティって今彼氏いんの?」
「いる」
「それについて、よしこはどう思う訳?」
「んー…」

そもそも、あたしは今まで美貴の彼氏の存在を、
美貴か他の第三者から聞く事でしか知らない。
自分の眼で認識していないそれは、
酷く曖昧なイメージだ。

80 名前:6. 相談しようそうしよう 投稿日:2008/08/22(金) 18:58

「実感があんまないかな」
「ふーん」
「普通は嫌なもんなんだよね?」
「まぁ、人によると思うけど。大半の人は嫌なんじゃないかな」

あたしはその大半に入らないのだろうか。
それとも、いざ美貴と彼氏と一緒にいる姿を目の当たりにしたら、
慌てふためいてしまうのだろうか。
嫉妬に狂うのだろうか。
なんだか想像がつかない。

「あたしは嫌だったけど」

ごっちんはそう言って、口の端をあげた。

「へ?」
「付き合ってた時、よしこが他の人のことみてたら嫌だったよ?」

あがった語尾と一緒に、ごっちんは首を傾けた。
瞳にかかった長めの前髪が何だか色っぽくて、
少しドキドキした。

81 名前:6.& ◆8ZICgnkFTQ 投稿日:2008/08/22(金) 18:59

「あー、え?あたし浮気とかしてたっけ?」
「いや」

ごっちんは椅子から立ち上がると、
ゆっくりとこっちに足を進めた。
6畳程度のこの部屋は、歩けば何かにすぐ突き当たる。
ごっちんはあたしの両肩に手を置くと、
あぐらをかいている足の上に腰をおろした。

「え?」
「ん?」

さっきより随分近い所にあるごっちんの顔は、穏やかに笑っている。
たぶん別れてから今まで、こんなにも密着したのは初めてだ。

「随分エロい体制になってるけど」

只でさえ短い制服のスカートが捲れて、パンツが見えそうだ。

82 名前:6. 相談しようそうしよう 投稿日:2008/08/22(金) 19:00

挑発しているようなごっちんの視線は、
とても高校生とは思えないぐらい色気がある。
前はきっとこんな顔してなかったはずだ。
髪の色も化粧の仕方も中学時代とは変わった。
だから、付き合ってた頃と同じ香水の匂いが、なんだか不思議に思える。

「発情した?」
「うん」
「うっそだー」
「え?」
「って、いっつも思ってた」

ごっちんはへへっと笑った。
普段は大人びた顔をしているのに、笑うと子供みたいに幼くなる。
自分はそんなところを可愛いと思っていたんだったっけ、
なんて思い出した。

83 名前:6. 相談しようそうしよう 投稿日:2008/08/22(金) 19:01

「よしこ、嘘つくの下手だからさ」
「まじで。今度から気をつける」

あたしがそう言うと、ごっちんは曖昧に微笑んで眼を細めた。

ごっちんの顔が近づいてきていたことに
何も思わない自分ってどうなんだろう。

「だーめ」

唇が触れる寸前で、ごっちんにおでこをぺちっと叩かれた。

「よしこはミキティが好きなんでしょー?」
「うん」
「じゃー、こーゆうことしちゃだめー」

言ってる事とやってる事が矛盾しているような気がしたけど、
まぁそれはごっちんだからいいのかもしれない。

84 名前:6. 相談しようそうしよう 投稿日:2008/08/22(金) 19:02

「そんな甘い覚悟でミキティに手出したら、
まっつーに殺されちゃうよ?」
「まっつー?あー、あやや?」
「うん。こわいよー、あのコ怒らせたら」

面白そうに言うごっちんは、
あたしの上から退くと、テーブルの上の高そうな財布を掴んでドアに向かった。
ドアノブを掴みながら振り返って、あたしを促すように顎を動かした。

「飲みにいこーぜぃ」
「いや、制服じゃ居酒屋入れないって」
「あっそっか」

クローゼットを乱暴に漁る
マイペースな元カノ兼コーチ兼友達を眺めながら、
明日は部活をさぼろうかな、と不純な決意を固めた。

85 名前:6. 相談しようそうしよう 投稿日:2008/08/22(金) 19:03




朝目覚めたら自分のベットじゃないなんて、
そんなドラマみたいなことが自分の身に起ろうとは、思ってもみなかった。

しかも抱き枕のように抱きしめているその人が、
あたしの想い人だなんて。
都合が良すぎる。

いや夢か?夢だろう。そうか、これは夢なんだな。
じゃあもう一度眠ろう。
夢の中って寝れんのか?

86 名前:6. 相談しようそうしよう 投稿日:2008/08/22(金) 19:04


「よっちゃん、うるさい」

どうやら心の声が外に漏れだしているみたいだ。
動揺というものはおそろしい。

「あ、お、おはよう」
「ぅん」

美貴の吐息が鎖骨にかかる。
やばい。
心臓が速く動き過ぎて破裂してしまう。

落ち着けあたし。
昨日、ごっちんと飲みに行ってどうしたっけ。
焼酎のボトルを2本空けたとこまでは覚えてるんだけどな。
うわー、どうやってここ帰ってきたか、全然覚えてない。

87 名前:6. 相談しようそうしよう 投稿日:2008/08/22(金) 19:06

「よっちゃん煙草臭い」
「う、ごめん」

腕の中で見上げた姿勢の美貴は、
すっぴんで寝癖がついているけど、やっぱり可愛い。

「てか、あたしなんでここにいるの?」
「…覚えてないの?」

美貴は不機嫌そうに応えた。
どうやらあたしは、彼女に迷惑をかけてしまったのかもしれない。
大体が、どうして寝て起きたらこの体勢になれるのだ。
相手は彼氏持ちだぞ。迷惑に違いない。


88 名前:6. 相談しようそうしよう 投稿日:2008/08/22(金) 19:09


「なんかね、よっちゃんの携帯から電話かかってきたと思ったら、
ごっちんがでて、よしこをよろしくー、とか言ってきてさ」
「うん」
「意味わかんねーとか思ったんだけど、迎えにこいって言うから迎えに行った」

ごっちんは偉大だ。さすが敏腕コーチ。

「まじかぁ。ありがとう」
「感謝しろー」
「へい」
「ついでに彼氏にも」
「へ?」
「よっちゃん運んだの美貴の彼氏なんだかんねー」




胸が一つ大きく鳴った。

89 名前:6. 相談しようそうしよう 投稿日:2008/08/22(金) 19:14

「…そうなんだ!ご迷惑おかけしましたって言っといてー」

このモヤモヤした感情はなんだろう。
バレーの試合に負けたってこんなに悔しい思いをしたことはなかった。

ライバルに助けられて、
むしろ相手に恋敵だとも思われていない。

何で抱きしめる事が迷惑だなんて思ったんだろう。
あたしは美貴の恋愛対象ですらないのに。


90 名前:6. 相談しようそうしよう 投稿日:2008/08/22(金) 19:32

「なんか今度飲み会いれてー、とか言ってたよ」
「あー、そう」
「あいつ、よっちゃんみたいに酒強くないけどねー」

ごっちん、あたしにも人並みに嫉妬という感情があったらしいよ。

心地よかった筈の鼻声が、残酷な言葉を紡いでいく。

「弱いくせに酒好きだからタチ悪いんだよねー」

なぁ、カレの話は聞きたくないよ

そんなことを言う勇気もない。
91 名前:6. 相談しようそうしよう 投稿日:2008/08/22(金) 19:34

せめてものプライドで、美貴を抱きしめている腕をほどいた。
永遠に続けばいいと思っていた瞬間を、自分で終わらせた。

身体を起こしたら、窓から漏れだす光が見えた。

「あー、もう昼じゃん!部活行かなきゃ」
「今からガッコー行くの?」
「あたし真面目だからー」
「はいはい」
「じゃーねー。まじありがとー」

部屋の扉を締めた拍子に涙が流れた。
それはきっと、二日酔いの頭痛のせいだ。
あたしは昔から痛みに弱いから。
じゃあ胸が痛いのはなんでだろう。

スタートラインは思っていたよりも遠いみたいだ。

92 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/22(金) 19:36
間違えてあげてしまってごめんなさい。。
93 名前:7 あたしの好きは軽い 投稿日:2008/08/22(金) 19:55

私には男友達が多い。
かといって、悲しいかなモテているわけでもない。
それは単に、麻雀好きだったり、
お酒が強かったり、下ネタオーケーだったりするからなのだ。


女子高生として終わってるな、自分。

94 名前:7 あたしの好きは軽い 投稿日:2008/08/22(金) 19:56

あたし達の間で話題にのぼるのは、専ら下ネタで、
次点で女子の話。
何組のあのコが可愛いだとか、
あのコのおっぱいは大きいだとか、
あいつは彼氏持ちだとか、もうヤっちゃったらしいぞとか、
中身があるようでない、そんな話だ。

しかし、いつもならノリノリで食いつく話も、
今日はそんな気にはならなかった。
原因は単純明快。今日の話題があたしの想い人だからだ。

95 名前:7 あたしの好きは軽い 投稿日:2008/08/22(金) 19:57

コトの発端はあたしだった。

「美貴ってどうよ?」

恋の病に侵され浮かれた脳味噌は、
口という末端器官になぜかこんな発言を命令した。
そして、男子というものの阿呆さ加減を悟った。
皆、口を揃えて夢見がちな目でこう言うのだ。

「藤本さん?めっちゃかわいいしょ。意外と優しいし」

美貴が極稀に見せる優しさを、短絡的にも好意と勘違いする男子は意外と多い。
その優しさってのも、
松浦の「学校ではお行儀よくしていなさい」
という言いつけを守っているだけなんだけど。

96 名前:7 あたしの好きは軽い 投稿日:2008/08/22(金) 19:59

無性に込み上がって来る苛々はなんなんだろうか。
突如友達から恋敵に変身した男共に、言ってやりたかった。

「美貴はおまえらなんか相手にしねーよ!」

心の中で吐き捨てた暴言は、そのまま自分に返ってきた。

「あたしも美貴の眼中にないけどな!」



97 名前:7 あたしの好きは軽い 投稿日:2008/08/22(金) 20:00





例えば、休み時間に隣のクラスから、わざわざあたしのところに来てくれるのは、
好意と受け取ってよいのだろうか。

「ちょっと、よっちゃん聞いてる?」

例えば、顔を接近させて、頬を叩くのは、
愛情の裏返しととってもよいのだろうか。

「よっちゃん、元気無いね」
「…」
「お腹減ってんの?」

それはまた色気もそっけもない理由だな。
てゆうか、顔近過ぎ。
ちゅーするぞ、ばか。

98 名前:7 あたしの好きは軽い 投稿日:2008/08/22(金) 20:01

「減ってない」
「ふーん。なしたの?」
「べつに」
「ほれ。アメをやろう」

口に赤い飴玉を放り込まれた。
甘酸っぱい。
反応の乏しいあたしに飽きたのか、
美貴は携帯電話を弄り始めた。

99 名前:7 あたしの好きは軽い 投稿日:2008/08/22(金) 20:03


「美貴ぃ」
「ん?」
「好き」
「知ってる」
「愛してるぜ」
「よっちゃん、キモイ」
「あいらぶゆー」
「はいはい。さんきゅー」


思えば、物心ついた時から美貴の言いなりだったのは、
美貴のコトが好きだったからだ。
美貴が笑うと嬉しくて、美貴が泣くと悲しかった。
いつだってあたしにとって一番大切だったのは美貴だった。
今までなんで気付かなかったんだろう

100 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/22(金) 20:28

更新遅れてすいませんでした。
こっそり再開しようと思ったんですが、
間違ってあげてしまいました orz

次こそは早めに更新したいです

101 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/23(土) 07:33
みきよしってあんまし恋愛的なイメージがしにくいですけどそういうのもマニアックでいいのかも!?w

102 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/23(土) 14:52
引き込まれる!気になるなあ
103 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/09/03(水) 18:07
待ってます保
104 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/10/01(水) 18:19
みきよしって無いわぁ(苦藁
そもそも藤本とよっすぃーってCPとして成立しないw
105 名前:りる 投稿日:2008/10/06(月) 16:37
ドキドキする
106 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/10/07(火) 01:53
こっからどう転がるんかな〜♪

楽しみ♪
107 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/10/09(木) 04:49
ベット×
ベッド○
108 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/05(月) 17:56
続きがめちゃくちゃ気になるんですけど!!

更新待ってます

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