うそつき
- 1 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:07
- 「こんなことがあったらいいな」というただの妄想です
- 2 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:08
- みなさんこんにちは。
暑い夏もあっという間に通り過ぎ、季節はもうすっかり秋の今日この頃、
いかがお過ごしでしょうか。
毎度おなじみ、美勇伝のリーダーを”さりげなく”やらせてもらっている、石川梨華です。
わたしは今日、テレビ東京系で毎週日曜午前11:30から大大大好評放送中のレギュラー番組、
『ハローモーニング。』の収録のため、都内某スタジオにいるんです。
いつもは娘。のメンバーとクイズをしたりゲームをしたりしているのですが、
今日は少し、いや、かなり趣向を変えた一大プロジェクトを行うことになっています。
その一大プロジェクト…みなさん気になりますか?気になりますよね。
わたしも、一体どうなるんだろうという楽しみと、上手くいくのかなという不安があるんですが、
まあわたしは司会者だし、みんなが頑張るのを応援するだけ、みたいな?
見てるだけだから、ぶっちゃけ、楽です。
あ、これ、内緒ですよ?誰にも言わないでくださいね。言ったら怒ります。
え?梨華ちゃん怒ったって怖くないじゃん。って?
そんなー、わたしだって怒る時は怒るんですからね。厳しいんですから。わたし。
- 3 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:08
- そんな無駄話はさておき。
みなさんには、わたしの実況でハロモニ。史上最大プロジェクトを
お楽しみいただきたいと思います。
きっと今までに味わったことの無い、ハラハラドキドキ感を感じれる、はずです。
保証はしませんけど。
だって、どうなるか、本当にわかんないんですもん。
- 4 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:09
-
*****
- 5 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:09
- スタジオの会議室をひとつ貸し切って、わたしとモーニング娘。のメンバー7人が大集合。
娘。7人ということは、誰か一人足りないわけで。
…え?今、娘。は8人ですからね。
知らなかったなんて言わせませんよ。ハロモニ。毎週見てるんでしょ?
現在の娘。は7人。ハイコレ、今度のテストに出しますから。しっかりメモっといてくださいね。
足りないメンバー。気になります?早く言えって?
そうですね。ここはもったいぶるところではないので、早速発表しちゃいます。
ていうかここはまだ物語のプロローグに過ぎませんので、サクサクいっちゃいましょう!
- 6 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:10
- 今、娘。のメンバーは長い机に並んで座っています。
司会者のわたしは彼女たちの前。
左から順にひとりずつ紹介していこうと思います。
- 7 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:10
- まず藤本美貴。通称・ミキティ。
松浦亜弥と新ユニット”GAM”を結成してCD出したりしています。
なんか他に、”GYM”とかいう紛らわしいユニットもあるそうなので、
みなさん間違えないように気をつけてくださいね。あ、間違えるわけないか。
次に高橋愛。通称・愛殿。
愛殿なんて呼ぶのは、実はわたしだけで、みんなは単純に愛ちゃんと呼んでますね。
今年の夏のミュージカル、リボンの騎士ザ・ミュージカルで大活躍しました。
その隣は新垣里沙。通称・マメ。
みなさんには、ガキさんと言ったほうがわかりやすいかもしれませんね。
マメ、というのは実はわたしが付けたあだ名なんですよ。えへへ。
まあ…マメって呼んでいるのも、わたしだけですけど。
- 8 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:11
- 続いて久住小春。通称・きらりちゃん。あ、違った?
きらりちゃんはアニメの役名だよね。知ってるよ。
でも、かなり好評なんでしょ?あのアニメ。子供たちにも、大人気☆カナ。
小春の隣は道重さゆみ。通称・さゆ。
わたしとエコモニというユニットで、エコ活動をしています。
…あ、ちょっといいですか?
「うさちゃん、ピース♪」
ごめんなさいただやってみたかっただけです。
そしてさゆの隣は亀井絵里。通称・えりりん。
と田中れいな。通称、れいな。
二人には今回、重要な任務を背負ってもらうんですよね。
- 9 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:11
-
*****
- 10 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:12
- 「今回は吉澤ひとみを罠にハメよう、ということですが、
みなさん台本は行き渡っていますね?」
そのとき、はい、と挙手をしたのは美貴ちゃん。
「こんなに台本通りに上手くいくんですか?」
お。なかなか鋭い質問だ。
確かに、この台本が100%上手くいく保証なんてどこにもない。
でも、わたしたちはどうにかして上手くいかせなきゃいけないんだ。
でなきゃ番組として成り立たない。
ハロモニ。がまたベリーズの子たちにジャックされちゃう回が出てきてしまう。
「上手くいきます」
わたしはしっかりと答えた。根拠も全く無いのに自信満々で。
- 11 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:12
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*****
- 12 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:12
- 4つのモニターには、娘。の楽屋の様子が4つの角度から映し出されている。
今は、ひとりでコントを収録していたよっすぃも戻ってきて、娘。全員が揃っている。
そして、機材のトラブルが発生した、という理由で、次の収録が2時間ほど押している状況。
みんな、それぞれ自由にこの休憩時間を過ごしている様子だった。
今日のターゲット、吉澤ひとみは小春となにやら楽しそうに談笑している。
その側で、美貴ちゃんと愛ちゃんは対戦ゲームで遊んでいる。
さゆと絵里とガキさんは世間話でもしているみたいだ。
れいなもそこにいるんだけど、雑誌に視線を落としたまま、会話には加わっていない。
相変わらずの、ありふれた楽屋の風景だ。
よっすぃ、ホント小春好きだよな…。
二人はまるで本当の姉妹のように仲が良い。
- 13 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:13
- 4つのカメラはそれぞれ、楽屋全体、よっすぃと小春、美貴ちゃんと愛ちゃん、
そして残り4人を上手く捉えている。
わたしは、4つのモニター映像うち1つが早速動き出したことに、気づいた。
「もお、ガキさんやーだー」
「は?なにそんな甘えた声出してんの?」
「甘えてませんーだ」
「いやいやいや。そんな声、あたし相手に出されても困りますけど」
「ちょっとー、さゆみをのけ者にしてイチャイチャしないでよ」
絵里が、ガキさんの肩に頭を預けて笑っている。
絵里の手はガキさんの腕に絡み、身体は密着。
これくらいのスキンシップは娘。ではごくごく日常なんだけど…
「絵里とガキさん、超ラブラブだからさ。さゆの入る隙間無いから」
「えー、ずるいー」
「ちょ、いつあたしと亀が超ラブラブになったわけ?」
「今」
「はあ?」
こういう絵里とガキさんのやり取りも、よく見る。
だから、周りのみんなはちらっと見るくらいで、スルーしている。
れいなも、黙ったまま雑誌から顔を上げない。
- 14 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:13
- 「最近ずっと一緒じゃん」
「そりゃ一緒だけどー、ハロモニ。の収録のときだけでしょうが」
「それだけ?」
「まあ、こないだ遊びに行ったけどもー」
あ、れいなが頭を上げた。
そしてものすっごい怖い顔で、ガキさんを見つめた。
次に、ガキさんにもたれたままヘラヘラ笑っている絵里を睨んだ。
そんなれいなに気づいたのは、今のところさゆのみ。
「楽しかったねー」
「ねー、って話逸れてない?」
「逸れてない逸れてない」
「もう、何の話してたかわかんなくなっちゃったし」
「いーじゃんいーじゃん」
さゆが絵里の腕を指でつついて、れいなの様子を伝えた。
絵里はれいなの怖い顔を見た。
二人は一瞬だけにらみ合って、絵里の方から視線を逸らした。
「ねーねーガキさーん、今度また遊び行こうよー」
またれいながムッとした表情になった。
中々演技派じゃない?二人とも。
絵里は、れいなに当てつけるように、ガキさんの手に指を絡めた。
- 15 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:13
- その次の瞬間、楽屋は大きな音に一気に静まり返る。
れいなが、雑誌をテーブルに叩き付けたのだ。
よっすぃが驚いてその音の方を振り返り、小春が彼女に寄り添った。
他のメンバーも同じように、れいなを見つめた。
「ちょっと、れいな…」
さゆがれいなをなだめるように肩を押さえた。
絵里は唇を尖らせ、そっぽを向いている。
「どこ向いとると?」
れいなの低い声が、楽屋に響く。
絵里は答えない。
ガキさんが絵里の手を離す。
- 16 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:14
- 「どういうつもりなん?」
「……」
「絵里」
怒鳴るっていうのもアリだったけど、今みたいに静かにキレる方が
より怖さが増すかもしれない。れいな、グッジョブ。
さゆとガキさんは、どうしたらわからない様子で二人を見つめている。
ゲームをしていた愛ちゃんが立ち上がり、ガキさんの横に立った。
美貴ちゃんはゲーム機を持ったまま、動かない。
さあよっすぃ、君の出番だ。君はこのグループの、リーダーだろう?
- 17 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:14
- 「どうしたの?」
そして聞こえたやさしい声。
小春の肩を抱いて、れいなたちのもとへ歩み寄る、よっすぃの声だ。
「喧嘩なら、仕事が終わって、家に帰ってからにしてくれる?」
諭すようなその言葉に、絵里とれいなは無反応。
無視されたことに驚いたのか、よっすぃの顔にうっすらと動揺の色が浮かぶ。
「聞いてる?亀井と田中に言ってるんだけど」
無視リターンズ。
よっすぃは、苦笑いで小春を見た。
小春は不安そうにリーダーを見上げていた。
「まだ収録残ってるし、なるだけ今解決できることなら今ここで解決してほしいんだけどさ。
幸い、時間はまだ結構あるし…」
そうだよね。よっすぃの意見はもっともだ。
だけど二人は沈黙を保ったまま、視線も合わせようとしない。
- 18 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:15
- 「ねえ、なんで喧嘩してんの?」
少し離れた場所から聞こえた、ぶっきらぼうな声。美貴ちゃんだ。
その場から動くつもりはなさそうだけど、心配している様子がうかがえる。
「言っちゃいなよ。言わなきゃわかんないんだからさ。
そうやってずーっと睨みあってるままじゃ何も解決しないし、うちらにも
迷惑かけるし、仕事にも支障が出てもっとたくさんの人に迷惑がかかるんだよ?」
ストレートな説得だった。
よっすぃは、よくぞ代弁してくれたとばかりに美貴ちゃんを振り返った。
そして、改めて絵里とれいなを見る。
「ね、二人とも、言いたいこと言って、スッキリしようよ」
- 19 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:16
- れいなは絵里を見つめ、ようやく口を開いた。
「絵里の考えとること、全然わからん」
「絵里だって」
「何がしたいん。別れたいと?」
その言葉に、明らかによっすぃが反応した。
別れる?彼氏と?それとも…いや…そんなわけ…
きっと頭の中はフル回転。
「なんでそういうこと言うの?れいなこそ別れたいんじゃないの?」
「別れたくないから言っとるんやろ」
「……」
「れいなはもう、こそこそ隠れて付き合うの、疲れた」
「……」
「絵里が他の人とベタベタしとるとこ、見たくない」
「……」
いつの間にか、絵里の瞳には涙が。
れいなはそっと絵里の手をとり、ぎゅっと握り締めた。
どんどんよっすぃが狼狽していくのがわかる。
たぶん、だんだん疑惑が確信に…
わたしは自然と笑いが出てきた。
- 20 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:16
- 「絵里は?」
「絵里は…好き。れいなのこと、好きだよ」
キタキタキター。
よっすぃが大きく目を見開いて驚いている。
それもそのはず。メンバー同士の禁断の恋愛関係が発覚しちゃったんだもの。
「え?」
いち早く反応したのは、やっぱり美貴ちゃん。
「二人って、どういう関係なの?付き合ってんの?」
「付き合ってます」
きっぱりと答えるれいな。
よっすぃは、嘘だろ…と言いたそうな顔。
嘘ですよ。騙されてますよ吉澤さん。
- 21 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:17
- 「みんな、知ってたわけ?」
「さゆだけ、ですけど」
よっすぃはそう聞いてさゆを見た。
さゆは真剣な表情を崩さず、よっすぃの視線に応えた。
ああ、マジだ。よっすぃは多分、そう思っただろう。
さゆのマジ顔は、妙に説得力があるから。
「やっぱ付き合ってたんだね」
愛ちゃんは納得した顔で笑った。
「ごめんなさい」
「謝ることじゃないって。恋をすることは、大事なことだし」
良いお姉さんらしく、愛ちゃんは謝ったれいなにやさしく言った。
そのやりとりをよっすぃはただ見ていた。
「あたしもさ、薄々気づいてたんだよね」
ガキさんが言う。
「二人、なんか雰囲気変なんだもん」
「そうですか?」
れいなは絵里を振り返った。二人、微笑み合う。
「知ってるの、ホントにさゆだけ?」
「はい。さゆだけです」
イコール、事務所スタッフたちもみんな知らないということ。
美貴ちゃんはおもむろに立ち上がり、よっすぃの横に立った。
「どうする?」
リーダーに指示を仰ぐ、サブリーダー。
- 22 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:17
- よっすぃは小春の肩に置いていた手を離し、うなじあたりに持っていった。
眉間にシワを寄せて、何かを考えている。
さて、どうするよっすぃ。禁断のグループ内恋愛に、どう立ち向かう。
「二人は、ホントに付き合ってるんだよね…」
真剣な顔で深くうなずく絵里とれいな。
よっすぃは二人を交互に見つめた。
「同じグループだし、こんなこというのはちょっと厳しすぎるかもしれないって
思うかもしれないけど…」
次の瞬間、わたしは驚く。
「別れろ」
- 23 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:18
- その場のメンバーたちの顔がみんな凍りついた。
わたしも、まさかそんなこと言うだなんて思ってもみなくって。
「ちょっと、よっちゃん…?」
「仕事に影響するから、ダメだよ」
「別れるなんて、無理です」
「絵里も、無理です」
再び涙が溢れる絵里。
よっすぃは苦しそうな顔をした。
そして、糸が切れたようにフッと微笑んだ。
「嘘。これは、二人の気持ちの問題だから。
無理矢理仲を引き裂くようなことはしないよ。する権利なんて、あたしにはない」
「吉澤さん…」
「でも、ひとつ約束してもらう。
今日みたいなことは、もう二度としない。二人のことで、仕事に影響は出さない」
「はい」
「はい…」
「わかったなら、この話はおしまい。あたしトイレ行ってくるね」
そう砕けた調子で言い、手をヒラヒラさせながらよっすぃは楽屋から出て行った。
さっきの張り詰めた空気が嘘のよう。
まあ、これは全て、嘘なんだけどね。えへへ。
- 24 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:20
- 収録まであと30分ほど。
娘。の楽屋があわただしくなり始めた。
わたしも準備があるから、そろそろここから出て行かなきゃいけない。
30分後、ネタばらしをしたときのよっすぃの顔を想像すると、笑いがこみ上げてくる。
あの「どっきり大成功!」という看板を見て、彼女は一体どうなるだろうか。
ああ楽しい。ドッキリってなんて楽しいんだろう。
- 25 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:20
- 「ねえ、ちょっと…」
モニターを見ていたスタッフの一人が、控え室を出て行こうとするわたしを呼び止めた。
「どうしたんですか…え?」
わたしはビックリして言葉を失った。
楽屋全体が見えるモニターに、とんでもない映像が映っていたのだ。
ちょうど、本番前でメンバーたちがあちこちに散らばっていて。
わたしにも身に覚えはある。こういうとき、誰かと楽屋に二人きりなんていうことは。
「もしかしてこの二人も、デキてんじゃねえの?」
冗談ぽく、隣のスタッフが言い、笑った。
「いや……」
- 26 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:21
- 信じられない。
わたしは、呆然とモニターを見つめた。
どこからどう見ても、よっすぃが愛ちゃんを後ろから抱きしめている。
二人とも、うれしそうに微笑んで。
「あいたんちゅきだよ〜」
「あたしもひーたんのことちゅきやで」
「ちゅきちゅき〜」
よっすぃが軽く身体を揺らし、愛ちゃんがキャッキャはしゃいでいる。
な、なにこの超絶ラブラブバカップル……
でもそれも一時のこと。
二人は何事も無かったように離れ、普通の顔で楽屋を出て行った。
- 27 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:21
- 「まさか吉澤と高橋が、なあ」
「……」
「ちょっと、動揺しすぎじゃない?」
スタッフがわたしの様子に困った顔をして笑っている。
「だって…こんなこと…ありえないですよ」
うん。ありえない。
よっすぃと愛ちゃんが、恋人同士なんて!
まだ美貴ちゃんが相手だった方が納得できたかもしれない。
「でも、なんであたしこんなにショック受けてるんだろう…」
「そうだよ。ショック受けることないのに」
色々と考えていたら、収録開始の時間がもうすぐに迫っていた。
慌ててわたしは控え室を出て、メイクを直してもらい、スタジオへ向かう。
- 28 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:21
- よっすぃは絵里とれいなが付き合ってると思ってる。
でもそれはどっきりで、ぜんぶ嘘。
よっすぃはこっそり愛ちゃんと付き合ってる。
これは、きっと本当で。
なんだかものすごく衝撃を受けてる自分自身に衝撃を受ける。
なんでだろう。なんでなんだろう。
- 29 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:22
- わたしはスタジオに入った瞬間、見てはいけないものを見たような気がした。
向こうで、よっすぃが何か見覚えのある看板を掲げている。
それも、いたずらっ子ような笑顔で。
光の速さで、嫌な予感が、わたしを包む。
「ちょ……もお……ホントにぃ……?」
- 30 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:22
-
どっきり大成功!
- 31 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:23
-
( ^▽^)<みんなうそつきだ!
- 32 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:23
-
終わり
- 33 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/09(土) 23:32
- おもしろいです
なんとか企画してもらえないものだろうかw
- 34 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/10(日) 02:57
- 途中からニヤニヤしてしまった
いいねーこういうのホントに見たいや
- 35 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/10(日) 19:47
- レスありがとうございます
共感してもらえてうれしい限りです
次の話は読んでわかる方とそうでない方に別れるかと思います
でも、「こんなことしてたらいいな」というただの妄想ですから
楽しんでもらえたら幸いです
- 36 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:49
- 今日は、娘。全員集合して、来週末に控えた秋ツアーのリハーサル。
コンコンと麻琴が抜けた穴をカバーすべく、ダンスもいちから組みなおし。
今回新しく歌う曲のダンスもあるから、やっぱりいつも通り、簡単ではない。
けど、わたしは全然面倒臭く感じないし、むしろ、このメンバーでやれることを
とてもうれしく思っている。この夏で、それを改めて実感した。
リボンの騎士のミュージカルが終わってから、数週間。
わたし以外のメンバー全員、今までに味わったことの無い濃密な一ヶ月間だったからか、
千秋楽の余韻もそのまま、今日まで引きずっている。
- 37 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:49
-
*****
- 38 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:49
- 「わーたーしは、わたしがっ、わからっない!〜♪」
突然、亀井絵里が歌いだした。
例のミュージカルでのメインテーマ(フランツパート)を、高らかに歌い上げた。
「どこがわかんないの?」
「あ、ここのフリがちょっと…」
高橋愛はごく自然にカメちゃんに尋ねた。
- 39 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:50
- 「わーたーしは、わたしがっ、わからっない!〜♪」
今度はさゆ。
カメちゃんと同じように、例のパートを歌い、愛ちゃんの側へ。
愛ちゃんは、ごくごく普通にカメちゃんとさゆの質問を受けている。
(美貴だったら絶対笑うけどな…愛ちゃん、やっぱスゴイわ…)
こんな感じで、ミュージカルが終わってもまだ、ミュージカルは行われている。
毎日毎日、日常会話のちょっとした言葉でも、劇中のセリフや曲に絡めやがる。
いちいち大げさで、いちいち笑えるから、まあ別に良いんだけど。
- 40 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:51
- 「息子よ、わたしは飲み物を買ってくる」
「父上、僕もお供します」
そんな会話をしながら、吉澤ひとみと久住小春が仲良く肩を組んで出て行く。
あの二人は、どちらかが娘。を卒業するまで、ああやって延々と親子ごっこしてそうだ。
「ふじもっさん、助けてー、電池が切れてーしーまうー、
携帯が助かるならー、けーいたいがー、たすかるぅーならぁ〜♪」
なんだか耳に覚えのあるメロディが後ろから聞こえてきた。
振り返ると、携帯を大事そうに両手に抱えたサファイア、ならぬ、新垣里沙が。
わたしは、ひとつ咳払いをして、しょうがないな、という態度を見せる。
「その願い、叶えよう!」
- 41 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:51
-
*****
- 42 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:52
- 朝から夕方までぶっ続けのリハーサルが、やっと終わった。
わたしはもちろん、全員疲労困憊で、その場が静まり返っていた。
- 43 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:52
- 「おい、なんだなんだ。暗いぞ?」
まるでみんなが疲れてこんな雰囲気になるのを待っていたかのようなセリフが、
頭の上から聞こえてきた。
座り込んで休んでいたわたしたちは、いっせいに顔を上げた。
そこには、仁王立ちで、ニヤニヤしているよっちゃん。
(また始まるぞ…)
わたしはしばらく様子を見守ることにする。
- 44 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:52
- 「当たりまえでしょ!」
カメちゃんが立ち上がって、頬を膨らませた。
「も〜待ちくたびれたぁ!」
ぐずる子供みたいに、田中れいなが立ち上がって言った。
「安心しろ。今日はいいものを持ってきた」
よっちゃんは、ジャージのポケットの中から何かを取り出した。
そこで、全員の瞳が少し揺れた。
今日は石川梨華がいないじゃないか。誰が次のセリフを?
- 45 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:53
- 「なに?」
咄嗟に答えたのは、ガキさんだった。
「魂」
悪ガキみたいな顔で、よっちゃんは答えた。
でも、彼女の手のひらの上に乗っかっているのは、どう見てもカリカリ梅だ。
まあ百歩譲って球形だけど、袋詰めにされた魂ってどうなの。
「たましぃ?!!」
それでも全員、大げさに驚く。
- 46 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:54
- 「神さまの目を盗んで、ちょっと。な」
「な、って。それ、まずくない?」
わたしの口から、反射的に、そのセリフが出てしまった。
なんだかんだで、わたしもこの輪に入っている。
「早く生まれたくないのか?」
まあもうすでに生まれてるけど。わたしたち。
「そりゃ、生まれたいのは生まれたいけど…」
「いいか?これさえ飲めば人間になれるんだぞ?
優しいお母さまに会えるんだぞ?もしかしたらオーディションとかに受かって、
dreamにだってなれるかもしれない。誰が飲む?」
(ちょ、dreamてwアイドルでいいじゃんwwwwwなんでdream限定なの?w)
みんな、笑いをこらえてる。
- 47 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:54
- 「よし。リーダーとして命令。おまえが飲め」
よっちゃんが指したのはもちろんれいな。
「なんであたすぃぃぃぃx!!!?」
れいなの見事な絶叫がその場に響き渡る。
なんか今日はノリが良いなコイツ。
「おまえ、かわいいじゃん。生まれたらモテる」
「かわいいのは、あたし」「かわいいのは、あたし」
さゆとカメちゃんの言葉が丸被りw
麻琴のセリフをここぞとばかりに奪うこの二人はホントにまったく…。
- 48 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:55
- 「待て。待て。おまえ(さゆ)かわいいぞ」
「イエイッ!」
「だから、ほら。飲め」
「これ、男の子の魂?それとも女の子の?」
「そんなの知るか…いや、絶対、保田圭のだ」
(ちょwケメコwwwww)
さゆ、引く。
- 49 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:55
- 「どっちだっていいだろ。男でも女でも保田圭でも!
人間の魂なんだぞ?!」
よっちゃんは本番の舞台以上に、力説した。
- 50 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:56
- 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!遅刻しちゃった!」
本当にベストタイミングで、愛ちゃんが走りこんできた。
わたしは、このとき初めて、いつの間にか愛ちゃんがこの部屋から
いなくなっていて、出番を待っていたことを知る。そこまでするか?w
ていうかみんなノリノリすぎる。
「おそいぃ。一曲、終わっちゃったよ。久しぶりに待ち合わせしてたのにぃ」
ガキさんが愛ちゃんに言った。
いやいや、今日一日中一緒に居たじゃないですかあなたたち。
「なにしてた?」とよっちゃん。
「ちょっと神さまに呼ばれて」
「あ、えこひいき!」
カメちゃんの合図で恒例のえこひいきコール。
えこひいき、えこひいき、えこひいき、なんかれー、ナンカレー、ナンカレー…
え?ナンカレー?なんだそれ。
- 51 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:57
- 「こうなると辛い」
ガキさんがわたしを見たので、
「ドツボにはまるよね」
「ね。もういいじゃん。せっかくこうして集まったんだし」
「だめ。許さない」
「なにムキになってるんですかぁ!」
よっちゃんは、愛ちゃんに魂(カリカリ梅)を押しつけた。
「許してほしければ、これ飲め」
全員、フリーズ。
- 52 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:58
- 愛ちゃんはそれをまじまじ見つめて、よっちゃんに尋ねた。
「これ、なに?」
「ああ…おくすり!」
「おくすりって、どこも悪くないよ?」
「その、どこか悪くなる前に飲むおくすりだ」
いや、それカリカリ梅だけどね。
愛ちゃんは困った顔で、後ろを向いた。
- 53 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:58
- 「待った。やめよう」
凛々しいガキさんの声。
「なんだかっこつける気か?」
ヤクザのように凄むよっちゃん。無駄に怖い。
そんなよっちゃんをものともせずにガキさんは力強く言う。
「神さまから魂を盗むっていうのが、そもそも間違ってる。
本当は、みんなだって分かってる。千年や二千年くらい待とう!」
人のセリフなのに、よく覚えてるなコイツ。
全員、うなずく。
よっちゃんは後ろを向いたままの愛ちゃんを見た。
「ごめん。もういいから。あやまる。ホントにごめん」
「……」
愛ちゃんが振り返った。
彼女の手にはまだ、カリカリ梅が。
- 54 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 19:59
- 「これ、吉澤さんのものだから、返しますね」
「ああ、そう?食べてもいいよ?」
「今はいいです。ありがとうございます」
「そっか。小春、いる?」
「はーい、いりまーす!」
元気な久住小春の声が、空しく響いた。
そしてわたしたちは、何事もなかったかのように帰り支度に取り掛かった。
やっぱり、神さまの登場シーンを再現するのは、まだ、難しい。
- 55 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 20:00
-
わたしたちのリボンな日々は、もうちょっとだけ続く…かも。
- 56 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 20:01
-
川VvV)<娘。はバカばっかりだ、とか思うなよ?
- 57 名前:おくすり 投稿日:2006/09/10(日) 20:01
-
おわり
- 58 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/10(日) 20:32
- おもしろかったー! 楽屋のメンバーの様子がリアルでよかったです。
- 59 名前:58 投稿日:2006/09/10(日) 20:37
- って、すいません、今のは最初の話の感想でした;
読んでる最中に更新されてて、びっくりです。リボンも楽しかったです
先の話といい、みんなの雰囲気が自然でとっても素敵。続き期待します
- 60 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/11(月) 00:24
- ニヤニヤしまくりんぐwww
楽しい話どうもです
- 61 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/11(月) 09:28
- 楽しすぎw
読みながら顔が緩みっぱなしでした
- 62 名前:名無し大臣 投稿日:2006/09/12(火) 19:49
- リボン脳な人にはたまらないお話、どうもありがとうございます。
ヲタ以上にリボン脳ですね(笑)
こんなおバカっぷりがホントに繰り広げられていたら、
今以上に推せる!(爆)
- 63 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/14(木) 00:37
- >>58と>>59さん
ありがとうございます。楽しんでもらえたようでうれしいです
川*´ー`)<わたしは…しあわせ…
>>60さん
こちらこそ読んでいただいてありがとうございます
私も妄想しながらニヤニヤしまくりんぐでした
从*´ ヮ`)<ニャニャ
>>61さん
ありがとうございます
これからもがんばって楽しいお話を書きたいと思います
( ^▽^)<ファイッ!
>>62さん
リボン脳、やばいです
リボンシリーズは書き出したら多分このスレ使い果たしそうです
川VvV)<バ、バカじゃねえつってんだろ!
- 64 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/14(木) 00:39
- 愛ちゃんハタチ記念
- 65 名前:おめでとう 投稿日:2006/09/14(木) 00:40
- 「今、愛ちゃんのマンションの前に来てるんだけど」
電話の向こうで吉澤さんは突然言った。
もうパジャマ姿のわたしは、とりあえず着替えて部屋を飛び出した。
- 66 名前:おめでとう 投稿日:2006/09/14(木) 00:41
- 吉澤さんはマンションの前で、ひとりで待っていた。
本当にいきなりで、わたしは何と言っていいかわからない。
「どうしたんですか?」
怖いくらい真剣な顔をして、吉澤さんはわたしへ近づいてきた。
- 67 名前:おめでとう 投稿日:2006/09/14(木) 00:42
- 「誕生日、おめでとう」
「え…」
「直接会って、言いたかったんだ」
わたしはつい先ほど、ハタチになった。
みんなからおめでとうのメールが来たり、電話が来たり。
でも、吉澤さんからだけは何も無くって、ちょっとがっかりしてたんだ。
「そんな…明日仕事で会うじゃないですか…」
「みんなより先に言いたかったの」
「吉澤さん…」
わたしは、吉澤さんを見上げた。
「迷惑だったかな」
吉澤さんは不安げな顔。
そんなことない、とわたしは大きく首を横に振った。
- 68 名前:おめでとう 投稿日:2006/09/14(木) 00:42
- 「うれしい…です」
わたしは精一杯の笑顔を見せた。
その瞬間、吉澤さんから抱き寄せられる。
「好きだよ。愛ちゃん」
「吉澤さん…」
「好きすぎて、バカみたいだ」
「…ララバイ」
「憧れの」
「相思相愛」
「あのころが夢みたい…ってこれ別れの歌じゃん」
抱き合ったまま、二人して笑う。
- 69 名前:おめでとう 投稿日:2006/09/14(木) 00:43
- 「そうだ」
吉澤さんは一旦離れて、ポケットから四角い箱を取り出した。
「まあ、ベタだけど」
そう言って箱をわたしに。
中身は、可愛らしいピアスだった。
- 70 名前:おめでとう 投稿日:2006/09/14(木) 00:43
- 「ホント、ベタだけど」
照れ笑いを浮かべながら、吉澤さんは髪を耳にかけた。
耳には箱の中のピアスと同じもの。
「ベタですね」
でも、うれしい。
わたしは吉澤さんに抱きついて、わざとぎゅうっと力をこめた。
誰に見られたって構わない。
今はこうやって、吉澤さんと抱き合っていたい。
だって吉澤さんが大好きなんだもん。
- 71 名前:おめでとう 投稿日:2006/09/14(木) 00:44
-
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
○
O
o
川*´ー`) <なんてな、なんてな・・・
- 72 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/14(木) 12:04
- バロスwwww
- 73 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/15(金) 22:07
- ちょwそれでこそ吉愛www
- 74 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2006/09/20(水) 02:56
- こんな展開かーーーー!!!www
- 75 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/20(水) 17:22
- >>72さん
そのコメントにバロスwwwwwwwwwwwwwwwww
笑っていただけてうれしい限りです
>>73さん
お、私の吉愛像を理解していただけたみたいでうれしいです
今後も吉愛道を極めるべく精進していこうと思います
>>74さん
ぶっちゃけ>>71を付けとけば吉愛は何しても許されると思ってます
川*´ー`) <なんてな、なんてな・・・
- 76 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/20(水) 17:23
- 今回のお話から一部性別を変えます
お嫌いな方はお読みにならないでください
あと、ここからはエロでぶっちぎるつもりです
心がピュアな方と15歳未満の方はお読みにならないでくださいね
- 77 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/20(水) 17:23
- 登場人物
从*´ ヮ`):田中くん
从*^ー^) :絵里ちゃん
(0^〜^):吉澤さん
その他は全て架空です
- 78 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:24
-
*****
- 79 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:25
- とある普通の高校の昼休み。
大学受験を控えた3年生の教室では男子たちが、
輪になっていつものように馬鹿話を繰り広げていた。
今流行っているオシャレや音楽の話などに、大盛り上がり。
中でも一番熱くなる話題は、やはり恋バナで。
「田中さん、例の年上の彼女とはどうなんですか」
「あ?」
尋ねられて少しガラ悪く返事したのは、田中くん。
尋ねた方の男子、斉藤くんは一瞬ビビる。
「あー、まー、ぼちぼちね」
「ぼちぼちって何だよ」
曖昧な田中くんの答えに、林くんの突っ込み。
「だって、まだ家行ったことないし。お互い」
「え、じゃあ休みの日は?」
「街で、ぶらぶら」
へえー。斉藤くんと林くんは大げさに反応した。
「じゃあ、まだ、なんだな」
「まだって」
「Sで始まって、Xで終わるアレですよ田中さん」
にやにやしながら斉藤くんが言う。
田中くんは、彼を睨んだ。そして、すぐに一変して溜め息。
「だってさ…何もかも初めてなんだって」
と弱弱しく愚痴った。
- 80 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:25
- 本当に何もかも、初めてなんだと、付き合って始めの頃そう言われた。
誰かを好きになるのも、両思いになるのも、
恋人同士としてちゃんと交際するのも、何もかも初めてなんだと。
中学の頃からブイブイいわせてきた田中くんにとって、
彼女のその発言はとてつもなく衝撃的で、いつものペースは完全に乱されている。
いや、自分のペースでいってもいいんだけど、自然と彼女のことを優先して考えてしまって、
結果今までにありえない進展ペースになっているのだ。
付き合って、もうすぐ三ヶ月。
だのに田中くんは、彼女の手しか触れたことがない。
- 81 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:25
- これまで、放課後会える日は会って、
土日の休日だってどんな用事よりもまずデートをして、二人の距離を縮めてきた。
電話やメールだって、毎日している。
そのおかげで、一つの年の差も、今ではまったく感じられない。
田中くんは年上の彼女に敬語を使わなくなって、彼女を名前で呼ぶようになった。
彼女の方も、少し照れながら名前を呼んでくれたりする。
呼ばれた田中くんの方も、なんだか妙に照れちゃったりなんかして。
友達には絶対見せないようなデレデレ顔も、彼女の前では見せまくりで。
今までにないくらいどうしようもなく、田中くんは彼女に惚れてしまっていた。
今までとは違ってこの恋がなかなか上手く進まないのは、多分、
自分の気持ちの方が彼女より強いからだと、田中くんはそう分析している。
彼女のことが好きすぎて大切すぎて、自分のことなど二の次なんだ。
本当の田中くんはエッチなことが大好きな、凶暴な狼。
でも彼女の前では、ちょっと不良っぽいけど柔道一直線なスポーツマン。
マメで、マジメで、彼女に尽くしまくりの、優しい彼氏。
- 82 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:26
- 田中くんが、今いちばん恐れていること。
それは、今まで我慢してきた欲求が、
いつか彼女に向かって大爆発しちゃわないか、ということ。
そして、そのせいで彼女を傷つけて嫌われてしまうんじゃないか、ということ。
だから田中くんは、今日もひたすら、恐ろしい欲望が浮かんできては消し、
浮かんできては消し、耐え忍んでいるのである。
- 83 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:26
-
*****
- 84 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:26
- 「明日、どっか行きたいとこある?」
金曜の夜も、いつものように田中くんは絵里ちゃんと電話をしていた。
明日はもちろん学校はお休み。部活も休んで、絵里ちゃんとデートの日。
- 85 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:27
- 「明日?んとねぇ、明日は…」
女の子らしく可愛い声に、こっそり田中くんの頬は緩む。それはもうデレンデレンに。
柔道部の部員の間では鬼と言われている男の子とは思えない顔だった。
「あっ」
受話器の向こうから、何かを思いついたような絵里ちゃんの声が。
「ねぇ、明日、家に来ない?」
- 86 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:27
- 心配そうに名前を呼ぶ彼女の声がして、田中くんはハッと我に返った。
家に来ない?家って、絵里の…?
「どうしたの?もう眠たい?」
「あぁっ、いや全然眠くない!」
「よかったぁ。急に黙っちゃったから、寝ちゃったのかと思ったよ…」
とろけそうなくらい甘い彼女の声が耳元に聞こえる。
再び顔がにやける田中くんだが、冷静に聞き返した。
「家って、絵里の?」
「そうだよ?れいな、来たことないよね」
「うん。でも、いいと?」
そんな妄想をするのは極力避けたいが、やっぱり頭に浮かんできてしまう。
彼女の部屋でイチャイチャして、抱き合って、キスとか。
考えるだけで、色んな所が元気になってくるぞおい。
- 87 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:28
- 「今度、れいなの家にも行きたいな」
「うんうん。なんなら日曜来ても」
「ホントに?やったぁ。じゃあ、明日は絵里の家。明後日はれいなの家ね」
「オッケイ」
「どうしよう、絵里チョー楽しみなんだけどぉ」
舞い上がる絵里に、田中くんは笑って答えた。
電話も切って、ベッドの中。
僕もチョー楽しみなんですけどぉ……
でも素直に喜んでいいのかわからない。
だって二人は、まだ手を繋ぐだけの、イマドキの若者の恋愛では珍しいほど
純なお付き合い。それが明日、ポーンと何段階も進むなんて、ありえない。
過剰な期待はするだけ無駄か。
田中くんはそれを肝に銘じて、眠りについた。
- 88 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:28
-
*****
- 89 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:28
- 翌日の10時過ぎ。
田中くんはいつもの待ち合わせ場所である駅前の銅像の前で、
絵里ちゃんを待っていた。少し時間にルーズなところがある彼女は、
滅多に待ち合わせ時間の10時にはやって来ない。
遅刻されるのはちょっぴりイラつくが、絵里ちゃんの顔を見た瞬間、
そんなことどうでもよくなるので、喧嘩になったことは今まで一度も無かった。
絵里ちゃんはいつも左の方からやってくる。
田中くんは、左の方を向いていた。
すると、右の方からなにやら足音が聞こえて、田中くんは振り返った。
そこには、可愛らしいワンピース姿の、絵里ちゃんが。
「ごめん。待った?」
「全然」
今日もメチャクチャ可愛い絵里ちゃんに、田中くんはつい見とれてしまった。
こんな天使みたいな女の子、この世に存在してもいいものか。
でもそんなこと言うと絶対誰かに引かれるから、口が裂けても言わないけど。
- 90 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:29
- 「さ、行こっか」
自然に、田中くんの手を取る絵里ちゃん。
「絵里の家って、どの辺なん?」
「んとね、あっちの方」
絵里ちゃんが指したのは右の方だった。
「え?」
引っ張られるままたどり着いた先は、
すぐそこに停められてあった真っ白なリムジンの前。
若くて背の高いイケメンが、微笑みながら二人を待っていた。
- 91 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:29
- 「え?」
田中くんは、絵里ちゃんを見た。
絵里ちゃんはニコニコして、繋いだ手を少し揺らした。
「吉澤さん、この人が、田中くんだよ」
「はじめまして。吉澤と申します」
礼儀正しく挨拶されて、田中くんは、たじろいだ。
吉澤さんと呼ばれたこの人は、一体絵里ちゃんの何なんだ?
「れいな、この人、絵里のお世話をしてくれてる、執事さん」
「し、しつじ?」
執事なんて漢字も思い浮かばない田中くん。
一瞬、頭の中にヒツジが出てきてメーメー鳴いたことは内緒。
- 92 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:29
- 「さて、行きましょう」
「はい。お嬢様」
リムジンの後部座席のドアを開ける吉澤さんと、
ごくごく自然に乗り込む絵里ちゃん。
田中くんは、絵里ちゃんに声をかけられるまで、その場に立ち尽くしていた。
- 93 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:30
-
*****
- 94 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:30
- 「うわ、すっげ」
リムジンの車内。
田中くんは、想像以上の豪華さに、ガラにもなくはしゃいでいた。
- 95 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:30
- 「これ、冷蔵庫?」
「うん。開けてもいいよ」
「おぉ」
まるでおもちゃ屋さんにいる子供のように目を輝かせている彼を、
絵里ちゃんは微笑みながら見つめていた。
その視線に気づき、田中くんは急に大人しくなって、絵里ちゃんの隣に戻った。
ガキっぽいなんて思われちゃったかな。ちょっぴり恥ずかしくなる。
- 96 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:31
- 「絵里んチって、もしかして金持ち?」
「…だったら、れいなどう思う?」
「え」
不安そうになる、絵里ちゃん。
「れいな、絵里のこと嫌いになる?」
「嫌いになんかなるわけないやん」
こんなに大好きなのに!
田中くんは、不安げな絵里ちゃんを安心させようと手を握った。
何をそんなに心配してるのか、わからないけど。
- 97 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:32
- 絵里ちゃんは、田中くんとの距離を縮めて、寄り添ってきた。
そして、田中くんの肩にこてんと頭をのっけて、繋いだ手に力を込めた。
「よかった。れいなが優しい人で」
「ん?」
「絵里がいつもこんな車乗ってるって知って、
れいなに引かれたらどうしようって、ずっと怖かったの」
「引くわけないやん…ちょっとビックリしたけど」
「家に着いたら、もっとビックリすると思うんだけど、引かない?」
「大丈夫」
「よかった」
やわらかい声で言った絵里ちゃんは、甘えるように田中くんにもたれかかった。
こんなに密着したのは初めて、ってくらいに二人はピッタリくっついている。
絵里ちゃんの香りと温かさで、田中くんの中には、どんどん欲求が膨らんでいた。
仕方ない。だって彼女がものすごい甘えてくるんだもの。
拒否ることなんて出来ないし、するつもりもない。
せっかくのこの二人きりの時間を、十分に味わうしか、ないじゃないか。
田中くんは、指を絡める繋ぎ方に替えて、窓の外を見た。
- 98 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:33
- 「ここ、刑務所?」
ずっと先まで続いている、塀。パッと見、本当に刑務所みたい。
思ったことをそのまま口にした田中くんは絵里ちゃんの答えを聞いて、平謝りした。
「もう絵里の家なん?」
「そうだよ」
「ちょ…マジででかくね?」
「でっかいよ。東京ドーム、10個分?」
「……」
ひえー。
- 99 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:33
- 「だから引くって言ったじゃん」
「ひ、引いてない引いてない。驚いとうだけやけん」
「今どもったぁ」
「うそ?」
「どもったよぉ」
絵里ちゃんの指摘は聞こえないフリをして、田中くんは窓の外を眺めていた。
それにしても、いつまで車は走るのだろう。
門さえ見えてくる気配が無い。
「ねぇ」
「ん?」
呼びかけられて、彼女の方を向けば、なんだか不満げな顔。
「窓の外ばっか見ないで、絵里のこともっと見てよぉ」
まっすぐと絵里ちゃんは田中くんを見つめている。
ちょっとアヒル口になっているのが、とても可愛らしい。
田中くんも、絵里ちゃんの瞳をじっと見つめ返した。
- 100 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:34
- 「もっと見てほしいと?」
「うん」
繋いでない方の手を絵里ちゃんの髪に伸ばす。
さらさらの髪を、そっと撫でる。
くすぐったいのか、絵里ちゃんは身体をくねらせて微笑んだ。
「まだ?」
「うん…もっと」
田中くんは、絵里ちゃんに顔を近づけた。
至近距離で見つめ合って、視線を絡ませる。
お互いの瞳の中には、お互いしか映っていない。
今ならキスくらい出来そうなムードだった。
- 101 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:35
- しかし、絶妙なタイミングで、リムジンが停車する。
「あ、着いたみたい…」
田中くんは絵里ちゃんからパッと離れ、ドアを開けようとするが、
その前に吉澤さんが開けてくれた。
「ありがとうございます」
車から降りた田中くんは、目の前に広がった光景に、目を丸くした。
まさに豪邸といった絵里ちゃんの家が、そこに立ちはだかっていたのだ。
「驚かれましたか」
「い、いえ」
絵里ちゃんも車から出てきて、田中くんの隣に並んだ。
少ししょんぼりした様子の彼女に、彼は首をかしげた。
- 102 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:35
- 「では田中さま。ごゆっくりどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
吉澤さんは丁寧にお辞儀をして、再び車に乗り込んだ。
真っ白なリムジンが、華麗に走り去ってゆく。
- 103 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:36
- 「本当に、すごい…」
付き合って三ヶ月。
この日まで知らなかった、彼女の秘密。
絵里ちゃんは私立の高校に通ってはいたけど、
田中くんの友達も通っているレベルの私立で。
普段の服装や持ち物だって、田中くんの周りに居るような
女子たちとあまり変わりなく。
住んでいる家だって、きっと普通の一軒家だと思ってたけど。
実際は、大金持ちの、お嬢様だったなんて。
- 104 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:36
-
*****
- 105 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:36
- 「ここが、絵里の部屋」
案内された彼女の部屋は、おそらくれいなの部屋の10倍はある広さだった。
トイレとシャワーもついていて、ベッドももちろん大きくて。
テレビも薄型だし大型の液晶だし、あるもの全て高級品だ。
あまりにもレベルが違いすぎて、うらやましいというより、単純にすごいと思う。
「あ、れいな、何飲みたい?」
「別に、何でもいいけど」
「それ一番困る」
「じゃあ、牛乳」
絵里ちゃんが頼めばものの5分で飲み物は運ばれてきた。
ふかふかの大きなソファに二人で並んで座って、
田中くんはミルクを、絵里ちゃんは紅茶を飲む。
- 106 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:37
- 「いいねえ。こんな広い部屋独り占めで。何でも出来そう」
「何でも出来るよ?あ、野球とかは出来ないけど」
「いや、せんし」
「しないよね。知ってる」
「でも、部屋にシャワーついてるって、いいなあ」
「そう?」
「ね、ちょっと見に行っていい?」
- 107 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:37
- やっぱり好奇心旺盛な田中くん。
絵里ちゃんのシャワールームへ、いざ出陣だ。
- 108 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/20(水) 17:38
-
…つづく
- 109 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/20(水) 17:39
- レスしていい?していい?
なんだこの萌え設定いいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!1
- 110 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/22(金) 00:41
- >>109さん
萌えていただけてうれしいです
エロでいくと宣言しておいてなかなかエロにたどり着かない予感がプンプンしますが
ヤれるだけヤッてみます
- 111 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:42
-
*****
- 112 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:42
- ここは絵里ちゃんの部屋。絵里ちゃんのシャワールーム。
ということは、当然毎日彼女がここを使っているということで。
記念にと田中くんは彼女の許可を得て、その中に入った。
四五人ほど入れる余裕のあるシャワールームは、ガラス張りだ。
「いいやん。これ、自分専用なんやろ?」
「そだよぉ」
ガラス越しに、シャワールームの外に居る絵里ちゃんと会話する。
田中くんはふんふん頷いて感心してるフリをしながらも、
もわもわ立ち込めてきた妙な感情と必死で戦っていた。
ここで、絵里ちゃんは毎日、裸でシャワーを浴びている。
想像するだけで鼻血が垂れてきそう。
彼女に気づかれないように、背を向ける。
- 113 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:43
- 「れいなは、お風呂入ってから、いちばん最初にどこ洗う?」
ガラス張りになったシャワールームの中に、絵里ちゃんが入ってきた。
田中くんは振り返る。向かい合う、二人。
「顔やね。絵里は?」
「絵里はぁ、頭から」
「そっか」
「うん。ムフフ」
「なん笑いよるんね」
「だって、おかしいんだもん」
「何が」
「何で絵里たち、こんなとこにいるのかな。シャワー浴びるわけでもないのに」
くすくすと絵里ちゃんはひとり笑った。
細くなる目と、覗く白い歯。
田中くんの心臓は、さっきからバクバクし続けている。
- 114 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:43
- 「じゃあ、今からシャワー浴びる?」
田中くんがそう言うと、絵里ちゃんはきょとんとした顔をした。
「今から?」
「うっそー」
「…もぉ」
笑い合う二人。その声がシャワールームに響いた。
- 115 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:43
- 「絵里っていつも、お嬢様って呼ばれとうと?」
「うん。絵里お嬢様ーって」
「なんか変な感じ」
「ちょっとぉ、それどういう意味?」
「絵里お嬢様ー」
「もぉ、からかわないでよ」
「あああ」
「ん?」
「標準語、バリこそばい」
田中くんは両手で自分の身体を抱きしめて、寒いフリをする。
「れいな方言出まくりだね。今日」
「やろ?」
イヒヒ。無邪気に笑って絵里ちゃんを見つめる。
絵里ちゃんも、穏やかな笑みを浮かべて田中くんを見つめている。
「ねぇ、もっと絵里の部屋見たい」
「いいとー」
「なんねそれ」
「れいなの真似したっちゃ」
微妙におかしな福岡弁。でも、可愛い。
きっと絵里ちゃんが使うからそう思えるんだ。
絵里ちゃんなら、きっと英語を使ってても可愛いはずだ…。
愛は盲目だなと思いつつ、田中くんは絵里ちゃんの手を掴んだ。
- 116 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:44
-
*****
- 117 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:44
- 手を繋いで、絵里ちゃんの部屋をウォークラリー。
可愛いヌイグルミやら、思い出の写真やら、絵里ちゃんの大切な宝物を
見せてもらいつつ、二人は最後のチェックポイントにたどり着いた。
それは、ベッドだ。
- 118 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:44
- 「…でかい」
「でもね、このベッド、チョー気持ち良いんだよぉ」
ぴょん、とウサギのように飛び跳ねて、ベッドの上に乗る絵里ちゃん。
田中くんは、どれどれとベッドに触れてみる。「お」
「気持ちくない?」
「ふんふん…」
ベッドの上を手で押してみて、その感触を確かめる。
絵里ちゃんの言うとおり、気持ち良いかも。
- 119 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:45
- 「ねぇ、れいなもおいでよ」
絵里ちゃんが言う。シーツの上に女の子座りして。
悲しいかな、スカートから少し覗く太ももへ視線が行ってしまう。
変なことを考えちゃいかん!
田中くんは、心の中で自分自身を叱咤して、ベッドに飛び乗った。
「キャ!」
そのとき勢いがつきすぎたのか、絵里ちゃんの身体がふわっと浮いた。
楽しそうに彼女が笑う。まるで、子供みたいに。
「これ、良いわ。すごい良い」
思ったよりベッドの感触が良いもんで、田中くんは絵里ちゃんと二人して
しばらくベッドの上で飛んだり跳ねたりしていた。
ここに毎日絵里ちゃんが寝てるなんていうことなど、考える暇を与えない
くらいに、はしゃいで、笑い合った。
- 120 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:45
- 「この抱き枕も気持ち良いね」
「でしょでしょ?」
田中くんが今撫でているのは、絵里ちゃんではなく、ビーズクッション。
それはピンク色で細長くて、彼女は毎晩これを抱いて眠るらしい。
「れいなも抱いてみてよ。チョー気持ち良いんだから」
「え。い、いいの?」
「うん。こーやってぇ…ギュッて」
遠慮気味の田中くんに、やってみせる絵里ちゃん。
枕の形が崩れるほど強く、抱きしめている。
まだ一度も絵里ちゃんから抱きしめられたことも無い田中くんは、
ちょっぴりその枕に嫉妬した。
- 121 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:46
- ほら、と差し出され、田中くんは眉間にしわ寄せ、まじまじとそれを見つめる。
絵里ちゃんが毎晩抱いてるビーズクッション。ピンク色。
触り心地は非常に良い。星五つあげてもいいくらいだ。
ただそこにあるだけで、絵里ちゃんに癒しを与える存在。
なんだか枕ごときに嫉妬してくる自分が。
「……!」
意を決して、ガバッと枕を抱きしめる田中くん。
同時に崩れる、険しい顔。
「キモチイイ…」
せっかくだから、思う存分顔を埋めて、香りを嗅ぐ。
絵里ちゃんの香りだ。もう染み付いている。
今度こそ本当にこいつに嫉妬した。
- 122 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:46
- 「これ、欲しい」
「れいなハマッちゃった?」
「うん…チョー気持ち良いやんこれ…」
力いっぱい抱きついて、すりすりしたりぐりぐりしたり。
憎らしいけど憎めないこの気持ち良さ。ハマる。
「これ、水色が多分あったと思うから、今度あげる」
「マジ?」
「うん。吉澤さんに頼んでおくね」
「ありがとう…あぁ幸せだ…」
まるで我が子のようにビーズクッションを膝の上に抱いたまま、
田中くんは絵里ちゃんを見た。
なぜか唇を尖らせて暗い顔をしている絵里ちゃん。
枕を返せ、ということなのかな。
渋々田中くんはそれを両腕から解放して、絵里ちゃんに返還した。
すると絵里ちゃんは、その枕をぽいっと横に投げて、
田中くんの胸の中に、飛び込んできた。
- 123 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:47
- 「え?ちょ、絵里?」
さっきの抱き枕のように、田中くんは絵里ちゃんから抱きしめられている。
田中くんは、突然の非常事態にあたふたしてしまう。
でもしっかりと両腕を彼の身体に回して抱きついている絵里ちゃんは離れない。
その不器用な抱き方に、田中くんの胸はきゅんと締め付けられた。
「絵里…」
彼女の耳元で名前を囁いて、田中くんもぎゅっと抱きしめ返す。
座っているから少し体勢がおかしいけど、かたく抱き合う二人。
田中くんは、静かに目を閉じて、絵里ちゃんの感触を味わった。
良い香りのする髪。やわらかい身体。あたたかい体温。
そして側で呼吸する彼女の吐息。そのすべてが、田中くんを包む。
心臓がドッキドキなのは当たり前だけど、不思議と安心する。
このままずっとこうしていたいと、純粋にそう思う。
- 124 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:48
- 「好き」
ぼそっと、田中くんは呟いた。
あまり面と向かっては言わないセリフだけど、するりと出てきた。
絵里ちゃんを抱きしめる腕を少し緩めて、彼女の身体をやさしく離す。
照れくさいのか俯く絵里ちゃんだったけど、田中くんがじっと見つめていると、
顔を上げてくれた。
「絵里は?好き?」
「うん」
ぎこちなく微笑む絵里ちゃんの頬に、田中くんが触れる。
「大好きだよ?」
「ホントに?」
「ホントだよぉ」
「…」
見つめ合って、同時に吹き出す。
- 125 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:48
- 「ねぇ、絵里」
「ん?」
「キス、せん?」
だって、こんなに距離が近いのに、キスしないわけにはいかないでしょう。
田中くんは、絵里ちゃんの頬を撫でて、彼女の答えを待った。
すると、絵里ちゃんは顎を少しだけ上げて、目を閉じた。
それが答えということで、田中くんは、顔を近づけていった。
- 126 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:49
-
…つづく
- 127 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/22(金) 00:50
-
从*^ー^) <This is a pen. I use this everyday. Thank you!
从*´ ヮ`)<ハァ━━━━*´Д`━━━━ン!!!!!!
- 128 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/22(金) 03:31
- ま、またいいとこで…!!
そして英語の絵里に自分もハァ━━━━*´Д`━━━━ン!!!!!!
- 129 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/22(金) 15:13
- 絵里ちゃんマジ可愛いな、オイw
- 130 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/24(日) 00:07
- >>128さん
実はこのお話の絵里ちゃんはオーストラリアにホームステイしたことがあって
そこそこ英語が喋れるという裏設定があります(ウソ
>>129さん
それは地球が回っているということと同じくらい常識です(真顔
- 131 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:08
- 付き合って、初めてのキス。
そっと、やさしく。
絵里ちゃんの唇は、想像通りに柔らかかった。
今まで耐えに耐えてきた、彼女とのキス。
色んな感情がわき上がってきて、田中くんの頭は、真っ白になりかけていた。
- 132 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:09
- 一瞬だけの、チュッとしたキスじゃ物足りないから、
田中くんはしばらく絵里ちゃんと唇を合わせていた。
絵里ちゃんは、されるがままだ。
なんとか鼻で呼吸をして、田中くんの腕に掴まっている。
そんな彼女に、田中くんはやっぱり、胸がきゅんとなる。
「…ハァ」
唇を離して、目を開けた絵里ちゃんの瞳を、じっと見つめる。
絵里ちゃんも、田中くんを、田中くんだけを見つめている。
少し潤んだその瞳はうっとりしていて、田中くんとしては照れ臭くなる。
そんな反応してくれるだけで、もう、お腹おっぱい。
ってオーイ!お腹いっぱいやろ!
心の中の、エッチで馬鹿なもう一人の自分をグーで殴る。
絵里ちゃんは、ウヘヘと笑いながら、田中くんの肩に顔を埋めた。
ふたたび田中くんの背中に両腕をまわして、彼のことをぎゅうっと抱きしめる。
- 133 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:09
- 「やばい絵里…今ちょっとやばいんだけどぉ…」
気の抜けた高い声で、小さく呟く絵里ちゃん。
「何がやばいと?」
「ウヘヘ」
田中くんの首元に、笑う絵里ちゃんの吐息がかかる。
うは。タマンネ。
田中くんは思わずかたく目を閉じて気持ちを鎮める。
抱きたい。今ここで、直ちに絵里ちゃんを抱きたい。
でも、そんな欲求は抑えて抑えて。焦っちゃ…いかん。
- 134 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:09
- 「ずっとね、したかったの」
「ん?」
「キス、したかった…」
恥ずかしいのかだんだん声が小さくなる絵里ちゃん。
「絵里ぃ…」
田中くんは、絵里ちゃんを抱く力を少し強くして、彼女の首筋に顔を埋めた。
ふたたび、絵里ちゃんが笑った。よっぽどうれしいらしい。
そんな声を耳元で聞いていたら、田中くんの方もうれしくなってくる。
両思いなんだと実感できるから。
田中くんは抱きしめる手を移動させて、絵里ちゃんの頬を包んだ。
そして、鼻と鼻がくっつくほど顔を近づけて、微笑む。
「目、つぶって」
「……」
微笑みながら、そっと目を閉じる絵里ちゃん。
60度くらい首を傾けて、田中くんは彼女に、付き合ってから二度目のキスをした。
- 135 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:10
- さっきより余裕のある絵里ちゃんは、田中くんの唇が離れた後、
自分の両頬を包む彼を真似して、両手で彼の頬に触れた。
そして、ウヘヘ、と無邪気に笑う。
「なん笑いよると?」
「ふふ…」
「なんかキショイよ絵里」
でもこの世のものとは思えないほど可愛いぞ☆
…そんなこというと逆にキショイと言われそうだったので、口には出さない田中くん。
両手を絵里ちゃんの頬から離し、彼女の太ももの上に置く。
これは断じていやらしくない、愛のあるボディタッチだ。
- 136 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:10
- 「目、つぶって?」
「ん…」
絵里ちゃんに言われるまま、田中くんは目を閉じた。
がっちり田中くんの顔を掴んでいる絵里ちゃんは、彼の唇を撫でるように口づける。
そしてまたウヘヘと吹き出して笑って、田中くんを笑顔にさせる。
「…真似してみた」
ふにゃ、っと崩れる絵里ちゃんの表情。
うは。なにこのとろけるチーズのような笑顔。
田中くんは、今この場で叫びながらのた打ち回りたい気分を必死でこらえ、
不意打ちでキスをした。絵里ちゃんが驚く。でも、すぐに笑顔になる。
絵里ちゃんが、間を置かずにキスしてくる。少し驚く田中くん。
仕返しとばかりに、田中くんも再びキスをする。絵里ちゃんも、それにキスを返して。
- 137 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:11
- そこからは二人のキス合戦。
田中くんが二回キスすれば、絵里ちゃんも二回キスで応える。
三回すれば、三回返ってくる。
四回すれば四回。五回すれば、もちろん五回。
遊んでいるようで、真剣なようで遊んでる二人。
「あ、一回少ない」
「うそ」
「あーあ」
「…もう、やめよ?」
やっと自分たちのしていたことのくだらなさに気づき、二人は笑い合った。
「どうしよぉ。絵里たち超バカップルだよ?ウヘヘヘヘ」
気の抜けた笑い声が、田中くんの目の前を通り過ぎる。
うは。なにこのマイナスイオン大放出な声。
もも、もう一回キスを…とにやけ顔で絵里ちゃんに迫る田中くんだが。
「ねぇ、なんかお腹すいた。おやつ食べよっか」
の一言で、ベッドの上でのお遊びは終了となった。
- 138 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:11
-
*****
- 139 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:12
- でもまあ、おやつタイムも悪くない。
田中くんは吉澤さんが運んできたバームクーヘンにかじりつきながら、
同じものを食べている絵里ちゃんを眺めていた。
その仕草は、それはもうお上品で、ああ本当にお嬢様なんだなと思わせる。
こんな豪邸に住み、身の回りの世話をしてくれる執事(ヒツジじゃない)もいて、
毎日美味しいおやつを食べることが出来て、何の不自由も無い生活を送っていて。
それでいて、テレビや雑誌のグラビアで見るようなアイドルなんかよりも、可愛くて。
性格も良いし、非の打ち所も一切無い。
たまにちょっとキショイ発言や行動をとるときもあるけれど、それは頭の片隅に置いといて。
絵里ちゃんってどう控えめに考えても最高やん。
愛は盲目だとはよく言うけれど、絵里ちゃんが可愛いのは紛れも無い事実。
田中くんがベタボレになるのも、そらしゃーないわって感じで。
- 140 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:12
- 「何か映画観る?」
「いいねえ」
「何がいっかなぁ…タイタニック?」
「古っ」
ということで、絵里ちゃんが内線電話で吉澤さんに頼んでから、
ものの五分で映画のDVDが運ばれてきた。仕事速すぎ。さすが執事。
- 141 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:13
- 「では、照明を落とさせていただきます」
「どぞー」
「えっ?えっ?」
みるみるうちに暗くなる、絵里ちゃんの部屋。
明かりは、ソファの横にある小さなテーブルの上にあるランプのみ。
でも、大画面テレビの明るさで、真っ暗というほどでもなかった。
- 142 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:13
- DVDの再生ボタンを押してから、失礼します、と吉澤さんは部屋を出て行った。
再び、絵里ちゃんの部屋に二人きり。
映画が始まったそのとき、絵里ちゃんは田中くんにぴたっとくっついて、
腕を絡ませてきた。思わず背筋を伸ばす田中くん。
「…なんか映画館みたいじゃない?」
うれしそうに、耳元で囁かれる。
「そうやね…」
田中くんは、ただそれだけ返して、大きな画面を見つめた。
こんな状況で、映画なんて観てられるか!
エッチで馬鹿なもう一人の自分が、暴れたそうにウズウズしている。
落ち着けこの馬鹿野郎!
田中くんは彼に一本背負いをぶちかまして、映画の世界へと入り込んでいった…。
- 143 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:14
- 映画のクライマックスもクライマックスのとき、なにやら隣から鼻をすする音が。
ふと隣を見れば、なんと。
絵里ちゃんが泣いているではないか!
「ちょ…絵里…?」
「…ヘヘ」
泣いてることを田中くんに指摘され、泣き笑いになる絵里ちゃん。
頬を伝う涙を指で拭い、上目遣いで田中くんを見る。
そんな顔されちゃたまんない。田中くんは、絵里ちゃんの頭を撫で、肩を抱き寄せた。
「泣くなよお」
「…らってぇ」
泣いたせいでちょっと舌足らずみたいになっている絵里ちゃん。子供みたいだ。
- 144 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:14
- 「ねぇれいな」
「ん?」
呼ばれて振り向くと、すぐそこに絵里ちゃんの顔。
彼女は、何も言わずに目を閉じた。
こ、これってキスしてっていうアレですか?おねだりですか?
そろそろ、もう一人の自分の我慢の限界が近づいていた。
- 145 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:15
-
…つづく
- 146 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:16
-
从*^ー^) <ジャーック!
从*` ロ´)<ローズ!
- 147 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/24(日) 00:16
- 次こそ…ね?
- 148 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/24(日) 07:45
- つ、つ、つつつ、次こそ!
- 149 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/24(日) 20:08
- 甘ああああああああああああい!
- 150 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/25(月) 21:24
- >>148さん
…ね?って期待に応えられているのか微妙ですが
>>149さん
あんこより、チョコより甘い、それがれなえりクリッティ
- 151 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:25
- 映画の結末なんて、そっちのけ。
田中くんは絵里ちゃんにそっと口づけた。
キスをしながら、絵里ちゃんの両腕が田中くんの背中にまわされる。
「ハァ」
息苦しくなって離れた絵里ちゃんの唇を追いかけ、もう一度。
今度は、彼女の唇を挟むように口づける。
はじめは固く閉じられていたその唇だが、田中くんが何度もそうやって
キスしていると、いつの間にか少し開き始めて。
彼女の唇を舐めたりしていた田中くんの舌は、ほどなく絵里ちゃんの口内へと忍び込む。
- 152 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:25
- 映画での濃厚なラブシーンを見た直後だからか、絵里ちゃんの抵抗はまるでない。
さらには、なんと彼女の方からも、自ら積極的に田中くんに舌を差し出している。
絵里ちゃんと交わす深い口づけの気持ちよさと、唾液が絡み合う音、
そして自分たちの荒い呼吸に、田中くんは史上最大の危機を感じ始めた。
「れいな…」
長く甘い口づけの合間に聞こえる、絵里ちゃんの声。
田中くんを潤んだ瞳で見つめ、もっとキスしようよと言いたげに唇を合わせてくる。
大人のキスをするのは、田中くん相手が初めてな絵里ちゃんだけど、
そんなことを感じさせないくらいに積極的で、上手い。
絵里ちゃんがキス上手なのは遺伝だ。きっとそうだ。
濃厚な口づけを交わしながら、田中くんは思う。
でなきゃ初めてでこんな風に出来んやろ…。
それとも、無理させてる?本当はこんなキス、したくない?
んなわけない。したくなかったらもっと早くに拒否ってる。
彼女も望んでる。だからこんな風に応えてくれる。きっと、そうに決まっとる。
- 153 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:26
- 大画面テレビに映画のエンドロールが流れ始めても、
田中くんと絵里ちゃんは、夢中でキスを交わしていた。
それはもう、長い長い、キスだった。
こんなに長い間、こんな激しいキスをしていても、まだまだ足りない。
喉が渇ききった人みたいに、田中くんは絵里ちゃんの唇を求め続ける。
絵里ちゃんも絵里ちゃんで、田中くんに応えようと必死。
その姿に刺激され、田中くんの欲求はますます膨らむばかり。
このままじゃ本当に大爆発してしまう。
「絵里…」
田中くんは、絵里ちゃんの腕をくいっと引っ張って、自分の膝の上に導いた。
彼女はワンピースを着ているけれど、田中くんにまたがるようにして座った。
今度は真正面。
絵里ちゃんが田中くんの首の後ろに両腕を滑らせ、
田中くんは絵里ちゃんのウエストを抱き寄せる。
少し位置が高くなった絵里ちゃんから、キスは再開された。
すぐに絡む、二人の舌。
首の角度を何度も変えながら、大胆に求め合う。
なめらかなワンピースの生地を、田中くんは手のひらでなぞる。
いや、本当になぞっているのは、絵里ちゃんの身体。
腰から背中辺りを、やさしく撫でる。
率直に言えば、胸を触りたいし揉みたいし吸いたい。
スカートの中へ手を入れて、彼女の秘密な場所を…
田中くんは、エッチで馬鹿なもう一人の自分に、激しく同意した。
- 154 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:26
- もう、しょうがなかった。
田中くんは、健全な男の子なのだ。
好きで好きでたまらない相手とエッチなキスをしていたら、当然その先を考えてしまう。
果たして絵里ちゃんも同じように考えてくれているのか。それはわからないけれど。
ちょっと間違えました風に見せかけて、田中くんはそっと絵里ちゃんの胸に触れた。
ビクッとなる、絵里ちゃん。すぐに手を引っ込める。
絵里ちゃんは、肩を上下させ、荒い呼吸を整えている。
同じく田中くんも少し息が切れていたが、真剣な顔で絵里ちゃんを見つめた。
「絵里…」
- 155 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:27
- 絵里ちゃんは、アヒル口になっていて、本当に泣きそうになっていた。
頬が赤いのは、激しいキスをしていたせいでもあり、田中くんに胸を触られたから。
なんだか後悔が襲ってきた田中くんだが、先に口を開いたのは彼女の方だった。
「…れいな…ごめんね」
田中くんだけにしか聞こえないような小さな声で言って、絵里ちゃんは彼に抱きついた。
「絵里がもっとちゃんと出来たら、れいなだって我慢しなくてすむのに……」
「…」
「絵里、がんばるから…」
「……」
「だから…しよ?」
「……………ぅえっ?」
「なにその反応」
「いやいやいや、今なんて」
「絵里、がんばるから」
「いやその後」
「…しよ?」
うは。なにその上目遣い。ここにきてそれ?核爆弾級の破壊力やん!!!!!!!!
もう我慢の限界超えた。もう無理。今すぐ抱く。もう決めた。
- 156 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:27
- 「ヒャッ!」
悲鳴を上げた絵里ちゃんなどお構いなし。
田中くんは彼女を抱っこしたまま、先ほどたっぷり遊んだベッドに移動した。
「そんなセリフ、どこで覚えてきたんね!」
「キャ!」
絵里ちゃんごとベッドに倒れこむ田中くん。
「どこで覚えてきたと思う?」
「へ?」
予想外の返事に、思わず間抜けな顔になる。
絵里ちゃんは、さっきとは打って変わって子供のような笑顔を浮かべている。
「ど、どこ?」
「ひ・み・つ」
ウヘヘヘヘ…白い歯を覗かせながら、絵里ちゃんは笑った。
- 157 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:27
- 「なんそれ。キショイんやけど」
「あーまたキショイとか言った!信じらんない」
「キショイもんはキショイ」
「キショくないでしょ。可愛い、でしょ?」
「…キショ」
「ちょっとぉ!ひどくない?」
「ひどくないひどくない…」
一気に雰囲気が普通に戻ってしまい、冷静になった田中くんは考える。
もう一人の田中くんは、すでに戦闘体勢に入っている。
でも、よくよく考えれば、アレは今…あったっけ。財布の中にあればいいけど。
「…どうしたの?」
「ん、いや…」
ズボンの後ろポケットの財布が気になってたまらない。
けどいきなり財布チェックとか、どんだけ帰りの交通費に怯えてるんだって話で。
「とと、トイレ行ってくる…」
思いっきりどもったけれど、田中くんは身体を起こし、トイレに向かった。
- 158 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:28
-
*****
- 159 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:28
- 「焦った…」
トイレの中で、財布の中身チェック。
すると、思ったとおり、滅多に覗かない所に入っていた。
いつのものなのか、まったく記憶にないアレが。
アレって何?って、この流れならわかるでしょう。
でも、念のため、全然わからない人にヒントを与えておきましょうね。
田中くんは、近藤さんを発見したのです。
- 160 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:28
- 形だけでも、水を流し、手を洗って、田中くんはトイレを出た。
「うお」出た瞬間、驚いてドアに張り付く。
なんと、絵里ちゃんがトイレの前で待っていたのだ。
「どど、どした?」
どもってばっかだ…と自己嫌悪しつつ、絵里ちゃんに笑いかける。
絵里ちゃんは、アヒル口。何か言いたげな顔で、田中くんを見つめている。
「さ、戻ろう戻ろう…」
田中くんは、絵里ちゃんの身体をくるりと回して、その背中を押した。
すると、絵里ちゃんは再び半転して、田中くんに抱きついた。
「え、え、ちょ、絵里?」
「…どうしよぉ」
「へ…何が?」
「れいながトイレ行っちゃうだけで、寂しいよぉ」
より強い力で、彼女から抱きしめられる田中くん。
「どうしよ。絵里、頭おかしい?」
「おかしくない…むしろ嬉しい」
田中くんも、ぎゅうっと絵里ちゃんを抱きしめる。
そしてやっぱり聞こえる、ウヘヘという絵里ちゃんの照れ笑い。
- 161 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:29
- 豪華な洗面台の前で、二人はキスを始める。
じゃれあうようなキスから、次第に大人の口づけへ。
絵里ちゃんは、すっかりキスのとりこになった様子。
田中くんが舌先を差し出すと、絵里ちゃんはそれに自分の舌を合わせて、
ゆっくり、ねっとりと絡める。色っぽい声が、時折彼女の口から漏れる。
エッチだ。絵里ちゃんはとてもエッチだ。
ちょっと大人しくなりかけていたもう一人の田中くんが、再び元気になって暴れだす。
「ベッド、行こう…」
絵里ちゃんの耳元で囁いて、彼女の手を握る田中くん。
小さく頷いた彼女と、ベッドへ戻る。
- 162 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:29
-
*****
- 163 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:29
- 田中くんは、絵里ちゃんをベッドに座らせる。
そして、熱い口づけを。
もうヤるしかない。それ以外の選択肢なんて、無い。
- 164 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:30
- 絵里ちゃんの隣に座って、さらにキス。
さっきから飽きるほどしているけれど、まったく飽きない。
全然足りない。もっと欲しい。
服の上から、絵里ちゃんの胸を触る。
彼女は少し驚いていたけれど、キスはやめなかった。
「絵里…服…」
「ん…」
いったん唇を離して、見つめ合う。
「れいなから脱いで?」
「あ、あぁ…」
そう言うのなら、と田中くんは一気にTシャツを脱ぎ、上半身をさらけ出した。
床に、シャツを投げ捨てる。
「絵里も」
「うん」
はにかんで頷く絵里ちゃんは、田中くんに背中を見せた。
「ファスナー、下ろして?」
うは。なにその可愛すぎるおねだり。
もちろん、と田中くんは彼女のワンピースのファスナーを下ろした。
すると見えてくる、彼女の肌と、ピンク色のブラジャー。
たまんないんですけどこのアングル。
絵里ちゃんは、ファスナーが開いたのを確認すると、
まるで脱皮する芋虫みたいに、ワンピースを脱いだ。
- 165 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:30
- 「絵里」
田中くんは絵里ちゃんを後ろから抱く。
密着する、二人の肌。
こうしているだけでも、心臓が止まりそうだ。
「なに?」
「まさか今日…こんなことになるとか、思わんやった」
「そうだね」
くすっと笑う絵里ちゃんの首筋に口づけ、両手を彼女の胸にもっていく。
「あっ…あぁ…」
絵里ちゃんは身をよじらせて、田中くんの愛撫に身を任せている。
田中くんは、絵里ちゃんの肩や背中にキスをしながら、彼女の胸を弄った。
そろそろ、ブラジャーが邪魔になってくる。
「これ、取るよ」
それをなぞりながら、絵里ちゃんの耳元で囁く。
絵里ちゃんは何も言わずにただ頷いた。
ブラジャーのホックを両手を使って外す。
やさしく丁寧にそれを絵里ちゃんから脱がし、床へ落とす。
「こっち向いて」
「…」
「絵里の身体、見たい」
- 166 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:31
- 絵里ちゃんは、ゆっくりと、振り返る。
「…はずい」
そして、小さくそう言って、田中くんに抱きついてきた。
うは。思わず笑ってしまう田中くん。
初々しくて、可愛いな。たまらんなこれ。
「キャッ!」
抱き合ったまま、絵里ちゃんごとベッドに倒れこむ。
少し身体を離して彼女の瞳を見つめ、またキスをする。
キスの間、絵里ちゃんの手のひらが、田中くんの背中を這う。
なんともいえないその感触に、田中くんはたまらず絵里ちゃんの
首筋や、のどや鎖骨に、たっぷり口づける。
そして、顔をもう少し下へ移動させて、彼女の胸へ。
ついに、ここまできたか。
田中くんは感慨深げに絵里ちゃんのおっぱいを見つめ、目を細めた。
「…ホントにはずいんだけどぉ…れいなぁ…」
「大丈夫やって。すぐに慣れる」
「あっ」
田中くんから胸を揉まれ、絵里ちゃんが艶かしい声を上げた。
いくら初めてといえど、女は女。
敏感なところを愛撫されれば、自然と声が出る。
こうやって、先端に口づければ、嫌でもそこは硬くなる。
- 167 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:31
- 揉んだり吸ったり、舐めたり噛んだり。
田中くんは絵里ちゃんのおっぱいに夢中だった。
スルメ以上に、味がある。なんちって。
キスも大好きだけど、やっぱりおっぱいも大好きだ。
何が好きって、この柔らかさ。
「れいなぁ…」
絵里ちゃんは田中くんにされるがまま、この流れに身を任せている。
もっと抵抗されると思っていたから、なんか拍子抜け。
予想ではもっとこう、イヤイヤ言われて、いいやんいいやんと無理矢理
エッチに持ち込む感じだったんだけど。
そして、イヤイヤ言う絵里ちゃんでハァハァするつもりだったんだけど。
でも、素直な彼女も全然悪くない。
エッチなこと、嫌いじゃないみたいで、ホッとした。
- 168 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:31
- 田中くんは、絵里ちゃんのワンピースを引っ張り、取り去った。
ブラジャーとお揃いのパンティが現れる。
「…これ、取ってもいい?」
その生地に触れながら、尋ねる。
「取るよ…」
絵里ちゃんは返事をせずに田中くんをじっと見つめている。
取ってもOKと見なして、パンティを剥がすように脱がす。
「ねぇ…チョーはずいんだけどぉ…」
「え?」
「そんなじっと見ないでよぉ…」
「いいやん…見さしてよ」
ついに登場。絵里ちゃんの秘密な場所。
田中くんはごくりと唾を飲み込んで、とりあえず凝視する。
もちろん部屋は薄暗いままなので(さっき映画観てたから)、はっきりとは見えない。
けど、自慢の視力2.0で、ジーっと見入る。
まだ誰も入ったことの無い秘密の花園へ、さあ行こうじゃないか。
- 169 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:32
-
…つづく
- 170 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/25(月) 21:32
-
从*^ー^) <イヤイヤ…
从*´ ヮ`)<ハァハァ…
- 171 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/25(月) 22:49
- つ、続き早く更新汁!!!ハァハァ…
- 172 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/27(水) 02:02
- >>171さん
続きイッちゃいます…今深夜だし、いいよね?大丈夫だよね?
- 173 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:03
- なんて魅力的な身体つきをしているんだろう。
田中くんは、裸の絵里ちゃんを爪先から頭のてっぺんまで見渡して、感動した。
「だからぁ…そんなに見ないでってぇ…」
「恥ずかしいと?」
「恥ずかしいよぉ…当たり前じゃん…」
唇を尖らせ、田中くんを睨んでいる絵里ちゃん。
でも全然怖くもなんともない。むしろ可愛い。
「れいなも全部脱いでよ」
「え?」
「絵里、ハダカなのにぃ…」
「ハダカ、見たいんや」
「うん」
ぶはっ。そんなきょとんとした顔で言うセリフじゃない。
なに当たり前のこと聞いてるの?って感じやん。
田中くんは、急に恥ずかしくなってくる。
「…見たいと?」
「うん。早く脱いでよ」
「あ、ハイ」
絵里ちゃんって、よくわからない。
絶対Mだって思ってたけど、肝が据わってるからちょっとMに見えなくなってきた。
逆に、自分Mかもって。いやいや、ありえないし。
初めての彼女を、リードしなきゃいけない立場なんだこっちは。
- 174 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:03
- 絵里ちゃんに一旦背を向け、ベッドの端に座る。
そして、カチャカチャとベルトを外してズボンを脱ぐ。
床には、脱ぎ捨てた服たちが散らばっている。
中には絵里ちゃんの下着も、ある。
改めて、ここまできたかと、ここまできちゃったかと。
昨夜、エッチするなんてありえないから考えるだけ無駄って思ってたのに。
トイレに入ったとき財布から抜き出しておいたアレをポケットから取り出す。
やっぱり、コレは重要だ。
着けずにしたいのは山々だけど、実はあんまり着けたくないけど。
これから彼女のことを良く知った上で、いつの日か着けずにしようと思う。
そういう方面の知識だけは豊富な田中くんは、こっそりニヤニヤした。
「何してるのぉ」
「ウヒョッ」
ふいにするりと腕が伸びてきて、絵里ちゃんに後ろから抱きしめられる。
「いや、ちょっと準備を、ね」
「あぁ…」
絵里ちゃんは田中くんがアレを手にしていたことを発見し、曖昧に返事した。
ていうか背中!直接当たっとるし!
- 175 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:04
- 「絵里…キス」
「ん」
首だけ絵里ちゃんの方を向いた田中くんが顔を近づけると、
彼女はそっと唇を重ねてきた。でも、すぐに離れる。
「もっと…」
唇を少し開いて、絵里ちゃんを待つ。
絵里ちゃんも唇を開き気味に、田中くんに口づけた。
ふたたび、田中くんは絵里ちゃんをシーツの上に押し倒す。
キスをしながら、彼女の身体を撫でて。
アレは、枕もとに。いつでも手の届く距離で。
- 176 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:04
- 彼女の秘密な場所へ、指を滑らせる。
ソコは温かくて、すでにやわらかくなっていた。
「れいなぁ…」
まるで助けを求めるように、絵里ちゃんが呟く。
田中くんは、指を動かしながら、「絵里、すっごい」と囁いた。
とたんに田中くんから顔を逸らし、絵里ちゃんが恥ずかしがる。
でも、田中くんが小さな膨らみを愛撫する度に、甘い吐息が漏れていた。
「もぉ…やだぁ…」
「気持ち良くない?」
「あっ」
もう、指はすっかりべとべとな田中くん。
固く目を閉じ、顔を背けている絵里ちゃんが可愛くて、つい意地悪したくなる。
敏感な膨らみを擦る。とても滑らか。斉藤くんのギャグより、よく滑る。
緩急つけて、絵里ちゃんの反応を見ながら、徐々に徐々に…。
「れいなぁ…どうにかなっちゃうよぉ…」
「ん?」
「はあぁ」
とぼけたフリして、ぐいぐい小さな膨らみを責める。絵里ちゃんの声がさらに高く。
- 177 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:04
- 「はぁ…はぁ…」
田中くんは、ぐったりとなった絵里ちゃんの上に覆いかぶさった。
「絵里、大丈夫?」
「…だいじょぶじゃない」
恥ずかしいのか視線を合わせようとしない絵里ちゃん。
「ほら、これ見て…」
さっきまで絵里ちゃんの大事な場所を弄っていた指を、彼女の目の前にかざす。
それがべとべとに濡れているのは明らかだ。
絵里ちゃんがちらっと見た瞬間、田中くんはその指を舐める。
呆然としている彼女に、いひひと笑いかける。
「もぉ…れいなキライ…ていうかキモイ」
瞳を潤ませ、睨み付けてくる絵里ちゃん。
ああああぞくぞくする。泣きそうな絵里ちゃんを見ていると、心底興奮してくる。
「キモイはいいけど…キライはちょっと」
絵里ちゃんに顔を近づけて、田中くんは言った。
「絵里に嫌われたら…もう…生きてけん」
今日何度目のキスだろう。もうわからない。
田中くんは絵里ちゃんの唇を奪い、頬にキスをした。
- 178 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:05
- 「好きだよ…れいな」
「ホントに?」
「うん。好き。ずっと、好き」
「よかったぁ」
「もぉ、キライになるわけないでしょ」
目を細めて、絵里ちゃんが笑った。
唇を、絵里ちゃんの下半身に向かって移動させていく。
鎖骨が弱いのか、そこに口づけると彼女はひときわ大きく反応した。
田中くんは、両手で絵里ちゃんの胸を弄りながら、鎖骨に何度も口づけた。
色っぽく彼女は身をよじらせる。その姿はまさに女だった。
やわらかいお腹に頬ずりして、最後にソコへ辿り着く。
躊躇なく、田中くんは顔を埋めた。
絵里ちゃんの身体が、一瞬にして強ばる。
- 179 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:05
- 「絵里、ちょっと脚開いて」
落ち着いた声で、田中くんがお願いすると、絵里ちゃんの脚が少し開いた。
そこへ手をさし込んで、容赦無くガバッと開く。
同時に驚いた絵里ちゃんの声がしたけど、それは無視の方向で。
いちいちそんなの気にしてたら先に進めやしない。
…って、なんか今すごい最低なこと口走った?
すいません結構我慢の限界近いんです。
本当はもっとやさしく彼女を抱きたいんです。
けど、ちょっと今そんな余裕が、無いんです。
彼女の秘密な場所の入り口に触れる。
まだ誰も知らない秘密な場所。
浪漫溢れる、無限のキャンパスが、そこに。
- 180 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:05
- 絵里ちゃんの両脚を開かせたまま、田中くんはソコへ口づけた。
彼女は脚を閉じようとするけど、必死でそれを拒む。
やっぱり力じゃ月とスッポンの差。
田中くんは柔道部の大将なのだ。絵里ちゃんが勝てるわけがない。
しつこいほどに、田中くんは舐める。吸って、舐める。
抵抗する術の無い絵里ちゃんは、田中くんにされるがまま。
どうしようもないので、ただひたすら身体をくねらせて、苦しそうに声を上げるだけ。
その手はぎゅっとシーツを掴んでいる。
「ハァ…」
ひとしきり満足した田中くんは、口の周りを手の甲で拭った。
火照った顔で放心状態の絵里ちゃんに覆いかぶさって、頬にキスをする。
不安そうな彼女が少しでも落ち着くように、髪を撫でて顔中にキスをする。
「絵里お嬢様」
「…さぶいよれいなぁ」
呆れたように笑う絵里ちゃん。いひひ。田中くんも一緒に笑う。
今度は唇にキスを。軽く絡め合い、そして離れる。
- 181 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:06
- 田中くんは一旦起き上がって、さっき脱ぎ忘れていたパンツを脱いだ。
もう、今にも暴走しそうなもう一人の自分がひょっこり顔を出す。
「れいな…なんか…すっごいね」
「絵里が可愛すぎるけん、こんなんなったと」
「そっかぁ…ハハ」
表情の和らいだ絵里ちゃんに微笑みかけつつ、アレを装着する。
絵里ちゃんは、まじまじと田中くんを見つめていた。
口をぽけーっとあけて、ちょっとアホっぽい顔になっている。
「絵里?どうしたと?」
「なんか…あれだね」
「ん?」
「あれだよ…あれ」
「なん?」
「もぉ、いいじゃん…あれはあれだよ」
恥ずかしさと照れ臭さがピークを超えたせいで、おかしくなっちゃったのだろうか。
絵里ちゃんはひとりケタケタ笑い始め、逆に田中くんがアホ面になった。
「ようわからんけど…」
あらためて、田中くんは絵里ちゃんに覆いかぶさった。
何気に閉じられていた脚を、再びガバッと開かせて、その間に身体を入れる。
絵里ちゃんは、緩んだ顔のまま、田中くんを見つめていた。
「絵里、笑いすぎ…」
「らってぇ…なんかおかしくなってきちゃって…」
「あーあ、さっきまでの良いムードが台無しやん」
田中くんは残念そうに言いながら、絵里ちゃんの方へ身体を倒す。
- 182 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:06
- 「れいな」
「ん?」
田中くんの頬に触れ、絵里ちゃんは真面目な顔になった。
一転し、二人の間の空気が変わる。
「絵里…」
絵里ちゃんの手に導かれるようにして、田中くんは彼女に口づけた。
するりと、田中くんの首に絵里ちゃんの腕が巻きつく。
始めは緩やかだったキスは、次第に激しく、濃厚に。
音を立てて絡み合う二人は、もっともっとと近づいて。
「入れるよ」
「ん…」
田中くんは硬くなったソレを絵里ちゃんの入り口に押し付けた。
いよいよ来ましたこの瞬間。
絵里ちゃんとひとつになる、感動の瞬間。
彼女の初めてを頂く、貴重な瞬間。いいことある記念の瞬間。
ゆっくりゆっくり、田中くんは挿入していく。
それに伴って絵里ちゃんの顔は次第に歪んでいく。
「い…いたい…」
「ごめん…ちょい我慢して…ハァ」
ここまできてストップなんて、ありえない。
絵里ちゃんだってわかってる。
必死に痛みに耐えて、恍惚の表情を浮かべている田中くんを受け入れている。
- 183 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:06
- 「…れいな…きもちいい?」
「うん…チョー気持ち良い」
「やばい?」
「やばいやばい」
「俄然強め?」
「俄然…ハァ」
「あっ…えっ…」
突然動き始めた田中くんに驚く絵里ちゃん。
辛そうな絵里ちゃんに構わず、ガンガン腰を動かす。
もう我慢出来ない。
膨らんだ欲望は、あとは爆発させるのみ。
猛烈な勢いで責めてくる田中くんに、絵里ちゃんは必死で掴まっていた。
ベッドが軋むくらい、激しく腰を振る田中くん。
耳元で聞こえる苦しそうな絵里ちゃんの声に、ますます気持ちが昂ってくる。
今までに感じたことがないほどの興奮だった。
絵里ちゃんに辛いことはさせたくないのに、身体が言うことをきかない。
止まらない。どうしよう止まらない。
気持ち良すぎる。
- 184 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:07
- 「絵里ぃ…」
田中くんは、動くペースを速めたかと思うと、あっという間にイッてしまった。
絵里ちゃんからソレを抜いて、脱力し彼女の横に倒れ込む。
「…れいな?」
「ハァハァ…」
疲労と達成感で、言葉が出てこない田中くん。
涙のあとが残る絵里ちゃんを抱き寄せて、その胸の谷間に顔を埋める。
「ごめん…痛かったやろ…」
彼女を見上げ、心から謝罪する。
「なんかもう、イッパイイッパイで……ごめん」
終わった途端しょぼくれだした田中くんを見て、絵里ちゃんは微笑んだ。
そして、彼をぎゅうっと抱きしめて、髪をやさしく撫でてあげた。
- 185 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:07
- 「初めてがれいなで、ホントに良かった。絵里、幸せ」
「…うは」
彼女の言葉が嬉しくてつい声が出てしまう。
「ちょっと痛かったけど…みんな痛いって言うし…」
「え?」
「愛ちゃんがね、言ってたの…痛いから覚悟しとけーって」
「愛ちゃん?」
初めて聞く女の子の名前だった。
絵里ちゃんと一番仲良しは、確か違う名前だったと思うし、
たいがい彼女の口から出てくる名前も、それとは違う。
「絵里の幼なじみのお姉ちゃん。絵里、お兄ちゃんしかいないでしょ?
だから、絵里のお姉ちゃんみたいな感じなの」
絵里ちゃんのことで、田中くんが知らないことはまだまだたくさんある。
また、今日みたいに彼女の秘密が明らかになる日が来たりするのだろう。
もちろん、彼の秘密も、いつか彼女に。
- 186 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:07
- 「…ていうか、そんな話するんや」
「するよぉ。お年頃だもん」
「ぶはっ」
「なにその笑いぃ」
「絵里って、何気にエロいんやね」
「ちょっとぉ、勝手に決め付けないでよ!」
「…標準語さぶい」
それから、吉澤さんからの内線電話がかかってくるまで、
二人はベッドの上でひたすらイチャイチャしていましたとさ。
- 187 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:08
-
終わり
- 188 名前:彼女の秘密 投稿日:2006/09/27(水) 02:08
-
从*´ ヮ`)<明日はウチで…いひひ
从*^ー^) <笑い方キモイから…ウヘヘ
- 189 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/27(水) 04:04
- 深夜に絶叫してしまった・・・
死ぬほど続編希望!!
- 190 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/27(水) 07:30
- 次の日のれいなの家でキャメッスル編ももちろんあるんですよね!!!
- 191 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/29(金) 01:21
- >>189さん
川VvV)<その願い 叶えよう!
でも深夜に絶叫はやめてください。お隣さんビックリしますよ?
>>190さん
あります…まだ全く書いてませんが
ちょっと待ってて欲しい☆カナ
- 192 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/29(金) 01:22
- 登場人物
川VvV):藤本美貴
从*^▽^):梨華ちゃん
(0´∀`) :吉澤さん
その他は大体架空です
- 193 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:23
-
*****
- 194 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:24
- 深夜のとあるバー。
カウンターで静かに酒を飲む若い男ふたり。
ひとりは、吉澤さん。職業、執事。
そして、藤本美貴。職業、会社員。
ふたりは学生時代からの友人だった。
縁あって、現在でも良好な関係を保ち続けている。
- 195 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:24
- 「今日、休みだったんだな」
「ああ。絵里お嬢様がさ、”よしざわさん休んでいいよぉ”って。
マジ可愛い。さすがおれの絵里」
「相変わらずなお嬢様だ。てか、いつからてめえのモノになったんだ」
「彼女、今日朝からボーイフレンドの家に遊びに行くっつって」
「ボーイフレンド。彼氏か?」
「もちろん」
「あれか。あの、弁護士事務所のお坊ちゃま?」
「違う。普通の…フッツーの高校生だよ。まだ毛も生えてなさそうな」
「へぇ。絵里ちゃんらしいね。なんか」
「くそっ。あんなどこの馬の骨かわからんやつに絵里を渡せるかっ」
吉澤さんは、ぐいっとウォッカをあおった。
渋い顔をして、美貴を見る。美貴は苦笑した。
「ま、まあ、上には幸いお坊ちゃまがおられる。
きっと社長も、絵里お嬢様には自由な恋愛を望んでる、と思う」
「そうかな。ご主人様の考えは誰も読めないからわかんねえぞ」
「そうなんだよなぁ…変わってるから…あのオヤジ」
おっとっと。社長をオヤジ呼ばわりしてしまった。
- 196 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:25
- 「でも、その彼氏。早いうちに手を打っとかないと、後々あれじゃない?」
美貴は、氷だけになったグラスを目の前のバーテンダーに差し出す。
同じものを、と頼んで、吉澤さんを見る。
「最近の高校生は、すぐヤッちゃうから。マジで気をつけないと」
「…」
「ま、まさかもう、絵里ちゃん…」
「ああ。このおれの反応で察してくれ」
「おまえ…絵里ちゃんに聞いたのか?」
「んなわけ!そんなことするわけないじゃん。コレから聞いたんだよコレから」
コレ。吉澤さんは右手の小指を立てて美貴に示した。
「あー、あの、どーしようもないお嬢様か」
「どーしようもないとか言うなこの平サラリーマンめ」
「ちょ、ボク、一応来年度から課長ですけど」
「…マジで?」
「マジマジ」
「おめえいつからそんなに出世したんだよ」
「まあ。一生に一度の大恋愛が終わってからかな…」
「美貴!」
吉澤さんはガバッと美貴を抱きしめた。
「さあ、おれの胸で泣け。気がすむまで泣け!」
「ちょ、よっちゃん…キモチワルイって」
ぎゅうぎゅう抱きしめる、吉澤さん。
必死に彼を引き剥がそうとする美貴だが、無駄に力が強くて敵わない。
「も、もういいから…離せ馬鹿…コロスぞ」
低い声でそう言い放つと、やっと解放された。
- 197 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:26
- 「そんな物騒なこと言うなよ美貴ぃ…焦るじゃん」
「てめえが馬鹿なことするからだろ」
「こえー。そんなんでよく営業やってけるな」
「まあ、表の顔は相当良いですから。そんなの、よっちゃんだって」
「そっかぁHAHAHA!」
「うるせえ」
顔をしかめて笑いながら、新しいグラスに口をつける美貴。
「あのどーしようもないお嬢様は、元気?」
「うん。チョー元気。あ、そうだ」
「ん?」
「今日、彼女と行って来たんだよ」
「どこに?」
「松浦グループの、お食事会」
ピタリと美貴の動きが止まる。わかりやすいほどに。
「…なんでよっちゃんそんな場所まで付いて行ってんの?」
「いやぁ、それがさ。向こうのお母さんがぜひって」
「気に入られてるんだ」
「かなりね。むしろお母さんの食いつきの方が良いかもしれない」
「んな馬鹿な」
「彼女とお母さんでおれの奪い合い?みたいなHAHA」
「で?」
「あ、うん。やっぱ、なんか。おれが美貴側だからこんなこと
思っちゃうんだろうけど…むかついてくるくらい、幸せそうだった」
「…そっか」
「おめでたなんだって。来年の五月に産まれるとさ」
「……はは」
- 198 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:26
- カランカラン。
美貴はグラスを揺らしながら、力なく笑った。
彼の横顔を、吉澤さんは複雑な表情で見つめていた。
- 199 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:26
-
*****
- 200 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:27
- ピースカンパニー。日本でも有数の大企業。
美貴は、その中の、営業部門の中心でがんばっている。
周りの社員たちから仕事の虫と言われながら、毎日遅くまで働いている。
働きすぎなほど働いているのに理由があるなんて、彼らは夢にも思わない。
まさか、失恋の傷を癒すためだなんて、これっぽっちも。
「ほどほどにな、藤本」
「はい。お疲れ様です」
「お疲れ」
営業部で残っているのは、美貴ただひとり。
今日も今日とて、美貴は残業していた。
ノートPCに向かってカタカタ作業。
家に帰ったって、どうせ何もすることはない。
料理を作って、待っていてくれる人なんて、誰もいない。
それなら、会社で少しでも仕事を。
- 201 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:27
- 「はぁ…」
溜め息をつき、大きく深呼吸。
イスの背もたれが折れるほど背伸びする。
すると、ハイヒールの足音が聞こえてきた。
ちらりと入り口の方を見れば、誰か立っていた。
美貴は身体を起こし、立ち上がる。
「梨華ちゃん?」
「よっ」
笑顔で手を振る、突然の訪問者。
人事部のアイドル。美貴とは同期入社の梨華ちゃんだ。
「どうしたの?」
美貴は作業を一旦止めて、彼女の方へ歩み寄った。
「電気点いてたから、今日もまだやってんのかなって」
「そういう梨華ちゃんもね」
「うん」
えへへと微笑む、梨華ちゃん。
彼女は美貴の数少ない気心知れた友人のひとりでもある。
「まだ仕事残ってるの?」
「うん。でも、別に急ぎではない」
「じゃあ、今から飲みに行かない?」
「いいけど」
突然のお誘いに少し疑問を抱くが、美貴は頷く。
彼女と二人で飲むなんて、いつ以来だろう。
美貴は自分のデスクに戻って、荷物をまとめはじめた。
- 202 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:27
-
*****
- 203 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:28
- とある居酒屋にやってきた二人。
座敷に向かい合って座り、とりあえず生で乾杯。
「最近、どう?」
「んー、まあ。ぼちぼちかな」
唇についたビールの泡を舐めたあと、梨華ちゃんが答えた。
「美貴ちゃんは、順調そうじゃない。社内でウワサになってるよ」
「そう?自分じゃわかんないけど」
「課長になるんでしょ。すごいじゃん」
「ただの、努力の成果だよ」
「でもあたし、美貴ちゃんは出世するって思ってた」
「ウソ言え」
「ホントだよ。この人は絶対将来偉くなるって」
面と向かって大絶賛されると照れるな。
美貴は苦笑し、人差し指で鼻の頭をかいた。
彼女のこの真っ直ぐさは相変わらずだ。
出会ったときから、変わらない。
- 204 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:28
- 「今日はどうしたの。いきなり」
料理が次々と運ばれてくるなか、美貴は梨華ちゃんに尋ねた。
彼女は、うん、と頷いて、俯いた。
「…なんか美貴ちゃんと飲みたくなって」
「そう。いや、なんかあったのかなとか思った」
「…」
「梨華ちゃん?」
「さ、今日はガンガン飲みまくりましょー」
さっきの一瞬の間はなんだったんだろう。
はしゃぐ梨華ちゃんをよそに、美貴の心配は募っていく。
- 205 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:28
- 「うちの部長ってさぁ、ホント小言が多いの。もうやんなっちゃうくらい」
「へぇ」
「化粧が濃いだの、髪の色が明るすぎるだの、うるせぇっつんだよ」
ジョッキ三杯目にさしかかったころ、梨華ちゃんは仕事の不満を愚痴り始めた。
その話している内容と、可愛らしいアニメ声がアンバランスだ。
色々日頃のうっぷんが溜まっているのだろうか。彼女の話は止まらない。
「今年入ってきた子達も、もう、どーしようもないのばっか」
「どーしようもない?」
美貴の頭に、ふと吉澤さんの恋人の顔が浮かぶ。
「うん。パソコンとかコピーとか、機械は扱えるけど、人の扱い方を知らないのよね。
人間は機械じゃないんだぞって、言いたいけど」
「言えばいいじゃん」
「それがさ、先輩のアドバイス、聞いてるようで全然聞いてないの。どう思う?」
「最悪じゃん」
「でしょ?最悪なの。もぉ、美貴ちゃんどうにかしてよぉ」
「はは」
「笑ってないでさ。あたしもう疲れちゃった。仕事辞めたい」
そう言えば、去年も同じようなことを口走ってたなこの人。
美貴は笑って酒を飲む。ちなみに、焼酎。
- 206 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:29
- 「結婚するまでの辛抱じゃん。頑張ろうよ」
確か去年もこのセリフで慰めた気が。
んで、そうだよねそうだよねと彼女が頷いて、早く彼氏と結婚するぞ!って…
「結婚なんて…出来ないよ」
「え?あの、ずっと付き合ってた公務員は?」
「別れたの!」
「うそ。いつ?」
「先週…」
みるみるうちに梨華ちゃんの顔が渋くなる。
さらには涙がぽろぽろと。美貴は慌てておしぼりを彼女へ差し出す。
「ちょ、別れたの?なんで」
「…ふられたの」
「原因は?」
「もう…付き合ってらんないって…他に好きな人ができたって…」
眉毛と唇をへの字にして、梨華ちゃんが泣く。
肩を震わせ、おしぼりで涙を拭う。
酒が入ってるからか、まるで本当の子供みたいだ。
「あたしも仕事が忙しいとか言って…放っておいたのは悪いと思ってるけどぉ…」
「このまま結婚するかと思ってたのに…」
「あたしも思ってたよ…向こうもてっきりそのつもりだと思ってたし…」
「油断したね梨華ちゃん」
「フェーン」
- 207 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:29
- 人目も気にせず、大泣き梨華ちゃん。
美貴は、なんだか安心している自分に気づく。
それはなぜなのか。よくわからないけど。
- 208 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:29
-
*****
- 209 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:30
- 「ちょ、大丈夫?」
美貴は、ふらふらの梨華ちゃんを抱えながら、道を歩く。
タクシーを探しているんだけども、なかなか現れない。
「もう一軒行くぞぉ!」
「は?いやいや。明日も仕事でしょ」
「行くったら行くのぉ。来いっ」
ぐいっと美貴の腕を掴み、逆方向へ歩き出す梨華ちゃん。
「そっちにはもう店無いって。行くならバー行こう。バー」
こうなったのも、何かの運命だ。
今夜はとことん付き合おうじゃないか。
美貴は、ちょうど通りかかったタクシーを止めた。
- 210 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:30
-
*****
- 211 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:30
- 吉澤さんとよく来るバー。
足元のおぼつかない梨華ちゃんをカウンター席に座らせ、
その隣に美貴は腰を下ろした。
顔なじみのバーテンダーに、適当な酒を頼む。
- 212 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:31
- 「ねぇ、美貴ちゃん。あたしって、そんな魅力無いかなぁ?」
唐突な梨華ちゃんのセリフに、思わず彼女を見る。
梨華ちゃんは、両手でグラスを持ち、どこかをじっと見つめている。
バーの照明のせいだろうが、居酒屋の時とは、まるで別人に見えた。
横顔に色気があった。大人の女の、艶かしさがあった。
美貴の胸が、ふいに高鳴る。
今までも、ひょんなことで彼女にドキッとすることはあった。
無邪気な笑顔や、真剣な顔。女性らしい仕草や、スタイル。
魅力が無いなんてとんでもない。
彼女には、男を振り向かせる魅力が溢れている。
- 213 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:31
- 「美貴ちゃんは、どうなの?あの大学生の子と、上手くいってる?」
「あぁ、梨華ちゃんには言ってなかったっけ…」
「何?」
「別れた」
「うそ。いつ?」
「去年の夏」
「もうだいぶ前じゃん」
「うん。ごめん」
「今は?誰も良い人いないの?」
「いない」
今も、そしてこれからもきっと。美貴は今夜までそう思ってきた。
- 214 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:31
- 「彼女さ、松浦グループの娘さんだったんだ」
「…へ?」
梨華ちゃんが驚くのも無理は無い。
松浦グループと言えば、日本で一二を争う大金持ち。
ピースカンパニーも、そこそこ大きな会社だが、それよりもっと大きい。
多分梨華ちゃんは、わかってくれる。
美貴の一生に一度の大恋愛が終わってしまった、悲しいわけを。
「おれも最初それ知ったときは焦ったよ。
このまま付き合ってていいのか、悩んだ時期もあった。
でも、いずれは結婚して、子供たくさん作って、幸せになろうねって」
「じゃあどうして別れたの?」
「いきなり、彼女に婚約者が現れた。それもまたいいとこのお坊ちゃまで…」
時間をかけて育んできたものを、一瞬で、さらっと奪われた。
今でもあの光景は忘れられない。彼女の父親から、別れてくれと。
- 215 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:32
- 「彼女は今年の六月、そいつと結婚した。来年の五月に子供が産まれるんだってさ」
「……」
美貴は、強い酒を飲み干し、大きく溜め息をついた。
「そら仕事人間になりますて。他にすることないんだもん」
「美貴ちゃん…だから人が変わったみたいに真面目に」
「ちょ…なんかおれが真面目じゃないみたいな言い方じゃない?」
「入社式で居眠りしてたのどこの誰ですかぁ」
「すいませぇんボクですぅ」
乾いた笑い声が二人を包む。
- 216 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:32
- 「じゃあ、今、お互いフリー?」
梨華ちゃんが、微笑みながら冗談ぽく言った。
「そうだね」
美貴も答えて笑った。
「そっかぁ…美貴ちゃんも大変だったんだね…」
「梨華ちゃんだって。ホントに結婚するって思ってたのに」
「ホント。それあたしが言いたいよ…貯金だって…してたのに」
「また誰か良い奴現れるって」
「もう無理だよぉ…出逢い無いもん…合コンにも誘われなくなったし」
愚痴っぽく梨華ちゃんは言って、酒を飲んだ。
「美貴ちゃんはモテるでしょ。出世頭だし」
「えぇ?モテるわけないじゃん」
「あたしの後輩、みんな言ってるよ。藤本さんと仲良くなりたいぃって」
「ホントかよ」
「はぁ…周りはどんどん結婚していくのに…なんか取り残されてる気分」
「まだまだじゃん。三十路きてから言えよ」
「あっと言う間にくるよ。三十路なんて」
梨華ちゃんは、美貴を睨んだ。
「いいじゃん。梨華ちゃん美人なんだから。肌も綺麗だし」
「…そうかなぁ」
「そうだよ。おれの周りは梨華ちゃんのこと良い良いって言ってるよ?」
「…ホントに?」
「うん。誰か紹介しようか?年上が良い?年下?」
「…タメが良い」
「タメかぁ…誰かいたっけな…あ、三好は?」
「あぁ。あれはやだ」
「ぶはっ。ひでえ。即答じゃん」
「あんなエロいの、絶対やだ」
エロいとか!美貴は思わず大爆笑した。
梨華ちゃんの口からそんな言葉が出てくるとか思ってもみなかった。
下ネタ大嫌いなのに。酔ってるからかな。
- 217 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:33
- 「梨華ちゃん。男はみんなエロいんだよ?」
「…」
気まずそうに目を伏せる梨華ちゃん。
その反応にピン、とくる美貴。
「もしかしてさぁ…彼氏に振られた理由の中に…ヤラせてくれなかったっての、入ってる?」
言った瞬間、キッと睨んでくる、梨華ちゃん。
その顔は今まで見たことのないくらい恐ろしい、鬼のような顔で。
聞くなそんなこと。視線でそう言っていた。
「まさかまだ処女なわけ(ry」
「美貴ちゃん!!!!!!!!」
梨華ちゃんが物凄い勢いで襲い掛かってきた。
あばばばばば。と美貴は必死でそれを宥め、彼女を座らせた。
彼女は、般若みたいな顔になっている。一言、怖い。
なんか本当に梨華ちゃんが処(ryに見えてきた美貴。
いや、でも。彼女の身体から湧き出る色気は本物だ。
これで(ryとか、信じられない。
そして美貴は、恐ろしい梨華ちゃんに睨まれて、嫌じゃない自分にふと気づく。
むしろ、もっと彼女を怒らせたい。もっと睨まれたい。
おかしいな今夜は少し飲み過ぎたかな。
- 218 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:33
- 「学生のときも、彼氏とかいたんでしょ?」
「…まぁ」
「じゃあ処女なわけ…ないよ……ね」
みるみるうちに大魔王みたいな顔になってゆく梨華ちゃん。
…やばっ。美貴がそう思った、直後だった。
「最っ……低!」
バチコーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
梨華ちゃんは、右手を物凄い勢いで振りかぶり、美貴の頬を打った。
それはもう見事なビンタ。
間近で見ていたバーテンダーは目をパチクリさせ、惚れ惚れとしていた。
「イテテテテ…」
想定外の激痛に、美貴は左頬を押さえた。
なんかジンジンするんですけど。冗談でなく痛いんですけど。
「もうあたし、帰る」
バッグを乱暴に掴み、立ち上がる梨華ちゃん。
「え、あ、ま、待って!」
ハイヒールをカツカツ言わせながら、彼女は店から出て行こうとしていた。
慌てた美貴は、バーテンさんに「今度払いますからっ!」と叫んで、彼女の後を追った。
- 219 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:34
-
…つづく
- 220 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/29(金) 01:36
-
从*^▽^)<かんぱーい かんぱーい かんぱーい♪
川VvV)<ちょw淑女www
- 221 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/29(金) 06:55
- 何この萌えサイドストリー・・・
何かいろんな伏線があってすべての伏線が消化されるまで
どこまでもついていきます!
ボーボー
- 222 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/29(金) 07:00
- りかみきハァハァ
金持ちには色々と裏事情あるから、藤本さんだけでなく、田中くんの今後もこれから心配ですね
- 223 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/29(金) 21:29
- 続編も(・∀・)イイ!!
どーしようもないお嬢様がどーしようもなく気になったりします
- 224 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/30(土) 15:02
- >>221さん
じゃあどこまでも一緒に…(*´Д`) ハァハァ
てか伏線?そ、そんなもの張った覚えなか!田中くんはボーボーたい!
>>222さん
りかみき好きハケーン
これからもっとハァハァしていただけるようがんばるます
田中くんが心配ですか?大丈夫ですよ。多分
>>223さん
ありがとうございます
何?どーしようもないお嬢様が気になるって?仲間仲間ヾ(´▽`*)ゝ
たぶんいつかメインで出てくる☆カナ
- 225 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/30(土) 15:03
-
*****
- 226 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/30(土) 15:04
- 「待ってって!ちょ、おい!待てよ!」
頭の中にキムタクのモノマネをするお笑い芸人が浮かぶなか、美貴は必死に走った。
何気に全速力で走っている梨華ちゃんを、美貴も本気を出して追いかける。
学生時代はサッカー、社会人になってからはフットサルで足腰を鍛えてきたが、
やはりもう若くない。無理して走ると、息が切れる。
気が付けば、右手に臨海公園。
美貴はようやく梨華ちゃんに追いつき、その腕を掴む。
「ハァ、ハァ、ハァ…」
お互い、ぜえぜえはあはあ状態。
肩で息をして、少し咳き込んだりしている。
「ちょ…梨華ちゃん足速すぎ…」
彼女から手を離し、近くのベンチにどかっと腰を下ろす。
「ごめん。謝るから。処女とか言って、ごめん」
「また言ってる」
「あ」
がしがし、と美貴は頭を乱暴にかいて、俯いた。
- 227 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/30(土) 15:04
- 「もう、みんな酒のせいだよ。ね、梨華ちゃん」
「……」
「処女とか口走ったのも、みんな酒が悪いんだって」
「……」
「シラフだったら、絶対処女とか言わないし」
「……」
「梨華ちゃん。金輪際、処女だって言わないから。ねっ、この通り」
両手を合わせて拝む美貴。
これで許してもらおうとは思っていないが、少しは機嫌を直して欲しい。
おそるおそる顔を上げると、梨華ちゃんは、仁王立ちで彼を見下ろしていた。
「てめえ何回処女言ったら気が済むんだよ!!!!!!あぁ?」
ドカッ!!!!!!!!!!!!!
梨華ちゃんは、力任せにハイヒールの先で美貴の左肩を蹴った。
「ぐはっ」
うめきながらベンチから落っこちて、美貴は後ろの芝生に埋もれた。
なななななに今のスケバンみたいな声。
ていうかハイヒールのかかとで蹴るなマジ痛い…。
初めて見る、恐ろしい梨華ちゃんの姿に、美貴は寒気に襲われた。
- 228 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/30(土) 15:05
- 「さむっ」
冷静になってみれば、外、寒い。
いつの間にか季節は夏から秋へと変わってしまっている。
時間は、知らないうちにどんどん過ぎていく。
美貴が思うよりずっと早く。残酷なほど、あっさりと。
新しい季節が来るのが、楽しみで仕方が無かったあの頃は、もう遠くに。
「クシュン」
美貴は、冷えた芝生の中でくしゃみをした。
丸まって倒れている美貴は、はたから見れば死んでいるようだ。
そう。あの時から美貴は死んだのと同じ。
彼女から別れを告げられたあの時から、美貴はもう希望も何もかも失ったのだ。
彼女と愛し合っていることが、美貴の生きる希望だった。
いつか一緒になって、子供を作って、穏やかな老後を過ごす。
そんな夢を見ていたのも、彼女が側にいてくれたから。
しかし、それも一瞬で砕け散った。ガラスのように、簡単に。
あの顔と家柄だけが取り柄の男に彼女が抱かれているかと思うと、今でも気が狂いそうになる。
来年の五月に子供が産まれるなんて、考えただけでおかしくなりそうだ。
吉澤さんには、笑って誤魔化したけど、笑ってなんかいられない。
はらわたが煮えくり返って煮えくり返って、今すぐにでも彼女を奪い返しに行きたいくらい。
でもそんなことしない。出来ない。だって美貴はもう、大人なんだから。
- 229 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/30(土) 15:05
- 「いつまで寝てんのよ」
ハッとして顔を上げれば、ベンチに座っている梨華ちゃん。
脚を組み、美貴を冷たい視線で見下ろしている。
完全に美貴に対してキレている。態度がハンパでなく、でかい。
美貴は身体を起こした。
さっき蹴られた肩がまだ痛む。ついでにビンタされた頬も。
「……」
「なんか言うことないわけ?」
一気に現実に引き戻される。
感傷にどっぷり浸っていた美貴は、もう一度くしゃみをした。
ずずずっと、鼻水をすする。
- 230 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/30(土) 15:06
- 「すいませんでした」
美貴は正座をして、額を芝生に埋めた。つまり、土下座した。
こうすることしか思いつかなかった。これが、美貴にとって最大限の謝罪だった。
「別に、今すぐ訴えてもいいんだよ?あたし、弁護士の知り合いいるんだから」
「はい。すいません」
「あたしの心がどれだけ傷つけられたか、あんたにわかる?わかんないよね」
「梨華ちゃんを傷つけてしまったことは謝ります。すいませんでした」
「あんた、何回言った?バーで二回。ここで四回。計六回」
「はい」
「六回もあたしを傷つけといて、ただの土下座で済ませるつもり?」
「いいえ」
「あんた誠意って言葉も知らないわけ?何年営業やってんの?」
髪をつかまれ、無理矢理顔を上げさせられた美貴は、
梨華ちゃんのまるで氷のような眼差しに、なぜかゾクゾクとした。
- 231 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/30(土) 15:06
- 二人はじっと見つめあう。
梨華ちゃんは美貴を睨んでいる。
その怒りは沸点に達したまま、冷めようとしない。
美貴はというと、そんな梨華ちゃんに見とれていた。
「クシュン」
「ちょ、汚い」
「ねぇ梨華ちゃん。ちょっとさ、ここ寒くない?」
「話逸らすつもり?」
「いいや。おれもさ、この通り鼻水ダラダラだし、梨華ちゃん風邪引いたら困るし、
話の続きはもっと暖かいところでした方がいいと思うんだよね」
なんと幸運なことに、目と鼻の先にラブホテルが見える。
車と言う足が無い今、あそこへ逃げ込むしか、寒さをしのぐ方法は無い。
「とりあえずさ、移動しない?そっからたっぷり話の続きしようよ。ね?」
- 232 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/30(土) 15:06
-
*****
- 233 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/30(土) 15:07
-
…つづく
- 234 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/30(土) 15:09
-
从*^▽^)<てめえの全存在がうぜえんだよ!
川*VvV)<おまえがな…ハァハァ
- 235 名前:彼女の魅力 投稿日:2006/09/30(土) 15:10
- スレッドサイズ足りなくなったらアレなので
「彼女の魅力」は美貴&梨華ちゃんと共に新スレへ移動します
中途半端なところですみません_| ̄|○
- 236 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/09/30(土) 15:33
- 森板に立てました。タイトル同じ「彼女の魅力」です。よろしくお願いします
- 237 名前:乾杯 投稿日:2006/10/25(水) 02:16
- 昼と夜の間の休憩時間。それは突然訪れる。
ちょうど全員控え室に揃い、それぞれの手には偶然ペットボトルが。
わたしはとても嫌な予感がして、愛ちゃんの方を見た。
愛ちゃんは、よっちゃんと目配せをして、頷きあった。
「乾杯」
愛ちゃんは水の入ったペットボトルを掲げ、低い声で言った。
やっぱりきたか。最近ちょっと忘れかけてたのに。
「乾杯!」
一同、ペットボトルを傾ける。
するとなぜか一人だけ顔をしかめる女がいた。カメちゃんだった。
よっちゃんはニヒルな微笑で、改めてカメちゃんとペットボトルを合わせた。
- 238 名前:乾杯 投稿日:2006/10/25(水) 02:16
- 「さて。こうして王冠を頂いたからには、やらなければならない仕事がある。
私はこの宮殿から、とぐろを巻いた毒ヘビを追い出さなければならない」
凛々しく言う愛ちゃん。
宮殿って。まあ、ここは日本武道館の楽屋ですけどね。
ていうか王冠の代わりに何被ってんの愛ちゃん。何それ。いつ被ったの?
「その毒ヘビに、最後の慈悲を与えよう。大臣」
「は」当然のように返事するよっちゃん。
「言うことはないか。罪を告白したところで、罰が軽くなるわけではない。
しかし改心した魂は、わずかでも救いを見出すだろう」
「罪?」
「そうだ…!」
「私の、罪でしょうか?」
「まだとぼけるつもりかぁぁぁぁ!!!!!!!!」絶叫。そんな力入れんでも。
睨み合う、愛ちゃんとよっちゃん。無駄に緊迫感が漂う。
- 239 名前:乾杯 投稿日:2006/10/25(水) 02:17
- 「王。いや、サファイア。私にはあなたこそがヘビに見える。
自分のしっぽを自分で食らうヘビに」
「あっ…」
カメちゃんがふらふらとよろめき、よっちゃんにもたれかかった。
「ト、トルテュ?」
ちょ。愛ちゃん。そこは「母上?」じゃねえのかよ。
「見るがいい、トルテュの、この哀れな姿を。罪の重さにたえかね、
もう自分の身体すら支えられない」
罪の重さなの?カメちゃん自身の重さでなくて?
トルテュ、楽屋中央に倒れ込む。
他のメンバーがそれに駆け寄ろうとして、「寄るな!」よっちゃんが叫ぶ。
…えぇ、歌うの?ここでアレ歌っちゃうの?…オホン。
- 240 名前:乾杯 投稿日:2006/10/25(水) 02:17
- 「言っておしまい〜心の重荷を〜」
「イヤ」
「楽におなり〜羽のように軽く〜砂のように白く〜」
「イヤ…イヤ…もう隠すのは、イヤ!」
なんでマルシアさんのセリフまで完璧なのこいつ。マジ受けるんだけど。
「聞いてぇ〜みな聞くのですぅ〜辛く 苦しく 悲しい日々でした〜」
しばらく、トルテュ卿の独唱が続く。『王妃の告白』を完璧に歌い上げる。
「トルテュ!」
愛ちゃんがトルテュに駆け寄った。
そして、トルテュは指す。わたしを。
わ た し を ?
- 241 名前:乾杯 投稿日:2006/10/25(水) 02:17
- 「藤本さんは…」
「美貴は?」
「藤本さんは…」
「美貴は?」
「女です!!!!!!!!!!!!!!!」
甲高いトルテュの笑い声が、楽屋に響いた。
「そう、そうなのです。藤本さんは男ではなく、女だったのです!!!!!!!!!!」
舞台の本番以上に声を張って、カメちゃんはそう叫んだ。
「それもこれも〜」
「それもこれーも〜」
「それもこれも〜」
「それもこれーも〜」
「みーな この国が いけーないのですぅ〜
女に生まれたばっかりに〜女に生まれたばっかりに〜
王位にはつけないぃ〜この国のおきてがぁ〜いけないのですぅ〜
あああああああああぁ〜かわいそうなモーニング娘。ぇ〜」
- 242 名前:乾杯 投稿日:2006/10/25(水) 02:18
- カメちゃんは、思い切り熱唱したあと、床に突っ伏して倒れた。
全く、意味不明だ。わたしが男でなく女とか。当たり前だし。王位とかつきたくないし。
「サファイアと藤本美貴を捕まえろ!」
「えっ?えっ?」
全く意味がわからないのに、わたしは田中ちゃんに捕らえられた。
愛ちゃんはさゆに後ろから抱きしめられている。おいおい。
「…サファイア」
「トルテュ」
「乾杯をしてから、まったく記憶がありません。教えてください…!
私は何を言ったのです!」
せーの。ガキさんたちが声をそろえて、コーラスを始める。
「王は女…王は女…女だとは女なんてオンナ…オンナ!」
コーラス、連呼。本番と同じような感じで、ステージが繰り広げられる。
「オンナ!×4 ダトハ!オンナ!×4 ナンテ!
オンナ!×4 ダトハ!オンナ!×4 ナンテ!
オンナ!×10」
- 243 名前:乾杯 投稿日:2006/10/25(水) 02:18
- 「私の息子が王だ!!!!!!!!!!!!!!」
よっちゃんが、愛ちゃんの頭からNYヤンキースのキャップを奪い取り、
高々と掲げてそう叫んだ。そして、決まる。
「王が女だとは!〜」
いや、悪いけど全然意味わかんない。
いつまでこのリボンごっこに付き合えば、この人たちは満足してくれるのだろうか。
やれやれ。わたしはペットボトルの蓋を開けて、ぬるい水を、一口飲んだ。
- 244 名前:乾杯 投稿日:2006/10/25(水) 02:18
-
…終わり
- 245 名前:乾杯 投稿日:2006/10/25(水) 02:21
-
(0´∀`)<命をかけて守りたい、大切なものがある。
川VvV)<はいはい
- 246 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/10/25(水) 12:12
- キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
最高wwwwwwwwwwww
- 247 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/10/26(木) 00:15
- バカスwwwww武道館でやってくれwwww
- 248 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/10/26(木) 06:54
- やっぱいいなあ、この結束力
- 249 名前:名無し飼育 投稿日:2006/11/02(木) 21:25
- 爆笑し過ぎてパンが詰まったwww
場所が家でよかったwwwwwww
- 250 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/03(金) 01:49
- サファ大キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
王冠の代わりワロスw
- 251 名前:決闘 投稿日:2006/11/04(土) 23:40
- ハロモニ収録の休憩中の楽屋。やっぱりそれは突然訪れる。
ドアが突然開いたかと思えば、梨華ちゃんがそこから登場した。
嫌な予感を感じるのも、忘れていた。
- 252 名前:決闘 投稿日:2006/11/04(土) 23:41
- 「抵抗するな。逆らわなければ殺さない」
「フランツ!」物凄い反射神経で、よっちゃんが答えた。
「この城は、すでに我々が支配した。シルバーランドはゴールドランドに併合する!」
「殿下…」愛ちゃんも、何の戸惑いも無く言った。
梨華ちゃんは大げさに驚いて、低い声で叫ぶ。
「サファイア…!女であることがばれ、獄中でで死んだと聞いたが」
「僕は死んでいません。ご覧の通り、女でもない!」
- 253 名前:決闘 投稿日:2006/11/04(土) 23:41
- おいおいおい。みんなの前で脱ぐな脱ぐな。てか正真正銘女じゃんあんた。
わたしはベージュ色のブラジャー姿の愛ちゃんを頬杖つきながら見つめる。
「するとこの国の王はいまだに、あなたということになる」
「そうです」
「騎士の諸君!」
「なにか」
さも当然のように返事をする、ガキさんとカメちゃん。
二人とも、憎たらしいほど顔が凛々しい。
- 254 名前:決闘 投稿日:2006/11/04(土) 23:41
- 「私はこれからサファイアと決闘する」
「なぜだ?」「今さら無意味だ」
「わがままを許してほしい。名誉のためだ」
「決闘に勝ったところで、誇れるものはなにもない」
「泥にまみれた金貨を拾うのだ。私はこの男に勝ち、
名誉という金貨から泥を払わなければならない」
何回聞いても、この例えはわけわかんない。
なんで金貨に例える必要があんの?意味不明。
- 255 名前:決闘 投稿日:2006/11/04(土) 23:41
- 「わかった。そこまで言うのなら」
ガキさんがテーブルの上にあった雑誌を丸め、梨華ちゃんに渡す。
カメちゃんは、無駄に真面目な顔で、愛ちゃんにチップスターの筒を渡した。
ねぇ。それで戦うの?それでちゃんと戦えるの?
「二人きりで戦わせてくれ。
私が負けたら、サファイアは決闘の勝利者として扱ってほしい」
- 256 名前:決闘 投稿日:2006/11/04(土) 23:42
- 「どちかが息絶えるまで戦う」梨華ちゃんが言う。
「どちらかが…?」いまだに半裸状態の愛ちゃんが答える。
「あなたか私か…どちらかが?」
「くどい!」丸めた雑誌を振り上げる梨華ちゃん。
「では、そのように!」チップスターの赤い筒で構える愛ちゃん。
- 257 名前:決闘 投稿日:2006/11/04(土) 23:43
- 決闘が始まる。
わたしはティッシュに広げたその中身のポテトチップスを摘んだ。
二人とも、魔女のセリフを待っていた。
それからスタッフからお呼びがかかるまでずっと、楽屋では激しい決闘が行われていた。
- 258 名前:決闘 投稿日:2006/11/04(土) 23:43
-
…終わり
- 259 名前:名無し飼育3 投稿日:2006/11/04(土) 23:45
- レスしてくれたみなさん!どうもThanks!
このスレはサイズギリギリまでこのネタで粘ります…
- 260 名前:名無し飼育。 投稿日:2006/11/06(月) 01:12
- おもしろすぎる(ノ∀`)
ギリギリまで楽しませていただきますww
頑張ってください!!
- 261 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/11/06(月) 21:43
- キタ!!!ww
今回も、食べ物食べてて大爆笑しましたw
ギリギリも次回もやって頂けたら面白いwww
- 262 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/07(火) 23:13
- 亀レスですがドッキリのお話が好きです
まんまと騙されてワクワクしてしまったのは内緒です
- 263 名前:ブーケ 投稿日:2006/11/12(日) 22:00
- やっぱり、DVDリリースが近づいてきているからなのか。
娘。メンバーのリボン熱は、再び上がってるようだった。
わたしとしては、今やってる世界バレーの方に力を入れたい
ところだったけど、みんな、あることに夢中だった。
- 264 名前:ブーケ 投稿日:2006/11/12(日) 22:01
- 「サファイア、ドコニイルノ…サファイア!」
よっちゃんが部屋の中をキョロキョロ見渡しながらカタコトで言った。
今日もまた、楽屋で行われる舞台。
上演されるのは決まって第2場、宮殿の奥庭。
「お母さま、ここです」
可愛らしい声で、答える愛ちゃん。
いやいやあんたさっきからずっとよっちゃんの目の前におったやん。
思わずわたしは関西弁でツッコむ。
「ナニシテタノ?」
「花をつんでました」
愛ちゃんは、楽屋にあった花瓶からごっそり花を取って言った。
「アナタソレデブウケハツクレル?」
「ブーケ?いいえ」
「ツクリカタヲオシエマショウ。マズイロゴトニワケテ…」
花の色、一色しか無い。
それでも花を分け始める母娘、もといよっちゃん愛ちゃん。
わたしは暇だったので頬杖つきながら流れを見守る。するとやっぱり。
- 265 名前:ブーケ 投稿日:2006/11/12(日) 22:01
- 「サファイア、ドコニイルノ…サファイア!」
言いながら部屋をキョロキョロする、ガキさん。
ここでまた念を押しとくけど、愛ちゃん目の前にいるからね。
「お母さま、ここです」
可愛らしい声でガキさんに答える、愛ちゃん。
よっちゃんがお母さまじゃなかったのかよ。
いや。もしかしたら、よっちゃんは生みの親で、ガキさんは育ての親なのかもね。
サファイアは複雑な家庭環境で育ってきたんだ。きっと。
「ナニシテタノ?」
「花をつんでいました」
「アナタソレデブウケハツクレル?」
「ブーケ?いいえ」
「ツクリカタオシエマショウ。マズイロゴトニワケテ…」
ガキさんが二人に加わって、花を分け始めた。
分けるも何も、言うほどそんなにたくさん花ないし。
よっちゃんで、すでに分け終わってんじゃん。
- 266 名前:ブーケ 投稿日:2006/11/12(日) 22:02
- 「サファイア、ドコニイルノ…サファイア!」
今度はカメちゃんがキョロキョロし始めた。
「お母さま、ここです」
腹が立ってくるくらい可愛い声で答える、愛ちゃん。
「ナニシテタノ?」
「花をつんでいました」
「アナタソレデブウケハツクレル?」
「ブーケ?いいえ」
「ツクリカタオシエマショウ。マズイロゴトニワケテ…」
カメちゃんも加わって、四人で花を分け始める。
「サファイア、ドコニイルノ…サファイア!」
大げさに叫ぶ、重さん。
ねぇ、そろそろツッコんでいいかな?
娘。たちがこんなことしてるって知ったら、マルシアさん悲しむと思うんだ。
- 267 名前:ブーケ 投稿日:2006/11/12(日) 22:02
- いつの間にか、サファイアのお母さまが六人。
つまりわたし以外の全員が、サファイアの前に母親として現れた。
いったい誰が本当のお母さまなんだか、さっぱりわからねえ。
ていうか本当のサファイアのお母さまがここにいるわけねえ。
それでも全員にキラキラとした眼差しのサファイア・愛ちゃん。
彼女の大女優ぶりに、わたしは心外ながらも、感心した。
- 268 名前:ブーケ 投稿日:2006/11/12(日) 22:02
-
終わり
- 269 名前:名無し飼育3 投稿日:2006/11/12(日) 22:04
- レスしてくれた方ホンマにありがとう(*´∀`*)
まだもうちょっとならイケる☆カナ…
- 270 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/13(月) 00:27
- アナタソレデブウケハツクレルが言いたいだけだろwwww
- 271 名前:真奈美 投稿日:2007/03/25(日) 21:54
- 大変大変!大ニュースだよ!
一週間くらい前に友達と渋谷に行ったんだけど、なんと亀梨くnを見かけましたぁ!私は大×100000000000ファンだったんで、写メめっちゃ大量に取ってました。
でね、亀梨くnが勢いよく走ってたんで、それに追いかけて私と友達も走ってたんです。そしたら、暗い路地の方入ってたんで、どこ行くんだろう・・・と思ってたんです。
そしたら亀梨くnは携帯をとりだして「着いたから早く来いよ!」と言い携帯を閉じました。
すると数秒後、違う方向から綺麗な女性が出てきました。誰でも憧れるような長くてサラサラな髪でした。背も高くて、きっとモデルさんじゃないかと思います。
そしたら、二人とも何もしゃべらずに周りをキョロキョロして、人がいないことを確認し、亀梨くnが女性のスカートに手を入れたんです!!
私はその瞬間から携帯でムービーを撮りました。
二人は一言も声を出さずにやっていました。
いつの間に亀梨くnはズボンとパンツを脱いでいて、私は亀梨くnのアソコを見てしまいました。
しかも女の人はほぼ全裸でした。二人のアソコはヌメヌメで、しかも女の人は全身ベトベトでした。
20分くらい経って、二人は洋服を着て、何も無かったかのように無言で分かれていきました。
すっごく驚きました。
そのムービーをみなさんにも特別に見せようと思います。けど、それなりの価値があると思うので、このレスをコピって7つの板に貼ってください。
すると不思議なことにココ↓
[ ]
にアドレスが出てくるんです。
ですが一部のパソコンでは9つ貼らないと出てきません。
よくこんなレスがあって、私はいつも試すんですが、できません。
だけど、このレスは本当に成功するんですよ。
私の友達13人中12人ができました。
ただ一つ言いますが、このムービーはすごく過激です。亀梨くnのアソコもくっきり丸見えです。
そういうのを覚悟して見てください。
- 272 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/25(日) 23:09
- なんやこれ
- 273 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/30(日) 00:01
- 飼育の管理人さんへ
もうこのスレには書かないので倉庫送りにしてください
よろしくお願いします
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