続。あっち向いてホイこっち向いて恋
- 1 名前:三拍子 投稿日:2009/08/18(火) 18:51
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板内『あっち向いてホイ、こっち向いて恋』の続編です。
容量の事を考えていなかった作者をどうか見捨てないで下さい。本当に申し訳ありませんm(__)m
- 2 名前:三拍子 投稿日:2009/08/18(火) 18:52
- では、前スレでめちゃくちゃ中途半端になった話をもう一度仕切り直しますm(__)m
- 3 名前:あっち向いてホイ、こっち向いて恋 投稿日:2009/08/18(火) 18:52
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- 4 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 18:52
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- 5 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 18:53
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あぁ、恋は素晴らしいものだ
あなたに出会って、そう思ったよ
angle.M−7
- 6 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 18:53
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とんとんと軽い足取りで舞美は階段を上がる
向かうは、彼女の待つ教室
久しぶりに一緒に帰る事になり、部活が終わるとすぐに帰り支度をして舞美は部室を飛び出した
勢いのよかった足取りも、いざ教室に近付いてくるとゆっくりとしたたどたどしいものになる
それは緊張からで、えりかの元へ行く事は堪らなく楽しみでけれど舞美はこうして何度もドアの前で深呼吸してしまう
すーはーと三回、深呼吸を繰り返した後舞美はいつものように勢い良くドアを引いた
- 7 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 18:54
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「−‥‥」
フラッシュバック、というのはこういう事を言うのだろうか
それはえりかを、梅田えりかをちゃんと初めて見た時
夕日の差し込む教室で
えりかはあの時も窓際に一人立っていた
今思えばあの時もう、あの瞬間にもう
舞美はえりかに恋をしていたのだ
そして今、改めて自分の気持ちを思い知る
「‥‥‥」
「あ、矢島さん」
舞美がぼーっと突っ立っていると、えりかが窓の外から視線を外しこちらを振り返った
夕日に透ける茶髪は相変わらず綺麗で
表情はあの時より大分柔らかいものになった気がするのはきっと気のせいではない
舞美は顔が一気に緩むのを感じる
止めていた足を再び進めて舞美はえりかの隣に並ぶ
部活が終わった時間だというのにまだ沈んでいない夕日に季節の移り変わりを感じた
- 8 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 18:55
-
えりかに好きだと言われてからも、全くと言って良い程関係は進展していない気がする
相変わらずお互い『梅田さん』『矢島さん』と呼び合っているし、とても両想いとは思えない
けれど舞美は幸せで堪らない
進展はしていないかもしれないが、前よりもずっと一緒にいる時間が増えた
それで満足なのかと聞かれたらそれでも舞美は満足と答えてしまいそうだった
僅かに触れ合う肩は温かい気がする
舞美は心地良さに目を細めながら沈んで行く夕日を見つめる
いつもいつも、夕日を見るとえりかを思い浮かべていた
柔らかくて、暖かくて、なのに遠くて手を伸ばそうとするとすぐに沈んでしまう
「夕日、暖かいなぁ」
そんな事を考えていると隣にいるえりかがふいに呟いた
舞美はその言葉にえりかの方を向く
夕日に照らされた横顔はやっぱり綺麗だった
「うん。綺麗だね」
「うん」
「梅田さんみたい」
「ん?」
- 9 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 18:56
-
ずっと、ずっと思っていた
靡く茶髪に
眠そうな瞳に
いつも夕日のような暖かさを感じていた
「梅田さんて、夕日みたいだよね」
えりかの横顔に向けてそう言うと、えりかも舞美の方を向いた
舞美はそれが恥ずかしくて視線を夕日に戻す
今のじゃまるでえりかを綺麗だと言ったみたいではないか
いや、綺麗だと思っているのは本当の事だ
けれどいざ言葉にしてみると結構な恥ずかしさの言葉だった
顔が熱い
どうか夕日がこのまま沈まずに、赤くなっている自分の頬を隠してくれれば良いと舞美は思った
- 10 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 18:57
-
舞美がえりかの方を向けないままでいると、またえりかが独り言のようにぽそりと呟いた
「矢島さんが一番綺麗だよ」
その言葉が頭の中にしっかりと入って形になるまでかなり時間が掛かった
そして形になった瞬間、舞美は一気に心拍数が上がるのを感じた
ゆっくりと、ロボットのようにキコキコと音のするような固い動きで舞美はもう一度えりかの方を向く
えりかは優しく笑って舞美を見ていた
「‥‥‥ゃっ、‥‥その」
「矢島さんは、太陽って感じだね」
「‥‥‥」
「元気で、輝いてて、眩しい」
- 11 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 18:58
-
−夕日も太陽だよ
心の中でそんな突っ込みを入れつつ、えりかはこんな事を言う人間だったのかと舞美は思った
えりかに言われた言葉は熱くて、一瞬で胸を焦がされたような気がした
嬉しくて、幸せで
舞美は何と返して良いのかわからない
「−あのね」
「?」
「この間、愛理ちゃんと話した」
舞美がえりかの言葉に固まったままでいると、えりかが視線を外に戻して話し出す
えりかと愛理が会った
どうしてそうなったのか舞美はわからない
この言い回しからするとえりかから持ち掛けたのだろうか
「やっぱりさ。その、ちゃんと話さないとなって」
「‥‥‥」
「あの子も、きっとすごい矢島さんが好きだったと思うから」
愛理の笑顔が頭に浮かぶ
先日会った時、気まずさこそあったもののどうにか関係はこじれずあったような気がした
やっぱり舞美にとって愛理は大切で
それを告げると愛理は笑って「ありがとう」と答えた
笑顔はもしかしたら作り笑顔かもしれない
けれどその目は、もう悲しさを映してはいないような気がした
- 12 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 18:59
-
酷い事かもしれない
けれど、誰よりも幸せを願いたいと思う
「すっごい大切にして下さいって」
「‥‥‥」
「そう言われたよ」
涙が出そうになった
えりかの横顔に、愛理の笑顔に
胸が熱くなって、息が苦しくなる
好きで好きで堪らなくて
本当は独り占めしたくて
誰よりも自分を見て欲しいと思っていた
初めてする恋は、ルールも何もわからなかくて
がむしゃらに頑張ってどうにかなる物ではなかったし、知らない事や気付かない事が沢山あった
夢中になって、我が儘になって、誰かを傷付けて、きっと迷惑も沢山掛けた
- 13 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 19:00
-
細い光になりつつある夕日を見つめたままえりかは言う
舞美はえりかから目を逸らす事が出来ない
「大切にしたいって。思うから」
それでも
それでも、恋は素晴らしいものだと
そう思えるのは
「矢島さん」
あなただから
「付き合おう?」
- 14 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 19:00
-
涙が出るのは夕日が染みたからだ
心に、目に、じんわりと
何度泣き顔をえりかに見られただろうか
我慢しようと思っても、意識に反してぽろぽろと涙は落ちて行く
「−うん」
上手く言葉が出ない舞美は頷く事しか出来ない
大きく何度も頷くとえりかが笑って舞美を見た
「なんかあたしといると泣いてばっかだね」
「うれ、し、いから、だよぉ」
「それはよかった」
えりかははーっと息を吐いて窓に寄り掛かった
実は緊張していたりしたのかもしれない
ふとそんな事を考えたが、今はみっともない泣き顔をどうにかする方が先だ
舞美はごしごしと目を擦りながら窓を閉める
空はもう夜に向かって色を青く深くしようとしていた
「帰ろ。見回りのおじさん来ちゃうから」
「んー。うん」
舞美が言って窓から一歩離れるとえりかものろのろと体を起こした
そして舞美の隣に並ぶ
- 15 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 19:01
-
−これは、今しかない
そのまま並んで廊下に出た所で舞美は足を止める
数歩先を行った所でえりかが振り返った
「どしたの?」と少し不思議そうな顔で聞いて来る
舞美はその問い掛けに返事が出来ない
どくんどくんと騒がしい鼓動をどうにか抑えようと無意識に歯を食いしばっていた
ずっと思っていた事は誰でも考えるような普通の、下らない事で
なのにこんなにも緊張する自分は馬鹿だと舞美は思う
とんとんと胸を叩いた後、息を大きく吸って舞美は顔を上げた
- 16 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 19:02
-
「−えり!」
思っていた以上に大きな声になったそのたった二文字が廊下に響き渡る
そうだ、たったの二文字
彼女の名前を呼んだだけだ
周りが呼んでいるように、普通に呼んだだけだ
それなのに物凄い労力を要した気がした
いつもいつもタイミングを謀ってはやっぱり言えないでいた
えりかは以外にも驚いたような表情をしている
そしてぎこちない感じで口を開いた
「‥‥−はい」
えりかはまるで初めてそう呼ばれたような感じだった
少なくともクラスの半−‥‥3分の1位にはえりかちゃん、えり、などと呼ばれている筈だ
それなのにえりかが目を見開いてぽかんとしているのは自分が呼んだからだと良いと舞美は思う
とんとんと跳ねるようにして舞美はえりかの隣へ着地する
笑ってえりかを見るともういつもの気のない顔に戻っていた
- 17 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 19:02
-
「じゃあ、記念にお茶でもしますか?」
「行く行くっ」
するとえりかが手を軽く上げた
手を繋ぐのだろうか、そう思い舞美はその手に手を伸ばそうとした
けれどえりかは手を開かないまま、くるりと身体を舞美の方へ向けた
「あっち向いてホイ」
「へ?」
「負けた方奢りね」
そう言ってえりかがにやりと笑う
手を繋ぐ訳ではないのかと一瞬落胆したが、舞美はすぐに手を前に出した
えりかとお茶、しかも奢ってもらえるとなればこれ程嬉しい事はない
- 18 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 19:03
-
「言っとくけどねえり、」
「「あたしあっち向いてホイ強いんだよ」」
手をぶんぶんと振りながら、舞美の声に合わせてえりかが得意げにそう言った
前回の瞬殺を思い出して舞美は俄然やる気が出て来た
「今度は負けない!!」
「はいはい」
「じゃーあたしが買ったら奢ってあたしの事も名前で呼んでっ」
「はいはい」
どさくさ紛れに言ってみたが、えりかには笑って流された
絶対に勝つ、そう気合いを入れて舞美はぐっと拳を握った
「「じゃーんけんっ」」
- 19 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 19:04
-
あなたが隣にいるだけで
嬉しくて、楽しくて
あたしはすっごい幸せになる
恋をしてるあたしの心は、あなただけのもの
M−7.終わり
- 20 名前:M−7 投稿日:2009/08/18(火) 19:04
-
- 21 名前:三拍子 投稿日:2009/08/18(火) 19:09
- 先にレス返し。
908さん
毎回ありがとうございますm(__)m
最後まで頑張ります。
909さん
こちらこそ心から感想ありがとうございますm(__)m
私もです。
910さん
終盤ですからね、みんな頑張ってます。
そう言って頂けると光栄です。
911さん
すみません、お待たせしました!!
912さん
ありがとうございますm(__)m
どうか最後までお付き合い願います。
- 22 名前:三拍子 投稿日:2009/08/18(火) 19:10
-
そんな訳で、もう一度。
皆様本当にすみません!!!!!
m(__)m
相変わらず梅さんがかっこいいのでどうか許して下さいWW
このまま最後まで突っ走ります!!
- 23 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/08/19(水) 10:25
- やじうめはいいですねッ
あいかんの続きも気になります
- 24 名前:名無し 投稿日:2009/08/19(水) 20:23
- ここの梅さんになら抱かれたい
かっこいいにもほどがある
- 25 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/08/22(土) 21:33
- 更新お疲れ様です
あっちのスレをお気に入りに入れていたので更新が途絶えていて心配でした
作者さんの身に何かあったのではとwいやぁ焦った
ここのえりかは相変わらずかっこいい
やじうめが幸せで何よりです
あとの二人も幸せになるといいなぁ
次も楽しみにしてます
- 26 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/09/01(火) 00:21
- 最近℃に(そしてやじうめに)ハマって今日初めてこちらの作品を読ませて頂きました
素敵なあいかんややじうめばかりでガーッと一気に読んでしまいましたw
梅さんがいつの間にか男前になりましたねw
続きも楽しみにしています!
- 27 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 22:36
-
- 28 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 22:38
-
わからない
どうしてこんなに嬉しくて
こんなに苦しくなるの
angle.A−8
- 29 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 22:43
-
「うわ、やっぱり」
電車を降りて駅の改札を出ると、目の前にはぱらぱらと雨が降っていた
電車に乗っている時に降り出したらしく、しかしながら窓に雨が打ち付けるのを見ていた愛理は雨が降っている事にそれほど驚きはしなかった
用意だって完璧だ
毎朝天気予報の確認は怠らずにやっている
今日だってお天気お姉さんに挨拶してちゃんと予報を聞いて来た
だから愛理は雨が降る事を知っていたし、しっかり折りたたみ傘は鞄に入れてある
お気に入りの黄緑色の傘だ
周りからは「うわぁ傘忘れた」などという声がちらほら聞こえて来て、傘を持っている事に少しの優越感を感じた
- 30 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 22:44
-
雨脚が強くなる前に帰ろう
そう思い愛理が鞄から傘を出そうとすると、「にゃあ」と少し特徴のある聞き慣れた鳴き声がした
「あ、マサムネ」
ぴょんぴょんと短い階段を上がり、駅の屋根の下に来たのは有原書房にいる猫のマサムネだった
愛理が驚き名前を呼ぶと、もう一度にゃーと鳴いて愛理の隣に歩いて来た
大分雨に打たれたらしく、毛は濡れて体に張り付いていて
ぶるぶると体を震わせて水を飛ばした後小さなくしゃみをした
「大丈夫?」
愛理はしゃがみ込むと鞄から傘と一緒にタオルを出し、マサムネの体を優しく拭く
身体は大分冷えていて、濡れた毛は気持ち悪そうに感じた
一通り拭き終わり、いつものように耳の裏を撫でると気持ち良さそうに目を細めていた
- 31 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 22:46
-
マサムネと並んで、降る雨を見つめる
雨脚はさっきよりも増して、地面にはテンポ良く雨粒が弾けていた
さっきも言ったが、傘は持っている
けれどかなりぽっちゃりしたマサムネを抱えて帰る事は難しい
かと言ってここに置いて行くのもどうかと思う
もう少し雨脚が弱くなったら帰ろう
そう考え愛理は出した傘をもう一度鞄にしまった
「どーせヒマだしね‥‥」
ぽつりとそんな事を呟き、愛理は端にあるベンチに腰掛ける
するとマサムネがぴょんとベンチに飛び乗り、愛理の隣で体を丸めた
そういえばマサムネは自分を気に入っていると前に本屋さんが言っていた気がする
「君は本屋さんとは大違いだねぇ」
毛も大分乾いて来たマサムネの首の辺りを撫でる
全く嫌がる素振りを見せないマサムネが何だかとても優しく感じた
- 32 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 22:47
-
自分が本屋さんに何を求めているのかわからない
本屋さんが何故こうも自分から逃げるのかもわからない
−栞菜が自分で決める事だと思うよ−
梅田えりかはそう言っていた
という事は、やっぱり本屋さんは故意に愛理に会わないようにしているようだ
とどのつまり、避けられている
その事が素直に悲しくて、だから愛理はあの日以来有原書房に行けずにいた
理由はそれだけではないが、ここ数日商店街を通らずに遠回りして帰っていた
「本屋さんは‥まだ怒ってるのかな?」
隣で気持ち良さそうに丸まっているマサムネに尋ねてみたが、ひょいと尻尾を振っただけだった
- 33 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 22:48
-
気付けば一時間近くこうして駅で雨宿りしていた
雨は止む気配はないが、雨脚は大分弱まって来た
愛理は立ち上がり鞄から傘を取り出す
するとマサムネがベンチから飛び下り足元に擦り寄って来た
「帰ろっか」
傘を開きながらマサムネに言うとマサムネはとんとんと階段を下り、にゃあと愛理を呼ぶように鳴いた
マサムネの後を追って愛理も駅から出る
ぱしゃんと水溜まりを蹴り、向かうは商店街
何日かぶりに通る、当たり前だが景色は変わっていない
マサムネは猫とは思えない位従順に愛理の隣について歩いている
しかしながら、このままマサムネと共に歩いて行くと、行き着く先はあの店となる
今日は、いるだろうか
- 34 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 22:49
-
だんだんと足取りが重くなる
そうしながらも足を止めずに歩いていると、見覚えのある寂れた看板が見えた
「‥‥−」
もう少しで有原書房、という所で愛理はぴたりと立ち止まる
マサムネはそれに気付いたのか気付いていないのか、そのまま歩いて有原書房へと向かって行く
−そうだ、通り過ぎてしまえば良い
有原書房を覗くという毎日の習慣は、あの日以来ないものとなっていた
会いたいと思う、けれどそれは思って良い事なのかわからない
どうしよう、そう迷いながらも愛理は再び歩き出そうと顔を上げた
- 35 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 22:50
-
「−ぁ‥‥」
愛理がわざわざ遠回りしてまで有原書房を避けた理由
簡単に言うと、怖くなってしまった
会いたいとただそれだけを思っていた
たったそれだけの事なのに、いつの間にか頭の中はその事だけを考えるようになった
きっと、きっとその内その気持ちがどんどん膨らんで、その他の気持ちを消して行く
愛理はそれが怖くなった
−だって
認めてしまったら、言葉にしてしまったら
全部が嘘になる
舞美を想っていた時間も
舞美を想っていた気持ちも
本屋さんに話した事も、全部全部嘘になる、消えてしまう
大切な、大切な想いと時間
それら全てを裏切ってしまうような気がする
本屋さんに会えば、きっと全部わかる
きっとわかってしまう
愛理はそう思っていた
どうして本屋さんがあんな事を言ったのか聞きたいと思うし、話したい事だってきっと愛理には沢山ある
会って確かめなければと思っていた
- 36 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 22:51
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けれど確かめる事が急に怖くなったのは、きっと、どこかで気付いているから
「‥‥ども」
「‥‥はい‥」
目の前には、マサムネを抱き抱えている制服姿の本屋さんがいた
傘をもっていなかったのか、髪の毛の先から雫がぽつぽつと落ちている
本屋さんは笑ってはいない、けれど愛理を見ている
ちゃんと向き合えている
−あぁ、やっと目を見てくれた
たったそれだけの事で随分と肩の荷が降りた気がした
「‥‥‥」
「どうぞ」
「え?」
「立ち話もなんだし」
そう言って本屋さんはがらりと店の戸を開けた
「‥‥でも」
- 37 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 22:53
-
「‥‥」
「でも、私−」
毎日毎日、彼女に会いたくてこの店を覗いていた筈だ
なのに、やっと会えたのに
嬉しい筈なのに
どうしてこんなにも泣きたくなるのか
「人の話したくない話を無理に聞こうなんて悪趣味はないよ」
愛理が立ち止まったままでいると、聞き覚えのある言葉を本屋さんが口にした
いつもの、素っ気ない、なのに優しい声
「あたしが話す」
「‥‥‥」
「あたしが話すから。だから入って」
本屋さんはそう言って店の中へ入って行った
愛理はゆっくりとその後をついて行く
店には『本日閉店』の看板が立て掛けてある
どうやら今日は元々休みだったらしい
傘は畳んで入口の端に立て掛けた
数日振りの有原書房、それよりも久し振りの本屋さん
- 38 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 22:55
-
話したい事が、言いたい事が
聞きたい事が沢山あった
本屋さんは「ちょっと待ってて」と言い残し奥の居間へ入って行き、数分後簡単な私服にエプロンを身につけ、頭をタオルで拭きながら出て来た
愛理はずっと店に入ったすぐの所で立ち止まったままだった
「あ、ごめん。ココアないんだ。お茶でも良い?」
「‥‥‥」
「入れてくる」
「−かんな」
口から出たその名前に、居間に向かって愛理に背を向けていた本屋さんはぐるりと振り向いた
その顔は今まで見たどの表情よりも驚いているものだった
何故名前を呼んだのかは愛理自身わからない
「‥‥って、いうんですね。名前」
「‥‥‥」
「この前知りました」
「‥‥そう」
そう、それだけ言って本屋さんは居間へ入って行った
愛理はその背中を襖が閉められるまで見つめた後、本棚の隅にある脚立を引っ張って来て座った
- 39 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 22:56
-
するとタンッと勢い良く閉められたばかりの襖が引かれた
しかしながら出て来た本屋さんはなんとも腰の低い感じだった
「念のため聞くけど、お煎餅とケーキならケーキが良いよね?」
「え?あ、いやっどっちでも。全然‥」
「あー‥。うん、じゃあケーキだ。ケーキにしよう」
うんうんと一人頷き、本屋さんは居間へ入って行った
久しぶりな事の緊張からか、とりあえずどこかおぼつかない感じなのはお互い様らしい
−あたしが話すから−
本屋さんの話
思えば本屋さんがどういう人間で、何を考えたりするのか
愛理は何も知らない
だから本屋さんの話がどんな事なのか予想する事は難しい
- 40 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 22:57
-
もっと感動とか、動揺すると思っていた
自分の心臓が意外にも正常のリズムを刻んでいる事に愛理は驚き、少し安心する
すると居間の襖を足で開けて、盆を持った本屋さんが出て来た
それをレジ机に置き、椅子に座る
マサムネはすぐに本屋さんの元へ駆けて行き、ぴょんと膝に飛び乗った
「どぞ。麦茶だけど」
盆の上にはグラスに入った麦茶とロールケーキが置かれている
愛理は「ありがとうございます」と呟きグラスを手に取った
一口お茶を飲んで初めて口の中が異常に渇いていた事に気付く
やっぱり緊張していない訳はなかった
- 41 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 22:59
-
「‥‥‥」
「‥‥‥」
暫く続く沈黙にグラスの中のお茶はもうなくなりそうになっている
愛理はちらりと本屋さんを見てみる
本屋さんは無言でケーキを食べている
−睫毛、長いなぁ
愛理はふとそんな所に目が行く
伏せた大きな瞳に掛かる睫毛
小さいけれどすらりと綺麗な指先
しっかりと切り揃えられた黒髪
−そうなんだ。 本屋さんて、こんな人だったんだ
何も考えていなかった
見ていなかった、何も
きっと、舞美の事もえりかの事も
愛理は自分の事以外何も考えていなかった
何故会いたいと思うのかわからなかった理由は簡単で
愛理が本屋さんの事を何も知らなかったからだ
カチャ、と本屋さんがフォークを置く音で愛理は我に返った
- 42 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 23:00
-
「−ごめん」
「‥‥‥」
「ごめん。あの時は」
ゆっくりと顔を上げた本屋さんが真っ直ぐに愛理を見て言う
瞬間とん、と何か尖った物が胸に押し当てられるような感覚がした
−本屋さんは悪くないです
愛理はそう言いたかったが、喉に何かが支えてそれは声にならなかった
本屋さんはきっと謝るだろうと思っていた
けれど本当に本屋さんが謝る必要はあるのだろうか
本屋さんの事を何も知らない愛理はわからない
「‥‥ぃえ」
「無駄なんかじゃないよ」
- 43 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 23:01
-
「‥‥‥」
「君が矢島舞美さんを想う気持ちは。好きな事は、無駄なんかじゃない」
「‥‥‥」
「だから、ごめん」
無駄じゃないって、励ましてくれているのだろう
けれど本屋さんは泣きそうな顔をしていた
「‥‥」
「じゃあ、どうして−」
責める気はなくても、謝って来た相手に問い質したら責めているような雰囲気になってしまうのは仕方のない事だ
やっぱり喉が渇いて愛理はグラスを傾けたが、もうお茶はごくごくと飲める程は入っていなかった
愛理がグラスを見つめていると、本屋さんは立ち上がり居間へ行き、お茶の大きなボトルを持って来てくれた
「ん」と言って手を伸ばした本屋さんに愛理はグラスを渡す
「‥ぁりがとうございます」
「言うつもりは、なかった」
「−‥‥」
- 44 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 23:02
-
愛理は本屋さんからグラスを受け取る
本屋さんは自分のグラスにもお茶を注ぎながら言う
「あたしの狭量のせい」
「きょう、りょう‥?」
「心が狭いってこと」
難しい言葉に愛理が眉をひそめると、ボトルを机に置いて簡単に本屋さんが解説してくれた
本屋さんが心の広い人なのか狭い人なのか
それを判断出来る程本屋さんの事を知らない愛理は素直に受け取る事が出来ない
「そう、ですか‥‥」
曖昧に答えて愛理はケーキにフォークを入れる
口の中に甘さが広がって、今はそれをあまり良い心地だとは思えなかった
本屋さんは「うん」とだけ言って黙ってしまった
- 45 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 23:03
-
−やっぱり、何も言ってくれないんですね
自分は本屋さんの事を何も知らない
なのに、時々
本屋さんには全て見透かされているような気分になる
隠したい訳ではない
報告しなければと思う
相談事の顛末は、ちゃんと話さなければならない
いや、本当は話したいんだ
聞いて欲しいんだ、この人に
「‥本屋さん」
「ん?」
「私、フラれちゃいました」
時が止まるとはこういう事を言うのだろうと思った
けれどそう思ったのは愛理だけで、本屋さんは驚く素振りを見せなかった
- 46 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 23:04
-
ゆっくりと一回、瞬きをした後本屋さんが愛理を見る
「そっか」
それだけ言って、本屋さんはお茶を一口飲んだ
愛理はもう一口ケーキを食べてみるが、今度は味がよくわからなかった
何を期待していたのだろう
本屋さんに何と答えて欲しかったのだろう
愛理が舞美に振られたという事が本屋さんにとってそれ程重要な筈がない
元々結果もわかっていたようなものなのだから、驚かないのだって当たり前だ
そうだ、これはただの報告だ
なのに、待っているんだ
「‥−頑張った」
「‥‥‥」
「よく、頑張ったね」
この、優しい言葉を
彼女からのこの言葉を
- 47 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 23:05
-
柔らかい何かに包まれるような
優しく頬を撫でられたような、そんな感覚がした
そして次の瞬間じわりと胸が熱くなる
久しく感じるものだ
「‥‥薄情なこと、言ってもいいですか」
「ん?うん」
「嬉しいです」
そうだ、薄情だ
こんな事、誰にでも言って良い言葉じゃない
なのに開いた口が止まらないのは、きっと本心だから
「こうやって本屋さんと会えたことが嬉しいです」
「‥‥‥」
「私−」
- 48 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 23:06
-
ずっと、ずっとあなたに会いたかった
怖くても、苦しくても
それでもそう思ったのは
あなたを知りたいから
A−8.終わり
- 49 名前:A−8 投稿日:2009/09/02(水) 23:06
-
- 50 名前:三拍子 投稿日:2009/09/02(水) 23:14
- 今回はここまで。久しぶりに梅さんが出ていませんWW
さーどーなるこれ。どうなる作者。
という感じで、また次回。
>>23さん
やじうめは幸せモードでずっと行けば良いと思います!あいかんは‥‥どうでしょう(笑)
>>24さん
そうですか、それは参りましたね。
>>25さん
お、お、お気に入りなんて‥‥(T_T)
心配かけてすみません、頑張ります。作者冥利につきます!!
>>26さん
ありがとうございますm(__)m
梅さんへのせめてもの餞になればと思います。
- 51 名前:みら 投稿日:2009/09/03(木) 00:13
- 更新お疲れ様です。
このふたりがとうとう動き出しましたね。
次回も楽しみにさせていただきます!
- 52 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/09/04(金) 01:08
- ついに動き出しましたね!
これからどうなっていくのか本当に楽しみです
- 53 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/09/04(金) 01:29
- いよいよ動き出すふたり・・・続き楽しみにしています
読んでいて心が暖かくなったり切なくなりました
猫が大好きだからその描写に毎回頬緩みます
- 54 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/09/04(金) 20:44
- 更新お疲れ様です
かんなに惚れそうですwというかもう惚れてますw
散々言ってますが4人には幸せになってほしいな
インフルなんちゃらが流行っていますが作者さんもお体に気をつけてくださいね
次回も楽しみにしてます
- 55 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/09/09(水) 23:20
- 自分の気付き始めた
本当の気持ちに戸惑っている愛理。
不器用だけど優しい栞菜。
…良いですね。
この作品の世界観が好きです。
次回も楽しみにしています!
- 56 名前:K−8 投稿日:2009/09/16(水) 10:01
-
- 57 名前:K−8 投稿日:2009/09/16(水) 10:04
-
情けない
堪らなく情けないんだ、あたしは
でも、それでも好きだから
angle.K−8
- 58 名前:K−8 投稿日:2009/09/16(水) 10:04
-
「こうやって本屋さんと会えたことが嬉しいです」
彼女の言葉に息をするのさえ躊躇われた
一文字でさえ聞き逃せない気がした
なのに、心臓が痛いくらいに騒いでそれを邪魔する
愛理は困ったように眉間に皺を寄せていて、その表情の理由は栞菜にはわからない
「私、」
「‥‥」
「あの、私−プルルルップルルルッ
愛理が口を開きかけた時、タイミング良く居間の電話が鳴った
お陰で愛理は口を開いたままその先の言葉を栞菜が聞く事はなかった
- 59 名前:K−8 投稿日:2009/09/16(水) 10:06
-
「ごめん。電話」
栞菜は逃げるように居間へ向かう
助かったような、惜しい事をしたような
とにかくタイミングの悪い電話をどうにかしようと栞菜は若干乱暴に電話を取った
相手はよく有原書房に注文をしてくれる常連のお爺さんで
最近入った本を配達して欲しいという話だった
有原書房は大きな店ではないが、昔からの長い繋がりが広いためこういった希少価値のある本もいくつかあるのだ
お爺さんが頼んだ物も年代としては古い本で、今店頭にこの本を置いている店は数える程しかないだろう
配達先は電車で1時間位の所
明日は土曜日のため店番は祖母に任せて自分が配達しようと栞菜は思った
- 60 名前:K−8 投稿日:2009/09/16(水) 10:08
-
「ごめん、何だっけ?」
「あ、えっと」
電話を終えて店頭に戻ると、愛理はレジ机に置かれていた本を読んでいて、栞菜に気付くとすぐにそれを閉じた
そして困ったような顔を栞菜に向けた後、少し口ごもって言った
「やっぱり‥‥いいです」
「‥‥そっか」
−そうやって、聞きたくない事は沢山話すのに、聞きたい事は言ってくれないんだね
眉を下げて小さく笑う愛理に胸が痛いと叫ぶ
ちくちくとした刺のような物が喉に引っ掛かって余計な事を言ってしまいそうになるのを止めていた
すぐに折れないで問い詰めれば、愛理の言葉の続きを聞く事が出来たのだろうか
それが栞菜の欲しがっている言葉かどうかはわからない
けれど愛理は栞菜に何かを言おうとした
それを聞けなかった事が残念で堪らない
- 61 名前:K−8 投稿日:2009/09/16(水) 10:10
-
「電話、お仕事ですか?」
「ん?あ、うん。そう」
次にそう尋ねて来た愛理の顔はさっきの表情が嘘のようにさらりとした物だった
「配達。明日、ちょっと遠くまで」
「本屋さんが行くんですか?」
「うん」
「じゃあ、明日本屋さんはここにはいないんですね」
明日も来るつもりだったのだろうか
ここ数日、愛理は有原書房を訪れていなかった
だから栞菜はもう会えないとばかり思っていた
店の前でマサムネに会い、その向こうに愛理が立ち止まっているのを見た時は夢だと思った
すぐに心臓の動きが早くなって、雨で冷えていた身体はみるみる暖まっていった
会わないように逃げていたのは自分なのに、愛理に会えた事が素直に嬉しくてそんな自分に嫌気がさした
気持ちは少しでも冷める事はなかった
それどころか前よりも愛しく思ってしまうくらいだ
- 62 名前:K−8 投稿日:2009/09/16(水) 10:11
-
別に期待している訳ではない
口から出たのは無意識で、ただ愛理を見ていたら自然と口にしていた
「−行く?」
「え?」
「配達。ついて来る?」
言った後、栞菜は自分が何を言ったのかを理解した
まずい、とは思ったが、撤回する気にはならなかった
ただ愛理の返事を急かすように時計の針の進む音がやけに響いた
固まっているのも不自然だと思い栞菜はそこら辺に置いてある本を手に取る
ぺらりと頁をめくり始めると同時に声が聞こえた
「いいんですか‥?」
その声に開いたばかりの本を閉じる
顔を上げると愛理はまた困ったような顔をしていた
- 63 名前:K−8 投稿日:2009/09/16(水) 10:12
-
その表情に心臓がどくんと高鳴る
くらくらと眩暈さえ起きそうで、思わず返事が遅くなる
「‥‥‥ぁ、うん。まぁただの配達だけど」
「じゃあ、行きます」
そう言って愛理が控え目に笑う
眩暈が強くなると同時に罪悪感に駆られた
ずるい、堪らなくずるい
彼女が傷付いて弱っている所に近付いて、こうやって手を差し延べる
自分に会いたいと言った彼女だけを信じて単純に強気になっている自分がいる
あんなに逃げ回っていたのに、可能性の一つ二つ見付けた位でこうも舞い上がっている自分がいるのだ
けれど、そうでもしないと敵わない
少しでも彼女の心に隙間があるなら、そこから入り込みたかった
足掻いてみようと思った、自分の気持ちに
- 64 名前:K−8 投稿日:2009/09/16(水) 10:13
-
矢島舞美の事を忘れて欲しいなんて我が儘は言わない
自分が彼女の事を想っていれば良い
自分の方を向いて欲しいなんてもう言わない
自分が彼女の目の前にいれば良い
「じゃあ、一緒に行きますか」
「はい」
そう言って愛理が笑う
笑顔を見たのはとても久しぶりな気がした
今、笑顔の愛理の目の前にいられる事が栞菜は堪らなく嬉しかった
- 65 名前:K−8 投稿日:2009/09/16(水) 10:15
-
何か、何でも良い
一歩でも一センチでも
彼女との距離を縮められたら
ほんの少しでも、彼女の心の中にあたしがいられたら
それだけであたしは素直になれる
K−8.終わり
- 66 名前:K−8 投稿日:2009/09/16(水) 10:15
-
- 67 名前:三拍子 投稿日:2009/09/16(水) 10:25
- 今回はここまで。短いですが一応一区切りという事で。
そろそろ大詰めです(ノ><)ノ
>>51さん
コメントありがとうございますm(._.)m
動き出しましたが、みらさんの期待までにはもしかしたら動かないかも‥‥?
>>52さん
ありがとうございます。楽しみにしてて下さい(^O^)/
>>53さん
私は猫派だからなのか、よく見るとマサムネの出演率が高い気がしますWW
>>54さん
栞菜イチ押しの為良い人になってしまうのは仕方ないですねW
そんな身体の心配までして下さるなんて(T_T)
ありがとうございます!
>>55さん
二人のぎこちなさは最後まで見所なのでお願いしますm(._.)m
あと少し、頑張ります!!
- 68 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/09/18(金) 13:40
-
大詰めにきましたねッ
続きも楽しみに待っています
- 69 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/09/19(土) 01:06
- なんてタイミングの悪い!と思ったすぐ後に
でも一緒に行くのは楽しみだな…といろいろ考えてしまいましたw
今はまだ深く考えずにただ純粋に接していってくれたらなぁと思います
続きを楽しみにしています
- 70 名前:A−9 投稿日:2009/09/28(月) 23:48
-
- 71 名前:A−9 投稿日:2009/09/28(月) 23:49
-
いつだって気付かない振り
あなたの気持ちにも
自分の気持ちにも
angle.A−9
- 72 名前:A−9 投稿日:2009/09/28(月) 23:50
-
昼過ぎに駅で待ち合わせをして、愛理は本屋さんと配達へ出掛けた
待ち合わせ場所にいた本屋さんは本が入っているのだろう紙袋片手に、愛理に気付くと小さく頭を下げた
つられて愛理も頭を下げる
思えば有原書房以外で顔を合わせるのは初めてかもしれない
そう考えると緊張が走り足取りが固くなった
「こんにちは」
「こっ、こんにちは」
本屋さんはいつも通りの表情で、けれど愛理はその顔を見る事が出来ない
しっかり整えたつもりの髪の毛が何故か気になり、右手で何度か弄った
「今日は髪下ろしてるんだ?」
「あ、はい。いつもは学校なんで、結んでないといけないんです」
「へー‥」
「えっ、と‥‥」
「かわいいね」
本屋さんの唐突な言葉に愛理が「えっ?」と顔を上げると本屋さんは改札口に向かっていた
慌てて愛理も後を追う
足音と心臓の音が重なって聞こえた
今日の本屋さんは、何だかいつもと違う
- 73 名前:A−9 投稿日:2009/09/28(月) 23:51
-
途中から乗り換えた電車は土曜日だというのにがらがらだった
どうやら本屋さんの向かう先は随分と田舎の方らしく、愛理は今乗っている電車がどこに向かっているのかわからない
駅名を本屋さんに聞いたが、今まで聞いた事のなかったその名前はもう忘れてしまった
カタコトとゆったりとした電車の揺れが眠気を誘う
隣に座っている本屋さんは本を開いていた
会話はなくて、何か話そうと思っても何も口には出来なかった
改めて自分は本屋さんに舞美の話しかしていなかったつまらない人間だという事を知る
聞きたい事が、沢山あった
けれどそれが全部聞いて良い事なのかはわからない
本屋さんが愛理の疑問全てに答えてくれるとも思わなかった
かと言って、じゃあ愛理自身で解決出来るのかというと、それは更に難しい
- 74 名前:A−9 投稿日:2009/09/28(月) 23:52
-
そんな事を考えながらぼんやりと窓の外に流れる景色を見つめていると、読んでいた本を閉じて本屋さんが立ち上がった
「次だよ」
「あ、はいっ」
愛理は目が覚めたようにはっと背中を起こして立ち上がる
本屋さんはもう電車を出て前を歩いていた
今日、愛理は一度もまともに本屋さんの顔を見ていない気がした
きっと本屋さんは当たり前に普通の表情をしているに決まっている
けれど気になって、それでもやっぱり見れなくて、本屋さんの斜め後ろをついて行くように愛理は歩く
知らない駅から出て降り立った知らない町
行き先は本屋さんしか知らず、愛理は知らない道を本屋さんの進む通り進むしかなかった
- 75 名前:A−9 投稿日:2009/09/28(月) 23:53
-
−何か話したいな
そんな事を思いながら愛理が足元を見つめているとふいに本屋さんが愛理を振り返った
何か言うのか
本屋さんに何か言って欲しくて期待するように胸が高鳴る
「あのさ」
「−‥‥」
「あた「栞ちゃーん!!!」
本屋さんの言葉はそれよりも大きな声に掻き消された
本屋さんが苦笑しながらまた愛理に背を向ける
すると向こうから「おーいおぉーい」と大声で叫びながら駆けて来る女の子がいた
色黒、とまではいかないがにかっと笑った白い歯が輝いて見えた
- 76 名前:A−9 投稿日:2009/09/28(月) 23:54
-
「千聖。そんな言わなくてもわかるから」
「いやー久しぶり久しぶり!おばあちゃん元気?」
「元気元気」
あれだけ走って来たのに息一つ切らしていないその子はばしばしと本屋さんの肩を叩く
本屋さんは呆れたように溜め息吐いていたが、どこか嬉しそうな感じがした
千聖、と呼ばれたその子は暫くにこにこ笑っていたが、本屋さんの後ろにいる愛理にやっと気付くと目を丸くした
「誰っ!?」
「え?あ、えっと」
「友達だよ。配達付き合ってもらったの」
本屋さんが一歩横へずれて愛理と並ぶ
千聖は本屋さんと愛理を「へー」と言いながら何度か見比べた後、やっぱりにかっと笑って手を差し出して来た
「岡井千聖です!今日栞ちゃんが配達行くおじいちゃんの孫ですっ」
「あっ、す、鈴木愛理です」
「愛理かぁ、よろしくー」
そう言って繋いだ手をぶんぶんと振り回された
- 77 名前:A−9 投稿日:2009/09/28(月) 23:55
-
−−−−−−−
−−−−−
−−
- 78 名前:A−9 投稿日:2009/09/28(月) 23:57
-
数分間で友達になった千聖と三人、並んで暫く歩いて着いたのは、どこか趣のある一軒家だった
表札に『岡井』と書かれている所を見ると、どうやら千聖は本当にここの家の孫らしい
「配達すぐ終わるからさ、待ってて」
「あ、はい」
「よし愛理、千聖と仲を深めようじゃないか」
「あーあんまり危ない事しないようにね」
そう言って本屋さんは「すみませーん」と配達先へ入って行った
やっぱり目を合わせてはくれなくて
もしかしたら愛理が逸らしているだけなのかもしれない、けれどどっちにしろ未だ本屋さんと向かい合えずにいた
いつかと同じように小さく小さく胸が鳴って
単に本屋さんは家の中へ入って行っただけだというのに何だかとても寂しく感じた
そしてそんな自分に嫌な気分になった
- 79 名前:A−9 投稿日:2009/09/28(月) 23:58
-
千聖と家の門の所に並んでしゃがみ込む
「すぐって言ってたけど、多分けっこー長くなると思うよ」
「どうして?」
「栞ちゃんもじいちゃんも本大好きだから、話し出すと止まらないんだよね。千聖には全然わかんないような難しい話もするし」
「へぇ‥」
「何がそんなに面白いのかなぁ」
千聖は腕を組んで首を傾げる
なるほどあまり本を読むようには見えなかった
「千聖‥は、本屋さんと仲良いの?」
「ん?あー千聖ね、元々そっちに住んでたから」
「そうなんだ」
「だから栞ちゃんとはそれなりに仲良いよ。今でもこうやってたまに会うし」
「‥‥」
「付き合わされたんでしょ?栞ちゃんさみしがりだから」
「え?」
「だって栞ちゃんてさ−」
- 80 名前:A−9 投稿日:2009/09/29(火) 00:00
-
千聖の話す本屋さんは、愛理の知っている本屋さんとは全く違う人物のように思えた
やっぱり自分は何も知らなかったのだと痛感する
一人で寝る事が出来ない位怖がりだとか
実は運動神経が良くて体を動かす事が好きだとか
慌てると言葉にならない奇声を上げるとか
大声で笑う姿も、子供っぽくはしゃぐ姿も
むきになった所も泣いた所も
何も知らなくて、何も見た事がない
それはもちろん出会ってから過ごした時間が少ないという事もある
けれどそれだけではない気がしてならない
知りたいと思っていなかったのが事実だし、きっと本屋さんも知ってもらおうとはしていなかった気がする
なのに今は、知らなかった事がこうも悲しい
そしてそんな事を思う自分が愛理はよくわからなくなっていた
- 81 名前:A−9 投稿日:2009/09/29(火) 00:03
-
一緒に行くかと誘われた時は驚いて、嬉しくて
可愛いと言われただけで胸が高鳴った
そんな自分が愛理はわからない
いや、本当はわかっている
ただ考える度にあの人の姿が浮かんで来て思考を遮られる
だから簡単に答えに行ってはくれない
答えに持って行くには、あまりに小さくて拙い感情だ
「−でね。って聞いてる?愛理」
「ん?うん、聞いてるよ」
−愛理
愛理、あたしね
千聖の話を聞いている間中ずっと、あの人の声が頭に響いて
その明るい笑顔が心を柔らかく束縛した
わかっている
あの人はそんな事しないとわかっている
ただ自分を悪者にしたくないだけだ
自分が自分の気持ちを裏切りたくないだけだ
- 82 名前:A−9 投稿日:2009/09/29(火) 00:04
-
「−ごめん遅くなった。話し込んじゃってさ」
気付けばもう日は暮れ始めていて、どこからか鐘のような物が聞こえて来る
「ほらね。言った通り」
「うん」
「ん?何?」
「何でもないよー」
「まぁ良いけど。あ、千聖、お母さんが呼んでた」
「了解!」
びしっと敬礼をして千聖が立ち上がる
愛理も続いて立ち上がるが、足が痺れてよろよろした
「ありがとね栞ちゃん。わざわざ」
「あー良いよ。久しぶりに話出来て楽しかったし」
「じゃあね愛理。今日は色々話せてめちゃくちゃ楽しかった!」
「うん。私も」
近い距離だというのに大袈裟に手を振りながら千聖は玄関へ向かう
- 83 名前:A−9 投稿日:2009/09/29(火) 00:06
-
−また会いたいな
愛理がそんな事を思っていると急に千聖が振り返った
「栞ちゃん。次の電車逃すと次一時間後だよー」
悪戯に笑いながらそう言って千聖は家の中へ入って行った
すると突然隣にいた本屋さんが携帯を開き「あーっ!!」と叫んだ
「やばい!もう5分ない!!」
「えぇっ!?」
「走ろうっ」
言うが早いか本屋さんが駅に向かって駆け出す
愛理も慌ててバッグを肩に掛け直す
しかしまだ足の痺れが取れずもたもたしていると少し先に行ってた本屋さんが戻って来た
がしっと手を掴まれ引っ張られる
「えっ?」と愛理が言うと同時に本屋さんは再び駆け出した
- 84 名前:A−9 投稿日:2009/09/29(火) 00:08
-
繋がれた手が熱い
細く綺麗だと思っていた本屋さんの手は、力強かった
何故か愛理は涙が出そうになる
込み上げて来る何かを抑えるように唇を噛み締める
前を向いている本屋さんはどんな顔をしているのだろう
そればかりが気になった
改札口を力任せに抜け、二人で扉が閉まりかけている電車に飛び乗った
「セーッフ!」
プシューという音と共に扉が閉まる
本屋さんはその場に崩れ落ちた
愛理もはぁーと長く息を吐き出し、扉に背中を預ける
「‥‥‥」
「‥‥−あ」
何かに気付いたのか本屋さんがぱっと繋いでいた手を離した
思わず本屋さんを見ると、ばつの悪そうな顔をした後「座ろうか」と言ってすとんと車内の席に腰を下ろした
愛理も隣に腰掛ける
- 85 名前:A−9 投稿日:2009/09/29(火) 00:09
-
飛び乗った一番後ろの車両には、愛理達以外誰もいなかった
横を見ると本屋さんはもう本を開いて視線を落としていた
その頬が赤いのは、きっと走ったからだ
愛理はふぅと息をついて静かに目を閉じた
速まっていた心音がだんだんと落ち着いて行くのがわかる
結局、本屋さんとは何も話せなかった
本屋さんの事は今日沢山知った
嫌になる位聞いた
そう、全ては聞いた事だ
それも本人からではなく、今日会ったばかりの千聖から
愛理が本屋さん本人から教えてもらった事と言えば、手の温かさだけだった
けれどそれだけで良い気がした
今はもう離した手を握ってみる
本屋さんの手の温かさを思い出そうとしている内に愛理は眠りに落ちていた
- 86 名前:A−9 投稿日:2009/09/29(火) 00:11
-
−愛理
名前を呼ぶ声がする
大好きな、大好きだった明るい綺麗な声
舞美を好きだった
それは確かな事で、舞美を好きだった事は愛理の誇りだ
梅田えりかを、良い人だと思った
彼女になら舞美を任せられると思った
けれど、本当は舞美に縛り付けられた振りをしていただけだったのかもしれない
舞美を理由に、他の事を考えないようにしていただけだったのかもしれない
ごめん
ごめんね
そうやって舞美ちゃんは謝るんだ
笑って、なのに悲しそうに
本当は、本当は
謝るのは私の方なのに
ごめんなさい
ごめんなさい−‥
- 87 名前:A−9 投稿日:2009/09/29(火) 00:16
-
‥−コツ
いつかも聞いた硬質な足音
柔らかな光は前よりも輝きを増していた気がする
いつかと同じように『誰か』がそこに立っていた
ふわりと頬に温かさを感じた
知っている
この温かさだけは知っている
彼女だと自信をもって言える
「−‥‥」
いつから自分は涙を流していたのか
けれど冷たい涙の感触よりも本屋さんの手の方が先に認識出来た
ゆっくり目を開けると、目の前には眉を寄せている本屋さんがいた
涙を拭っていた手が頬から離れる
けれど本屋さんは愛理から目を逸らさなかった
今日、初めてちゃんと顔を見てくれた
何だかそれだけでまた涙が零れ落ちそうだった
「‥ぇと、その‥‥泣いてたから」
「‥‥‥」
お互い言葉を続ける事が出来ずに俯いていると、次の駅で乗り換えというアナウンスが聞こえた
- 88 名前:A−9 投稿日:2009/09/29(火) 00:17
-
それ以降お互い何かを口にする事はなくて
不自然に感じるか感じないか位の距離を空けて並んで歩く
もうすぐ商店街に差し掛かる、という所で本屋さんが呟くように言った
「ありがと。今日は」
「‥‥いえ」
「千聖何か変な事言った?」
少し心配そうに本屋さんが聞いて来る
えぇ沢山言っていました、とは言えない
千聖に教えてもらった数々の事を思い出し、愛理は思わず笑いそうになってしまった
「いえ、大丈夫ですよ」
「怪しいなぁ」
「そんな事ないです」
言うと本屋さんは少し笑った後、何かに気付いたように立ち止まった
愛理もつられて立ち止まる
- 89 名前:A−9 投稿日:2009/09/29(火) 00:18
-
「ちょっと待ってて」
「?」
本屋さんはそう言うと右手にある花屋に入って言った
待ってて、と言われたため愛理は素直にその場で待つ
本屋さんに見られていない内に自分の頬を触ってみた
眠っていたとは言え、泣き顔を見られた事は恥ずかしかった
けれど思い返すともう本屋さんには何度も泣いた所は見られている
手に、頬に
触れられたのは初めてで、だからなのか何なのか未だ胸はざわざわとしたままだ
暫くして本屋さんが花屋から出て来た
その手には可愛らしい花束が握られていた
「何か記念日とかですか?」
「んー。いや」
煮え切らない返事をしてとことこと愛理の前まで歩いて来る
- 90 名前:A−9 投稿日:2009/09/29(火) 00:20
-
本屋さんはそのまま「んー。あー」と何度か唸り声のようなものを上げた後、手に持っていた花束を愛理に差し出した
「どうぞ」
「え?」
意味がわからず愛理は首を傾げる
本屋さんは俯いて小さく息を吸った後、ゆっくりと顔を上げた
「−泣きなさい」
「‥‥‥」
『そうすれば零れた涙から芽が生え大きな木となるでしょう。その木に花が咲いた時、きっとあなたに幸福が訪れるでしょう』
「−‥‥‥っ」
−それは、本屋さんに最初に借りた本の中にあったたった一行の台詞
けれど愛理が一番感動した台詞だ
どうして本屋さんがそんな事を言うのか
「いや、その。芽じゃないし木じゃないんだけど」
「‥‥‥」
「君に、幸せが訪れるように」
恥ずかしそうに頭を掻きながらそう言って本屋さんが優しく笑う
笑っているのに、何故か愛理には泣きそうな顔にも見えた
- 91 名前:A−9 投稿日:2009/09/29(火) 00:22
-
「ありがとう‥ございます」
「はい。どういたしまして」
「‥‥‥」
本屋さんから花束を受け取る
あの台詞をもう一度心の中で呟いた
「あの‥‥」
「?」
「どうしてそんなに優しいんですか?」
「‥‥‥」
「だって、だって私−‥」
初めて会った時から、ずっと思っていた
本屋さんは優しい、とてもとても優しい
自分にはそんな事をしてもらう資格などないと愛理は思う
向かい合う本屋さんの目は真っ黒い、なのに泣きたくなる位綺麗だった
「あたし優しくなんかないよ」
「‥‥‥」
「君にだけ」
「好きだから」
- 92 名前:A−9 投稿日:2009/09/29(火) 00:23
-
気付いてはいなかった
でも、ずっと
ずっと、言って欲しいって思ってた
ずっと思ってたんだ
A−9.終わり
- 93 名前:A−9 投稿日:2009/09/29(火) 00:23
-
- 94 名前:三拍子 投稿日:2009/09/29(火) 00:30
- 今回はここまで。千聖何気ない登場です(笑)
多分次回で最終話?になると思います。
最後は餞としてあの人に締めてもらいましょう!!
68さん
大詰め!という程詰まらなかった気が‥‥すみませんm(__)m
どうか最後までお付き合いお願いします。
69さん
楽しみにしていただきありがとうございます!
この話は多分ほのぼのな感じで最後まで行くと思います。
- 95 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/09/29(火) 18:42
- ちしゃとー!!w
電車の描写がホコホコしました。
ラストまでついてゆきます!
- 96 名前:名無飼育 投稿日:2009/09/29(火) 21:30
- 最後にカーッと熱いパッションを感じたのは久々…
意外でございました
この二人がたまらなく素敵すぎる!!!!!
- 97 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/07(水) 21:07
- 二人が可愛すぎて大好きです
作者さんの作品であいかん好きになりました!
最後まで見守りたいと思います
- 98 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/08(木) 11:10
- 栞菜はカッコイイし、愛理は可愛らしいし
この2人が大好きです!
愛理に本屋さんのことを
ペラペラとたくさん話してくれたのには、感謝してます(笑)
続きを楽しみにしています。
- 99 名前:三拍子 投稿日:2009/10/12(月) 00:15
- 先にレス返しとお詫びを。
>>95さん
どこかで誰かしら出そうと思っていたので(笑)
ぎこちない感じは書いてて楽しいです。
>>96さん
栞菜もやる時はやります。最後までよろしくお願いしますm(._.)m
>>97さん
あいかん好きが増えてくれるのはこれ以上ない幸せです(T_T)
ありがとうございます。
>>98さん
愛理は何をしても結局可愛くなってしまいます。
すみません(笑)
- 100 名前:三拍子 投稿日:2009/10/12(月) 00:22
-
えー先日、次で最終回と言ったんですが。
いや、本当は今回ので終わりだったんですが、この後読んで頂ければわかる通り
半端過ぎる!!(((゜д゜;)))
と、いう事で勝手な作者のわがままでエピローグ的な物がもう一話出来ました。
しかしながらそれはまた次回という事で、なのでもし今回最終回だと思っていた方がいたら本当にすみませんm(__)m
以上、お詫びでした!
- 101 名前:E−9 投稿日:2009/10/12(月) 00:23
-
- 102 名前:E−8 投稿日:2009/10/12(月) 00:26
-
原因があたしにない訳じゃないけど
面倒事の解決は本人達でやって下さい
angle.E−8
- 103 名前:E−8 投稿日:2009/10/12(月) 00:27
-
「‥‥−だから」
「‥‥‥」
「だから大丈夫。きっと、良い事あるよ」
栞菜がそんな事を言っていたなんて、その時あたしが知る訳なかった
「−で、それから愛理ちゃんはぱたっと店に来なくなったと」
「‥‥‥」
夕方の有原書房、そこのレジに座る店員は今すぐクビになっても仕方ないという程仕事をやる気がなかった
新しく入った本を本棚に揃えなければならないらしいが、本は段ボールのまま積まれている
机に顔を伏せたまま時々溜め息を吐くだけだ
これならまだ自分がやった方がマシなのではないかとえりかは思う
- 104 名前:E−8 投稿日:2009/10/12(月) 00:28
-
栞菜と愛理が配達に行った日から、つまり栞菜が愛理に告白してからもう三週間は経とうとしている
その間栞菜はずっとこの調子で、店の安否が心配なえりかは暇があれば店に来るようにしている
原因は愛理によるものだろうと予想はしていたが、詳しい話は今日初めて聞いた
「まぁ、でも」
「‥‥‥」
「あたしも栞菜と一緒のこと言うかもな」
えりかがそう言うと栞菜が机に付けていた額を上げてじろりとえりかを見上げた
栞菜は頑張ったと思う
花束を渡して本の台詞と共に励まして、そのまま勢いで告白
中々憎い事をしてくれたと思う
- 105 名前:E−8 投稿日:2009/10/12(月) 00:29
-
−君に幸せが訪れるように−
−きっと、良い事あるよ−
それは、栞菜の優しさで
けれど裏を返せば痩せ我慢とも言える言葉だった
きっと、愛理でなければこうはならなかった筈だ
愛理がずっと舞美を好きでなければこうはならなかった筈だ
好きだと言った後に、それを撤回するような事は言わない筈だ
愛理の幸せを願っていて、けれど本当は自分を見て欲しくて
答えを聞くのが怖かったのだろう、きっと
相手の気持ちがわかればどんなに良い事か、やっぱり自分は贅沢な立場だとえりかは思った
「‥‥ぇりかちゃんは」
「ん?」
「えりかちゃんは、ずるい」
眉間に皺を寄せて栞菜が言う
その言い方は拗ねた小さな子供のようだった
- 106 名前:E−8 投稿日:2009/10/12(月) 00:29
-
「ずるいよ。好きな相手が自分の事好きでいてくれるんだもん」
「うん」
「うそ。ごめん。ただのわがまま」
「うん」
「でもさぁ‥‥やっぱ人間そんな一気には強くなれないよ。文句くらい、言いたくなる」
「うん。そーね」
「でもあの時。あの時〜‥−いや、う〜ん‥‥いや、いや〜」
栞菜は唸りながらぐりぐりと机に額を押し付ける
えりかの膝の上のマサムネはそんな栞菜の気も知れず呑気に欠伸をしていた
ずるい、そう言われても仕方ないとえりかは思う
元々舞美がえりかの事を好きにならなければよかったのだ
簡単な話にしてしまえばそうだが、結果それは無理な事だった
何よりえりかは、自分を好きになってくれた舞美に感謝している
舞美を好きになってよかったと本当に思う
正直今舞美がいなくなるのは困る
「でも栞菜は偉いよ」
「‥‥」
「あたしが矢島さんに告白出来たのは、矢島さんのお陰だから」
「良いじゃん。そっちの方が全然」
「んー、まぁね」
「あたしなんて見事自ら散ってみせましたとさ」
- 107 名前:E−8 投稿日:2009/10/12(月) 00:31
-
苦笑にそう言うと栞菜ははぁー、と大きな溜め息を吐いてまた机にうなだれた
しかしながら、本当に栞菜の告白は失敗に終わったのだろうか
あの日から愛理がここに来ない理由
考えられるとすれば二つあるのだが、栞菜はもう一つの理由を考えていない
えりかからすればそのもう一つの理由の方が可能性として高いような気がするのだが、それを栞菜に言って実際間違っていたら嫌なのでそれは言えない
それに、もしえりかの予想が当たっていたとしたら、今は見守っている方が面白い
人の事はむやみに首を突っ込まず見ているのが一番だ
えりかが暫く一人ぼんやり考えていると、うなだれたまま栞菜が口を開く
「てゆうか、」
「ん?」
「まだ『矢島さん』なの?」
「あぁ。うん」
「付き合ってるんでしょ?なのに何で?」
「うーん。だってさ、あたし負けないんだもん」
- 108 名前:E−8 投稿日:2009/10/12(月) 00:32
-
「?」
「あっち向いてホイ。矢島さんが勝てばあたしも名前で呼ぶ事になってんの」
「うわぁ、くっだらない!」
「あたしもそう思う」
えりかは笑って答える
相性の問題なのかわからない、けれど未だあっち向いてホイでえりかが舞美に負けた事はない
条件を出したのは舞美からで、意地になっているのか別に良いと言っても聞いてくれなかった
別に矢島さんと呼ぼうが舞美と名前で呼ぼうがそこまで意味合いは違わないとえりかは思う
しかしながら、やっぱり名前で呼ばれる方が嬉しいだろう
現にえりかもそうだった
「‥‥ま、あたしなんて苗字も呼んだ事ないけど」
「へぇ。そうなんだ」
栞菜が恨めしそうな視線をえりかに送る
これはどうしようもなさそうだ
早く愛理がこの店に来てくれれば良いとえりかは思う
自分の気持ちに気付いて
- 109 名前:E−8 投稿日:2009/10/12(月) 00:32
-
「−でさぁ。いい加減この段ボールの山どうにかしない?」
「んー。あー、そだね」
段ボールの中身は新しく来た文庫本で、古くなり汚くなった本と入れ換えをしなければならない
古い本は棚の上に纏めて積んである物もあり、それは背の低い栞菜では届かずえりかが脚立を使って降ろさなければならなかった
「背伸びすれば何とか届くんだけどね」
「もう少し高い脚立買ったら?これかなりガタ来てるし」
普段はえりかの椅子になっている木製のしっかりとした作りの脚立はそれでもかなり老化していた
ぎしりと音を起てえりかは脚立に上がる
栞菜はその足元で段ボールを開け始めた
- 110 名前:E−8 投稿日:2009/10/12(月) 00:33
-
棚の上に纏めてある本はビニール紐で括られていた
これをいっぺんには降ろせないだろうとえりかは持っていたカッターで紐を切る
すると下で本を揃えていた栞菜が久しく聞くような明るい声を上げた
「あー、これ読みたかったやつ!!」
「ちょっと栞菜。本ばらしたから受け取ってよ」
「ちょっと、ちょっと待ってっ」
えりかの言葉は届かず、栞菜は胡座をかいて本を読み始めてしまった
切った紐を本から外しながらえりかは早く終わらせたいと思った
「栞菜、本」と言いながら引っ張り出そうと本に手を掛ける
しかし栞菜から返事はなく、えりかは溜め息と共にふと入口の方を見た
- 111 名前:E−8 投稿日:2009/10/12(月) 00:35
-
「あ」
ドサササーッ
「へ?わわわっ!?ぎゃーっ!!!」
その瞬間えりかは本に掛けていた手をずるりと滑らした
紐を解いてバラで重なっていた何十冊という本は勢い良く落下していった、栞菜に向かって
ばさばさという音と栞菜の悲鳴が足元で騒いでいたが、えりかは入口から目を逸らせない
- 112 名前:E−8 投稿日:2009/10/12(月) 00:36
-
「‥ーっ!ちょっとえりかちゃん!!」
少しして見事に積み重なった本の山の中から栞菜ががばっと体を起こした
「何やってんのさ!痛い〜っ」
「‥‥栞菜」
「何−‥」
そして次の瞬間、栞菜の文句がぴたりと止まる
えりかがやっと栞菜に目を向けると栞菜は目を見開いて固まったままただただ入口に立つ人を見ていた
頭に乗っていた本がばさっと落ちる
それにも気付かず本に埋もれている栞菜は笑ってしまうくらい格好悪かった
えりかは小さく笑いながらもう一度入口を見る
- 113 名前:E−8 投稿日:2009/10/12(月) 00:37
-
「−いらっしゃい。愛理ちゃん」
カラカラと戸を開けて控え目にその子は入って来る
えりかは脚立から降りてその子の元へ行く
「久しぶり。ちょうどよかった、後よろしくね」
ぽんとその子の肩を叩きえりかは有原書房から出た
戸を閉める時一瞬見えた栞菜の顔は見た事がない位の間抜け顔だった
思わず口を塞ぎ、えりかはポケットから携帯を取り出す
「−あ、もしもし矢島さん。梅田です」
- 114 名前:E−8 投稿日:2009/10/12(月) 00:38
-
頑張れ栞菜
あたしは今日こそ矢島さんに負けてみせるよ
E−8.終わり
- 115 名前:E−8 投稿日:2009/10/12(月) 00:39
-
- 116 名前:三拍子 投稿日:2009/10/12(月) 00:48
- >>101のE−9はE−8です。本当すみません(T_T)
という訳で、次回こそ本当に最終回です!
そこで、沢山皆様にご迷惑を掛けたお詫びと感謝の気持ちを込めてささやかながらお礼をしようと思います。
題して『最後の最後にもう一話だけリクエスト』!!
内容は簡単です。リクエストをお一人様だけ受け付けます(笑)!!
・今日12日の朝6時スタート。一番にここにリクエストして下さった方のご要望にお答えします。
・一人目が書き込まれた時点で終了ですm(__)m
・カプともしあったらシチュエーションなど、最後なんでもう何でも聞きます!!!
念を押します。何でも聞きます。
という訳で、また次回お会いしましょう。
- 117 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/12(月) 03:30
- もう一回クル━━━━(゚∀゚)━━━━!!
栞ちゃんが若干三枚目になってて素敵です。
小心者なのでリクエストは他の方に託すとしてw次の更新に期待。お疲れさまでっす!
- 118 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/12(月) 08:03
- ももみやがいいです!!
シチュはヤキモチみやびちゃんでお願いします。
- 119 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/12(月) 21:21
- ベリかよw
- 120 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/12(月) 22:37
- 同感です
- 121 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/12(月) 23:01
- この話でベリをリクするか普通w
何考えてるんだよww
- 122 名前:みら 投稿日:2009/10/12(月) 23:50
- いよいよクライマックスですね。
完結してしまうのは寂しいですが…
もっと三拍子さんのお話が読みたいですw
- 123 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/13(火) 07:44
- まだ終わりじゃないんですね!
本屋さんが最初の頃の印象とはだいぶ変わったような気がします
今の本屋さんも可愛いから好きですがw
三拍子さんの作品が大好きなのでまだ読めるのはとても嬉しいです
欲を言えば付き合い始めたやじうめがもっと見たいですw
- 124 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/13(火) 20:32
- やっぱりちさまいが読みたいな
- 125 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/13(火) 20:51
- うめすずをって遅かったか(´・ω・`)
- 126 名前:三拍子 投稿日:2009/10/14(水) 23:25
-
- 127 名前:三拍子 投稿日:2009/10/14(水) 23:36
- はい。という訳でいきなりの企画だった訳ですが‥‥‥
まさかのももみやに決定致しましたWW
えーこれには作者もかなり驚いています(^O^)/
ですが、リクエストにはきちんと答えます。自分で言い出した事なので。
ただ、>>119−>>121などの意見もあり、少し考えてみました。(-.-;)
やっぱりこのスレは℃中心でやって来たので、そこはすっきりさせたいと思います。
なので、見事一番乗りでリクエストして下さった>>118さん!リクのみやももは幻板内の『三軒並び』の方に載せたいと思いますm(__)m
勝手ではありますがお許し下さい。
意見や抗議は受け付けます。
- 128 名前:三拍子 投稿日:2009/10/14(水) 23:47
- ‥‥そこで、
℃限定、やっちゃいますか?(笑)
という事で相変わらず作者の勝手な企画で『最後の最後にもう一話だけリクエストその2。℃限定』をやってみる事にします!!(笑)
呆れた方は気にしないで下さいm(__)m勝手な企画なんでWW
・明日15日の6時スタート。最初のリクエストが書き込まれた時点で終了です。
・出来るだけ攻×受の表記でお願いしますm(._.)m
本当毎度毎度お騒がせして申し訳ありません(T_T)
それではまた。
- 129 名前:名無し 投稿日:2009/10/15(木) 00:11
- うめすず・・・ってフライング杉ですねw
- 130 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/15(木) 01:42
- ベリもいいですけど、作者サンにはやっぱ℃を書いて欲しかったので、リク第二段嬉しいです!!
この際あいかん・やじうめ・ちさまいの三大CPを書いて頂くってのは…!?!?
スイマセン。。調子乗りましたorz
- 131 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/15(木) 07:09
- すずうめを是非!
卒業を控えて梅さんに強引に迫る愛理というのを読んでみたいです
- 132 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/15(木) 18:17
- おーまさかの展開!
しかも>>131素敵なチョイス(*´Д`)タノシミダ
- 133 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/17(土) 22:33
- ほんといいチョイス
もう卒業だしここで結ばれてもと躊躇う梅さんを愛理が強気にとか嬉しい
- 134 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/18(日) 10:27
- 次回が最終回なんですね
最終的にみんながどうなるのか早く知りたくて楽しみなような…
いつも読むのを楽しみにしていたお話が終わってしまうと思うと寂しいような…
複雑な気持ちです…
とにかく!
それくらいこのお話がお気に入りだって事です!(笑)
最終回楽しみにしてます!!
>>131さんナイスチョイス!
これも楽しみです!
- 135 名前:三拍子 投稿日:2009/10/20(火) 00:42
- 更新のお知らせです。
幻板の『三軒並び』の方にリクエストのみやもも載せました。言い訳はあちらで‥‥m(__)m
>>129さん
はい、見事はフライングでした(笑)
>>130さん
そうですね。出来ればそれでもよかったのですが、すみませんm(__)m
作者は勝手なヤツなんです。
>>131さん
おめでとうございます!!!
リアル話苦手で多分初めてなんでどうなるかわからないですが(-.-;)‥‥
しかもこれって、愛理が梅さんに襲い掛かるみたいな感じなんですかね!?
>>132さん
うめすず初なんで‥‥どうか大目に見てやって下さいm(__)m
>>133さん
どうなるか私自身わかりませんが、頑張りますm(__)m
>>134さん
そんな言葉を言っていただけると本物です(T_T)
頑張ります!
- 136 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/21(水) 02:33
- 131ですが、愛理が襲いかかる感じでお願いします!
- 137 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/21(水) 12:45
- 131なんですけど・・・
今まで抑えていた感情を梅さんにぶつける愛理と迷いながらも受けいれる梅さん
>>133がイメージとして近いです
よろしくお願いします
- 138 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/21(水) 19:24
- 三拍子さんらしい小説ならなんでも嬉しいぜい
らしいってなんだよって話ですがw
- 139 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/22(木) 00:10
- えりかかわいいよえりか
- 140 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/22(木) 18:50
- 襲うのはいやだな
三拍子さんのほのぼのした空気に合わないし
- 141 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/23(金) 11:30
- >>131ですが>>136は自分ではありません
- 142 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/23(金) 23:16
- >>140に賛成。あんま生々しいのはらしくない気がする。
- 143 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/24(土) 22:50
- 変な流れだなw
まぁ皆それだけ三拍子さんの作品が好きってことで、自分も正座して待ちます
舞美も愛理も栞菜も、梅さんも!幸せになれぇ〜
- 144 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/26(月) 16:27
- 舞美の最後の梅さんへのメッセージを読んでやっぱり最後に三拍子さんにやじうめを書いてほしいなと思いました
わがままを言っているのは承知ですがもし可能ならば書いて頂きたいです
- 145 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/27(火) 01:58
- >>144さん、同感です。
あれは泣ける。
- 146 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/27(火) 21:57
- それを言うなら
愛理が大を形作ってえりかちゃん大好きって言って涙流したのもめっちゃ泣けたから
やっぱり梅鈴待ってます
- 147 名前:三拍子 投稿日:2009/11/15(日) 12:46
-
- 148 名前:a mark of wound 投稿日:2009/11/15(日) 12:47
-
- 149 名前:a mark of wound 投稿日:2009/11/15(日) 12:48
-
気付いてた?
気付いてた
じゃあどうするの?
わからない
a mark of wound
- 150 名前:a mark of wound 投稿日:2009/11/15(日) 12:48
-
今の状況を冷静に考えてみよう
というか何故こんな状況になったのかを考えよう
そんな事を頭の中でぐるぐる思いながらえりかはぼんやりと天井を見上げる
すると視界にすぐ彼女が入って来て、天井に向けている視線をこっちに向けろというように髪を撫でられる
仕方なく天井かから視線を外して彼女を見つめてみると、彼女は満足そうに微笑んだ
「えりかちゃん」
耳元で囁く甘い声が思考を乱そうとする
それでもえりかは考える
どうして今自分はソファに倒れているのか
そして、その自分にどうして愛理が覆い被さっているのか
- 151 名前:a mark of wound 投稿日:2009/11/15(日) 12:50
-
目力というのは時に物凄い力を放つ気がする
刺すというか、貫くというか
愛理が自分の事をよく見ている事は前から知っていた
何か引き寄せられるような気がして振り返ると、そこにはいつも愛理がいた
いつからそう感じるようになったのかはもう覚えていない
ただ、愛理はいつもにこにこしながら嬉しそうにえりかを見つめていた
それが変わったのはつい最近
原因はわかっている、『卒業』その二文字が何かを大きく変えた
えりかを引き寄せる力は前よりも強くなって時々痛いくらいだった
それでも愛理はやっぱりにこにこしていたし、だからえりかも気に留めないでいた
- 152 名前:a mark of wound 投稿日:2009/11/15(日) 12:50
-
その笑みにどんな感情が込められているかなんて、考えた事がなかった
けれど今になってわかる
考えないようにしていただけだった
今日の撮影も全て終わり、皆が帰り支度を整えていた時だった
上着に袖を通す途中のえりかの肩を後ろから誰かがとんとんと叩いて来た
振り返るとそこにいたのは愛理だった
やっぱり愛理はにこにこと笑っていて、えりかは何か用かと首を傾げてみた
『一緒に帰ろ』
そう言う愛理に「皆は?」と聞く前にもう手を取られていて
流されるままにえりかは愛理に連れられ楽屋を後にした
- 153 名前:a mark of wound 投稿日:2009/11/15(日) 12:52
-
−−−−−−−−
−−−−−
−−
- 154 名前:a mark of wound 投稿日:2009/11/15(日) 12:52
-
もうきっと皆は帰っただろう
一番に楽屋を後にしたのに、えりかはまだこの建物から出られずにいる
愛理は出口へは向かわなかった
えりかの手を引き適当な部屋に入り、すぐに鍵を閉めた
「どうしたの?」という声はどうやら愛理には届かなかったらしい
凄い力で腕を引っ張られたかと思うと、もう今の体制になっていた
「‥‥あ、いり?」
えりかが名前を呼ぶと、愛理が顔を上げてえりかを見下ろして来た
いつもの愛理とは明らかに違う
笑っているのに睨まれている気がして
唇から覗く八重歯がいつもより鋭いように見えた
えりかの手首を押さえる力はとてもこの細い腕からは想像出来ないようなものだった
- 155 名前:a mark of wound 投稿日:2009/11/15(日) 12:53
-
「ねぇ、えりかちゃん」
「な、なに‥‥?」
「あたしさ、卒業しないで、なんて言わないよ?」
「‥‥‥」
「でも、えりかちゃんは自分のにしたい」
言いながら愛理の片手がえりかの頬を撫で、首を這う
ぞくぞくと背筋に何かが走りえりかはやっと恐怖する
喉をすっと撫でられて息が止まるかと思った
「好きだったの、ずっと」
「‥‥‥」
「ずーっと、好きだったんだよ?」
どくんと胸が鳴る
愛理は再び顔を下ろしえりかの首筋にキスをする
抗議の声を上げようと開いた口からはえりかの思い通りの言葉は出なかった
- 156 名前:a mark of wound 投稿日:2009/11/15(日) 12:54
-
「‥‥ん、あいり‥っ」
「えりかちゃんさぁ、あたしがいつだって見てたのに全然気付いてくれないんだもん」
「そんな‥こと」
「あるよ。えりかちゃんはあたしの事見てくれない」
愛理は笑ったまま温度のない言葉を繰り返す
いつの間にかシャツの胸元のボタンは外されていて、そろそろ冗談では済まされなくなっていた
どこからそんな力が出るんだと思う位、えりかの両手を押さえる手は力強く、熱かった
見ていなかった訳ではない
気付いていなかった訳ではない
愛理の事をそんな風に見た事がない訳でもない
- 157 名前:a mark of wound 投稿日:2009/11/15(日) 12:55
-
けれど、えりかはもうすぐいなくなる
「ねぇ、えりかちゃんは誰が好きだったのかな?」
「‥‥‥」
「まぁ、もうどうでもいいけど」
愛理はえりかの胸元に顔を埋めている
綺麗な黒髪が落ちて、えりかは愛理の顔を見る事が出来ない
鎖骨に鋭い八重歯が刺さり、思わずえりかは身をよじる
すると急にえりかの手首を掴む愛理の力が弱まった
「‥‥愛理?」
「‥‥‥」
「‥‥−」
えりかは掴まれていた片手を抜き、愛理の顔を隠している髪に触れた
優しく梳くと、愛理がゆっくり顔を上げてえりかを見た
- 158 名前:a mark of wound 投稿日:2009/11/15(日) 12:56
-
「何で泣いてるの‥?」
「‥‥‥っ」
「ごめん、あたしのせいだよね。わかってる」
えりかはもう片方の手も抜いて、愛理の頬を両手で包み込む
愛理の頬は涙で濡れていた
愛理がぎゅっと瞬きをすると、えりかの首筋に涙が落ちた
「ごめん、ごめんね愛理」
「謝らないでよ‥っ。あたし、すごい嫌なやつになる」
「うん、でもごめん‥‥」
気付いていた
愛理の気持ちに、本当は気付いていた
けれど、自分はもうすぐいなくなるから
そう思うとその想いにぶつかって行くのが怖かった
愛理は可愛くて、だから傷付けたくなかった
自分なんかにこんなにも必死になってくれるとは思っていなかった
- 159 名前:a mark of wound 投稿日:2009/11/15(日) 12:57
-
えりかはゆっくりと愛理を引き寄せキスをする
愛理は驚いたように肩を強張らせた
「−いいよ」
「え‥‥?」
誘うように愛理の耳元へ唇を寄せてえりかは囁く
「愛理のものになってあげる」
きっとお互いわかってる
この行為から何か生まれる事はないという事も
明日からは、またいつものメンバーに戻る事も
だから、だからこそ今だけは
こうしてつなぎ止めて、傷を作りたい
いつまでも、消えない
甘い甘い傷跡
- 160 名前:a mark of wound 投稿日:2009/11/15(日) 12:57
-
ごめんね
ごめんね
本当は、あたしも好きだったんだよ
a mark of wound−終わり
- 161 名前:a mark of wound 投稿日:2009/11/15(日) 12:59
-
- 162 名前:三拍子 投稿日:2009/11/15(日) 13:02
- 先にレス返し。
>>136−146さん
いっぺんですみませんm(__)m
えー皆さんの意見になるべく沿えるように書いたつもりですが、いかんせん力不足でした(-.-;)すみません!!(泣)
というわけで、ついにこのスレともおさらば、ラスト行きます!!
- 163 名前:あっち向いてホイ、こっち向いて恋 投稿日:2009/11/15(日) 13:03
-
- 164 名前:あっち向いてホイ、こっち向いて恋 投稿日:2009/11/15(日) 13:03
-
- 165 名前:epilogue.by−K 投稿日:2009/11/15(日) 13:04
-
あぁ、やっと
やっとあたしを見てくれた
epilogue.by−K
- 166 名前:epilogue.by−K 投稿日:2009/11/15(日) 13:05
-
降って来たのはコミックがほとんどで、角が当たる以外はそれほど痛くはなかった
それでも見事に角が頭にクリーンヒットして
けれど、もうその痛みもどこかに行ってしまった
店を訪ねて来たのは、栞菜が誰よりも会いたくて誰よりも会うのが怖い人だった
頭が混乱してどこを見れば良いのかわからず、引き戸の向こうを行き交う人々を右から左に目だけを動かしながら見てみる
すると視点の中心にひょいと愛理が入って来た
「大丈夫ですか?」
「‥‥ぇ、‥あ‥」
ひらひらと栞菜の顔の前で手を振りながら小首を傾げる愛理
栞菜は口を開けたまま、結局答えらしい答えが出来ず頷いた
改めて自分の今の状況を見る
かなり情けない、間抜けな姿だ
- 167 名前:epilogue.by−K 投稿日:2009/11/15(日) 13:06
-
周りに散らばっている本を見渡しながら栞菜は小さく溜め息を吐く
すると小さく笑う声が聞こえた
「何か、初めて見ました。本屋さんのそんな所」
その場にしゃがんで目線を同じくした愛理がそう言って微笑む
久しぶりに見た笑顔はやっぱり破壊力抜群だった
抜けていた腰を一旦上げて、栞菜は胡座をかいて座り直す
手の届く範囲にある本を拾い、とんとんと重ねて行く
「‥‥もう来ないと思ってた」
「‥‥‥」
「だって、その‥‥困らせちゃったから」
愛理がここにいる事が未だ信じ切れない自分がいる
あの後、自分の気持ちを言ったあの後
その場に立ち尽くしたままの愛理を置いて栞菜は有原書房に逃げ込んだ
愛理は呆然、といった感じで固まっていた
何を思っただろうか
驚いたに決まっている、困ったに決まっている
タイミングも何もない唐突な告白
ずっとずっと言えずにいた言葉は口にしてみると意外なほど簡単に彼女に伝わってしまった
- 168 名前:epilogue.by−K 投稿日:2009/11/15(日) 13:07
-
「‥‥ごめん」
「‥‥‥」
「あたし‥あたしは、本当は臆病で意気地無しだから」
愛理の恋を応援したいと思った、それは本当だった
けれど愛理といればいる程、そう前向きにはなれなくなっていった
自分の気持ちが大きくなる程
愛理を好きになればなる程
距離は近付いているようで、離れて行っている気がした
「君がここに初めて来た時は夢なんじゃないかと思ったよ。すんごい心臓どきどきしてさ」
「‥‥‥」
栞菜は泣きたくなって来た
今更言ったってどうしようもない話をしようとしている
ずっとずっと言いたくて、愛理に聞いて欲しかった話だ
- 169 名前:epilogue.by−K 投稿日:2009/11/15(日) 13:07
-
「君が何でこんな古本屋に来たのかは、すぐわかった。あぁ、あの人の事だーって」
「‥‥え?」
「世間なんて狭いもんだよなって、そう思った」
本当に、そうだ
いつ誰が誰を好きになって、それが自分にとっても影響のある事なんて
普通考えない事だった
舞美の好きになった人がえりかじゃなかったら
えりかが栞菜のご近所さんじゃなかったら
栞菜は愛理とこうして顔を合わせる事もなかっただろう
ついているような、ついていないような
いや、きっとついている
こんなにも彼女を好きになって、こんなにも恋した自分はきっと幸せな奴だ
「‥ごめんね」
「‥‥どうして本屋さんが謝るんですか?」
「‥‥−だって、知ってたから」
- 170 名前:epilogue.by−K 投稿日:2009/11/15(日) 13:09
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「‥‥‥?」
「君が矢島舞美さんを好きな事、知ってたから」
愛理の目が大きく開かれる
目を泳がししばらく黙った後、不安げに聞いてきた
「‥‥どう、してですか‥?」
本当はこのまま、隠しておこうと思っていた
もう二度と会えないのなら、墓場まで持って行こうかと馬鹿らしい事まで考えた
眉を寄せる愛理に栞菜はゆっくりと頬を緩めた
「あたしは、君の事ずっと前から知ってたから」
「‥‥‥」
「ここからさ、見てたんだ。毎日」
- 171 名前:epilogue.by−K 投稿日:2009/11/15(日) 13:09
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栞菜は店の出入り口を指差す
その、ほんの数秒が大切で
体を動かす事よりも、本を読むよりも
何よりその数秒に夢中になっていた
ガラス越しに聞こえてくる甘い声も
あの人に向ける笑顔も、涙も
栞菜は知っていて、そんな彼女が好きだった
「本当は、ずっと好きだった」
「‥‥‥」
「まー‥そっちに比べれば全然短いけどね」
「‥‥‥」
「うん。だから、もうここには来ない方が良いよ。‥その、ごめんね」
栞菜はぺこりと頭を下げる
上手い言葉が見つからない事が情けなかった
栞菜はそれを考えるのに必死になって、どうして愛理がここに来たのかを忘れていた
「−だから、どうして謝るんですか?」
「‥‥‥」
「聞きたい事があるんです」
- 172 名前:epilogue.by−K 投稿日:2009/11/15(日) 13:10
-
栞菜はゆっくりと顔を上げる
愛理は怒っているとも悲しんでるとも取れない顔をしていた
ただ、その表情に優しく胸を締め付けられる
「あの時言った事は本心ですか?」
「‥‥‥」
「あの時、無駄だって、諦めろって言ったのは本心なんですか?」
あまりに愛理が真っ直ぐ見つめて来るから栞菜は言葉につまる
本心だったと栞菜自身思う
嫉妬して、やりきれない気持ちをどこにぶつけて良いのかわからなかった
矢島舞美になりたかった
愛理の視線の先にいたいと思った、こっちを向いてほしかった
我慢強い自分にも限界はあるのだ
「−そうだよ」
「‥‥‥」
「あたしの、きょーりょーのせい」
「またそれですか」
栞菜は笑ってみせたが、愛理は一層眉を寄せた
- 173 名前:epilogue.by−K 投稿日:2009/11/15(日) 13:14
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「私が舞美ちゃんに告白したのはあの後です」
「‥‥ぇ」
愛理の思いがけない言葉に栞菜は目を丸くする
あの後、愛理がどうしたかはえりかから簡単に聞いただけだった
静まっていた心臓が勢い良く騒ぎ出す
頭の中を?マークが飛び交う
栞菜が忙しなく目を泳がしていると、愛理が続ける
「‥‥わかってたんです。無理だって」
「‥‥‥」
「あんな告白叶う訳ないんですよ。‥だって私は、あの時他のことを考えてたから」
「‥‥‥」
「あの時も、今日までもずっとずっと」
愛理の目には涙が溜まって今にも零れ落ちそうだった
「私は、あなたのこと考えてたんです」
- 174 名前:epilogue.by−K 投稿日:2009/11/15(日) 13:15
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−あ 今、あたしを見てる
あたしの事、見てくれてる
ぽろぽろと愛理の瞳から涙が零れ落ちる
あの時も、二人で電車に揺られたあの時も愛理は泣いていた
そうだ、だからもう我慢出来なかった
そうやって綺麗に泣くなら、いつだってその涙を拭いたいと思った
愛理の心の中にほんの少しでも入りたかった
本当は、自分が幸せにすると、そう言いたかった
- 175 名前:epilogue.by−K 投稿日:2009/11/15(日) 13:17
-
「怖かったんです。だって今まで、今までずっと舞美ちゃんが好きだったのに」
「‥‥‥」
「でも、駄目なんです」
「‥‥‥」
「何してても、本屋さんばっかり頭に浮かんで、そうやって考えてると」
息が詰まって上手く呼吸が出来ない
愛理に捕われて身動きが取れない
「あ、会いたいなって」
「‥‥‥」
「あなたに会いたいなって思うんです」
会いたい、栞菜もずっとそう思っていた
傷付いて、傷付けて
それでも彼女に会いたいと思うのは簡単な理由だ
「ずるいですよね‥自分の気持ちさえはっきりさせられないやつが、こんな‥」
「‥‥‥」
「でも‥‥だから、来ない方が良いなんて、そんな事、言わないで下さい‥‥っ」
「‥‥‥」
「私「すき」
- 176 名前:epilogue.by−K 投稿日:2009/11/15(日) 13:18
-
顔を覆って必死に声を搾り出す愛理の言葉を遮る
震えていた愛理の肩が止まった
「好きだよ」
「‥‥‥っ」
「あたしも、君の事ばっか考えてる」
「‥‥‥」
「良いよ、矢島さんの事想ってても。忘れられなくたって良いから」
「‥‥でも‥っ」
「大丈夫だから」
息が苦しくなる
胸の熱が涙になって零れ落ちそうになる
きっと、変わらない
彼女が誰を好きでも、自分に抱いてる感情が恋でなくても
変わらない、自分が彼女を好きな事は
黙ったままじゃ、待っているだけじゃ駄目なのだ
「とりあえず、さ。ここから始めない?」
「ぇ‥‥?」
「今、ここから」
「‥‥‥」
- 177 名前:epilogue.by−K 投稿日:2009/11/15(日) 13:19
-
とりあえず、まずは話そう
今まで話せなかった話を沢山しよう
彼女の話をちゃんと聞こう
それからでもきっと大丈夫だ
まだ何も始まってない
最初の一文字も入っていない白紙の物語
「あー‥本屋改め、有原栞菜です。」
「‥‥‥」
「よろしく、鈴木愛理さん」
栞菜が手を伸ばすと、愛理はゆっくりとその手を取って微笑んだ
それは栞菜が初めて愛理を見た時の、あの笑顔だった
- 178 名前:epilogue.by−K 投稿日:2009/11/15(日) 13:19
-
あっち向いてホイ、こっち向いて恋
恋の矢印はいつだって誰かに向かって一直線
それを誰に向けるかは、あなた次第
あっち向いてホイ、こっち向いて恋−.終わり
- 179 名前:あっち向いてホイ、こっち向いて恋 投稿日:2009/11/15(日) 13:20
-
- 180 名前:あっち向いてホイ、こっち向いて恋 投稿日:2009/11/15(日) 13:23
- あっち向いてホイ、こっち向いて恋
>>1-115
>>165-179
- 181 名前:三拍子 投稿日:2009/11/15(日) 13:28
- はい、というわけで、
完結しましたー!!(ノ><)ノ
長い間お付き合い頂き本当にありがとうございます。
作者がここまで頑張ってこれたのも皆様の励ましの言葉あってこそです(泣)
三軒並びから一年と少し、本当にお世話になりました。
もう飼育で書く事はないと思いますが、作者の皆様をいつまでも応援しています!!
それではまたどこかでお会い出来たら嬉しいです。
三拍子
- 182 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/11/15(日) 22:55
- お疲れさまでした!
素晴らしく幸せな物語を読ませていただきました。
ありががとうございました。
またどこかで書いてくださいね。絶対に読みにいきます!
℃-uteは永遠に℃-uteですからね。
- 183 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/11/15(日) 23:04
- お疲れ様でした。
三拍子さんの書く、ありかん物語大好きです。ありがとうございました。
- 184 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/11/16(月) 16:28
- 更新お疲れ様でした。三拍子さんのかく小説が大好きなのでラストまで読めて嬉しかったです。
いつか、どこかでまた書くことがあれば是非にとも読みたいです。B小説でのももみやとかも読んでて続きを見たくなっちゃいましたし。
楽しい時間をありがとうございました。
- 185 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/11/16(月) 20:41
- >もう飼育で書く事はない
凄く凄く残念です。
最近になってベリキュー小説を読むようになりました。
なかでも三拍子さんの小説は心温まるものでした。
ありがとう。
- 186 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/11/17(火) 16:01
- >>185さんが自分と全く同じ境遇です
最近℃-uteの小説を読むようになって三拍子さんの小説が1番好きだったので残念です
寂しいですが完結お疲れ様でした
三拍子さんの小説に出会えたおかげでやじうめやあいかんがより好きになりました
またどこかで読めることを楽しみにしています
ありがとうございました
- 187 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/11/17(火) 20:25
- 更新お疲れ様です!
三軒並びからずっと勝手に作者様についてまいりました
作者様の書くあいかん、やじうめ、ちさまいは圧巻です
本当に大好きでした
完結した今でも何度となく読み返すと思います
素敵な作品をありがとうございました!
そして飼育お疲れ様でした
これからもずっと三拍子様の一ファンでい続けさせてください
- 188 名前:みら 投稿日:2009/11/18(水) 10:19
- 完結まで執筆を続けて頂いてありがとうございました。
このあいかん…泣きたくなる…(;ω;`)
心温まるお話をありがとうございます。
またどこかで三拍子さんの作品に出会えたらと思います。
お疲れ様でした。
- 189 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/11/20(金) 22:41
- 長い間お疲れ様でした!!
三拍子さんの作品を読んで、泣いたり、笑ったり、きゅーんときたり、
更新されるのを毎回超!楽しみにしてました。
大好きです☆
楽しい時間をありがとうございました!
- 190 名前:名無し飼育さん 投稿日:2009/11/29(日) 02:53
- 最後に心打たれました(T_T)良かったわ〜
何だか恋に勇気を貰える作品ですね
素晴らしい!!!
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