約束の場所へ
1 名前:ais 投稿日:2008/02/27(水) 23:00
お久しぶりのaisです。
またゆっくりと書いていこうと思うのでよろしくですm(_ _)m
今回の主役は小春です。
2 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:02
私、久住小春は両手に荷物を抱えて、新幹線から降りた。
うわ〜、すんごいたくさんの人達。
東京駅に着いたまず第一の感想はそれだった。

新潟なんかとは比較できないくらい、どこを見ても人ばっかだよ〜。
大きな建物、テレビでしか見たことのない風景、地元にはないものばかり。
小春、今日からここに住むんだ・・・。
3 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:03
三日前、中学を卒業した小春は、東京の高校に通うために上京してきたんだ。
その理由は、小春の夢を叶えるため!
お母さん達は、大人になったらとか言ってたけど、そんなの待ってらんないも〜ん。

一人暮らしは絶対に無理だから、っていうか小春も無理だと思うから、
親戚の家に居候させてもらうことにしたの。
親戚って言っても、小春がまだちっちゃい時に一度だけ会っただけなんだよね。

だから、どういう人かも知らないし、何をしてる人なのかも聞いてない。
う〜ん、ちょっと不安・・・なんて思ってらんない!
ぜ〜〜〜〜ったいに大丈夫だもん!
4 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:04
でも、一人はちょっと寂しいな・・・。
親戚の人が迎えにきてくれるみたいだから、この間買ってもらった携帯で電話して・・・。

「だ〜れだ?」
「!?」

いきなり誰かに後ろから目を塞がれた。
だ〜れだって、小春にそんなことする人って、人違いじゃなきゃ親戚の人しかいないよね?

想像以上に子供っぽい声だったから、人違いってことも考えられるけど・・・。
まだ目を塞がれてるから、答えてみるかな。

「えっと、高橋、愛さんですか?」
「お〜、正解やよ。」

手を離されたから振り向くと、そこには笑顔で立ってる可愛い女性がいた。
5 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:06
女性っていうか、女の子って感じかな。
身長は小春よりも低くて、小柄で目が大きいのが特徴かな。
写真で見た時よりも子供っぽい。
茶色でセミロングの髪を一度払って、もう一度笑顔を見せてくれた。

「久住小春ちゃんやね?」
「は、はい!」
「そんな緊張せんでええよ。久しぶり、っつうのもあれやから改めて自己紹介しとくわ。
 あたしの名前は高橋愛、よろしくね〜。」

そう言って、小春の荷物を片方持ってくれた。
これから住む家には、電車で行くみたいでホームを降りて別の電車に乗り込む。
6 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:07
高橋さんと並んで立つけど、たくさんの人でぎゅ〜ぎゅ〜詰め。
う〜ん、電車の中もこんなに人ばっかなんだ・・・。

「あ〜、ごめんね。やっぱタクシーでくるべきやったな。」
「いえ、小春なら大丈夫です。」

正直なところ、けっこうきつかった。
高校には電車で行きたくないな〜。
7 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:07
目的の駅から出て十分ほど歩いて着いたところは、まだけっこう新しい感じのマンションだった。
高橋さんの話しでは築五年とかだけど、つい最近塗装したから綺麗に見えるだけだって。
高橋さんは三年前からここに住んでるみたい。

マンションの三階まで階段で上がって、二つ目の扉で立ち止まる。
って、あれ?
鍵を出さないでドアノブに手を伸ばした。

「ただいま〜。」
「おかえりなさ〜い♪」

誰かの声が家の中から聞こえてきた。
リビングの方にいるみたいだから、ここからじゃ顔が見えないな。
8 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:08
高橋さんは荷物を玄関に下ろして、小春の方に向けて手招きした。
上がってこいってことかな?

「遠慮せんで入ってもええよ。今日からここがあんたの家なんやからね。」
「は、はい。それじゃ、失礼します・・・。」
「ストップ!」
「えっ・・・?」
「自分の家に帰ったら、何か言うことあるんやないの?」
「・・・ただいま。」
「うん。おかえり〜。」

高橋さんはとびっきりの笑顔で、玄関に上がった小春の頭を、
少し背伸びして撫でてくれた。
何か、恥ずかしいな〜。
よくわかんない人だけど、いい人だとは思う。
9 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:09
高橋さんが先に歩いていって、リビングの扉を開けた。
小春も後から入って顔だけ出す。

「連れてきたよ〜。」
「は〜い。お疲れ様で〜す。」

高橋さんに返事を返したのは、料理を作ってる一人の女の人だった。
日本人らしい黒髪を二本で結んでとめてる、小春と同じくらいの身長のとっても可愛らしい人。
たぶん、大学生とかそのくらいかな。
この人も一緒に住んでるのかな?

そこら辺はどうでもいいって言っちゃったから、全然聞いてなかったな・・・。
高橋さんは荷物をソファの傍に置いて、女の人に近寄っていった。
10 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:09

「おっ、上手にできたんやないの?」
「エヘヘ〜、愛ちゃんに褒められちゃった♪」
「最初の頃なんかは、まともに食べれるもんを作れんかったのにね。」
「それは言わないお約束です。」
「さゆ、新しい子きたから話ししてきなよ。」
「は〜い。」

さゆって呼ばれた人は、エプロンを高橋さんに渡して小春の方に向かってくる。
そして、小春の前で立ち止まって、じーっと小春の顔を見てきた。
何かものすごい笑顔なのがちょっと怖いな・・・。

「あっ、さゆ!やっぱちょっと待って・・・。」

ギュムッ!

「!?」

高橋さんが叫んだ直後に、な、何かいきなり抱きしめられたんですけど・・・。
11 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:10
え、っと、小春、どうしたら、いいんだろう・・・?
小春が固まってると、高橋さんが後ろから女の人を引き剥がした。

「全く、初対面で抱きつく必要ないやろ。」
「あれ〜?愛ちゃん嫉妬ですか〜?」
「アホ。ごめんな〜。この子、可愛い子を見るとすぐに抱きつく癖があるんやよ。」
「エヘッ♪」

それ、癖って言うのかな・・・?
高橋さんは2、3個女の人に注意したあと、またさゆって人がこっちを向いた。

「久住小春ちゃんだよね?」
「は、はい。」
「私の名前は道重さゆみ、よろしくね。ウサちゃんピース!」
「・・・はぁ。」

・・・可愛い人だけど、個性の強い人だな〜。
でも、悪い人じゃないみたいで安心した。
12 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:11
それから、もうちょっと待ってってことで、小春がソファに座ってる間に、
たくさんの料理がテーブルに作られていく。
うわ〜、美味しそうなものばっかで、我慢するのが大変だな〜。
よし、一つ食べちゃえ!

小春はお皿に盛られてるからあげを一つ取って、口に放り入れた。
うん、美味しい〜!

ピンポーン

「フグッ!ほほむ・・・。」

いきなり音がしたからビックリして、喉に詰まっちゃった。
13 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:12
小春はドンドンと胸を叩く。
お水、欲しいけどバレちゃうからどうしよ・・・?

「おっ、きたみたいやな。さゆ、ちょっと出て。」
「は〜い。」
「小春、大丈夫?」

高橋さんがコップに水を入れて持ってきてくれた。
小春はそれを一気に飲み干す。

「あと少しなんやから、つまみ食いせんで待ってるんやよ。」

・・・バレてたんだ。
でも怒られなくてよかった〜。
高橋さんって心の広い人なのかな?
とりあえず、もうつまみ食いはやめよう、うん。
14 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:12
小春が座りなおすと、道重さんが誰かを連れて中に入ってきた。
その人は髪を茶色に染めた、柄の悪い服を着た、目つきの怖い小柄な女の子だった。

道重さんの友達、かな・・・ちょっと怖いな〜。
そう思ってると、その人と目が合っちゃった。
見たらまずい、よね・・・小春はすぐに目線を下げた。

「れいな、小春ちゃんと何か話して待っててよ。」
「その子がさゆが話しとった子?」
「そうだよ。可愛いからって、手を出さないでね。」
「さゆやないんやから、そんなことせんわ!」

ビシッと道重さんに突っ込みを入れて、れいなって呼ばれた人は
小春の隣に座り込んだ。
15 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:13
えっと、どうしよ・・・この人、不良さんっぽいのに、何か見られてるんですけど・・・。
でも、高橋さん達もいるし、怒鳴られることはないだろうから、お話してみようかな・・・。

「あ、あの、お名前は・・・?」
「ああ、自己紹介しとらんかったね。れいなの名前は田中れいな。
 さゆの友達っちゃよ。それより、小春ちゃん言うとったね?」
「はい。」
「月島きらりちゃんに似とるって言われんと?」
「えっと、どなたですか?」
「いや〜、実物やなくてアニメの子なんやけどね、アイドル目指すっつう女の子の話しなんやけど、
 この子がホントに可愛いっちゃよ!れいなめっちゃ好きでさ〜・・・。」
「はぁ・・・。」

さっきまでの雰囲気とは一変して、思いっきり目を輝かせて話している田中さん。
てっきり怖い不良さんなのかと思ったのに、子供みたいにはしゃいでる。
人は見かけによらないんだな〜。
16 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:14

ピンポーン

「さゆ、もっかいお願い。たぶん、あの二人やと思うから。」
「は〜い。」

また道重さんがパタパタと玄関へと向かう。
少しして、いくつかの話し声と一緒に、道重さんがこの部屋に入ってきた。
その後ろにはまた知らない二人。

「おお、ガキさんと絵里もやっときたか〜。」
「愛ちゃん、やっとじゃないでしょ!あんたがこの時間に指定したんでしょうが!」
「うん。そんなん知っとるよ。」
「そうじゃなくて〜・・・。」

ガキさんって呼ばれた人は、すぐさま高橋さんに突っかかっていく。
だけど高橋さんと会話が行き違ってばかりで、何か聞いてて面白いね。
17 名前:夢のために 投稿日:2008/02/27(水) 23:16
もう一人の人は、道重さんとは別の意味で、ほわほわした笑顔でこっちに寄ってくる。

「ほ〜う、君が新しくここに住む子だね〜。」
「はい、久住小春って言います。」
「小春ちゃんね〜。いい名前だね〜。でも絵里って言う名前もいい名前でしょ〜?」
「絵里、自分の名前言わんとわからんやろ。」
「あ〜、そうかもしれないね。絵里の名前は亀井絵里だよ〜ん。うへへ〜。」

・・・すごい天然な人だね。
ここにいる人達は、みんな可愛いけどどこか変わってる人ばかり。
小春、ちゃんとやっていけるかな〜?

「みんな〜、ご飯できたやよ〜。小春の歓迎会始めるで。ガキさん、そっちのお皿持ってきて。」
「はいはい。」

高橋さんと新垣さんが、料理の盛られたお皿を運んでテーブルの上に運んできた。
その間に道重さん達は、お菓子とかジュースを広げてる。
ちょっとだけ緊張するけど、ご飯を食べるのはすっごい楽しみ!
それじゃ、いただきま〜す!
18 名前:ais 投稿日:2008/02/27(水) 23:17
今日はここまでです。
こんな感じで進めていこうと思います。
レスをいただけたら嬉しいです。
19 名前:ais 投稿日:2008/02/27(水) 23:19
前作からずいぶんと時間が経ってしまいました。
PCが壊れたり引越ししたり仕事の都合だと言い訳になっちゃいますけど
また読んでくれる人がいてくれると嬉しい限りです。
今までとは違った話しを展開していけたらいいなぁとは思ってますので、
何卒よろしくお願いします。
20 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/02/27(水) 23:21
すげー
何人で住んでるんだよー
21 名前:名無しです 投稿日:2008/02/28(木) 02:09
なんだかワクワクする雰囲気ですねぇ♪
思えば小春ももう高校生の歳なのか…と気付きましたw
22 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/02/28(木) 03:09
おー新作来ましたか
konkon時代からの大ファンです
23 名前:たま 投稿日:2008/02/28(木) 05:24
待ってました☆
aisさんの新作♪

毎日覗いてて良かったですw
これからも更新楽しみにしています♪
24 名前:ウイング 投稿日:2008/02/29(金) 22:49
aisさんの新作だっ!
あぁ、どれだけ待ったことか(笑)

またここを開く楽しみができました。
今から思い出の作品にもワープしてきますw
これからも楽しみにしています☆
25 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:45
みんなが自分の席について、お皿を盛ったあと、一度はしを置いた。
すぐにでも食べたいけど、高橋さんから一言あるってことで、ここは我慢我慢。
高橋さんが立ち上がって小春を見た。

「小春、あたしの家にようこそ。」
「あ、はい。」
「ここにきた小春にとって、大切な一秒一秒。それに今後関わっていく、
 あたし達にとってのいち○×△☆□・・・。」
「愛ちゃん、噛んだ〜!」
「しっかりしてくださいよ〜。」
「ああもう、仕方ないやろ!小春、もう1回やらせて!」

小春はコクンと頷いた。
そんなに必死に言わなくてもいいのに・・・。
26 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:46
訛ってるからなんとな〜くやりそうな気はしたけど、本当に噛んじゃった。
高橋さんはコホンと小さく咳をしたあと、口を開いた。

「ここにきた小春にとって、大切な一秒一秒。それに今後関わっていく、
 あたし達にとっての一秒一秒。たくさんのいい思い出を作っていこうね。
 それじゃ、かんぱ〜い!」
「「「「「かんぱ〜い!!!」」」」」

みんなでコツンとコップを合わせて、ジュースを一口飲んだ。
さってと、ご飯だご飯だ〜!
小春はお皿に乗ってるハンバーグを切らずに、一気に放り込んだ。
う〜ん、美味しい〜!
ご飯食べてる時って、すんごく幸せ♪
27 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:47
高橋さん達お料理上手なんだね。
小春も教わろうかな〜?

「小春ちゃん、野菜も食べなきゃだめよ。」
「は〜い。」

小春はご飯を食べながら、ここにいる人達の話しに耳を傾けた。
小春のことはもちろん話したし、お腹一杯に食べて満足したし慣れてきたから、
今度は高橋さん達がどんな人なのかも聞いてみた。
28 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:48
まずはここの家の宿主である高橋愛さん。
もう成人してるんだけど、すんごく可愛らしい人。
高橋さんは中学の時から舞台をやってて、いくつも賞を受賞してきて
こっちの有名な高校に推薦入学してきたんだってさ。
それで高校卒業と同時に舞台で演劇のお仕事を始めたみたい。

道重さんの話しでは、なんでもこの世界ではけっこう有名な人のようで、
舞台女優として活躍中とか言ってた。
本人は大したことないよって言ってるけど、それは本当にすごいと思う。

でも舞台に出てる時はすごいのに、普段は早口で噛みまくりなんだって、
周りが声を揃えて言ってた。
う〜ん、あんまりイメージつかないな・・・。
それでも、小春も憧れてる世界と同じような感じだし、小春も高橋さんを見習っていこうかな〜。
しっかりしてるように見えて、実は面白い人なんだって。
29 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:50
次に道重さゆみさん。
この人は、昔に高橋さんの住んでいた福井に引越してからの幼馴染だったみたいで、
こっちの高校に通うことから、一緒に生活するようになったんだって。

生活費は両親に出してもらうからって、道重さんに頼まれたとか。
人柄のいい高橋さんは、当然のように了承したみたい。
高橋さんにとっても可愛い妹さんだって思ってるみたいで、家族が増えて嬉しかったってさ。
小春もそんな風に見てもらえるかな〜?

あと田中さんから、究極のナルシストの上に可愛いもの好きだから、
十分に気をつけろって言われた。
確かに最初に抱きつかれたし、少し変わった人のようなんだよね・・・。
30 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:51
家に入った時から高橋さん達(特に高橋さんと亀井さん)に
突っ込みをしてばかりいるのが、新垣里沙さん。
この人は高橋さん達のマネージャーの仕事をしていて、
高橋さんとは少し年の差があるけど、すでに親友のような関係でいるらしい。

どちらかというと世話役とかになってて、文句ばかり言ってる新垣さん。
それでも一番信頼できる友達だって、きっぱりと言ってたから、
やっぱ仲がいいんだろうな〜。
31 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:51
亀井絵里さんは、高橋さんの後輩に当たるみたいで、
高校の時から舞台で演技してるんだって。
まだまだ見習いだって本人は言ってたけど、高橋さんはすぐに追いついてくるから気を抜けない、
だからこそ自慢の後輩だってさ。

なのに普段はフワフワ浮いててボケばかりで突っ込みが大変だとか、
高橋さん以外の人が言ってた。
どうやら舞台でやってる人には、面白い人が多いみたい。
32 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:52
もう一人、最初はちょっと怖いと思った田中れいなさんは、
道重さんと高校の頃からの友達なんだって。
ずっと同じクラスだった上に、方言が似てるから道重さんはすごく親しみやすかったとか。

普通の人から見たら、田中さんは少し他人を突き放すような目をしてるけど、
その粋がってるところも可愛いって道重さんは楽しんでるみたいだった。
田中さんもそんなに満更でもなさそうだったしね。

今後も同じ大学に通うみたいで、これからもれいな"で"遊べるって話しも・・・・。
そこの想像はしないでおこう。
33 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:53
そして最後に私、久住小春。
新潟県出身の四月から高校生の、女の子だよ〜ん!
趣味はショッピングで、特技は暗算ができるかな。
昔そろばんやってて一級とったから、計算は早いんだよ〜。

ちなみに作者もそろばんで一級だっていうどうでもいい話しは置いといて、
小春がここにきた最大の理由、それはアイドルになること!
アイドルになって、たくさんの人達に夢と元気を与えたいんだ〜。

小春が落ち込んでたとき、テレビに出てたアイドルの人達に、
たくさんの勇気をもらったことがある。
だから、小春もそんな風にがんばってなるんだ〜。
34 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:54

「小春ちゃん、何ぼーっとしてんの?」
「絵里に言われたらおしまいだよね〜。」
「さゆよりはおかしくないも〜ん!」
「どっちもどっちやと。」
「れいなやって、けっこうおかしいとこあるんやで。この間なんかさ〜・・・。」
「あ、愛ちゃん!それは黙っててくださいよ!」
「それでも愛ちゃんよりはマシだよね。」

何でか知らないけど、誰が一番おかしいとかの話しになってる。
でも、みんなけっこう変わってると思うよ。
さすがにそれは口に出せないけどね。

だけど、みんなすごくいい人達でよかった。
小春も早く、みんなに馴染んで色々と知っていきたいな〜。
35 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:54
夜になって小春の歓迎会も終わって、みんなで使ったお皿とかゴミを片したあと、
新垣さんと亀井さんと田中さんは自分の家に帰っていった。
う〜ん、たくさん食べたな〜。
今は道重さんはお風呂の準備に、その間に小春は高橋さんに、
これから使っていくお部屋を案内された。

「小春、今日からあんたが使う部屋なんやけど・・・。」
「はい!」
「えっと、まぁ・・・ハハ。」

高橋さんは空笑いをして部屋の扉を開けた。
今日から小春が使う部屋、ウキウキしながら部屋の中を覗いた。
36 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:55
だけど、何にもない。
あれ〜、おかしいな。
お母さんが荷物とか送ってくれたはずなのに、どこにも何もないや。

「えっとね、小春のお母さん、荷物送る日を間違えちゃったんやって。
 やから、明日届くんやってさ。」
「え〜!じゃあ、小春今日どうしたら・・・。」
「うん。悪いんやけど、小春は今日はあたしの部屋のベッドで寝てほしいんやよ。」
「愛ちゃんは私の部屋で一緒に寝るんですよね〜。」

お風呂場から道重さんが出てきてそう言った。
そしたら、高橋さんは大きく首を横に振った。
37 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:56

「絶対にイヤやよ!あんた寝る時、あたしにしがみついて寝るやろ。
 あれ、すんごく痛いんやで!」
「だって、愛ちゃん可愛いんだもん♪」
「しかも、この間なんか一緒に寝たはずなのに、顔蹴られたんやよ!
 さゆは寝相悪すぎやから、絶対にごめんやよ。」
「あ〜あ、残念だな〜。」

同じ向きで寝て顔を蹴るって、どんな寝方してるんだろ・・・?
今日持ってきた荷物は小春の部屋に置いておくとして、お風呂に入ったあと、
今度は高橋さんの部屋に入れてもらった。

うわ〜、すっごいたくさんの本がある。
舞台の演技とかの教科書とかはもちろんのこと、小説とかもいっぱいある。
38 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:56
高橋さん、愛読家なのかな〜?
そう言ったら、高橋さんは苦笑いをしちゃった。

「あ〜、あたしってそんなに人付き合いが上手い方やないんやよね。
 一人で本読んでばっかって時期があってさ・・・。けど、小春もきたんやし、
 あたしにできることなら、何でも相談してきてよ。やれるだけのことは、
 やっていきたいって思っとるからさ。」
「はい!」

小春が元気に頷くと、高橋さんはまた笑って小春の頭を撫でてくれた。
高橋さんに頼っていこうとも思うけど、小春も少しづつでも成長していかないと、
アイドルになれないもんね。
小春が高橋さんを支えられるくらい、がんばっていこうっと!
39 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:57
小春がお風呂に入ってリビングに入ったら、高橋さんしかいなかった。
道重さんはもう寝たのかな?

「さゆ?あの子は寝るのが好きな子やからね〜。暇な日とかは半日くらい寝とるんよ。」
「そうなんですか〜。」
「美容のことも考えとるようでね、誰よりも周りからの目を気にして
 自分をよく魅せたい、そう考えてる子なんやよ。あたしもそこら辺、
 見習わんといかんけど、なかなかね〜。って言っとっても仕方ないわな。
 あたしもお風呂入ってくるわ〜。」

先に寝てていいよって言われて、高橋さんはお風呂場に向かった。
小春は高橋さんのベッドの中に入って、横になる。

高橋さんのお布団は、絨毯の上に敷いてある。
小春がこっちでいいって言ったんだけど、子供はそういうこと気にしないって、
きっぱりと断られちゃった。
高橋さんもけっこう子供っぽいのにな〜、ってそんなこと思ったら失礼かな。
40 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 15:59
電気を消して横になってたけど、全然眠くならない。
新幹線の中で寝てたっていうのもあるし、新しい環境で慣れてないっていうのもあると思う。
もう一つ・・・小春自身、不安なのかもしれない。
ここでみんなと仲良くやっていけるかどうか、怖いのもあるんだよね・・・。

ハァ、小春らしくないな〜。
元気にやっていかないといけないのに、おかしいな〜。
それからけっこう時間が経ったんだけど、なかなか眠れなかった。
それに、高橋さんも部屋に戻ってこない。
何してるんだろ?

小春は起き上がって部屋から出た。
リビングの方の電気が付いてる。
小春はそっとリビングのドアを開けた。
41 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 16:01
中を見ると、高橋さんは小さく呟きながら、部屋の中を動き回ってた。
時々首を傾げたり横に振ったりして、もう一度同じ動きをしてる。
たぶん、演技の練習をしてるんだと思う。
今日はお休みだって言ってたのに、練習熱心で真面目な人なんだな〜・・・。

「どうかしたの?」

高橋さんが不意にこっちを向いて、そう言ってきた。
なんだ、気付かれてたんだ・・・。
小春は苦笑いを浮かべてリビングに入った。

「ごめん、起こしちゃったかな?」
「そ、そうじゃないです。ただ、その・・・。」
「眠れない?」

高橋さんは笑顔で近寄ってきた。
小春はコクンと頷く。

「小春、一緒に寝よっか?」
「えっ?」
「それとも、あたしとじゃイヤかな?」
「そ、そんなことないです!」
「んじゃ、寝ようよ。あたしは寝相いい方やから安心してええよ。」

高橋さんは小春を連れて部屋の中に入る。
42 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 16:02
一緒にベッドの中に入ったけど、緊張感が倍増して寝れそうにないや・・・。
小春、今日は寝れないかも・・・。

「あたしも初めてここにきた時は、全然眠れんかったもんよ。
 何か意味わかんないけど、無駄に緊張してしまうんやよね〜。
 さゆなんかはすぐに寝てたのにさ。」
「ハァ・・・。」
「怖いんやよね。これからの自分の生活がどうなっていくか、
 未知なる未来の可能性、新しい先の見えない道、あたしもさ、
 怖くて仕方なかった。」
「高橋さんも、ですか・・・?」
「うん、あたしやって人間やもん。やから、強くなりたかった。
 認めてほしかった。ここにきたからにはもうがんばるしかないって、
 そう思えるようになったからさ。あとは我武者羅にでもやっていけばええんやよ。
 小春は小春のやりたいようにね。」
「小春の、やりたいように・・・。」
「そう。すぐには無理かもしれない。けど、あたし達が傍にいるから。
 怖がらないで、小春の進みたい道を進んでほしいんやよ。みんなを信頼して。ね?」
「・・・はい。」

小春が返事をすると、高橋さんの腕に優しく包まれた。
43 名前:夢のために 投稿日:2008/03/01(土) 16:03
何か、暖かいな〜。
さっきまでの不安が嘘のようになくなってきた。

大丈夫、小春は大丈夫だから。
この人達となら、きっと・・・。
ここまでの疲れが一気にきたみたいで、すごい眠気に襲われた。

高橋さん、ありがとう・・・それと、おやすみなさい。
小春は高橋さんの肩に頭を預けて、ゆっくりと目を閉じた。
44 名前:ais 投稿日:2008/03/01(土) 16:03
本日の更新はここまでです。
45 名前:ais 投稿日:2008/03/01(土) 16:09
>>20:名無飼育さん
この大人数で住んでるわけじゃないんです。
ちょいわかりにくかったですね(汗)

>>名無しですさん
全くですよね〜。
時の流れは速いもので・・・orz
ワクワクさせていける話しにしていきたいと思います。

>>22:名無飼育さん
ありがとうございます。
昔よりも少しはまともな話しを書いていけるようにがんばります。

>>たまさん
お久しぶりになるんですかねw
色々あってずいぶんとお待たせしちゃって申し訳ないですm(_ _)m
また今後も一つよろしくです。

>>ウイングさん
ありがとうございます。
私もあとでウイングさんの作品を読みに参りますノシ
そういえば昔の作品は全て撤去されたような・・・?
46 名前:たま 投稿日:2008/03/02(日) 02:37
高橋さんはとても優しぃですね☆
小春が色々な意味で羨ましいです…w

高橋さんの前作の強烈キャラがまだ頭に残ってて今作とのギャップに笑ぃが出ますw

47 名前:ウイング 投稿日:2008/03/02(日) 20:27
それぞれのキャラクターが上手くフィットしてますね☆
この集団が今後どんな風に展開されていくのかが、すごーく気になるトコです!

ちなみに、過去作品は倉庫のほうに眠ってますよ☆
48 名前:がんばってる姿 投稿日:2008/03/07(金) 22:13
小春が高橋さんの家に来てから、次の日の朝。
朝ごはんを食べたあとに、荷物が届いたから小春のお部屋を作ったんだ〜。
高橋さんと道重さんも手伝ってくれたから、午前中には終わらすことが出来た。

うんうん、綺麗に片付いたな〜。
一ヵ月後には汚くなってそうで、ちょっと不安な自分もいたりして・・・。

「さゆ、今日は空いとんのやろ?」

お昼ごはんを食べてる時、高橋さんが道重さんに聞いた。
道重さんは、スパゲティソースのついた口唇を拭きながら顔を上げた。
49 名前:がんばってる姿 投稿日:2008/03/07(金) 22:13

「空いてますよ〜。さゆみとデートしたいんですか?」
「あたしはこれから舞台の練習があるって、昨日も話したやろ。
 もし暇なんやったらさ、小春を連れてこの町を案内してあげてよ。」
「は〜い!」

道重さんは笑顔で頷いた。
そういえば、小春も着いたばっかで何も知らないんだった。
どんな町なのかな〜?
50 名前:がんばってる姿 投稿日:2008/03/07(金) 22:14
道重さんと並んで町の中を歩く。
道重さんは、ピンクと白で彩られたワンピースを着てる。
ピンクが好きなのは聞いてたけど、どこまでも可愛い人だな〜。
小春の視線に気付いた道重さんがこっちを向いた。

「小春ちゃん、どうかしたの?」
「んと、道重さんの服、可愛いな〜って思って。」
「可愛いのはさゆみが着てるからなの。小春ちゃんが着ても可愛いと思うけど・・・そうだ。
 小春ちゃん、お洋服買いに行こうか。」
「えっ?そんな、悪いですよ・・・。」
「いいのいいの。愛ちゃんも買ってあげてって言ってたし、小春ちゃんは気にしないの。」
「えっと、ありがとうございます。」

小春が一つ頭を下げると、道重さんはさっきよりも笑顔を見せてくれた。
小春の服か〜。
どんな服を着ようかな〜?
51 名前:がんばってる姿 投稿日:2008/03/07(金) 22:14
道重さんみたいな可愛い服もいいけど、昨日の田中さんみたいにカッコイイ服も、
正直なとこ着てみたいと思ったんだよね〜って、あれ?
小春達が向かった駅前で、携帯を見て立ってるのって田中さん?
田中さんが携帯をしまった時、こっちに気付いて歩いてきた。

「れいな、ヤッホー。」
「ヤッホーじゃなかよ。さゆ、大事な話しがあるから今日会いたいって
 言っとったけど、何かあったと?れいなでなんとかなるとね?」
「うん。そうなの。実はね、小春ちゃんのお洋服を一緒に選んでほしいんだ。」
「えっ、何?まさか、それが大事な話し・・・?」
「さゆみはれいなと会いたいとしか、言ってないでしょ。」
「さゆ・・・。」

田中さんは顔に手を当てて沈み込んじゃった。
52 名前:がんばってる姿 投稿日:2008/03/07(金) 22:15
逆に道重さんは満面の笑みを浮かべてる。
してやったりっていう顔で、ちょっと怖いな・・・。

「ほらほら、落ち込まないの。せっかく可愛い子二人をエスコートできるんだからさ。」
「もう、れいなのバカ・・・。何で毎回同じ手に引っかかるっちゃろ・・・。」
「さゆみのことが、可愛くて気になって仕方ないからじゃない?
 一人でいたって、どうせビデオでも見てるんでしょ。それよりも、
 外に出て遊んだ方が楽しいよ。」
「大きなお世話っちゃ!ったく、れいなは帰ると!」
「ん〜〜〜〜〜・・・ね?」
「・・・。」
「れいな、さゆみのお願いなの。一緒に遊ぼう・・・。」
「・・・わかったっちゃよ。仕方ないけん付き合ってやるっちゃよ。」
「ヤッター!れいないい子いい子♪」

道重さんが田中さんに抱きついて頭を撫でる。
田中さんは最初は抵抗しようとしたけど、すぐにあきらめて道重さんに可愛がられてる。
53 名前:がんばってる姿 投稿日:2008/03/07(金) 22:16
っていうか、遊ばれてる?
あの時道重さんが言ってたのって、こういうことだったんだね・・・。
道重さんから離れた田中さんは、髪を直しながら小春を見た。

「ところでさゆ、大事な話しって小春ちゃんの案内だけやと?」
「そうなの。小春ちゃんに似合うお洋服探して〜、喫茶店でアイス食べて〜、
 ゲームセンターでプリクラ撮って〜、あとは・・・。」
「まぁ単に遊ぶだけやね。れいなはてっきりあの書類の書き方がわからんのかと思った。」
「えっ・・・?」
「ほら、この間言うとったろ。大学の申請書。あれ、今日までやろ?」
「・・・・あーーーーっっっっっっ!!!!」

街中も気にせず、道重さんが大声を上げた。
54 名前:がんばってる姿 投稿日:2008/03/07(金) 22:17
周りの人から見られて、ちょっと恥ずかしい・・・。
道重さんはちょっとの間固まったあと、田中さんを向いて肩を揺さぶった。

「れいなのバカ!どうして教えてくれなかったのっ!?」
「な、何でれいなが悪いと!?れいなはその話しやと思って・・・。」
「今からやらなきゃ間に合わないかも。れいな、責任をもって小春ちゃんに
 町を案内して遊んであげて。服とかのお金はあとで請求してね。小春ちゃん、
 明日はさゆみが案内してあげるから、今日だけは悪いんだけど
 この怖いお姉ちゃんに連れてってもらってね。それじゃ。」

簡単にそう言って、道重さんは人ごみの中に消えていった。
田中さんはというと、一息ついて小さくため息をついた。
もうすでに慣れちゃってる感じだね。
55 名前:がんばってる姿 投稿日:2008/03/07(金) 22:19

「相変わらず我侭な女やね。ごめんけど、許してやってほしいっちゃよ。」
「大丈夫ですよ〜。」
「さゆもさ、自分勝手なとこあるけど、人の見る目はあるけんね、
 相談役にはうってつけやから。けっこう変わったやつやけど、
 あれでもいいとこあるけん、小春ちゃんもあんま嫌わんでやってね。」
「そういう田中さんも、いい人ですね。」
「べ、別に、そういうわけじゃなかよ。」

田中さんは、恥ずかしそうに顔を赤くした。
やっぱ友達なんだな〜。
小春もこっちで仲のいい友達とかできるかな?

「小春ちゃん、どこ行きたいと?好きなとこ決めてもよか。」
「えっとね〜、洋服を見に行きたい!」
「うん。じゃあ、れいなのお気に入りのとこ教えてあげるっちゃ!」

田中さんは、嬉しそうに首を頷けてくれた。
56 名前:がんばってる姿 投稿日:2008/03/07(金) 22:19
田中さんと並んで町の中を歩いていく。
最初に服を見て、ちょっと値段とかも気にしながら田中さんに見てもらったりして、
そのあとは映画も見て、田中さんってホラー映画だけはだめみたいで、その意外性に
ちょっとだけ笑ったりして。

小春も全然だめなんだけど、なんかね。
ご本人は頬を膨らませて、

「怖いもんは怖い!」

ってきっぱり言ってた。
何か小春が言うのもなんだけど、道重さんとは別の意味で可愛い人だって思った。
57 名前:がんばってる姿 投稿日:2008/03/07(金) 22:20
大人びてるのにどこか子供っぽいんだよね。
でも、初めて会った時はちょっと怖いかな〜って思ったけど、優しい人でよかった。
小春のことも小春って呼び捨てで呼んでくれるくらい、仲良くなったもんね〜。
田中さんお勧めの喫茶店に入って、何を食べようかな〜って話してる時だった。

「あっれ〜、れいなじゃ〜ん。」

小春の後ろの方から聞こえてきた、聞き覚えのある声。
振り返ると、昨日と同じくフニャフニャとした柔らかい笑みをしてる、
メイド姿の亀井絵里さんが歩いてきた。
58 名前:がんばってる姿 投稿日:2008/03/07(金) 22:22
ここでバイトしてんのかな?
田中さんの方まで近づいてきた時、小春の方を向いた。

「おっ、小春ちゃんだ〜。」
「こんにちわ〜。」
「もう、れいなったら。いくら小春ちゃんが可愛いからって・・・イタッ!」

亀井さんの言葉の途中で、田中さんが立ち上がって亀井さんの頭を引っ叩いた。
田中さんは何も言わずに席に戻ると、亀井さんが涙目になって田中さんを見る。

「れいなヒド〜イ。いきなり叩くなんて・・・。」
「絵里のことやけん、どうせれいなが誘拐したとか言おうとしたんやろ?」
「おっ、せいか〜い。でもさでもさ、叩かなくたっていいじゃ〜ん。」
「言ったって聞かんやろ。そういや、絵里はここでバイトやってたんやっけ?」
「れいな〜、先週もきた時いたじゃん。まだまだ女優さん見習いだからね〜。
 バイトもしないとお金ないんだよ〜。」

そういえば、亀井さんも高橋さんと同じ事務所の人なんだっけ?
お稽古をやりながらバイトもするって、すごい人だったんだな〜。
59 名前:がんばってる姿 投稿日:2008/03/07(金) 22:22
亀井さんを見てると、正直なとこ意外だなって思っちゃったりする。
思っただけだよ、いつも可愛い笑顔してるからそう思っただけ。

「ねぇねぇ、れいな〜。絵里ね、このあと勉強もかねてお稽古見に行くからさ、
 よかったら一緒に行かない?」
「あ〜、それも悪くないわな。んじゃ、終わったら教えて。」
「は〜い。」

亀井さんは笑顔で注文をとったあと、他の人の注文をとりにいった。
高橋さんや、亀井さんが住んでる世界。
一体どんなとこなんだろ?
60 名前:がんばってる姿 投稿日:2008/03/07(金) 22:23
亀井さんのバイトが終わったあと、三人で向かったのはある舞台だった。
亀井さんが入る時に、小春達を勝手に入れようとするなって新垣さんに怒られてたけど、
亀井さんは全く気にしてない感じで、一緒に中に入った。

同時に、小春は呆然として舞台に見入ってしまった。
舞台の上で、ジャージ姿で劇を演じているのは高橋さんだった。
練習とはいえ、まるで本物を見ているかのように迫真の演技をしてる。

「・・・すごいな。」

小春はポツリと言葉を漏らした。
何にもセットされてない舞台なのに、まるでそこに全てがあるかのように、
高橋さんの演技にその世界に引き込まれてる。
61 名前:がんばってる姿 投稿日:2008/03/07(金) 22:23
胸が痛いくらいに高鳴ってる。
すごい、すごすぎるよ!
一度監督さんに演技を止められて、そこでようやく元の自分に戻ることができた。
見ると、田中さんと亀井さんはすでに前の方に向かっていってる。

「小春、何しとると?」
「もうちょっと前で見ようよ〜。」

小春が足早に舞台の方に近づいた時、高橋さんと目が合った。
高橋さんは、頬を掻いて舞台を降りてきた。
62 名前:がんばってる姿 投稿日:2008/03/07(金) 22:25

「絵里とれいなやん。何やよ、小春連れてきたんか?」
「さゆに頼まれたとです。小春をどっかに連れてってくれってね。」
「それで〜、どうせだから愛ちゃんの勇姿を見ていってもらおうかな〜って思ったんで〜す。」
「勇姿ってほどのもんやないって・・・。まぁええわ。小春。」
「は、はい!」
「何固まっとんの?あと一回通したら終わるから、さゆも呼んでみんなでご飯食べにいこう。」

高橋さんはクスッと笑って、また舞台の方に上っていった。
やっぱり、みんなみんながんばってるんだ。
高橋さんのがんばってる姿、しっかりと目に焼き付けておこう。
小春も夢をあきらめたくないから、だからここにいるんだから。

高橋さんみたいに人を勇気付けられる、小春はすごいアイドルになるんだ。
いつかきっと、高橋さんに褒めてもらえるように、認めてもらえるくらいにすごくなるんだ!
よ〜し、小春だって負けないよ!
小春にしかできないこと、ぜ〜ったいに見つけ出してやるんだからね!
63 名前:ais 投稿日:2008/03/07(金) 22:25
更新しました。
64 名前:ais 投稿日:2008/03/07(金) 22:29
>>たまさん
優しさたっぷりの愛ちゃんでしたね〜。
前作ではリーダー就任前、今回は後って感じで見ていただけたらって思います。
今の愛ちゃんはしっかりしてまっせ〜w

>>ウイングさん
思いっきりキャラに合わせてますw
今のモー娘。メンバーネタもどしどし応募中(謎)

ちなみに過去作品って消えてませんか・・・?
過去ログ見てもどこにもなかったような・・・(汗)
65 名前:I 投稿日:2008/03/08(土) 10:54
今回のお話も楽しく拝見させていただいています。
ところで、過去作品は『彷徨える星達』シリーズでしょうか?
幻板の過去ログにありましたが。。。
66 名前:たま 投稿日:2008/03/08(土) 13:03
やっぱり愛ちゃんカッコいいですね☆
スゴイリーダーって感じで♪
小春の夢叶う事を楽しみにして更新待ってます♪w
67 名前:ウイング 投稿日:2008/03/09(日) 18:43
完全にさゆみ>れいなの力関係になってますね(笑)
ちょっと可哀想な気も・・・。

過去ログですが、倉庫の場所が変わってるみたいなんで
おそらく前の倉庫は消えてしまったものと・・・。
68 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/19(水) 01:03
読ませて頂きました
何かほのぼのしてていいですね
個人的にはさゆとれいなの関係が大好きです
れいなのちょっとツンデレな所やさゆの周りを振り回しながらも愛される所いいですね
次回更新楽しみにしています
69 名前:笑顔 投稿日:2008/03/27(木) 03:55
小春が高橋さんの家に住んでから二週間が経った。
高橋さんや道重さん、他の仲間達とも話すのにももう慣れてきたし、
こっちの町も大体どんな感じなのかもわかってきた。

あとは高校が始まるのを待つのみ、じゃなくて!
小春はアイドルになるためにこっちに住んでるんだから、高校なんて後回し!
って言ったら、PCを見てる高橋さんがこっちを見て、苦笑いされちゃった。

「小春がなりたいもののためにがんばるのはええんやけど、
 勉強もがんばらんとあかんよ。」
「ん〜、じゃあわかんないとこは高橋さんに聞くから、それでいいや。」
「あたしなんかに聞いたって、全然わからんよ。舞台一筋でやってたせいで、
 数学の確立すらわからんもん。」
「アハハ〜、高橋さんも人のこと言えないじゃ〜ん。」
「やから言っとんのよ。あたしみたいにバカになったら困るやろ。
 やることはやっとかんと・・・おっ、あったで。」

小春は高橋さんの肩越しにPCの画面を眺める。
70 名前:笑顔 投稿日:2008/03/27(木) 03:56
そこに書いてあるのは、オーディションの詳細。
アイドルになるための最大の関門だよね。

春のオーディションはどこも終わっちゃったから、次はゴールデンウィークかな。
その時までに、可愛い笑顔と可愛いポーズを練習しとかないとね!
小春が姿見に向かって一発ポーズを決めると、高橋さんは椅子から立ち上がって、
PCの電源を切った。

「小春、あたしはこれから練習に行ってくるけど、今日は家にいるんか?」
「小春は今日はどこも行かないよ〜。何かあります?」
「えっとね、昨日お隣さんが引越してきたんやけど、今日の午後から
 挨拶にくるってさ。あたしはこれから出ちゃうから、小春に頼めるかな?」
「は〜い!」

高橋さんは小春といくつか話したあと、家を出て行った。
71 名前:笑顔 投稿日:2008/03/27(木) 03:56
道重さんは、亀井さんや田中さんと遊びに行くって、朝からいないんだ。
小春もついていけばよかったかな〜?
けどあの三人って、どこか強い絆みたいなものがあるから、なかなか入り込めないんだよね〜。
小春も高校入ったら、仲がいいって言われるような友達作りたいな〜。

とりあえず高校のことを考えるのは後にして、今はやれることをやらないと!
この間田中さんから借りたアイドルのビデオ、あの人もけっこうなファンみたい。
それを見ながら練習をする。

可愛らしい仕草、魅力のあるダンス、それに勇気付けられる楽しい歌。
テレビを見ながら振り付けとかを覚えるんだ。
72 名前:笑顔 投稿日:2008/03/27(木) 03:57
これがなかなか大変で、高橋さんくらい練習しないと覚えられないかも・・・。
だめだめ、小春は絶対にアイドルになるんだから、今からでも練習しとかないとね。

ピンポーン

小春がちょっとだけ休憩してる時に、インターフォンが鳴った。
そういえば、お隣さんがくるんだったっけ。
小春はインターフォンの子機を取った。

「はい。」
『こんにちわ〜。隣に引越してきた者で〜す。』
「は〜い。」

小春は子機を置いて玄関に向かう。
73 名前:笑顔 投稿日:2008/03/27(木) 03:58
高橋さんの話しだと、隣にきたのは中国人の人なんだとか。
さっきもずいぶんとカタコトだったしね。
小春は足早に歩いて、玄関のドアを開けた。

ガチャ

「あ、初めまして〜。」

玄関を開けたその先に立っていたのは、二人の女性だった。
一人は髪を縛ってる元気そうな子で、もう一人は小春くらいの身長の、
ちょっと怖い目をした感じの女性だった。
74 名前:笑顔 投稿日:2008/03/27(木) 03:58
まぁ先に田中さんに会ってたから、特に怖いとか感じなかったけどね。
田中さんも最初は怖いと思ったけど、中身はいい人だったからさ。

「隣に引越してきたリンリンで〜す。よろしくお願いしま〜す。」
「ジュンジュン、言います。よろしく、お願い、します。」
「あ、え〜っと、久住小春っていいます。こちらこそよろしくお願いしま〜す。」

小春は小さく頭を下げた。
どう対応したらいいんだろ?

まずやっておくことは、笑顔笑顔♪
アイドルみたいに笑ってれば、愛想よく見えるよね?
っていうか、小春は二人が持ってる物が気になって仕方なかった。
75 名前:笑顔 投稿日:2008/03/27(木) 03:59
リンリンって人は小さい小包持ってるんだけど、もう一人のは・・・何だろ?
ゴツゴツとした物を風呂敷で包んでるような感じなのを、両手に抱えてる。

「これ、どうしますか?」
「えっと、こっちはなんとかなるけど、そっちは運べるかな・・・?」
「じゃ、私、持ってきます。」
「えっ?って!ちょっと待って!」

いきなりジュンジュンって人が、堂々と家の中に入ってっちゃった。
別に、何か悪いことされるわけじゃないよね・・・?

「あの、すいません。ジュンジュン、一直線なんで、思ったらすぐに、
 行動に出ちゃうんです。たぶん、リビングに荷物、置いてくるんです。」
「ああ、そうだったんだ・・・。」
「日本の人、あんまりよく対応してくれない。それ、文化の差だからわかるけど、
 ちょっと悲しいです。けど、久住さん、笑って対応してくれました。
 私達、嬉しかったんです。きっと、ジュンジュンも嬉しかったんです。」

リンリンは本当に嬉しそうにそう言った。
そこまで言われると、小春も喜んじゃうかな〜。
小春の笑顔が通じたってことだもんね〜。
高橋さんが帰ってきたら自慢しちゃおうっと!
76 名前:笑顔 投稿日:2008/03/27(木) 04:00
二人にお茶を入れてあげようってことで、リンリンを連れて中に入ると、
ジュンジュンがテレビをじっと凝視してた。
テレビに映ってるのは、さっきまで小春が見てたアイドルのビデオ。
ジュンジュンも興味があるのかな?

「ジュンジュン、アイドル好きなの?」
「はい。私、アイドル、大好き。」
「リンリンも好きで〜す。」
「そうなんだ〜!」

へ〜、中国の人もアイドルって好きなんだな〜。
国が違ったって、そういうのは変わらないんだ。
あっ、いいこと思い付いちゃった!
小春は満面の笑みで二人に近寄った。
77 名前:笑顔 投稿日:2008/03/27(木) 04:01
リンリンとジュンジュンがきてから一時間くらいして、家のドアが開いた。

「小春ちゃん、ただいま〜。」
「お邪魔しちゃいま〜す。」
「普通にお邪魔しますでええんやなか?」

おっと、道重さんが帰ってきたみたいね。
それに、この気の抜けたような声と鋭い突っ込みは、亀井さんと田中さんかな。
小春が出迎えに行かないせいか、足音から道重さんが足早にこっちに向かってきた。

リビングに入ってきた道重さんは、少しの間キョロキョロとリビングを見渡した。
少し遅れて、亀井さんと田中さんが、道重さんの後ろから顔を出した。
78 名前:笑顔 投稿日:2008/03/27(木) 04:01

「小春ちゃん、何してんの?」
「ん〜、アイドルの練習で〜す!」

小春は踊りながら答えた。
そう、小春はビデオに合わせて、アイドルと同じように可愛く踊って歌ってたんだ〜。
リンリンとジュンジュンには、椅子に座って見てもらってる。

どうせならさ、もっともーっとアイドルを好きになってもらっちゃおうかな〜ってね。
小春もそれっぽく見てもらえればいいな〜って思って、見てもらってたんだ。
最後のフリをビシッと決めて、よし、完璧でしょ!

「久住さん、すごいです。」

リンリンは笑顔で手を叩いてくれた。
ジュンジュンはというと、バナナを口に入れながら頷いてくれてる。
79 名前:笑顔 投稿日:2008/03/27(木) 04:02
っていうか、それってうちに持ってきてくれたバナナだよね?
まぁ、別にいいけどさ・・・。
道重さんはまだ理解できてないみたいで、小首を傾げながら小春に寄ってきた。

「小春ちゃん、こっちの二人は?」
「隣に引越してきた、リンリンとジュンジュンですよ。」
「あ〜、そういえば愛ちゃんが言ってたね。初めまして、道重さゆみで〜す。」
「リンリンで〜す。よろしくお願いしま〜す。」
「ふぁふ、ふんふんふぇふ。」
「ジュンジュン、バナナ置いてからにしよう。」
「ング・・・中国からきました、ジュンジュンです。」

ジュンジュン、まだ食べてたんだ・・・。
けど、面白い二人だから、すぐに道重さん達とも打ち解けられたみたい。
80 名前:笑顔 投稿日:2008/03/27(木) 04:02

「小春小春〜、これってれいなが貸したビデオやろ?」
「うん、そうですよ〜。」
「んじゃ、れいなもやるっちゃ。もう、完璧に踊れるっちゃよ!」
「れいな〜、アイドルの真似でさゆみに勝てると思ってるの?
 誰よりも可愛いのは、このさ・ゆ・み♪」
「さゆ、可愛さだけがアイドルやなかね。っつうか、れいなは可愛くないって言っとると?」
「違うよ〜。れいなもペットみたいで可愛いの。」
「誰がペットばい!?」
「何々、絵里の演技がみたいって〜?仕方ないな〜。」
「「いや、絵里はいらない。」っちゃ。」
「え〜!二人ともひどいよ〜!」

相変わらずコントみたいな三人だね。
仲いいとは思うけど、どちらかというと微笑ましいというか見てて面白い。
81 名前:笑顔 投稿日:2008/03/27(木) 04:03
っと、そんな場合じゃなかった!
一番のアイドルになるのは、小春なんだから!

「道重さん!田中さん!小春は本物のアイドルになるの!」
「あれ?小春ちゃん、絵里の名前は・・・?」
「なかなか面白いこと言うと。なら小春、れいなとアイドル勝負するっちゃ!」
「アイドル勝負で、このさゆみに勝てると思ってるの?」
「リンリン、ジュンジュン、小春が絶対に一番になるから、見ててね!」
「は〜い。久住さん、がんばってくださ〜い。」
「応援、してます。」

リンリンとジュンジュンは、楽しそうに頷いてくれた。
きっとさ、アイドルってこんな感じで、人を楽しませることができる、
すっごい人達だと思うんだ。
82 名前:笑顔 投稿日:2008/03/27(木) 04:04
だから、小春もいつかきっと、周りの人達を笑顔にできるような、
そんなすっごい人になるんだ。
上着を脱いでやる気になってる道重さんと田中さん。

「ねぇ、絵里のこと無視しないでよぉ。」
「ん、誰も無視なんかしとらんと。」
「絵里、何で落ち込んでるの?」
「もう、本気で怒った。絵里の力見せてあげるんだからね!」

突然元気になって小春達に競い合ってくる亀井さん。
一人でやっても楽しいけど、みんなで歌ったり踊ったりするのも本当に楽しいな。
83 名前:笑顔 投稿日:2008/03/27(木) 04:04
今度はリンリン達にもビデオ貸してあげたら、覚えてくれたりするのかな?
そしたらまたみんなで楽しめるもんね。
その中でも、小春が一番になるんだ。

小春にしかできない、最高のアイドルになってやるんだ。
だからこの中でだって、亀井さんも道重さんも、例え田中さんが相手でも、
小春は負けないんだからね!

小春を見て、リンリンやジュンジュンやた〜くさんの人達が、
心から楽しんでもらえるような、いつかは小春もそんな風な、
最高のアイドルになりたいな・・・。
84 名前:ais 投稿日:2008/03/27(木) 04:05
更新しました。
リンクがなくて見つけるのに少し時間がかかっちゃったという
言い訳してしまったり・・・(汗)
85 名前:ais 投稿日:2008/03/27(木) 04:10
>>Iさん
楽しく拝見していただけて何よりです。
ようやくこちらも見つけることができましたよ。
探してみるもんですねw

>>たまさん
今回の愛ちゃんはリーダーなわけではないですけど、
まぁちょっと頼りないリーダーみたいなタイプでw
っつうかこんな感じが愛ちゃんかなって感じです。

>>ウイングさん
俺が言うのもなんですけどそれは違うと思います。
この関係こそがさゆれななんです!
っていう勝手に設定を決めてしまって申し訳(ry

>>名無飼育さん
甘やかしつつも時には甘えるさゆ。
突っぱねるけど本当は嬉しいれいな。
個人的なさゆれなのイメージですw
今回は六期のラジオみたいな仲ってことで(謎)
86 名前:小春らしく 投稿日:2008/04/02(水) 23:54
リボンは曲がってないかな・・・うん、よし!
裾もピッタシ合ってるし、完璧だね!
髪を結んで、これで準備完了。
小春は今日から高校生になるんだ。

今日は入学式、制服に着替えた小春は、部屋から出てリビングに向かった。
リビングの先のキッチンで料理を作ってる高橋さんと、リビングのソファで横になって
漫画を読んで笑ってる道重さんがいた。

そっか、大学はまだなんだよね。
卵焼きを焼いてた高橋さんが、お皿を持ってリビングに入ってきた。
87 名前:小春らしく 投稿日:2008/04/02(水) 23:55

「おっ、小春おはよ〜。」
「おはよ〜ございま〜す!」
「制服はどんな感じ?ちょうどええか?」
「はい!制服を着てる小春も、超可愛くないですか〜?」
「さゆみの次にね。」

普段よりも低い声で聞こえてきたのは、当然この人の声。
漫画を置いた道重さんが、ちょっと怖い笑みを浮かべて、なんでか高橋さんを見る。

「愛ちゃん、小春ちゃんもすっごく可愛いと思うけど、一番可愛いのはさゆみですよね?」
「・・・何でそれをあたしに聞くんやよ?」
「ほらぁ、愛ちゃんはさゆみの憧れの人なんですから、そこはもちろん、ね?」
「二人とも可愛いと思うがし。」
「(相変わらず空気の読めない人・・・。)」

なんとなく、道重さんが何を思ったのかわかっちゃった。
高橋さんはすごくいい人なんだけど、話しの流れをあんまりわかってないというか、
いわゆる空気の読めない人なんだよね。
調子に乗ってた小春もちょっとだけ反省、しないけどね。
88 名前:小春らしく 投稿日:2008/04/02(水) 23:55
いつものお決まりパターンで朝の会話も終わって、いよいよ小春の初登校!
玄関で靴を履いてると、高橋さんと道重さんが見送りにきてくれた。

「小春、事故にだけは気をつけてな。」
「は〜い!」
「れいなみたいに孤立しちゃだめよ。」
「・・・。」
「さゆ・・・。」
「冗談ですよ。一人がちになってたれいなにさゆみがいたように、
 きっと大切な友達ができるから、仲良くするのよ。」
「それって普通、れいなが言うもんやないの?まぁええわ。
 小春、行ってらっしゃい。」
「はい!久住小春、行ってきま〜す!」

小春は元気に返事をして家を出て行った。
さってと、今日から新しい学校生活が始まるんだ。
久住小春、アイドル目指してがんばるぞ〜!
何か違うかな・・・まぁ、楽しく行こう!
89 名前:小春らしく 投稿日:2008/04/02(水) 23:56
うちから歩いて十五分くらいで、学校に到着した。
玄関口まで歩いていくうちに、後ろからカッコイイ人がきて小春にぶつかって、
そこで一目惚れして恋に落ちていく・・・っていう夢見る少女の物語でした〜。
って、道重さんじゃあるまいし何を考えてるんだろ・・・。

それ以前に女子高だから、恋とか関係ないし。
う〜ん、道重さんとよく一緒にいたせいか、考えてることが移りかけてるみたい。
小春も気をつけないと危ないかな。
なんてひどいこと思ってみたり。
90 名前:小春らしく 投稿日:2008/04/02(水) 23:56
最初に入学式があって、いろんな人の話しが続いた。
小春はなんとか眠気と戦って、まぁぎりぎり寝ないで済んだかな。
初めから寝てたりしたら、あとで先生に何言われるかわかんないもんね。

後ろの方には保護者の人達がたくさんいた。
高橋さんがこようかって聞いてくれたけど、ちょっと恥ずかしいし
お仕事の方をがんばってほしかったから、断ったの。

小春だって一人でもがんばりたいもん。
小春がぼーっとしてるうちに、入学式が終わったみたい。
よ〜し、小春の勝負はこれからだ!
91 名前:小春らしく 投稿日:2008/04/02(水) 23:57
小春は自分の教室に入って、席を確認してそこに座った。
当然のように周りに知ってる人はいない。
ほんのちょびっと不安なんだけど、それ以上に楽しみなんだ。

道重さんが言ってたのとは少し違うけど、大切な友達、できたらいいな〜ってね。
仲良くやれたらいいなって思ってたら、前の扉が開いて先生っぽい人が入ってきた。
っぽいっていうのは、想像していた以上に若い人だったから。
まだ大学生くらいの、けっこう男前の女性だった。
92 名前:小春らしく 投稿日:2008/04/02(水) 23:59
話してた人達はすぐに自分の席に戻った。
先生は教壇の前に立って小春達を見る。

「私の名前は吉澤ひとみ、今日から研修生兼この教室の副担任になりました。
 担任の方は、諸事情によって今日はこれないので、私が話しをします。
 そういうことなので、よろしくお願いします。」

吉澤先生は、白い歯を見せて小さく笑った。
その直後に、他のみんなはザワザワと話しを始める。
まぁ今のは小春から見てもすっごくカッコよかったもん。
93 名前:小春らしく 投稿日:2008/04/02(水) 23:59
高橋さんもこういうの好きそうだから、キャーキャー言ったりしてそうだね。
帰ったら話してみよっかな〜。

「さてと、難しい話しはあとにするとして、最初にみんな自己紹介しておくか。
 先生もみんなのこと知りたいからね。自分の名前と一つ自己PRしてもらおうかな。
 んじゃ、まずは君から順に始めようか。」
「えっと、私ですか・・・?」

吉澤先生が左の列の一番前の人を指差した。
吉澤先生って、絶対に体育系でしょ。
うん、これは間違いない!
94 名前:小春らしく 投稿日:2008/04/03(木) 00:01
席を立った生徒は、自分の名前と無難に自分のことを話してすぐに座る。
順々に進んでもうすぐ小春の番。
何て話そうかな?

どこに住んでたとか、何が趣味だとか、う〜ん・・・よし、これかな。
いよいよ小春の番が周ってくる。

「はい、次の子。」
「はい!小春の名前は久住小春!地元は新潟で、今年からこっちに住むことになりました!
 趣味はバレーボールで小学生の頃はキャプテンをやってました〜!特技は暗算が早いかな?
 それから・・・。」
「えっと、久住。一言でいいから・・・。」

一言ね〜。
小春は全部言いたいんだけど、まぁそれなら仕方ないかな。
95 名前:小春らしく 投稿日:2008/04/03(木) 00:02
最後にこれだけ言って、終わりにしよう。

「わかりました〜。じゃあもう一つだけ、小春の夢は世界一のアイドルになることです!」

よし、言い切ることが出来た!
これだけは譲れないんだよね!

なのに周りの反応は微妙みたいで、ちょっと拍手があっただけ。
教壇にいる吉澤先生は苦笑い。
小春、間違ったこと言ったかな・・・?
96 名前:小春らしく 投稿日:2008/04/03(木) 00:03
今日は放課後からまた話しがあるみたいで、お昼持参なんだ。
高橋さんが作ってくれたお弁当、美味しそうだな〜。

けど、一緒に食べる人がいない。
どうにもさっきの自己紹介の時から、みんな引いちゃってるみたいで、
さっき話しかけてみたんだけどどうにも上手く話せなかったんだよね。
ハァ、失敗したかな〜。

夢見ちゃってバカみたいに思われてんのかな?
小春、アイドルになりたいのに・・・。
97 名前:小春らしく 投稿日:2008/04/03(木) 00:04
小春がお弁当の卵焼きを口に放り入れた時だった。

「あの〜、ここいいですか〜?」

空いている前の席に、一人のクラスメイトが座って小春の方を見てきた。
えっと・・・名前、覚えてないや。

「お昼、一緒に食べてもいいですか〜?」
「えっと、小春と・・・?」
「はい〜。」

そのクラスメイトは、笑顔を絶やさずに頷いた。
何で小春なんだろ・・・?
98 名前:小春らしく 投稿日:2008/04/03(木) 00:04

「え〜、自己紹介が遅れましたね。光井愛佳っていいます〜。」
「ああ、うん。久住小春だよ。よろしくね。」
「ええ、さっきの自己紹介で聞いてますよ。ほなよろしゅう願います。」
「そうなんだけど、光井さんはどうして小春とお昼食べようと思ったの?」
「愛佳は〜、久住さんが羨ましいと思います。」
「羨ましい?」
「はい〜。みんな恥ずかしいんですよ。自分の夢を追いかけることが、
 それを堂々と発言できる、久住さんに対して妬んでるだけやと思います。
 現実を見ていることにして、それを恥やって思えることで、周りに合わせることで、
 自我を保ってるだけなんですよ。久住さんはおかしくないと思いますよ。」
「そう、なのかな・・・?」
「愛佳としては、自分に自信を持ってる久住さんを尊敬しますよ〜。」
「そっか・・・ありがと。」

う〜ん、話しがちょっと難しくてあんまりよくわかんなかったけど、
光井さんの話しを聞く限りでは、小春はちょっと突き抜けてるだけだと。
だけど自分らしくやっていくのが、小春らしくていいんだよね。
99 名前:小春らしく 投稿日:2008/04/03(木) 00:07
よかった、小春のことをわかってくれる人もいるんだ。
小春は間違ってないんだよね・・・。

「久住さん、梅干一つどうですか〜?」
「梅干!?食べる食べる!小春も大好きなんだ〜。光井さんも好きなの?」
「アハハ、気が合いますね〜。それと、愛佳のことはミッツィとか愛佳って呼んでください。
 愛佳も滋賀の方から出てきてるんで、そう呼んでくれる人がいないんですよ。」
「ならミッツィも小春って呼んでよ。それに、同じ年なんだから敬語使わなくていいんじゃない?」
「癖なんです〜。気にしないでくださいよ。」

ミッツィは笑いながらそう言った。
同じクラスに気が合いそうな人がいて、本当によかった〜。

高橋さんの言うとおり、自分を信じていけばいいんだ。
周りの誰に何を言われようと、わかってくれる人がいるんだから。
久住小春、このまま真っ直ぐに進んでいくぞ〜!
100 名前:ais 投稿日:2008/04/03(木) 00:07
本日の更新でした。
101 名前:たま 投稿日:2008/04/07(月) 01:44
私もスレを見失い…ようやく見つけました…
無くなったんかと思ってビックリしましたw

小春のキャラがまさにそのまま(?)な感じがします!
それとさゆの腹グロキャラがかなり目立って来てますねw

102 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/16(水) 21:32
更新お疲れ様です
亀ちゃんの元彼との写真でへこみまくってたんですがここで癒されています
最近では作者さんのおかげであまり気にかけてなかった小春ちゃんにはまりかけてます
次回更新楽しみにしています
103 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:31
夜七時頃、小春は高橋さん達の舞台を見にきたんだ〜。
本当は道重さんと田中さんがくる予定だったんだけど、
大学で勉強が忙しいからって、朝にチケットをもらったの。

二枚あるからミッツィも誘って、隣町まで電車に乗って、そこから歩いて劇場に到着〜!
ちょっと離れた場所にあったから、ミッツィがいなきゃわかんなかったかも。
とにかく無事に着いてよかった〜。
104 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:31

「ミッツィ、入ろうか!」
「はい〜。入りましょう。」

ミッツィと二人並んで中に入っていく。
ミッツィはまだ小春に対して敬語を使ってる。
同じ年なのに何か変な感じ。

他のクラスメイトにはタメ口なのに、まぁいいや。
おっ、ブザーが鳴った。
始まり始まり〜!
105 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:32
公演が終わったあと、高橋さんと一緒に出てた亀井さんに
マネージャーをやってる新垣さんで、みんなでご飯を食べに行くことになったんだ。
ファミレスに入って、ミッツィと二人でメニューを見る。
何食べようかな〜?って思ってたら新垣さんが口を開いた。

「小春ちゃん、愛ちゃん達の演技はどうだった?」
「あ〜、ガキさん無駄やよ。小春は自分が食べたい物決めるまで考えられんから。」
「ふ〜ん。まるでカメみたいだね。」
「絵里はオムライスにしよっかな〜?ガキさんは何にする〜?」
「だから聞いててよ・・・。」
「あ、あの〜・・・。」

面白そうな話ししてるみたいな時に、ミッツィが恐る恐る顔を上げた。
小春は話しを全然聞いてなかったけどね。
106 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:34
ミッツィが顔を上げたから、いちおう小春も高橋さんを見た。
でもやっぱ先にメニュー決めちゃおっと。

「愛佳、ここにいてもいいんでしょうか?」
「ん、お金のことなら気にせんでええよ。せっかく見に来てもらったんやしね。」
「すいません。ご馳走になります〜。」
「光井ちゃんやったっけ?しっかりした子やね〜。あたし達の舞台、どうやった?」
「いや、本当に感動しました〜。見に来てよかったですよ〜。すごく楽しかったです。」
「エッヘヘ〜。すごかったでしょ〜。」
「そこは聞いてるんだ。っつうか、何でカメが自慢してんの?」
「だってだって〜!愛ちゃん自慢しないから絵里が自慢してもいいじゃん?」
「だってじゃなくて、主役は愛ちゃんだったでしょ。」

いつも通り新垣さんと亀井さんのボケ突っ込みが始まったのかな?
う〜ん、よし決めた!
小春はキムチうどんにしようかな。
えっと、何の話ししてんのかな?
107 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:36

「ガキさん、それは違うやろ。」
「愛ちゃん?」
「一人一人の配役があるから、舞台ができるんやよ。スタッフさんや音響さん、
 もちろんガキさんも、全員が協力して一つの物語を創り上げる。
 これってすごいことやろ?あたしもそこに感動したから、今のあたしが
 いるんやと思うよ。一人でもできることはあるけれど、舞台は一人じゃできんよ。」
「ほらねほらね〜。絵里が言ってたことの方が正しいじゃ〜ん。」
「それは違うでしょ!あんた、年下がいる時くらいしっかりしないと・・・ん?」
「光井ちゃん、どうかしたんか?」

小春の隣で目を輝かせているミッツィ。
その目線の先は高橋さん。
108 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:36
どうしたんだろ?
高橋さんが頼んだメニューの方が美味しそうとか?

「高橋さん。愛佳を弟子にしてください!」
「弟子・・・?」
「愛佳も高橋さんみたいな立派な大人になりたいんです。」
「光井ちゃん、やめといた方がいいよ。愛ちゃんこう見えてどうしようもないから。」
「全くやよ。あたしなんか真似たら、ろくな大人にならんで。」
「だったら絵里が師匠やるやる〜!」
「あんたはもっとどうしようもないでしょうが!」

ふ〜む、なるほどね。
ミッツィの憧れは高橋さんみたいな人なんだ。
109 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:38
確かにそこはわかるよ。
普段は子供っぽい人だけど、舞台とかでは別人みたいにカッコよくなる人だし、
意外としっかりしてるし、何よりも優しいもんね。
って思ってるうちに、きたきたキムチうどん!
いっただきま〜す!
うん、美味しい〜!

「ところで愛ちゃん、明日は遅れてくるんだっけ?」
「うん。小春の学校寄ってくからさ。ねぇ、小春。」
「ふぇっ?ングング、何か言いましたか?」
「あんたはあたし以上に話し聞かないね。明日は三者面談でしょ。」
「モグモグ・・・あ〜、ング、そうだったかも。」
「久住さんは愛佳の前ですから、明日ですよ。」
「ありがと。あたしが言えた義理やないけど、小春もしっかりしないと・・・。」
「ああっ!ぼーっと話し聞いてたら、最後に残そうと思ってたお肉食べちゃった・・・。」
「「「・・・。」」」
「あ〜、それね、絵里もよくやるよ〜。」
「あんたは黙ってなさい!」

そういえば明日が三者面談か〜。
お父さんもお母さんもいないから、高橋さんにきてもらうんだった。
何を話すのかな〜?
それにしても、お肉味わって食べたかったのに・・・。
110 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:38
次の日のお昼、小春はミッツィと話しながらお弁当を食べてたんだ。
今残ってるのはこれから三者面談がある人だけで、周りには数人のクラスメイトしかいない。
これから始まるってことで教室を出なきゃいけないから、中庭のベンチで待つことにした。

あ〜、何か怖いな〜。
小春ってそんなに頭よくないし、アイドル目指してるって言ったらまた何か言われそうだし、
ミッツィみたいに頭よくていい子だったらな〜。

「そ〜んなことないですよ〜。久住さんにはいっぱいいいとこありますよ〜。」

あらら、声に出ちゃってたみたい。
小春のいいところね〜・・・元気なとこくらいしか思いつかないな。
まぁ、なるようになるかな。
111 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:39

「おっ、小春見〜っけ。」

その声は、高橋さん・・・?
小春が振り向いた先にいたのは確かに高橋さんなんだけど、何その格好?
スーツ姿で髪を一本にまとめてて、縁が赤い眼鏡をかけてる。
全然見慣れない格好だから、少し意外だった。

「高橋さん、どうしたの?」
「どうしたのやなくって、今日はあんたの面談の日やろ。」
「そうじゃなくて、その格好、それに眼鏡まで・・・。」
「ヘヘ〜ン、あたしやって大人っぽい服着るんやよ。キャリアウーマンって感じやろ?
 普段はコンタクトなんやけど、眼鏡かけとった方がカッコよく見えそうやもんね。
 けっこう似合っとるもんやろ?」

よかった〜、中身は高橋さんのまんまだった。
ってそれじゃむしろまずいかな?
もう、なるようになっちゃえ!
112 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:40
時間になって、高橋さんとミッツィとで教室にまで戻ると、
前の人はもう終わってたみたい。
小春が教室を覗くと、吉澤先生だけが残ってた。
小春に気付いた吉澤先生が、手を振ってきた。

「久住、保護者の人と一緒に入っていいぞ。」
「あれ?吉澤先生がやるんですか?」
「いや、まだ始まらないけど私も見習いなんでね。少しくらい話しした方がいいでしょ。」
「は〜い。高橋さん、入っていいみたいですよ〜。」
「ほうか。んじゃ、あたしも入れてもらうわ。」

高橋さんが小春の後ろからついて入ってきた。
113 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:41
その直後に、吉澤先生が呆けた顔をしちゃった。
小春が後ろを向くと、高橋さんも目を見開いて驚いた顔してる。
二人ともどうしたんだろ・・・?

「よしざーさんが小春の先生!?」
「高橋が、久住の保護者・・・?」

えっ、あれ?
二人は知り合いだったのかな?
小春が高橋さんを見ると、高橋さんは我に帰ったみたいで一つ頷いて、
小春と一緒に椅子に座った。
114 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:42

「とりあえず、一つ一つ話そうか。久住もわかってないだろうからね。」
「あたしとよしざーさんはね、同じ高校の先輩後輩だったんやよ。」
「へ〜、そうだったんだ・・・。」
「あたしは知っての通り演劇部でね、ほんで男役が足りないから校内で
 探そうってことになって、スポーツだけはできるカッコいい人を見つけてさ、
 それがこのよしざーさんだったんやよ。」
「だけは余計だ。私はバレー部だったのにさ、しつこく勧誘してきたよな。
 掛け持ちでやれってさ。」
「結局やってくれんかったけどね。んでまぁ何度か話しとるうちに、
 仲良くなったわけやよ。っていうか、よしざーさんが先生ってどういうことやよ?
 あんなにバカやったのに、できんですか?」
「高橋、あんたにバカ呼ばわりされたくないな〜。あんたも学校ではさ・・・。」

色々と昔話を始めた高橋さんと吉澤先生。
う〜ん、退屈になってきたな〜。
115 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:43
小春がそう思ってると、高橋さんがこっちを向いて片手で謝ってきた。

「っと、小春の話ししにきたんやったよね。保護者として失格だわ。」
「ううん、小春は大丈夫です。」
「そうそう、何で高橋が久住の保護者になったんだ?」
「小春はあたしの遠い親戚なんですよ。小春がこっちの学校に通うから、
 あたしの家に住むことにしたんです。」
「そういうことね。まぁ、あんたの方が話しやすいから、そういう点ではよかったよ。
 あたしから一つだけ言わせてほしいことがあるんだ。」
「小春の夢、ですか?」

高橋さんは笑顔を崩さずにそう聞いた。
逆に、吉澤先生は少し苦笑いをしてる。
116 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:44
小春の夢って、アイドルになるってこと?
う〜ん、あんまり言わない方がいいのかな〜?

「ほら、アイドルってあんまり現実味がないだろ?だったらどの大学に行くとか、
 まずそういったことから始めた方が、先生方も納得してくれると思うんだけど・・・。」
「よしざーさんが大学に行って、先生になってるってことの方がありえんと思うがし。
 スポーツはすごかったけど、頭の方はあれやもんね。」
「あのな、私だってがんばって勉強したんだぞ。スポーツだけじゃどうしようも・・・。」
「ほら、同じことですよ。小春はちょっとだけ抜けとるとこあるけど、
 やるといったらやる、それをキチンとわかってる子です。
 あたしも舞台に入るために、ずっと努力してた。私もけっこう周りから
 バカにされたことあるけど、それでもあきらめんかった。始める前から
 あきらめてたら、本当に何にもできんくなるから。夢は見ないと、
 スタ−トラインにも立てない。小春にも真っ直ぐに進んでほしいんですよ。」
「う〜ん、それはそうだけど・・・。」
「よしざーさん、あとで後悔しますよ。小春がアイドルになった時、
 当時の先生は応援してくれたって言ってもらえないかもしれませんよ。」

高橋さんは終始笑顔で、そして最後に小春の頭をポンと撫でてくれた。
117 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:45
やっぱり、この人はすごいんだな〜。
ずーっと自分の道を進んでいるんだ。
だったら、小春だって進んでいくもん。
小春はぜーーーーったいにアイドルになってみせるんだから!

「吉澤先生!小春もアイドル目指すって道、あきらめませんよ!」
「・・・そうだな。最終的に決めるのは久住だもんな。悪かったよ。」

吉澤先生も笑ってそう言ってくれた。
吉澤先生の気持ちも嬉しいけど、小春もこればかりは曲げられないんだよ。
118 名前:未来 投稿日:2008/04/21(月) 04:48
その後、担任の先生が入ってきて話しも・・・まぁなんとか終わることができた。
勉強については真面目にやっていくしかないかな〜・・・ああ、きついね。
高橋さんはこれからお稽古があるっていうから、小春はさっきの
渡り廊下のところから手を振って見送った。
高橋さんは尊敬できるけど、小春だって負けないんだからね。
アイドルになってたくさんの人達に、小春を観てもらうんだ。
小春も自分の未来を信じて進むんだからね!

「チャチャチャンス無敵の勢いで〜チャチャチャンスの強気のその意気で〜♪」

小春が大好きなアイドルの歌、小春も無敵な勢いでいかないとね。
そうだな〜、よし!
ミッツィが終わったらカラオケにいって、遊びついでに練習でもしよっかな〜。
ミッツィにも小春パワー見せてあげるんだもんね〜!
119 名前:ais 投稿日:2008/04/21(月) 04:49
半月ぶりくらいに更新しました。
はい、言い訳はしません。
読んでくれている人がいる限りは、早めに更新できるよう気をつけます・・・m(_ _)m
120 名前:ais 投稿日:2008/04/21(月) 04:53
>>たま
今回もキャラをそのまんま出していけたらいいなって思ってます。
前回はやりすぎたので今回は落としてるつもりなんですけど、
さゆはどうしてもあのキャラになってしまって・・・w

>>102:名無飼育さん
ありがとうございます。
けど俺はカメの件は全く気にしてませんよ。
アイドルだって彼氏がほしいと思うわけですから間違った行為ではないわけだし
今も昔もカメはカメですから、って何か現実めいわレスになってしまって申し訳(ry
ここでは小春パワーを存分に発揮しちゃいます!
121 名前:ais 投稿日:2008/04/21(月) 21:46
>>たまさん
120のレスでさんを付け忘れてしまいました。
申し訳ないです(汗)
122 名前:たま 投稿日:2008/04/23(水) 00:11
気付いてましたが敢えてスルーしようとしてましたw

いやぁ小春とカメは中々の暴走っぷりですねw

そして愛ちゃんはよっちゃんに対して結構毒舌ですねw

いつまでも待ってるのでaisさんのペースで更新して下さい☆
123 名前:これからもずっと 投稿日:2008/04/30(水) 23:55
今日は日曜日、これからみんなでお花見やるんだ〜。
朝早くから起きて、まだ眠いけど外に出る準備して、迎えにきてくれた田中さんと
これからお買い物なの。

田中さんがお花見やろうって企画して、当然のように道重さんも頷いて、
せっかくだからみんなで行こうってことになったんだ〜。

道重さんとさっききたミッツィは、家でお弁当を作ってくれるみたい。
場所は新垣さんに頼んでとってもらうんだってさ〜。
田中さんが亀井さんを連れてっていいって言ってたけど、新垣さんはあんまりいい顔してなかったな〜。
亀井さんは仕事以外だと寝坊癖があるみたい。
小春も朝は苦手だけどね。
124 名前:これからもずっと 投稿日:2008/04/30(水) 23:56
みんなで一緒にお花見、って思ってたけど、高橋さんは今日は何か
大事な打ち合わせがあるってことで、あとからくるんだって。
早く終わってみんなで騒ぎたいな〜。

「小春、何しとると?早く行こう。」
「あ、は〜い!行ってきま〜す!」
「迷子にならないようにね。」

道重さん、小春だってそんなに子供じゃないんだよ〜ん。
田中さんもいるし迷子には・・・っと、そうだ!
玄関を出た時に思いついた。
125 名前:これからもずっと 投稿日:2008/04/30(水) 23:58

「田中さん、ちょっと待って。」
「なん?忘れ物?」
「ううん、そうじゃなくて、ジュンジュンとリンリンも呼んであげませんか?」
「ああ、それよかね!小春にしてはアイディアやね。」
「小春は頭がいい子だも〜ん。」

わざとちょっとだけ頬を膨らませながら、お隣さんのインターフォンを押した。
少ししたら、寝起きのままのリンリンが出てきた。

「リンリン、おはよーっ!」
「おはよ〜ございます。久住さん、どうか、しましたか?」
「これからみんなでお花見に行くんだけど、リンリン達も行かない?」
「お花見、ですか?はい、私達、やってみたいです!行って、いいんですか?」
「もちろんだよ!みんなで行った方が楽しいじゃん。」
「はい、ありがとございます。では、ジュンジュン起こして、行きます!」

リンリン達は、準備してからくるってさ。
よ〜し、これで楽しくなってきたかな。
小春達もお買い物済ませちゃお〜っと!
126 名前:これからもずっと 投稿日:2008/04/30(水) 23:59
お買い物を済ませたあと、公園の中を田中さんと二人で歩く。
お休みの日の上にいい天気なもんだから、小春達みたいにお花見にきてる人達が
た〜くさんいて、みんなして騒いでる。
それに屋台のいい匂い、う〜ん食べたいものばかりだな〜。

「小春、フラフラせんとしっかり歩く。」
「いや〜いい匂いがしますな〜田中さん。」
「・・・変な言い方やね。それにしても、両手いっぱい買う必要あったっちゃね?」
「高橋さんがみんなの分だって、たくさんお小遣いくれましたからだいじょぶで〜す!
 田中さんだって、何でそんなに荷物持ってんの?」
「れいなが企画者やけんね、みんなで遊ぶものいっぱい持ってきたっちゃ。」

ほうほう、さすがは小春のお師匠さんだ。
遊ぶことに関しては一生懸命だね!

ちなみに高橋さん的には、先生は道重さんってことになってるかな。
まぁ、色々教えてもらってるといえばそうでもないような・・・?
考えるのは嫌いだからどうでもいいや〜。
127 名前:これからもずっと 投稿日:2008/05/01(木) 00:00
奥のほうにある大きな桜、誰もがその周りに陣取ってるんだけど、
一番いい席ともいえる桜の真下に、新垣さん達がいるのが見えた。
よくこんないいとこ取れたな〜。

新垣さんがこっちに気付いたみたいだから、小春達は手を振って近寄っていく。
あらら、亀井さんは寝ちゃってるわ。

「ガキさん、おつかれいな〜。」
「おつかれいな〜、じゃなくってさ、もっと早くきてよね。カメなんかさ、
 案の定遅刻してきた上にすぐ寝ちゃってさ、私まで寝るわけにはいかないから、
 ずっと一人で本読んでたんだからね。」
「ガキさん、何時からきとったと?」
「朝の五時だよ。」
「「五時!?」」
「私は何でも徹底する主義なの。やるからにはいいとこでやりたいからね。」

は〜、さすがは新垣さんだね。
小春は絶対にそんなことやらないかな〜。
128 名前:これからもずっと 投稿日:2008/05/01(木) 00:02
だから田中さんも新垣さんに頼んだんだろうけどね。
新垣さんは小春達の中で、一番常識人みたいだから。

「ほら、カメ。田中っち達もきたよ。」
「う〜ん、もう食べられましぇ〜ん・・・。」
「へ〜、絵里の好きなケーキも作って持ってきたんだけどな〜。」
「ケーキ!?どこどこ!?」

小春達の後ろから聞こえてきた声に反応して、すごい勢いで起き上がった亀井さん。
振り向くと、道重さんとミッツィ、それにリンリンとジュンジュンもきてた。
これで高橋さん以外、みんな揃ったんだね。
129 名前:これからもずっと 投稿日:2008/05/01(木) 00:02
高橋さんまだかな〜?
早くしないと食べちゃうよ〜。

「さゆ、愛ちゃんは?」
「愛ちゃんはまだ長引きそうだから、先に始めててだそうです。」
「そっか。なら仕方なかね。それじゃ、みんなコップ持って・・・。」
「何、田中っちが仕切るの?」
「当然、れいなが企画者やけんね。ほらほらガキさん、早く料理食べたいやろ?」
「む〜、何か釈然としないな・・・。」

小春としては、どっちでもいいんだけどな〜。
早く道重さん達が作ってくれた料理食べたいし。
みんなの中心に置いてある弁当箱の中身、それはもう見ただけど美味しそうなもんだから、
早く食べたくて仕方ないんだよね!
130 名前:これからもずっと 投稿日:2008/05/01(木) 00:03
さっき聞いた話しだと、ほとんどミッツィが作って、それを道重さんが盛り付けたとか。
ジュンジュンとリンリンも何か作って持ってきてくれたし、早く食べたいな〜。

「それじゃ、えっと〜・・・ガキさん、こういうとき何て言ったらよか?」
「普通に乾杯でいいんじゃない?」
「そうやね。それじゃ、かんぱーい!」
「「「「「「「かんぱ〜い!!!!」」」」」」」

みんなで紙コップを重ね合わせる。
それと同時に、みんなの目の色が変わった。

それは小春も同じで誰もが考えること、そう、とにかく食べる!
みんなが一斉にお弁当にはしを伸ばす。
だけど、小春が一番早いんだもん!
131 名前:これからもずっと 投稿日:2008/05/01(木) 00:04

「ングング!あ、それもいたらきまひゅっ!」
「あ〜!小春、絵里が狙ってたからあげ食べた〜!」
「あっ、これ美味しいっちゃね。」
「・・・れいな、さゆみのハンバーグ食べたの?」
「さ、さゆのやと!?ごめん!悪気はなかったけん、許して・・・さゆ待って!」
「みなさん、花よりだんごですね〜。」
「光井ちゃん、そんなこと言ってるとなくなって・・・ちょっとリンリン!
 お菓子はご飯のあとにしなさい!ジュンジュンもバナナばっかり食べないの!」
「お菓子、元気の元で〜す。」
「バナナ、何が悪いんですか!?」
「アッハハ〜!ジュンジュンがキレちゃった〜。」

やっぱり、みんなで遊びにいくのって楽しいな〜。
っていうか、高橋さんはまだこないのかな?
みんながすごい勢いでお弁当食べるから、ご飯なくなっちゃうよ。
132 名前:これからもずっと 投稿日:2008/05/01(木) 00:05
そのうちのほとんどが小春が食べたっていうのは内緒ね。
ちょっと電話でもしてみて・・・。

ガバッ!

「うわっ!」
「やっほ〜!みんなが騒いどるからすぐわかったわ。」
「おっ、愛ちゃんがきた〜。」

後ろからいきなり小春に抱きついてきたのは、今電話しようとしてた高橋さんだった。
いつも優しい笑みを浮かべてるけど、今日はいつになく満面の笑顔みたい。
なんかいいことでもあったのかな?
133 名前:これからもずっと 投稿日:2008/05/01(木) 00:05
高橋さんは持っていたビニール袋をポンと置いて、ビニールシートの上に乗った。
さっきまで田中さんを責めてた道重さんが、すぐに高橋さんに飛びついた。
田中さんはというと・・・あえて言わないけど、かろうじて生きてるかな?

「それにしても、みんなよく食べるわな〜。」
「愛ちゃんの分もちゃんと残してますよ。」
「ありがと〜。これ何?」
「それ、リンリン達、作りました〜。」
「本当に?どれ・・・あ、美味しい!」

高橋さんは、ずっとニコニコと笑って食べてる。
いつも以上にテンションも高いみたい。
134 名前:これからもずっと 投稿日:2008/05/01(木) 00:06
小春達が不思議に思ってると、新垣さんが高橋さんの肩に手を置いた。

「愛ちゃん、どうしたの?何かあった?」
「ガキさん・・・あたし、やったよ。夢が叶ったんやが!」
「愛ちゃんの夢って、憧れの人と競演することやったっけ?」
「そうなんやよ!一緒に舞台ができるんやよ!」
「愛ちゃん、おめでと〜。」
「おめでと〜ございま〜す!」

そういえば、前に聞いたことがある。
高橋さんが舞台を好きになったきっかけになった人で、
小春でも知ってるくらいの有名な人。

その人と一緒の舞台に立つんだってがんばってたんだよね。
高橋さん、すごいな〜。
本当に夢を叶えちゃったんだ・・・。
135 名前:これからもずっと 投稿日:2008/05/01(木) 00:07
小春もいつか、アイドルへの道に辿り付けるかな〜?
そんなことを思ってると、高橋さんはさっき持ってきたビニール袋の中に手を入れた。

「愛ちゃん、何持ってきたの?」
「お酒やよ〜。たまにはパーッと弾けちゃうもんね〜!」
「あっ、れいなも飲みたいです。」
「絵里も絵里も〜。」
「コ〜ラ〜!あんた達はまだ未成年でしょうが!愛ちゃんも嬉しいのはわかるけど、
 ほどほどにして酔わないでよ。」
「え〜、酔っ払った愛ちゃん、可愛くてさゆみは好きなのにな〜。」
「毎回面倒見てんのは私なんですけど!」

けっきょくみんな騒ぎ出しちゃった。
高橋さんを祝う日みたいになっちゃったけど・・・あっ、大事なこと忘れてた!
小春は高橋さんに近寄って、紙コップを渡して、お酒のタブを開けた。
136 名前:これからもずっと 投稿日:2008/05/01(木) 00:09

「高橋さん、小春が注いであげますよ!」
「おっ、小春が気が利くなんて、午後から雨降るかもしれんね。」
「あっ、ひっど〜い!小春だってたまには気が利くもん!」
「アハハ、そうやね。ごめんごめん。」
「高橋さん、おめでと〜ございま〜す!」
「うん。ありがと、小春。」

高橋さんは、小春の頭をポンと撫でてくれた。
何か、初めて会った時みたいで懐かしいような気がする。

「愛ちゃん愛ちゃん!ゲームやろ!」
「おっ、あたしは頭使わんゲームやったら得意やで!」
「いやいや、そんな自慢しないでよ。」
「小春もやりた〜い!ほら、ミッツィもジュンジュンもリンリンもやろうよ!」
「は〜い。」

こうやってみんなで食べて飲んで楽しんで、小春、ここにこれてよかった〜。
小春も自分の夢に向かってがんばるけど、その夢が叶う時にまで、
ずっとみんなで楽しく過ごしたいな〜。
これからもずっと、こんな時間をみんなで楽しんでいけたらいいな〜。

そんなことばかり思ってた。
だから、その時が終わるのがすぐ目の前に迫っていたとは、小春達は知らなかった。
137 名前:ais 投稿日:2008/05/01(木) 00:09
本日の更新でした。
138 名前:ais 投稿日:2008/05/01(木) 00:11
>>たまさん
いや〜毎度毎度更新が遅くて申し訳(ry
最近のカメと小春はいつも暴走してるって感じなのでw
とりあえず新展開に入るので徐々に更新していきます。
139 名前:たま 投稿日:2008/05/01(木) 01:54
更新されたらテンション上がりまくりなたまです♪w

何やら次回は新展開な感じですね☆

しかしれいな弱っ…w

140 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/05/01(木) 02:42
こえー何が起きてしまうんだろう
それにしてもaisさんの作品にしては何かほのぼのしてますね〜(失礼)
141 名前:ウイング 投稿日:2008/05/08(木) 21:11
”憧れの人”ってのが気になってしょうがないです・・・(笑)

いよいよ、次回から何が起こるのか・・・。
要チェックします(笑)
142 名前: 投稿日:2008/05/10(土) 22:53
今日は小春達の学校は、校外学習だったんだ〜。
学習なのに牧場でチーズ作り?
まぁ、面白かったから良しとしよう。

ミッツィ以外のクラスメイト達とも仲良くなれたし、小春は大満足!
こんな日に限って携帯を家に置いてきちゃうんだもんな〜。
番号とかは明日にでも聞けばいいかな。

高橋さん達のお土産もいっぱい買ったし、みんな喜んでくれるかな〜?
帰りのバスの中でも寝たりしないで、ずーっとはしゃいでた。
143 名前: 投稿日:2008/05/10(土) 22:54
バスが学校に着いて、ここでみんなとお別れ。

「久住さん、さよなら〜。」
「うん。ミッツィ、バイバ〜イ!」

小春は手を振って校門を出た。
それにしても、両手に荷物持ってるもんだから重いったらありゃしない。
そういえば、初めてここにきたときもこんな感じでたくさん荷物持ってて、
高橋さんが片方持ってくれたんだっけね。

いや〜、懐かしいな〜。
ちょっと子供っぽいとこもあるけど、しっかりしてるとっても優しいお姉ちゃん。
よし、早く帰ってお土産見せて、喜んでもらお〜っと!
144 名前: 投稿日:2008/05/10(土) 22:54
校門を出て少し歩いたとこで、タクシーが見えた。
その前にいるのは・・・田中さん?
これからどこか行くのかな?
小春は足早に田中さんに近寄った。

「田中さん、こんにちわ〜!」
「あっ!小春、携帯どうしたと!?鳴らしても全然繋がらんと!」
「えっと、今日は家に忘れちゃって・・・。」
「くっ、もうよか!小春、タクシー乗って!」
「えっ、どこに行くの?」
「いいから乗るっちゃ!」

どわっと!
田中さんに強引に乗せられちゃった。
そんなに慌てて、これからどこに行くんだろ?
145 名前: 投稿日:2008/05/10(土) 22:55

「田中さん、どこに行くんですか〜?」
「・・・。」
「・・・田中さん?」
「小春、落ち着いて聞くと。」
「?」
「愛ちゃんが、大変なことになったと・・・。」
「えっ・・・?」
146 名前: 投稿日:2008/05/10(土) 22:56
目的地に着くと、小春はすぐにタクシーを降りて駆け出した。
荷物もお土産も持ってられなかった。
着いた場所は、この町にある総合病院。

嘘だ嘘だ嘘だ!
高橋さんが事故に遭って、意識不明の状態だなんて・・・。
部屋の番号は田中さんから聞いてるから、一目散にそこに向かった。

「高橋さん・・・高橋、さん・・・。」

涙で目が滲んできて、前がよく見えなくなってきた。
それでも、足だけは止めたくなかった。
147 名前: 投稿日:2008/05/10(土) 22:57

バンッ!

小春が勢いよく扉を開けると、そこにはよく見知った顔がいくつかあった。
けど、小春は何よりも先に高橋さんの姿に目を急がせた。

「た、高橋、さん・・・。」
「・・・小春、静かに。」

高橋さんがいるベッドの前には、新垣さんと亀井さんと道重さんがいた。
道重さんがこっちを見ると、目がすごく赤く腫れてた。
たぶん、小春と同じ、いやそれ以上に一緒にすごしてきたんだから、
当然といえばそうだよね。
148 名前: 投稿日:2008/05/10(土) 22:57
小春はゆっくりと高橋さんに近寄っていく。
高橋さんは、頭に包帯と顔にいくつかの絆創膏、それに左足がギブスで固定されているのが見えた。

「高橋さんは、大丈夫なんですか・・・?」
「けっこう怪我しちゃってるけど、命には別状はないってさ。
 今は麻酔して眠ってる。二、三日もすれば目を覚ますってさ。」

小春の言葉に、新垣さんが答えてくれた。
それを聞いて、小春はずるずると崩れ落ちた。

「小春、平気と?」

小春のことを、後ろからきた田中さんが支えてくれた。
よかった・・・なら、またお話できるんだよね。
少し我慢すれば、またあの笑顔を見せてくれるんだよね。
高橋さん・・・。
149 名前: 投稿日:2008/05/10(土) 22:58
面会時間が終わって、小春達は帰ることにした。
面会時間とはいっても、何にも話せるわけないんだけどね。

道重さんと田中さんの表情は暗い。
特に、道重さんは見たことないくらいにへこんじゃってる。
たぶん、小春も似たような顔してるんだろうけどね・・・。
ただ、前にいる二人は明らかに違ってた。

「さゆみん達、一緒に晩ごはん食べていかない?」
「そうそう。あっ、なんなら絵里が泊まりに行こっか?絵里ね〜、
 美味しい料理発掘したんだ〜。」

新垣さんと亀井さんは、明るい表情をして話してる。
どうして、高橋さんがあんな目に遭ったのに、笑ってられるんだろう?
150 名前: 投稿日:2008/05/10(土) 23:00

「・・・どうして、笑ってられるのよ?」
「さゆ?」
「愛ちゃんがあんな目に遭ったのに、どうして・・・。」

道重さんは、立ち止まった二人を、潤んだ目で睨んだ。
亀井さんは、少しきょとんとしたあと道重さんの頭を撫でた。

「さゆ、可愛い顔が台無しだよ〜。ほらほら、笑って?」
「絵里、いい加減にいないと怒るよ・・・。」
「さゆにとってさ、愛ちゃんってどんな人?」
「えっ・・・?」
「愛ちゃんが今のさゆ達を見たらさ、どう思うかな?きっと悲しむよ。
 自分のせいでさゆ達を泣かせた〜って、愛ちゃんってそういう人でしょ?
 だからさ、笑ってるのが一番なんだよ。二度と会えないわけじゃないんだからさ。」

亀井さんは、子供に諭すように優しくそう言った。
151 名前: 投稿日:2008/05/10(土) 23:00
確かに、亀井さんの言うとおりかもしれない・・・。
高橋さんは、他人の気持ちを読み取るのが得意だから、すぐに感情移入する。
舞台の本を読んで主人公に成りきって、それで泣いてるのを見たこともある。

「ポケポケプゥなだけに、たまに的を得る発言するよね。」
「あ〜、ガキさんひどいな〜。」
「そういうことだからさ、笑ってろとまでは言わないよ。だけど、
 愛ちゃんってバカだからさ、さゆみん達がそんな顔してるって知ると、
 きっと自分を責めちゃうよ。だからさ、せめて泣かないでいようよ。
 愛ちゃんのことを思うならさ。」
「さゆ、絵里達の言うとおりかもしれんし、泣くのはやめると。」
「・・・そうだね。じゃあ、れいなが慰めて。」
「な、何でそうなるっちゃ!?」

道重さんが田中さんに抱きついて、田中さんは逆に引き離そうとして、
新垣さん達は笑って見てて助けようとはしない。
152 名前: 投稿日:2008/05/10(土) 23:01
いつものふざけ合い、みんな強い人達なんだね。
小春も、笑ってなくちゃ高橋さんに笑われちゃうよね。

「小春、何が食べたい?」
「小春はね〜、お寿司がいいかな〜。」
「そんな高いもの奢れないから!」

いつも通りにみんなで笑って歩く。
高橋さんを苦しませないためにも、高橋さんにも笑ってもらうためにも、
小春達は涙を流してたらいけないんだ。
高橋さん、またくるからさ、そのときはあのとびっきりの笑顔を見せてね。
153 名前:ais 投稿日:2008/05/10(土) 23:02
更新しました〜。
どうにも更新ペースを上げられなくて申し訳(ry
154 名前:ais 投稿日:2008/05/10(土) 23:07
>>たまさん
テンションを上げ切れなくてすいません(汗)
いつもとはちょっと違った展開って感じですかね。
れいなはたぶん現実でもこんな感じかとw

>>140:名無飼育さん
何が起きたというかここからが問題ですかね〜(謎)
ん〜前回よりもほのぼのなのかはどうかと思い(ry
今回はそれなりにリアルでやってるからですかねw

>>ウイングさん
憧れの人・・・・何にも考えてなかったです(汗)
まぁどうするかは今後の課題ってことで許してください。
今回のことによりどうなるかは次からってことでw
155 名前:たま 投稿日:2008/05/11(日) 08:28
ぬぉー…
愛ちゃん…

普段PPPなカメがなんというまともな発言をw

てか愛ちゃん
これでもしや夢が…

次回かなり楽しみに待っております!w

156 名前:無力 投稿日:2008/05/17(土) 23:16
高橋さんが事故に遭ってから三日後、小春は高橋さんの病室にいた。
高橋さんはまだ眠ってる。
小春は今日は学校だったんだけど、こういう事情だからって先生に話して、
お休みにしてもらったんだ。

新垣さんと亀井さんはお仕事で、道重さんと田中さんは試験があるっていうから、
終わってからくるんだって。
高橋さん、早く目を覚まさないかな〜・・・。
157 名前:無力 投稿日:2008/05/17(土) 23:18
お昼になったから食堂でご飯を食べて、病室に戻ろうと思った時だった。
階段の方から聞きなれた声が聞こえてきた。
階段を上ってきたのは、道重さんと田中さんだった。

「こんにちわ〜。」
「あれ、小春?」
「小春ちゃん、学校はどうしたの?」
「高橋さんのことが気になって、休んじゃいました。」
「そんなことで平気と?さゆみたいに赤点とるようになるっちゃね。」
「れいな、失礼ね。赤点ギリギりよ。」
「いや、それじゃまずいっちゃろ・・・。」

三人で笑って話しながら歩く。
高橋さんが事故に遭って、すごく辛かった。
だけど、みんな辛いけど、笑ってることにしたんだ。
そうでないと、本当に何も残らなくなっちゃうから。
158 名前:無力 投稿日:2008/05/17(土) 23:19
だから、小春もがんばって笑うんだ。
道重さんが先陣を切って高橋さんの部屋を開ける。
そして、そのまま固まっちゃった。

「さゆ、何で止まっとると・・・。」
「あ、愛ちゃん・・・。」
「「えっ!?」」

小春と田中さんも慌てて中を覗く。
そこには、高橋さんが上体を起こして、ぼーっと前を見つめていた。

その顔が、ゆっくりとこっちを向いた。
高橋さん、起きたんだ・・・。

「さゆ・・・?」
「あ、愛ちゃん!」

最初に道重さんが、高橋さんの怪我していない腕に抱きついた。
肩を震わせて、大粒の涙を零してる。
159 名前:無力 投稿日:2008/05/17(土) 23:20
小春達もすぐに高橋さんの傍に寄った。

「愛ちゃん!愛ちゃん、愛ちゃん・・・・。」
「さゆ、心配かけてごめんね。それに、れいなと、小春も。」
「愛ちゃん、起きたと・・・。」
「高橋さん・・・。」

あれ、おかしいな〜。
さっきまで笑ってられたのに、目がぼやけてる。
自然と涙が流れてくるよ・・・。

高橋さんにはまだ抱きつけないから、田中さんが肩を貸してくれた。
安心できたから、かな・・・。
とにかく、またお話しできるんだよね、高橋さん・・・
160 名前:無力 投稿日:2008/05/17(土) 23:21
少しして、簡単な検査をするからってことで、小春達は部屋を出た。
それが終わったあと、道重さんから連絡を受けた新垣さんと亀井さんもきて、
みんなで一斉に高橋さんに話していく。

小春も聞いてくれてるかわかんないけど、ずっと色々と話してた。
聞いてくれなくてもいいから、いっぱいお話しがしたんだ〜。

「みんな、あたしは聖徳太子やないんやから、ゆっくり話そう。」
「おっ、愛ちゃんの歴史好きが出た。」
「一番好きな人は、織田信長やけどね。」

アハハ、いつもの高橋さんだ〜。
織田信長って聞いても何した人だか忘れちゃったけど、そんなこと今はどうでもいいや。
今この時を楽しく過ごすのが小春だからね〜。
161 名前:無力 投稿日:2008/05/17(土) 23:22
時間はすぐに過ぎていって、小春達が帰る時間になっちゃった。
あ〜あ、もっといっぱい話してたいのにな〜。
まぁ、明日もまた朝からくれば・・・。

「小春、明日はちゃんと学校行くんやよ〜。」
「・・・は〜い。」
「小春、さぼるつもりやったやろ?」
「そ、そんなことないもん!」

む〜、バレちゃってたか。
仕方ない、明日は学校終わってからこよ〜っと。
小春達は荷物を持って、部屋の前に立つ。
だけど、新垣さんだけは高橋さんの前から動かない。
162 名前:無力 投稿日:2008/05/17(土) 23:24

「あれ、ガキさんは帰らないの〜?」
「ちょっと話したら帰るから、先に行ってて。」
「は〜い。愛ちゃん、またね〜。」
「バイバ〜イ。」

小春達は元気に返事をして部屋を出た。
さってと、明日は何を話そうかな〜・・・あっ!
大事なこと忘れてた!
途中まで歩いて、ようやく気付いた。

「小春ちゃん、どうしたの?」
「高橋さんに、お土産渡しそびれちゃったんで、一度戻ります。」
「わかったの。それじゃ、玄関で待ってるね。」
「は〜い。」

小春は足早に部屋に戻っていく。
163 名前:無力 投稿日:2008/05/17(土) 23:25
高橋さん、喜んでくれるかな〜?
病人なわけじゃないんだから、食べられるよね。
高橋さんの部屋に着いて、扉を開けようと思った時だった。

「ねぇ、ガキさんは聞いてるよね。あたしが完治するまで、
 どれくらいの期間が必要なのかってさ。」
「うん・・・全治三ヶ月、だってね。」
「ってことは、次の舞台、出れんよね。」
「・・・。」

高橋さんと新垣さんの話しが聞こえてきた。
ドアをそっと開けて中を覗くと、高橋さん達はまだ話してたみたいだった。

「まぁ、仕方ないか〜。なくなったわけやないし、一からがんばって、
 また戻ってこないといかんね。いや〜、大変やわ〜。」
「あのさ、愛ちゃん・・・。」
「ガキさんもさ、忙しい中、わざわざこっちにこんでもええよ。
 あたしはあたしでそれなりにやっていくから、絵里の面倒も・・・。」
「愛ちゃん!」

その声を聞いて、高橋さんがビクッと肩を震わせた。
164 名前:無力 投稿日:2008/05/17(土) 23:27
新垣さんは、優しく高橋さんの頬を撫でて、こう言った。

「あたしの前でまで、虚勢張らないでよ。あたしは愛ちゃんのパートナーでしょ?
 今はあたししかいないんだから、素直になろうよ。言いたいことを溜め込まないで、
 全部私にぶつけてよ。私には、それくらいしかできないんだから・・・。」
「・・・ねぇ、どうしてやよ・・・?」
「・・・?」
「何で、こうなっちゃうんやよ?この間まで、普通に舞台をやっていられたのに、
 ようやく、夢に届くってところまできたのに、あたし、何でこんなとこにいるの!?
 何で怪我してんやがっ!?あたしには、もう、舞台をやるなってことなのかな・・・?」
「愛ちゃん・・・。」
「一度落ちたらもう、二度と戻ってこれない。それがわかってたから、誰にも負けないように
 ここまで這い上がってきたのに、最後の最後で、こんなのって、ないよぅ・・・。
 あたしが何したっていうの・・・?舞台をとったら、あたしには、何も残らんで・・・。」
「そんなことない!そんなことないから!」

新垣さんは、そっと愛ちゃんの頭を抱きしめた。
高橋さんは新垣さんの胸に顔を埋めて泣いている。
165 名前:無力 投稿日:2008/05/17(土) 23:29

「大丈夫。私が傍にいる。愛ちゃんの傍にいるよ。愛ちゃんの気持ち、わかってるから。
 今は、いくらでも泣いていいからさ・・・。」
「うぐっ、ぅぅ、うあぁぁぁぁっっっ!!!!」

まるで、子供のように高橋さんは大声を上げて泣き出した。
高橋さんのこんな姿、初めて見た・・・。
さっきまでは、ずっと笑ってたのに、小春達に、心配かけないようにしてたんだ。
本当は、誰よりも悔しくて苦しくて、辛い思いをしてたのに・・・。
166 名前:無力 投稿日:2008/05/17(土) 23:29

小春はそっと扉を閉めた。
そして、その場に蹲って泣いていた。

小春は、何で無力なんだろう・・・?
何にも力になってあげられない。
小春は、どうすればいいんだろ?
小春ができることって、本当にないのかな・・・?
167 名前:ais 投稿日:2008/05/17(土) 23:30
本日の更新でした。
168 名前:ais 投稿日:2008/05/17(土) 23:32
>>たまさん
PPPだからこその発言ってことでw
さてさてここからどういたしましょうか・・・(謎)
まぁいつも通りなるようになれで(マテ
ってのは冗談でw物語は続きます。
169 名前:ais 投稿日:2008/05/17(土) 23:33
ttp://m-seek.net/test/read.cgi/dream/1211027817/

新しいスレを同じ板に作りました。
興味をお持ちいただけそうな方は何卒よろしくですm(_ _)m
170 名前:たま 投稿日:2008/05/18(日) 03:02
愛ちゃん…

夜中のぉ布団の中で涙をすすりました…w

愛ちゃんゃ小春のこれからスゴイ気になります!
待ってますぜw

171 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:20
高橋さんが目覚めてから、二日が過ぎた。
昨日は学校の用事があったってうそをついて、会いに行ってない。
高橋さんに、どんな顔をして会えばいいのかわかんなかった。
小春達の前では笑顔を絶やさない高橋さん、だけど小春達がいないとこでは泣いちゃってる。
小春にできること、ないのかな・・・?

「久住さん、次のところを読んで。」
「・・・。」
「久住さん。」
「あ、はい。えっと・・・。」

どこからだろ?
全然先生の話しを聞いてなかった。
仕方ない、謝れば許してくれるかな・・・。
って思ってると、隣の席のミッツィが、数字が書いてある紙を渡してくれた。
小春がいないうちに席替えがあって、ミッツィが隣になったんだ。
これって・・・ああ、ページ数と行数ね。
ミッツィ、ありがと。
小春は心の中でそう呟いて、教科書を読み始めた。
172 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:21
今日は午前中で学校は終わり、HRが終わったあと、小春は帰る準備をした。
帰る前に、高橋さんのところに寄っていくけどね。
何て声をかければいいのかわかんないけど、やっぱり会いたいもん。

「久住さん。」
「あ、ミッツィ。さっきはありがとね。」
「いえいえ。ところで久住さん、このあと用事とかあります?」
「ん、高橋さんのところに寄っていくよ。」
「そうですか・・・あの、愛佳もお見舞いに行っていいですか?」
「もちろんだよ!一緒に行こう。」
「はい!」

一人より二人、高橋さんもお見舞いは多い方が嬉しいよね。
正直なところ、小春も一人だと少し不安だったからさ。
ミッツィが一緒にきてくれるって聞いて、嬉しかった。
173 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:21

「ところで、お昼はどうします?」
「ん〜、考えてない。まだ道重さんも帰ってないだろうし、コンビニ弁当とかで済ませようかなって。」
「じゃあ、喫茶店に行きませんか?この前亀井さんがたくさん割引券をくれたんですよ。」
「ホントに?うん、行こう行こう!」

亀井さんグッジョブ!
亀井さんがいたら、一緒にお見舞い行くように言ってみようかな〜。
よし、小春も元気出さないと、せめて小春が笑ってないといけないんだよね。
高橋さんが元気になれるように、がんばらないと!
174 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:23
亀井さんが働いてるファミレスで、小春達は席を挟んで向き合ってご飯を食べてる。
最後の一口を食べて、満足満足!
亀井さんにお礼を言いたかったけど、今日はいないみたい。
今度会ったら言えばいいかな。
たぶん、小春の性格上、忘れてると思うけどね。
ミッツィも食べ終えたみたいだし、そろそろ行こうかな・・・そう思ってた時だった。

「あいつってさ〜、ホントにバカだよね。」
「自己管理できてなさそもんね。あそこのマネージャーもそうだけどさ。
 このまま消えてくれればいいのに。」

小春は、通路を挟んでいる隣の席の方をチラリと見た。
女の人が二人、声を上げて笑ってる。
175 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:24
別になんてことのない会話、だけどこの二人の姿が頭に引っかかる。
どこかで見たことあるような・・・。

「全くさ〜、こんな大事な時に事故に遭うとか、意味ないじゃん。」
「夢が叶ったとかぬかしてたけど、どうせ媚びでも売ってたんでしょ。」
「それ以外考えられないじゃん。あの程度だったら、私だってできるわよ。」
「まぁ、これであの事務所の方針も変わるでしょ。あんな女をメインにする必要ないってね。
 あの"高橋愛"が消えてくれて、本当によかったよ。」

ドクン

小春の心臓が一気に揺れた。
思い出した、高橋さんの舞台を見に行った時に、一緒に競演してた人だ。
176 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:25
同じ仲間なのに、そんな風に思ってるなんて・・・。
あの程度?
高橋さんほどすごい人なんて、小春は見たことない。
媚びを売ってた?
夜遅くまで練習して、寝る前にもちゃんと復習して、台本読んだりしてイメージ膨らませたり、
高橋さんがどれだけ努力して上り詰めたかも知らないくせに。
自己管理だってちゃんとしてる。
新垣さんと話し合って、キチンとした舞台ができるように体調を整えてるって聞いた。
高橋さんのこと、何にも知らないくせに・・・。

「それで、あんたはどうするの?オーディションやっとく?」
「相手が相手だからね。ここで上手くいけば十分すぎるほど有名になれる。
 やるに決まってんじゃん。それでいつだっけ?」
「あんたやる気があるわけ?あと二週間よ。」
「まぁ、余裕でしょ。あの女ができなかったことやるっていうのも面白いしね。
 悔しがる顔が目に浮かぶよ。」

小春は、これ以上聞くのが耐えられなかった。
許せなかった。
177 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:26

「ミッツィ、小春は・・・。」
「久住さん、行ってください。」
「えっ・・・?」
「愛佳も同じ気持ちです。高橋さんのことをあんな風に言われて、
 許せるわけないじゃないですか。やりたいようにしてください。」
「・・・ありがと。」

小春はテーブルの上にお金だけ置いて立ち上がる。
そして、小春は隣の席に近寄った。

ダンッ!

「高橋さんは、あんた達なんかに負けない!」

小春はテーブルを叩きつけたあと、そう叫んだ。
それで、二人を一度睨んで、すぐに店を飛び出した。
高橋さんの夢、小春が守る!
178 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:27
小春が走りに走ってついたのは、高橋さんのいる病院だった。
息を切らして足がガクガク、休みたいけど小春の思いは止まらない。
ジュースとか買いたかったけど、高橋さんの部屋まで直行した。

ガラガラ

「おっ、小春おかえり〜。で、ええんかの?」
「いいんじゃないの?それにしても、学校終わるの早いね〜。
 私達の学校なんか、毎日夕方まではあったけど・・・。」
「ガキさん、おばさんみたいやで。」

部屋で一緒にいた新垣さんと笑う高橋さん。
ただ、目は笑ってないような気がする。
179 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:29
顔はやつれてるみたいで、顔は青ざめてる。
目の下にも隈ができてるし、きっと眠れてないんだ。
やっぱり、ここは小春がやらなきゃいけないんだ!

「高橋さん、お願いがあるの。」
「何?お小遣いなら、さゆに頼んでほしんやけど・・・。」
「そうじゃないの。小春に・・・オーディションを受けさせてほしいんです。」

高橋さんの表情から笑みが消えた。
隣にいた新垣さんも驚いた顔してる。
180 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:32
少しして、高橋さんより先に新垣さんが口を開いた。

「小春、愛ちゃんから聞いたけど、オーディションはまだ・・・。」
「アイドルのじゃなくて、高橋さんの役のオーディションです。新垣さんも知ってますよね?
 高橋さんができなくなっちゃったから、その代わりの人を選ぶオーディションです。」
「・・・小春、どこでそれ、聞いたの?」
「どこでもいいじゃないですか。高橋さんができないなら、小春がやります。
 ほら、小春が高橋さんの弟子ってことなら、小春が認めてもらえれば、
 そのあとの本番では高橋さんができるじゃないですか。だから、小春にやらせてほしいんです!」
「いや・・・そうは言っても、そんな簡単なもんじゃないし・・・。」
「小春、そのためだったらがんばりますから!だから、小春に受けさせて・・・。」
「できるわけないやろ。」

そう言ったのは、高橋さんだった。
いつもより低い声で、初めて怖いと思えるほど、冷たい目で小春を見てる。
181 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:33

「どうしてあんたができんの?あたしが今までやってきてようやく認められたものを、
 小春ができるわけないやろ。あとたった三間であたしの代わりになる?できるわけない!
 あたしが今まで生きてきた全てを侮辱するつもりなんか?何もかもを舞台にかけてきたのに、
 それを今まで何もしてこなかった小春が認められるって、そんなことあっていいはずないやろ!」
「愛ちゃん、落ち着いて・・・。」
「あと二週間あるんなら、意地でも治してあたしがやるやよ!絶対に、あたしがやる!
 誰にも渡さない・・・っつ!」
「ちょっと、愛ちゃんだめだって!まだまともに歩けないんだから・・・。」
「やって!あたしやって、舞台に出たいがし・・・。」

高橋さんが顔を伏せて泣いちゃってる。
小春は、この間は何もできずに家に帰るしかなかった。
何にもできないって、思ってたから。
182 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:34
でも、小春はもう逃げないって決めたんだ。
一度決めたからには、最後までやらないと小春らしくないもんね。
しばらくして、高橋さんが泣き終えると、新垣さんがこっちを向いた。

「小春、ごめんね。今さ、愛ちゃんも精神不安定なんだ。わかってあげてよ。
 本心じゃないんだよ。」
「大丈夫ですよ。高橋さんの言うとおりだから。」
「小春がやりたいっていうなら、私から推薦しておくよ。オーディションでやるためのビデオも、
 私が準備してあげるから。だけど、そんな簡単に受かるとは思わないでね。」
「受かりますよ〜。なんといっても、高橋さんが教えてくれるんだもんね。」
「えっ?」
「あ、あたし、教えるなんて・・・。」
「じゃあ、小春もやんな〜い。」
「こ、小春!何そんなわがまま言って・・・。」
「だって、高橋さんが教えてくれないと意味ないもん。小春は高橋さんの弟子として出るんだから。」

小春の言葉に、二人ともポカーンと口開けて固まっちゃってる。
それでもかまわずに、小春は続ける。
183 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:36

「高橋さんができないなら、どうしようもないでしょ。だったら、高橋さんがどれだけすごい人なのか、
 それを小春は教えたいんだ。小春みたいな素人が、高橋さんに教えてもらったから受かったってことは、
 高橋さんの教えが実ったってことでしょ。高橋さんが何を伝えたいのか、何を届けたいのか、
 それを教えてもらわないとわかんないじゃん。違いますか〜?」
「・・・どこまでも身勝手だね、あんたは。」
「そうかな〜?これでも小春も大人になったと思うんですけどね。」
「小春、あんたはそれでええんか?」

高橋さんの言葉に、小春は大きく頷いた。

「小春、わかっとるの?そのオーディションの日は、小春のオーディションでもあるんやよ。」
「そ、そうだよ。小春、アイドルになりたんじゃなかったの?」
「チッチッチ、新垣さん、わかってませんね〜。」

小春は新垣さんに向けて指を振った。
184 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:39
あれ、間違ってるかな?
いや、合ってると思うけど・・・どうでもいいや。
新垣さんはご立腹みたいだけどね。

「ハァッ!?っていうか、その仕草むかつくんだけど!」
「小春はただアイドルになりたいわけじゃないもん。小春を見て、笑顔とか希望とか、
 とにかく楽しくなってもらえるように、そんな夢を与えたいんだ〜。じゃあもし、
 ここで小春がアイドルになって、高橋さんは楽しいですか?」
「そりゃ、楽しく見れるとは思うけど・・・。」
「うそだね。高橋さん、今回のことを引きずって、楽しくなれっこないよ。」
「・・・。」
「小春は、小春を見て誰もが幸せになれる、そんなアイドルになりたいんです。
 ここで高橋さんに笑ってもらえないで、小春の夢見たアイドルにはなれっこない。
 今は高橋さんに笑ってもらいたいから、今の小春ができることをする、それだけです。」

あらら、高橋さんがまた俯いちゃった。
どうやら小春についてこれなくなっちゃったみたい。
185 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:41
めちゃくちゃなのは、小春だってわかってるよ。
でも、もう止まらない。
目標ができたらどこまでも突っ走ってやるんだからね!

「小春、あんたの気持ちは嬉しいよ。やけど、あんたのオーディションはどうするの?
 その一日しかないんやよ。」
「チャンスなんて、一度っきりじゃないですよ。次に回すに決まってるでしょ!」
「あんたは前向きだね〜。どちらかというとノー天気って感じだけどね。」
「あ〜、新垣さん、小春のことバカにした〜!」
「だったら、少しは私の話しも聞きなさい!」
「新垣さんの話し長いんだも〜ん。」
「長いとかって問題じゃ・・・愛ちゃん?」
「クク、いや、ごめん。二人の会話が面白くってね・・・。」

口元を緩めて笑ってる高橋さん。
前みたいに優しい顔で、笑ってくれた。
どっちかっていうと、新垣さんじゃなくて小春のおかげだよね。
うん、間違いない!
小春だって、楽しませることできるんだよね!
186 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:42
それから、少しだけ話して小春は部屋を出た。
一日だけ時間をちょうだいって言われたから、明日まで待つことにしたんだ。
今日一緒にくるつもりだったミッツィに、謝っておかないとな〜。

病院を出たあと、高橋さんの病室を見上げる。
高橋さんの気持ち、小春も全然わかってなかったけど、今日は少しだけわかった気もする。
だけど小春も止まれない・・・あっ!
そういえば、明日高橋さんに断られたときのこと考えてなかった。
えっと、どうしたらいいのかな・・・?
まぁ、いっか。
だめって言われてもやってやるんだから!
小春らしく、やっていけばいいんだもんね!
187 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:43

「愛ちゃん、小春の話し、どうするの?」
「ねぇ、ガキさん。ちょっと外に出るの、手伝ってもらえんか?」
「別にいいけど、何するの?」
「あと、あたしの携帯持って。"あの人"と連絡を取りたいんやが。」
「愛ちゃん・・・小春に教えてあげるつもり?」
「今までいろんな経験をして、たくさんの人たちと出会って、中には上に上がっていく人もいるけど、
 大半の人は落ちていく。そんな人たちを見て、止まったら終わりやって思い込んでた。勝手にそう思って、
 あたしは逃げてただけかもしれんね。」
「愛ちゃん・・・。」
「でも、小春の目を見て、思ったやよ。あたしもあんな風に突っ走ってさ、
 いけるとこまでいってやるって思える強い意志、それを思い出したがし。
 こんな体でも、やれることやっとかんといかんわな。」
「そっか。愛ちゃんがそう思うんなら、それでいいんじゃないかな。」
「あたしの中でも、ここまでやってきたって奢りがあったかもしれん。
 あたし自身も見つめ直していかんとね・・・。」
188 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:43
今日は学校がお休みの日、小春は朝から病院に向かった。
っていうか、昨日の夜に高橋さんからメールがきてたんだよね。
小春は朝苦手だから、できれば昼とかにしてほしかったけど・・・ふわぁ、眠い。

病院について屋上に向かう。
何でかって屋上にくるように言われてんだよね。
屋上に着くと、先の方から高橋さんと誰かが話してる声が聞こえてきた。
189 名前:揺れない心 投稿日:2008/06/03(火) 09:44
小春が知らない声、最初はナースさんとかかなって思ったけど、
その人は私服だったからどうやら違うみたい。
一体誰だろ?

「高橋さん、おはよ〜ございま〜す。」
「ん、おはよ〜。さってと、小春もきたことやし始めるとしますか!」
「えっと、何をするんですか?」
「決まっとるやろ。小春が舞台に出るための特訓やよ。
 そんで、こっちの人が小春のスペシャルコーチね。」

高橋さんは満面の笑みでそう言った。
高橋さん・・・やる気になってくれたんだ!
よ〜し、やってやるぞ!
このときの小春は、とにかくがんばるってことしか頭になかった。
だから、これから始まる激動の二週間を知る由もなかった。
190 名前:ais 投稿日:2008/06/03(火) 09:45
更新しました。
物語は頭の中では終わってるけどなかなか筆が上がらずに
更新ペースが伸びません。
もし読んでくれてる人がいるようならお詫び申し上げ(ry
191 名前:ais 投稿日:2008/06/03(火) 09:47
>>たまさん
ちょっと泣ける話しも組み込みつつまた話しが変わって・・・って感じで
また次回も変わりますw
小春のキャラをもっと押し出せたらいいんですけど、
どうにもスランプなようで・・・ご了承ください(汗)
192 名前:たま 投稿日:2008/06/03(火) 10:44
さすが小春…
是非とも頑張って欲しいです♪
若干ガキさんの扱いがヒドいと感じるのは私だけでしょうか?w

しかしスペシャルコーチはいったい誰なんだろう…
193 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/07/19(土) 01:53
いやぁいいなぁ
個人的には最近のリアルでのラブラブっぷりからさゆれなが大好きでツボです
更新楽しみにしています
194 名前:小春の武器 投稿日:2008/08/11(月) 00:00

「藤本美貴。よろしく。」

高橋さんと話してた女の人は、簡単にそう言った。
藤本さん、か。
すごく綺麗で大人っぽい人。
高橋さんよりも年上っぽいかな。
この人が、小春のスペシャルコーチ・・・?

「この子が愛ちゃんの家に居候してるって子なの?」
「そうやよ。小春、自己紹介して。」
「は、はい。久住小春、高校一年です。好きな食べ物は梅干で、好きなスポーツはバレーボール、それから・・・。」
「ああ、美貴もバレーボール好きだった・・・って、そこまで聞いてないから。」
「でた!美貴ちゃんの伝家の宝刀、ノリ突っ込み。」
「別に宝刀にしてないって!愛ちゃんを相手にしてたらこうなっただけでしょ。」

ああ、なんとなくわかる気がする。
高橋さんのマネージャーさんの新垣さんも、すごく突っ込み体質だもんね。
195 名前:小春の武器 投稿日:2008/08/11(月) 00:01
小春もそのうちなったりしてね〜って、小春は突っ走る方だから無理かな。
そういえば、藤本さんは何してる人なんだろ?

「高橋さん、藤本さんは何してる人なんですか?」
「美貴ちゃんはね・・・何してるの?」
「そこで聞くのかよ。今はただのフリーターだよ。」
「ああ、美貴ちゃんらしくてええんやないの?」
「どこがらしいんだよ!?美貴は美貴の道を歩いてるだけだって。」
「美貴ちゃんはね、あたしの先輩やけど後輩なんやよ。」
「・・・?」
「だろうね。愛ちゃん、それじゃ意味不明だから。」
「う〜んとね、高校二年の始まり頃やったかな?一年浪人した美貴ちゃんが転入してきて演劇部入ってね、
 その時はあたしが部長になってたんやけど、あとから入ってきたのにあたしが後輩やからって
 命令ばっか言ってくる人でね、ああもう、あん時の美貴ちゃん最悪やったわ。」
「その時の話しは別にして、そのあとの話ししようよ。」
「そうそう、んでケンカしている内に認め合ったような感じかな。それであたしも美貴ちゃんと同じ事務所入って、
 美貴ちゃん一年くらいフラフラしてたから同期でさ、ああそん時にもフリーターやったね。」
「いいから、話しを進める!」
「そのあと一年くらいしたらやっぱ自分勝手に辞めちゃって、んで今またフリーターなんやよ。
 あらら、美貴ちゃんって本当にどうしようもない人やね〜。」
「君の方がどうしようもないと思うけど。」

ふむふむ、男の子達が殴りあったあとには分かり合うってやつだ。
青春してたんですね〜。
196 名前:小春の武器 投稿日:2008/08/11(月) 00:03

「わかってくれたようやから、本番に入るね。」
「弱冠間違って理解してるような・・・。」
「ええのええの。美貴ちゃんの実力は、性格除けば多分あたしが一番認めてると思うから、
 美貴ちゃんにこの子のコーチをやってもらおうと思うんやよ。」
「ねぇ、さっきから聞きたかったんだけどさ、コーチって何?美貴は何を教えるの?」

えっ、ちょっと待って・・・。
高橋さん、小春に教えてくれる人に藤本さんを選んだんだよね?
何も話さないで呼んだの・・・?

「あと二週間で、できるとこまで小春に舞台の技術を一から教えてほしいやよ。」
「・・・ちょっと待って。一つ一つ聞いていくから。」

藤本さんは、自分のこめかみに人差し指を置いて、傍を歩き回る。
197 名前:小春の武器 投稿日:2008/08/11(月) 00:03
こればかりは、藤本さんの行動の方が正しいと思う。
小春だったら、説明聞く前から絶対にやだ!って言っちゃいそうだもん。

「まず、コーチって何するわけ?」
「小春に女優のいろはを教えてほしいやよ。」
「二週間ってのは?」
「二週間後にオーディションがあるんやが。」
「一から教えろって?」
「口で言っただけじゃ、二とか三からとかで大差ないやろ?やったら、
 最初から美貴ちゃんが教えた方が・・・。」
「無理。」

藤本さんはあっさりとそう言った。
198 名前:小春の武器 投稿日:2008/08/11(月) 00:06

「たった二週間で一から教えて舞台できるようになれ?どれだけ無理を言ってるか、
 舞台のことを一番よく知ってる愛ちゃんの方がわかるでしょ?中途半端にやったら、
 観衆の嘲笑の的になるだけ。"あの時"、それを感じたのは美貴だけだったの?」
「・・・そんなことない。あたしやってむちゃやと思ってる。でもむちゃでもやるの。
 今できることをやっておきたいんやよ。あたしも、小春も後悔したくないんやよ。
 それを頼めるのは、あたしのことをよく知っとる美貴ちゃんしかいないの。
 お願い、あたし達の力になってくれないかな?」

藤本さんの顔をじっと見つめる高橋さん。
"あの時"っていうのが小春には何のことだかわからない。
でも、二人にとって何かがあったっていうのだけはわかった。
199 名前:小春の武器 投稿日:2008/08/11(月) 00:06
少しして、藤本さんは大げさにため息をついた。
それで、頭を掻いて小さく頷いた。

「わかったよ。愛ちゃんにはちょっとした"借り"があるからね。
 空いた時間でよければ、美貴も手伝ってあげるよ。」
「本当に!?美貴ちゃん、ありがとう!」

高橋さんが藤本さんに抱きつこうとするけど、足が折れてるからバランスを崩しそうになる。
小春がすぐに支えようと思ったけど、それより先に藤本さんが抱きとめた。

苦笑いしている藤本さんとは対照的に、高橋さんはすごい笑顔。
普段から笑顔の似合う人だけど、こんな高橋さんは初めて見たかも。
新垣さんや道重さんに甘えようとしているところを見たことはあっても、
それでもどこかお姉さんっぽいところは捨てなかった。
200 名前:小春の武器 投稿日:2008/08/11(月) 00:07
けど、今の高橋さんにはそれがない。
心の底から信頼してるんだろうな〜。

「美貴を雇うのはかまわないけど、それなりに高くつくよ。」
「うん!ご飯三食奢ってあげるやざ!」
「しょぼっ!まぁそれでいいや。愛ちゃんから金を取ろうもんなら、
 重さんに何言われるかわかんないからね。」
「基本的には、美貴ちゃんのバイトのない日と小春が学校終わったくらいやから、
 夕方頃からになるかな?できるだけ時間は作りたいと思うけど・・・。」
「あ、あの、高橋さん!」

小春が呼ぶと、高橋さん達が小春を振り向いた。
小春のことなんだから、小春も自分の意見を言わないとだめなんだ。
今はこれ以外に手を付けてられないから。
201 名前:小春の武器 投稿日:2008/08/11(月) 00:07

「高橋さん、小春はこの二週間、学校に行きません。」
「えっ、そんなのだめやよ。前にも言ったやろ。ちゃんと学校に行って勉強せんと、
 あとで後悔するって・・・。」
「勉強はやりたくないけどやります。ミッツィとか、みんなに教えてもらったりしてなんとかする。
 小春も、今だけは舞台だけに集中したいの。高橋さん、お願いします!」

小春は高橋さんに向けて頭を下げた。
先生とかに怒られたりした時じゃくてお願いするために頭下げたのって、多分初めて。
それだけ、小春もやらなきゃいけないことだって思うんだ。
やれるだけのことはやるって、高橋さんに教わったんだから。

「ん、わかった。あたしからもミッツィにお願いせんとあかんわな。」
「それじゃ、小春は・・・。」
「今度のテスト、赤点取ったらよしざーさんに補習させるで。覚えとくんやよ。」
「は〜い!」
「何、よっちゃんが何の関係あるの?」
「あれ、美貴ちゃん知らんの?よしざーさん、せんせーやっとるんやで。」
「はぁっ!?冗談でしょ?あのアホが勉強教えるとか・・・アッハッハ!」

藤本さん、大爆笑しちゃってる。
吉澤先生は面白い先生だと思うけど、藤本さんの知ってる吉澤先生ってそんなに面白かったのかな?
202 名前:小春の武器 投稿日:2008/08/11(月) 00:08
いや、学校のことは後回し。
勉強は、あとでミッツィにお願いすれば教えてくれるとは思うけど・・・
あとでメールだけしておこっかな。

「美貴ちゃん、いつからお願いできる?」
「あ〜、腹痛い。まぁ、明日からでかまわないよ。"あの舞台"の役をやるんでしょ?
 だったら美貴も覚えてるから、少し復習しとけば問題ないわ。」
「うん。じゃあ、悪いけどお願いね。あたしも早く動けるようにするから。」
「そんな簡単に治るもんじゃないでしょ。めんどくさいけど美貴がやってあげるよ。
 ところで、久住って言ったっけ?」
「あ、はい!」
「今からものすごくきつくてハードな特訓、思い浮かべてみなよ。」

ものすごく辛い特訓、か・・・。
えっと、とにかく文句言われてばかりで、ひたすらしごかれて、
何十回も同じとこやり直しさせられたりとか、うわ〜小春そんなの耐えられないな。
203 名前:小春の武器 投稿日:2008/08/11(月) 00:09
なんてイメージは掴めたけど、これでいいのかな?
小春的には最高級にやりたくないんですけど・・・。

「想像できた?」
「はい。」
「この二週間はそれが当たり前だと思いなよ。舞台に関しては愛ちゃんも甘やかさないからね。」

うぐっ、小春耐えられるかな・・・?
うん、やるだけがんばってみるしかないよね。
なんでもいいから、小春も何か武器を探さないといけないんだ。
高橋さんのためだけじゃなくって、小春のためにもやってみせよう!
204 名前:ais 投稿日:2008/08/11(月) 00:09
短いですけど更新しました。
205 名前:ais 投稿日:2008/08/11(月) 00:11
前回更新から二ヶ月も経ってしまいました。
もし呼んでいてくれる方がいるようであればごめんなさい。
転勤したのと現在刺客勉強中なので更新ペースは大幅に遅れるので
何卒ご了承ください。
スレは完結させる予定ですので長い目で見てやってください・・・。
206 名前:ais 投稿日:2008/08/11(月) 00:13
>>たまさん
はい、スペシャルコーチ登場です。
ガキさんはこんな感じでしょうw
愛ちゃんとか小春とかポケポケプゥの面倒見ないといけないから・・・(汗)


>>193:名無飼育さん
この二人はリアルで私も好きですw
ハロモニ見たりするとどうしても書きたくなったりしちゃいますね〜。
まぁ、この二人もぼちぼち出てくるんでまたよろしくです。
207 名前:たま 投稿日:2008/08/11(月) 04:48
おかえりなさい!
ずっと待ってました♪

これからも無理なさらず御自分のペースで更新してくださぃ♪

ぃゃぁスペシャルコーチは美貴だったんですねぇ(´∀`)
もう一人ニヤけながら読んでましたw
208 名前:たま 投稿日:2009/08/11(火) 18:21
今日で最終更新日より丸々1年…
たまはまだまだ管理人様を待っております!

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