曖昧クラップ
- 1 名前:C 投稿日:2008/07/27(日) 21:57
- 初めてスレ立てします。
小さなお話ずつ。℃中心、基本やじうめです
お邪魔にならないよう頑張ります
- 2 名前:愛を謳うはずだった 投稿日:2008/07/27(日) 21:58
- 愛を謳うはずだった
- 3 名前:愛を謳うはずだった 投稿日:2008/07/27(日) 21:59
- 願いはかなうものだと思っていた。
想う強さで、なんでも手に入ると思っていた
美味しそうなケーキ、流行りだったくつ、可愛い置物。
夢だってつかむことが出来たから
だから、わからなかった
どんなにどんなに想っても願っても駄目な事があるんだ。
- 4 名前:愛を謳うはずだった 投稿日:2008/07/27(日) 21:59
- −−−−−
ポツポツと窓にぶつかる雨。
『降水確率は10%です』
最近の天気予報は嘘ばかりで嫌になる。雨が降らないと言ったから、髪の毛を下ろしてきたんだ。
ふと毛先をみると、今にもくねくねなりそうな気配がした。
全くもってツイていない日だ。
雨は降るし
さっきつまづいたし
お弁当には嫌いなものが入っていたし
・・・舞美ちゃんは、ずっとえりかちゃんの隣だし
- 5 名前:愛を謳うはずだった 投稿日:2008/07/27(日) 22:00
- それなりに広い楽屋の、はしっこに座って秘密の会話をしているかのように2人は寄り添っている。
実際は多分、寄り添っているわけでもない。
しかしそう見えてしまうのは何故だろうか。
えりかが一言話すと舞美は待っていたかのように笑い出す。
朗らかに笑みを浮かべて、すっとんきょうな事を言う。
えりかはそれを「可愛いなぁ」と思い、きれいな顔を崩して一緒に笑うのだ。
これは全て、愛理の目から見えるものである。
つまり、本当の事はわからないのだ。
- 6 名前:愛を謳うはずだった 投稿日:2008/07/27(日) 22:01
- 『悲しい日はおなかいっぱい食べればいい』
自分が参加しているユニットの歌詞を見ながら、卑下する。
悲しい日なんて、いつもだ。毎日だ。
舞美ちゃんが、笑うから
舞美ちゃんが、私じゃない人を見て笑うから
恋をした時は嬉しくて切なくて楽しいんだと
分からない歌詞も分かることが出来るんだと、わくわくしていた
- 7 名前:愛を謳うはずだった 投稿日:2008/07/27(日) 22:01
- 『愛理は、可愛いね』
そういいながらなでてくれる手に
たまに、変なことする横顔に。ぎゅっと抱きしめてくれる腕に
欠点ひとつないその顔に。優しくてあったかくて・・・そんな舞美ちゃんにあたしは恋をしてしまった
その恋がこの雨のように降り続いては溜まって行きやがて蒸発するみたいな、届かないものだと気づくのはすぐだった
よく考えれば私に対する態度と、例えば栞菜やなっきぃに対する態度はまるで同じで大事なメンバー以上ではない。
大事なメンバー。それは舞美ちゃんの手の中にあるきらきら輝く大切なものの一部であっても
ひときわ輝くスキナヒトという存在に私はなりたかった。
もしかしたら、そう思ってるのは私だけかもしれない。
舞美ちゃんにとってはどちらも同じくらい大事かもしれない。
でも、えりかちゃんは?
メンバーでもあり・・・そして好きな人でもあるえりかちゃんは。
・・・こんなくだらない事を、毎日考えてしまう。
- 8 名前:愛を謳うはずだった 投稿日:2008/07/27(日) 22:02
-
「あははっ!えりってばやだ〜!」
私以外に笑いかける舞美ちゃんの声は一番きらい
「ね、ね。今度は舞美もやってみてよ」
「えー、できないよ〜」
楽しそうな2人の姿は嫌い
お似合いな2人の姿が辛い
とても対照的なはずなのに、あつらえたように整う。
心なしか、えりかちゃんといる時だけ違う舞美ちゃんの瞳。
そして、こんな事を思う自分が一番嫌いなんだ
- 9 名前:愛を謳うはずだった 投稿日:2008/07/27(日) 22:03
-
「愛理〜?そろそろリハだよ」
「ほらっ舞美ちゃんもえりかちゃんも!」
ごめんねと上手く微笑めるよう必死になって答えを返す。
舞美ちゃんとえりかちゃんはどちらも軽くうんっという返事を返した。
2人がこっそりテーブルの下で手を触れ合わせたのが見えた。気のせいだと思いたかった。
寄り添っているのが気のせいであるように、それも気のせいだと思いたかった。
- 10 名前:愛を謳うはずだった 投稿日:2008/07/27(日) 22:03
-
どうして。
私は。
- 11 名前:愛を謳うはずだった 投稿日:2008/07/27(日) 22:04
-
長い黒髪と短めの茶髪が揺れ合う後ろを歩きながら
私は初めて舞美ちゃんに恋したことを恨んだ。
水たまりのようには私の気持ちはいかない。消えない。
- 12 名前:愛を謳うはずだった 投稿日:2008/07/27(日) 22:05
-
なんで。
もっときれいな愛をうたうはずだったのに。
- 13 名前:C 投稿日:2008/07/27(日) 22:09
-
>>2-12
愛を謳うはずだった
- 14 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/07/28(月) 00:47
- 綺麗な文章ですね
次も期待です
- 15 名前:名無し飼育 投稿日:2008/07/28(月) 02:04
- あらなんて素敵に切ないお話
綺麗にまとめますね
あいかん派だけどこれ好きだ
- 16 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/02(土) 02:26
- これはいいやじうめすずですね
- 17 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/07(木) 00:40
- >>12
ここ凄く好き
ことばのチョイスとか素敵過ぎる
- 18 名前:ファンキー×ファンシー 投稿日:2008/08/09(土) 03:14
-
ファンキー×ファンシー
- 19 名前:ファンキー×ファンシー 投稿日:2008/08/09(土) 03:15
-
「いいなぁ、舞美は」
突然つぶやかれた言葉に舞美は驚いた。
気の使わなくていい関係。
なんでも知っている。お互い大事だと思っている。
自負ではなく事実だと信じ込んでいる舞美にとって、えりかのその言葉は驚愕ともいえるものだった。
それは何故か。
何故かって、えりかより優れているものといえば運動神経しか見当たらないからである。
ちょっと格好が派手になったとはいえ、昔のころと変わらないえりか。
いや、逆にきれいになった。
ハーフっぽい顔立ちはよりいっそう彼女を際立てて、
すらりとした身体。女の子っぽい体つき。同性の自分でもたまに感じ取る色っぽさ。
見た目と全然違う明るくてやや子供な部分が覗える性格もまた一つの魅力である。
どこをどうとっても、今の運動をしてない状態で自分が彼女より勝っている所なんて見つからない。
- 20 名前:ファンキー×ファンシー 投稿日:2008/08/09(土) 03:17
-
「なに言ってんのさ〜いいなぁとか」
「いやーだって舞美はさ、男子とも気がねなく喋れるじゃん?すごいなって」
「男子?・・・あ、なるほど」
何を言ってるのかと思えばそこだったのか。
確かに、えりかは男子と話すのが苦手だった
それこそ得意に見えるのに、全くだった
しかしそれもまた可愛いと感じる所のひとつでもあった
「喋れなくても、問題ないさー!」
「えー、問題だよーうちも舞美みたいに話せたらいいのに」
ふぅ、とため息をつく幼馴染。そんなに悩む必要もないのに。
男子と話せなくても問題ないと思うのに。
だってえりはこんなにキレイじゃん。
分からないもやもやを抱えながら、舞美はえりかの背中を撫でた
「私は今のままのえりが好きだよ」
多分、そのままでいて欲しいのは舞美本人なのだ
- 21 名前:ファンキー×ファンシー 投稿日:2008/08/09(土) 03:17
-
−−−−−
そう気づくまでには、時間がかかった
一緒に授業を受けたりなど ふとした瞬間に何度もそう思う事はあっても
それは同じ学年であり大人っぽいえりかに対する憧れのようなものだと思っていたのだ。
えりかが男子とうまく話す事が出来ないのも、早いうちに異性を違うものとして感じ取れるからだと思っていた。
・・・そうだというのに、えりかからあの一言を聞いてから落ち着かない。
こんなに落ち着きのない自分に対して物凄くいらいらする。
苛々した事はあまりない。どうしてこんなに気にかかるのだろう。
――もしかして、えりが好き?
まさか。
同性にそんな感情を持つなんてありえない。
ましてや親友であるえりかに。
ふと部屋を見たら鏡の中の自分と目が合った。
白いカッターシャツと赤っぽいタイをつけた自分。
そこにはそのままの自分がいた。
見るからに"女の子”の自分。
『ねぇねぇ、好きな人いる?』
小学生の頃には興味本位でたまに上げられる話題が、
中学・高校にあがるにつれて実体験と変わっていく。
- 22 名前:ファンキー×ファンシー 投稿日:2008/08/09(土) 03:18
-
『私、カレとしちゃった』
『ほんとに!?』
する、って何がどうなるかというのはさすがに分かる。
自分にはまだまだ先だと思っていた。勿論、えりかも。
だがそれを聞いたえりかの目を見て違うんだと感じた。
今まで見たことのない目だった
『舞美はどうなの?好きな人とか』
胸が痛い。なんでえりにそう聞かれるだけで痛いんだろう。幼馴染なのに。親友なのに。
『・・・私はまだ早いからわかんないなぁ〜』
パジャマの裾を握る。
白い手が、赤くなる。
もしかして私の気持ちもこんな風に変化しているのだろうか。
- 23 名前:ファンキー×ファンシー 投稿日:2008/08/09(土) 03:18
-
−−−−−
放課後、夕焼け時。
カバンに荷物をつめながらえりかを待っていた
今日は帰りに一緒に買い物に行く予定で、しかもえりかが服を選んでくれる事になっていた。
服の趣味は少し違うけれどえりかが選んでくれる。
その事に舞美は朝から楽しみで仕方がなかった
早くえり来ないかな。
わくわくとしていた矢先、声をかけられる
それなりに仲の良い男子だった
「おい、矢島」
「なにー?」
「お前、梅田さんと仲良いよな」
「そりゃ・・・幼馴染ですから」
一気にテンションの下降を実感した。それと共に嫌な予感がする。
話しかけてきた男子は、クラスの女子からするとすごく格好いいらしい
舞美の気分が落ちているのをすぐ分かったのか、お前めずらしく機嫌悪くない?と茶化された。
気のせいじゃない、と流しながら本題へと持っていこうとする
接点の見当たらないえりかに一体何の用かさっきから気になって仕方がない。
「えりがどうかしたの?」
「んーとさぁ。なんかハズイな」
「ガーッと言っちゃえば大丈夫だって」
「まぁ、じゃあ・・・梅田さんって、彼氏いんの?」
予想的中とはこの通り。
こんな日が来ると覚悟はしていたがショックは大きい。
格好いいと言われているこの男子がもしえりに告白したらどうなる?
- 24 名前:ファンキー×ファンシー 投稿日:2008/08/09(土) 03:19
-
いない。今は、いない。
いつか、出来るはずのえりの彼氏。
もういつ出来たっておかしくない存在。
周りの女子がそうであったみたいにえりも彼氏が出来たら。
変わってしまう?
「舞美?」
舞美が答えかねているとドラマかと思うタイミングでえりかが現れた。
この角度からではどんな表情なのか全くわからない。
変にささった夕焼けが恨めしい。
舞美は一言も喋らなければ、動く事も出来なかった。
「ご、ごめっ俺行くわ」
内容を聞かれたと思ったクラスメイトはまっすぐ逃げていった。
えりかは聞こえていなかったので怪訝な表情をする。
ぱっと顔をあげると目が合った。
クラスメイトは逃亡したが、自分も逃げるわけにはいかない。
ましてや相手がえりかなら尚更。
「舞美、なに話してたの?」
「・・・なんにもないよ?」
「えー?もしかして、告白とかされてた?」
- 25 名前:ファンキー×ファンシー 投稿日:2008/08/09(土) 03:20
-
いたずらっぽく聞いてくる。
本気ではないのがわかるので、勿論怒ったりはしない。
舞美はえりかをじっと見つめた。
一体自分はどうしたいのか。何故さっき嫌だったのか。
目を閉じる。考える。
そう、とられるのが嫌なのだ。
誰が?えりかが。誰に?誰にも。
誰にもわたしたくない。
これが恋じゃないなら何が恋だというのだ
目をあける。
一変して不安げな表情のえりかがそこにいた
教室に風がはいり2人のスカートがなびく。タイもなびく。
えりかのその姿を一見して、舞美はやっと納得が出来た
- 26 名前:ファンキー×ファンシー 投稿日:2008/08/09(土) 03:20
-
「ごめん、怒った・・・?」
「私、えりが好きだよ」
「え?いきなりなにを」
「えりが好き」
「う、うん。うちも好きだよ」
すっと、いつも通りえりかに近づく。
やはり一瞬迷ったが振り切るようにえりかの手を取って握った。
予想外の行動にびっくりしたえりかは顔を動かす。
えりかが完全に舞美の方を向いた瞬間、舞美はえりかの頬にキスをした
あたたかくやわらかい感触と心の中。恋を再確認した。
「ねぇ、えり。恋人になってよ」
今度は舞美が悪戯に笑った。
- 27 名前:C 投稿日:2008/08/09(土) 03:22
-
>>18-26
ファンキー×ファンシー
- 28 名前:C 投稿日:2008/08/09(土) 03:32
-
>>14 名無飼育さん
ありがとうございます。すっごく嬉しいです
綺麗なんて初めて言われたのであわあわとしています。
また次も頑張りますw
>>15 名無飼育さん
片思いな愛理って切なげで、でも可愛いんだろうなぁと思って書きました。
伝わってよかったです!
あいかんもよいですよね〜
>>16 名無飼育さん
ありがとうございます。やじうめすずの関係性ってよいですよね。
どうしてもやじうめ贔屓になってしまいますがw
>>17 名無飼育さん
なんかめっちゃ嬉しいお言葉が!いやはや感謝です。。
- 29 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/09(土) 03:52
- 舞美がなんか小悪魔っぽいww
やっぱりやじうめはいいなぁ
- 30 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/13(水) 18:49
- やじうめはやっぱりいいですね。ワクワクします。
最初のやじうめすずの話も好きです。愛理の片思いは痛々しい。
- 31 名前:あつかましいキス 投稿日:2008/09/11(木) 14:09
-
あつかましいキス
- 32 名前:あつかましいキス 投稿日:2008/09/11(木) 14:10
-
えりかはずっと疑問していた。
うちと舞美の関係って、何なんだろう。
キス。キスって、何なんだろう。
えりかの疑問はいつもそこから始まる。
外国では挨拶でもあるキス。
親しい人に。家族に、恋人に。時には初対面の人に。
ただそれは日本外の話であって日本ではそんな習慣はない。
年頃になった今、キスをするとしたら・・・恋人という名の人だけのはずだ。
ずっと、舞美の事を見ていた。
恋愛や友情や。そんな事を考えず、ただみていた。
舞美が笑顔になる時は嬉しくなったし、泣いている時は悲しくなった。
えりかはそれを自然な事だと感じていたし特別視した事がなかった。
そう、それを実行するまでは。
- 33 名前:あつかましいキス 投稿日:2008/09/11(木) 14:10
-
−−−−−
いつも通りの日常だった。
みんな集まっている部屋に、それぞれが呼ばれたりどこかへ買い物へ行ったり。
同い年で一番年上という立場に置いてメジャーデビューをしてから仕事上、舞美と過ごす時間は少なくなった。
全員仲が良くそれなりにしっかりしてるとはいえ、2人以外はみんなまだ中学生だ。
お互いに責任感があるのか、それぞれのメンバーをまとめるようになった。
ただそれだけの事なので、仲が悪くなったわけではない。逆にメールの数は、前より増えた。
だけどこうやって2人きりになるのは本当に久しぶりだった。
舞美は最近ハマっているという読書に夢中になっている。
こうしてはたから見ていると美少女が読書、似合っているが普段の舞美を知っているからか思わずふふっと口から出てしまった。
舞美は読書をとりやめ、えりかのほうを見る。
「似合ってないなーとか思ったんでしょ〜」
「あは。わかっちゃったー??」
「わかるよー!失礼しちゃうなー」
気がそれてしまったのか、手元にあったしおりを挟んでいる。
すこし申し訳ない気分になった。
「ごめんね、邪魔しちゃったね」
「いーのいーの。それに、せっかくえりと2人きりだしね」
にこにこといつもの笑顔を浮かべながら、自分で買ったのだろう、ピンクのブックカバーがかかっている本を手近にあった鞄にしまっている。
本格的に会話する姿勢に、えりかは嬉しくなった。
「そだね、ひさしぶりだねぇ〜」
舞美はなんとなしに立ち上がり、えりかの隣に座った。
2人をあけていた空間である椅子一個分を取り除く。
- 34 名前:あつかましいキス 投稿日:2008/09/11(木) 14:10
-
こういうさりげない事が嬉しく感じる。
そう、嬉しく感じるだけ。
まだこの時までは、信じれていたのに。
「いつもは舞ちゃんとか、ちっさーとかいるしね」
妹の名前をいうように、感情をこめなくても親しげに名前を呼ぶ。
「あの2人は一緒にいるとちょっと騒ぎすぎになっちゃうよなぁ」
空を見ながら、その風景を思い出しているのだろう。舞美がリーダーであり、その性格の上にメンバーがいないとよくある光景だった。
本当に大事にしているのだ。
自分だって℃-uteのメンバーは大事だし、かけがえがない。しかし、舞美はそれ以上に大切にしていると思う。
メンバーを大事にする舞美が好きだった。
家族みたいに、時には家族より大事に扱う姿を見るのも好きだった。
ただ、この2人きりの状態で・・・えりかはどこかに違和感を感じた。
- 35 名前:あつかましいキス 投稿日:2008/09/11(木) 14:11
-
さっきまでの舞い上がりは消えて、急に醒めていく。
何にだろうか?全く検討がつかないくせに、そのもやもやとした感情は自分の中をうめていく。
自分が好きな舞美をみているのに。どこかで納得がいかない。
舞美は気づかず、そのまま喋りつづけている。
愛理と栞菜は本当に仲がいいよね
なっきぃは私より大人なんだよなぁ
などなど、えりかは相槌を打ってはいないがどんどん会話をすすめていく。
天然な舞美にはよくある事だった。
その無邪気な横顔を見て。
どうしてだろう。何故か水を差したくなったのだ。
感じた事のない自分が、そこにいた。
- 36 名前:あつかましいキス 投稿日:2008/09/11(木) 14:11
-
「ね、えり」
相槌を求めるように、舞美はえりかを見る。てっきり自分の話をすべて聞いてくれていたのだろうと思って。
もし、普段の自分だったらきっと相槌をうっていただろう。
ただ、それは到底できそうになかった。
もやもやとしたものは何かをうちたてるように巨大さを増していく。自分が、怖かった。しかし止められそうになかった。
「舞美」
あまりのえりかの声の真剣さに先程の安心しきった表情が崩れていく。それすらももやもやを膨らませた。
さらさらと肩にかかっている長い髪をすくって、また流す。手櫛のように。
舞美は次第にとまどった表情へと変化していく。自分が何かへまをしてしまったのかと思っているのであろう。
しかしえりかはまだ何も言わない。何も言ってやらない。舞美にこんな感情をはっきりと自覚したのは・・・えりか自身初めてであった。
もう一度、髪をすくう。舞美は不安そうだが何も言わない。怒られると思っていそうである、目をすこし伏せた。
日本人を思わせるその髪色と睫毛を同時に見てえりかは衝動性を感じた。そしてそれはまた止められそうにもなかった。
- 37 名前:あつかましいキス 投稿日:2008/09/11(木) 14:11
-
ゆっくりと顔を近づけていき、手は舞美のほほに触れた。伏せていた目をあげるかあげないかの瞬間、えりかは舞美に口付けた。
- 38 名前:あつかましいキス 投稿日:2008/09/11(木) 14:13
-
呆然としている舞美に、えりかは再度顔を近づけて押し付ける。乱暴なキスだ。
自分が何をしているか。さっきよりも自分が怖かった。
全て終わった後、目を見る。舞美は何も言わない。えりかも何も言わない。
騒々しさが部屋に近づいてるのがわかった。きっとメンバーだ。
追い詰められて、えりかは初めて言葉をつげた。
「キスしちゃった」
自分はバカか。そう思った。
- 39 名前:あつかましいキス 投稿日:2008/09/11(木) 14:13
-
そこで何をしてしまったか思い知る。
女の子に。メンバーに。舞美に。キスをしたのだ。それも何回も。全くもって意味のわからない行為だ。
騒々しさはどんどん近づいてくる。舞美はまだ何も言わない。
さっきのもやもやはとうに消えていた。あれは一体どこへ行ってしまったんだろう。
ドアが開くか開かないかの所で、舞美はいつもと変わらずにこにこと表情を浮かべた。
「そうだねぇ」
抑揚もなく、驚きも非難もなにもない声色でそう言った。
えりかはさっきの自分より、舞美がわからなかった。
- 40 名前:C 投稿日:2008/09/11(木) 14:13
- 続きます。
- 41 名前:C 投稿日:2008/09/11(木) 14:16
- >>29
小悪魔な舞美ってどこにもないのでつい書いてみたく。
やじうめさいこーですよねw
>>30
やじうめやじうめ!
ありがとうございます、
愛理→舞美の切ない話が好きすぎる今日この頃です。
- 42 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/09/11(木) 15:38
- 待ってました!
今から読ませていただきます
- 43 名前:名無し飼育さん 投稿日:2008/09/11(木) 19:03
- 詩的で綺麗な文ですね
とても好きです
- 44 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/09/14(日) 05:40
- 29です
まさか自分のレスから作者さんがお話を書いて下さるとは
ワクテカしながら待ってます
- 45 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/09/21(日) 05:20
- やっぱりやじうめ好きだぁ
これからの展開、楽しみに待ってます
- 46 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/09/29(月) 02:34
- 待ってますよ
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