テンシとアクマ(なちまり)
1 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/01(日) 20:01
ドリームモーニング娘。に高まりました。
需要がないであろうなちまり、エロあり予定。
黒い話にしたいです。

辻褄合わないとか多々あると思いますが、
見過ごしてください。
2 名前:いま 投稿日:2011/05/01(日) 20:02
いま---------------------------

意識しなくても自然と身体が動きだしリズムをとっている。
気付くと自然と歌を口ずさみ、あぁ、そうそうこんな歌詞だったと
あとから思い出す。

しかし少し動いただけで、ぜぃぜぃと息があがり、足がもつれる。
アタマとはウラハラに身体はついていかない。

ほんとに、もう。勘弁してほしい。
鳴っていた音楽が止む。「ハイ!オッケー!」と手が叩かれると、
無理矢理維持していた体勢から床に崩れ落ちた。

ずるずると身体を引きずるように壁に寄りかかりペットボトルの
ミネラルウォーターを流し込む。
前方の鏡を見ると、他のメンバーそれぞれ倒れこんだり、悲惨な
声を上げている。

その光景は、目眩がする程に懐かしく、身体だけでなくこころにも
染み込んだ“知っている”光景だった。

まさか、
『ほんとにはじまるなんて』
と事務所に呼び出されたあの日から、何度も呟いたことをまた心の
中で呟いた。
3 名前:いま 投稿日:2011/05/01(日) 20:02
まったく、どうして今さら。
前々からそういう噂はあった。それでも、まさかほんとにやるなんて
誰も信じてなかっただろう。

だって、年齢の問題だってあるし、結婚したり、ばらばらになった
メンバーもいる。
このメンツで作る懐かしいグループに対して、ファンの人たちへの
魔法は、もうとっくに解けているだろう。
いくらなんでもありえない、と信じていた。

あの日、一緒に事務所に集められた久しぶりに顔を合わせた見慣れた
面々が、一瞬まさかほんとにやるなんてという顔をした。しかも公演
だけでなく、アルバムまで出すそうだ。

もちろん、矢口は手を叩いて笑った。
大げさに驚き、マジですか、えっほんき?なんてマネージャーの顔を
確認すると力強く頷かれ、
矢口は目の前の机にあー!と叫ぶと突っ伏した。

かおりと藤本はいち早く、体力について自信がないことを口にした。
かおりいたっては裕ちゃんだって、と勝手に裕ちゃんを『踊りとか無
理チーム』に引きずりこんだ。

「なんや、なんでや、なんであたしが無理って決めつけるん!」
と裕ちゃんは笑いならがら言い、最後に長いため息をついた。
なっちは足をばたばたさせてケタケタと笑い続け、
「だってだって、だってさ」
と言うと何がだってなのかを言わず、また笑い続けた。

他のみんなも、笑うしかないか、現在の自分の体力の心配をするかど
ちらかで、だれひとりその決断を逃れようとすることなかった。
ただ単にそういう抵抗が無意味なことと知ってるだけだと思うけど。

ひと通り騒ぎ終えて静かになった部屋で、よっすぃーががにやにや
しながら、けして大きくない普通の声で
「じゃあまぁ、がんばっていきまっ」と言った。
すかさず梨華ちゃんの「しょい!」という高い声が部屋に響いた。
4 名前:いま 投稿日:2011/05/01(日) 20:03

---------------------------


控え室に帰ると「ああぁぁ、づかれだぁ」と圭ちゃんがソファーに倒
れこんだ。
小川と小春はよっすぃーにまとわりつき笑っている。
さすがによっすぃーは全然疲れていないように見えた。
ソファーで項垂れてる藤本に梨華ちゃんがペットボトルを渡して、
何か話しかけている。

「やっぱり若いメンバーは何だかんだで動きが違うね。いいなあ」
と圭ちゃんがうつ伏せになりこちらを見た。
昔ならここで誰かが、おばちゃんと言い出していただろうが今では
それはマジでしゃれにならない。

「ほんとだよ、オイラもうだめ」
大げさにソファーに倒れこむ。

「えーでも、みんな思ったより踊れてましたよね」
梨華ちゃんはそう言うと圭ちゃんの背中を揉みだした。
あ、そこ、きもちいい。と圭ちゃんはされるがままになっている。
「梨華ちゃんは、すごい元気だね」
話しかけると梨華ちゃんは
「いやもうだめですよ、明日ぜったい筋肉痛」
と苦笑いすると腰に手をあてる。
5 名前:いま 投稿日:2011/05/01(日) 20:03
裕ちゃんとかおり、なっちが控え室に入ってくると、
さらに控え室が騒がしくなった。

「なっち、あたしはもうあかん。しぬ。しんどい!明日もレッスンと
か無理やわ」
「大丈夫、大丈夫。裕ちゃんにはあした筋肉痛こないから」
なっちはそういうと、ねぇ矢口?と笑った。
「うん、裕ちゃん羨ましい」
「矢口はええとしよう、矢口はええよ、ぎりぎり許したろ。
でもな、なっち、あんたにも筋肉痛はこんな」
裕ちゃんはなっちを睨み付ける。
「えぇー!ひどい!」
「ひどいんは、あんたや!」なっちの笑い声が響く。

既視感。
いつかどこかで、毎日をこんな風に過ごしていた。急にあの頃の自分
を思い出して胸をぐっと掴まれたように息苦しくなった。
あの頃、明けても暮れても、なっちのことを考え続けてた、
あの頃の自分を。
6 名前:あの頃 投稿日:2011/05/01(日) 20:04


あの頃---------------------------

ごっちんが抜けて初のシングルはやたらと軽快にポップな曲で、いや
になるくらい元気な歌だった。
そして今だかつてないほどに激しい。
本気で踊ってしまうと、その後しばらくはまともに話せなかった。

新曲をぶら下げてのテレビの収録。その隙間に張り巡らされるコンサ
ートの予定。
もう馴れてしまったあり得ないスケジユール。
休みなんてないのが普通だった。

コンサートのリハーサル中。ふあっ、と身体が浮いたかと思うと、
次の瞬間に床に倒れていた。

「矢口さん!」
気付いた梨華ちゃんの声で、矢口の下から鳴っていた足音が一旦止ま
ると、再び大きくなり、数人が矢口の方に近づいてきたみたいだった。

誰かの手が頭を撫でる。
そして聞きなれた声が降ってきた。
その声はいつもより固く響いて緊張を含んでいる。
「矢口?だいじょうぶ?」
目を開けると、そこにはなっちの心配そうな顔があった。
7 名前:あの頃 投稿日:2011/05/01(日) 20:04
さっきまで浅く出来ていた呼吸が急にできなくなる。
普段ならこんな風にスイッチが入ることはないのに。
弱った身体にはスイッチを止めることも戻すこともできない。
息苦しくて、息を吸い込もうとするけど、
うまく行かず空気が喉にひっかかった。

ぜんぜん、大丈夫じゃないよ。

視界がぐらぐら揺れて身体に力が入らない。

なっち、あなたの顔を見なくてすんだなら矢口はきちんと立てる気が
するよ。
なっちの手のひらが置かれたアタマの部分からじわじわと熱が広がり
身体中が熱くなる。

「泣いてるの?矢口?喋れる?」

なっちが慌てて立ち上がりスタッフを呼んでいる。
起き上がることができないまま、嗚咽を止めることができない。

泣いていた。
8 名前:あの頃 投稿日:2011/05/01(日) 20:05

いつから、なぜとか、そういうんじゃなくて気づいたら好きだった。
オンナノコドウシとかヘンとか、それまで同性を好きだなんて思った
こともなかった。

でも気がつくと、
それを認めずにはいられない状況に矢口は陥っていた。

なっちを無意識に目で追い、何を考えてるのか知りたくなり、
少しでも近くにいたいと自然に近くに寄っていた。
触れたい、触れられたいと強く願うようになり、
できることなら存在の全てが欲しいと思うようになった。

その頃になると、なっちのことを考えると身体が熱くなり朝まで眠
れないこともしばしばあった。

そのうち諦めたり覚めるだろうと、楽観していた気持ちは、
残念ながらなくなることなく、ひたすらに積み重なっていって矢口を
困惑させた。
なっちに対する欲望はどんどん肥大し、もうどこにも逃げ込む隙もな
く溢れだしていた。

スタッフに抱き抱えられて控え室に戻った。
その頃には落ち着いて起き上がることができ、心配そうなマネージャー
に貧血だと思うと伝えた。

ホッとした顔をするとマネージャーはしばらく横になってリハーサル
に参加できるようなら参加するように言い、貧血に効きそうなもの買
ってくるよと出ていった。
9 名前:あの頃 投稿日:2011/05/01(日) 20:05
再び横になると目を瞑る。

『もう、だめだ』

限界なんだと思う。
あんな風に突然泣いてしまうなんてどうかしてる。
殺すことも、肯定もしきれないこの感情は、もう矢口の手に負えない。
途方に暮れた。
せめて誰かに相談したりできれば、また違ってくるかもしれない。

相談?
無理だ。誰かに相談して、それがまた誰かに伝わり結果的にグループ
に居づらくなったらどうする?
もし、気持ち悪がられたら?
娘。内のバランスが矢口のせいで崩れてしまったら?
…そんなの、耐えられない。

一般の友だち?それもダメ。
信じていないわけじゃないが下手に噂の種を蒔くわけにはいかない。

どこにもいけない。どうしようもない。
このままいくと自分はどうなってしまうのだろう?
横になりながらため息をついた。

「矢口?」

突然声がかけられびっくりして起き上がった。
そんな矢口にびっくりしたなっちが目を大きく見開いてこっちを見て
いる。

「なっちかよ、びっくりした!急にいるんだもん。声かけてよ」
さっきまで考えてたこと、声にでてないよね?
と、あり得ないことを考えて、嫌な汗をかく。

「ごめん、ごめん。寝てるかなって思ったのさ」
なっちが微笑む。
10 名前:あの頃 投稿日:2011/05/01(日) 20:05
「調子はどう?だいじょうぶ?」
「うん、横になってたらだいぶましになった。
 貧血ぽいんだよね。そんなことよりなっちリハは?」
「うん?なんかユニットのになったから休憩ついでに様子見にきた」
「そっか、ありがと」
「小さいから心配じゃん」
なっちはそういうと手をぱたぱたさせて自分のカバンの方へ歩いてい
った。
「小さいは余計!」
とつっこむと、なっちは笑いながら
「いやいやー、ちいさいは重要だべ」
とわざとらしく訛りながら矢口の方に戻ってくると手に小瓶とスプー
ンを持っている。

「なにそれ?あぶないクスリ?」
「んなわけないっしょ!これはクエン酸。
 身体にいいんだ、疲れとかとれんの。
 たぶん貧血にも効きそうな気がする。ほら矢口、口開けて」

なっちはスプーンをこっちに向けて振ると
ビンをあけて中身をすくった。

「やだよ!なんだよ気がするって。枠が大きすぎるよ、枠が」
「ダメ!わがまま言わないの。自己管理できてない矢口がわるい。
 はい、あーん」
スプーンを口の前までもってこられる。
なっちはいたずらをする子どものように嬉しそうに笑っている。
ダメだ。こうなったなっちに逆らえるやつなんていない。
大人しく口を開けると
「えらいでちゅねー」となっちは矢口の口へスプーンを入れた。
11 名前:あの頃 投稿日:2011/05/01(日) 20:06
「すっぱ!!!!」
思わず叫ぶとなっちはケタケタ笑って、効きそうっしょ?
とペットボトルのミネラルウォーターを渡してきた。

「ひどい!ゆっといてくれたら心の準備ができたのに」
抗議しながらも水を飲む。
なっちは微笑むとビンを矢口の手に持たせた。

「あげる。水に溶かして飲むと飲みやすいよ。
 じゃあなっちそろそろ行くね、無理しないで寝ときなよ」
「あ、うん。ありがと、ってか最初に溶かすって教えてよ」
「あ、そうかコップなかったからさ、
 しかたないと思ったんだけど最初に水飲ませたら良かったんだ。
 いやー気付かなかった」
12 名前:あの頃 投稿日:2011/05/01(日) 20:07

「ばかなっち!」
ごめん、ごめん。と呟いたなっちが矢口のほうを見た。

目が合う、と思ったらそのままなっちの目線は下りた。

ふいに矢口のくちびるを指で撫でられる。

びくっと電流が走り、心臓が跳ねた。
ドクンドクンドクンと同時にすごい速さで鼓動が打つ。

「、、なんっ!」

顔が熱い。ヤバイ、バレる。
こんなことで過剰に反応しちゃだめだ。
「あ、ごめん。粉がついてて」
なっちが矢口のくちびるから目をあげる。
とっさに目を閉じた。また泣いてしまったら大変だ。

「矢口?」

ダメだダメだダメだ。

くるしい。
気分がよくないふりをしようか、それとももう泣いてしまおうか。

頭の中ではぐるぐると考えが巡るが、心臓が騒がしく、
実際に動けない。
触れられたことと状況に対応できずに、この固まってる時間の分だけ、
さっきまでの空気から浮いてしまう。

ダメだ。ダメだ。落ち着け。

「や…」
なっちが何か言おうとした、
そのときドアが叩かれ、スタッフの声が聞こえた。
「安倍さん、次です。準備おねがいします」

「あ、矢口ごめん。いってくる。寝ときなね」
なっちは矢口の頭を撫でると
背を向け控え室から出ていった。
13 名前:あの頃 投稿日:2011/05/01(日) 20:07
助かった。

安堵で力が抜ける。
目を開けると、目から涙がこぼれ落ちた。
矢口の中の何かが壊れたみたいに感情がコントロールできない。

「痛いなぁ」
さっきまでうるさく叩きつけてきていた心臓は、
今では矢口のこころを痛く締め付けていた。

胸元に手を合わせ握りしめた、
歯に力をいれて静かに深呼吸する。
口に出せば少しは楽になれるような気がして小さな声で呟いた。

「なっち…、好き、だよ…」

さらに胸が締め付けられ、痛みが増しただけだった。
14 名前:いま 投稿日:2011/05/01(日) 20:07


いま---------------------------

レッスンも1ヶ月経つと慣れてきて、少しずつ身体も思うようについ
ててくるようになった。

控え室では、レッスン初日のような愚痴とも自虐とも取れる言葉は減
っていた。

みんな感覚を取り戻したように、ふりの確認やストレッチしたり、
ブログ用のプチ撮影会が開催されたりしていた。

レッスン前に早めに到着してしまい、
控え室で昼寝でもしようと考えながらドアを開けると、
藤本が雑誌を開げながらぼーっとしていた。

「おはよ〜」
目の前で手を振ってみると、はっとした顔になり藤本は恥ずかしそう
に笑った。
「あ、おはようございます。いやぁ、あたしこういうの久しぶりすぎ
 て、最近気付いたらぼーっとしてしまうんですよね。ひとりの時間
 が減ったというか。昔の飯田さんの気持ちが、いまわかったかも」
頬をさすりながら、藤本が言った。

「あー言われてみればわかるかも。
 あの頃ってさ、やっぱり、なんか特殊な環境だったよね」

カバンを置いて、ジャージに着替えた。
その間に藤本は再び同じ体制に戻り空中を眺めていた。

あの頃は、やっぱり特殊な環境だった。
いろんなことが制限され、それが当たり前の空気の中で同じ制約を与
えられた女の子だけの世界。
たえずプレッシャーを与えられ、たくさんの人の生活や欲を無自覚の
まま背負っていた。
そして夢や希望、はたまた娯楽に性欲に悪意と
たくさんの目を向けられていた。
15 名前:いま 投稿日:2011/05/01(日) 20:08
イヤだったわけじゃない。自ら望んだことだし、
進んでよかった道だ。ただ特殊だったと思う。

いったん負を抱えると、
急速に自分を蝕んで滅びてしまうことが簡単にできた。

それがなんの言い訳になるんだろう?ならないかな。

でも、そこから逃げ出す方法もわからず、
周囲を囲む壁の存在すら気付かなかったあの頃の矢口には、

しかたなかった。

あの頃は、自分が崩壊しないように、なっちを傷付けることでしか、
自分を維持する方法が見当たらなかった。

なんて、自分勝手な言い訳だろう。おかしくなって頬だけで笑うと、
ちょっとだけ死にたくなった。

タオルケットにくるまって眠っていると続々とみんなが集まってきて
騒がしくなってきた。

眠れなくなったので寝転びながら携帯をいじっていると揺さぶられた。
「やぐち、矢口」
身体を揺すぶっていたのは圭ちゃんだった。
「なんだよー圭ちゃん」
「ねえねえ、今日ごはん行こう?」
素早く明日の予定を思い出す。
明日は午後から簡単な打ち合わせだけだ。
「いいよー。どこいくの?」
「やった!ノープランだよ。他の人も誘ってみて決める。
 あっ、なっつあん、今日ご飯行かない?」
ストレッチをしていたなっちが振り替える。
ちょっと考えるように目をきょろきょろさせて答えた。
「んー行こうかな」
「え、なっちも矢口も行くの?ほな裕ちゃんもいく」
なっちの横で髪の毛をとかしていた裕ちゃんが入ってきた。

揃ったメンツに、あららこれは下の子が参加しにくいだろうなと思い
ながら寝ていた身体を起こしストレッチを始めた。

そのあと圭ちゃんは誘いまくり梨華ちゃんと小川を釣り上げていた。
16 名前:いま 投稿日:2011/05/01(日) 20:08


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目の前に置かれたグラスが汗をかいている。
グラスの中では黄金色の飲み物が泡をたてている。
コースターにグラスを伝った水滴が染みこんでいく。

ごくり、と喉がなる。
はやく飲みたい。汗をかいた分、喉が渇いていた。

飲めるメンバーはビールを頼んだ。
なっちを筆頭に飲めないメンバーもいるが、テーブルに並んだビール
グラスを見ると、アイドルとは思えない。
矢口がそういうと、裕ちゃんがうちらはアイドルなんかやない!
元アイドルですー。と子どもみたいに反論してきた。

「はいはい、じゃあ元アイドルにかんぱーい!」
と圭ちゃんが音頭をとった。

圭ちゃんが連れてきてくれた場所は、
野菜を中心に出してくれるこじゃれた和食屋で、圭ちゃんの知り合い
がしているそうだ。
優しそうな店長さんは、圭ちゃんと軽く挨拶すると奥の個室に案内し
てくれた。

矢口の隣に圭ちゃんと梨華ちゃんが座り、
前の席にはなっちを真ん中に裕ちゃんと小川が座った。

そいや、こんな感じで始まるご飯会は久しぶりだ。
梨華ちゃんが一人、甲斐甲斐しくお皿を取ったり回したりしてる。
相変わらず疲れそうな性格だなあと思う。
17 名前:いま 投稿日:2011/05/01(日) 20:09
圭ちゃんと裕ちゃん、なっちの会話は止まることない。
小川はひたすらメニューを眺めて、美味しそうなものを梨華ちゃん
に報告している。
小川はきっと梨華ちゃんの役にたとうとしているのだろう。

ね、矢口?と圭ちゃんに会話をふられる。
「え、なに?聞いてなかった」
「だから、矢口は彼氏いるんでしょ?」
えっいつの間にコイバナに。

「えええ!矢口さんいるの?いいなあ」
「あれ、梨華ちゃんもいなかったっけ?」
「いませんよ」と梨華ちゃんはいうと少し膨れた。

「あ、でも矢口もいないよ。結構前に別れた」
なんか居心地悪いな、と思うのはなっちが真向かいにいるからだろう。

今まで幾度となく、こんな会話をなっちを前にしたことがあるけど、
いつもなんとなく目を反らしてしまう。

二人でいるときは、どちらもたぶん意識してそういう話をしない。

あの頃のことを忘れてしまったかのように、
どちらもが自然に会話できるようになったのはいつからだろう?
いや、なっちはそもそも、ずっとこんな感じだったように思うし、
矢口だけが怯えていたようにも思う。
今となっては触れることすらできない話題だ。

18 名前:いま 投稿日:2011/05/01(日) 20:09
別れたことを気まずそうに話したようにみえたのか、
圭ちゃんはそれ以上つっこむことはせず、
みんなが共通に知ってるスタッフさんが結婚するんだって、
と話をしだした。

「なっちは、どうなの?」

言ってから、しまった調子に乗りすぎたと後悔した。
きっとこの間から少しずつ過去のことを回想しているからだろう。
ふと、気づいたらそんなことを口に出していた。

「へ?!なっち?」
まさか矢口から話題が振られると思わなかったのか、
びっくりしたようになっちは目をまるくしてこちらを見た。

「そうやそうや、なっちは最近どうなんや?相変わらずなん?」
裕ちゃんの言葉に急にドキドキしはじめたのはアルコールのせいでは
ない。
相変わらず、って付き合ってる人いたんだ、と思う。
急に喉が渇く。

「そうだねー、相変わらず、好きとかよくわかんないねぇ。
 なんか、うん」

冷や水を浴びせられたように背中が冷えた。

アイカワラズ、スキトカヨクワカラナイ?

言葉を飲み込むのに時間がかかった。
だって、そんな話、今日、初めて、きいた。
19 名前:いま 投稿日:2011/05/01(日) 20:10
「なっつあんは、強すぎるんだよ。いつまでもそんなこと言ってたら
 結婚できないよー」
と圭ちゃんがもったいないもったいない、と続ける。

「そんな圭ちゃんはどうなのさ」
なっちはムッとしながら圭ちゃんに問いかける。

なっちはけしてこちらを見なかった。
喉が渇く。
ビールを飲もうと差し出した右手は微かに振るえていて、
誤魔化すようにビールを流し込んだ。

あんなことをしてしまう前は、よくなっちとコイバナをしていた。
その時のなっちは、好きとか誰々がタイプとかそんなことを言ってた。
よく嫉妬に狂いそうになるのを堪えていたな、と思い出していた。

その後、数時間ご飯会は続いたが、
何を話、何か食べたのかあまり記憶がない。

ただ、なっちは矢口の問いかけに、
目をまるくしてこっち見た以来こちらを見なかった。

スキトカヨクワカラナイ?

矢口はなっちを不幸にしたのだろうか。

何度も何度も、無理矢理になっちを犯した、
あの日々を色鮮やかに思い出した。

でもきっと矢口だって、不幸だ。
それってなにかの言い訳になるんだろう?
うん、ならないね。
20 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/01(日) 20:10

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21 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/01(日) 20:11

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22 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/01(日) 20:11

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23 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:25
スマホで書いたら誤字脱字がすごかったです。
反省してパソコンで校正。エロ落ち?
24 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:32
あの頃−−−−−−−−−−−

地方公演の前日の夜に、急遽ラジオの出演が決まった。?新曲をリリースしたばかりと言うのと、お世話になっている局からの依頼、
さらにどうせ翌朝には行かないといけないというポイントが3つも重なっ
て、出演することになった。

急なスケジュールで、大人チームで行けるのは矢口となっちだけだった。

新幹線の中でマネージャーがごめん!と謝った。?当日ということ、そして時期も重なり、まともなホテルが一室しか取れず、
なっちと相部屋になるらしい。?マネージャーは困ったままの表情を崩さず俺は近くのネットカフェにでも寝
るよ、朝には迎えに行くからと言った。

大丈夫ですよ、となっちは言い、寝る場所が決まらないマネージャーを労っ
ていた。
マネージャーはホッとした顔になると、そのかわりいつもより良いホテルだ
からと付け足して、自分の席に帰って行った。
25 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:36
「しかし、ツジカゴじゃなくってうちらで良かったね。あの子らまたケンカ
 してるんでしょ?」?
「あ、うん。そうみたい」
?まったく、しかたないなぁとなっちは苦笑すると、今度は微笑んで言った。?
「あ、でも逆に一晩一緒だと仲直りできるかもね」
?「え?あ、うん」?
返事を返すのが精一杯だった。?

アタマの中ではムリムリムリと何度も繰り返す。?
最初聞かされた時は、ふたりで仕事ということに浮かれて、運が良ければマ
ネージャーを含まずふたりでご飯でも食べれるかなと、よろこんでいた。
でもホテルの部屋が一緒だなんて、眠れる自信がなかった。

明日はコンサートだというのに一睡もできないであろうことを思うと、倒れ
るんじゃないかという不安が胸をかすめた。?矢口もネットカフェでいいから
同室をどうにか回避できないだろうか。?
そういえば好きだったマンガの最新刊がでてるはずだ。
あ、いいなネットカフェ。マンガ読みたい。?
そしたらいつものように、なっちとの妄想に浸りながら眠れるだろう。
26 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:40
「矢口?」
「あ、うん?」
「ちょっと、話聞いてる?」
隣に座っていたなっちに突かれる。
「え、なにを?」
「矢口ひどい!もう喋らない!」
「ちょっ、なっち子どもすぎる」
「矢口のあほ」
「で、なんだったの?」
「へ?何が?」
「はなし」
「ん?あ。なんだっけ」
「ばかなっち」
「やぐちのせいっしょ」
27 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:41
窓際に座ったなっちは、ふぃっと矢口との会話を中断させると、日が沈みつ
つある外を眺めた。
整った綺麗な横顔。
なっちの瞳に広がる夕やけ空は、きっとそのままの美しさで彼女の中に映る
のだろう。湾曲することの無い、純粋な人だけが見れる、綺麗な世界。

矢口に触れることができたなら。
なっちが自分のものになるのなら、矢口は持っているものをすべてなくして
もいいのに。矢口が触れたら彼女は、こちら側にきてくれるだろうか?

突然トンネルに入り車内が暗くなった。
視線を真っ暗になった窓ガラスに移すと、ガラスごしになっちと目が合った。
どきり、とした。
見ていたことに気付かれただろうか?
矢口は身体を手前に乗り出した姿勢で、窓ガラスに映っていた。心なしか気
まずそうな顔で笑っている。
反対に窓ガラスのなっちはニコニコしながら手を振ってきた。
矢口は強ばった笑顔のまま、なんとか手を振り返した。
28 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:41
「やぐちぃ?」
窓ガラスごしに目があったままなっちか話しかけてきた。
「なに?」
窓ガラスから視線をなっちの背中に移す。
「矢口さ、最近変じゃない?」

………

「えっ、なんで?」
一瞬、頭が真っ白になった。
変な間が飽いてしまったあげく、口からだした答えは、動揺を隠しきれてな
かった。
「なんとなく、さ」
見つめていた背中が振り返った。
なっちと目が合い、見つめ合う勇気なんてなくて、すぐに目を反らした。
「ほら、最近矢口はなっちと目を合わさないでしょ?」
なっちは矢口の手を両手で包み込むと矢口の顔を覗きこんだ。
追い込まれた矢口は目を合わすしかなかった。

包み込まれた手の暖かさと、見つめられたなっちの吸い込まれそうな瞳。
耳の奥のほうからキーンと金属音が鳴り響く。
気を抜いたら、好きだと言ってしまいそうだった。

覗き込まれた顔に近付き、その形の良い唇にくちづけをしてしまいたかった。
押し上がってきた欲望に、くらくらした。身体を少しずらすだけで、それが
実行できる。
「矢口?」
なっちの手のひらが矢口の頬に添えられた。
ぞわっと肌に鳥肌がたち、悪寒が走る。
怖かった。自分が何を考え、何を望んでいるのか。
ふたつの矢口が分裂したかと思えばくっつき、一方が消えては、すぐにまた
現れる。言葉を失う矢口に、なっちは悲しそうな顔をして、背中に手を回
し、矢口を引き寄せた。

「矢口はため込むひとだから、心配なのさ」
いま、やぐちの顔、すごく青いよ、すごくつらそう。

耳元からなっちの暖かい声が入り込み、代わりに襲ってきていた寒気が引い
ていく。
29 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:42
なぜ、矢口は彼女を抱きしめ返すことができないのだろう?
なぜ、彼女に好きだと言えないのだろう?
彼女が女の子だから?
同じ仕事仲間だから?
失いたくないから―――

なっちに抱きしめられながら涙が出てきた。歯を食いしばり泣き声を殺して
いると、頭を優しく抱えるように撫でられた。
されるがままに顔をなっちの肩に埋める。
「かわいそうに」
ひどく優しい声が耳に届く。
それが悲しくて余計に涙が止まらなくなった。

ぜんぶ、ぜんぶ、なっちのせいなのに。
矢口がこんなことに、なってしまったのって、
ぜんぶなっちのせいなんだよ。

「なっちは、いつでも矢口の味方だかりさ、いつでも何でも言ってね」

ねぇなっち。
矢口の心はもう壊れそうだ。毎日、毎日なっちのことを考えるんだ。
目の前にいるときも、いないときも。

最初はさ、ささやかな妄想だったのに、今じゃムリヤリ押さえつけてやっ
ちゃうこととか、首を絞めたり、監禁したり、食べたりもするんだ。
矢口ってイカれてるでしょ?

でも、それぜんぶ、なっちが矢口の前にいて、こんな風に優しくしたりする
からなんだよ。

もう、堪えることに疲れた。
ねぇなっち、私は貴女を貴女から奪ってしまいたい。
30 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:43
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ラジオ放送を終え、マネージャーとご飯を食べて、ホテルに着いた時には、
時計の針は23時を過ぎていた。
局を出た時から雨が降り始め、今では本格的に降っている。

「あー雨すごいね、明日やむといいんだけど」
なっちは外を眺めて呟いた。
「明け方には止むみたいよ、ほらテレビでゆってる」
ソファーに寝転びリモコンをいじる。
矢口は早々と明日の用意をすませて、お風呂もすませたというのに、なっち
はのんびりと外を眺めてる。
「なっち?早くお風呂入りなよ」
「ははっ、お母さんみたい」
「なっちがぼやっとしてるからでしょ」
「おちびのくせに〜」
鼻歌を歌いながら、なっちはお風呂場に消えた。

耳をすませて浴槽に入った音を確認すると、さっき確認したクローゼットか
らバスローブのベルトを抜き取り、ベッドの下に隠す。
バスローブの別にパジャマも用意されていて、私たちは迷わずパジャマを手
に取ったため、ベルトが無くなっていることには気づかれないだろう。
いつも持ち歩いている爪切りで爪を切った。
不思議なほど、冷静に準備している自分がいた。

遅かれ少なかれ、いつかこうなっていたんだろう。そんなことを思って、
自分勝手だな、とまったくおもしろくないのに笑った。
31 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:43

お風呂からあがったなっちと、それぞれのベッドの中でしばらく向かい合っ
てくだらない雑談をしていた。
スタンドライトを挟んだ隣のベッドとの距離は思ったよりある。

話題も尽きたころ、雷が遠くで落ちた。
「あ。雷」
なっちは話すのを止めて、遠いかな?とひとり言みたいに呟いている。
「ほんとに明日までにやむのかね」
「雷とか久々聞いたかも」
再び雷が鳴った。
なっちは耳をすませているのか部屋に沈黙が落ちた。
「なっち?あのさ、今日一緒に寝てくれない?」
「ん。どした?」
「雷こわい。やむまででいいからさ、一緒に寝かせて?お願い」
うそだ。怖いことは怖いがこんな遠いとさすがに怖くなんかなかった。
横で寝れれば、行動を起こしやすいと思ったからだった。
邪な嘘がバレないかドキドキしながらなっちを見る。なっちは目が逆三日月
の形になると、小さく笑った。
「矢口はほんとこわがりだなぁ。前もそんなことあったよね、いいよ。
 おいで」
32 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:44
立ち上がると、なっちがベッドの端に寄り、入りやすいように布団を上げて
くれる。ベッドに潜り込んだ途端に、なっちの香りに包まれた。
「なっちの匂いがする」
「ふふ、なんか照れるね」
向かい合うと近くになっちの顔があり、普段は感じることのない息遣いを感
じた。
「少しだけ、抱きしめてもいい?」
「へ?」
返事を聞かないまま抱きつく。なっちは抵抗せずに、抱きしめやすくするよ
うに体勢を変えてくれる。向かい合わせになった下の腕をなっちの首の下に
絡ませて、上の腕を背中にまわす。
ぴったりと身体が密着した。

薄いパジャマの生地がふたりの間にあるだけで、いつものノリで抱きつく感
覚とはまったく違う。
なっちの体温、身体のライン、肉体の感覚を、ありありと感じることができ
た。
どくんどくんと心臓が暴れだす。指先がぴりぴりと痺れだす。
興奮していることがばれないように息を止めた。
矢口の速くなった鼓動はなっちに気づかれているだろうか。

なっちの首筋に鼻をくっつけるとなっちの匂いが胸に充満する。
止めていた呼吸が限界に達して、静かに息をはき出すと、思っていたより、
その息は熱を含んでいた。

「こそばい」とクスクス笑うなっちの息が首筋にかかる。
何も言えずに、そのまま抱きしめていると、自分の鼓動と違うリズムの鼓動
が肌を通して伝わってきた。
その音は矢口のものと同じくらいの苦しそうな強さで打っている。
それをもっと感じようと腕に力を入れようとした時だった。
「落ち着いた?」
ふいに、矢口の肩が優しく押され、身体が離される。
薄暗い照明では、はっきりとはわからないが、心なしかなっちの瞳が潤い、
頬が赤くなっているように見えた。
なっちは絡み付いている腕を解くと「さあ寝るべ、寝るべ」と背中を向けた。
33 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:45

静かだった。
足元用のライトが微弱に灯った薄暗い部屋で雨音がやたらと大きく感じた。
なっちの規則正しい寝息が微かに聞こえる。
「なっち?」
呼びかけても反応がなかった。

ここまできて急に怖じ気付く。
さっきまで淡々と準備を進めていた自分の状態に恐怖すら覚えた。
これから起こす事に払う代償はとても大きいだろう。
今のままで、いられるのなら…

―――雷が、落ちた。

部屋の中が一瞬明るくなる。一瞬だけ光に照らされたなっちの顔は純粋無垢
な天使のようだった。その表情が脳裏に焼きつく。

続けて思考をかき消すように、また、雷が落ちた。
さっきよりも近かったようで、低く、強く、唸る。

もう一度、なっちが眠ったのを確認すると、用意していたバスローブのベル
トで両方の手首を、それぞれベッドの柵に縛った。
柔らかいタオル生地のベルト。
明日、跡が残らないといいのだけれど。

縛り終えると、なっちの上にまたがり両手をベッドに付き、覆いかぶさった。
34 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:45
なっちの顔を見下ろす、こんなにまじまじと寝顔を見つめるのははじめてだ。
まつげ、長いなぁ。
吸い寄せられるように、無防備なくちびるにくちづけた。

いつ、起きるだろう?

前髪を触る。童顔だと言われてるけど、表情がないときのこの人の顔は大人
びていると思う。

目が覚めたら何を言えばいいんだろう?

再びくちづける。今度は少し長く。舌を出してなっちのくちびるを舐める。
やらかくてキモチイイ。
夢中でくちびるを貪っていると、びくっと身体が揺れ、なっちのくちびるが
動いた。

「なに?」
合わせていたくちびるは、たぶん、そう動いた。
腕を動かそうとしたみたいだけど、動かないことに気付いたようで、今度は
足が動いた。
瞳が慌ただしく動く。最終的に真ん中で止まると馬乗りになった矢口にゆっ
くりと時間をかけて焦点を合わせた。

「…やぐち?」
かまわず、くちづけた。
舌を伸ばすと、がっちりと歯が合わさり中に入ることができない。
足がばたばたと動く。
なっちの歯を舌でなぞりながらパジャマのボタンを外していく。はだけた首
筋や鎖骨に何度も吸い付くようなキスをした。
「やぐち?」
その問いかけは、さっきより怯えていた。
あらわになった形のよい乳房を優しく撫でると、ようやく状況を理解したの
かなっちが言った。
「なにしてるの?」
その声は、かすれていた。
35 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:46
なっちのきめ細かく、白い肌は薄暗闇の中でも浮き上がる。
手を滑らせるその感覚は滑らかで柔らかい。乳房の先端を指先で転がしなが
ら、真っすぐなっちの目を見ながら答えた。

「毎日、まいにち、こうするの、想像してた。いちど考えだすと止まらない
 んだ。ね、なっち。なっちのせいなんだよ、なっちがまぶしすぎて、
 やぐちは、あたまがおかしくなっちゃった」

「なにゆって、るの?」

「なっち、おいらを、たすけてよ」

指で乳首を軽く弾きながら、もう一方の乳房を口に含むと、舌で乳首を刺激
する。同じところを何度も細かく往復し舐めた。
舌と指で刺激をあたえ続けると両方の乳首とも固くなり、ぷくりと立つ。
いつの間にかなっちの声は聞こえなくなり、代わりに不規則に吐息が漏れて
くる。

顔を少しずらすと乳房の下辺りにくちびるを当てて強く吸う。真っ白な肌に
赤い印がついた。
今度は胸の真ん中あたりにくちづけると同じ印をつけた。

「やぐちっ、あとつけちゃ、、だめ…」
それだけ言うと、なっちは、はぁはぁと苦しそうに息を吐いた。
揉んでいた乳房の先端を強めにつまむ。
「あぅっ」
小さく叫ぶと、なっちはまたくちびるをきゅっと結んだ。声が出ないように
しているみたいだ。

舌を這わせて首まで移動すると顔をあげて、なっちの耳元に囁く。
「わかってるよ」
アイドル、だもんね。

耳たぶを咥えて甘く噛むと、耳の外側から奥に向かって舐める。
「やだぁぁ」
なっちはそう叫ぶと頭を振る。その勢いで舌から耳が離れていった。
36 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:46
追うことはせず、身体の位置を下に移動する。
乱暴にパジャマのズボンとショーツを一緒に膝まで下ろした。
「あっ、だめっ!」
閉じられかけた太股の間に膝を挟み込み、足を閉じれないようにする。
その挟み込んだ足でショーツをひっかけ、さらに足首まで下げた。
その間も舌で胸の先端を刺激し続ける。

右手で滑らかな肌を楽しみながら、ゆっくり太ももまで下降させる。
なっちは何とか逃れようとするが、足は矢口の身体の重みでうまく動かない
ようだった。縛りつけられた腕を動かそうとして、ぎしぎしぎしと虚しく
ベッドを鳴らしている。

「やぐちぃ、お願い。やっぱりこんなのだめだよ。止めよう?だ、っ…!」
指が目的地に到着した。

なっちのそこはぐちゅぐちゅに濡れていた。
垂れる蜜を中指で追う。蜜はおしりを伝いシーツまで濡らしていた。おしり
の線になぞって指を上らせると、ゆっくり花びらを押し分けこね回す。
中指に溢れた蜜が絡み付いた。

「なっち?すごく濡れてるよ」
耳元で囁くと、首を横に振る。
「ちがっぅ。やめて、やぐ…んん。ちぃぃ、、」
なっちの大きな瞳から涙がこぼれ落ちた。
次から次へ流れ、ひとつの筋になる。なっちの呼吸が大きく乱れる。
背筋にぞわぞわと微弱な電流が流れた。
電流は脳まで達し、突き上げるような快感が広がる。
矢口は、いまなっちを汚しているのだ。この手で自分の暗闇へなっちを引き
ずりこんでる。
あんなに純粋できれいな娘を。
37 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:48
涙を舐め取った。震える瞼、くちびる、耳、首筋を、舌と唇を使ってできる
だけ優しく、愛撫していく。
さきほどまで花びらをいじっていた右手で、一番敏感な突起物を人さし指と
中指で円をかくように優しく触れていく。
「あっ…ぅっ」
なっちはびくりと身体を震わせ息を止める。なっちが縛りつけられたベッド
が痙攣に合わせてきしむ。

もう口が閉じれる状態ではないのか開かれたなっちのくちびるに、矢口のく
ちびるを合わせ、さっきは侵入を拒否された中へ舌を奥に伸ばす。
逃げていくなっちの舌を追いかける。
口の中になっちの味が広がり、頭の芯から熱いものがどろりと溶けだすよう
な感覚を覚えた。
こんなことをされても、優しいなっちは矢口の舌を噛むこともない。
なっちが顔を背けて、くちびるが離れた。どちらのものかわからない唾液が
なっちの頬に糸を垂らしたように光っている。

キスに夢中になって、疎かになっていた右手の動きを再開する。
指を敏感になっているところに這わせるたびになっちの身体は反応し、白い
身体がびくびくと震えた。

押し殺されていたなっちの喘ぐ声が少しずつ溢れだす。
その甘い鳴き声に、心や頭や全身が無茶苦茶にかき乱された。沸騰したよう
に矢口のすべてが熱くなる。

何かを耐えるようななっちの横顔は異常なほど妖艶で美しかった。
38 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:48
責め続ける指を止めないように、なっちの足の間に移動すると、蜜が溢れる
中心へくちづけた。たまった蜜を舌で舐め上げ、溢れる蜜をすくう。口で全
体を包み、軽く吸い付く。
じゅっ、ちゅう、と口から音がもれる。なっちの蜜が口の中で唾液にまじり
溢れそうになり、飲み込んだ。
「ふぁ、っ、やぐぅ、、ちぃぃ。やっ…っあぅ…」
なっちの腰が浮き、身体が仰け反る。

なっちの固く大きくなった突起物を舌のざらざらした部分で刺激し、くちび
るで挟み、吸い上げる。
同時に複数の指の腹で花びらを愛撫して、入り口のまわりをじわじわと強弱
をつけて撫でわました。
苦しそうな荒い呼吸に、時折まじるなっちの喘ぎ声と、くちゅ、くちゅ、と
湿った音が部屋に響く。

細切れに名前を呼ばれるたびに、胸が締め付けられる。
愛しくてしかたがない。ぜんぶ。ぜんぶ、奪いたい。
口を離して、なっちを見る。
涙の乾いた跡。悩ましげに眉をひそめ、瞼を閉じて、下唇を噛み締めて耐え
ている。

指で蜜を絡み取り、乱暴にかきまわす。聞こえるように、わざとぐちゅく
ちゅと音を鳴らした。
「なっち、聞こえる?ほら、ここ、えっちなのいっぱいでてる」
「やめっ、んんんっ」
喘ぎながら指から逃れるようと、なっちは身体をくねらせる。

逃さないように左手で太股を押さえて聞こえるくらいの小さな声で言った。
「いれるよ」
薬指と中指をなっちの中にゆっくりゆっくりと沈めていく。指は抵抗なく根
元まで飲み込まれていった。
指が入っていく瞬間、なっちは息を飲むと、小刻みに短い呼吸を繰り返し
た。奥まで飲み込まれた指をぎゅうぎゅうとしめつけてくる。
なっちの腰が、侵入してきた指を押しだそうとするように、蛇のようになま
めかしくうねった。
39 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:49
ゆっくり指を前後に出し入れし、親指を敏感な部分に押し当てる。
徐々にスピードを速めると、またゆっくりと落としていく。何度か繰り返し
た。動きに合わせてなっちは短く喘ぐ。
しばらく続けると、なっちは泣き声と喘ぎがまじったような声を出して、身
体を小さく痙攣させた。
「やっ…ぁぁ」
同時に水ぽい液体が溢れ、矢口の手や手首を濡らした。

ザァザァザァと、今まで聞こえなかった雨音が、再び部屋の中を満たした。
40 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:49

近くにあったティッシュを引き寄せ、濡れた太ももや、その根元を拭き取
る。ほんとは、ここで持ってきていたデジカメで乱れた裸体を撮るつもり
だった。
純粋に、保険として。

でも泣きじゃくるなっちの声をきくとそんな気は失せた。
溜まった欲望は発散され、一時的にまともな思考力を取り戻したみたいだ。

クローゼットから新しいバスタオルを取りだし濡れたシーツをの上にひく。
なっちの乱れたパジャマを着せて最後に縛りつけていたベルトを解いた。

なっちは解放された手で泣いている顔を覆った。

気まずいというよりは拍子抜けした。きっと叩かれると思っていた。怒鳴ら
れ、軽蔑の言葉が投げつけられるものだと。

立ち上がって冷蔵庫からミネラルウォーターを取りだし、洗面所でフェイス
タオルを濡らし固くしぼった。
ベッドルームに戻るとなっちは同じ体勢のままだったけれど、泣き声は止ん
でいた。

反対側のベッドのサイドボードに用意したものを起き、なっちのいるベッド
の前に立って話しかけた。

「なっち?隣のベッドに行ってくれないかな?オイラ、このベッドで寝るか
 らさ。お水と濡れタオル置いておいたよ。明日あるから、目冷やして?」

ごめん、だとか、好きだとか言う気はなかった。
それで何かが許されるとも思わないし、矢口はただなっちから奪いたかった
だけだった。矢口の歪んだ世界をこの人にも見て、思い知って欲しかった。
41 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/05/07(土) 03:49
夜が明ければ、世界が変わるだろう。
警察沙汰にはならない気がするが、脱退やクビなんかは普通に起こる気がし
た。それまではきっとあらゆる人に避けられるだろうな。
少なくともなっちは二度と矢口に笑かけてくれないだろう。
それで良いや。あの苦しい日々がようやく終わる。

なっちは気だるそうに無言で立ち上がると隣のベッドに移動した。水を飲
み、タオルで顔を拭き、目に当てている。

「やっぱり、向こうのソファーで寝ようかな」
なっちに聞こえるように呟いた。
犯したベッドで眠るのは、なっちの匂いが染み付いて、せっかく収まった欲
望がまた暴れそうな気がして、滅入った。

布団を手に取ると部屋を出る。
出る前に一応「もう何もしないから安心して」と伝えた。

きっと、今日は眠れないだろう。
と思ったのに、なっちの匂いがする布団にくるまり、なっちのくちびるの感
覚や滑らかな肌を思い出している間に、いつの間にかぐっすりと眠っていた。

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