屋根裏の手紙
- 1 名前:作者@ 投稿日:2005/04/10(日) 21:58
-
- 2 名前:作者@ 投稿日:2005/04/10(日) 22:01
- 庭の片隅に一本だけある桜の木の花がまだつぼみのある日
私は屋根裏の小部屋を整理をしていたら昔の手紙を見つけた。
いつの物だか分からないんだけど
ほこりだらけの古ぼけた紙の菓子箱の中に
その何十通もの手紙と共に少し黄ばんだ写真も入っていた。
- 3 名前:作者@ 投稿日:2005/04/11(月) 22:20
-
手紙のあて先を見ると
『藤本美貴様』
そう書いてあった。
それは私の母方のおばあちゃん宛の手紙だった。
差出人は・・・字が小さすぎておまけににじんでつぶれて読めないよ・・・
うちのおばあちゃん怪我をしたのがきっかけで
自分一人の力じゃ立てなくって、もう何年もずっと寝たきりの生活・・・
最近は少し痴呆も入ってきたみたいで今じゃずーっと老人ホーム暮らしだ。
近々我が家の近所にある今は誰も誰も住んでいないこのおばあちゃんの家を解体して
今度超高層マンションを作る計画があるそうで、その為に部屋の掃除をしていたのです。
その掃除の途中に私はおばあちゃん宛の古い手紙を見つけたのです。
私は掃除の手を休めてその手紙を読み進んでうちに
この手紙をおばあちゃんに見せてあげたいと思った。
- 4 名前:作者@ 投稿日:2005/04/11(月) 22:23
-
久しぶりに来るおばあちゃんのいるホーム。
何年ぶりだろうか?
私は正直ここは余り好きじゃない。
病院のような病院じゃないような変な空気が流れているからだ。
それに周りには沢山のお年寄りがいるからどうも苦手。
実は私・・・自分のおばあちゃんが苦手なんだよね・・・。
私が小さい頃よく怒られたという思い出ばかりで
あまり楽しかったという思い出が無いからなの。
『気難しいおばあちゃん』というイメージしか湧いてこない。
私は「112号」の部屋のドアをノックした。
「・・・・・・」
しかし中から返事は無い。
私はそっとドアを開け中を覗いたらおばあちゃんが眠っていた。
他に人は居なくおばあちゃんだけだったからどうやらここは個室のようだった。
きっと他の人とウマが合わないんだろうかな?・・・
でも今ここで眠っているおばあちゃんは、
あの気難しいというイメージのおばあちゃんではなく
とても優しい顔をして眠っていた。
- 5 名前:作者@ 投稿日:2005/04/11(月) 22:25
-
急に背後から私の肩をポンと叩く人がいた。
びっくりしてあわてて振り返るとその人は私を見てニコッと微笑むと
「あなた藤本さんのお孫さん?」
「あ・・・はい!あ・・・亜弥です・・・」
「亜弥ちゃんね!私はあなたのおばあちゃんの・・・
『藤本美貴』さん担当ヘルパーの石川梨華です。よろしくね!」
「あ・・よろしくおねがいします。」
ヘルパーなのに可愛い人・・・でも私のほうがもっと可愛いもん!
「今ね、藤本さんお昼寝の時間なのよ」
「そうですか・・・」
「起こしましょうか?」
「い・・いえ・・いいです!おばあちゃんに悪いし・・・」
「ううんそんな事無いと思うよ?」
「そう・・・でしょうか?」
「きっと喜ぶと思うよ?」
「でしょうか?」
「自分のお孫さんが面会に来て喜ばないわけ無いもの!
そばに行って話し掛けてあげてくれる?」
「あ・・はい」
「じゃぁ〜何かあったら呼んでね。」
「はい!ありがとうございます!」
私は大きくお辞儀をすると石川さんは
ヒラヒラと手を振り部屋から去って行った。
- 6 名前:作者@ 投稿日:2005/04/11(月) 22:27
-
「おばあちゃん・・・」
少し小さな声で呼んでみた。
やっぱりこんなに小さな声じゃ聞えないのかな?
そう思って何度か呼んでいるとしばらくしておばあちゃんは目を開けて
自分の目の前にいる人物を見て驚いた。
「おや?あんたは誰だい?新しい人かい?」
「え?違うよおばあちゃん!亜弥だよ!あ・や!」
「あやさんかい?どちらのあやさんですか?」
「もぉ〜ちがうよ!おばあちゃんの孫の亜弥だよ!」
「亜弥?・・・・・あぁ〜亜弥ちゃんかい?大きくなってぇ〜」
・・・やっと話が通じたよ・・・
弱々しく私の手を取るおばあちゃん・・・
おばあちゃんの手っていつの間にこんなに
シワシワになっちゃったんだろう・・・
私全然知らなかったよ・・・。
「亜弥ちゃん・・よく来てくれたね」
そう言うと私の手を握りブンブンと振った。
- 7 名前:作者@ 投稿日:2005/04/11(月) 22:29
-
私はさっそく話を切り出した。
おばあちゃんにも聞き取れるようにゆっくりとね!
「おばあちゃんあのね、この間ね、おばあちゃん家の屋根裏部屋の
整理をしていたらね、おばあちゃん宛の手紙を見つけたの!」
「手紙?」
「そう!これ!」
私はあの菓子箱を差し出した。
「あぁ〜懐かしいねぇ〜それはどこに?」
「だ・か・ら・屋根裏部屋だってば!」
「懐かしいねぇ〜」
おばあちゃんは箱を懐かしそうに撫でていた。
・・・もう!話全然聞いてないじゃない!!
私は菓子箱を開けおばあちゃんに手紙を差し出そうとしたその時
「ハラリ」と一枚の写真が布団の上に落ちた。
- 8 名前:作者@ 投稿日:2005/04/11(月) 22:31
-
「あっ・・・」
おばあちゃんがその写真を手にとり声を上げた。
「よっちゃん・・・」
「え?」
「この人はねおばあちゃんの大切だった人なんだよ・・・」
「ふーん」
「名前はねぇ〜・・・そう・・・吉澤ひとみって言ってね
おばあちゃんはよっちゃんって呼んでいたんだよ」
「え?なんだ・・・女の人だったんだ・・・亜弥てっきり男の人だと思ってたよ!」
「はは、そう見えるかもしれないね、でもこの人はかっこよくって可愛い人だったんだよ?」
「そうなんだ・・・この人今どうしてるの?」
「今ね・・・今かぁ〜」
- 9 名前:作者@ 投稿日:2005/04/11(月) 22:39
-
おばあちゃんの話によるとこんな話だった。
今から60年前の2005年頃の話。
当時おばあちゃんは20歳、私と同じ年齢だった。
おばあちゃんは若い頃フットサル?とか言うスポーツをやっていたんだそうです。
私にはよく分からないんだけど、今はバーチャルが当たり前の世界で
昔は体を動かして何かやる事を「スポーツ」って言ってたそうです。
今の時代の私たちには考えられないんだけどもね。
で、その時同じチームメイトだった人が吉澤ひとみさん(20歳)だったらしい。
吉澤さんとおばあちゃんはとても仲が良く
周りの皆からもうらやましがられるような間柄だったそうです。
今では同姓同士の恋人関係や結婚は何の障害も無く認められているんだけど
当時はまだそんなに認知されていなくっておばあちゃん達は
コソコソ隠れるようにして付き合っていたんだって。
おばあちゃんは吉澤さんの事がとても大好きで
吉澤さんもおばあちゃんの事が大好きだったんだって。
もともとジャーナリスト志望だった吉澤さんが
「いろんな国に旅行して世界中のいろんな事を知りたいんだ」
と言っておばあちゃんを置いて一人で旅に出たらしい。
泣いて止めたんだけども「今行かなくっちゃきっと後悔するから」って言って
旅立っていったんだそうです。
必ず手紙を書くって約束して・・・。
- 10 名前:作者@ 投稿日:2005/04/11(月) 22:41
-
約束通り吉澤さんから毎月のように手紙がきたらしいの。
その行く先々での風景や日々の話などの面白エピソードなど
ちょこちょことエッセイ風にまとめて写真も添えて送ってきていたそうです。
その手紙が私が見つけたあの手紙達って事らしいです。
おばあちゃんは毎回その手紙が届くのをとても楽しみにしていたようです。
吉澤さんが旅立って何年か経ったある日を境に手紙が届かなくなったそうです。
それはいつになくとても綺麗に桜が咲き誇る春だったそうです。
来る日も来る日もおばあちゃんは郵便配達の時間になると
玄関の前に出て待っていたそうです。
でも3ヶ月待っても半年待っても1年待っても
吉澤さんからの手紙は届かなかったそうです。
その間におばあちゃんにはお見合いの話が何回もあったそうですが
吉澤さんを諦めきれないおばあちゃんはずっと断ってきたそうです。
でも諦めかけた3年目の春に
おばあちゃん宛に1通の手紙が届きました。
それは吉澤さんの死亡を知らせる手紙だったそうです。
- 11 名前:作者@ 投稿日:2005/04/11(月) 22:45
-
その知らせを受けて急いで駆けつけたところもう葬儀も何もかも済んだ後だったそうです。
聞くところによると吉澤さんが亡くなってから3年経っていたんだそうです。
おばあちゃんの事を知ったのは吉澤さんの遺品を整理していて分かったそうです。
吉澤さんはある日突然始まったとある国の内戦に巻き込まれて亡くなったそうなんです。
遺体はどこの誰とも分からないくらいになっていたそうですが
旅立つ前におばあちゃんがプレゼントしたドッグタグで吉澤さんだって分かったらしいです。
きっとアレがなければ今でも生存さえ分からなかっただろうって・・・。
あんなにも帰りを待ちわびていた吉澤さんの死を知ったおばあちゃんは
自暴自棄になって何度も自殺未遂までしたそうです。
何度目かの自殺未遂の果てに入院していたおばあちゃんの枕もとに
ある日吉澤さんが立ったそうです。
- 12 名前:作者@ 投稿日:2005/04/11(月) 22:47
-
『美貴!何やってんだよ!?』
「よっちゃん!美貴もよっちゃんの所に連れて行ってよ!」
『それはダメだよ』
「どうして?』
『あの日美貴がくれたあのタグのおかげで
私がこうして帰って来れた事・・・美貴に感謝してる。
美貴には私の分も生きて欲しいんだ!
そして今度私と出会う時に・・・
私が居なくなってからの世界の様子を教えて欲しいんだ!
だから美貴には私の分も長く生きて欲しいんだよ!』
そう言ってニコニコ微笑みながら吉澤さんは消えちゃったんだそうです。
それっきりもう二度と枕もとに立つ事は無かったんだそうです。
夢でもいいから幽霊でもいいから会いたいと思っていた時に
外国からおばあちゃん宛に小包が届いたそうです。
それは死んだはずの吉澤さんからでした。
吉澤さんはイタリアに訪れた時、偶然に可愛いジュエリー店の前を通りかかって
その指輪に一目ぼれしておばあちゃんにって頼んだそうです。
予約が3年待ちの一点一点手づくりで製作に時間のかかる凝った造りのリングだったそうです。
そのリングが吉澤さんの手書きのカードと共に届いたそうです。
カードにはこう書かれてあったそうです。
- 13 名前:作者@ 投稿日:2005/04/13(水) 00:32
-
『愛する美貴へ
カッケー指輪を見つけたから美貴のために作ってもらったよ!
でも・・・指輪が出来るまで3年かかっちゃうけど、
この指輪が届いた時の君のビックリする顔が見たいから・・・
私もこの指輪が届くまでにもっともっと自分を磨いて
ビッグになってるはずだから、必ず美貴を迎えに行くよ!
ひとみ』
- 14 名前:作者@ 投稿日:2005/04/13(水) 00:34
-
それは3年前に予約した時に書かれたカードだったようです。
それを見た瞬間におばあちゃんは崩れ落ちたそうです。
無理も無いです。
だってそのリングを予約した後に吉澤さんは亡くなったのですから・・・。
私でも泣き崩れますよ・・・死んだ恋人からのプレゼントなんて・・・。
おばあちゃんはその指輪を今でも吉澤さんの形見として持ってるようです。
ちゃんと今も左手の中指にはめてありました。
なぜ中指なのかと言うと、その指輪・・・
少し大きかったらしく、左手の中指にしか入らなかったらしいです。
吉澤さんって案外そそっかしいんだね・・・。
でもおばあちゃんって愛されてたんだなぁ〜って
私も吉澤さんに会ってみたくなりました。
- 15 名前:作者@ 投稿日:2005/04/13(水) 00:35
-
その後おばあちゃんは両親の薦めるお見合いをして
最初にお見合いした人と結婚したんだそうです。
それが今は亡き私のおじいちゃん・・・。
そしておばあちゃんが私のお母さんを産んでくれたから
私が今ここにいるわけです。
ありがとうおばあちゃん・・・。
でもおじいちゃんはおばあちゃんに
「ずっと忘れられない人がいる」と言う事は知っていたそうです。
何でもおばあちゃんがお見合いの席でそんな話をしたそうです。
普通ならお見合いの話が流れる所なんだろうけど
『それでもいいから・・・俺は2番目でもいいから・・・』と言って
おばあちゃんと結婚したおじいちゃんがかっこいいなって思ちゃいました。
吉澤さんをいつも思い出していたいからって言って
新居の今の家の庭に桜の木を1本植えたそうです。
でも家の桜ってちょっと変わってて、どんなに暖かくても寒くても
他の桜の木が満開に咲き誇っている最中でもどうしてなのか
4月12日にならないと咲かないのです。
- 16 名前:作者@ 投稿日:2005/04/13(水) 00:37
-
私は何も言えなくなっていると
「亜弥ちゃんには好きな人はいるのかい?」
急にそう言ってきた。
おばあちゃんとそんな話をするなんて初めてだったんだけど
「うん!いるよ!とってもかっこいいんだよ!」
私がそう言うとニコニコしながら私の手を握り締めて
「じゃぁ〜今度連れておいで、おばあちゃんが亜弥ちゃんに相応しいかどうか見てあげるよ」
そう言って私の手を握り締めながらポンポンと撫でました。
「うん!じゃぁ〜今度連れてくるよ!約束だね!」
私は小さい頃おばあちゃんに教えてもらった『約束の儀式』の
小指をおばあちゃんに差し出した。
「亜弥ちゃん約束だよ!」
おばあちゃんも私の小指に小指を絡め指切りをした。
「うん・・・」
- 17 名前:作者@ 投稿日:2005/04/13(水) 00:38
-
「亜弥・・・私はね、
今度よっちゃんとちゃんと会うために
今まで手を抜かずにちゃんと生きてきたんだよ。
向うに行った時私がちゃんと生きてなかったら
きっとよっちゃん怒って会ってくれないかも知れないからね。
よっちゃんってそう言う人だから・・・。」
そう言うおばあちゃんの顔は少女のように見えた。
一頻り話し終わるとおばあちゃんは
「今日は沢山話をしたから疲れたよ・・・」とゆっくり目を閉じた。
しばらくおばあちゃんが寝静まるのを見守っていた時
急になぜか涙が溢れ出てきて止まりませんでした。
私は握っていたおばあちゃんの手をギュッと握り締めると
ポツポツと私の涙がこぼれておばあちゃんの手に落ちました。
すると眠っていたはずのおばあちゃんがギュッと私の手を握り返してくれました。
起きているのかと思ったけどやっぱり眠っていました。
- 18 名前:作者@ 投稿日:2005/04/13(水) 00:40
-
それから数日後、庭の桜が一気に満開に咲いた4月12日の朝
おばあちゃんは眠るようにして息を引き取りました。
これといって重症な病気にもかかっていなかったのにとても急な出来事でした。
あの話を私にした後まるで吉澤さんが迎えに来たかのようでした。
だっておばあちゃんの死に顔は少女のように可愛く微笑んでいるようだったから・・・
どんなに時代が変わってもお別れの儀式はいつも同じ…。
私はお棺の中に吉澤さんからの写真と手紙と
今年咲いた「吉澤さんの桜の木」の花びらを一緒にそっと入れてあげました。
おばあちゃん今頃天国で吉澤さんと会ってるのかな?
そんな事を思いながら煙突から流れるおばあちゃんの煙を見つめていまいした。
そんな私を急に後ろから誰かがギュッと抱きしめました。
- 19 名前:作者@ 投稿日:2005/04/13(水) 00:42
-
「がんばったねまっつー」
「ごっちん・・・」
ごっちんの顔を見た瞬間張り詰めていたものが
一気にガラガラと音をたてて崩れていってごっちんの胸の中で声を上げて泣いた。
ごっちんは私の頭をポンポンと撫でながら
「ごとうもまっつーのおばあちゃんに会いたかったなぁ〜
生きてる間に約束守れなかったね。
でもうちらもさ、今度まっつーのおばあちゃんに会う時に
恥ずかしくないようにちゃんと二人で生きていこうよ!
ね、まっつー約束だよ!」
ごっちんはそう言って私にぎこちなく小指を差し出した。
- 20 名前:作者@ 投稿日:2005/04/13(水) 00:44
-
・・・ねぇねぇ、おばあちゃん・・・約束したよね?
今度おばあちゃんに会う時ごっちん連れて行くって・・・
だから亜弥はおばあちゃんに会うその日まで
ごっちんと二人で一生懸命生きるよ!
だから見守っていてください。
終
- 21 名前:作者@ 投稿日:2005/04/13(水) 00:46
- こんな拙い駄文で申し訳・・・orz
- 22 名前:作者@ 投稿日:2005/04/13(水) 00:49
- 吉澤さん誕生日だったのに死人にしてしまい申し訳・・・orz
- 23 名前:作者@ 投稿日:2005/04/13(水) 00:50
- 隠すほどでも無いのですが・・・(;´д`)
- 24 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/13(水) 07:58
- 面白かったですよ
ジーンときました
続きというか、他にもお話はあるのかな?さりげなくお待ちしておりますので作者さんのペースで…
- 25 名前:ひすい 投稿日:2005/05/10(火) 10:14
- 。・゚・(ノД`)・゚・。 うえええん
あぁ・・・もう・・・あぁ・・・。泣きすぎ自分_| ̄|○
いい話だったです。。はぁ。。。ピュアだなー。
次回作も期待しておりますm(._.)m ペコッ
- 26 名前:作者@ 投稿日:2005/08/11(木) 06:54
- 放置していて申し訳・・・orz
とりあえず生存報告として・・・。
>>24 名無飼育さん
ありがとうございます。
近々うpさせていただきます。
もうしばらくお待ちください<(_ _)>
>>25 ひすいさま
そ・・・そんなに・・・
ありがとうございます。恐縮です。
次回作・・・近々ひっそりうpさせていただきます。
- 27 名前:ひすい 投稿日:2005/09/06(火) 15:23
- ゆっくりお待ちしておりますよ〜
- 28 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 03:55
- 突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
- 29 名前:作者@ 投稿日:2006/02/10(金) 03:25
- 何だか定期ログ整理されるとかで全然更新しなくってすみませんが、生存報告だけさせてください。
申し訳ないですが、本当に近い内に次回作らしきものを更新させていただきます。
>>27 ひすい様
大変お待たせいたして申し訳ございません。
前回8月に次回作を近日・・・と言いながら5ヶ月も待たせぱなしなんて・・・
本当にごめんなさい。
でも待っててくれる人がいるってわかるだけでがんばれるって気がします。
ありがとうございます。
今しばしお待ちくださいませ。
- 30 名前:作者@ 投稿日:2006/05/02(火) 14:55
- 久々に時間が出来たので
何ヶ月ぶりかに新作?らしきものを更新しておきます。
- 31 名前:作者@ 投稿日:2006/05/02(火) 14:56
- あれ?
名前がメ@になってますが・・・
作者@です。
- 32 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/02(火) 14:57
-
『あの夕日が沈む前に』
- 33 名前:あの夕日が沈む前に 投稿日:2006/05/02(火) 14:58
-
ピンポンピンポンピンポン!
けたたましく玄関チャイムが鳴る。
こんな風に鳴らすのはただ一人・・・・・・・彼女しかいない。
いつもいつもある日突然に急にやって来る。
- 34 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/05/02(火) 15:00
-
ドアを開けて中に入るのも、もどかしいと言うくらいに
いつものように一言も声を出さずに私に飛びつき熱い口付けを交わす。
口付けを交わしながら私は彼女の背中越しにあるドアに鍵をかける。
ドアの「カチャリ」と言う音を聞くか聞かないかの間に彼女はヒールを脱ぎ散らかして
いつものようにベッドルームまでやってくる。
壁に体を押し付けながらも二人の熱い口付けは止まない。
舌を絡め唇を吸いねっとりと舐られると、もうじっと出来ない位に身体中が熱くなってくる。
- 35 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/05/02(火) 15:01
-
お互い素肌にまとっている布がもどかしいぐらいに剥ぎ取るように服を脱いでいく。
一糸まとわぬ姿の二人の体は徐々にほんのりピンクに染まっていく。
壁に背中を押し付け立った姿勢のまま、唇を耳から首筋、鎖骨へと移動していく。
ギュッときつく抱きしめながらゆっくりじっとりと愛撫していく唇・・・
・・あぁっ・・・・・んんっ・・・・
時折覗かせる官能的な声がぞくぞくする程そそられる。
その声をもっと聞きたくて、もっと鳴かせたくてポイントに唇を落としていく。
- 36 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/05/02(火) 15:09
-
段々彼女の体から力が抜けていく・・・
そう・・・それはまるで操り人形の糸が切れるように・・・
背中を壁から離しベッドへ放り投げるように少し乱暴に・・・
・・・ゃん
少し乱暴にするとまた違った声で鳴く。
この声もスゴクスゴクそそられる。
だからいつも少し乱暴にやってしまうんだ。
そしてベッドの中で激しく、時には優しく二つの影が揺れる・・・
長いようで短いこの瞬間に聞く鳴き声がとても気持ちがいい。
しばらく可愛い彼女の鳴き声を聞いていたら
足を少し痙攣させるようにして・・・
そして静かになった・・・
どうやらイッてしまったようだ。
- 37 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/02(火) 15:10
-
満足したのか彼女は、事後処理をパパっと自分で済ませ
ササッと脱ぎ散らかした服を順番に着ていく。
その様子を私はじっとベッドで煙草を吹かしながら見ている。
逆ストリップショーを見ているようで愉快だ。
帰り支度の出来た彼女はゆっくりと私の方に近寄り
「じゃまたね」
とチュッと派手な音をさせ軽い口付けをして手をヒラヒラさせて帰っていった。
- 38 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/05/02(火) 15:12
-
いつもの光景だ。
いつからだろうか?
彼女とこんな関係になったのは・・・。
もうこんな関係が3ヶ月も続いている。
我ながら長く続いてるとそう思う。
彼女のご都合主義で、彼女がヤリたい時にだけ
私の都合は考えずに部屋に来るのだ。
出来れば来る前に連絡位欲しいのだが・・・
悲しいかないつも私が家にいる時に彼女が来るのだ。
私が居ない時にも来ているのだろうか?
まぁ、そんなことはどうでもいい。
- 39 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/05/02(火) 15:13
-
私と彼女は「体だけの関係」俗に言うセフレと言うやつなのか?
しかし私と彼女の間にそんな契約がなされた事は一度も無い。
かと言って別にお金を貰っているわけでも無い。
お金が絡むのならそれはそれでもっと楽しめるんだけどそうでもないし・・・
それに彼女にはちゃんと恋人がいる。
じゃぁなぜ彼女は私と愛の無い行為を続けるのか?
答えは簡単!
彼女の恋人がほとんど求めて来ないらしく欲求不満が溜まっていた所に
幸運にもと言うか不運にとも言うか、あいつと私は出会ったからなのだ。
- 40 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/05/02(火) 15:18
-
彼女と出会ったのは、たしか3ヶ月前の終電近くの列車の中・・・
明日は休日と言う事で少し遅くまで仕事をしての帰りの
1車両に2〜3人の乗客しかいない列車内で彼女と出会った。
- 41 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/05/02(火) 15:20
-
連日の仕事の残業疲れのためか、ウトウト眠っていた私は
列車が駅に止まった時の軽い衝撃で目を覚ました。
彼女は私の前に座っていた。
眠けまなこな状態で、たまたま目の前に座っていた彼女と目が合ったのだ。
すげー美人じゃん・・・
一瞬・・・魂を抜かれたような感覚に捕らわれた。
目は彼女を捕らえたまま離さず・・・いや離せなかった。
すると彼女は私ににっこり微笑む、私もつられて微笑んでしまった。
今思うとこれがいけなかったのかとも思ったが、
その時はそんな事は頭には無かった。
- 42 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/05/02(火) 15:22
-
彼女は私の目を見つめたまま組んでいた足をゆっくりと組みなおした。
思わず私は気付かれないように”ゴクリ”と生唾を飲み込むと
そのゆっくりと動く足に目が釘付けになった。
彼女の足は透明感がありとても綺麗な足だった。
あれはナマ足かな?
それともパンスト穿いてる?
そんな素っ頓狂な事を考えながら視線を上に上げると
彼女はにっこり微笑んだ。
私も思わず微笑むと彼女が急に席を立ち上がった。
足を見ていたことに対して何か文句をいわれるのかと
身構えようとしたところ、スッと何事もなかったように
彼女は私の隣に座った。
- 43 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/05/02(火) 15:24
-
心臓が『ドキリ』と凄い音を立てた。
彼女に聞えるんじゃないかと言うぐらいにね。
彼女は何も言わずにスッと私の腕に手を絡めた。
えっ?
一瞬驚いたが、
汚いオヤジではなく綺麗で可愛い女の人からこう言うことをされるのは
悪い気はしかったので、あまり気にしないで置こうと思った。
・・・酔ってんじゃねぇ〜のかこの人?
きっと酔うと誰にでも抱きつくんじゃないのかな?その程度だと思っていた。
普段ならさっさと違う車両に移動するのに、この日はなぜか体が動かなかった。
彼女は腕を絡めても何をするでもなく、別に話をするわけでもなく黙ったまま・・・
私から話始めて何か言われるのもしゃくだから
無言を貫こうと思い、気を静める為に私は目を瞑った。
するとじきに睡魔が襲ってきた。
やっぱ眠い・・・駅までまだ少しあるから寝よう・・・
私は眠りの世界に引きこまれそうになったその時
彼女は私の肩に顔を寄せて来た。
- 44 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/05/02(火) 15:25
-
また『ドキリ』とした。
今度は絶対に聞かれているに違いない・・・
そう思えば思うほど心臓はドキドキを激しく増して行くばかりだ。
いっそこの場で心の臓を取り出したい衝動にかられたぐらいだった。
またこの場から逃げ出したい衝動にかられてもいた。
- 45 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/05/02(火) 15:26
-
よく考えれば簡単な事だ!
私が今、この場所から立ち上がり違う車両へ異動すれば良いだけの事だ!
別にこの人の、この見知らぬ人のこう言うおかしな行動に付き合う義理はないのだ。
でもその時はそんな簡単な事が頭の片隅にもなかったのだ。
自分の心臓の鼓動を押さえなくては・・・
そればかりに神経が集中していた。
寝たフリをしながら必死に思う・・・
早く・・・早く・・・・早く駅に着けよ・・・
こうなるとそればかりが頭の中をグルグルと駆け巡っていた。
普段なら短い乗車時間も今日の今ばかりは何時間にも思える程だった。
- 46 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/05/02(火) 15:27
-
やっと列車が終点のホームに滑り込む。
私が降りる駅だ!
きっとここが終点駅だから彼女も下りるのだろうか?
終点と言ってもここで線路が終わりの終点ではなく、
私が乗った各駅停車の列車がここの駅までという意味での終点だ。
乗り変えればこの先も線路は続き、ずっとずっと向こうまで駅は続くのだ。
でももうこの時間はこれ以上先に進む列車はない。
するとやはり彼女がこれ以上先の列車に乗り換えるということは考えられない。
車掌が終点を告げドアが開く。
のそのそと数人の乗客が立ち上がりポツポツと駅のホームを歩いている。
私も立ち上がろうと隣の人に思い切って声をかけた。
- 47 名前:作者@ 投稿日:2006/05/02(火) 15:40
- えーっと、とりあえず今回の更新はこれまでです。
何だか文章間が読みにくい感じになってしまってますね、
すいません。
次更新からは、気をつけたいと思います。
作者@でした。
- 48 名前:作者@ 投稿日:2006/08/06(日) 12:31
-
定期ログ整理があるということで
生存報告させていただきます。
更新頻度が少なくて申し訳ないです。
近々更新させていただきます。
・・・と書いても誰も見ていないんだけどなぁ〜_| ̄|○
- 49 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/08/07(月) 14:47
- 見てるぞ ガンバレ
- 50 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:05
- 「あ・・・あのう・・駅・・・着きました・・・けど?」
彼女は私の肩から顔を動かし首をかしげるように私の顔を見つめた。
わっ・・・それ・・すんげー可愛いんですけど・・・
反則!減点1だよ・・・
(・・・って何の減点だよ)
彼女は何も言わずに私の腕に腕を絡めたまま立ち上がった。
おのずと私も引きづられるように立ち上がる羽目になる。
なんだよこれじゃぁ〜まるで私が抱きかかえられてる酔っ払いじゃん・・・
彼女はにっこり私に微笑みかけ
「じゃっ行こうか?」
そう言うと強引に私の腕を絡めたまま私を引っ張るように歩き始めた。
「ちょ・・・」
ちょっと待ってよ・・・強引じゃない?
- 51 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:06
- 改札で定期を差し込む彼女。
なんだここの駅から通ってるんだ・・・
不思議にそう思いながら私も定期を差し込んだ。
駅の改札を抜け、駅の外まで出ると彼女が言った。
「ねぇどっち?」
え〜っとこの場合これは何を聞かれているんでしょうか?
・・・こ・・・これはもしかして私の家の方角を聞かれてるのでしょうかね?
「えっと・・・私の家ですか?」
「他にある?」
私の顔を下から覗き込むようにして見つめる彼女。
他にって・・・一択ですか?
・・・あなたのお家はどこですか?
- 52 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:07
-
「えっと・・こっち」
仕方なく家の方角を指差す私。
もしかしてこの人は私の家まで来る気なのでしょうか?
- 53 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:07
-
駅から歩く事10分弱・・・・。
その間お互い一言も言葉を交わさずにただ前を向いて歩くのみ。
相変わらず彼女は私の腕に手を絡めているのだ。
振り切って走って帰れば済む話なのに・・・
やっぱり体が言う事を聞かない・・・
とうとう私の住むマンションに到着してしまった。
エレベーターで上がり、ある部屋の前にたたずむ私。
「ここなの?」彼女が言った。
コクリとうなずく私。
「じゃぁ〜早く、あ・け・て」
彼女が私の耳元でささやいた。
それだけでもう私はクラクラしてブルブルっと身震いした。
このドアを開けた後何が待っているのか?
夢のような出来事なのか?
それとも悪夢のような出来事なのか?
それともこれは夢なのか幻なのか?
むしろこの出来事は夢か幻であって欲しい・・・
出来ればドアを開けずにこのまま逃げ出したいような
そんな感覚にさいなまれていた。
- 54 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:08
- しばらくドアの前で固まっていると。
ツンツンと私の脇腹辺りを突付いて
「ねぇ〜は・や・く・・」と私の頬にキスをした。
『ド・キ・ン・』
また心臓が激しく鼓動を始めた。
心臓が激しく仕事をし始めた。
これは現実これは現実・・・怖い夢を見ても心臓は激しくなるけど
きっとこれは間違いようも無いくらいに現実だ!
このまま、この流れに飲み込まれたまま鍵を開けて、彼女を招き入れてもいいのだろうか?
それとも、彼女には申し訳ないが、ここでお引取り願うのがいいのだろうか?
- 55 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:09
- 私が鍵の入っているポケットに手を突っ込んだまま躊躇していると
彼女はやんわと私の首に手を回し引き寄せると
一部思考が停止している私の頭でもはっきりとわかるように
私の唇に口付けをした。
軽くついばむような優しいキスではなく
舌を絡ませて唾液の交換をする濃厚なキスだ。
しかも今それが行われているのは、私の部屋のドアの前で・・・だ。
いくら夜遅いからといってこんな姿を、近隣の住人には見られたくないし、
見せたくない!
絶対にだ!
私は慌てて唇を離すと、大急ぎで鍵を開けた。
私が扉を開けるよりも先に彼女が私を押しのけ扉を開けた
「フフ・・やっと開けてくれた」そう言うと彼女は
我が物顔でさっさと私の部屋に入っていった。
し・・しまった・・・やられた・・・
そう思った時はもう遅いのだ・・・何事も・・・
ワンクリック詐欺も振り込め詐欺も・・・
- 56 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:09
- 勝手に私の部屋の電気をつけ私のベッドの上に座っている彼女。
手には私の冷蔵庫から取ったのであろうスポーツドリンクのペットボトルが握られていて
ゴクゴクと彼女の喉が動いていた。
はぁ〜やられた・・・
私は鍵と鞄をポトリと床に落とし、そのまま床にヘタリ込んだ。
これじゃぁ〜ていのいい押し込み強盗だよ・・・
トホホと嘆きたくなった。
明日が休みじゃなきゃこんなの相手にしなかったのに・・・
明日が休みなばかりにこんな目に・・・
明日が休みじゃなきゃもっと早く帰ってたのに・・・
いつもは明日が休みだとうれしいのに、今日ほど明日が休みだと言う現実から逃避したくなった。
- 57 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:11
- 喉の渇きが潤ったのか彼女は私に、殆ど残っていないペットボトルを手渡した。
こうなったらヤケクソだ!
私は彼女の口をつけたペットボトルに口をつけて、残りを一気に喉の奥に流し込んだ。
「フフ・・可愛い〜」彼女が私を見てそうつぶやいた。
飲んでいた物を噴出しそうになるのを押さえて必死に飲み込んだ。
「な・・なにが可愛いんだよ」
これでもかと言うくらいの低い声でつぶやきながら、空のボトルを
”ドン”と大きな音を立ててテーブルに叩きつけるように置いた。
- 58 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:11
- 「なぁ〜に?怒ってるの?」
「怒ってるのって何も・・・普通・・怒るでしょ?」
「何だ、あなたも普通なんだ・・・」
彼女は残念そうにそう言うとベッドに伏した。
「は?・・・普通って・・・なんだよ?」
彼女はベッドにうつ伏したまま少しこちらを向き
「何でもない」
そう言うとまた伏せた。
- 59 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:12
-
なんだよ・・・
「つーか、あんた誰?」
「私は私よ」
「は?なんだそれ?
じゃぁ〜私はどこの誰ともわかんない人に、強引に押し入られたって訳だ」
はははと字に書いたように笑った。
すると彼女はムクリと起き上がりベッドから下りて
私の側までやって来て膝を立てて座り、そして私の手を取った。
「な・・・」
私が次ぎの行動を考えている間に彼女は、私の唇にまたキスをしてきた。
さっき玄関でした時よりももっと濃厚に・・・もっともっと舌を絡めてくる深く濃いキス・・・
まるで口の中に別の生物がいるんじゃないかと思うくらいだ・・・
段々私の頭の思考能力が低下していった。
- 60 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:13
-
気がつけば私は床に寝かされていた。
それでもまだ彼女からの一方的な濃厚なキスは続いていた。
やっと唇を離した彼女は私の耳元でこうささやいた。
「ねぇ・・セックスしようよ」
思考能力が低下していたはずの脳がフル稼働を始めた。
「は?何言って・・」
また唇をふさがれた。
えーい!もうどうなってもいい!
そう思って勢いをつけて体勢を反転させた。
私が上で彼女が下で・・・
勢いでそうなったのはいいけどそれから先が・・・・
いや経験が無いって訳じゃないんだけども・・・
だってどこの誰とも分からない人だよ?
普通そんな人とやっちゃってもいいものなのかな?
考えろ!考えろ!考えろ!考えるんだ自分!
脳をフル回転させて考えていたらニュッと下から彼女の手が伸びてきて
私の首に絡ませ、やんわと彼女の方へ引き寄せられた。
「ねぇ〜・・・ここじゃ痛いからベッドに行こうよ」
そう彼女が耳元でささやいた。
- 61 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:14
-
プチン・・・
私の中で何かが弾ける音がした。
彼女を抱き上げ少し乱暴にベッドに運ぶ
「ゃん・・もっと優しくしてよぉ〜」
そんな彼女のセリフが私の何かに火をつけた。
彼女の服を乱暴に脱がせ自分も脱ぐ
そして彼女の体に紅い印を沢山つけていった。
そのまま一晩中抱き合った。
何度も何度も・・・・。
私が彼女に触れる度に彼女は官能的なとても甘い声で鳴いた。
その声がとても耳障りがよく、心地よく、
自分の直ぐ側で聞こえているなんて思えず
本当はもっと遠くの方から聞こえているんじゃないかと思う程の
錯覚に陥っていくように私は彼女の鳴き声に酔いしれた。
- 62 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:15
-
気がつけば夜が明けていた。
一体あれから何時間抱き合っていたのだろうか?
結局まともに寝ていない。
フラフラと立ち上がりシャワーを浴びてからもう一度寝ようと思った。
シャワーから出て来ると彼女がシーツをまとってベッドの上に座っていた。
「わっ・・あっ・・・おっ・・起きたんだ・・・」
私があわてて彼女に声をかけると
彼女は裸のままベッドから下り私に近づいてきた。
「ねぇ〜私もシャワー借りていい?」
「え?あ・・い・・・いいよ・・」
私は目線を逸らして慌てて彼女に場所を譲った。
「タオルはそこにあるの使ってよシャンプーとか勝手に使って・・・」
「ありがとう」
彼女はニッコリ笑ってそっとドアを閉めた。
- 63 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:15
- 私はガシガシと頭をタオルで拭きながら
冷蔵庫から牛乳を取り出しコップに注いだ。
飲みながらテーブルの側に置いてある鞄から携帯を取り出した。
携帯を開きメールチェックをした。
未読メール3通。
どれもこれも皆同じ人物からだった。
- 64 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:16
- メールの返信を打っている時彼女が風呂から出てきた。
「彼女にメール?」
「ん?彼女なんていないよ」
私は目は携帯から動かさずにぶっきらぼうに答えた。
「何だ・・じゃぁ〜丁度いいわ」彼女がそうつぶやいた。
「つーか普通は、女の人に彼女がいるかなんて聞・・・」
私は携帯に向かっていた目を止めて、彼女の方を見て言葉が止った。
彼女はニコリと笑って”バッ”とタオルを広げ仁王立ちして、全裸姿を私に見せていたのだ。
彼女の体には無数の赤い印がまるで自分の存在を誇示するかのように点々と存在していた。
「ねぇ〜これ・・付けすぎだよ」
クスッと笑ってまたタオルをまとった。
「あ・・・や・・ご・・ごめん・・」
急にさっきまで行われていたであろう光景を思い浮かべてしまい、恥ずかしくなってうつむいた。
- 65 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:17
- 「あ、ぎゅ・・牛乳飲む?」
焦って話題を変えようと試みた。
「ううんいらなぁ〜い」
やんわと断ると彼女は我が物顔で私の冷蔵庫を開け
勝手にまたスポーツドリンクを手にとり、飲んでもいい?
そんな感じのジェスチャーをした。
「あ・・いいよ」と私がそう言うが早いか、彼女がボトルをひねるのが早いかのタイミングで、
スポーツドリンクは彼女の喉の奥へと消えていった。
後1本しか残ってないじゃん・・・
また買ってこなくっちゃ・・・。
なぜか別のことを考えていた
- 66 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:17
- 一息ついたのか彼女が私の側に引っ付くように座った。
「な・・なに?」私はちょっと身構えた。
すると彼女はクスクスと笑って
「さっきまであんなにベタベタ引っ付いて女同士であんなにエッチな事してたのに
”普通は女の人に彼女がいるかなんて聞かない”・・・だなんて言うのっておかしくない?」
クスクス笑いながら私のおなかの周辺をグリグリと円を書くようになぞった。
確かにそうだ。
私も悔しいのと、くすぐったいのとでクスクスと笑った。
- 67 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:18
- 「あっ!やっと笑った」
彼女は私の頬にチュッと音付きのキスをくれた。
少しビックリした私は話題を変えようと彼女に名前を聞いた。
「ねぇ〜そろそろ名前教えてよ」
すると彼女は私の口に人差し指を当ててこう言った。
「ひ・み・つ」
人差し指を言葉と同じように”ツンツンツン”と私の唇を弾き、
その後指を離して自分の唇をそっと私の唇につけた。
彼女は唇を離し、おでことおでこをくっ付けたまま私を見つめた。
「・・・なんだよそれ・・・」
そうつぶやく私に彼女はクスッと笑って言った。
「じゃぁ〜あなたの名前は?」
「え・・・・」
「な・ま・え」
くそう!そうきたか!?
きたないよなぁ〜自分は名乗らないくせに、人の名前は知りたいんだ・・・。
- 68 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2006/10/02(月) 18:18
- 「ねぇ〜名前は?」
私の首に手を回し唇と唇が触れ合うんじゃないかという距離・・・
「サヤカ・・・」そうぶっきらぼうに言うと同時に彼女の唇に口付けをした。
- 69 名前:作者@ 投稿日:2006/10/02(月) 18:22
- あれから2ヶ月経ってしまいましたが、
とりあえず今日の更新はこれだけです。
毎回少なくってどうもすみません。
>>49 名無し飼育さん
ありがとうございます。がんばります。
- 70 名前:ひすい 投稿日:2006/10/20(金) 05:43
- 嬉しい!!おかえりなさい
読めて幸せですよ〜。ゆっくり頑張ってください
気長にお待ちしてますので
- 71 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2007/05/03(木) 22:11
- 気が付けば裸のまま私はベッドに寝ていた。
でも上から薄手のブランケットがかけられていた。
起き上がり彼女を捜したけども居なかった。
帰っちゃったんだろうか?
そう思いふとテーブルに目をやると、
私の携帯にメール着信のランプが光っていた。
- 72 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2007/05/03(木) 22:12
- そう言えばメールの返信の途中だった事を思い出し、
携帯を開けた。
すると新着メールが1通あった。
なんだぁ〜またあいつか?
そう思いながらメールを開くと
それは「ひみつ」と名乗った彼女からだった。
- 73 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2007/05/03(木) 22:14
-
『サヤカ楽しかったよ♪
また来るねぇ〜
―名前はまだひ・み・つ―』
メールにはそう書かれてあった。
- 74 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2007/05/03(木) 22:15
- 「はー!?」私は大声を上げた。
楽しかったって・・・
また来るって・・・・
何だよそれ?
私とエッチ目的なのか?
よくわかんないやつ
出来ればもう係わり合いにはなりたくないよなぁ・・・
でも家の場所知られちゃってるしな・・・
メアドも知られてるって事は
きっとケー番も知られちゃってるよな・・・
何とかなるか?(・・ならないかも・・・泣)
- 75 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2007/05/03(木) 22:15
- 「はぁ・・・」
私はもう一度大声を上げる変わりに、大きな溜息をついた。
- 76 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2007/05/03(木) 22:16
-
- 77 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2007/05/03(木) 22:22
- 「はぁ〜!?何それ?」
私は慌てて口を塞いだ
「ちょっとアユ・・声がデカイ!」
「あ・・ごめん・・でも・・何それ?」
「私もよくわかんないんだよね」
それから私は、親友のアユミに連絡して、
私におこった出来事を酒の肴に、
晩ご飯ならぬ晩酌を兼ねて朝までやっている居酒屋に来ていた。
- 78 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2007/05/03(木) 22:24
- 「で、どうすんの・・・これから?」
目を細くして上から見下すような目で私を見てくる。
・・・怖ぇ〜!
「あ・・アユ・・もう酔ってる?」
「別に・・」
・・・別にって目が段々据わってきてるんですけど。
「ねー今からサヤの部屋行ってもいい?」
「え?あーうんいいけど・・・何すんの?」
「ふふーん・・・ナニするの」とニタニタ笑った。
「は?ナニって何?」・・・この酔っ払いが!
「ナニは何よ」と、相変わらずニヤニヤしている。
まぁ〜だいたい何が言いたいのかわかるけど
ここはあえてスルーを決め込む事に決定!
- 79 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2007/05/03(木) 22:26
- 先にお勘定を済ませてから
「さっ!行くよ!」
アユミの腕を手繰って立ち上がらせた。
「おーし!行くどー!!イーチ!」
と腕を上に突き立てながらフラフラしながら歩く。
・・・お前はアントニオかよ・・・
つーか何?
イーチって・・・いつの間に私の呼び名変わったの?
それともその後に、ニー!サーン!って続くの?
- 80 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2007/05/03(木) 22:27
- やっとの事酔っ払いを抱えながら部屋に帰ってきた。
もう汗ダクダクだ。
せっかくのほろ酔い気分も今の汗でパーだ!
完全に酔いも覚めちゃったよ。
もったいない・・・
相変わらずアユミは部屋の中でもウダウダ言っていた。
「おい!サヤ!」
酔っ払い様のお呼びです。
ったくサヤサヤって私は
さやえんどうでも刀のサヤでもないっつーの!
- 81 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2007/05/03(木) 22:29
- 「はいはい・・アユミお嬢様お呼びでしょうか?」
私は酔っ払い様の直ぐ側で正座した。
「おい!お前・・・ここでしたのか?」
そう言って視線の定まらない目で私を見ながら”バンバン”と
ベッドを手のひらで叩いていた。
「はぃ?」
「そのなんちゃらという女とここでやったのか?って聞いてるんだよ!」
・・うわっ!こいつ酒癖悪っ!
「おい!聞いてるのか?」
酔っ払いはグッっと私の胸倉を掴んできた。
「き・・聞いてますよ!そ・・そうですよ・・ここでやりましたよ!」
どうせ今話したとしても明日になれば覚えてない癖に・・・。
- 82 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2007/05/03(木) 22:35
- 急に酔っ払い様が立ち上がり
正座している私に抱きついてきた。
酔っ払い様の力は思ったよりも強く、
勢いよく私は正座したままアユミと一緒に
真後ろにきれいに倒れた。
『ボキッ』・・・私の足首の関節がなって太ももが伸びた。
「ぐわっ!あ・・足が!!!ボキッて言ったし!!」
足がボキっと音がなったその瞬間と同時に、
太モモもどうにかなっちゃったんじゃないか
そんな痛みに耐えながら涙目で
「足!足!」とそう叫んでいた時、
アユミが少しだけ体を起こして私を見た。
な・・ナニすんだよ!?
- 83 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2007/05/03(木) 22:39
- そう思って身構えていると急に、ガクッと紐を切られた操り人形のように
クニャクニャと私の体に落ちてきた。
そしてクークーと寝息を立てて寝始めた。
「なんだよ・・ビックリさせんなっつーの」
私はアユミの背中をポンポンと叩いてから、アユミの全体重の乗った正座したままの
自分の足を何とか外すと、そっと抱き起こしベッドに連れていき寝かした。
- 84 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2007/05/03(木) 22:40
-
「何でお前がそんなに、あの女の事気にすんだよ・・・」
そうつぶやきながらやさしく髪を撫で布団をかけた。
- 85 名前:作者@ 投稿日:2007/05/03(木) 22:45
- >>70 ひすい様
大変長らくお待たせいたしました!
久々に時間が出来たので少しですが更新しました!
こんなに更新が滞っていると色々思うこともあるのですが、
こんな作品でも待っていてくれる人がいると嬉しい限りです。
完結に向けてガンバリマス。
- 86 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/04(木) 01:53
- サヤカって事は市井ちゃんですか?!
相手はごま?とか勝手に想像してたり・・・
- 87 名前:作者@ 投稿日:2008/01/13(日) 06:09
- 保全します。申し訳ありませんが、もう少し書かせていただきたいので
残しておいてください。
>>86 名無飼育さん
相手は・・・残念ながら違いますが、
誰?とは、それはちょっとまだ・・・
- 88 名前:作者@ 投稿日:2009/08/07(金) 02:15
- 長らく放置していてごめんなさい。
久々に時間が出来たので少しですが続きを更新しますね。
- 89 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2009/08/07(金) 02:17
-
そうそう・・こんな事もあったよな。
彼女の・・・
ひみつちゃんの恋人を見たのはいつだったかな?
あれは確か・・・
あの衝撃的な出会いから数日後の
同じく仕事の帰りに列車に乗ってた時だったなぁ〜・・・
- 90 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2009/08/07(金) 02:20
- 夜の9時半頃の中途半端な時間帯で
結構空席がチラホラ見られる列車内
ボーっと駅に着くまで、
真っ暗な時折ネオンの光る車窓を眺めていたら
ふと一番端の座席に座る人に一瞬目を奪われた。
彼女だった。
- 91 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2009/08/07(金) 02:21
- 隣には恋人なのだろう、けっこうなイケメン君が隣に座って
にこやかに彼女の顔を見ながら楽しそうに話をしていた。
いや話をしていたというか一方的にイケメン君が彼女に話し掛けて
彼女は生返事を繰り返しているだけのようだった。
ふ〜ん・・・
ま、今の私には関係のないことだし・・・
何故だか今日の私はいつもに増して眠たい。
今の私に大切な事は、一秒でも早く家に帰って寝たい・・・
それのみだ
お願いだから誰も私の邪魔をしてくれるな。
- 92 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2009/08/07(金) 02:22
-
いつもよりも早い時間に床につき、
スヤスヤと眠りの世界へ旅立っていた時の出来事。
いきなり私の眠りを妨げる妨害以外の何者でも無い
私の部屋のチャイムがけたたましく悪魔の如くに鳴り響いた。
- 93 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2009/08/07(金) 02:23
-
ピンポンピンポンピンポンピンポン!
ダァ〜!!ったく誰だよ!?
せっかく人が眠り姫に会ってたと言う時に!!
超不機嫌モードでいきなりの訪問者に問う。
「誰?」
すると迷惑な訪問者は答える
「わ・た・し」
はぁ?誰だ?こいつ・・・
- 94 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2009/08/07(金) 02:25
- 「はぁ?私ってどちらの私さんでしょうか?」
「私は私よ!は・や・く・開けてよ!」
そう言ってドアをガンガン蹴飛ばしている。
私は私って・・・・あ・・もしかしてあいつ?
・・・しかも何であんたが逆ギレすんだよ!
こっちがキレたいよ・・・。
近所迷惑にもなるし、しょうがなく突然の迷惑の訪問者を中に入れた。
ドアを開けるといきなり抱きついてきた。
「ん・・なんだよ・・」思わず逃げ腰になる。
彼女は私の首に両手を回し息がかかるくらいの距離で私に言う
「ぅふっまた来ちゃった」
「何?酔ってるの?」
「うん・・・酔ってるの・・・あ・な・た・に・・・」
キャーっと言って顔を隠す。
恥ずかしいのなら最初から言うなよ。
そんなの言われたこっちのほうが数倍恥ずかしいよ・・・
それにそれ・・・キショイからさ・・・。
- 95 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2009/08/07(金) 02:27
- 私は顔をそむけながら答える
「何しに来たの?」
するとクスッと笑みをこぼしながら
「決まってるじゃないの・・・」
と悩ましい目で私を見つめながら指で私の頬から顎にかけてなぞる。
「え・・・・・・あ・・・あのね・・・」
ゾクゾクっと背筋を冷たいモノが通る。
「入れてくれる?」
彼女は私の顔を見ずに唇を見ながら言う。
「えっと・・・ど・・・どこに?」
そんな彼女の目を見て思わずゴクリと生唾を飲んだ。
「部屋よ・・・エッチね・・・」
今度は私の目を見てサラッと言った。
- 96 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2009/08/07(金) 02:28
- 私は目線を外しながら「え・・いや・・・あの・・・」
ってあれ?
もうすでに玄関から先に上がっちゃってるんですけど・・・
彼女は私を抱きしめたまま歩き始め、私は後ろ歩きを強いられた。
歩きながら彼女は私の唇と目を交互に見つめながら「なぁ〜に?」と言う
その彼女の仕草に”ドキリ”とした。
- 97 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2009/08/07(金) 02:30
- 「そ・・そういやさ・・・きょ・・今日さ、み・・見たよ」
蛇ににらまれた蛙状態の私の声はひっくり返りそうになった。
「見たって?」
彼女は唇から目を外し、上目遣いで私の顔を見た。
「で・・電車の中で・・・い・・イケメン君と一緒にいたろ?あ・・あれって彼氏・・だろ?」
「んーとぉ〜正確には、あれは彼氏じゃなくって彼女だよ」
彼女はニコリと笑った。
「はぁ?」なんですと?
「だ・か・らぁ〜彼じゃなくってか・の・じょ・」
私の唇にまた人差し指でポンポンと触れながらニコニコ笑ってそう答えた。
「か・・彼女って・・・」
何でそんなににこやかに言えんだよ・・・
「あら?・・恋愛に性別は関係なくってよ?」
「そりゃまぁ〜そうだけど・・・」
私が下を向くと、彼女は私からスッと体を離すと意地悪するような目をして
「なぁ〜んだ、そんな事気にするの?私とあんな事しておいて」
クスッと笑った。
- 98 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2009/08/07(金) 02:31
- 「いや・・あんなにイケメンなのに何が不満なんだろうってね・・・」
私は彼女の体が少し離れてホッとしたのも束の間
彼女はクスクスと笑って私の耳に口を近づけてこう言った。
「セックスがね・・・不満なの」
そう言ってクスクスと笑った。
「って・・もちっとオブラートに包んだ物の言い方出来ない?」
私は真っ赤になりながら言ったのに、
彼女は「出来ないよ」と綺麗に即答だった。
「あっそ・・・」
あまりにものあっさりと否定されたので拍子抜けした。
- 99 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2009/08/07(金) 02:32
- 彼女は続ける。
「顔がどんなに良くったって、優しくったって、愛があったって
体が合わなくっちゃ一緒にいてもつまらないでしょ?」
離婚の理由にもなるくらいだしね。
「いや・・まぁ〜そうなのかもしれないけど・・・」
「だから、サヤカとは体が合ったの・・・ただそれだけ」
「それだけって・・・」
彼女はまた人差し指で私の顎をポンポンと弾きながら言った
「で、部屋に入れてくれるの?くれないの?OKなの?それともNG?」
私はその質問の答えに迷った。
- 100 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2009/08/07(金) 02:33
- 「じゃぁ〜その前に約束してよ」
彼女と目を合わさないように少しズレた所を見ながら言った。
「何?」彼女は私の唇だけを見つめながら答えた。
「もし次ぎ来る事があったら事前に連絡してよ」
私なりのちょっとした賭けだった。
- 101 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2009/08/07(金) 02:34
-
「ムリ!」
即答だった。
「は?何で?たった1本電話するだけだよ?」
「だってしたくなったときが吉日だもの」
「は?」
・・・何だよ吉日って・・・
訳分かんないよ。
そして私は賭けに負けた・・・
きっと負けた・・・
そうに違いない。
もう訳分かんないよ・・・。
- 102 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2009/08/07(金) 02:35
- 「もうそんなことどうでもいいじゃない!
それよりも、は・や・く・しようよ!も〜私我慢できない〜」
そう言って無理やり部屋に上がり込み私をベッドへ引っ張る。
「早くって・・もう私寝てたんだけど・・・」
「じゃぁ〜丁度いいじゃない」
何が丁度いいんだよ・・・
そんな事を思いながら気がつけば私は
彼女の魔の手に誘われるように彼女の中に沈んでいった。
かぁ〜ダメだな・・・自分・・・・・。
- 103 名前:あの夕日が沈む前 投稿日:2009/08/07(金) 02:38
-
それから事ある毎に、彼女は急にやって来ては、
する事だけして帰っていくようになった。
何なんだよ・・この関係って・・・・・まぁ〜いいか。
いいのか?それで!?
でもいいかげん名前くらい教えてくれてもいいのに・・・
(そっちかよ・・・)
- 104 名前:作者@ 投稿日:2009/08/07(金) 02:42
- 超短いですが、今回はここまで。
続きなんですが、もうちょっとひねってみたくなったので
次回更新は、いつになるかわかりませんが、倉庫行きにならない限り
がんばって更新していきたいと思っていますので、
その旨よろしくお願いします。
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