Star Hour
- 1 名前:gung 投稿日:2008/10/26(日) 23:44
- 初めまして。gungと申します。
以前はいしよしの短編などを書いてたりしてましたが…
勇気を出してスレ立てをしてみました。
メインはやっぱりいしよしです。よろしくお願いいたします。
- 2 名前:Star Hour 投稿日:2008/10/26(日) 23:45
- 『春』
それは別れの季節で、出会いの季節
どこにでもある、よく聞くフレーズ。
それは悲しくもあり、そして幸せでもあって…
誰にでも、必ず訪れるものだと思う。
出会いにせよ、別れにせよ。
もちろん、それはアタシにだって言えること…
出会えた事を幸せに思う。別れを悲しく思う。
でもね?今一番感じることは
梨華。キミに出会えた幸せだよ。
今でも胸をはっていえる。
キミに出会えて、よかった って。
- 3 名前:出会いは桃色の雪と共に 投稿日:2008/10/26(日) 23:45
- 20××年 4月
「音楽やりたい人、軽音楽部はいりませんかー!!!」
「体を動かすといえばテニス!テニスサークル部員募集してまーす!!!」
「超常現象研究会、よかったら見にきてくださーい!」
春になると大学は一層にぎわい始める。
サークル勧誘、新しい学年、新しい環境。
大学という未知な世界への期待に膨らませた顔がたくさん。
まるでおもちゃ箱がひっくり返ったようにカラフルで、キラキラとしている。
まぶしすぎるくらいのこの場所は右を見ても左を見ても人だらけ。
こういう人ごみにいるのはアタシ的にはなんか少し疲れる。
放り出せれたはいいけど波乗りの仕方がわからない初心者みたいな
うまく流れに乗れなくて、アプアプとおぼれてしまう。
どこか少し息苦しい、そんな感じ。
アタシ吉澤ひとみはそんな感じで今日もふらふらと
一人このハロ女ことハロー女子大学1年目を過ごしている。
- 4 名前:出会いは桃色の雪と共に 投稿日:2008/10/26(日) 23:46
-
「げ、休講??」
目の前の掲示板には今から受けるはずの授業の休講の知らせがしっかりと張り出されていた。
ちなみに本日唯一の授業。よって本日1日中暇が決定…
えー…どーしよ、暇じゃんアタシ、バイト今日ないし。
こんな時友達でもいれば時間をつぶすなりできたんだろう、きっと。
お茶してとかしゃべったりとか。
しかしこの口下手さや、ヘタレさが災いしたせいか
何度か声はかけてもらったりはしたけどなんかうまくいかず。
というのもあるし、正直四六時中べたべたするのは好きじゃない。
ま、それに1人は嫌いじゃないからそんなに苦痛じゃないんだけどね…こうゆう時ちょっと退屈だな。
せっかくだし散歩でもしよっか。まだ分からない教室や施設がたくさんある。
そうゆうことでアタシは学校散策という目的であてもなく校内へと足を進めた。
- 5 名前:出会いは桃色の雪と共に 投稿日:2008/10/26(日) 23:46
- 図書館や情報室や体育館。
色々回ってみてそろそろ疲れてきた。つか広…この学校。
時計を見てみればもう昼時に丁度いい時間で、コンビニにで適当に昼飯を買ったのはいいものの…
どこで食べようかなぁ、食堂行ってもいいけど人多いしなぁ…ってここどこだ。
考えながらウロウロしてたから気づいたら見慣れない場所にいた。
どうやら学校の裏手側にきてたみたいだ。
裏手側は主にサークルなどのクラブハウスがある。
ていっても去年くらいに新設されてほとんどが移動して
この旧館は倉庫や資料室になるってことで静かなもんだ。
ん?
視界にチラリと移ったピンク色のものに気づいた。
あ…
桜…だ。
垣根を乗り越えたその先にあったのは1本だけ咲く桜。
1本しかないけどその木は結構大きく、花弁が人気もなく静かに咲き春風に吹かれて
小さく舞い落ちるその姿はやけに凛と強く感じだ。
周りを見回しても、裏手にあるせいか誰もいない。
へー…いいじゃん、ココ。
いわば穴場ってヤツだ。ここで食べよっかな。
買ってきたおにぎりを食べながら、急遽できたささやかな花見を楽しむ。
静かだし、居心地がすごくいい。
- 6 名前:出会いは桃色の雪と共に 投稿日:2008/10/26(日) 23:46
-
桜は好きだ。
優しくて、見上げた空の青色とぴったり合う感じで。
桃色の雪みたいだ…
『ひとみ、見てごらん。桃色の雪みたいだろう?』
…桃色の雪…あぁ、そういえばコノ言葉を教えてくれたのは…父さんだったな。
『うん、すっごい綺麗ー!』
『いつかきっとアナタも大切な人とこうして見るのね』
『大切な人?』
『そう、お前が心から大事にできる人だよ?父さんと母さんみたいなさ。』
『そっかぁ…いつか見つかるかなぁ』
『見つかるさ』
『きっと見つかるわよ、ひとみを全部包んでくれるような人が』
そういって頭を撫でてくれる父さんの手のひらと
後ろからそっと抱きしめて母さんの暖かさが
今でも、はっきり脳裏に残っている。
父さん…
母さん…
なんで、アタシだけ、ここにいるんだろうね…
- 7 名前:出会いは桃色の雪と共に 投稿日:2008/10/26(日) 23:48
-
「あ、のう…」
ハッ
ヤバっ、寝てたっ。
思わず体を起こすと空はすこし色を変えていた。
服についていた花弁が空に舞い、それを見つめるように、声の主を探るように顔をあげた。
「風邪引きますよ」
耳に甘く溶け込むようなちょっと高い声
そこには空色と、桜の桃色と
その風景がぴったりあうような亜麻色の髪の色を靡かせた人がこちらを見ていた。
- 8 名前:gung 投稿日:2008/10/26(日) 23:51
- と、とりあえず以上です。
あげてからなんですがめちゃ緊張しています(汗
文才の少なさのためかこんな始まりですが
ちょいちょい書いていきたいなと思いますので
こんな作者をよろしくお願いいたします(平伏
- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/10/26(日) 23:52
- 6レス目がちょっと切なくて良いですね
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/10/27(月) 00:06
- 更新お疲れ様です。
これからどうなっていくのか楽しみですね。
次回も楽しみにしてます。
- 11 名前:名無し飼育さん 投稿日:2008/10/27(月) 20:58
- 新スレおめでとうございます。
森版の方も見てました!作者さんの書くいしよし好きなので
続きも楽しみにしています。
執筆がんばってください!
- 12 名前:gung 投稿日:2008/10/27(月) 23:34
- >>名無飼育さん
ありがとうございます。
これから小出しにこんな感じなのを出せたらいいなと思います
>>名無飼育さん
これから…どうなっていくんでしょうw
作者自身も分かっておりません(マテ
楽しく書けたらなぁなんて思っています。
>>名無飼育さん
おぉwww
あの森版を見てくれてたんですか…
いやいやありがとうございます。嬉しすぎて涙が出ます…
森版みたいに更新のばしのばしにならないよう頑張ります(汗
それでは本日の更新です。
- 13 名前:出会いは桃色の雪と共に 投稿日:2008/10/27(月) 23:35
- 「風邪引きますよ」
亜麻色の髪の人は心配そうにアタシの顔を伺っていた。
「ぁ…す、いません」
慌てて立ち上がると関節の節々が少し痛む。
アタシどれくらい寝てたんだろう…?
「よく寝てたねー、でもそろそろ日が落ちてくる時間だから冷えるよ?」
「あ、ありがとうございます…」
時計を見ると時計は4時を指していた。げ、そんなに寝てたんか。
気まずくその人を見るとこちらを見てニコニコしていた。
その微笑んでこっちも見つめる顔は、なんかスゴイ綺麗で
―――トクン
心臓が高鳴る音がした。
- 14 名前:出会いは桃色の雪と共に 投稿日:2008/10/27(月) 23:36
- ハッ。
なんでトキメイてんだよアタシ。
きっと寝ぼけてんだな、うん。
ん?ってか、ちょっと待て。
今よく寝てたって言わなかった?
「あの…「いしかわー」
「あ、矢口さーん」
振り向くと窓から顔を出したパツ金の、
つか…肉眼で見えてもアレはちっさいであろう人が手を振ってこちらに呼びかけていた。
「お、起きたんだ、居眠り君」
はっ?居眠っ!?
「あっ、ごめんね、私たちあそこの部室に居るんだけど
そこからアナタが寝てるのずっと見えてたの。
でもあんまり長い間寝てるから起こしてあげないとって」
指差す部屋は確かにクラブハウスの一室だった。
あ、だからですか…起こしてくれたの。
人なんてほとんどいないとタカをくくってたけど…アハハ…寝顔ばっちり見られたわけか…
- 15 名前:出会いは桃色の雪と共に 投稿日:2008/10/27(月) 23:36
- 「今からごっちん特製ココア入れてくれるからこいよー!」
「ハーイ!あ、よかったらどう?暖まるよ?」
「あ、で、も…」
「あ、そこのも強制参加だからなーーー!!!逃げるなよー!」
「だって。」
「はぁ…」
「大丈夫だよ、そんなに怖い人とかいないから。」
ま、確かに冷えてきたし、そんな悪い人でもなさそうだ。パツ金はちょっとびっくりだけども。
「じゃ、おじゃまします。」
「うんっ、行こっ」
サクサクとお姉さんと肩を並べて部屋へと向か…
「あっ!!!!」
おうとしたら突然お姉さんが叫んで立ち止まった。
「な、なんすか?」
「自己紹介するの忘れてた。」
肩を小さく竦めながら、小さく舌を出してニコッと笑った。
- 16 名前:出会いは桃色の雪と共に 投稿日:2008/10/27(月) 23:36
- …なんか、いちいち可愛い人だな。
よく見ると顔も普通に可愛いし。
あ、でもなんかちょい色黒で…服が…アタシのピンク使用量を遥かに超えてるな…
「私、石川梨華ですっ。2年で学科は英文科」
「あ、歴史文化学科1年の吉澤ひとみです。」
「へー。名前にぴったりだね。」
「アハハ…よく言われます。」
「よろしくねっ、吉澤さん」
嬉しそうな飾らない笑顔が真っ直アタシを突き刺す。
そんな笑顔と一緒に春風と桜の匂いがふわりと揺れて気がした。
- 17 名前:gung 投稿日:2008/10/27(月) 23:37
- 以上です。短いです(オイ
こ、こんな感じで小出し小出しな感じになりますが…
よろしくお願いします。
- 18 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/10/29(水) 00:14
- 正面へ周りクラブハウスに入ると古い道具やらダンボールが転がり
シンとしていてなんだかレトロな雰囲気に包まれていた。
「あの、サークルってあっちの新館いったんじゃないんですか?」
「うん、出てくださいって言われたんだけどね…先生が部室はここでえぇねん!っていって無理やりこのままにしちゃったの。」
「す、すごい先生ですね…」
「でもここのほうが使い勝手がいいのと防音がいいから助かるんだよね」
「防音?」
「あ、ついたよ。ここがそうです。」
一番突き当たりで立ち止まり古ぼけたドアを見ると
少し傾いたプレートには
『音楽研究同好会』と書いてあった。
- 19 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/10/29(水) 00:16
- 「音楽…研究…」
「そ♪さ、どうぞー」
「あ、おじゃまします…」
「矢口さーんつれてきましたよー」
「お、来た来た。」
「おかえりー、梨華ちゃん」
扉を開けると部員であろう人が何人かいて、
部屋は思っていたより広く、隅にはピアノやギターが置かれていた。
つか、ガスコンロまであってそこでちょっと目が離れた子が鍋でなんか作っていた。
「来たな居眠り君。って、よく見ると男前じゃん。」
タカタカとさっきアタシを居眠り君と呼んだパツ金の人が寄ってきた。
カラカラと笑うその人はなんか、元気のかたまりって感じで
初対面なのにどこか、自然と親しみをもたせてくれる、そんな風に思える人だった。
うん…やっぱり思ったとおり、てか予想よかちっさっ!
- 20 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/10/29(水) 00:17
- 「おい!今ちっさっとか思っただろっ!」
「へ!?あ、いや、その…」
「あはー、いーじゃん事実なんだし。」
「うっせーよ、ごっつぁん!あ、オイラは矢口真里、一応ここの部長やってます。君、名前は?」
「え、あ、吉澤ひとみです。」
「吉澤さん、んー、よしざわ、よっしー、よっすぃー…、よし、んじゃ『よっすぃー』ねっ!」
「へ?あ、ぁ、はい…」
なんかテンション高いなぁ。
しかもさっきから上から下へと見られてる…ような…
「よしっ!君ウチに入らない?」
「はぃ?」
「矢口さん、いきなりすぎて吉澤さん困ってますよ」
「いいじゃんかよーなかなか美形だし。ってかなんでお前もうなんとなく仲良くなってるんだよ。」
「いいじゃないですかぁー、あ、もしかしてヤキモチですかぁ?」
「んなわけないだろっ!キショいんだよっ石川はぁ」
「またまたぁーそんなこといってー」
「だー、こっちくるなぁー」
そういって石川さんと矢口さんの攻防戦が始まった。
楽しそうですけど、えっと…アタシは放置ですか?
- 21 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/10/29(水) 00:17
- 「はい、ココアどーぞ。」
「あ、どうも…」
そんなアタシにさっきのちょっと目が離れた子がココアをくれた。
スノーマンのマグカップから出る湯気とココアの色がこりゃまた美味しそうで…
「わ、うめぇー…」
一口飲んでもスゴイ美味い。
ちゃんと鍋でやったヤツは初めて飲んだけど…
それに中にはマシュマロが浮いていてさらに美味い。
「あはー、ありがとー」
ほにゃんと笑うその顔はなんか癒される感じに思えた。
「ごっちんのココアは美味しいからねぇ」
「んぁ、よろしく。ごとーはごとーと申します。」
「ごっちん、それあんま自己紹介になってないから。あ、美貴は、藤本美貴。
んでそこの子はごっちんで、後藤真希ね。」
「そうそう。後藤真希と申します。」
「アタシは柴田あゆみでーす。よろしくねー居眠り君」
敬礼しながら笑ってくれるごっちんと呼ばれる子の後ろで
鋭くツッコミを入れているのは眼光がキランと光る凛とした人で
その隣には目がくりくりとしている可愛らしい人がいた。
「あ…よ、吉澤ひとみです。」
「あはっ、そんなかしこまらなくていいよー。ごっちんとか呼んでくれていいから」
「あ、うん。アタシもなんか適当に呼んでくれていいよ。」
「そ?んじゃぁ…よしこってよぼー」
は、はぁ。よしこねぇ…ま、いっか。
よっちゃんといい、よっすぃーといい、よしこといい、今日はなんかあだ名とか大量につけられる日だな…
- 22 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/10/29(水) 00:18
- 「なにやってんの?」
「うわっ!?」
驚いて振り向いた先にはアタシよりも少し身長が高く、そしてモデルのような、そんなスタイルのいい美人さんがいた。
で、でもこの美人さんいつの間に後ろにいたんだろう…気配なかったぞ…
「あ、飯田さんおはようございます。」
「おはよ。君、見学かなんか?」
「へ?あ、えと…」
「後藤ーアタシにもココア頂戴」
「ほいよー」
って無視かいっ!
「あー、気にしないでやって。圭織っていっつもそんなんだから。」
攻防戦を終えたのか少し息絶え絶えの矢口さんが笑っていった。
「は、はぁ…」
なんか自由なんだなぁ…ここ。
- 23 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/10/29(水) 00:18
- 「あの、ところで、ここ、どういうサークルなんですか?」
「あ、そっか。言ってなかった。まぁ見ての通り音楽するサークルだよ。
自分が今までやってた楽器があるならそれを、
なにかをはじめたいって人は自分で探してのんびりやったり歌ったりだよ。
例えばオイラはベース、そこにいるでっかいのはサックス。」
「ちょっとー、でかいとか言わないでよ、矢口。」
圭織と呼ばれる、飯田さんは文句いいながらも
ケースからサックスを出して磨いていた。うん、確かに似合いそう。
「んで、石川はピアノ、ごっちんは色々できるからなぁ…ま、主に歌だな。」
「んぁーあとギターですな。」
「ちなみに美貴はカホン。ドラムもやるけどね」
「アタシはエレクトーンでーす。」
「あとはフルートだったり、エレキだったり。
まぁ学祭と月1で発表みたいなのあるけど、あとは個人の自由。
ライブハウスでやるやつもいれば、路上出たりするやつもいたり、色々だよ」
「へー…」
「よっすぃー、楽器経験とかはは?」
「あ、一応ギターやってますけど…」
「アコギ?エレキ?」
「アコギです。」
「ふーん、何年くらい?」
「んー…中2からだからざっと5年くらい。」
「結構長いんだぁ。すごーい!」
「ていってもやったり、やらなかったりですけどね。」
「んじゃぁ、ハイ。」
と言ってごっちんから手渡されるギター
「…えっとこれは?」
「まずはお手並み拝見♪」
「え、えぇぇぇ!?」
「お、いいねぇ、やれやれ。せっかくだし」
マジかい!
人前で弾くのはあんまり慣れてないんだけど…
- 24 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/10/29(水) 00:18
- 「や、人前で歌うとか…」
「いいからやれっ。」
「あーぁ、ごめんねー、矢口さんこうなると多分止められないから」
「は、はぁ…」
「そーそー、ココア代と思ってさ、軽くやっちゃいなよ」
「というわけで、ハイ♪」
「は、ぃ…」
手渡されるギターをとりあえず受け取る。
手入れがいいのか結構手になじむ。
えぇい、こうなりゃヤケだ。
「で、何やればいいんですか?」
「お、乗り気だねー、なんでもいいよ、よっすぃの好きなので」
「んー…じゃま、」
コホンと咳払いをして久し振りに弦を弾く。
高校のとき唯一上手くなれたアルペジオ
静かでそれでいて優しくて真っ直ぐというか、なんというかこの曲がずっと好きだった。
「夕立ち…」
誰かが呟いた声が聞こえた。
- 25 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/10/29(水) 00:20
- 『8月の祭りのあとは 理由もなく寂しく 薫り立つ浴衣の君は全てが艶やかで』
「へーうまいじゃん。」
「んぁ、やるねぇ。」
「すっごーい…」
『ゆっくりゆっくりと君を抱いてもいいの?
カミナリが連れてきた長い夕立ちが肌の熱を冷ましてゆくよ』
サビの部分に入ると後ろにいたごっちんがハモリにはいってきた。
通るような、澄んだ様な…すげー綺麗な声…
と思ったら矢口さんはベースを持ち出しそれに続き藤本さんのカホンや飯田さんや石川さんも伴奏に入ってきた。
こ、こんな豪華な演奏の中で歌えと!?
歌うのはやっぱり緊張する、けど…なんでだろう。なんか楽しい。
『あんなにあんなにも 激しく恋に落ちて』
楽しんで歌うのってこういうことを言うのかな…?
『肌の熱を冷ましてゆくよ…』
静かにアルペジオを響かせて終わったと同時に全員から感嘆と拍手まで頂いた。
- 26 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/10/29(水) 00:20
- 「よっすぃーすげー!」
「んぁ、アルペジオめちゃ上手いし。」
「歌もなかなかのもんだね。」
「ひとみちゃん、カッコイイー」
「や、皆さんすごいと思いますけど…」
ピアノは入るわ、ベースは入るわ…CD音源のよりいい。
慣れてる人はキーが分かればできる人は居るって聞くけど…
テクとかメロディとか皆すっげぇ音楽が好きなのが伝わる。
いっしょにやってるだけですごくワクワクした。
「ま、どうよ、楽しいっしょ」
「ハイ、めっちゃ楽しかったです。」
「いつもこんな感じなんだよ。音楽バカが集まる場所だね、ここは。」
「言えてる。」
そういって皆が笑い出した。
音楽バカ、か。
フッ…なんかいいな。
カラカラと笑うみんなの顔見ながら、このあったかい雰囲気が居心地よく感じた。
初めて感じるこの場所は、どこか優しく、満ち足りた感じで、ちょっと切なくなった。
- 27 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/10/29(水) 00:20
- 「そういえばよっすぃって何年?」
「えぇっ!?矢口さん今さらですか」
「え、あっと、1年です。」
「ごっちんと同じだね。」
そうなんだ…ていっても全然違和感無いんですけど、なんで?
「ごっちんってめっちゃ馴染んでるよね」
「あー、ごとー高校、ここの付属なの。んでその時からここいるから。」
「私達より先輩だよね、ごっちんは。」
「あぁ、どうりで」
「ところでよしこ、学科どこ?」
「歴史文化。」
「んぁ!一緒じゃん」
「あれ、マジで?ごっちん、クラスは?」
「ごとーはBだよ。」
「へっ?」
「んぁ?」
「アタシもなんだけど…」
「んぁ?そなの?」
「え、あれ?でも授業いたっけ?」
ウチの学科少人数制だから絶対見たことあるとおもんだけど…見たことがない。
「んぁー、午後の講義はでてるんだけどねぇ。」
「ごっちん、朝もでたほうがいいよ…?」
「最低限はでてるよ?」
「いや、最低限じゃなくて」
「あはっ、でもこれで仲間ができたー。」
そう言ってごっちんはシェイクハンドでおもいっきし腕をふってきた。
くだけてるっていうかのんびりしてるというか…うん、この子なら仲良くなれそうだ。
「ハハッ、よろしくね。」
「うんっ、で。できたらノート提供してください…」
コケッ
「ア、ハハ、了解」
「だから授業でろっての。」
そういう藤本さんのツッコミが
ドンッ
突然でっかくたてたドアの音と共に消えた。
- 28 名前:gung 投稿日:2008/10/29(水) 00:23
- 本日は以上です。
書くと時間かかるのにUPは一瞬ですねぇ…しかも一気に登場人物が増えました(汗
この音楽研究会、略して音研を舞台にやっていけたらいいなと思います。
正直アコギはおもいっきし自分の趣味ですw
ちなみに吉澤さんが歌っているのはSomething elseの『夕立ち』です。
大学はいってから知ったんですがなかなかいい曲ですよ。
- 29 名前:名無し飼育さん 投稿日:2008/10/29(水) 01:32
- 更新お疲れ様っす。
UPは一瞬ww自分も作者の顔もあるので気持ちわかります。
音楽が舞台になるんですね。結構楽しみです!
がんばってください!
- 30 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/10/29(水) 07:23
- 矢口真里がいるんですね…
- 31 名前:gung 投稿日:2008/11/07(金) 21:50
- >>名無し飼育さん
お互いUPまでの過程は大変ですねw
音楽が好きなので細々とやっていきたいと思います。
駄文になりますが…よろしくお願いします。(平伏
>>名無飼育さん
はい、矢口さんいます。
暖かい目で見守ってやって下さい(平伏
- 32 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/11/07(金) 21:50
- 「あー、しんどー!矢口ー茶くれー!」
突然でっかい音をたてドアが開きその人は叫びながら現れた。
関西弁で、少しドスの聞いた…なんか聞きなれた声なんだけど…って!?
「ゆ、裕子さん?」
「はれ?よっさんなにやっとんの、こんなとこで」
「裕子さんこそ…」
「裕ちゃん、仮にも顧問がこんなこと、とか言っちゃいけないと思うの」
「んぁれ?裕ちゃん知り合い?」
「ほれ、この子やこの子、アタシの親戚。あ、ほいこれ土産」
「え!?そうなんですか!?」
「あー、この子がそうなんだ。」
「んぁー!バターサンドだぁ、食べよ食べよ」
- 33 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/11/07(金) 21:51
-
そうなのだ。
今アタシはこの大学の助教授であり、遠い親戚である裕子さんちに
高校の時居候させてもらってたりする。まぁ今は1人暮らししてるけど。
言葉や睨みはそりゃーもう泣く子も黙るといわれるほどだけど
どんな些細なことでも気づいてくれて、厳しく、そして優しく手を差し伸べてくれる。
だからあの時…
『なんや、その顔』
『なにがですか?』
『なんやその能面みたいな顔』
『別に…なんもないですよ?』
『嘘いいなっ!』
『っ…』
『よっさん、アンタは優しい子や。人一倍優しい。
そんなアンタがここにおったらつぶれてまう。
ウチおいで。なっちもえぇって言っとぉから、な?』
そう言って、とてつもなく深い闇に沈んでいたアタシを、
この人は引っ張りあげて救ってくれたんだ。
- 34 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/11/07(金) 21:51
- 「裕子さん、顧問とかやってたんですか…」
「あれ?いわんかったっけ?」
「聞いてないですよー、一言も。」
「せやったかぁ、ま、そういうことや。」
「裕ちゃんが顧問になったのって単にお茶飲みたいのとなっちがいたっていう理由だけどね。」
「あー、安倍さんってここだったんですか。」
そういえば安倍さんピアノやってたな。
なっちこと安倍さんとは裕子さんの恋人で裕子さんと一緒に暮らしている。
まぁ、正直言ってアタシが家出たのって…なんかこの2人の邪魔はいけないなぁー
…ていうかイチャイチャしてんの見たくないってのがあるんだけどね。
ちなみに安倍さんは近所のハロモニ小学校の養護教員だ。
- 35 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/11/07(金) 21:51
- 「えぇやんか別に。ギブアンドテイクや。ギブアンドテイク。
で?よっさん、なんでおんの?見学?」
「そ、それは…」
「そこの桜のとこで居眠りしてたから連れてきちゃった。」
「はぁ?居眠りぃ?アンタ、なにしとんねんな」
「そ、そんなことより裕子さん帰り明日じゃなかったですか?」
「あぁ、なっちに会いたなってさっさと終わらせてきた。」
「あ、そですか…」
「さすが中澤さん…」
「それよか、矢口お茶ー」
「えー…自分でいれろよー」
「あ、アタシ入れてきますよ。」
「おっ、石川は優しいなぁー矢口も見習ったらどないやねん。」
「うっせ!顧問のくせに茶だけ飲みに来るな!」
「えぇやないかっ、上の研究室で一人で飲むの裕ちゃんさびしいねんもーん。」
『先生が部室はここでえぇねん!っていって無理やりこのままにしちゃったの。』
さっき石川さんが言ってた言葉が脳裏に浮かんだ。
そういえば資料室のほかにも研究室もちらほら入るっていってたな…
多分裕子さんの事だろう単に研究室から遠くなるのが面倒で無理やりココにしたんだろう。
家でも外でも自由人なこの人ならやりかねない。
- 36 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/11/07(金) 21:52
- 「しっかし、よっすぃーが鬼裕子の親戚とはね…」
「聞こえとんでー、矢口ぃ!!」
「んぎゃーーー!!だから抱きつくなぁっ!!」
「ふ、二人とも落ち着いて…」
「あー、いいっていいって。ほっときな石川。」
「そ、そんな飯田さんのんきな…」
「飯田さんの言うとおりだよ梨華ちゃん、それよか食べよ、お土産。美味しそうだよ?」
「なーんだ、鮭トバじゃないのかぁ」
「ミキティ、流石にそれはないと思うよ」
暴れる裕子さんに矢口さん。
それを見てあたふたする石川さんにのんびりお茶をするごっちんたち。
なんだ、ここ。超おもしれー…
「フハッ」
うん、
なんかいいかもしんない。
- 37 名前:ようこそ『音楽研究会』 投稿日:2008/11/07(金) 21:54
- 「あのっ、」
「ん?」
「なぁに?」
「なんやよっさん。」
「ここ、入ってもいいですか?」
「えっ?」
「マジでっ!?」
「え、正気?」
「ちょ、藤本それどーゆー意味だぁっ!」
「矢口ー暴れないでよー埃がたつ」
「ホントにいいの?吉澤さん」
「はい。」
びっくりしてる石川さんに向けてアタシは笑顔で答えた。
「アタシ、ここに入ります。」
ま、というわけで。
今ここに『音楽研究同好会』新入部員が1名決定したのだった。
- 38 名前:gung 投稿日:2008/11/07(金) 21:54
- 本日は以上です。
ホントちまちまの更新ですが…w
ちょっとずつ頑張ります。
- 39 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/11/08(土) 01:17
- やっぱりこのメンバーが大好きです!!
作者様楽しみにしてます!
- 40 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/11/08(土) 20:51
- ヤグチマリサエイナキャイイノニ
- 41 名前:名無し飼育さん 投稿日:2008/11/09(日) 00:02
- 更新お疲れ様です。
楽しみに待ってました!
自分もこのメンバー好みです。
執筆がんばってください(^^)
- 42 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/04/04(土) 09:59
- まだ?〜
- 43 名前:gung 投稿日:2009/04/12(日) 21:07
- 呼ばれてないのにじゃじゃじゃじゃん。
ども半年以上振りです。オソイっ!! ( ゜皿゜)ノ()gung)ノノ グハッッ!
えっと、吉澤さん生誕24周年記念日ということで
お祝いかねて、短編更新します。
- 44 名前:Happy Birthday to you you 投稿日:2009/04/12(日) 21:10
- ―午前0時を過ぎたら一番に伝えよう
―Happy Birthday Happy Birthday to you
って午前0時じゃないけどね。
『Happy Birthday to you you』
- 45 名前:Happy Birthday to you you 投稿日:2009/04/12(日) 21:10
- 4月11日午前7時50分。シアトルのホテル。
「ねぇ、石川さーん、まだですかー?」
『まだ、ダメー』
あ、ども。吉澤ひとみです。
まぁ、皆さんご存知だとは思うけど。
今仕事でね、ちょっとアメリカに来てる訳です。
いやぁ…まさか海外で歌う日が来るなんて思わなかったなぁ…
しかも、一緒にいるのが…ねぇ?彼女なわけですから。
ある意味、アタシ最高の誕生日迎えれそう。
んで、そんな彼女はといいますと。
- 46 名前:Happy Birthday to you you 投稿日:2009/04/12(日) 21:11
- ドンドンドン
「ねぇ、梨華ちゃんってばー。アタシもそろそろヤバイんですけどー」
『もうちょっと待ってー!』
さっきからドアの前でバタバタしてます。
ちなみにアタシ、今洗面所にいて、彼女に閉め出されてます。
目がさめて着替えるからココにいてっ!って
速攻ココに追いやられてるんです。ハイ。
- 47 名前:Happy Birthday to you you 投稿日:2009/04/12(日) 21:11
- 「着替えならいつも、見てんじゃんよー」
『あーもぉうるさいっ!ちょっと黙ってなさいっ!』
おー…怖。
いきなし着替え見られるの嫌とか。
相変わらず、何考えてんのか時々よく分かんねーけど、
ま、もうしょうがねーやって笑って許しちゃうんだよね。惚れた弱みというかなんというか。
こんな繰り返しを9年…そういや四捨五入でもう10年か。
10年…そっかぁ10年か。
あの日出会って、
恋をして、片想いから始まって、
それから、
気持ち伝えて、
いっぱい色んなこと、色んなものを一緒に見れるような関係にまでなれた。
もちろん嫌なものも見てきたし、
もうこの道から外れた道を歩こうと思ったことも何百回ってあったけど
こうして、まだ一緒に歩いてる。
- 48 名前:Happy Birthday to you you 投稿日:2009/04/12(日) 21:12
- そう思うと、頑張った…っていったらおかしいけど
よくココまで来たんだなって思う。
でもやっぱそれは…
ガチャ
「おまたせー」
梨華ちゃんとだから、かな。
- 49 名前:Happy Birthday to you you 投稿日:2009/04/12(日) 21:13
- 「おせーよ。いつまでかかってんの」
「エヘッ。ゴメンゴメン」
「てか、今何時?アタシも着替えなきゃマジヤバイって」
「あ、時間は大丈夫だから、それよりちょっとこっち来て来て」
「はぁ?今度はなに」
「ヘヘー…じゃーん」
「…おぉー」
閉め出された部屋から引っ張り出されて
目に入ったものは
テーブルの上にちょこんと座った
ハングリーとアングリーと
その間に置かれた
『Happy Birthday to Hitomi!』 っていうケーキがそこにはあった。
- 50 名前:Happy Birthday to you you 投稿日:2009/04/12(日) 21:18
- 「え?梨華ちゃん、コレ、どしたん?」
「どしたって誕生日じゃん」
「いや、あの、アタシ誕生日まだなんですけど…」
「こっちはまだだけどっ、向こうもうすぐで12日なんだよー。
日本で生まれたんだもん。だから、向こうの時間に合わせてみたの」
へー…普段なーんも考えてねーのに。
どうしてこういう時だけマメかなぁ…
「よっちゃんだからだよ」
「人のココロを読むな」
「だって、顔にでてるもん。ね、どう?嬉しい?嬉しい?」
「…うん、ありがとーハングリー、アングリー、お前らわざわざ脳みそケーキ用意してくれるなんてなぁ」
「ちょっとぉっ!!!違うからっ!」
「ウソウソ。ありがと、梨華ちゃん。」
「ヘヘー。あ、ほら、ほらあと10秒前っ!」
- 51 名前:Happy Birthday to you you 投稿日:2009/04/12(日) 21:19
- 毎年毎年歳取るのって、あーなんかなぁってちょこっと思っちゃったりする時もあるけど、
「9、8」
よくよく思ってみれば、誕生日って
「7、6」
梨華ちゃんと今までいた時間を再確認できる日でもあって
「5、4」
どんなサプライズでもどんな誕生日プレゼントよりも
「3、2」
目の前にはロウソクで揺れるちっちゃいケーキとずっと見続けてきた笑顔。
「1、…誕生日、おめでとうっ!」
「おー、あんがとー」
それさえあれば、いい気がする。
梨華ちゃん、ありがとう。んで、これからもよろしく。
―END&Happy Birthday !
- 52 名前:gung 投稿日:2009/04/12(日) 21:21
- てなわけで、よしざーさんおめでとうございます。
「Star Hour」は近日更新再開しまーす
川o・-・)<期待しないほうがいいですよ
(;gung)<ひでぇな、おい。
川o・-・)<事実でしょう?
(;gung)<…ハイ。
- 53 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/04/16(木) 20:58
- よっちゃん、おたおめ!!
本編も待ってます
- 54 名前:Star Hour 投稿日:2009/04/29(水) 01:22
-
「全員グラス持ったかぁーーーーーーー」
「「「「「「「「「ハーイ」」」」」」」」」」
「それではー、今年もめでたく新入生が入りましたっ!」
「「「「「「「「イェーイっ!!!!」」」」」」」」
「えー・・・いやぁ、音研ができてから早3年。またこうして部員ができた事をオイラは…」
「あーもー、矢口長い。とりあえず、ごっちん、吉澤音研へようこそ。ということで、かんぱーい」
「「「「「「「「「かんぱーいっ!!!!!」」」」」」」」
「おいっ圭織!まだオイラの台詞終わってねぇよ!」
「まぁまぁ。矢口さん抑えて抑えて」
「離せアヤカぁ!!!オイラに語らせろぉっ!」
- 55 名前:Star Hour 投稿日:2009/04/29(水) 01:22
- というわけで。
見事『音楽研究同好会』略して『音研』に入ったアタシは
あれよあれよという間に気がつけば『新入生歓迎会』と称し
居酒屋へとつれてこられ、こうして乾杯をしている。
まぁ歓迎会といっても新入部員はアタシとごっちんだけで、
高校からいたというごっちんはもう先輩みたいなもんだから
新入生はアタシだけだけど。
音研のメンバーをまとめると
4年の矢口先輩に、さっき部室にはいなかった3年の里田先輩にアヤカ先輩
2年の藤本先輩・柴田先輩・石川先輩
んでアタシにごっちん。飯田さんは院生らしい。
人数の少なさはサークルができたばかりだから。というのは建前上で。
大勢よりも気心知れたやつで騒ぎたいから部員はそんなにいらないってのが本音らしい。
その言葉を裏付けるかのように矢口さんが飲みやるって言ったら全員が参加した。
団結というかなんというか…なんかすごい。
- 56 名前:Star Hour 投稿日:2009/04/29(水) 01:23
- 「ほらよっすぃー自己紹介、自己紹介。」
「あ、ハイ。えーっと、吉澤ひとみです。楽器はギターやってます。よろしくおねがいします。」
「なんだよー、シンプルだなぁ。あ、恋人いないの?恋人」
「い、いませんよ」
「えー、もてそうな顔してんのに。」
「もてませんってば。」
「んじゃぁ次後藤ねー。後藤はー」
「あ、ごっちんはもう皆知ってるからいいよ。」
「えーなんでさぁー」
「ねー、肉ないの?肉」
「美貴、食いすぎだっての」
「カオ思うの、なんで藤本は肉しか頼まないのかって」
「おーい、飯田さんが若干交信モード入りつつあるよー」
ワイワイガヤガヤ、というかジャングルにいるような…
まさにそんな言葉をあらわすかのように食うやつはとことん食って、飲むやつはとことん飲んでる。
おもしれー…けどテンポが速くて追いつくのが大変だ。
- 57 名前:Star Hour 投稿日:2009/04/29(水) 01:27
- 「あ、そーいえばごっちんさ」
「ふぁい?」
「あの歌、結構マイナーなのによくしってんね」
「ふん、ひぃってぇふぁよ」
「後藤、口にもの含んでしゃべらないの」
「んっく。知ってるよ〜後藤もCD持ってるもん。」
「マジで!?あの歌知ってる人なかなかいないのに…」
「だーからいってんじゃん、ここ音楽バカの集まる場所だって」
ピッチャー抱えてカラカラ笑う矢口さん。
…ちっちゃいせいかピッチャーがでかく見えたのは気のせいだろう。
「なんか今失礼なこと考えなかったか?」
「い、いえ別に。」
「あ、そういやこないだ、アヤカCDありがとね!」
「No problem♪」
「あー、それまいちんがこないだ言ってた曲?」
「映画かなんかのサントラだったんだっけ?」
「そーそー、アヤカにはカバー借りたんだけど原曲なかなかなんだよねぇ」
「タイトルなんだっけ?」
「Ain't no Mountain High Enough」
「あ、それアタシ音源持ってますよ?マービン・ゲイのやつですよね? 」
「マジでっ!!??え、ちょっそれ今度貸して!」
「いっすよー」
「へー、よっすぃーもなかなかのマニアだなぁ」
「映画のは結構好きなんすよ。」
「キャハハ、いーねいーねっ。そんなよっすぃーに乾杯だぁ!」
「「「「「「「「おーっ!!!」」」」」」」」
「え?ア、ハハッ…どーも。」
- 58 名前:Star Hour 投稿日:2009/04/29(水) 01:28
- この日、アタシ達は何回乾杯したんだろう。
隣のお客さんがびっくりしてた位乾杯した気がする。
元気ですね。ってポツリといったら。
「だって、乾杯に理由はないっしょ?」
そういうって隣で藤本さんが笑った。
…肉頬張りながら。
とにかくアタシ達は飲んでさわいで、大笑いした。
- 59 名前:Star Hour 投稿日:2009/04/29(水) 01:29
- 皆良い人で、暖かくて、入ってすげーよかったなって1日にしてそう思う。
ここにいれば、きっと楽しいんだろうなぁって。
でも、まだやっぱり波乗りにはなれない。
アップアップと溺れそうになるから、
『お前は、俺の言うこと聞けばそれでいい』
あの言葉が、耳元に残ってる。
『アンタなんかに楽しむ資格あると思うの』
あの日、いわれた言葉。
あの人達の冷たい笑顔。嘲笑うような、笑顔。
小さいアタシは、分厚い鎖で繋がれた気がした。
『オマエニハダレモイナイヨ』
ザワザワと音を立てて肩を叩いてくる。
ニヤニヤと笑っていつもの黒い影が背中にいる。
…またお前か。
- 60 名前:Star Hour 投稿日:2009/04/29(水) 01:31
- 「吉澤さん、どうかした?」
「へ?なんでもないっすよ。ほら、来ましたよ肉」
「あ、それ美貴が頼んだレバ刺しだからとんなっ!」
「藤本、お前食いすぎだっ!!!」
「アハハハ」
楽しくて、楽しくて、しょうがないんだけど。
暖かい空気はとても心地いいんだけど。
黒い影がドスドスと穴をあけていく。
『オマエニハダレモイナイヨ』
その言葉と隙間風が心の中をグルグルと通り抜けていった。
- 61 名前:gung 投稿日:2009/04/29(水) 01:32
- 以上半年ぶりくらい更新でした。
(O`〜´)<なげーよ
- 62 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/04/29(水) 09:40
- お〜待ってました!
登場人物も出そろった感じですかね。
続きも期待してます!
- 63 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/20(水) 23:31
- 「く、苦しい…」
「さすがにもう飲めない…」
あっとい間に時は過ぎ、散々飲み、食い散らかした。
「ミキティ肉食いすぎ」
「まいちゃんは飲みすぎ。」
「「だーってさぁ…」」
床には肉をこれでもかというほど大量に食べ過ぎた藤本先輩と
かなり飲んでいた里田先輩が転がり、それをアヤカ先輩と柴田先輩が呆れ顔で見下ろす。
- 64 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/20(水) 23:36
- 「里田先輩、大丈夫ですか?」
何気なく声を掛けただけなのに
里田先輩はガバっと起き上がってアタシを睨み付けた。
「…固い。」
「は?な、なにか・・・」
「里田先輩なんて固いっ!!!」
「はい?」
突然何を言い出すのだ、この人は
「里田先輩とかなんか慣れんっ!というわけでまい様と呼べっ」
「ま、まい様て…」
「まいちゃん、それもどうかと思うよ…」
「えーいいじゃん、美貴のことも美貴様って呼べー」
「美貴様だと、なんか似合いすぎてしゃれになんないんだけど。」
「矢口さん、なんか言いました?」
「い、いや別に。まー、でも里田の言うことも正しいな。よしっ、これからは先輩ってのナシなっ!」
バシコンっと背中を叩きながら矢口先輩がいう。
「いや、でも先輩は先輩ですし」
「そんなに気にしなくていいんだよ」
「そーそー、ごっちんなんか超無礼講だし」
「んぁっはー、無礼講無礼講♪」
「確かに、ごっちんに先輩を敬うって言葉はなさそうだね…」
「んぁ?なんか言った?柴っちゃん」
「別にー。」
「ま、そういうわけで。あだ名とかでいいから。ていうか禁止」
「は、はい…」
- 65 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/20(水) 23:36
- というわけで
先輩禁止令を出され最低〜さん付けまでにとどまることとなった。
ちなみに藤本先輩と里田先輩からは結局ミキティとまいちんと呼べと言われてしまった。
「美貴の場合魔女でもいいんじゃない?」
「そんなんいったらまいちんはバカ代表って呼んでやる」
「なんだとー」
「ハイハイ、喧嘩しないの。」
「んじゃま、こいつらも元気になってきたしそろそろ帰るかぁ」
「吉澤は家どこなの?」
「あ、3丁目ですよ。」
「あ、じゃぁアタシと方向一緒だねー♪」
そういって手をあげたのは石川さん。
…なんかフラフラしてますけど大丈夫?
「あー、よかった。梨華ちゃんいっつも結構酔うからさぁ、1人じゃ心配だったんだよね。」
「はぁ…」
「もー…柴っちゃん。そんなに飲んでやいよー」
「いや、呂律がすでに回ってないよ、梨華ちゃん」
「頼んだぞよっすぃー、あ、送り狼にはなるなよ?」
キャハハと笑いながらまたバシンと矢口さんに背中を叩かれる。
先輩、痛いっすよ…
「…ハ、ハハ。ってしませんよ!」
「まぁとりあえず頼むねぇよしこ」
「あ、了解」
「ほんじゃま、お疲れさーん」
「じゃーねぇー」
「よーしー、駅まで走るぞぉ」
「おーっ!」
「ちょ、まいちゃん待ちなさいっ!!」
遠目だけどミキティとまいちん(まだ慣れない)が走り
それを追いかける柴っちゃんとアヤカさんが見えた。
…大変だなぁ。
って、んなこと思ってる場合じゃないや。
- 66 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/20(水) 23:37
- 「んじゃ、アタシらも行きましょうか。」
「ふぁーい。お、っと」
「ちょ、危っ!」
言ってるそばから壁にぶつかりかける石川さんの肩を掴んで引き寄せた。
トンッ
そのままなだれ込むように凭れ掛かってきた石川さんを抱き寄せる形になってしまう。
アタシより低い位置に触れた肩は華奢で、昼間見た亜麻色の髪から甘い香りがして
胸がちょっとトクンって鳴った。
イカンイカン、なに考えてるんだアタシは。
「だ、大丈夫ですか?」
「んー、大丈夫ー♪ほらー、ちゃんと真っ直ぐ歩けてるし」
いや、どこがだよ。
真っ直ぐ進めてないから、S字になってるからっ!
「ほら、危ないから掴まってて下さい」
「はーい」
ったく、普通先輩が後輩を介抱するもんじゃなかったっけか?
まぁ、アタシそんな酒弱くないし、石川さん見た感じからして酒弱そうだけども。
とりあえずフラフラする石川さんの手を掴んでアタシも家路へと歩き出した。
- 67 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/20(水) 23:37
- 三日月がゆらりと浮かぶ中、
春の夜風は思っていたよりまだ冷たく酔いを覚ますには丁度いい。
「あー、風きもちぃー」
「酔い覚ますのにはちょうどいいですね。」
「吉澤さんって、お酒強いんだね、すっごい飲んでたけど、焼酎とかテキーラとか」
「あぁ…多分裕子さんの晩酌付き合ってるからですかね。」
『外ではアカンけど家で、しかも保護者同伴やねんから問題ないっ!飲め!』
一升瓶ドンと置いてコップ片手に絡み、そしてよくアタシに飲ましたもんだ。
しかも、高校のときから。
まぁ、それを見つけたなっちさんは笑顔で裕子さんをしばき倒されてからは
こっーっそり飲ましてくれるようになったけど。
「アハハ、中澤先生なら言いそうだねー」
「やっぱそう思います?」
「うん、すっごく。」
「ですよねぇ…」
そう、あの人ならやりかねない。自分が法になるのだ、時々。
でも…そんなとこもあるけど。尊敬してる。
強くて、真っ直ぐで、時々不器用だけど
安倍さんは笑顔で、裕子さんはちょっと呆れ顔で。
いつでも本気で受け止めてくれる。
ボロボロになった心が癒えた頃思ったことがある。
いつか、あんな人達みたいになりたい。って、
あれから、ちっとは近づいてるかなぁー?
なんつって。
- 68 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/20(水) 23:38
- 「あ、」
「ん?どうかしました?」
「手、すごいね吉澤さん」
「手?」
「うん。ギターやってる人ってさ、やればやるほど指先硬くなるっていうじゃない?」
「あぁ、言いますね」
「吉澤さんってすっごい硬いよね、触っても分かるもん」
風のおかげかさっきよりフラフラはマシになったけど
まだ少し熱い右手で石川さんはアタシの左指先を撫でた。
カァ…
小さな指が撫でるのを見つめてると
な、なんか頭の中が暑くなるのを感じた。
アレー?酔い今ごろ回ってきたのかな?
「い、石川さんのピアノもすごいと思いますよ。何年もやってきたんだなぁーって」
「ううん、アタシのは違うよ。」
そういって石川さんは右手を離し、アタシの左手に冷たい風が流れた。
- 69 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/20(水) 23:38
- 「アタシねーホントはピアノ嫌いなの」
そういって、片足ずつぴょんっと石川さんは飛ぶ。
「へ?」
「あ、今は好きだよ?でもね昔はそうじゃなかった。」
―――ぴょん。
飛ぶと同時に石川さんのピンク色のパーカーが揺れる。
「アタシの両親ってね?あ、今は離婚してるんだけど」
さらっと何事も無いように石川さんは言い始めた。
「すごく見栄っ張りというか権力にとらわれがちな人でね。
そんな両親に、幼稚園の頃から無理やりやらされたの。すごく有名な先生のところに、毎日。」
「友達とも遊べなくて、ただピアノと睨めっこ。いつも失敗して怒鳴られて
何度も辞めたいっていったけど、許してくれなかった。
それどころかコンクールとかたくさん出させられてね。
1回サボったことがあるんだけど…殴られて言われちゃった。
お前は親の言うとおりやればいいんだっ!って」
- 70 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/20(水) 23:39
- ―――ぴょん。
また石川さんが飛ぶ。
『アンタはだまって言うこと聞けばいいのよっ!』
『お前に権利なんてないんだよ。』
…ふと頭の中で昔聞いた言葉が浮かんだ。
あぁ、なんだか似てる。ふとそう思った。
「だからピアノが嫌いだった。というより…敵みたいな感じかな?」
「敵…ですか。」
「うん、アタシの人生をつぶそうとたくらむ敵。なんちゃって」
―――ぴょん。
笑いながら答える石川さんはもう一歩前へと進む。
「そんな両親が高校の時離婚して、もうどうでもよくなったのかピアノの事とか何も言わなくなって」
「やっと開放されたーって思った。でもね、長年染み付いたっていうのかな。
すぐピアノに触れたくなったの。あんなに憎んでたのに。
その時気づいたの、あぁアタシにはピアノしかないんだって。
そう思って泣きながら弾いてる時に矢口さんに出会った。」
―――トンッ
立ち止まって月を見上げる石川さんは、なんだか泣いてるような気がした。
- 71 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/20(水) 23:40
- 「矢口さんに?」
「うん、でね?アタシ見て言ったの『すっげぇっ!!!』って。アタシびっくりしちゃった。
泣きながらピアノ弾いてる人にいきなりすごいとか言う?って」
「ハハッ…確かに」
「それからこういったの『サークル入らない?いっしょにやろうよ、音楽』それが始まり。
そこからアタシは本当の意味でピアノと向き合えて、好きだって思えたの。
だからアタシにとって『ピアノ』の始まりはつい1年前なんだ。」
「…………」
なんというか、言葉が出なかった。
目の前にいるのに石川さんが果てしなく遠い場所に居る気がして、
こんなに天真爛漫に笑う人に、アタシでは考えられない苦しみや悲しみがあって
それを簡単に慰めたり励ましたりしちゃいけない気がして。
「だから何年もってのはちょっと違うかな?」
「はぁ…あの、いいんですか?」
「ん?なにが?」
「今日はじめて会う人にそんな話しちゃって。」
「あ。」
「いや、あって…」
「そーなんだよねぇ…こんなの誰にも話したこと無いのに…
なんでかなぁ?酔ってるのかな?ま、でも、吉澤さんにならいいや」
腕を組みながら首をかしげる石川さんは
両手を後ろに組んでこっちを振り向いて笑った。
その姿は月明かりに照らされて…なんだか綺麗だった。
- 72 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/20(水) 23:40
- そんな石川さんを見て…
なんでだろう、近づきたいって思った。
「あ、の、石川さん?」
「ん?」
「その、吉澤さんってやめません?」
今日初めて会ったばっかなのに、もっと近くにいたいって思った。
「せっかくですし、呼んでくださいよ、皆みたいに。」
「…いいの?」
「どうぞどうぞ」
「んー…そうだなぁ…せっかくだしなぁ…あっ!じゃぁひとみちゃんって呼ぶっ!」
「いぃっ!!!??」
ひ、ひとみちゃんっ!?
なに、…その呼ばれ方。
「で、できたら別のでお願いします…」
「えー、ダメ?」
「なんか慣れないんですよ…」
「ヤダっ。ひとみちゃんにする。ね?」
トコトコ、アタシの目の前までやってきて
下から覗いてくる石川さんの瞳にアタシは妙に恥ずかしくなってきて、目を逸らして答えた。
- 73 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/20(水) 23:41
- 「は…ぁ、わかり、ましたよ…」
ひとみちゃんなんざ幼稚園以来だけど…
「じゃぁ…ひとーみちゃーん」
「…ヘーイ」
「フフッ。あ、私も石川さん禁止ね?」
「えぇっ?」
「名前で呼んでいいから。」
「じゃぁ…梨華…さん?」
「『さん』はいらない」
「…梨華…ちゃん?」
「ハーイッ!」
そう言って石川さんは小学生顔負けのピンと伸ばした手のあげ方をした。
「プッ…」
「ちょっとぉ、なんで笑うのよーっ!」
「いや、なんか、小学生みてー…」
「なっ!失礼ねーっ!もー知らないっ」
「あ、ちょっと置いてかないで下さいよー、送りますって!」
「しらなーいっ」
月は人を惑わせるっていうけど、そのせいなのかな
月明かりに照らされた夜道。
今日初めて出会ったはずなのに、ずっと昔から一緒にいたような。懐かしくて、なんだか楽しくて。
憂鬱だと思っていた大学生活に、小さく明かりが灯りはじめた気がした。
- 74 名前:gung 投稿日:2009/05/20(水) 23:45
- 本日は以上です。
またそのうち更新します。
(〜`◇´)<そのうちかよ
>名無し飼育様
ありがとうございます。
ぽつぽつとやっていくので気長に読んでやってください(平伏
- 75 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/23(土) 03:17
- 「あゆみー、それこっちに持ってきてー」
「はーい」
「あ、こら裕子!飲む前に手伝えっ!」
「えー、なんでアタシまで手伝わなアカンねん。」
「裕ちゃん、ちゃんと手伝うべさ」
月日が経つのはあっという間で。
アタシが音研に入ってからもう1ヶ月以上が経った。
学生生活もそれなりに楽しくなり、
メンバーも個性的だというのを痛いくらいに感じるようになった。
矢口さんは思っていた以上に熱血で
飯田さんは交信というものによくなり、
アヤカさんはとても知的で優しく
まいちんは見た目美人なのに、そうとうなおっさんで
ミキティの睨みは相当怖く、でも実は結構面倒見がよくて
柴っちゃんはなかなかクールでその毒舌にまいちんや矢口さんがよく凹んでるのを見かける
梨華ちゃんは、ピアノはすっげーうまいのに…実は音痴だったり。
ごっちんはふにゃふにゃしてるけど、音楽の事を語ると結構熱い。
と、まぁ、なかなか個性豊かな人達だ。
- 76 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/23(土) 03:18
- そしてアタシは今どうしてるかというと…
「ひ、ひとみちゃん大丈夫?」
「だ、大丈夫っす…」
「いや、全然大丈夫じゃないって。」
「んぁ、まったく」
緊張の局地に至っております…
「うっわ、よっさんすっごい顔」
「裕ちゃんそんなこといっちゃ…あ、ホントだべ」
「キャハハ、なっちひどっ」
「あ、アンタらなぁ…」
「まーしょうがないでしょ。なんせ初ライブなわけだし。」
「よっすぃー、落ち着いて落ち着いて」
そうなのだ。
今ここの全員が集まっている場所は「Live Bar メロン」というライブハウス。
そこでアタシとごっちんがステージに上がることになったしまい
こんな緊張でガチガチになってしまっているのだ。
- 77 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/23(土) 03:24
- なぜこんな事になったことになったかというと…
その事の発端は一ヶ月前あの新歓から2日後の事だった。
―― 一ヶ月前
「ふぁー…ねみぃ…」
アタシはあれから早速ごっちんに今までの分のノートを貸してくれと
半泣き状態で言われ、渡す約束を果たすためにも部室へと向かった。
どの科目のノートだと聞くとその量は5つを優に超えており
そのうち3つのノートをアタシはどこかに仕舞い込んでしまい
捜すだけでも夜中までかかり、すっごく眠い…
- 78 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/23(土) 03:25
- ―― 一ヶ月前
「ふぁー…ねみぃ…」
アタシはあれから早速ごっちんに今までの分のノートを貸してくれと
半泣き状態で言われ、渡す約束を果たすためにも部室へと向かった。
どの科目のノートだと聞くとその量は5つを優に超えており
そのうち3つのノートをアタシはどこかに仕舞い込んでしまい
捜すだけでも夜中までかかり、すっごく眠い…
「あ、ひとみちゃん。おはよー」
「あ、おはよーございます、いしかわ…じゃない、梨、華ちゃん」
入り口のホールを抜ける曲がるところに石川…、じゃない梨華ちゃんが立っていた。
今日もピンクピンクしたその格好に目が痛い、というか目が覚めそう。
「もーだから、敬語もいらないってばー」
うっ…
甘えるような口調と身長のせいだろうか、自然となる上目遣いになんかドキっとする。
「え、や、でも…ねぇ?」
「ダーメ。敬語も禁止っ」
「えー…」
「えーじゃないの、禁止だからねっ」
「へーい…」
肩を並べて2人部室へと足を進める。
梨、華ちゃんが(まだ慣れない)自分の秘密を打ち明けてくれたあの夜からまだ2日しか経っていないからか。
もともと、梨華ちゃんがまったくタイプの違う人だからか…
なんでだろう、一緒にいると、妙にくすぐったく感じる。
- 79 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/23(土) 03:25
- 「梨、華ちゃんも、部室?」
「うん。ちょうど暇になったから。ひとみちゃんは?」
「アタシはごっちんにノートを」
「あー、こないだ言ってたもんね。」
「今までの分全部っていうから捜すの大変で大変で」
「ふふっ、ご苦労様。」
「いえいえ」
笑いながら部室のドアを開けると
「お、よっすぃー!いいとこにきたっ!!!」
と、いきなり矢口さんに叫ばれた。
「な、なんすか?」
よくよく部室を見渡すと柴っちゃん(って呼べって言われた)とごっちん、アヤカさん、まいちゃんが
ニヤニヤといった感じでこちらを見ていた。
「アナタが噂のよっすぃーね」
「へ?」
突然、目の前に、顎にほくろのある、
なんか、ものすっごいセクシー…いやいや、大人な女性と
「ほほぉ、こりゃ確かに、なかなかの美人じゃのー」
眼鏡をかけ、美人なハズなのに、どこか年寄りくさい口調と
その手に握られた『村』と書かれた湯のみが似合いすぎる女性が目の前にやってきた。
- 80 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/23(土) 03:27
- 「あ、斎藤さん村田さんこんにちはー」
「あら、梨華ちゃん、しばらくね。」
「ふむ、相変わらず美人さんで」
「もー、なに言ってるんですかぁ」
「村っち、アゴンにそんなお世辞言うと調子乗るぞ」
「あぁぁっ、矢口さんひどーいっ!」
「あ、の…梨華ちゃん、こちらの方々は…」
「あ、そっか。ひとみちゃんはまだ知らないか。」
「初めまして、私、こういうものよ。」
どこから出したのか、すっと取り出された名刺には
『Live Bar melon オーナー 斎藤ひとみ』と書かれていた。
- 81 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/23(土) 03:28
- 「Bar メロン…」
「ほら、駅前にでっかいくちびるのネオンある店あるでしょ」
「あー…」
ひとみは、駅前に浮かぶくちびるとその横に並んだメロンのネオンを思い出す。
その外観は相当派手なもので、嫌でも目に入るものだ。
てっきりいかがわしい店かと思ったのだが…
「あ、そういう系の店だと思ってたでしょ?」
「や、そんなことは…」
「まぁ、あの外観ならそう思うって」
アヤカさんの問いに柴っちゃんは腕組みながらうんうんとうなずく。
「ちょっと、あゆみ。私のセンスにケチつけないで頂戴」
「えー、だってさー」
「ウチとこひとみんとこでよくライブさせてもらっててさ、ここにもよく遊びにくんの」
「ちなみにひとみんは柴っちゃんの従兄弟なんだよ?」
「あ、そうなんすか…」
どうりで、仲がいいわけだ。
隣でまだ外観について討論を続ける2人を見てなんとなく、納得する。
- 82 名前:Star Hour 投稿日:2009/05/23(土) 03:28
- 「んで、そこの村っちゃんがメロンの店長さん」
「オホッ、よろしく〜」
「ど、どーも。で、いいとこに来たっていうのは?」
「あ、そうそう。それなんだよ。」
矢口さんの一言で気づくと全員が、ニヤニヤしてこちらを見ている。
「よっすぃー、お前ライブ出ろ」
「…はい?」
「だ・か・ら。お前来月メロンでライブに出ろ。」
「…はぁぁぁぁぁっ!!!????」
そう、これが事の発端だった。
- 83 名前:gung 投稿日:2009/05/23(土) 03:30
- 本日は以上です。
文章って難しいね…(遠い目
从VvV)<単に文才ないだけじゃん
(;gung)<グハッ
- 84 名前:gung 投稿日:2009/05/23(土) 03:32
- >>77と>>78の文章が若干かぶってますが…
申し訳ありません、見ないふりしてやってくださいませorz
- 85 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/07/27(月) 00:08
- 次回はライブかな?
楽しみにしてます。
- 86 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/20(火) 19:13
- 待ってますよー
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