Don't Kiss My Tail
1 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 03:04


『梨華ちゃん遊ぼっ』


たったひとこと

ただそれだけだったの
2 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 03:05
それはほんとに突然で
いつものように仕事が終わって鞄の中から携帯を取り出そうと
新着メールを知らせる光を頼りに鞄をあさる

大概の社会人はあたしと同じ行動を取るであろう
仕事というくくりから解放された人間の本能的な行動
だからその日のあたしもいつもとなんら変わりなく
ごく当たり前のように携帯を探して
ごくごく当たり前のように携帯を手に取ったまでで…

まさかそこにあなたの名前が表示されるなんて
微量にも思っていなかった
3 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 03:06



“後藤真希”


4 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 03:07
そう映し出されたいつもと同じはずのあたしの携帯
甘い缶コーヒーを口に咥えたまま思わずディスプレイを凝視
微動だにしないまま まばたき2回

それを理解するのに時間を費やす

疑問符ばかりが浮かぶけど
それはきっとただの気まぐれ
あなたの行動に特別な意味なんて何も無いの

あたしの携帯にあなたの名前が表示されるのは何ヶ月ぶりのことだろう

そんな考えを頭に巡らせてみたけれど
きっと数えてもわからないので途中で中断した
5 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 03:08
おつかれもひさしぶりも無いそっけないメール
ただ最後にハートマークが付いてるってことを除けばだけど

6 名前: 投稿日:2009/05/20(水) 03:12
数年ぶりに書かせていただきます。
当時読んでくれていた方がいたらほんとうに嬉しいなと思います。
よろしくおねがいします。
7 名前: 投稿日:2009/05/20(水) 03:14
つづく
8 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 21:13
とりあえず小さく息を吐く

友達や家族からのメールだったら歩きながら返事を打つけれど
今回はそうもいかない
ちゃんと言葉を文字として表現できる自信が無い

事務所のソファで送るか家に帰ってから送るか
考えた挙句 どちらでもない帰りのタクシーの中で返信することにした

9 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 21:14
title:おつかれさま

急にどーしたの??
びっくりしたよぉ
いつ??
夜だったらだいたい暇してるから
ごっちんに合わせられると思うよ
10 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 21:14
デコ絵文字を含んだ用件と社交辞令
きっとこれなら平常を装えたでしょ?

返事は思いの他早く来た
11 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 21:16
title:Re:おつかれさま

ほんとに??
じゃぁ今度の土曜日は??
12 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 21:18
急なメールについての真相は特に書かれていなかった
ただ“ほんとに??”のあとにやたら嬉しそうなミニーちゃんの動く絵文字に
なんだか胸がシクリとなった
13 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 21:18
title:Re:Re:おつかれさま

平気だよー
場所どこにする??
14 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 21:19
ほんとは聞きたいこともいっぱいあった
だけどそれはきっと“今”じゃない


またすぐに携帯が鳴った

15 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 21:20
title:Re:Re:Re:おつかれさま

じゃぁけってい!!
仕事終わったら梨華ちゃんち行くね
たのしみだ〜
16 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 21:48
画面を見つめ本日2度目の硬直

…いや 意味わかんないから
でも間を空けちゃいけない
だからといってなんて返せばいいのかわからない
17 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 21:51
『あたしも楽しみにしてるね』
これかな?
いや これじゃうちに来ることを認めてしまうことになる
じゃあ
『え?うち?せっかくだからどっかご飯食べいこーよ』
これ?う〜ん
これじゃ本心なのか社交辞令なのかあたし自身わからない
18 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 21:53
それともうひとつ
あたしは今のあなたの隣を歩ける自信が無い
19 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 21:56
浮かんでは消える文面
消去法にしてもすべて消されてしまうので答えが残らない

20 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 21:57
title:Re:Re:Re:Re:おつかれさ

いいけど…
うち汚いよ??
21 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 22:02
あたしは打ち負けてしまった

昔からそう
あたしはあなたに弱いんだ

きっとあなたは笑ってこう返してくれるから
22 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 22:03
title:Re:Re:Re:Re:Re:おつかれ

そんなんいつものことじゃん
23 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/20(水) 22:04
ほらね?
24 名前: 投稿日:2009/05/20(水) 22:16
こんなかんじで若干ですが
できるだけマメ更新していきたいと思います。
25 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/21(木) 10:18
おおっ!形式は現在のリアルかな?
面白そうなんで次回更新期待して待ってます!
26 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/21(木) 12:36
おおおおおおお
嬉しいいいいいいいい
27 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/23(土) 23:43
それからのあたしはなんかふわふわしてたと思う
浮かれてるとも違うそわそわに似たなにか
かといって地に足が着いていない程
あたしはもう子供じゃない

ふわふわふわふわ

淡々と“日常”をこなす
“日常”にはあなたはいないから
意識することなく時間を流した
28 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/23(土) 23:44
そうして迎えたとある土曜日のこと
29 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/23(土) 23:45
19時52分
仕事を終えたであろうふわふわの原因からメールが届く
30 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/23(土) 23:45
title:

おつかれ〜
てかつかれたぁ
今からタクってくね
てか家変わってないょね??
31 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/23(土) 23:47
あたしも既に仕事を終え
家のソファでやっと一息ついたところでのこのメール

…一息どころじゃない

ほんとに疲れたようなミッキーのうなだれたデコメ
あたしが引っ越してるとでも思ったのかな?
クエスチョンマークの後に不安げな表情の女の子
あ なんかごっちんに似てる
なんて場違いなことを考えながら
あまりマメではないあたしがかなり頑張って返信
32 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/23(土) 23:47
title:Re:

おつかれ
うち??変わってないよ
ワンギリくれたら下まで迎え行くね
33 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/23(土) 23:48
…ごっちんのメールから1分も経たないうちに返信したはずなのに
10分経過した今もごっちんからの応答が無い

彼女もあまりマメな方ではないが
メールに関してはものすごく速い
…はずだった ん だけど なぁ
何もないってのはわかってても
そんな彼女が返信が遅いなんてちょっと心配になる

34 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/23(土) 23:50
とりあえずどーしよーもないので時間を舞い戻してみる

ソファに深く座り冷蔵庫から出したばかりのペットの紅茶に手を伸ばす





突然電話が鳴った

表示された名前は予想通りのその人で
35 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/23(土) 23:50


“後藤真希”


36 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/23(土) 23:52
そう映し出されたその名前がとても不釣合いなあたしの携帯
37 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/23(土) 23:53
基本マナーモードにしているのだけれど家に帰ると
マナーモードを外す
いつ大事な電話が来るかわからないから
もちろん仕事のことね

J-POPしか聞かないあたしは音楽を着信音にするのはちょっと抵抗あって
元々内蔵されている黒電話の着信音にしてある

まぁ自分の好きな音楽を探してダウンロードしてってのがメンドクサイってのが本音
だからマメじゃないってよく言われる

どうやらあたしの外見とのギャップもあるらしい
でもそれはあたしのせいじゃないでしょ?

うるさく響く着信音がワンンギリじゃないことに気づき電話をとる
38 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/23(土) 23:56

「…もしもし?」

39 名前: 投稿日:2009/05/24(日) 00:04
ここで切ります。


>>25

レスありがとうございます。
誰も読んでないと思ったのでほんとに嬉しいです。
一応現在のリアルです。
まだはっきりとした現状が出てきていないので
わかりづらいかもしれませんが
これから徐々に出てくるのでよかったらまた立ち寄ってください。


>>26

いいいいいいいしごま

すごく嬉しいお言葉をありがとうございます。
その言葉でがんばれます。

40 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/27(水) 00:21
一瞬の間はあたしの我が侭
41 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/27(水) 00:26
『梨華ちゃ〜〜〜ん』

少し甘えたような懐かしいあなたの声に
思わず目を細めた

「んぅ?」

なんてあなたの声のトーンに合わせて返事をしたけれど
次のあなたの言葉はあまりにも腑抜けで

『道わかんない』
42 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/27(水) 00:27
「え!?」

そしてそんなあたしの声も腑抜け

『いやぁ〜 今タクシーん中なんだけどさぁ
けっこー近くまで来てるとは思うんだけど
あたしもなんか若干うろ覚えでさぁ
運転手さんに説明するにもどこをどーゆったらいいかわかんなくってさぁ』

「え〜!?今どのへんなの?」

『ん〜今環八なんだけどぉ』

「の、どのへん?」

『……あ!!わかったココ!!
 ローソン近くにあったよね?』

「うんあるけど…」

『ぁ!梨華ちゃんちょっと待ってて!
(あ、あの すいません ここでだいじょぶです いくらですか?)』
43 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/27(水) 00:28
受話口を少し離した彼女の遠い声
それと会話するおじさん特有のひ低く粘る声

『(3820円になりますねー)

(はい じゃぁ5000円で)

(えーと、じゃあ…1180円のお返しねー はい)

(どーも)

(領収書いる?)

(だいじょぶでーす ありがとーございましたぁ)

(はーい ありがとねー。ありがとうございまーす)』

バタンとタクシーのドアが閉まる音どほぼ同時にごっちんの声
44 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/27(水) 00:29
『ごめん。梨華ちゃんありがとねー
 ぢゃローソンでなんか差し入れ買ってからいくわ』

「うん わかった」

『じゃまたあどでねー』

「はぁいじゃぁねぇ」


そんなやりとりですらあなたらしいなんて笑ってしまうあたしには

きっと懐かしすぎたのかな
45 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/27(水) 00:30
それから10分と経たないうちに再び携帯が鳴る
そしてまたそれがワンギリでは無いことに気づく

「もしもし」

今度は間を置かずに出る

『着いた』

「ワンギリでいいって言ったのに」

『そーだっけ』

あはっと笑って言う彼女の声は
昔のそれより少し低く大人びていた
46 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/27(水) 00:32
「じゃぁ今行くから待ってて」

『はぁい りょーかい』

昔ごっちんが履いていたのと同じ
キティちゃんの健康サンダルをつっかけロビーへ向かう
エレベーターの中でなぜか深呼吸
1Fに着いたことを知らせる音と共に扉が開く
47 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/27(水) 00:35
ガラス越しに見えるあなたの横顔は
“大人びた”では無く
間違いなく“大人”だった
それは確実にあたしの知らないあなた
そんなあなたを見つけてしまって思わず躊躇
向かう足が無意識に止まってしまっていた



するとあたしの気配に気づいたのか
彼女の視線があたしを捕らえた
48 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/27(水) 00:36
そして微笑んだ
49 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/27(水) 00:40
自動ドアが開き
ガラス越しでは無いあなたを見つめる

というか視線が逸らせないでいた
あたしはそれに向けて再び歩みだす
50 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/05/27(水) 00:43

あなたがあまりに美しかったから

あたしはそのまま手を伸ばした
51 名前: 投稿日:2009/05/27(水) 00:48
やっとふたりが再開できました。

後藤さんの新曲のPVめちゃめちゃかわいいですね。
52 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/01(月) 22:43
あなたのちょうど肘あたり
軽く触れた後そのパーカーを掴んだ

「ひさしぶり」

女の子特有のそれ

あなたの二カッと笑った顔と
あなたのパーカー
それを掴んでいるあたしの手

「だね」

あたしにだけ向けられるその眼差しに
心が少しざわついたのはきっと気のせい
53 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/01(月) 22:45
「…行こっか」

「うん」

あなたのパーカーから手を離し
エレベーターに向け歩みだす

後ろからごっちんがついてくる足音
タンッいう跳ねた音と共に急にそれが近くなった

と同時に手に暖かい温もり
その温もりが何かを理解するのに時間は掛からなかった


あたしの頭に浮かんだひとつの答え
あたしは自分の手に視線を落とし
その答えと答え合わせ

54 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/01(月) 22:47
その視線の先には


あなたの手に握られたあたしの手


いぇーい正解
なんて浮かれられる状況じゃない

むしろそんな状況でいてくれた方がありがたかったのだけれど
現実はそうもいかない
55 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/01(月) 22:49
軽く握り返しそっと微笑む

あたしは空気を読むのが決して上手い方ではないから
これが正解だったのかどうかわからない
56 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/01(月) 22:49
だけどあなたがほら

またそうやって笑うから
57 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/05(金) 22:06
一瞬キュって力を入れると
キュって返してくれる


ほんの少しごっちんの手を引き寄せ
空いている左手でエレベーターの上ボタンを押す
どうやら1階で停まったままだったらしいエレベーターはすぐに開き
あたしとごっちんはそれに乗り込む

私の部屋のある最上階のボタンを押し閉めるボタン
右利きのあたしには少し押し辛い
58 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/05(金) 22:08
こうしてふたり手を繋いでいると
まるで昔に戻ったみたい

この箱はエレベーターなんかじゃなくって
現在と過去を繋ぐタイムマシーンなんじゃないかって
チャーミーばりに乙女な考えになる

あなたが何も言葉を発しないから
夢なんじゃないかなんて疑ってみたり
いきなりガタガタと音を立てて崩れて
目が覚めたらいつもの日常だったりするんじゃないかって

あたしの妄想癖は止まらない
59 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/05(金) 22:11
すべてはあなたのせいなのだから
60 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/05(金) 22:13
エレベーターの到着音で現実に引き戻される
だけどあなたがまだ言葉を発しないから
半分はまだ夢だと疑っているのだけれど

そんな事を考えていたら出遅れたあたしの手を
引っ張るような形でごっちんが歩き出す

「何号室だっけ?」

少し前を歩くあなたは突拍子も無くそんなことを聞いてきた
そういえば
あなたが家に来るのは何年ぶりか分からないほどだった
部屋番号なんて覚えていなくて当たり前

だけどどうしてだろう
なんかチクリと痛い気がした
61 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/05(金) 22:16
「ほら すぐそこだよ 702」

左手で指し示しながら
あなたの反応を伺う様に
斜め前を歩くあなたの横顔を盗み見る

昔から得意だったよね
そのポーカーフェイス

だけどそれすら綺麗
きっと誰から見ても


部屋の前に到着し部屋鍵を取り出す為に
ごっちんの手に繋がれた手を解く



62 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/05(金) 22:17
「あ」

予想外のあなたの声
不満気な目が見つめる先は
今しがたまで繋がれていたはずのあたしの手

「ん?」

「…ぃやなんでもない」

嘘をつくのが下手なのも変わってないんだね
だって手のやり場に困ってる
63 名前: 投稿日:2009/06/05(金) 22:19
マイペースですみません。
誰も読んでないかな?

自己満足の駄文です。すみません。
64 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/06/06(土) 00:54
読んでるよ!楽しませてもらってるよ!ごっちん可愛いよ!
65 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/13(土) 01:10



ガチャリ



ドアを開けドアの開く方向にそのまま体を移動させる

「どうぞ?」

なんて気取って少しオーバーなくらいのジェスチャーで来客を促す
なにそれとでも言いたげな苦笑いのごっちんは

「どーも」

なんて予想に反してあたしの言葉に素直に応じた

昔だったらあたしがお姉さんぶるとすぐにふてくされたのに
66 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/13(土) 01:12
「入っていーの?」

と後ろを振り向きあたしに問う

「うん いーよ」

とだけ返してあたしもドアから体を離し
ごっちんの後ろを追うように中へ入る

「おじゃましまーっす」

なんて言葉をあなたの後姿越しに聞くのは
昔の記憶しかなくって違和感を覚える



何度も聞いたことのある言葉のはずなのに

そんなあなたをあたしは知らない
67 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/13(土) 01:15
ごっちんがミュールを脱ぐために玄関に腰掛けると

“コンッ”

という音がした
その音のした方へ視線を移すと
彼女の持っていたバッグの他に
コンビニの袋があることに初めて気づいた

点けっぱなしで出てきた部屋の電気のおかげで
その音の正体が瓶であるということにも


後ろ手で鍵をかけサンダルを脱ごうとしたら
自分の履いていたミュールの向きを整えていたごっちんと目が合った

口元にだけ微笑を浮かべすぐに目を逸したあなた
気付かないふりをするあたし

「先入んなよ」

なかなか立ち上がろうとしないごっちんは
あたしを見ずにあたしを促した
68 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/13(土) 01:19
「え?うん…」

あたしは言われるがままごっちんの横をすり抜け
リビングへと向かおうとするとごっちんが立ち上がる気配がした
あたしは振り返らずにそのままリビングに入る

既に電気が点いているのにも関わらす電気をつけようとしてしまった
自分のしてしまったことが可笑しくてほんのり笑みを浮かべる
ごっちんに見られてたら笑われるな

なんて思って後ろを振り向いた瞬間
69 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/13(土) 01:25
「…梨華ちゃん」
70 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/13(土) 01:28

それはあまりにも至近距離過ぎた

ふわっと鼻を擽る嗅いだ事のある薫り
視界にはほんのりアッシュがかった明るい髪
隙間から覗く長い睫毛


「え!?」


戸惑いを隠せない声は
自分でも驚くほどに困惑してる

「え?ちょ、なにどーしたの!?」

背中から伝わる温もり
あたしのお腹の辺りで交差する手
71 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/13(土) 09:02
「…梨華ちゃん」

更に力が強くなる

あたしはごっちんに抱きしめられたまま
床に置かれたコンビニ袋を見つけた

あ あれスパークリングワインだったんだ

玄関では薄暗くてよく見えなかったけど
光がそれを透き通す
投げ出された袋から覗く

2本のスパークリングワイン
透き通る透明の赤が綺麗
72 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/13(土) 09:06

瓶の中を

ゆらゆら泳ぐ

泡まで見えた
73 名前: 投稿日:2009/06/13(土) 09:15
水曜日にガッタス見てきました。
石川さんがいなかったので途中で帰ろうと思ったのですが
50分ぐらい遅れて登場し、帰らなくてよかったと心から思いました。
遅れて登場なんて似合うななんて馬鹿なことを考えていました。
おそらく来週も見に行きます。

>>64

ありがとうございます。
ひとりでも読んでいただけているのならば
ひっそりと続けさせていただきたいと思います。
74 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/06/14(日) 22:38
今気づきました!

大好物ないしごまをありがとうございます><
続き楽しみにしてますw

てか@さんおかえりなさい!!!!wwww
75 名前: 投稿日:2009/06/21(日) 00:51
某所で上がっていたネタに心躍ったので書いてみました。
本編とはまったくの無関係です。

後藤視点
76 名前:チェリオメアリー 投稿日:2009/06/21(日) 00:54
どうしてあの時気づいてしまったんだろう

どうしてあの時見つけてしまったんだろう

見えなければよかったのに
77 名前:チェリオメアリー 投稿日:2009/06/21(日) 00:58
最近よくいろんな展示会にお邪魔させてもらってる
今回もただそのうちのひとつにしか過ぎなくて

あたしは仕事ともプライベートともつかない感じのこの日に
仕事仲間と一緒に展示会に来ていた


だから突然視界に入ってきたその人にとても戸惑った
78 名前:チェリオメアリー 投稿日:2009/06/21(日) 01:01

(なんでここにいるの?)


79 名前:チェリオメアリー 投稿日:2009/06/21(日) 01:04
見慣れた横顔はあたしが知っているその人よりも
とても髪が短く大人な女性になっていて

周りにたくさん人がいるにも関わらず
目にとまるほど美しい横顔に

あたしは一瞬にして視線を逸らす

気づかれる前に
80 名前:チェリオメアリー 投稿日:2009/06/21(日) 01:08

あたしの知らないあなたがそこにはいた


きっと気づかれてない きっと気づいてない
自分に言い聞かす

痛いほどに感じる視線は気のせいだと


あたしは隣にいる友人とくだらない話で笑い合う
今季のアイテムはあれがいいだのあのディテールがもったいないだの
どんな話でもよかった

ただちゃんと気づかないふりさえできてれば
81 名前:チェリオメアリー 投稿日:2009/06/21(日) 01:11
見ないようにしていたのにも関わらず
話しかけられた友人の方を向いた瞬間
再び視界の隅に入ってしまったその人は
昔と同じようにハの字に眉毛を下がらせていた


視線が絡み捕られそうになるのを
無理に拒む

見てなんかいない

何も見てなんかない
82 名前:チェリオメアリー 投稿日:2009/06/21(日) 01:13
どうしてあの時気づいてしまったんだろう

どうしてあの時見つけてしまったんだろう


何も見えなければよかったのに



〜end〜
83 名前: 投稿日:2009/06/21(日) 01:20
なんにもないかんじです。
ただの激しい妄想にすぎません。

現実は少しは話したんだと思います。きっと。
まさか一緒に行っただなんて思いませんが。


>>74

ありがとうございます。
恥ずかしながら戻ってまいりました。
やっぱりいしごま好きは離れていても
再びいしごまに戻ってくるみたいです。
こんな駄文でよろしければこれからもお付き合いください。


ガッタスまた見てきました。
約1時間遅刻しましたが
石川さんがいたのでやっぱ見に行ってよかったです。
ゴールも決めたしね。
84 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/06/21(日) 16:58
@さん発見!いしごま作者さん復活が続いててうれしいです。
某所でのネタ、色々と想像してしまいますね。実際、会ったりしたんでしょうか。。
本編の方も楽しみにしています!
85 名前: 投稿日:2009/06/22(月) 08:43

石川視点

86 名前:綺麗な首飾り 投稿日:2009/06/22(月) 08:45

どうしてあの時眼を逸らしたの?

どうしてあたしを見てくれないの?

ただ気づいて欲しかっただけだったのに
87 名前:綺麗な首飾り 投稿日:2009/06/22(月) 08:46
とある雑誌のゲストモデルをやったツテで
今回の展示会にお呼ばれした

普段はファション的なことからは掛け離れたあたしが
なんていうかこーいう場所にいて果たしていいんだろうかって
不安になる

やっぱり浮いてるななんて周りをキョロキョロ見回してたら
とある1つの場所だけ浮き彫りになったように映った人がいた

挙動不審に視線を泳がせていたあたしも思わず二度見
88 名前:綺麗な首飾り 投稿日:2009/06/22(月) 08:49
あたしはその人のことを知っている

いやあたしじゃなくてもこの会場に来ている人は誰もが知っているんだろうけれど

あたしはその人のことをよく知っている

痛いほどに
89 名前:綺麗な首飾り 投稿日:2009/06/22(月) 08:50
この会場にいるどんな人よりもお洒落で
モデルさんみたいにスタイルも良くって
何よりもキラキラして見えた

綺麗で綺麗で
少し逢わなかっただけなのに
その度に別の顔をするあなた
大人の表情
短くなって盛られた髪
変わらぬあどけない笑顔


何もかもが特別だった

そう何もかも
90 名前:綺麗な首飾り 投稿日:2009/06/22(月) 08:56
いつの間にか凝視していたあたしに
気づいたのか気づかないのか一瞬
ほんの一瞬こっちを見た気がした

けれどきっとそれは気のせいで
隣にいる可愛い人とすごく楽しそうに笑ってる



あたしの知らないあなたは遠すぎたんだね
91 名前:綺麗な首飾り 投稿日:2009/06/22(月) 08:57
まるであたしが娘に加入した頃みたい
住む世界が違う人だと思ってた
けれど一緒に仕事していくにつれて
普通なんだ 一緒なんだって
そう思えた

だけど今あたしの眼に映るその人は

やっぱり住む世界の違う人

憧れて追いかけて手を伸ばして
やっと届いたって思ったら
いつの間にか数歩先を歩いてて
92 名前:綺麗な首飾り 投稿日:2009/06/22(月) 08:58

やっぱり届かない

今あたしはどんな顔してるのかな

ねぇ
93 名前:綺麗な首飾り 投稿日:2009/06/22(月) 08:59

どうしてあの時眼を逸らしたの?

どうしてあたしを見てくれないの?

ただ気づいて欲しかっただけだったのに




〜end〜
94 名前: 投稿日:2009/06/22(月) 09:09
>>84

見つけていただきありがとうございます。
当時読んでくれていた方がいるのは本当に嬉しい限りです。
私の仕事がアパレルなので書きたくなったってのもあります。
現実はいしごまにしかわからないですけど
期待させてくれてありがとうって思います。


今、仕事12連勤真っ只中なので
いしごまに逃避しなきゃやってけません。

次は本編に戻ります。
今更ですが本編といっても中編になります。
あとは短編をいくつか書くつもりです。

水曜日晴れるといいな。
95 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/29(月) 23:08
「…ごっちん?」

ふわりと囁く

「ん〜〜〜」

と返事とも唸りとも取れるような声で
あたしの肩口に頭をぐりぐり押し付けるだけ

きっと問いただした所でごっちんは
何も話さないだろうと判断したあたしは

ごっちんを後ろにくっつけたまま
ずるずるとリビングのソファへ向かう

ソファの前まで到着するや否や
ごっちんを座らせようと試みるが
どうもそれに応じてくれない

ひとり困り果てたあたしは
ごっちんの手にあたしの手を添えて
強行手段
96 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/29(月) 23:11
引き剥がそうとしたら
彼女がそれを阻止する如く
更に力を込めてそれを許してはくれない

彼女の顔を覗き込む様に振り返り

「とりあえず座ろ ね?」

と彼女の手にあたしの手を添えたまま
あたしはソファに座ろうとする
さすがにごっちんもこれには応じずにはいられない


ただあたしを離す気配は微塵も感じられないのだけれど
97 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/29(月) 23:14
振り返った所で彼女の表情は見えない
変わりに彼女の髪の香りが鼻腔を擽る

なんとかソファに座ろうと
ごっちんを横に移動させ腰を下ろす
と同時に彼女もおとなしくそれに応じた

気づかれないように静かに溜息をそっとひとつ吐く
98 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/29(月) 23:15
ぴったりくっ付いたままのごっちんの
アッシュががった栗色の髪
それに触れようと
あたしはそっと手を伸ばす

触れようとした所で手を宙に遊ばせ躊躇うあたしは
きっとあの頃と変わらず臆病なだけ

一瞬の躊躇いを得て彼女の髪に触れる

とても柔らかいそれに酔う
その素敵な酔いに
あたしはその頭ごと抱き寄せた


「ねぇ…」
99 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/29(月) 23:20
何も返事が返ってこないのはわかってた

「あたしでいいんでしょ?」

気のせいか少し強張った気がした

「だから連絡くれたんでしょ?」

答えが無い代わりに髪が揺れる


「違うの?」
100 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/29(月) 23:24
殆どあたしの独り言

抱き寄せてた頭を離し
無理に視線を合わせようと
項垂れてるあなたの顔に目線を合わしを覗き込む


「ねぇ ごっちん…」


彼女の視線がようやくあたしを捕らえた
あたしはその眼を知っている

敵対心丸出しの睨み付ける様なその眼は
まるで仔猫の様に透き通っていて脅えてる
101 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/06/29(月) 23:25
乾いたその眼にあたしを映して

綺麗に揺れていた




泣いてしまえばいいのに
102 名前: 投稿日:2009/06/29(月) 23:27
短いですが更新しました。
ガッタスは3週連続で見れました。
もう無いのは淋しいですね。

次は後藤さんの渋谷に出没したいと思います。
103 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/07/07(火) 01:38
昔は見かけによらず泣き虫だったのにね
強くなったんだね
とても

でもだったら



「…どーしてあたしのとこに来たの?」
104 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/07/07(火) 01:41
答えなんて返ってこないってわかってる

だからあなたの反応を少しも逃すまいと
視線だけは逸らさぬ様に

「…あたしじゃなくてもよかったじゃん」

吐き捨てるように呟いた


「………夢に出てきたから」

「え!?」

ポツリと嘆かれたその言葉に
あたしの視線も釣られて揺れる
返事なんて当然返ってこないもんだと思ってたから

「…あたしが?」

なんて
戸惑いを隠すように首を傾げると

無言で首を縦にだけ振るあなた

105 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/07/07(火) 01:42
「…それだけ?」

またコクンと頷く

頭が混絡がってきた

なにそれ

なんでそういうこと言うの?
意味わかんない



『それだけ?』

なんであたしの手を離してくれないの?
106 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/07/09(木) 01:49
あたしはなんだか急に居た堪れなくなって
ごっちんの手を半ば強引に引き剥がした

「…ごめん」

そう呟かれたのはあなたの声だった

「…え?」

何に関しての言葉なのかわからない
そこに深く追求していいのかもあたしにはわからなかった

俯かれた眼に弱々しく揺れる世界

さっきまでの強気なあなたはもういない
107 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/07/09(木) 01:51

「…淋しかったの」



あなたの口から零れる透明な言葉

「なんかわけわかんなくなっちゃってさ…」

あたしは特に相槌を打つ訳でもなく
ごっちんから放たれる言葉をただただ聞いていた

「…なんか自分じゃ全然そんな風に思ってなかったんだけど
 やっぱどっか無理してたみたいでさ…
 頑張ってたはずなのにわかんなくなっちゃって
 これでいいのかな?って…」

とても慎重に言葉を探しながら
ゆっくり言葉を続けるごっちん

視線は絡まないままで
108 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/07/09(木) 01:53
「…自分が頑張ってるのかどーかもわかんなくなっちゃって
 いい加減な自分にだんだん嫌気が差して
 自己嫌悪でいらいらしてさ…お母さんにまで当たっちゃったりして
 ほんと姉弟揃ってなにやってんだかね…」

微かに笑みを浮かべた気がした

「…あたしだけでもしっかりしなきゃって思ってたはずなのに」

それは一瞬にして濁られた


一粒の透明な雫は頬を伝って
そっと流れ落ちるのでした
109 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/07/09(木) 01:54
なみだは
にんげんのつくることのできる
一ばん小さな
海です
110 名前: 投稿日:2009/07/09(木) 01:59
やっぱり今の時代いしごまは受け入れられないんでしょうかね?

ここはまだしも他のいしごま作者さん達の作品は
とても新鮮で素晴らしいと思います。
復活していただきありがとうございます。
111 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/07/09(木) 19:52
いやいやいや、ここのいしごまも素敵ですよ!ほんとに!
112 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/07/10(金) 10:48
私もここのいしごま大好きです!
続き楽しみにしてます><
113 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/07/16(木) 23:52
綺麗な笑みを浮かべ流れる涙
張り詰めていた糸が切れた様に
流れ落ちては数秒の間を得てまた落ちる

ねぇ なんで笑ってるの?



「…バカみたい」
114 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/07/16(木) 23:54
口を割って出てきたのはこの場に似合わず
とても棘のある言葉

「辛いんだったら素直にそう言えばいいじゃない」

思った以上に張り上がってしまった声に彼女がビクリと反応を示す

「もう意味わかんないし」

言い放つとボンっと思いっきりソファに座り直した
正面を向きテレビを点けようとリモコンの電源を押すが
反応が無い
どーやら朝主電源で消してったらしい
115 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/07/16(木) 23:55
「はぁー」

更に深く座りリモコンごと手を横に放り投げた
未だに反応が無い隣人に

「またそーやって黙るし…」

なんであたしこんなにイラついてんだろ


「…バカみたい」

さっき彼女に向けた言葉を自分に向け吐いた

116 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/07/17(金) 00:35
彼女の顔から静かに笑顔が消えた瞬間

「…ハ?なんなの?」

ごっちんはキツク口を一文字に結び
あたしを睨みつける

「まじバカバカうっさいんだけど…
 あたしがバカなことぐらい知ってんじゃん!」

「違っ!!」

反論しようと口を開くが次の言葉が出てこない

「こっちのが意味わかんないし…」
117 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/07/17(金) 00:36
聞き取れないほどの弱々しい声で投げ捨てられた言葉



「…梨華ちゃんとこなんて来なきゃよかった」
118 名前: 投稿日:2009/07/17(金) 00:48
若干黒めな石川さん

>>111

ありがとうございます。
素敵でいられるように頑張ります。


>>112

ありがとうございます。
何よりも嬉しい言葉です。

もっと好きになってください。
(友達がごっちんに「大好きです」って言ったらそう言われたらしい
素晴らしき後藤節。


HOUSE NATION最高でした。
数年ぶりに見るごっちんは可愛すぎた。
残念ながら石川さんは来てなかったみたいだけど。
ってか来てたらあの人ごみで死んでたでしょうね。 
119 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/07/24(金) 00:58
「なにそれ?」

「……………」

「だったら帰ればいいじゃない!」


本当はこんな事が言いたかったんじゃない
だけど思ってるように口は動いてはくれない

悔しそうな顔してあたしを睨み付けるあなた


「帰るっ!!」


威切りだった声で乱暴に鞄を手に取り
立ち上がるごっちん

その後ろ姿に向けあたしは届くように囁く
120 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/07/24(金) 01:00
「なんでよ…なんでそーなのよ」

ごっちんの動きが立ち止まる
振り向いてはくれないけれど

「…仲間って…ごっちんにとっての仲間ってそんなもんだったの?」


自分で発したはずの声が震えていたことに自分でも驚く
それにごっちんも気づいたのかゆっくり首だけこちらに傾く


「…なんで泣いてんの?」


「え?」


ごっちんの言葉に手の甲で頬を擦る
濡れてる…
「あっ」と思わず漏れた声
121 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/07/24(金) 01:12
「違っ!これは違うの!」

必死で否定の言葉を放つのがやっとだった
強がって隠そうとついた言い訳は子供じみた嘘

「なにが違うの?」

そう言われた時には既にごっちんの手があたしの頬まで伸びていた

涙を拭ってくれるその手が
優しすぎたから


「…ごめん」


なんて素直になってみる

122 名前: 投稿日:2009/07/24(金) 01:18
そろそろ終わりにします。
すみませんがもう少々お付き合いください。
123 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/07/25(土) 16:12
どこまでもついていきます!
124 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/07/25(土) 20:08
@さんのいしごま大好きです
125 名前: 投稿日:2009/08/02(日) 02:34
後藤さんCD発売記念
とりあえずsageます。
そしてまた本編とはまったくの無関係です。
またまたやってしまいました。
すみません。

リアル。設定は17ぐらい
過去と現在のループした駄作
126 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 02:38


「梨華ちゃん…なんか欲しいもんとかないの?」


127 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 02:40
いつの日か
あなたはそんな事を聞いてきたね
それはきっとあたしがまだ子供だった頃の話
128 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 02:41
「え?どーしたの?突然
あたし誕生日でもなんでもないけど?」

「んぅ別になんもあげないけどさ…なんかあんま欲とか無さそうだなぁとか思って」

「…それって地味にひどくない?」

「にゃは」



「…あたしだってあるよ 欲しい物ぐらい」
129 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 02:42


ねぇ
教えてあげよっか?
あたしが欲しかった物


130 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 02:44
「…ふ〜〜ん」

「なにその興味無さそうな反応」

「あぁゴメンゴメン
 えぇ!?梨華ちゃん欲しいもんあるんだぁ!?
 エーなになに??すごい気になるぅ」

「…わざとらしぃ」

「んで?なに服とか?」

「違うし」

「あそ」

「…ごっちんから聞いといてほんとどーでもよさそうだよね」

「んーそんなことないよ」
131 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 02:45
「ほんとかなぁ?」

「ほんとだよ」



本当はあの時すごく気になってたくせに
132 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 02:47
「知りたい?」

「なんかムカつくからいい」

「じゃぁ教えてあげな〜い」

「いいもん」

「ま そのうちわかるよ」
133 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 02:48

ねぇあの時の言葉覚えてる?

今のあなたにならわかるでしょ?

134 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 02:49

「…真希チャン」

135 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 02:51

白いシーツに包まれて
触れるあなたの汗ばむ肌に
荒がる吐息
張り付く髪を掻き乱し
あなたの鼓膜を揺さぶるの

136 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 02:53

「愛してる」

137 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 02:56
あたしの欲しかった物


断突の存在感

透き通る声

表現力

切れのある格好良いダンス

嘘で飾り作られた涙

全てを騙すその笑顔

独特の世界観

それに伴うファッションセンス

誰よりも綺麗なシルエット

追い求めていた崇高美

138 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 02:58

あなたは全てを兼ね揃えていたね
そうあたしの欲しかった物全てを


それは単に偶然あなたの形をしていただけなのかもしれない
あなたが偶然それを持ち合わせていただけなのかもしれない


だけどあたしにはどちらでも構わない

だって
139 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 03:01

あたしがずっと欲しかった物はあなただけなんだから

140 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 03:02

「愛してる」

だからあなたを貪るの

141 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 03:07

響くように
何度も何度も震わすの

「…真希チャン」

142 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 03:09

あなた以外何もいらないから
あなたの全てをあたしに頂戴
143 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 03:16

厭らしい声も
捩れる身体も
跳ねる鼓動も

全部掻き乱してしまいたい

あなたの全てを感じたい
144 名前:CRAZY IN LOVE 投稿日:2009/08/02(日) 03:18


「愛してる」


Crazy for you...




〜end〜
145 名前: 投稿日:2009/08/02(日) 03:28
うちには珍しく石川さん攻め
しかもごっちんCD発売記念なはずなのに
後藤さんがほとんど出てきてないっていう…

レス嬉しいです。励みになります。

>>123
こんなんでもよろしいでしょうか?(笑)
こんなんでもよかったらお付き合いください。


>>124
本当にありがとうございます。
こんないしごまでも好きでしょうか?

次は本編です。
厚木後かな。
146 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/08(土) 21:20
「…梨華ちゃんらしくないし」

きっと珍しく素直になったあたしへ向けた言葉
それに思わず苦笑を浮かべる

あたしの頬を撫でるその手に触れ

「…帰らないで………」

なんて更にらしくない言葉を吐いた

「…そんなにあたし冷たくないよ」

そう告げたあなたの言葉は
とても落ち着いた声のトーンで冷静そのものだった
主語の抜けた言葉もその声で伝わる優しさがやけに心地良い

「…ってかあたしもごめん
 変に強がって梨華ちゃん泣かしてる」

「…泣くつもりなんてなかったんだけど
 なんでだろーね。自分でもわかんないんだけど」
147 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/08(土) 21:22
私たちは昔から不器用だったよね
小さいことでよく喧嘩もしたし
お互い意地っ張りだから
仲直りのタイミングもよくわかんなくなってた

一日寝てしまえば次の日笑って話せる程
私たちはもうあの頃みたいに子供じゃない


「…梨華ちゃんの言ったとおりだよ
 最初っから素直に言ってればよかったね」

不思議そうにあたしが首を傾げると


「逢いたかったの」

だたそれだけを呟いた
148 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/08(土) 21:40
何も言葉が出てこないあたしの変わりにごっちんが口を開く

「でも夢に出てきたってのはほんと。
別にその夢がどーとかじゃなくってね。ほんとふつーなかんじだったの
昔みたいなさ。娘の楽屋でみんないて…で、梨華ちゃんもいた」

「うん」

「あの頃の娘の日常を切り抜いた夢ってかんじでさ。なんかポカーンって
なんか懐かしいなって…ただそれだけだったんだけど…」

そう言うとごっちんは眼を逸らした



「忘れられなかったの」
149 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/08(土) 21:41
「え?」

「梨華ちゃんが優しかったの」

突然の言葉は理解に戸惑う

「なにそれ…」

まるで普段あたしが冷たいかのような言葉に
少しムッとした

「みんないたんだけどね。でも
その夢見てから何日たっても忘れなかったの」

不器用な私たち
言葉で形にして伝えてくれようとするごっちん
少しの間を置いて




「梨華ちゃんだけは」
150 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/08(土) 22:27
厚木最高でした。
この話の設定はwith...のPVぐらいの時の後藤さんですが
今のエクステついてる後藤さんの話も書いてみたいですね。

今日は本当に久しぶりに丸1日時間があったので
過去の駄文とかあさってみました。

昔はいしごま以外にもいろいろ書いてたなぁなんて思いつつ。。

昔作者フリーなどで書いていたやつです。
もし少しでも興味のある方は覗いてみてください。

赤板倉庫・ログ倉庫作者フリー 短編用スレ 4集目 712〜724

夢板 作者フリー 短編用スレ 6集目 464〜480

上記は一応いしごま。
なんか昔のがまだましな駄文だった気がする。。。
151 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 22:48
空の色は黒
カーテンの隙間から覗く僅かな光

テレビもついていない今
時間が流れていると実感できるものは
ちょうどあたしの背後にある壁掛け時計の秒針の音だけ

どれだけ時間が経ったのかわからない
もしかしたらほんの数秒かもしれない
だけどあたしにはものすごく長い時間が経ったように感じる

あなたの言葉のせいで静寂しきったこの空間が
とても居心地が悪いから


ねぇ こういう時はなんて言えばいいんだっけ
152 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 22:51
「…あたしね?」

ようやくあたしの口が動いた

「ん?」

「嬉しかったんだよ?」

「え?」

「ごっちんから遊ぼってメールきて」

あたしってばなに言い出してんだろ

「あぁ」

当のごっちんは短い相槌を打つだけで
そのポーカーフェイスはなにを考えてるのかわからない

「あたしだって…」

口篭るあたしの言葉を促すようにごっちんの手があたしに伸びる
髪に触れるが早いかあたしの言葉が早いか
153 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 22:52

「逢いたかったんだよ…?」

154 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 22:53
ごっちんの手の動きがピタリと止まる

……!?

ほんとに?とでも伺うかのように
首を傾げあたしを覗き込む
その驚いたようなごっちんの顔があまりに可笑しくて
クスッと笑ってしまった

「え?」

「ごめんごめん」

何で笑われたのか当の本人は知る由も無く

「なにー?」

とあたしの髪に触れていた手が拗ねたように離れた
155 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 22:55
「なんか懐かしいなぁって」

「うん」

そう本当に“懐かしい”のだ

彼女の短い返事も
ふにゃっとした笑みも
その手の感触も
156 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 22:56
「もっとさ」

「んぅ?」

「頼ってくれていいんだよ?」
157 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 22:58
そうこれこそがあたしの言いたかった言葉

「…梨華ちゃん」

あたしの名前を囁くあなたは
とても優しい眼をしていた

「じゃなきゃあたしが淋しいじゃない」

「…うん。ごめん」

今度はあたしから手を伸ばす



「ずっと見てたよ」
158 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 22:59
ごっちんはなんのことかわからないといった様子で

「頑張ってるごっちん」

とだけ付け足すと

「え?」

尚更わからないといったリアクション

「ゆーちゅーぶとかでさ、新曲もすごいかっこよかった」
159 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 23:01
あたしが見てたということに対してなのか

「うそ?」

とだけ発したごっちんの眼を見据える

「ほんとだよ」

って伝えたくて
160 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 23:03
「見てたの?」

「うん」

だめだった?と続けると

「そーじゃなくて…」

「じゃなくて?」

「ぜんぜん知らないと思ってたから…」

「え?」

「あたしがどこでなにしてるのかなんて…」
161 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 23:05
そんな切なそうな声出さないでよ
そんな眼であたしを見ないでよ

ひとりでそんなに不安がらないでよ

「そんなわけないじゃない」

あたしの言葉に安心したのかふわりと笑みを浮かべ

「だから………すごい嬉しい」

なんて言うもんだから
あたしもつられて微笑むと
ごっちんの綺麗過ぎる顔が接近してきて
驚きと戸惑いでひとり心あたふたしてると




「ありがと」

耳元で囁いた
162 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 23:10
少し離れて

「…梨華ちゃんのアドレス変わってたらどうしよーって思った」

なんて俯きかげんに言うごっちん
あのメール…

「…もしそーだとしてもごっちんに言わないわけないじゃん」

「でも昔一回あったよね」

なんて皮肉を言う彼女はなんか少し楽しそう

「あれは………!」

弁解しようと口を開いたが弁解する余地が無かった

「じょーだん」

「もー」



あはっと笑う彼女の隣が心地良い
163 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 23:15
遠くに行っちゃったと思っていた彼女がこんなにも近くにいる
隣にあなたの温かさを感じる

あたしなんかよりずっと先を見据えてて
たくさんの物を捨てて
たくさんの物を失って
たくさんの傷を負って
それでも前を向いて歩いてる


あたしから見えるのはいつもあなたの背中だった


ザ☆ピース
あたしの思い出の曲
どんなインタビューにもそう答える

ねぇ 知ってる?
あたしがそう答える本当の理由



あたしが初めてあなたの隣に並べたからなんだよ
164 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 23:20
「なんか梨華ちゃんに逢ったらどーでもよくなっちゃった」

「へ?」

「なんかくだらな〜いって」

ふふって笑って返すと

「がんばるよ。あたし」

と言った彼女の目は
何の迷いも無く一点の曇りも無い
見つめられるのが怖いぐらいに輝いていた

また遠くに行っちゃうのかなって予感させる程に
165 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 23:22
だから

「あたしも」

負けないように
置いて行かれないように


そしてまたあなたの隣を歩けるように
166 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 23:24

『梨華ちゃん遊ぼっ』


たったひとこと

ただそれだけだったの
167 名前:ブルーデイジー 投稿日:2009/08/16(日) 23:25

ねぇ ごっちん

なにして遊ぼっか?






〜end〜
168 名前: 投稿日:2009/08/16(日) 23:34
完結しました。

読んでくれてる方がいるなら
こんな自己満足な駄文に最後まで付き合ってくださり
本当にありがとうございました。

自己満足で書いていたので
もしかしたら読まれている方には
とてもつまらないものになってしまったかもしれません。

批判、感想、リクなんでも構わないので
レスいただけると嬉しいです。
途中でレスをくださったみなさん本当にありがとうございました。
完結したので一回上げます。


また近々いしごまをゆるゆる書きたいと思います。
169 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/08/20(木) 00:06
完結お疲れ様です。
懐かしい感じのいしごまですね。
久々に飼育に戻ってきて良かったと思います。ありがとう。
次のお話も楽しみにしています。
170 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/08/28(金) 16:21
すてきないしごまをありがとうございます。
そしてまた書いていただけたら幸いです。
171 名前: 投稿日:2009/08/31(月) 02:22
元ネタあり。

梨華ちゃんと真希ちゃんの物語。
172 名前:どんなにきみが好きだかあててごらん 投稿日:2009/08/31(月) 02:23
小さな小麦色の梨華ちゃんは、おやすみの時間。

ほんの少し大きくて白い真希ちゃんの腕につかまって、

ベッドへ行くところ。
173 名前:どんなにきみが好きだかあててごらん 投稿日:2009/08/31(月) 02:24
梨華ちゃんは真希ちゃんに聞いてみたくなった。

「どんなに、真希ちゃんが好きだかあててごらん」

「そんなこと、わかんないよ」

と、真希ちゃん。

「こんなにだよ」

梨華ちゃんは、腕をおもいっきり伸ばした。
174 名前:どんなにきみが好きだかあててごらん 投稿日:2009/08/31(月) 02:25
真希ちゃんの腕は、もっと長かった。

「でも、あたしは、こーんなにだよ」

なるほど、それは、うんとだ。

梨華ちゃんは、考えた。
175 名前:どんなにきみが好きだかあててごらん 投稿日:2009/08/31(月) 02:25
「真希ちゃんのこと、せいのびせいいっぱい好きだよ」

と、梨華ちゃん。


「あたしは、梨華ちゃんのこと、
あたしのせいのびせいいっぱい好きだよ」

と、真希ちゃん。
176 名前:どんなにきみが好きだかあててごらん 投稿日:2009/08/31(月) 02:26
たしかに、高いな。

梨華ちゃんは、考えた。

あんなに腕が長けりゃな。


そこで、梨華ちゃんは、

いいことを、おもいついた。
177 名前:どんなにきみが好きだかあててごらん 投稿日:2009/08/31(月) 02:28
「真希ちゃんのこと、
とびあがれるこんかぎり、好きだよ!」

梨華ちゃんは笑いながら、

部屋中をスキップした。


「でも、あたしは梨華ちゃんのこと、
あたしがとびあがれるぐらい、好きだよ」
178 名前:どんなにきみが好きだかあててごらん 投稿日:2009/08/31(月) 02:28
真希ちゃんは、微笑んで、
大きくひと跳ねすると、
ソファをぴょんと、とびこえた。


ほんとに、すごいや。

梨華ちゃんは、考えた。

あんなに、高くとべたらなぁ。
179 名前:どんなにきみが好きだかあててごらん 投稿日:2009/08/31(月) 02:29
「真希ちゃんのこと、この道をずっと行って、
真希ちゃんちに届くぐらい、好きだよ」

梨華ちゃんは、さけんだ。


「あたしは、梨華ちゃんのこと、
あたしんちをこえて梨華ちゃんの地元に着くぐらい、好きだよ」

と、真希ちゃん。
180 名前:どんなにきみが好きだかあててごらん 投稿日:2009/08/31(月) 02:31
それは、とっても遠くだ。

梨華ちゃんは、考えた。

梨華ちゃんは、もう眠くって、

なんにも、おもいつかない。
181 名前:どんなにきみが好きだかあててごらん 投稿日:2009/08/31(月) 02:31
ふと、梨華ちゃんは、窓の向こうを見上げた。

あたりは、すっかり暗くなり、

夜空がどこまでも広がっている。
182 名前:どんなにきみが好きだかあててごらん 投稿日:2009/08/31(月) 02:32


「あたし、お月さまに届くぐらい真希ちゃんが好き」

183 名前:どんなにきみが好きだかあててごらん 投稿日:2009/08/31(月) 02:34
梨華ちゃんは、そういうと、目をとじた。


「それは、遠くだね」

と、真希ちゃん。

「それは、とてもとても、遠いや」
184 名前:どんなにきみが好きだかあててごらん 投稿日:2009/08/31(月) 02:35
真希ちゃんは、梨華ちゃんを

ピンク色のベッドに

そっと、寝かせると、

かがんで

おやすみなさいのキスをした。
185 名前:どんなにきみが好きだかあててごらん 投稿日:2009/08/31(月) 02:36
それから、梨華ちゃんのそばに

横になり、微笑みながらささやいた。
186 名前:どんなにきみが好きだかあててごらん 投稿日:2009/08/31(月) 02:40
「あたしは、梨華ちゃんのこと、お月さままで行って───



 帰ってくるぐらい、好きだよ」






〜end〜
187 名前: 投稿日:2009/08/31(月) 02:47
お目汚しを。

>>169

ありがとうございます。
楽しみにしていただいたのにパクリですみません。
このスレいっぱいになるまでは
いしごま書いていきますので
よろしければこれからもお付き合いください。


>>170

ありがとうございます。
いろんないしごまを書いていけたらいいなぁとは思います。
また覗きに来てくれると嬉しいです。
188 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/09/04(金) 01:46
いしごまいいなぁ。
元ネタ知らないけどいしごまにすごくあってると思いました。
189 名前:Plastic Lover 投稿日:2009/09/22(火) 01:19

ハウスミュージックに揺られ
エレクトロなサウンドに呑まれながら
ソファに沈むあなたの横顔と
短くなった髪だけを見つめていた

190 名前:Plastic Lover 投稿日:2009/09/22(火) 01:22
その髪に触れたくて
そっと手を伸ばす

「髪短いねぇ」

なんて添えた言葉と触れた髪に思わず苦笑い


予想以上に柔らかいその髪が
あたしの指にまとわり付いて少し恥ずかしい
それを悟られないように
キラキラぶら下がる大きなピアスと共にふわふわ遊ぶ


「梨華ちゃんもね」

とあなたの手があたしの髪に触れる
191 名前:Plastic Lover 投稿日:2009/09/22(火) 01:24
お互いの視線はお互いを捉えることはなく
その視線の先は短くなった髪と遊ぶ指

ずっと触れてみたかったの
短くなったあなたの髪に
そっと撫でて欲しかったの
あなたのその手であたしの髪を

いつだってあなたの手は優しかったから
あたしを見つけて肩に置いてくるその手も
別れの時に振ってくれるその手も
ギュッと握り締めてくれるその手も

だからそっと優しく撫でて欲しかったの

いつだってリアリティの無い世界にいるあたし達
それでもその手だけは嘘じゃないって思えるの
192 名前:Plastic Lover 投稿日:2009/09/22(火) 01:26

だから ねぇ お願い あたしの居場所を奪わないで

193 名前:Plastic Lover 投稿日:2009/09/22(火) 01:34
モノトーンベースの部屋
その中央に位置する黒いソファ

そこで奏でる艶めいた音は
騒音に限りなく近いハウスミュージックに掻き消されて
あたしの鼓膜を揺さぶる

194 名前:Plastic Lover 投稿日:2009/09/22(火) 01:35
「…あ、痕つちゃった」
「え?うそ」
「ごめぇん」

あたしの首元に埋まるあなたの唇
ここから見えるのは短くなったあなたの髪だけ
ショートボブが綺麗に揺れて
覗いた口元が少し上がっていた

「あたし髪短いの知ってるよねぇ」
「うん」
「…わざとでしょ」

悪戯好きのあなたは
何かを思いつくといつもそうやってニヒルに笑ってみせた
195 名前:Plastic Lover 投稿日:2009/09/22(火) 01:52
「まぁいいじゃん」
「よくないし!」

なんて思わず声が甲高くなる

「なに?他の人に見つかったら怒られる?」
「そーじゃなくて」
「じゃなくて?」
「見えちゃうでしょ?」
「そんなバレやしないって」
「もぉー」

楽観的なあなたが時々嫌になる
時々羨ましくもなる
196 名前:Plastic Lover 投稿日:2009/09/22(火) 01:54
「でもほんと梨華ちゃんて撮られないの上手いよね」
「なにが?」
「いや、だから写真」
「そーかなぁ」
「そーだよ。けっこー遊んでるくせにね」
「そんなことないし」

なんて否定した瞬間あなたが横目で睨む
どうしてそうやってあたしの心に入ってくるの?
197 名前:Plastic Lover 投稿日:2009/09/22(火) 01:57
「なに?それともほんとにいなかったりして」
「そんなわけないじゃない」

まるで全てを見透かしたかのように

「そーだよねー」

そんな眼で見ないでよ

「…なによ」

なんなのよ

「べっつにー」
「…ふ〜ん。。。」

なんか腑に落ちないあたしは生半可なリアクション

198 名前:Plastic Lover 投稿日:2009/09/22(火) 02:00
「…なんかショックだなぁって」
「え?」

突然の言葉は何のことだかさっぱりわからない

「梨華チャンそーゆー人いたんだぁって…」
「なにそれ…」

あたしを睨んでいたあなたの眼差しの意味がわからない

「ねぇ…ほんとにいるの?」
「………それは」

急にあたしの眼を真っ直ぐに捉えるもんだから
思わず眼を逸らしてしまった
199 名前:Plastic Lover 投稿日:2009/09/22(火) 02:15
「いいじゃん。いなくたって」
「違っ!いるもっ…」

そう言い放とうとした時には
既にあなたの短くなった髪があたしの視界を覆っていて

次の瞬間 唇に熱い感触
否定の言葉は最後までは言葉にならなかった

「あたしだけでいいじゃん」
「なに言って…」

再び降り注ぐ温もりと
あたしの髪を撫でるあなたの手

「ね?」
「そんなの…」

ずるい
200 名前:Plastic Lover 投稿日:2009/09/22(火) 02:17
だってあなたにはいるじゃない
他の人がいるじゃない

その人が最近変わったってことも
時には一人だけじゃないってことも

あたしは知ってる


だってそんなの



ずるい
201 名前:Plastic Lover 投稿日:2009/09/22(火) 02:25
ねぇ あたしの心に入ってこないでよ

ねぇ あたしの居場所奪わないでよ




ねぇ あたしの痕消してよ





〜end〜
202 名前: 投稿日:2009/09/22(火) 02:35
SWEET BLACK発売おめでとう記念?
そして明日誕生日ですね。おめでとう。

梨華チャンの複雑な乙女心です。


>>188
レスありがとうございます。
元ネタは同タイトルを全部ひらがなにすればヒットすると思います。
本当はうさぎのお話です。機会があればぜひ。


今作の最後の三行の背景にはこんな意味が含ませています。







だったら一度でいいから「好き」って言ってよ

だったらあなたもあたしだけになってよ

無理ならそんなことしないでよ
203 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/04(日) 20:11
更新待ってます爆
204 名前: 投稿日:2010/01/03(日) 01:14
明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

っていつぶりだよってぐらいの更新ですが
よろしければお付き合いください。
中編ぐらぃの予定です。
205 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 01:28

「梨華チャンってほんと単純だよね」


って昔よくあなたに言われたよね

小バカにしたような言い方で
あたしをからかっては笑っていた

あなたの笑顔がふと頭をよぎった
206 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 01:29


純粋になりたい

207 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 01:31
ただからかわれてるだけなのに
真剣に信じてしまっていたあなたの嘘も

あの時の苛立ったあたしの感情も
もうどんな感覚だったかなんて忘れちゃったよ


誰が聞いてもすぐわかるような嘘でさえ簡単に騙され
目に見える全ての事が真実だと信じ疑わなかったあの頃
208 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 01:32


「梨華チャン好きだよ」


209 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 01:34
なんて言葉もあの頃だったらきっと素直に受け止められたのかな

変わらないものなんてないんだよ


ねぇごっちん

あたしも変わったのかな?


全力であなたの言葉を否定するあたしがいるの
210 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 01:36


嫌い

大嫌い

そんな嘘
211 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 01:38
いつの間にか気付かぬうちにあたしたちは“大人”になっていたんだね


あたしたちもう24なんだよ?

だからきっと変わったんだよ



もうあの頃みたいに“子供”じゃないの


だから
212 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 01:40
「なに信じちゃってんの?冗談じゃん」


ってあの頃みたいに笑ってよ

そしたらあたしは頬膨らませて怒ったふりをするから
213 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 01:44
   ・
   ・  
   ・  
   ・
   ・ 
   ・  
   ・
   ・
   ・
214 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 02:09
車の窓ガラスを打つ風の音に思わず身震い
12月も半ば
外は華やかなイルミネーションと
それに必ずと言っていいほどセットで付いてくる幸せそうなカップル

残念ながら例年通りあたしには関係無く過ぎていく
そんな景色も日常も

今日も一日仕事をこなし
地方ロケで疲れ果てたあたしは
マネージャーさんの車の中でボーっと外を眺めていた。
街灯の眩しさに思わず眉をしかめる。
そのままそっと目を瞑り、いつの間にか軽い眠りに耽っていた
215 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 02:12
着いたよというマネージャーさんの声に驚き
目を開けると目の前には見慣れたマンションが

軽い挨拶と明日のスケジュール確認をし
重い足取りでマンションに入る
まさに“ぐったり”という言葉が良く似合う現状
エレベーターに乗ってる間も
立ってるのが面倒な程、言うことを聞かないあたしの体は
エレベーターの壁に凭れて
あたしの部屋へと繋ぐ到着音を待っていた

最上階へ到着したことを知らせる機械的な電子音と共に開く扉
開くボタンを押しながらゆっくり体を起こし歩き出す

俯いたまま鞄に手を突っ込みキーケースを手探りで探してあて
片手で鍵を取り出した
歩んでいた足を止め部屋の前で立ち止まる
216 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 02:13
ぶら下がった鍵がジャラっと音を立てるまでは

その存在に気づかなかったんだ




「……………」

「おかえり」

217 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 02:15
あまりに驚きすぎたから
ファーストリアクションゼロのあたし
ごく普通の挨拶をする彼女



「…ごっちん!?!?」


218 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 02:23
彼女の名前を放ったあたしの口からは
自分でも驚くほど甲高い叫びに近い声が出た

−−−と同時に顔が歪む
それはもう想像のつかない程の変顔になってたであろう
しかも直前までの死にそうな表情もきっと見られていたのだから
そのギャップったらない
その豹変振りと金切り声が今ここに座っているその人には
堪らなく面白かったのだろう

彼女の口元が緩く上がった
219 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 02:25
「こんなとこでなにしてんの?」

「なにって…待ってたの」


ここで『誰を?』
なんて聞かなきゃいけないほどあたしはバカじゃない
いくらあたしが今疲れてるからって
ここが誰のうちの前かぐらいはわかる



「…どーして?」
220 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 02:28
未だに状況が飲み込めないあたしに


「んぅ?逢いたくなったから」


なんて言うもんだから…

どう返していいのかわからずに思わず手に持っていた鍵を握った



手が痛い



だめだ 

やっぱりあたし今日は疲れてるみたいだ




思考が回らない

221 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/03(日) 02:29
だってそんな簡単な嘘でさえ
信じてしまいそうになる


嘘だってわかってるのに
あなたの顔が見れなくなった
222 名前: 投稿日:2010/01/03(日) 02:35
懲りずにいしごまです。

頻繁に更新できなくてすみません。
スレ使い切るまでは書いていきます。

たまにいしごま以外に浮気するかもしれませんが。。。

ゆるりとお付き合いください。


つづく
223 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/01/05(火) 01:07
続きが気になります
224 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/08(金) 00:12
「そっか…」

視線を合わせることなく
なれだけを嘆いて手に持った鍵を鍵口に刺し込み玄関を開ける


ガチャリ


静寂したこの時間の廊下には予想より大きい音が響いた
冷めてるなんて思われるかな

でも今だったら全てが“疲れてるから”で通じるでしょ?

そんな卑怯な考すら浮かぶようになってしまったあたしは
自分自身がすごく嫌になる

昔だったら…って過去の自分と比べる自分も

“大人”になってしまったという事実だけで片付けてしまおうとする自分も

みんなみんな大嫌い
225 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/08(金) 00:13
重い扉を開け
視線をようやくその人に向ける
だけどやっぱり目だけは見れなくて

「どーぞ」

ってだけの淡白な言葉を放った

「いーの?」

「汚いけどね」

そんな一連の流れに自然と口元が緩んだ
そして彼女も

「あはっ知ってるし」

って笑うから
なんでだろうなんか…なんか胸が疼いた
226 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/08(金) 00:15
ブーツを脱ぎ手探りで玄関の電気を点ける

「ただいま…」

なんて一人の時はいつも言わないけど
誰かがいるとそんな言葉も言ってみたくなる
もちろん「おかえり」なんて返してくれる人はいないんだけれど
変わりに後ろから

「おじゃましまぁす」

の声

懐かしい声に対する安心感なのか
久しぶりすぎる友人に逢ったとき特有の動揺からなのか
胸がざわざわしてる

部屋の電気を点けフッと小さく息を吐いた
227 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/08(金) 00:16
「そーでもないじゃん」

突然背後から聞こえてきた声に驚き

「え!?」

と首だけ勢いよく振り向くと
予想以上の近距離にいた彼女に更に驚き
思わず一歩後退ってしまった

不思議そうな顔しながら

「いゃ、部屋。もっと汚いの想像してたから」

「…なにそれ」

さっきからあたしはまともな返事をできていない
決してそうしようとしてそうしてるわけじゃないの
だけど困ったことにあたし自身もその対処法がわからないのだ
228 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/08(金) 00:17
「昔みたぃなの想像してたし」

やっぱり柔らかい口調で言うあなたに

「それは昔でしょ?少しは変わったんだからねぇ」

少しムキになった様な声になってしまうあたし

「ふぅーん。梨華チャンも大人になったんだねぇ」

「そーだよ。あたしだって大人になったんだからね」
229 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/08(金) 00:19
あれ?なんだろこの感じ


すごく懐かしい感覚

心がホッとするような

すごく温かい何かに包まれた気がした


あたしはこの後のつづきを知っている
230 名前:TOP SECRET 投稿日:2010/01/08(金) 00:20
あなたの視線があたしを捕らえ
“どこが”とでも言いたげな目で
あたしを見ては笑うんだ
231 名前: 投稿日:2010/01/08(金) 00:29
つづく

ゆる〜いですね(ワラ

>>223
ありがとうございます。
よろしければこれからもお付き合いください。
232 名前: 投稿日:2010/09/27(月) 01:34
突然ですが生きてます。
ご無沙汰です。
以前も書きましたが、スレ使い切るまでは放置しません。

。。。が、しかし
もう私にはいしごまは書けません。
一時的な問題かもしれませんが永久的かもしれません。

絵里卒業までの期間6期最強伝説を書いていきたいと思います。
基本れなえりです。
今までのいしごまとはまた違う感じになると思いますが、
宜しければお付き合いください。
233 名前:なくもんか 投稿日:2010/09/27(月) 01:36
「はっ!?…嘘やろ??」

ずっと一緒やと思っとった
いつか来るとはわかっとっても
3人にはそんなん関係なぃって思っとったっちゃん

やけんそんなん

「意味わからんし…」
234 名前:なくもんか 投稿日:2010/09/27(月) 01:37
リハーサル終わり
ハローのメンバーとガールズトークなんかしながら
変顔でブログの写真撮ったり
いつ行けるかわかんない遊びの予定なんか立てていた


まだ仕事が残ってるメンバーや予定がある人もいる為
徐々に人気が少なくなっていくスタジオ

れーなはめずらしく今日はリハだけ
それもあってか若干テンション高めな田中サン

そろそろれーなも帰ろっかなと帰り支度を済まし

「じゃ、まったねーん☆おつかれーな」

なんて振り付きで残ってるメンバーに吐き台詞を残し
スタジオの重い扉を押し開けた
235 名前:なくもんか 投稿日:2010/09/27(月) 01:37
一人になった途端
すぐにイヤホンを耳に突っ込むのは昔からの癖

WALKMANを再生させようと鞄から取り出した手を
いきなり誰かに腕を掴まれた

と同時に

「れーな」

上から降ってきた甘い声
その声だけで瞬時に誰だかわかったが
未だ掴まれたままの腕から徐々に視線を上げてった
236 名前:なくもんか 投稿日:2010/09/27(月) 01:38
「えり??」

自然と絡み合う視線
いつもと違う表情の絵里
眉毛を少し下げ伏し目がちな瞳はとても何かを言いたげで

「ちょっといぃ??」

って言われるがままに有無を言わさず腕を引かれた
コイツれーなにもし仕事があったらどーする気だ
ったく

なんてちょっとイライラしつつも
されるがままに連れて来られたのは廊下の自販機脇
出口とは逆方向なのであまり人気が無く静まり返っている

「なん??」

と一言そっけなくそれだけ問う
絵里にはなにもかも通用しないから

「…………」

れーなが睨みをきかしても
絵里だけはいつも

『ぜんっぜん怖くなぃんだけど』

ってへらへら笑ってみせた
237 名前:なくもんか 投稿日:2010/09/27(月) 01:39
だけど今回はなにかが違う。。。

何かを言おぅとして口を開いたが
れーなと目が合った瞬間それは逸らされ
その視線は行き場を無くしゆらゆら泳ぐ

理由はわからないけど絵里が困ってるということだけはわかった

「なんなん??なんか言いたいことあるっちゃろ??」

れーなにしてはわりと優しめに聞いてみた

「…れーな」

震えるような声で嘆かれた
やっと視線が上げられたが決して目を見てはくれない

「なん??言いたぃことなぃんならもぅ帰るっちゃけど」

そー言った瞬間絵里の表情が一気に崩れた

「れーなぁー」

嫌だと言わんばかりに掴まれた左手
ギュッと握られ痛くもないのに顔を歪めた
238 名前:なくもんか 投稿日:2010/09/27(月) 01:40


だって絵里が泣いていたから

239 名前:なくもんか 投稿日:2010/09/27(月) 01:42
「ぇ、ちょっ!!えり。ぇ!?どーしたん??」

急に泣かれてどーしていいのかわからずあたふたしてると
ほんの一瞬だけ絵里の瞳がれーなを捉えた

「う゛ぅ゛〜…」

と呻き声をあげる絵里

自由な右手で絵里の頬に触れる

「ちょっ、泣かんでょ。。。どーていぃのかわからんくなる」

そのまま親指の腹で絵里の涙を拭い
れーなより少し背の高い絵里の頭に手を乗せた

今日はちょっとヒール高めのサンダルだからこれでやっと同じぐらい

「うぐっ…ごめんね。…ごめんねれーな」

だから上目使いとかやめてほしい

「だから謝るなし」
240 名前:なくもんか 投稿日:2010/09/27(月) 01:43
頭の上に乗せた手でポンポンとあやすと
少し落ち着いてきたのか繋いだ手に視線を落とした後
一直線に見つめられた

それは何かを決心したかのように
潤った眼差しでそれでも鋭く光り輝いていた

「…あのね」

「うん」

その真剣な眼差しから
単純なれーなの脳細胞でも
ただならぬ何かを察し
それを見逃さないようにとしっかり絵里を見据える

「ぁのね、えり…えりね」

「うん」

聞き逃さないようにしっかり耳をすませる

一瞬の間

沈黙がふたりを包み込み
241 名前:なくもんか 投稿日:2010/09/27(月) 01:44


「…辞めることにしたの」


242 名前:なくもんか 投稿日:2010/09/27(月) 01:45
それは小さな溜息とともに、唐突にえりの口から零れ落ちた

「……ん??」

決して聞き逃したわけではない
主語のないその言葉を瞬時に理解するには
れーなには難しかった
243 名前:なくもんか 投稿日:2010/09/27(月) 01:46


「…モーニング娘。…やめる」



244 名前:なくもんか 投稿日:2010/09/27(月) 01:47
ピンポイントで放たれた言葉
他の解釈のしようがないほどストレートすぎるその言葉に

「はっ!?…嘘やろ??」

絵里の頭に乗せていた手が力を無くしするりと滑り落ちる

「……ほんとだょ」

せめて絵里の発した言葉に迷えるほどの余裕が欲しかった
2択でもいい。3択でもいい。答えなんて無くたっていい
だけど絵里の言葉はそれ以外の意味を持たない

「意味わからんし…」

245 名前:なくもんか 投稿日:2010/09/27(月) 01:47
だからこそ言葉に出して理解できない振りをする

何度も経験してきたその言葉の持つ意味を
ほんとは痛いほど簡単に解るくせに
246 名前:なくもんか 投稿日:2010/09/27(月) 01:49
頭の中でぐるぐる回る

嘘やん。。。

嘘やろ??

嘘やって

うそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだ
うそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだ
うそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだ
うそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだ
うそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだ
うそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだ

ぐるぐるぐるぐる
247 名前:なくもんか 投稿日:2010/09/27(月) 01:50
口には出さない全否定

嘘だって言って欲しくて
いつもみたいに

「なにれーな騙されてんのぉ??そんなの嘘に決まってんじゃん。バッカでぇい」

ってへらへら笑いながられーなのことイライラさせてよ

「へへっ♪れーなからかうとおもしろぃんだもんっ」って

れーなのブチギレスイッチを押すのはいっつも絵里だったじゃん


…いったいだれが押すっていうの?



ねぇ絵里


248 名前: 投稿日:2010/09/27(月) 01:56
こんなかんじで卒業ネタ。
一応6期のれなえり寄りなかんじです。
れなえり初なので受け入れてもらえるか不安ですが。。。
駄文ながら頑張ります。

お目汚しを。
249 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/23(水) 00:39
そう目で問いかけるように見上げた絵里の瞳には
れーながちゃんと映っとって
何も揺らいでなんていなかった

真っ直ぐすぎるその眼差しに
れーなの僅かな期待は徐に音を立てて崩れ始めた
そこに現れたのは喪失感と滲む絵里

揺れていたのは絵里じゃなくれーなの方だったんだ
250 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/23(水) 00:39
ゆれる

ゆれる

ぐらぐらゆれる
251 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/23(水) 00:41
すべてを真実なんだと
そう受け止めざるを得ない瞳に
れーなの目から溢れそうなそれを
涙だなんてて認めたくなくて
零れ落ちないように一瞬天井を仰いだ

そしてまた絵里を見据え

「…なんで?…なんで…」

涙の変わりに零れ落ちる疑問符

「…ほら、えり…アトピーあったでしょ?」

「………うん」

これっぽっちも考えたことなんて無かった
絵里がれーなの前からいなくなるなんて

「…治したいの。ちゃんと。」

だから想像すらしなかった

「…それ…だけ…?」
252 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/23(水) 00:41
れーなはさゆみたぃに頭の回転が速くはないから
想定外の出来事が起きた時
どう処理したらいいのかがわからない

れーなの少ない脳みそじゃ現実を理解するには難しすぎるから
そうだ さゆに助けてもらおう

それがいぃょね?

ねぇ絵里
253 名前: 投稿日:2011/11/23(水) 00:43
1年以上ぶりにしれっと更新
ストック分はどんどんぶっ込んでいきます
254 名前: 投稿日:2011/11/24(木) 00:30
「ねぇれーな…あたしね?…あたし…綺麗になりたいの」

「…ぇ?」

やっぱりれーなにはわからない
そーいゃさゆは連立方程式が得意だったっけ
さゆにはこんな問題も簡単に解けちゃったのかな?
1





そりゃそーだょね
だってふたりはいつも一緒だから
255 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/24(木) 00:32
「わかってたょ?れーながなんて言ぅかぐらぃ。。。」

そぅ言ってれーなの瞳をじっと見つめる絵里
お願いだかられーなの瞳を見透かさないで

「どんだけいっしょにいると思ってんの?」

そう続けると絵里はニヒルに笑ってみせた


似合わないくせに。。。



れ-なは絵里の笑顔が好きだ
笑わないれ-なの横で絵里はいつでも笑ってた

ふにゃふにゃ

へにゃへにゃ

えへへ

うへへ
256 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/24(木) 00:33
だけどそのどれとも違う
今までに見せたことのない表情に

れ-なはなんだかむかついた





「でもたぶんれーなだけじゃなくってみんなもおんなじことゆーと思ぅの。それだけ?…って」

それだけ?

それだけ。。。

257 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/24(木) 00:35
それだけ

たった“それだけ”の言葉で
絵里をどれだけ傷つけたんだろう




「…………」

まじれーな鈍感やけん
まじれーなアホっちゃん




何も言わないれ-なを尻目に
絵里は凛としてそこに立ってた

れ-なの知らない絵里がそこには立ってた
258 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/24(木) 00:35
なんかモヤモヤする

それが胸なのか頭なのかはわからない

ただ淋しい

孤独?

わからない

わからない

だけど

なぜだか急に泣きたくなった
259 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/24(木) 00:36
「……ごめん」

そう放ったのはれ-なの声

どーしたんやろ?
キャラじゃない
自ら謝るなんて

「…ぇ?」

「…なんもわかっとらんのに。わかったよーな口ききよって」
260 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/24(木) 00:37
わからない

わかりたい

絵里がどんな気持ちで卒業を決めたのか

どれだけの時間悩んで

どれだけ自分を追い込んで

どれだけの涙をひとり流したのか



嘘が大嫌いな絵里にとって
メンバーにほんとうを隠していっしょに過ごさなきゃいけない状況が
どれだけつらかったのか

どんな気持ちでれ-なに打ち明けてくれたのか

どんな気持ちで今れ-なの前に立ってるのか
261 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/24(木) 00:38
ほんとは泣きたいくせに笑うなアホ
262 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/11/25(金) 19:53
作者さん、おか絵里
263 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/27(日) 01:16
「違う。いーょ。謝んないで??そーいぅんじゃなぃから」

わかりたい
わかれない

「やけんっ」

なんでれ-なは今こんな必死になってるんだろう
264 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/27(日) 01:17
なにを言い訳する?

なにを守る?

プライド

それはいつも自分自身


“田中れいな”ったから


だけどれ-なが今、必死で守ろうとしてるものは

なに?

傷つきたくなくて

いつも必死で守ってきたプライド

そのプライドを捨ててまで

今 守ろうとしてるものは

なに?
265 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/27(日) 01:18
「れ-な」

「…なんで?…なんでなんも言ってくれなかったと?」

そう嘆いた声は自分でも驚くほどに震えていた

「…ごめん」

たった一言漏れた声
キュッと閉ざされた口元

「…やけんえりこそ謝るなし」

そう言って絵里の右手を握る
ようやく自分の手が言うことを効くようになった

「…なんで。。。」

ギュッと手に力が入る

れーなが痛いんだから
きっと絵里も痛い





まわる

まわる

ぐるぐるまわる
266 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/27(日) 01:19
「う゛ぅ゛ー」

積もりに積もった感情は言葉にはならなくて
その唸るよぅなえりの声がすべてなんだって

そう思った


「あ゛ぁ゛えりぃー」

自分でもよくわからない感情が自分の中だけでは押し留まらず
声となって溢れ出す

めんどくさいめんどくさいめんどくさい





今すぐこの場所から逃げ出したい

全てが嘘なんだって

そう思える場所に

全てを投げ出して

絵里と一緒に
267 名前: 投稿日:2011/11/27(日) 01:22
>>262

ただいまです。
まさか読んでくれてる方がいるなんてありがとうございます。
268 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/28(月) 01:40
この手を引っ張っていっそのことギュってしてやろうかと思ったけど止めといた
キャラじゃないけん

きっとキモがられて終わるだけやし
なによりれーなにはこの空気を壊せるほどの勇気を残念ながら持ち合わせてはいなかった

「れ-な同期失格やん。なんも気づいてやれんで」

なんて自嘲気味に薄笑いを浮かべる

へたれーなやね
ははっ。。。れーなって普段から笑えんやつでよかった

「っ!そんなことっ」

えりの否定がほんの少し嬉しかったのは秘密

「さゆには…さゆにはちゃんと相談したんやろ?」

「ぇ?」

まるでどーゆーいみ?とでも言いたげな反応
PPPなアホっ面

「ま、当たり前か。ふたり親友やけんね」
269 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/28(月) 01:41
えりとさゆ

ふたりはいつも一緒だった

さゆとえり

そこにれーなはいなかった
270 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/28(月) 01:42
いつからなんて鮮明に記憶にあるわけじゃない

だけどいつからかふたりとの距離があるような気がしてた
それに気づいてから余計に意識しちゃって
なんかギクシャクした
きっとそう思ってたのはれーなだけだけど
自分からふたりを遠ざけるような薄い壁を張った
何枚も何枚も少しずつ位置をずらして

本当は擦り抜けて来て欲しかった
迷路のように迷い込んでれーなを探し出して欲しかった

ぶち砕いてくれてもよかった
脆く意とも簡単に崩れるその壁が崩れることを微かに期待してた
271 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/28(月) 01:42
れーなは子供だったから
ふたりが来てくれると思ってた

れーなはわがままだから
ふたりの中に入ろうとは思わなかった
272 名前: 投稿日:2011/11/28(月) 01:45
某れなえり小説がクライマックスで切なすぎます。
なくもんかとか書いてますけど泣きそうです。
クリスマスDSでれなえり見れるといいな。
273 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/11/29(火) 10:54
おかえりなさいです
また読めるとは思っていなかったので嬉しいです!

ちなみに、某れなえり小説ってどれですか?
274 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/30(水) 00:15
「言ってないょ」

「ハ?」

「さゆにもなんにも言ってない。全部自分で決めたことだもんっ」

「…嘘やろ?だってさゆ」

“親友”
“心友”
“真友”
“信友”
“神友”
“深友”
  ・
  ・
  ・
  ・
  ・
しんゆう?

「だって…さゆ……」

しんゆうやろ?
275 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/30(水) 00:16
「嘘じゃなぃょ。ほんとにぜんぶ自分で悩んで決めたことなの。誰にもね。話してなくて…」

「………だ」

だけん!!そう威勢良く啖呵きってやろうと思ったのに言葉が詰まって出てこなかった

「だから…だから…ふたりにはちゃんとえりの口から伝えたかったの」

白々しい

「なに言っとぉー……」

えりの言った“ふたり”の中身は空っぽで

「…え?」

そこにれ-なはいないから

「なに言っとぉーえり」



だからお願い
“ふたり”にれ-なを入れないで
276 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/30(水) 00:18
「…れーな?」

まるで“どーしたの?”とでも心配するように
れーなの顔を覗き込む絵里

その顔がむかつく
人の気も知らず当の本人は無意識だからこそ余計に性質が悪い

昔からえりはそうだ

普段はへらへらアホな顔しとーくせに
人のちょっとした変化には敏感に気づく

れ-なが機嫌悪い時も
誰も近寄ってこよーとしない中
ふらふらーって近くにやってきては
人のグミ勝手に食べたりれ-なの髪の毛いじったり
余計にイライラさせてきよって

むかつくんよえりは

れ-なが辛い時も
なんも言っとらんのにれ-なに向かってひとりでべらべら喋りよる
コンビニで売ってるあれが食べたいとか
最近アルのくしゃみがうけるだの

まじどーでもいぃ話をべらべら喋りよって
277 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/30(水) 00:18

その純粋無垢な優しさがれーなは大嫌いだった

278 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/30(水) 00:19
「…れーなはいいよ。れーなは。。。」

孤高なヒロインでもなんでもない
いじけや嫉妬でもない

まぁそうとってもらっても構わないけど

だけど

「さゆは…さゆは親友なんやろ?」

「だから?」

すぐに返ってきた質問とは似つかない返答
そんな強気な態度もむかつく

「さゆがなんて言ったか知らんっちゃけど、そんなんさゆがかわいそぅやん!」
279 名前:なくもんか 投稿日:2011/11/30(水) 00:20
この気持ちはなんなん?
さゆのこと考えるとまじむかつく

同情

友情

愛情

偽善

誰が為?
280 名前: 投稿日:2011/11/30(水) 00:23
>>273

ありがとうございます。
嬉しいなんて言葉はここではもったいです。
某れなえり小説は水板の歴史に残るあの名作です。
好きすぎます。
281 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/10(土) 01:18
「…ねぇ、さっきかられーな。なんでさゆなの?」

「ハ?」

「だって今、絵里の目の前にいるのはれーななんだよ?」

全然違うとこからボールが飛んできた
しかも勢いよくれーなの頭に直撃

「…れーな親友じゃなぃし」

「うん」

即答っ!!

「…さゆは親友やん」

「う〜ん。。。」

ここも即答で返ってくると思ってたのになぜか悩みだす絵里

「ぇ、違うん?」
282 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/10(土) 01:19
「う〜ん。違くなぃけど。。。」

「違くないけど?」

他になにがあると?

「認めたくなぃだけ」

「なんそれ?」

ちょいちょい意味不明な発言するのはめんどくさぃからやめて欲しい




「なんか認めちゃったらさゆがどっか行っちゃぃそーなんだもん」

…やっぱ絵里むかつく
むかつくから

「そーかもね」

なんていじわるく言ってみた
283 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/10(土) 01:20
「でしょ?だから違うってことにしとくの」

「ふーん」

別にそんな話興味ないし



れーなが言いたいのは
れーなが聞きたいのは

そんなんじゃなくて





「怒られたょ。さゆに」

284 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/10(土) 01:21
「え?」

またまたとんでもない方向から飛んできた
このボール
たださっきと違うのは
咄嗟に避けようとしたのにも関わらず
不覚にもキャッチしてしまったという事
285 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/10(土) 01:23
「なんで相談してくれなかったの!?って泣かれちゃった。
…ってか泣かしちゃったって方が当ってるかな」

「そりゃそーやん。もしれーながさゆの立場だったら間違いなくブチ切れとー」

れーなが博多っこだからなのかな
先輩とか友情とか仲間とかそーゆーの
なんてゆーとかいな

一回絵里に『れーな熱いね』って言われたことがある

だからつまりそのそーゆーことなんだと思う


あんまり自覚症状なかったけど




「ふふ。れーなには殴られそーだね」

「女の子には手出さん」

286 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/10(土) 01:25
「おぉ!男前ですなぁ」

って絵里に言われて
自分が発した言葉が恥ずかしいものだったことに気づいた

カァっと耳が熱くなる感覚がして
それを見られないように髪の毛で耳を隠しながら

「跳び蹴りぐらぃはいれるかもね」

なんて冗談をかましてやった



「なにそれー」

「だって手は出さんもん。足なら別にいーやろ?」

「むぅ。れーなむかつく」

「ニシシ」って笑いながらしてやったりのドヤ顔してたら
絵里の瞳がれいなの瞳を真っ直ぐ捉えて
287 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/10(土) 01:25

「でも…ありがと」

たった一言呟いた
288 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/10(土) 01:26

ストラーイク


バッターアウト
289 名前: 投稿日:2011/12/10(土) 01:26
つづきます
290 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/12(月) 22:02
ああ、こういう雰囲気大好きです!
水板のも読んでいますが、こういうリアルなれなえりも大好きですよ!がんばってください!
291 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/27(火) 02:19
ねぇ えり

えりは覚えとぉ?

出逢った頃のこと
292 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/27(火) 02:20
「あの...何歳ですか?」

って伏し目がちにえりが聞いてきてくれたとよ?

移動中の車ん中やったかな

れーなが「13です」て言ったときの驚いたえりの顔が今でもずっと忘れられん

あの頃は今よりもっとツンケンしとって

素っ気無く答えることしかできんかったっちゃけど

ほんとはすごぃ嬉しくて

なんかよくわからんちゃけどすごぃ恥ずかしくなったことを

今でもはっきり覚えとる


ねぇ えり

えりは覚えとぉ?
293 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/27(火) 02:20
「れーながれーなでよかった。。。」

絵里の言葉は深く深く浸透していった

絵里の優しい表情
柔らかい言葉

「なんそれ?」

すべてを理解したいと願うれーなの心


「れーな気づいてる?れーなあの頃とぜんぜん変わってないよ?」

「ハ?あの頃ってデビュー当時?」

「うん。オーディションで初めてれーなと出逢ったときから」

もう8年近くも経ってるのに

「うそやろ?だってれーなもぅハタチよ?充分大人に。。。」
294 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/27(火) 02:22
「なってなぃよねぇ」

「ですよねぇ」

なんてふたりで顔見合わせて笑い合う
なんか温かい
なんか。
なんかが。

「れーなも自分で言ってて途中から違和感かんじたし」

「だって永遠の13歳だもんね」


「あぁ昔はね」

少し懐かしむように絵里を流とし見ると

「昔?じゃぁ今は違うの?」

なんて絵里は不思議げに首を傾げ
憎たらしいほどの
アヒル口

「いまはえいえんのせぶんてぃーん」

その憎さに覆い被せて言ってみた

「…ねぇねぇ、れーなってさぁ」

295 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/27(火) 02:23
「んぅ?」

「バカ?」



「は?」

意識か無意識か

「いゃ、だってさぁバカぢゃぁん」

かわいいとかむかつくとか

「いゃ、アホに言われたくないし」

「むぅ。アホじゃなぃもーん」

「アホやん」

「アホじゃないもん」

売り言葉に買い言葉


296 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/27(火) 02:25
「ハィハィ。そーっちゃね」

「あーなにそれぇ!れーなむかつくぅ」

乗って乗られて

「ハィハィ。そーですか」

乗られて乗りすぎて

「むかぁ!れーななんてきらいだぁ」

「ハィハィ。そーっちゃ…って。ぇ?」








…いまなんて?
297 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/27(火) 02:25

「れーななんてだいきらい」

298 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/27(火) 02:27
踏んではいけない地雷を踏んだ

「え!?ちょ、待っ、ぇ?」

やってしまった。。。

確実にやってしまった


「れーななんてきらいだもん!れーなきらい!だいきらい!!」





ド――――――ン


まるで打ち上げ花火のような大きな爆発音

下から見るか?横から見るか?
299 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/27(火) 02:27
半径5mぐらにあった全ての障害物が吹き飛んだ

そこに残ったのは動揺し戸惑いの表情を浮かべるれーなと
口を一文字に結んであからさまに膨れっ面の絵里

だ・い・き・ら・い

出来の悪いれーなの頭でその意味を考えてみた
いわゆる“すき”の反対
それも“だい”が付くんだから堪ったもんじゃない


いやだ

そんなん絶対いや
300 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/27(火) 02:29
「ちょ、えり!」

「れーななんて知らない」

そう吐き捨てフイッと顔をそむける絵里

「あーもう!!」

いらいらする

「ふーんだ」

なにに?

「ごめんて」

えりにだいきらいって言われたことに?

「んー?」

えりが怒ってることに?

「えーりー」

えりを怒らせてしまった自分に?

「ん?」

「ごめんて。だけんきらいとか言わんで...」
301 名前:なくもんか 投稿日:2011/12/27(火) 02:29
すきとかきらいとか
きらいとかきらいとか


お願いだから

「そんなん言わんでょ...」
302 名前: 投稿日:2011/12/27(火) 02:34
>>290 名無飼育さん

ありがとうございます。
リアルれなえり好きさんに出逢えて嬉しく思います。


遅くなりましたが
絵里はぴば!!
303 名前:なくもんか 投稿日:2012/02/08(水) 23:57
不意に訪れる沈黙、

「…………………………」

見慣れたはずの絵里の横顔


―――なのに


いつものアヒル口が少し尖って見えた


無言の空間に耐えきれず
もう一度謝ろうかと口を開こうとした瞬間

「えへへへ…」



先に沈黙を破ったのは絵里だった




いつもの笑い方に凍てついた空気が一瞬にして溶け流れた
まるで春風が耳元で囁くかのように
柔らかい空気がれーなを包んだ
304 名前:なくもんか 投稿日:2012/02/08(水) 23:58
ったく

こっちは思わず『キモッ!』と反射的に口走りそうになったのを抑えるのに必死だったってのに
当の本人はふにゃふにゃしとーし

これじゃ気まずさもへったくりもありゃしない


「…えり?」

浮かぶ疑問符を言葉で表すと
今度は

「うへへへ」

と口端を上げて声を漏らした


―――やっぱりキモい


だけどその絵里の笑い声にれーなの心が一気に安堵したのは紛れもなく認めざるを得ない真実で
いつもは癪に障る笑い方にこの時ばっかりは素直に感謝した

悔しいけれどほんとに。。。




「…よかった」

なんて思わず本音が漏れた

聞こえたかはわからんけど
305 名前:なくもんか 投稿日:2012/02/08(水) 23:59
「やっぱり」
「ん?」

不意に言葉を発した絵里

「やっぱりれーな変わってないじゃん」
「へ?」

唐突且つ何の前振れも無い言葉に
虚を突かれ素の反応で返すれいな

絵里の言葉を舌で転がし時間を少し巻き戻す






“れーなあの頃とぜんぜん変わってないよ?”
306 名前:なくもんか 投稿日:2012/02/08(水) 23:59

……そーゆーこと?

307 名前: 投稿日:2012/02/09(木) 00:02
おひさしぶりです。
れなえりはやっぱ需要ないのかな?
一人れなえり依存症です。
同志がいたら嬉しいですが。。。
308 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/02/11(土) 20:32
全然需要ありますよ。
更新再開していたことに今日気がつきました。
なんだかんだ言って、やっぱり、れなえりが1番しっくりきます。

続き楽しみにしてます。
309 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/03/15(木) 18:22
れなえりー!!(^^)

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