舌足らず
1 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/01/25(火) 22:38
狼であれこれ書いていた者です、が。
飼育でもあれこれ書こうと思い、来ました。
2 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/01/25(火) 22:40
3 名前: 投稿日:2005/01/25(火) 22:43
<序>

亀井絵里の祖母が行方不明になってから半年が経った。
梅雨も明け、いよいよ暑くなってきた、
その頃に買い物に行ったきり、帰って来ないままだった。

「何処に買い物に行くと言っていたのか?」
絵里は何度も聞かれた。祖母が出掛ける所を見ていたのは彼女だけだった。
絵里は聞かれる度に首を傾げる。そうやって思い出そうとする。
警察はじっと絵里の言葉を待つが、結局、最後に彼女は首を横に振るのだった。

「何度も何度も同じ事を繰り返して……。痴呆だよ、痴呆。ぼ・け。」
「でも、あの子まだ十五か十六でしょう。」
「居なくなった婆さんの事だよ。」
「ああ。まあ、そうでしょうね。」
少年は絵里の家から出ていく警察の会話を聞いた。

祖母が行方不明になってから、絵里は元気を無くした。
「きっと大丈夫だよ。」
「うん……。」
慰めている内に二人の仲は親密になった。

いつもの様に出ない答えを求められた疲れで、
こたつの中でうたたねをしかけていた絵里だったが、呼び鈴の音を聞いてすぐに目を覚ました。
「絵里、友達が来たよ。」
4 名前: 投稿日:2005/01/25(火) 22:44
「また……?」
「うん。考えたけど、やっぱり思い出せなかった。」
「その事なんだけどさ……。今から新垣の家行かない?」

新垣の祖母の話は学校でも有名だった。
「何かを探してる時、ババちゃんと一緒に探すとすぐ見つかる。」

「聞いてみるだけでもさ……。」
「うん……。」

絵里の祖母はそれから一週間後、ドブ溝にはまり込んで死んでいる所を発見された。
体は殆ど腐っていた為に、夏には死んでいた事が分かった。
変質者にでも殺されたのだろう。

絵里はますます元気を無くした。
少年は絵里を新垣の祖母の所へ連れて行った事を後悔した。
しかし、見つけるのが遅かれ早かれ絵里の祖母は死んでいたのだ。

少年が思い返すのは彼女の「狭い所で動けなくなっている……。」という言葉ではなく、絵里を見る目だ。
そこにあった露骨な不快感。まるで虫や爬虫類を見る様な目。
あの目は一体何だったんだろう。
5 名前: 投稿日:2005/01/25(火) 22:46


━━━━血を吸うしたたり━━━━
6 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/01/25(火) 22:48
今日はここまで
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/25(火) 23:40
ho
8 名前: 投稿日:2005/01/27(木) 03:07
<一>

「どうしたの?」
「どうしたの?」
少年は聞かれた言葉をそのまま繰り返した。
冷たい風が舞わせた黒い髪は、そのまま少年が見つめている絵里の首に巻きついた。

「何か跡がついてる。見せて。」
髪を除けて覗いたそこには小さな凹凸が広がっていた。少年は凹凸の点を指で触れてみる。
ひんやりと硬くざらついた感触の点は、全体で線になり絵里の首を取り囲んでいた。
喉がほんの少し盛り上がり、指の下を唾液が通過する。

「もういいでしょ。」
絵里は少年の指を払った。
「怒らないで。」
「怒ってないよ。くすぐったいの。」
「それって痒いの?」
「うん。……昔の病気。治ったはずなんだけど。」
「良くなるといいね。」
9 名前: 投稿日:2005/01/27(木) 03:08
少年は凹凸と喉越しの唾液の感触が残る指をポケットに入れた。
「寒いね。」
「わざわざゴメンね、今日。」
「いいよ、気にしないで。……あのさ、服はこのままで行っていいんだよね?」
絵里はそれに対してうなずいた後、呟く様に言った。
「ねえ、死んだらどうなるのかな……。」
少年はしばらく絵里の顔を見て言葉を選んだ。
澄んだ鐘の音が鳴り響く。それに誘われる様に少年は言った。
「……産まれる前に戻る、と思う。」

絵里はしばらくその言葉を頭の中で繰り返していたが、改めて鐘の音を思い出し慌てて言った。
「あ、次の授業体育だった。急いで着替えないと。」
「じゃ、帰り新垣と待ってるから。」
「うん。ごめんね。」
「いいってば。」

屋上を校舎へと繋ぐ通路に向かって二人は駆け出した。
10 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/01/27(木) 03:09
今日はここまで
11 名前: 投稿日:2005/01/27(木) 23:15
<二>

張り詰める空気はとても冷たく、少女達の短パンから伸びる足を紅潮させていた。
その色合いはジャージを着た体育教師の話す時間の長さと比例する。
体育館の重い扉を開ける音が目立って大きく聞こえた。
教師は言葉の標的を、静まり返って話を聞いている生徒達から扉の前に立つ絵里へと変えた。
「遅れて来た奴は体育倉庫の片付けをしろ。」

シューズがキュッキュッと床を鳴らす音を絵里は聞いていた。
ぼんやりと、遠く響く。まるで鳴き声の様だ。
生物の産声。何の生物だろう。自分には確認出来ない。
絵里は両膝を抱えて、その隙間にゆっくりと顔を埋めた。

「いつまで片付けてるんだ?」
教師は体育倉庫を見渡したが、絵里の姿はなかった。
懲罰から逃げた彼女を叱りつける言葉を探しながら、教師は授業に使う為に跳び箱に手をかけた。
跳び箱の段を崩すと、中で絵里が体を丸めていた。
12 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/01/27(木) 23:16
今日はこれだけ
13 名前: 投稿日:2005/01/29(土) 02:10
<三>

黒板を叩くチョークの音が教室に響いている。
教師の傍らに立ち、少年は黒板に描かれていく数字を目で追う。
並んだ数字は不自然な形で宙ぶらりになっている。
チョークを唐突に止めると、教師は無言で少年を見てうなずいた。
少年はチョークを取ると、数字を自然な形に戻しはじめた。

「……出来ました。」
「おい、お前ふざけてるのか。ちゃんと書け。」
並んだ数字はあるべき所に納まり、その秩序を取り戻していたが、
どれも歪にねじ曲がっていた。

教師が厳しい口調で話す間も、
少年の利き腕の指はポケットの中で絵里の首の感触をまとっていた。


続く
14 名前: 投稿日:2005/01/29(土) 22:19
<四>

太陽が落ちて着ている洋服の黒い色が更に重く染まっていた絵里に、制服のままの新垣が話しかける。
「じゃ元気出しなよ。あたし達帰るから。あれ?」
新垣は周りを見渡し自分以外の学生服を探す。
その様子を弔花の陰で見ていた少年は、ばつが悪そうな表情をして二人の前に姿を見せた。
「何でいなくなってんのー。帰るよ。」

「大丈夫?」
絵里は口元にだけ笑みを見せて、少年に小さくうなずいた。

早足の新垣のすぐ後ろをとぼとぼと歩きながら、少年は何度も絵里の家のある方角を振り返った。
薄い門灯の小さな明かりを、その前を行き交う喪服が点滅させていた。
その次の瞬間、突然に一際大きな光が広がった。次いでエンジン音。
少年の真横を薄闇を切り裂くヘッドライトの光と共に、霊柩車があっという間に走り抜けた。
15 名前: 投稿日:2005/01/29(土) 22:20
「侍。」
余光に照らされた新垣が振り返って何か言っているのを見て、
自分が立ち止まっていた事に気付いた少年は、すぐに新垣の元に駆け寄った。
「え?ごめん、何だって?」
「ほら、ババちゃんがカメちゃんを見た時の事。気にしてたでしょ。何か変な目してたって。」
「ああ。」
「へび。へびっぽいんだって。でもカメちゃんには言わない方がいいと思って君に言ったんだけど。」

絵里を乗せた霊柩車はもう視界からとっくに消えていた。
不意に冷たい風が起こり、少年は思わず手を入れたポケットの中で、今日触れた絵里の首のざらついた感触をまた思い出した。
火葬場に舞う粉は絵里の首にどの様な影響を与えるのだろうか。
16 名前: 投稿日:2005/01/29(土) 22:27
<五>

重い耐熱扉の奥で体は灰と煙に変わっていく。
霊柩車の中から見た火葬場の煙突の先端は、夜の闇に埋もれていたはずだったが、黒く煤で汚れている事がはっきりと分かった。
それは止まる事なく吐き出されていた白い煙のせいだったかもしれない。
紺野あさ美は、レンジの中で食べ物の盛られた皿が橙色の光に照らされてゆっくりと回転している様子をじっと見ていたが、
暖め終わった事を知らせる音をより自分に印象付かせて、その澄んだ喜びを深く味わう為にあえてレンジの前から離れてみた。
待合室からは煙突が見えない。それは建設者の設計意図に違いなかった。
親族には見せる事の出来ない何か、親族にしか気付きようのない何かが、その煙を通じて見えるのだろう。
焼却炉の奥、何度も直角に折れ曲がる排気管は一直線なので迷いはしないが、
手足を伸ばす空間の余裕は無く、管の四方はこびり付いた煤でやっぱり汚れている。
作動した冷却装置からの風に押されながら身をくねらせ腹這いにゆっくりと進んでいく。


続く
17 名前: 投稿日:2005/01/31(月) 01:37
<六>

思春期特有の潔癖性的な違和感。毛。自慰時の焦燥感。

喉仏が出て声が低くなる。毛が濃くなる。背が伸びてくる。体に筋肉が付いてくる。
矢口真里の腕と足を太くした、辻希美に腕力をつけた、加護亜依の乳房を大きくした栄養素は何なのか。
牛乳を飲んだ後の口元の“ヒゲ”が目立つ様になるのは、
そこに可笑しさを含んではいるが柔らかい毛(産毛)から硬くしつこいそれへの変化を表していて、どこか憂鬱も秘めている。

慣れない手つきで口の周り、そして喉に剃刀を滑らせる。洗面器に溜めた湯が赤く染まった。
絵里の首の感触が残る指で、ひりひりと疼く喉を触れてみる。
絵里の首の感触が残る指についた、てらてらと光る血を舐めてみる。
絵里の首の感触が残る指で、ひくひくと呻く陰茎を触れてみる。
18 名前: 投稿日:2005/01/31(月) 01:39
精液を拭き取ったティッシュをトイレに流しため息をついた。
「あんた部屋で何か飼ってるの?植物の臭いがするわ。」
窒息する。
「たまには一緒にご飯食べなさい。」
窒息する。

夜の帝王が少年に囁いた。

男は痛みを感じるのが遅すぎる。男は感傷的になるのが遅すぎる。
校舎をいち早く赤く染めるのは青春の夕陽ではなく経血だ。

お前が見ているのは月ではない。向こう側の光だ。空にあいた穴から光が洩れているのだ。

気付けば少年は絵里の祖母が死んでいたドブ溝の前に来ていた。
その狭いコンクリートの溝には白く半透明の甘い匂いのする粘液が沢山ついていた。
19 名前: 投稿日:2005/01/31(月) 01:41
<七>

祖母が死んだ溝、白い半透明の粘液が染みついたコンクリートの壁を見つめながら、絵里が考えた自慰に適した場所。
浴室。
浴槽。
排水口。
トイレ。
便器。
靴箱。
靴。
玄関の鍵穴。
隣家との隙間。
自動販売機の小銭口。
満員電車。
乗客の肛門。
膣。
子宮。
陰嚢。
20 名前: 投稿日:2005/01/31(月) 01:43
<八>

五歳の少女が「自分の息子に会いに行きたい。」と言い出した。
両親はふざけた冗談だとして相手にしないでいたが、あまりに真剣に同じ事を繰り返し言うので娘の言う事を聞いてみることにした。
少女は今まで一度も乗った事がないはずの電車を迷わずに乗り継ぎ、郊外の片田舎にある農村を訪ねた。
少女はある一軒家を指し示し「ここが私の家。」と言い張った。
しかし本当に両親を驚かせたのは、その近所に住む住人の名前を少女が次々と言い当てた事だった。
流石に気味が悪くなった両親は、その家を訪ねるのを止めてすぐに少女を連れ帰った。

>りんね(戸田鈴音)2002年卒業。
>あずさ(小林梓)1999年脱退。その後“林華鈴”と改名して「飼育病棟 初めての白衣」他に出演。
>ひろみ(柳原尋美)1999年7月16日死去。
21 名前: 投稿日:2005/01/31(月) 01:44
<九>

人間の胎児は産まれるまでの間、一つの長い夢を見ている。それは記憶でもある。
魚も蜥蜴も蛙も大元の細胞は同じ形、たった一つの真ん丸い細胞だ。
自身の祖先である、その単細胞式微生物が、数十億年の時間をかけて人間の姿、
つまり胎児自身の姿に進化する過程を夢の中で追体験するのである。

>市井紗耶香が妊娠五ヶ月で結婚していた事が分かった。お相手は吉澤直樹。
 モー娘時代の所属事務所では「報告は受けていません。おめでとうございます」としている。
22 名前: 投稿日:2005/01/31(月) 01:45
<十>

「おい。」「なあ、お前の婆さん、変態にレイプされて殺されたらしいな。」「逃げるなよ。」
「お前さ、田中が引っ越した理由知ってる?」「知らない訳ないじゃん。自分が一番よく知ってるでしょ。」
「なあ、お前の首って何でそんななの?」「ウロコみたいだな。」「おい。お前、見てないでこっち来いよ。」
「お前さ、こいつと付き合ってるんだろ?」「マジで?ウロコ伝染るんじゃねえの?」「キスとかした?ちょっとやって見せてよ。」
「何で嫌がってるの?やっぱ伝染るの怖いんじゃないの?」「やれって。」「うわ、キモイ。マジでやってるし。」
「ちょっと興奮してるのが超ウケるんだけど。」「もっとやれよ。あっ。」「あっ。」「あっ。首に噛みついた。」
「あっ。」「あっ。血だ。」「あっ。」「あっ。大変だ。先生呼んでこい。」「あっ。」「あっ。」
23 名前:十一 投稿日:2005/01/31(月) 01:46
<十一>

「世界は弱肉強食であり、身の周りには様々な危険が待ち構えている。
 そうした危険から身を守り生きていく為にはどうすればいいか。擬態というのがある。
 自分の体を他の何かに似せる。例えば石や木の枝、葉っぱといった静物。弱い生物はそうして身を守って生きていく。
 毒を持っている生物は原色の様な派手な色でそれをアピールする。これを警告色と言う。結果、彼らは警戒されて襲われない。
 毒を持っていない生物でも、こうした生物に似ている色を持った種類がある。これも先に言った擬態と同じ。
 警告色に擬態する事によって身を守っている。彼らはまるで手品師の様に華麗なトリックを駆使して擬態する。
 彼らを見つけるのは、とても困難だ。逆に言えば擬態する彼らにとって、手品のトリックを見破る事など造作もない事なのかもしれない。」

カメレオンは籠の中からのろのろと這い出すと、左右の目玉をバラバラに動かした。
器用に使い分けられた両目からの情報は、それぞれ脳に伝達されて獲物の存在を認識した。
そして、舌が螺旋状に折りたたまれている口をゆっくりと開けると、一瞬でその舌を伸ばしてそこにあった蛇の卵を呑み込んだ。
24 名前:━━━━血を吸うしたたり━━━━ 投稿日:2005/01/31(月) 01:47
25 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/01/31(月) 15:39
 
26 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/01/31(月) 15:40
 
27 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/01/31(月) 15:40
書いている時にすてきだなと思った物

夢野久作『ドグラ・マグラ』
日野日出志『わたしの赤ちゃん』
丸尾末広『SOSボーイ』『無抵抗都市』『笑う吸血鬼』
28 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/07(月) 01:16




29 名前:水色の部屋 投稿日:2005/02/07(月) 01:20
「週刊誌を読んでいたら恐ろしい事が分かったぜ。」
「酷い事件が多いね。」
「あれか。最近の子供か。」
「イジメだ、恐喝だ、暴行だ、放火だ。青春は美しいものじゃなかったのかね。」
「この間のあれは何だったんだ?」
「首に噛み付いたっていうあれか。どこかに精神鑑定をやるとか載ってたが。」
「マトモじゃなかったって事か。薬かなんかか。」
「今は逆に大人が素面で厄介な事件を起こすじゃないか。毛の生えてない子供を犯しちまったり。」
「薬で事件起こすなんてのは昔は大の大人ばかりだったんだがな。」
「川俣軍司とかな。ありゃあ、確か覚醒剤だったな。」

アパートの前でゴミを漁るホームレス達の会話を加護亜依は聞いた。
そこにあった記憶の片隅を揺り動かす言葉は、たった今、病院で背負ってきたもう一つの記憶と共に加護の体にチクチクとまとわりついた。
「……おかえり。部屋、入ろう。」
長髪の男が加護にそっと声をかけた。
30 名前:水色の部屋 投稿日:2005/02/07(月) 01:20
冬の雨が汚れた窓硝子越しに部屋を水色に染めている。
「結局来てもうたわ。」
「ケーキ準備しといて良かったよ。」
男は彼女の誕生日を祝う言葉を一回飲み込んだ。そして、もう一度ためらって、結局言わなかった。
「そのまま?」
「うん。そのまま来た。」
「大丈夫?体。」
男に体を撫でられた加護は少しためらいながらも服を脱ぎ始めた。
「何ともない。どう、痩せてないやろ。関係無かったんかな。」
「ああ、でもこのくらいがいいよ。」
男はそう言って加護の大きな乳房にしゃぶりついた。しかし、すぐに口を離した。
「どうしたん?」
「何か聞こえる。ほらっ!」

お父さん、お父さん。僕のおっぱい取らないでよ。
31 名前:水色の部屋 投稿日:2005/02/07(月) 01:21
「………?」
「ほら!聞こえる!ほら!あっ!今度は赤ん坊の泣き声だ!」
「…………もうええわ。」
あまりに酷い冗談だ、と加護は思った。
加護はシャワーを浴びる為に、男を居間に残して裸のまま浴室に向かった。
その間も男は「聞こえる!」と言い続けていた。

シャワーを浴びて加護が居間に戻ってくると、男が血を流し倒れていた。
傍らには刃物と切り落とされた耳が転がっていた。男は「ごめんね!ごめんね!」と繰り返し叫んでいた。
加護は自分でも驚くくらいに冷静な調子で男にこう言った。
「耳無くなってもうたら、もう音楽出きへんな。この際やからもう諦めたらええんや。
 一緒に一所懸命働いてや。ほしたら一緒に暮らせるやろ。」

新しく使う機会は訪れないだろうと分かってはいたが、
実家から送ってもらった自分が昔使っていたランドセルにふと目が止まった。
降り続ける雨がそこに水色を少しとかしてはいたが、それを見て、やっぱり血の色に似てるなあと加護は思った。




終わり
32 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/07(月) 01:23




33 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/07(月) 01:24
書いている時にすてきだなと思った物

日野日出志『水色の部屋』
34 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/12(土) 23:06
再録になりますが、
35 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/12(土) 23:06
●☆●反戦感動医学小説・ミキティは戦場へ行った<改訂版>●☆●

「お前、戦争でびびんなよ。」
爆音も怒号ももう聞こえてこない静かな部屋の片隅で、松浦亜弥はぼんやりと自分の言葉を思い返していた。
窓の外には草原が広がっている。もうそんな言葉を白く流れる雲に叫ぶ気は起きなかった。

戦争は加護天皇率いる乳ぼん軍の勝利に終わった。乳ぺた軍を率いた辻大統領は奇跡を起こせなかったのである。
乳の有り無しに関わらず多くの兵士達が死んだ。だがその多くは報道されない。
伝えられるのは加護天皇と辻大統領との歴史的な和解である握手の事ばかりだ。
二人が揃って能天気にVサインをするのを新聞やテレビで見て、生き残った兵士達は、
死んでいった仲間、或いは自分が殺した兵士達の姿をただ思い浮かべた。
その時、自軍の勝ち負けの事実は驚く程に心に何の影響も与えないのだった。

松浦はとても微かな力が自分の軍服を引っ張っている事に気付いた。
傍らのベッドで寝ている捕虜が、口で軍服の袖をくわえていた。
「ミキタン、どうしたの?」

藤本美貴。
捕虜として捕らわれてきた彼女の世話を松浦が看る様になってから、すでに数ヶ月が経っていた。
36 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/12(土) 23:07



爆弾による被害だろうか、或いは地雷だろうか。藤本の体は殆どの部分の機能が失われていた。
両手両足はもげ落ち、先端はチョリソーの様になっていた。
鼻は梅毒患者の様に削げ落ちていた。歯は何本も抜けていた。右目は潰れていた。
正常に機能しているのは舌べろと左目と膣と肛門だけだった。

しかし、左目も視点は定まっていなかった。
松浦が藤本の見ているであろう方向へ体を向けると、藤本はすぐ視線を背けてしまう。
彼女の視界に自分は入っているのだろうか、松浦は不安を覚えながら彼女とコミュニケーションを取り続けた。

松浦は、藤本の世話をする様になってから何度か、自分の舌べろを、
今では空洞の穴が開いている元は鼻のあった場所に近づけては笑顔になる彼女の姿を見た。
それが自分の舌べろの長さをアピールしておどけているのだと気付くまでには少し時間がかかった。
しかし、それに気付いてから、松浦は藤本に親近感を覚えた。

「敵であった捕虜の乳無しと暮らす?」
「無理ですか?」
「いや、まだ天皇の勅令が出てないからな。捕虜の処遇自体が分からない。
 しかし、松浦。もしそれが法的に可能になったとしても、本土の隣人からは後ろ指を指される事になるぞ。」
「覚悟しています。」

戦争が終わり、兵士達は帰還の指令が来る日を戦地で待っていた。
松浦は本土へ帰ってから、藤本の身柄を引き受け、一緒に暮らす事を決めていた。
仲間の兵士達の、松浦への反応は冷たかった。
同隊から孤立した松浦だったが、今では本土への帰還、そして藤本との同居をひたすら待ち侘びるだけだった。


37 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/12(土) 23:07
「おしっこかな。ちょっと待ってね。」
松浦は、藤本の腰に巻かれた布を取って、露わになった陰部へ尿瓶を近づけた。

ジョロジョロジョロ・・・・・。

松浦は尿瓶に溜まった尿を指に付けて舐めてみる。
「ちょっと甘い。食べ過ぎかな?ほら・・・。お腹もこんなにポッコリしてるし。」
上着の上から腹部をなぞるとググーという音が聞こえた。藤本の頬が赤らむ。
「でも、おやつ欲しいみたいだね。」
時間は午後である。空腹が紅茶色の尿に誘惑されたのだった。

プ・プ・プ・プップップップ〜♪

藤本の肛門から音楽が奏でられる。
「分かった。プリッツだね。」

松浦は配給されたプリッツを取り出すと、まずは自分の口に入れた。
目を閉じ何度もプリッツを口から出し入れする。舌の先でプリッツの先端をなぞる。
まぶせられていた塩は松浦の舌で取り除けられた。
「食べ過ぎみたいだから、塩分をちゃんと取っておかないとね。はい、ミキタン。あ〜ん。」
38 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/12(土) 23:08
松浦の唾液でプリッツはすっかりふやけきっていたが、これも歯が無い藤本への優しさだった。
藤本はプリッツを歯茎で噛みながら涙を流した。涙腺だけでなく体液を分泌する全ての腺が緩んだ。
松浦は無言で藤本の陰部を見る。そしてただニッコリと笑みを浮かべると、もう何本かプリッツを取り出した。
今度はプリッツを舐めなかった。藤本の股間の口は堅いそれを求めている事を知っているからだ。

一本、二本、三本、四本・・・。
プリッツが膣に挿入される度に藤本は体をよじらせる。
しかし藤本を完全に満足させるには、手元にあるプリッツの数が不十分だという事に松浦は気付いていた。
……残り少なくなったプリッツを尻穴に入れる事で藤本は満足してくれるだろうか。
松浦は肛門にプリッツを挿し、出し入れしてみる。プリッツはポッキーになっていく。

興奮した松浦は、膣に挿されているプリッツを全て抜き、改めて肛門の方に挿し入れより深く挿し込む。
そして胸を高鳴らせながら引き抜くと、プリッツは赤く染まっていた。
イチゴより深い赤に異変を感じたが、時すでに遅し。藤本は泡を吹いて失神していた。

拡張された肛門からは腸がはみ出て、破れた腸壁から赤黒い糞が漏れ出す。
「どうしよう!タン!タン!」(※タンは腸ではなく舌の俗称である。・作者注釈)
39 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/12(土) 23:08


●20レス程省略●


40 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/12(土) 23:09
藤本の破れた腸を別の人間の肛門に挿し込み、その人間の腸と合体させて糞を口から出す。
人体肛門開発の大手術は見事に成功した。

この歴史に残る大手術は、戦争の暗さを吹き飛ばす美談として語られた。
捕虜だった乳無しと暮らしやがって、などと後ろ指を指される事もなく、松浦と藤本と人体肛門高橋は本土で仲良く暮らした。





●☆●HAPPY END●☆●
41 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/12(土) 23:11

42 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/12(土) 23:12
書いている時にすてきだなと思った物

もしもさゆえりれいなが自分のモノになったらスレの他の人のネタ
他色々
43 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/15(火) 22:49

44 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/15(火) 22:51
>>33の補足

三上寛『昭和の大飢饉予告編』

>>42の補足

『ジョニーは戦場へ行った』
45 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/15(火) 22:51

46 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/15(火) 22:54
時節を逃した感はありますが…
47 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/15(火) 22:58
風のかおり


頬杖をやめて、テーブルの片隅に置かれたポータブルラジオから流れる、雑音混じりのFM放送に耳を傾ける仕草をわざと大袈裟にしてみせた。
「知ってる曲?」
問いかけにぼくはただ軽く微笑んで首を傾ける。君の長い髪が、背中にしている海に青く溶けこんでいた。
からっぽの空に置き去りにされた雲はタンポポの綿のように散らばりはじめている。
まるで夢の中のキャンパスみたいに淡い色。でも足りない色が幾つもあるから。ねえ、笑ってキャンパスを染め上げてよ。
少し苦めのコーヒーを左手で不器用にかき混ぜる。ぼくがランディ・ジョンソンなら右手を使っただろう。
それは今の時間を長引かせたい、ただの悪あがきさ。見透かすような大きな瞳からそらした視線を、外した指輪に落とした。
そのまま、ぼくはまた頬杖をついて、次第に雑音が多くなりメロディが途切れだしたポータブルラジオからの交信を止めた。



終わり
48 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/15(火) 22:59
 
49 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/15(火) 22:59
書いている時にすてきだなと思った物

松本隆
デーブ・ジョンソン
50 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/15(火) 23:56
言葉使いが松本隆臭くて良かったです。
ぽおたぶるらじおで蒲公英で珈琲なら完璧ですけど
読みにくいのでこれで良いです。

これからも楽しみにしています
51 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/23(水) 01:48
>>50
ありがとうございます
52 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/23(水) 01:49
第17回短編バトル『魔法』で
33 MAGIC SPELLを書きましたので良かったら読んで下さい
53 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/27(日) 02:37
 
54 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/02/27(日) 02:39
失敗作ですが今日テレビで何かやってたみたいなので仕上げる気分になりました
55 名前:屋根裏の散歩道 投稿日:2005/02/27(日) 02:44
<田中れいな殺人事件に関する隣人の証言>

それは冬の空を破って落ちてきているのではないかという程に、強い雨が降っている日でございました。私は自慰をしていたのです。
しかし雨音に集中力が乱されたのでございます。「ザー」の次は「ポタポタ」という雨漏りのそれです。
古いアパートの防音や設計の不備に私は苛立ち、遂には勃起が止んでしまいました。

雨はまだ降り続いていて雨漏りも静まる気配がないので、自慰を諦めた私は雨漏りの出所を探り当てる事にしました。
パンツとズボンを履き直し「ポタポタ」に耳を澄ましました。音はまだ遠いのですが、押入れを開けてみると近くなった気がします。
私は押し入れに入ってみました。万年床で、更には一人暮らしで荷物も少ない為に、私の部屋の押し入れはその役割を果たす機会がないのでございます。

案外と広いそのスペースで私はもう一度耳を澄ましました。音はすぐ間近に感じましたので私は天井板に軽く触れてみました。
それは雨漏りの振動を感じる為だったのですが、どうにも様子がおかしいのです。天井板そのものが、まるで張り合いがなくフカフカと上下に動くではありませんか。
結局その天井板は簡単に持ち上がってしまったのです。私は天井板をそのまま天井裏に、持ち上げた勢いではね除けました。

そこにスッポリと開いた穴は、丁度人間一人が通り抜けられる程の大きさでした。私は「ポタポタ」に近づく為に屋根裏に入りました。
屋根裏は真っ暗でしたが、とてつもなく狭い事は少し体を動かしただけで棟木に体が触れたので分かりました。
埃が舞っている事も、匂いで、そして肌で分かりました。こんな所にいたら体中が痒くなってしまう事でしょう。
私はすぐに屋根裏から出てまいりました。私の服は埃で薄汚れて真っ黒でした。

改めて自慰をする気にもならないので、私は隣の部屋に住む亀井絵里と遊ぶ事にしました。
この女は性悪でございます。だから私も軽い気持ちで遊べるのです。彼女の部屋は「ポタポタ」が聞こえませんでした。
絵里は丁度シャワーを浴びている時でしたので私も一緒に入り洗い合いっこをする事にしました。絵里は踵だけが妙に真っ黒でございました。

布団を敷く為に一足先に浴室から出た私は、洗濯籠に靴下が残っているのを見つけました。
踵に穴の開いたその靴下は真っ黒に汚れていたのでございます。



56 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/04(金) 21:52
 

57 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/04(金) 21:57
名作シリーズ 1


☆◆蠅の王◆☆

58 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/04(金) 21:58
「ウジ虫。」
石川梨華にそう言われた矢口真里は、虫呼ばわりするにしても余りに酷いだろうと思ったが、
石川の視線が自分の股間に注がれている事に気付き改めて言葉の意味を考え頭を捻る、
その間にも股間からウジ虫が垂れ落ちていて、虫嫌いの矢口を慌てさせない様にどう言葉を継ぎ足すかと石川は思案中。

「何か垂れてるやよー。」
59 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/04(金) 21:59
垂れてくるウジ虫を松浦亜弥が買って来たトイレットペーパーで拭きながら、
立派なリーダーである矢口は、今日も仕事をいつも通りに見事にこなすのだった。
「師匠!」
60 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/04(金) 21:59
61 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/04(金) 22:02
買ってきたのが梨華ちゃんじゃなかったので安心しました
62 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/14(月) 18:24
>>61
そうですね
63 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/14(月) 18:25


64 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/14(月) 18:27
さゆえりれいなのしたたり


古くから使っているホットプレート。
経年で加工面が剥がれ落ち、焼肉をすると油がパチパチと飛ぶ様になった。

「キャッ。」とウサギの様に飛び跳ねて油をよけるさゆ。
彼女に対抗する様に「油こわい〜。」と茶目っ気たっぷりにはしゃぐえり。
とても可愛く賑やかだ。

楽しい食卓になるならこのまま使い続けてもいいのだが、やっぱり危ないので買い換える事にしよう。

「油が跳ねるのは焼肉の醍醐味たい!」と言っていた買出し中のれいなが早く帰ってこないかな。お肉食べ終わっちゃったよ。



おわり
65 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/14(月) 21:02


66 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/14(月) 21:03
外国シリーズ 1


★ギリシャ★


吉澤ひとみのパーマについて何か言う。
それはメンバー内で別段に禁止されている事ではないが、普段から生活を共にしているメンバーは、
彼女の男勝りの性格の裏にあるナイーブな一面をよく知っているので、あえて触れようとはしない。
といって彼女のいない所でコソコソとうわさ話をするという事もしない。
ただメンバーは家に帰ってパンツを脱いで、或いはパンツを脱がしてそこにある物を見た時に彼女を思い出しほくそ笑むだけ。
人と人のつながりは遺伝子や血のつながりだけで表せはしないのだ。

その頃、長い休暇を使って世界旅行をしていた飯田圭織は死海の死の意味について思いをめぐらせていた。


67 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/16(水) 02:10


68 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/16(水) 02:11
さゆえりれいなのしたたり


「何かいい事ないか仔猫ちゃん。」
「知らなか。」
「ノリ悪いなァ。今日は二人っきりなんだから。」
「じゃ物真似でもするっちゃ。」
「アイドルがいいな。太田裕美とか南沙織とかさ。」
「そんな古臭いの知らんたい。」
「淋しがり屋のうちあけ話してごらんよ。」
「淋しくなんてなか。」
「故郷なまりがそれから君を無口にしたね。」
「勝手にやってればよか。」

れいな、心のあばら屋から早く出ておいで。


おわり
69 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 02:26


70 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 02:26
他所で書いた物の再録になりますが、未完のままなので改めて書いていこうと思います。
でもまた途中で飽きるかもしれませんのでご了承ください。
71 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 02:29

さゆえりれいなのしたたり





私は朝から探し物をしていた。
こたつに入ってすっかりくつろいでいるえりにも手伝ってもらおう。
「えり、お願い。」
「しょうがないですね〜。」

えりはあちらの部屋、こちらの部屋と私の後を付いて回った後に言った。
「ところで何を探してるんですか?」
「れいな。」
「れいな…………」
「うん。」
「…………って何ですか?」

「…………何だろ。」
「もうボケちゃったんですか?若いんだからしっかりして下さいよっ。」

リビングに戻ったえりは、こたつに入り直してお茶みかん煎餅の黄金コンボを繰り返し始めた。
私もえりの対面に座りこたつに足を伸ばす。

「えりり〜ん。」
「は〜い。」
「えりってば、こたつ好きだね。」
「落ち着くよね。」

私がこたつに入るとえりは決まって股を開く。受け入れ準備万全なのだ。
しかし幾ら私のチンポでも、対面のえりに届く程長くはない。
したがって足で股間をこちょこちょと弄くるのみなのだが、逆にこの控え目さが、こたつとお茶とみかんと煎餅という、
戦後の日本が築き上げる事に成功した普遍的なノスタルジーを呼び覚ます風景に素晴らしくジャストフィットなのだった。
72 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 23:02


「ちょっとトイレ。」
股間弄りとみかんとお茶の相互作用である。

えりが口から出したみかんのほろを食べているとトイレから悲鳴が聞こえた。
「どうしたんだ!えり!」
駆けつけるとえりは便器の中を指差している。異変は視覚より先に嗅覚が感じ取っていた。
「臭い。何て臭さなんだ。」
「怖い〜。」

意を決して便器を覗き込むとそこには赤茶色い糞が………。

えりが叫ぶ。
「えりじゃないもん!えりがトイレに来たらもうあったんだもん!」
「分かってるよ。えりりんのうんこは誰よりも私が知っている。向こうに行ってなさい。こんな空気は肌に悪い。」
「おしっこ……。」
「私の湯飲みにしておきなさい。」

ふらふらした足取りでえりはリビングへ戻って行った。そして、私は改めて“そいつ”に向き合う。
73 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 23:03


果たして誰の糞なんだろう……。偏った食生活を感じさせる臭いだ……。
そう、まるで肉しか食わない様な……。

   …………肉。     ……肉。     …肉。     肉。

                    ……しゃぶしゃぶ。

           ……すき焼き。

                            ……焼肉。

          焼肉。

                       ……カルビ。

         ……ロース。

                  うまかー。

交錯するイメージ。そして最終的には再びこの名前が頭に残るのだった。邪魔くさく。

          れいな。

糞をタッパーに詰めずに流し、私はリビングに戻った。
「えり。考えたんだが……。あれは……れいなのうんこじゃないだろうか。」
「やっぱり。れいなは肉ばっか食べてるから臭くなるんだよね。」
「……で、れいなって誰なんだろう?」
「……はっ。今、えりもれいなって言いましたよ?……でも、分かんない……。」

身震いがした私は自分の湯飲みに手を伸ばした。暖かい……。
一気に飲み干し一息ついた私は話を続けた。

「ひょっとしたら……。」
74 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 23:04


「ひょっとしたら……これは“あれ”の仕業かもしれない。」
私はこたつに入り込み、えりの顔を見つめる。えりも私の顔を見つめる。可愛い。

えりの股間を弄くる私の足が細やかな動きを見せる。えりも負けじと私の股間を足で責め出した。
お互いに顔は冷静だが、こたつの中では激しい闘いが繰り広げられているのだった。

「ねえ〜。これ誰〜?」
私もえりも合わせていた視線を外し、声の方を見る。さゆ。
自分の部屋から出てきた彼女の手には一枚の写真があった。

さゆは写真をテーブルの上に放り投げると、
すぐにえりの隣りに座って同じ様にこたつに入り込んで足を伸ばす。

四本の足、二十本の指で責められる私のチンポ。あえなく私はパンツの中で果ててしまいテーブルの上に突っ伏した。
私はその体勢のまま、放り投げられた写真に目を移す。そこには小生意気な顔をした少女が映っていた。
75 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 23:05


「それ誰?」
快楽の余韻に浸っている私にさゆが問いかける。私は答える事が出来なかった。
しかし、それは決して快楽のせいではない。誰か分からない、否、正しくは確信出来なかったのである。

「きっと……これが……れいな……。」
口を開いたのはえりだった。それを聞いて私もようやく確信する。
私は突っ伏していた顔を持ち上げて写真を指差す。
「……ああ。これがれいなだ。」

さっきのうんこの事を話すとさゆは当然、不安な顔を見せた。
「そのれいなって子がうんこをしたの?」
「恐らくそうだろう。」
「じゃ、その子は何処にいるの?」

えりが言う。
「その前に何で写真があるのかが分かんないよ。」
「えりも知らないの?」
「知らないよ。でも……知ってる感じもする。」

私は言った。
「これは……誘拐だ。」
76 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 23:05


「誘拐?!……でも知らない子だったら関係ないもん。私はえりがいてくれたらいいんだもん。」
「それを言ったら話しが終わってしまう。もうちょっと辛抱しなさい。」
えりも少しフォロー。
「うん。何かこの子の事知ってる感じもするし。」

私は話を続けた。
「誘拐といっても普通の誘拐じゃない。犯人は……幻魔ヤクザだ。」

私は幻魔ヤクザの恐るべき吸血的陰謀を語り始める……。

幻魔ヤクザとは伝染であり侵略だ。人の意識や記憶を蹂躙する。気付かない内に。
初オナニー、初売春、初シャブ、初強姦、初殺人。そうした愉快な記憶を連れ去ってしまう。

或いは誘惑若妻、みだら妊婦、性家庭教師といった愉快な隣人、
更には欲求不満の母、手ほどき上手の姉、好奇心旺盛の妹といった愉快な家族の記憶までも。

「じゃ、れいなは……」
「ああ。きっと私達の愉快な家族だったに違いない。」
私達はもう一度写真を見る。

さゆが首を傾げて言った。
「愉快だったのかなあ?」
「それを言ったら話しが終わってしまう。もうちょっと辛抱しなさい。」
えりはフォローしなかった。
「覚えてないしね。」

「だからァ。覚えてないのは誘拐されたからだってば。」
77 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 23:06


私は話し続けた。
「幻魔ヤクザの誘拐はまだ完全に成功した訳ではない。
 れいなの記憶が薄ぼんやりとはいえ、まだ私達に残っている事がそれの何よりの証拠だ。」
えりがニヤニヤして言った。
「忘れましょっ。」

「とりあえず……。忘れようとしても思い出せない、この宙ぶらりの状態をどうにかしたいね。」
「気持ち悪い。」
さゆは一言そう言うとテーブルの上の写真をはたき落とした。

「きっと、忘れてしまうより思い出す事の方が簡単だろう。忘れるには……あまりにも……、あまりにも臭かった。」
「思い出したらどうなるの?」
「誘拐は未然に終わる。れいなはきっと戻ってくるだろう。」

しかし私は彼女が戻ってくる事が本当に良い事なのか判断がつかなかった。
私は写真を拾い上げ、改めてそこに映る少女を見た。少女は変なウィンクをしていた。
78 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 23:06


私達は、身に覚えのない物を探してそれをリビングに集める事にした。
(正確には、自分の物ではないと言い切れるという意味で身に覚えはあるのだが。)
服、下着、写真、プリクラ。服の多くは原色で、それを飾り付ける模様はドクロや鬼、蛇といったものだった。

「可愛くない。」
あからさまな嫌悪感を見せたさゆだったが、下着を手にするとその表情は一変、声を上げて笑った。
「れいなって小学生?」

申し訳程度のサイズのブラジャーにガバパンだった。
「乳なしか……。」
私の言葉にえりの目が一瞬光った気がした。

写真の中には私達と撮られた物も何枚か混じっていたが、殆どがれいな一人か私とのツーショットだった。
「何か少し哀しくなってきたよ。」
79 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 23:07


私の儚い愛惜の念を余所に、えりとさゆはれいなとの再会のプランを練り始めていた。
「ねえ、さゆ。れいなに会ったら何て言おうか?」
「れいな。って。」
「その後は?」
「その後はえりとイチャイチャしたいの。」
とても楽しそうだ。やっぱりれいなは私達の家族なのだ。

「れいなが帰ってくる為の準備をするよ。さゆかえり、どちらでもいい。れいなの絵を描いてくれ。」

二人共にれいなの写真を見て絵を描き始めた。絵を描くのに夢中になれるなんて二人はまだ幼い。
私にとって写生大会は射精大会でしかなかった。絵筆を持つよりチンポだった。

二人が絵を描き終える。私は迅速に行動した。部屋の明かりを消し、カーテンを閉め切る。
唯一の明かりはテーブルに置かれた蝋燭のみである。蝋燭の炎がさゆとえりの描いたれいなの絵を照らす。
服を着た状態で蝋燭を使う機会などそう多い事ではないので、さゆもえりも不安そうだった。

「さあ、降霊術を始めよう。」
80 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 23:07


「れいなの魂はすぐそこにまで戻ってきている。あとはここに“降ろす”だけだ。」
私は二人が描いた絵を指差した。さゆの描いたれいなは首が太すぎる気がした。えりの描いたれいなはこの世の物ならざる気がした。
浮遊しているであろうれいなの魂に言い聞かせる様に言う。
「形など魂の拠り所に過ぎない。形などどうでもいいのだ。」

手を握り合い輪になった私達はれいなに語りかける。
「れいな……。れいな……。戻っておいで……。」

しかし聞こえてきたのはさゆの声だった。
「私はさゆりん………。」
81 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 23:08
十一

「私はさゆりん………。山口県のお姫様だったの………。」
私はてっきりさゆのジョークだと思った。しかしさゆは恍惚の表情で一方的に話を続ける。
「山口には可愛い子がいないの………。私がいなくなったから………。」

「ちょっと、えりりん。さゆがおかしいんだけど……。」
「こんな変な事するからだよ。」
「山口県に革命が起きて、私はお姫様じゃなくなったの………。」
「ふむ……。で、お姫様。どうすればいいの?」
「私を山口県に連れて行ってほしいの………。」

私はさゆりんの言う事を聞く事にした。
「暇だから行こうか?」
「れいなは?」
「山口県の用事終わったらでいいんじゃない?」
「そうだね!」
えりも同調した。
82 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 23:08
十二

「さゆ〜、えり〜。早く〜。」
冷やしみかんと駅弁とお茶を買った私達は、発車のベルに急かされる様にして新幹線に乗り込んだ。
私達のこの旅行の発端となったさゆりんだったが、殆どいつものさゆと変わりなかった。

「席ここだよ〜。」
さゆとえりは私の対面に座り苦笑いをした。
「どうしたの?」
二人は自分達の後ろを指差す。私は体を横に伸ばしてその席を覗き見た。

通り過ぎた時には気付かなかったが、生理的な不快感を催す乗客が座っていた。
昆虫の様にひね曲がった背中のライン。魚の様に無表情な瞳。
血色の良さは年齢の若さを表しているが、黒い髪には白髪が多く混じっていた。

さゆが言う。
「写真集見てるんだよ。」
えりが私の耳元で囁く。
「こっち来たりして。」
私もえりに囁いた。
「モイキーだね。」
見るとえりの耳がカサカサしていたので舐めてあげた。
83 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 23:09
十三

さて、弁当でも食べるか。勿論弁当は膝の上である。取り付けてある小さいテーブルなど使い物にならない。
私にとって駅弁とは幕の内弁当だ。弁当を空けいざ対峙する。勝負の始まりである。

おかずと白飯とお茶のペース配分。これを誤ると命取りだ。
もし白飯を先に食べ過ぎておかずが余ってしまえば、幕の内弁当の唯一の弱点であるメインディッシュの不在という問題にぶち当たってしまう。
つまり一瞬にして退屈な弁当に変わり果ててしまうのだ。しかし、逆におかずだけ先に食べてしまってはどうだろう。
冷たく硬い白飯のみで楽しむ事が果たして出来るだろうか。いや、不可能である。やはりおかずあっての白飯なのである。

問題を更に複雑にしているのはお茶の存在である。お茶が無い場合の白飯。正に綱渡りだ。
私は何度、白飯が喉に詰まった姿を想像して恐怖に打ち震えた事だろう。
弁当の白飯が冷たく硬いのは、お茶を必要とさせる為に或いは仕組まれているのかもしれない。
お茶が無い場合のおかずにしても同様に危険だ。おかずは基本的に薄い味付けである。
しかし時に貝柱など魚介類に濃い味付けの物が混じっている。こうした物に出会った時、舌は混乱してしまう。
味覚の判断が鈍るのである。混乱した舌をフラットな状態に戻すのがお茶だ。
もしお茶が無ければ、混乱した味覚のままであり、煮付けや漬物の細やかな味わいを楽しむ事が出来ないであろう。
デザートとして入っているゼリーやオレンジもこれでは台無しなのだ。

私が向き合うこの恐るべき強敵である弁当に、箸が唐突に伸びてきた。それは無言でピンクの漬物を奪っていった。

「えり。返しなさい。」
84 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 23:09
十四

えりは言った。
「トイレで返してあげますよ。」
すでにえりは漬物を食べてしまった後だったのだ。
しかし、えりの弁当を見た後には、それはもう殆どどうでもいい事に変わっていた。

えりの弁当は、白飯は余り放題、おかずは残り少なくなっていたのである。
「君はバランスというものを考えないのかね?」

私は暗澹たる思いで途方に暮れた。このままではえりは確実に白飯を残すだろう。
そして私が食べる事になる。しかし白飯のお供であるおかずは結局私自身の弁当のみに託される事になる。
どう考えてもおかずが足りないのだ。

私の暗い表情を見てさゆが気を使ってくれた。
「私のあげる。」
ピンクの漬物は私の弁当に帰還した。
「さゆ、違うんだよ。でもありがとう。」

「あーもういいや。あげる。」
案の定えりの白飯は残った。えりの興味はみかんに移っていた。
「みかんを食べられるならご飯も食べなさい。」
「みかんは別腹ですよっ。」

私はどうにか食事を終えたが、怒りは一向に収まらなかった。食後のセックスはえりじゃなくてさゆとしてやる。
「行こう。さゆ。」
私はさゆの手を引いてトイレに向かった。
「いいですよっ。えりはみかん食べてるから。」
85 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 23:10
十五

嗚呼、何という事だろう!えりは後ろの席に座る気持ちの悪い乗客にレイプされてしまったのだった!
私とさゆが、便器が銀色に光るトイレで性交している間に!
ショックを受けたえりは、自分の気持ちを落ち着かせる為に狭い所へ入り込もうとしていた。
あいにく、さゆのまんこは私のチンポで埋まっていた。えりが選んだのは私の尻穴だった。
えりが私の直腸壁越しに前立腺を刺激する。彼女はすぐに尻から出たが、それは私が意図せざる射精をさゆりんの膣内にしてしまった後だった。

私とさゆがトイレから出ると、車内はスペルマと潮の匂いに満ち満ちていた。
えりが誰彼構わずに尻穴に入りまくったに違いない。乗客は皆パンツをずり下げ、恍惚の表情を見せて失神していた。
失神は尻穴の快楽に慣れてない人間がいかに多いかを示していた。そしてそれはこの後に悲劇を招く事になるのだった。

「えり!えり!出て来なさい!」
「えり〜。」

私達の叫びに応えたのは新幹線の警笛だった。大きく揺れる車内。私とさゆは床に叩きつけられた。
上に置かれたカバンが次々に落ちてくる。私とさゆはどうする事も出来ずに、ただ窓の景色が傾くのを見ていた。
86 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/17(木) 23:11
十六

傾いたのは景色ではなく新幹線そのものだった。
私とさゆがそれに気付いた時には、すでに新幹線は線路を大きく外れどこかへ落ちていく所だった。
叩きつける様な衝撃が車内に広がる。そして沈黙………。

「………さゆ。大丈夫?」
「………うん。」

私達は手を取り合い明かりの消えた車内をうろついた。
失神している乗客は私達の足元で目を覚ます事が無く倒れたままだった。
「死んでるのかな?」
「凄い衝撃だったからね。助かって良かったね、さゆ。」
「うん!」
私達はうさちゃんピースをして飛び跳ねる事により、衝撃のショックを和らげる事に成功したのだった。

「きっとえりはここだな。」
ライターの微かな火を頼りに辿り着いた先頭車両では運転手がパンツをずり下げ死んでいた。
「えり〜。」
さゆが運転手の尻穴を広げ呼びかけると、えりはうんこまみれになって出てきた。

えりは申し訳なさそうな顔をして言った。
「……ごめんなさい。」
「いいよ。えりが無事だったのが何よりだ。でも運転手さんまでイカせちゃダメだな。おかげで……。」
私は車内を埋め尽くすスペルマと潮にまみれた乗客の死体を見渡した。
「皆、逝ってしまった。」

新幹線の分厚い窓ガラスを開けて外に出ると、そこは深い森だった。
「ここはどこだろう……。」
「ここ来た事ある……。」
さゆがまた恍惚の表情になっている。
「ここは山口県の宇部なの……。」
「じゃ、丁度良かったね。それよりも……。」
87 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/18(金) 22:59
十七

「気持ちいいね〜。」
私は深呼吸をした。都会っ子のえりもうんこまみれで同調。
「自然っていいよね〜。」
「でしょ。やっぱり自然は大事にしないと。」
さゆの一言に私もえりも目が覚めた思いがした。

川のせせらぎが聞こえる。えりの体を洗ってあげよう。えりが他人のうんこにまみれているなんて胸糞が悪い。
「さゆ、ここは何川って言うの?」
「知らない。」

冷たく透き通った水がとても気持ちいい。私達は裸で水を掛け合いじゃれ合った。若い肌が水を弾く。
しかし無茶をしすぎてとても寒くなってしまった。私達は森の中にいる事を感謝した。
木の枝をへし折り木の葉をもぎ取って集めた。さゆのエコバッグがとても役に立った。

「あったかいね。」
「やっぱり森林には酸素が一杯だからよく燃えるね。」
「でしょ。やっぱり自然は大事にしないと。」
さゆの一言に私もえりも目が覚めた思いがした。

「何か匂うね。」
私達が乗ってきた新幹線が燃えていた。乗客の死体が焼ける匂いがする。
「残念だけど焼肉屋みたいないい匂いじゃないね。……はっ。焼肉……。」
88 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/19(土) 01:16
十八

「お腹空いたね。」
「えりも〜。」
さっき弁当食べたのに。若い証拠だな。私達は臭い焼肉を忘れる為に川魚を取って食べる事にした。

さゆもえりも怖くて魚がつかめないって大騒ぎ。触ったら触ったでぬるぬるウロコに大騒ぎ。
私は腕組みしてその様子を見ていた。ここで「やってみる」なんて言ってまんまと魚つかんだりしたらどっちらけである。
さゆとえりにはそういう空気が読めない人間にだけはなってほしくはないものである。

しばらくして二人は私を見つめる。はしゃぎ疲れた後のおねだりの表情だ。
私は川に飛び込み魚を川岸に次々と蹴り上げていく。二人ともに言葉を失って私に尊敬の眼差しを向けた。

新幹線からの悪臭は魚が焼ける香ばしさの前には無力だった。
私達は燃え上がる新幹線を見ながら川魚の少々泥臭い味を楽しんだ。
「さゆりん、これからどうしようか。」
「私をお姫様に戻してほしい。」
「そうだったね。今は誰がお姫様なのかな。」
「きっと可愛くない子。」
「そうだろうね。……あっ!えり!どうしたんだ!?」
89 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/19(土) 23:12
十九

生水や生野菜といった自然物は、免疫のない都会っ子には時に刺激が強すぎる。
火を通した川魚にしても、その体は過敏に反応してしまうのだ。
見る見る内にえりの体に広がっていくじんましん。
「掻いちゃダメだ!」
私が叫ぶのを聞かずに体を一心不乱に掻き毟るえり。遂には疲れ果てて眠ってしまった。

「……どうしようか。えりの事もあるし森の中で生活する訳にはいかない。」
「私の家に来る?」
「ここからの道、分かる?」
「頑張ってみる!」
とても可愛いガッツポーズをするさゆだった。

陽はいつの間に落ちていたのか、元々暗い森だったが、
僅かに差し込んでいた光が今では殆ど消え、何処かでフクロウが鳴き始めていた。
眠るえりをおぶって、私はさゆの後ろをついて森の中を歩いていく。
90 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/19(土) 23:36
二十

今では燃える新幹線の赤い輝きが遙か後ろに見える。それでもまだ森の中。
さゆはひたすら歩き続ける。その背中を追う私、の背中で眠り続けるえりの体。
支えやすい太もも。でも案外と重たい。感じる重みは騎乗位、座位、駅弁時のそれとは別種である。

私は知った。
騎馬戦の様に闘いのアドレナリンが出ていなければ人を背負い続けるなんて不可能なのだ。
…………はっ。騎馬戦で張り切る女の子。私の記憶に何かが引っかかりかける。
しかし、さゆの声がそれをすぐにかき消した。

「見てっ!」
「あっ!あれはっ!」
91 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/20(日) 03:11
二十一

街灯の明かりが見える。ついに森を抜け出して街についたのだ。
「やったぁ!」
とても可愛いガッツポーズをするさゆだった。

間近に見えるコンビニに入る。宇部のコンビニは都心のコンビニとそう変わりはなかったので私は驚いた。
早速チョコやらケーキやらをカゴに入れ出すさゆ。気付けば私は雑誌コーナーでおとこの特選街を見つめていた。
背中のえりを起こさない様にそっと手を伸ばす私。視線が絡みつく。
視界の隅にさゆがいる事に気付き、私の手はおとこの特選街から、その横に置かれている地図へと軌道を変えるのだった。

地図とお菓子の類、そして抗アレルギー剤。一万円でお釣りが来たが、宇部に寄付する意味で私はそれを受け取らなかった。
私とさゆは地図を見ながらこれからを考える。
「宇部のコンビニ店員によると、ここはここらしいよ。」
「ああ、じゃあ私の家はここなんで。」
「じゃあ行こう。」
92 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/20(日) 23:02
二十二

「着いたよ〜。」
さゆりんの家は流石に元お姫様だけあって、なかなかに大きな家だった。

玄関で靴を脱ごうと身を屈めると、えりは自分で私の背中からひょいと飛び降りた。
「あ〜。疲れた。」
「あれっ?何だえり、起きてたのか!お前は歩いてないだろっ。この〜。」
えりの光るおでこをつっついた。
「もう痒くない?」
「大丈夫みたい。」
「良かったね。これからは気をつけようね。」

そんな事を話していると、一足先に家の中に入って行ったさゆが血相を変えて戻って来た。
「どうしたんだ?」
「あのね……。」
93 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/21(月) 22:07
二十三

「おや。いらっしゃい。さゆのお友達かな。」
さゆが私の耳元に何かを囁きかけようとした時、家の奥から男と女が出てきた。
女の方は背が高く色白でいい女だが十代ではなさそうだ。男は興味が湧かないのでどうでもいい。
二人ともにさゆりんの家族だという事は間違いなさそうだが、さゆが女の方に向けている顔はものごっつい。

「さあ、上がってください。」
「おじゃまします。」
案内されたのはそれなりの広さの居間だった。

ソファーに体を預けてため息をつく。背中から腰にかけて疲れを感じた。えりのおかげだ。
当のえりは、歩いていないくせにさも疲れたといった具合に自分の足を揉みほぐしている。
相変わらず靴下には穴を開けていた。

「お食事は済ませましたか?」
「いえ、まだです。」
女の質問にえりがすぐ答える。
ここまでの道すがらコンビニ菓子を食べた私とさゆだったが、えりは夕刻に食べた川魚以来何も口にしていなかったのだ。
しかもその川魚のせいでじんましんが出たとなれば、身も心も満たされる食事は昼の弁当以降は全くしていない事になる。

客として無礼な態度ではあるが、えりの素直な振る舞いに私は思わず笑ってしまった。
しかしすぐに顔を引き締め女に言った。
「ご厚意はありがたいのですが、えりは宇部の食べ物は体に合わない様なのです。」
「あら、そうですか。なら……。」
94 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/21(月) 23:25
二十四

「中華の出前でも取りましょうか。」
「中華ならじんましん大丈夫だね。じゃお願いします。」

女の手からおしながきを受け取る。
中華は宇部でも中華なのだ。そこにはチャーハンや餃子、酢豚など見覚えのある名前が並んでいた。

「えりはラーメンにする?……はっ。」

……ラーメン。……とんこつ…………うまかー……

私の記憶にまた何かが引っかかった。
旅の疲れだろうか。私はスタミナ丼を頼む事にした。

「今、お茶を入れてきますんで……。」
一通り注文を終えて女が席を外した。

「どうですか。宇部は。」
「ええ。」
男とのつまらない会話に飽きて何気なくさゆを見ると、私に可愛い目くばせをしている。
私はそれとなく部屋を見回す仕草をしてみた。
「トイレですか?」
「ああ、ええ。」
さゆが言う。
「私が案内するよ。」
「えりも一緒に排泄しよう。来なさい。」

居間から廊下に出ると、さゆは壁をコツコツと叩き周りをキョロキョロと見回す。
「よし!誰もいない!」
「どうしたんだ?」
「あのね……。」
95 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/22(火) 00:04
二十五

「あの女が私の次のお姫様なの。」
さゆのものごっつい顔の謎が解けた。私はさゆのあんな顔を見たくない。
「あの女がいなくなれば……」
「私がお姫様なの。」
「ううむ……。さゆりん、私にまかせておきなさい。」

居間から女の声が聞こえた。
「お茶が入りましたよ。」
ニッコリ笑って私の顔を見るえり。私は首を横に振った。
「今は我慢だ。」

居間には先程までとは一変して緊張感が漂う。
出されたお茶に手をつけずにいるのは不自然だろうと思った私は、湯飲みに口をつける振りをした。
私の隣りに座るえりもそれを真似る。しかし、えりの隣りでさゆはお茶をゴクゴク飲んでいた。
さゆは私とえりがその様子を呆然として見ている事に気付くと、湯飲みからサッと口を離して言った。
「あっ、間違えた。」
男が不思議そうな顔でさゆを見る。その時、呼び鈴が鳴った。
「出前が来た様ですね。」
96 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/22(火) 21:38
>>93-95は無し
書き直します
97 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/22(火) 21:39
二十三

「おや。いらっしゃい。さゆのお友達かな。」
さゆが私の耳元に何かを囁きかけようとした時、家の奥から女が出てきた。
背が高く色白でいい女だが十代には見えない。
さゆりんの家族だという事は間違いなさそうだが、さゆが女の方に向けている顔はものごっつい。

「さあ、上がってください。」
「おじゃまします。」
案内されたのはそれなりの広さの居間だった。

ソファーに体を預けてため息をつく。背中から腰にかけて疲れを感じた。えりのおかげだ。
当のえりは、歩いていないくせにさも疲れたといった具合に自分の足を揉みほぐしている。
相変わらず靴下には穴を開けていた。

「お食事は済ませましたか?」
「いえ、まだです。」
女の質問にえりがすぐ答える。
ここまでの道すがらコンビニ菓子を食べた私とさゆだったが、えりは夕刻に食べた川魚以来何も口にしていなかったのだ。
しかもその川魚のせいでじんましんが出たとなれば、身も心も満たされる食事は昼の弁当以降は全くしていない事になる。

客として無礼な態度ではあるが、えりの素直な振る舞いに私は思わず笑ってしまった。
しかしすぐに顔を引き締め女に言った。
「ご厚意はありがたいのですが、えりは宇部の食べ物は体に合わない様なのです。」
「あら、そうですか。なら……。」
98 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/22(火) 21:39
二十四

「中華の出前でも取りましょうか。」
「中華ならじんましん大丈夫だね。じゃお願いします。」

女の手からおしながきを受け取る。
中華は宇部でも中華なのだ。そこにはチャーハンや餃子、酢豚など見覚えのある名前が並んでいた。

「えりはラーメンにする?……はっ。」

……ラーメン。……とんこつ…………うまかー……

私の記憶にまた何かが引っかかった。
旅の疲れだろうか。私はスタミナ丼を頼む事にした。

「今、お茶を入れてきますんで……。」
一通り注文を終えて女が席を外した。さゆがそれを見てすぐに私に駆け寄る。
「どうしたんだ?」
「あのね……。」
99 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/22(火) 21:39
二十五

「あの女が私の次のお姫様なの。」
さゆのものごっつい顔の謎が解けた。私はさゆのあんな顔を見たくない。
「あの女がいなくなれば……。」
「私がお姫様なの。」
「ううむ……。さゆりん、私にまかせておきなさい。」

女の声が聞こえた。
「お茶が入りましたよ。」
ニッコリ笑って私の顔を見るえり。私は首を横に振った。
「今は我慢だ。」

居間には先程までとは一変して緊張感が漂う。
出されたお茶に手をつけずにいるのは不自然だろうと思った私は、湯飲みに口をつける振りをした。
私の隣りに座るえりもそれを真似る。しかし、えりの隣りでさゆはお茶をゴクゴク飲んでいた。
さゆは私とえりがその様子を呆然として見ている事に気付くと、湯飲みからサッと口を離して言った。
「あっ、間違えた。」
女が不思議そうな顔でさゆを見る。その時、呼び鈴が鳴った。
「出前が来た様ですね。」
100 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/22(火) 22:46
二十六

居間にはとんこつの匂いが広がっていた。出前で頼んだ物ではない。女の垂れ流した糞だ。
首を絞める力が強すぎたのかもしれない。女はもう動かない。私は息切れしていた。
テーブルには手つかずの中華料理。私は息を整える為にお茶を飲むだけ。
とても食事をする気にはなれなかったのだ。

「臭い。」
えりが鼻をつまんで言う。見知らぬ人間の糞はいい女とはいえやっぱり嗅げたものではなかった。
もっと臭い糞の匂いを嗅いだ記憶もあったが、不思議にも具体的には思い出せなかった。
「食べてから殺せば良かったな。……あっ!さゆ!どうしたんだ!」
101 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/22(火) 23:08
二十七

「お……おね……お姉ちゃああああああああああああああああん!!」
「そうかお姉ちゃんだったのか。でも、さあ!これでさゆりんがお姫様だよ!」
「さゆりんって何?私はさゆみんだもん。お姉ちゃああん。うええええん。」
さゆは糞まみれの女の死体に覆いかぶさって泣きだした。身内だから臭くないのだろう。

「さあ、立つんだ。死体を捨ててご飯を食べよう。」
「嫌だ。大好きなお姉ちゃんと別れたくない。」
「何を言ってるんだ。革命はもう果たされたんだ。宇部はさゆを待っているよ!お姫様のさゆを!」
「お姫様になんてならなくていい!」
手足をばたばたと動かしていやいやをするさゆ。私は叱った。
「でっかい赤ちゃんみたいな事をするんじゃない!」

呼び鈴が鳴った。
「誰か来たりして。」
もう一度鳴る。まだ湯気が漂う中華料理。
「出前の皿を取りに来るには早すぎる。」
泣き続けるさゆ。立ち尽くす私とえり。次に聞こえたのは呼び鈴ではなく玄関を開ける音だった。
102 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/23(水) 23:50
二十八

「ただいま〜。」
「お兄ちゃんだ。お兄ちゃんは嫌い。お姉ちゃんは好き。うええええん。」
「おい!とりあえず死体を隠すぞ。」
さゆがお姫様として覚醒するまでは暗殺が行われた事は伏せておくべきだ。
革命の為に或いはもう一人命を消す必要があるのかどうか。兄の出方を見る必要もある。

私は泣きじゃくるさゆを退かして死体にテーブルクロスをかぶせた。
「バレバレですよ。」
えりの的確な指摘。何て不愉快なんだろう。
手品を見破られるというのはこういう感覚なのかもしれない。

「えり、つまんないよ。わざと騙されてみるくらいの心意気がないとれいなみたいになるぞ。」
「れいなは嫌だな。」
「れいなって誰だ?」
「あれ?言ったのえりですかね?」
「とにかく、相手がつまらない人間じゃなければこれで隠し通せるだろう。」

私はネクタイを締め直し、ソファーに腰を下ろした。
「ただいま〜。」
男が居間に入ってくる。
103 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/24(木) 01:40
二十九

「やあ、さゆ。帰ってたのか。」
さゆは無視。よっぽど嫌いらしい。私は立ち上がって男と向かい合った。
「どうも、お邪魔しています。都会で一緒に暮らしている者です。四人で暮らしてて、これはえりです。」
「お世話になってます。もう一人はいらっしゃってないのですか。」
「いや、私達家族はこれで全員ですが。」
「じゃ三人じゃないですか。それより、さゆみの家族は貴方ではなく兄と姉である私達の方です。」

何て不愉快で訳の分からない事を言う男だろう。さゆが嫌う気持ちがよく分かる。
私は言葉に棘を込めた。
「それはどうでしょう。さゆは貴方なんかより私の方を愛していると思いますが。」
「どういう意味ですか。」
「今日来る途中にセックスしました。貴方は出来ないでしょうね。お兄さんだから。」
「いや、私はしますよ。さゆみとはまだですが、さゆみの姉とはいつもしています。」
「さゆは十代です。毛はれいなと違って生えていますが、その奥にある具はまだまだピンク色です。」
「う……れいなって誰ですか。」

言葉に詰まって男が意味不明な事を言い出した。私は言葉を止めない。
「お兄さん。しかし、貴方のチンポのお相手はこれからは右手に変わりますよ。」
この男はさゆがお姫様になる上で邪魔な存在だ。女の死体を隠す意味はない。
私はテーブルクロスを一気に引き剥がした。
104 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/24(木) 22:30
三十

テーブルクロスの下の死体は消えていない。
これが手品だったら失敗だが革命ならば成功だ。いや成功させる。さゆの為に!

「あっ!ああっ……。」
呆然とする男。泣き顔になるさゆを抱きしめるえり。
「き……貴様……。許さん……、許さんぞおおおおおおおおおおっ!」
男が叫んだその時、部屋の窓ガラスが割れ炎と煙りが部屋に溢れた。
「何が起きたんだ!」
テーブルの上の中華料理に目を移したが変化はない。
中華料理が幾ら高温で仕上げるものとはいえ、再発火などはありえない。
えりもさゆも怯えて抱き合っている。冷めてしまったからと気を使って火を点けてくれた訳でもない。

「どうなってるんだ!」
男も理解不能といった様子である。男が唱えた魔法なんかでは勿論ないのだ。

ますます部屋を覆っていく煙り。立ちはだかる炎の赤い壁。
私はさゆとえりを抱き寄せた。
「死にたくないなあ。」
105 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/24(木) 22:39
ここで「さゆえりれいなのしたたり」は狼のスレを含めれば二度目の一時中断をします。
(あらすじ自体は一回全て公開しているので、自分でもどうかと思う行動ですが。)
再開時期は未定です。間には他の作品を書く予定です。気長にお付き合いをお願いします。
106 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/25(金) 00:42
こまめに更新してくれたので、内容忘れずによめました。
とてもおもしろい。
107 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/25(金) 22:21


108 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/25(金) 22:21
>>106
ありがとうございます
109 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/25(金) 22:23
☆★☆EXPO-Trap☆★☆


<遂に始まった世紀の祭典、愛知EXPOを国民的スーパーアイドルユニット、モーニング娘。と一緒に体験しよう!>


110 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/25(金) 22:24
リーダー矢口真理ちゃんは夢見る山を探検だ!
ちっちゃい体で会場を歩き回る麻里ちゃん。普通の人より広く感じるかもしれないね。

さあ、ロボット展示場にやってきたぞ!
麻理ちゃんも目をキラキラさせてるよ。
「夢がありますねえ。」
ここには日本の一流企業ががんばって作ったロボットが一杯。
「このロボットはサラリーマンが作ったんですか?」
将来的にはロボットが人間の代わりに難しい仕事をこなせる日も来るかもしれないね!
「ロボットが働ける様になったらサラリーマンはどうするんですか?」
111 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/25(金) 22:25
さあ次は大地の塔!
よっすぃ〜こと吉澤ひとみちゃんと、こんこんこと紺野あさ美ちゃんが見に行ったぞ。

大地の塔を見上げるよっすぃ〜。
塔の割にあんまり高くないなんて言っちゃダメだよ、よっすぃ〜!
作ったのはふみやなんだから!

塔の中に入ってみてビックリ!なんて大きなまんげきょう!
あまりの美しさによっすぃ〜もパーマ頭をポリポリ。

でも、こんこんはこんな時もご飯の事を考えてばかり。
実はさっきほっぺたに溜めてきたお弁当を取り上げられてしまったんだ。
会場は食べ物持ち込み禁止だから気をつけようね!
112 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/25(金) 22:25
続いてはミキティ、藤本美貴ちゃん!
ミキティは森の真ん中ら辺に展示された古臭い家に興味津々。
思わずふるさとを思い出しちゃって無口になっちゃった。
ここには今では貧乏人以外は使ってない様な家具が一杯。高い入場料を払ってでも見たいよね!
113 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/25(金) 22:26
古い日本を味わった次は世界の国々とも触れあってみよう!
世界パビリオンには外人さんもいっぱいいるよ!
ガキさんこと新垣里沙ちゃんと田中れいなちゃんは周りを思わずキョロキョロ。
ガキさん、あせっても並んでるお客さんを抜かしちゃダメだよ!ちゃんと並ぼうね。

おや、れいなちゃんがイタリア館の古代ブロンズ像に目を奪われてるよ。
これは漁船によって最近引き上げられた物なんだけど、実は2000年以上も前に作られた物なんだ。
おちんちん丸出しだから毛が生えてるかどうかよく見ておこうね!

あれれ、ガキさんがジュマペール館に入ったきりいなくなってしまったぞ。
みんなもありもしない国のブースに足を踏み入れないように気をつけようね!
114 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/25(金) 22:27
愛知EXPOの会場は実はもう一つあるんだ。そこにはゴンドラで行けるよ。
高橋愛ちゃんと小川麻琴ちゃんと亀井絵里ちゃんは揺れるゴンドラに大騒ぎ!
重い人と乗るときは注意が必要だね!

たどりついた別会場には自然がたくさん!
建物も人気もないので空間の広さを目一杯体感できるぞ!

愛ちゃんは地元の福井と比べてるね。
ここまで来たんだからたまには違う話題がほしいよね!

絵里ちゃんは丘を見つけて登ってみたよ。
絵里ちゃんの恥丘と比べても見劣りしない立派な丘だね!
115 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/25(金) 22:29
見所いっぱいの愛知EXPO。
妖精エコモニ。の梨華ちゃんとさゆみんは会場を飛び回ってすっかり疲れちゃったのかな。

さゆみんが何かモジモジしてるね。
「おトイレ〜。」
妖精でもさゆみんの方はうんこするんだね。でも大丈夫!
会場は野グソOKだから。うんこは肥料になるんだよ!

梨華ちゃんは「面白くないですか?」なんて聞いてるけど安心して。
愛知EXPOは大の大人も楽しめる!

みんなも早く愛知EXPOに行こう!




おわり
116 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/03/28(月) 00:53
第二回男×娘。企画で
9 別れのチャオを書きました
117 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/03(日) 00:50

118 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/03(日) 00:50
>>71-104の続き
119 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/03(日) 00:51
三十一

目を開けると、そこはお世辞にもふかふかとは言えないベッドの上だった。
「起きたならベッドを空けて下さい。」
慌ただしい調子で私にそう言うのは白衣を着た女。どうやら看護婦の様だ。
周りを見ると同じ様に硬いベッドの上、包帯グルグル巻きの人がたくさん。
更には医者と看護婦が駆け回っていて何やらただごとではない感じ。

煙り。炎。意識が遠のくと共にさゆとえりを抱き寄せた腕から力が抜けていく。
私が思い出せるのはそこまでだ。
「何があったんですか?さゆとえりは?」
私の寝ていたベッドに、男か女か分からないほどに体が焼けただれた患者が運ばれてきた。
「被害者の皆さんの身元確認は全く進んでない状況です。貴方は幸運ですよ。軽い火傷で済んだのですから。」
看護婦が患者に包帯を巻きながらそう答えた。
「ま、まさか!」
120 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/03(日) 02:29
三十二

私は看護婦の手を除けて患者の焼けただれた股間をまさぐった。
「何だ男じゃないか。汚らしい。」
「女の子なら向こうで見かけましたよ。」

えりは私と同じくちょっと火傷しただけでケロッとしていた。しかし、さゆはえりの隣りにいなかった。
包帯グルグル患者の股間とおっぱいを手当たり次第に調べてみたが、その中にもいなかったのはなによりと言えるかもしれない。
「大丈夫だよ。きっと……。」
「ああ……。それにしても……えり、新幹線をほったらかしにしてた事は内緒だよ。」

気絶していた私達が運ばれてきたのは臨時の野営病院。
新幹線脱線と、それに伴う山火事の拡大によって宇部は焼け野原になってしまったのだった。
「それにしても辛気くさいなあ。焼ける前から何も無かったじゃないか。」

病院に広がる辛気くささは、そのまま宇部の絶望を示すものだった。
宇部を黒く塗りつぶしたのは新幹線脱線と山火事だけではなかったのだ。
髪の長い女の子を連れた男にお姫様が暗殺された。男は見つかり次第、裁判にかけられて死刑っぽい。

「参ったなあ。私の事じゃん。連れてる髪の長い女の子ってえりの事かな?
 ……あのさあ、えりりん。言いにくいんだけどさ……。」
121 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/03(日) 21:32
三十三

「いいじゃん!似合うよ!」
病院を抜けて美容院、のつもりがすっかり焼け野原なので私がハサミを持った。
やっぱ素人に散髪は難しいね、こっち切りすぎたからこっちもって繰り返していたら。まるで男の子だよ。
しかし、これで私は“髪の長い女の子を連れた男”から“髪の短い〜”になったのだ。

「さあ、これでさゆを探しに行ける。」
「さっきからさゆの事ばっかだね……。」
「何でそんな風に拗ねるの。えりだって大好き。さゆは可愛くてえりは美人。タイプが違うのさ。」
「で、さゆをどうやって探すの?」
「それが問題だ……。」
122 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/03(日) 22:15
三十四

それからの私とえりの宇部での生活(と言える様なものに結果的になってしまった日々)は、
さゆを探してえりが拗ねてえりを慰めての繰り返し。

えりの顔つきが変わったのは髪型のせいではない。
私が与えていた優しさの脆さなんて、えりが一番よく気付いていたんだ。
だから、それで得た自信も慢心もえりにはない。脆い優しさに寄りかかる程女は弱くない。
えりの拗ねた顔には、独りになれない私に向けて意地悪く笑いかける表情もどこか含んでいるのだ。
だが、私に彼女を性悪だと責める事など出来るだろうか。

ある日、えりは吐き気を催した。
「モグモグモグモグ……ウェーウェー。」
123 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/03(日) 22:44
三十五

悪阻だった。
「産むよ。」
「ああ。」
「仕事、頑張ってね。」
再建の進む宇部の雇用機会は多く、中卒の私もすんなり就職できた。

そして、毎日が目まぐるしく過ぎていった。

「可愛い子が産まれるといいな。」
「さゆみたいな?」
「……さゆって誰?」
「……色が白くて可愛い子。病院で会った子。」
「その子も妊娠してるのかい?」
「予定日、近かった気がする。」
「そうか……。でも、さゆは可愛くてえりは美人。タイプが違うのさ。」
「さゆと会った事あるの?」
「私が?ないよ。」

テレビでは宇部の新しい権力者となった男が演説していた。
「愚かで空虚な革命など果たされる事はありません。道重家の魂は不滅です……」
124 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/03(日) 23:23
三十六

病院の待合室で私はえりの検診が終わるのを待っている。

妊婦は艶やかで美しい。生命を抱えるまんこそのものだ。
だが私の隣りに座るその少女は、例え妊娠していない時に出会ったとしても、圧倒的な可愛さでもって私を魅了した事だろう。
私は少女に話しかける。
「久しぶり、さゆ。妊娠したんだってね。」
「うん。でも可愛い子が産まれるか分からないの。」
「何故?」
「お兄ちゃんの子……。」
「……革命まだだったね。」
「お姉ちゃん、死んじゃった……。」
「さゆ、お姉ちゃんにものごっつい顔をしたさゆりんって覚えてるかい?あれはさゆ、他の誰でもなくさゆ自身なんだよ。
 私は今でも思うよ。さゆこそ可愛い、さゆこそお姫様だと。」
少女はうなずいた。何かを決意したかの様に。

診察室のドアが開き検診を終えたえりが出てくる。
えりはさゆに手を振った。私は挨拶をした。
「はじめまして。」
125 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/03(日) 23:28
三十七

その時、分娩室には医師と赤ん坊しかいなかったと言う。
へその尾をつけ羊水にまみれ、その赤ん坊は産まれ出た直後である事は間違いなかった。
しかし、どこにも母親の姿は見えなかったのだ。

私は話を聞いて、すぐにその赤ん坊を引き取る意志がある事を告げた。
そうしなければいけない気がしたのだ。
「さゆみ。どう?この子の名前。」
「何それ?」
「いや、何となくさ。」
「……別にいいと思うよ。」
さゆみは少し体が大きい女の子、色が白く口元にほくろがある。とても可愛い。
そして、何故だろう。私に少し似ているのだ。

しかし、えりの産んだ女の子は私に全く似ていなかった。
その為だろうか、可愛いとは思えなかった。
「れいな。どう?この名前。」
「れいな……。」
えりは複雑な顔を見せながらも、あまり可愛くないその子の顔を見て渋々うなずくのだった。

テレビでは宇部の権力者だった男の存命時の演説が流れている。
「愚かで空虚な革命など果たされる事はありません。道重家の魂は不滅です……」
126 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/03(日) 23:33
四十くらい

さゆみは鏡を見るのが好きな子だ。鏡さえ与えておけば機嫌がいい。
そこに映る自分の顔をずっと見ていたと思ったら、急に喜んで声を上げる姿がとても可愛い。
また、髪飾りを何か食べ物と勘違いしている様で口に入れようとする。
その行動もとても無邪気で魅力的なのだが、喉に詰まらせてしまっては危ないので取り上げた。

れいなは肉(といっても離乳食の味付けの種類の一つだが)以外は口に入れるとプッと吐き出してしまう。
偏った食事で健やかに可愛く育つ訳はないが、えりは肉以外与えようとはしなかった。

「どうしてれいなは私には似てないんだろうね?」
私は縄で絞めた様な跡があるれいなの首に手を置いた。
えりは鼻で笑い、じんましんをポリポリと掻いた。



終わり
127 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/04(月) 22:10
素晴らしい。
128 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/05(火) 23:12
>>127
どうもありがとうございます
129 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/05(火) 23:12

130 名前:「イヌワシはヒナを飢えさせて巣立ちを促す」 投稿日:2005/04/05(火) 23:23


「あっ。曲がった。」


仙台市民の夢が詰まった新球団楽天イーグルスの勝利を願って球場を訪れた国民的スーパーアイドルユニットモーニング娘。は
プロ野球選手の投げた生の変化球を初めて見て思わず嘆息したが野球自体にはそもそも興味がないメンバーが殆どなので
投げた球を棒で打って又その球を取りに行く動作を延々と続けるだけの試合にすぐに飽きてしまい試合終了後の夕食に思いを馳せるのだが
肉好きの多いメンバーは当然の如く仙台名物牛タンを食べに行く予定でその熱い肉汁が口内に広がる様を考えただけで幸せな気分になり顔がほころぶのだったが
特に無類の肉好きである田中れいなのほころび方はそれは尋常ではなく他のメンバーもその顔を見て普段思っている事が思わず口をついて出てしまうのであった。




131 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/13(水) 22:14


132 名前:茶色の鞄 〜死体と遊ぶな子どもたち〜 投稿日:2005/04/13(水) 22:16

路面電車でガタゴト。実家のみっつ手前で降りた。
窓の向こうに校庭が見え、懐かしい気分になったから。
茶色の鞄を肩から下げて教室に入れば、あの頃と同じ気持ち。

背比べしてからかった、柱の傷に残る思い出。
牛乳拭くのを頼まれた、雑巾の匂いに残る思い出。

机の下で女の子が震えてる。
遊びの途中で逃げ遅れ。幻かな現かな。

ぼくの牛乳にあばばばば。
首を絞めたらあばばばば。

でも、茶色の鞄に入らない。
そこは真里の戻る場所だから。


おしまい
133 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/18(月) 22:21
脱退発表の報をうけて気分的に>>132を改めて書き直したくなったので
内容は変わってませんが
134 名前:茶色の鞄 〜人生がもう始まってる〜 投稿日:2005/04/18(月) 22:23

路面電車でガタゴト走り、橋を渡れば校庭がある。
茶いろの鞄を肩から下げて、小走りに校門くぐればあの頃と同じ気分。

教室の柱に残った古い傷を指で辿って、君と再会した金曜日を思い出す。
「相変わらず小さいな。」って冗談を言った。
でも変わってないのは君を思うぼくの気持ちの方だった。

画鋲が取れた習字の文字、夢が風に揺れてる。
サラリーマンだもん、笑っちゃうよな。君とは釣り合いなんて取れないよ。
夢追って風来坊にでもなってれば良かったかな。
そしたらぼくも自分の事おいらって呼んでさ、プカプカでも歌うよ。

汚れた雑巾が落ちてる。
牛乳拭くの嫌がった君と、よく一緒に掃除さぼったっけ。
拾い上げようとふと視線を下ろしたら、机の下に女の子が屈んでいた。
135 名前:茶色の鞄 〜人生がもう始まってる〜 投稿日:2005/04/18(月) 22:24

「遊んでる途中?」
「うん。」
「一緒に遊んでもいい?」
「いいよ。タッチされたらおじさんもゾンビだからね。」

ゾンビごっこだなんて何て無邪気なんだろう。
「これ、何が入ってるの?」
女の子はぼくの茶いろの鞄を開けた。

「あばばばばばばば。」
「大丈夫だよ。」
「あばばばばばばば。」
「大丈夫だってば。これはゾンビじゃなくて真里だよ!」



おしまい
136 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/19(火) 00:41


137 名前:おならさんの多忙な週末 投稿日:2005/04/19(火) 00:43

屁。

糞尿と違いフォルムを持たない屁は、だからこそその在り方に拘る。
有音屁、無音屁、長屁、短屁……。
屁は空間に放たれたその瞬間にしか生きられない意味をそれぞれ持つ。
恥じらい、嫌がらせ、忍耐、怠惰……。
そしてそれは放屁されてからは二度と取り戻せないものだ。
刹那に舞う屁こそ、美しい。孤独な屁こそを私は愛したい。

モーニング娘。(以下、モ娘)の屁。
それはモーヲタ(モ娘オタクの総称)である私にとって究極で至高のロマンであり、届かぬ彼方で微笑み続ける永遠の謎である。

“加護ちゃん、辻ちゃん”で知られる二人組、W(ダブルユー)の辻ちゃんこと辻希美は、
嘗て、モ娘時代にコンサート中放屁した経験がある事をテレビで告白した。

それを見て私は思わず膝を打ったものである。
コンサートで彼女達が見せる踊りは、腸の作用を促す程の激しいものであり
(更にはコンサート前に軽い食事を済ましている筈で、腸が活発化している事は間違いない)、
それは必ずや屁を誘発しているであろうと、かねてから睨んでいた為である。

辻の告白に対し他のメンバーは苦い顔を見せて笑ったが、
そこには辻と違い告白できない自分への自嘲の意味合いを含んでいたのだろうか。
告白した辻と、他メンバーの持つ“屁の意味”の違いを相対化して見る事ができ、
これはモ娘の屁を考える上で非常に興味深い素材である。

そして私はいつもの様に安倍なつみの屁を想像してこっそりとほくそ笑むのであった。


田舎っ屁。
138 名前:おならさんの多忙な週末 投稿日:2005/04/19(火) 00:44



       完



139 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/23(土) 23:16

140 名前:矢口つくね 投稿日:2005/04/23(土) 23:25

いかにもな現代風イケメンとおててつないでやってきたその女が「おでん下さい。」と言ってきた時、
俺の営業スマイルはいつも以上に輝いた事だろう。
日曜の夜中に好きな人とコンビニのおでんを食うというささやかな幸せを、さてどう踏みにじってやろう。
硬い大根や崩れた玉子やどろどろに溶けた餅巾着をあえて選んでやろうか……。
おでん鍋の上を俺のおたまが滑る。

その時、どこからか飛んできた小バエが鍋に落ちた。小バエはやかましく羽音を立てながら鍋の中で暴れ回った。
おでんの汁は次第に程良くかきまざったが、同時にその上澄みに見るからに味の薄そうな膜を作った。
やがて小バエは動かなくなり膜の上に静かにその体を浮かべた。
溺れ死んでしまったのだろうか。俺はおたまで小バエをすくい上げた。

(おい!がんばれ!)

ゆっくりと息を吹き返した小バエは、はじめは所在なさげにフラフラと中空を舞っていたが、
その内にかつての自分の姿を思い出したかの様に騒がしく羽音を立て店内を飛び回りはじめた。

俺は上澄みを避け鍋の奥からたっぷり味が染み込んだだし汁と具をすくって皿に盛った。
おでんの旨味はそこにこそあるからだ。

女とイケメンはおでんの袋を下げて夜の闇に消えていった。



おわり
141 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/04/25(月) 21:04
同一タイトル企画で
11 れいなの通販生活を書きました
142 名前:さゆえりれいなのしたたり 27 投稿日:2005/05/05(木) 23:04

私「春めいてきた事だしボーリングにでも行こうか。」
れいな「行くばい。行くばい。」

もちろん対決。
いざチーム分けしようとジャンケンの下準備(両手を逆さに組んで裏返して隙間を覗くあれ)。
しかし、すでに


ノノ*^ー^)人(・ 。.・*从       (` ヮ´*从≡从*` ヮ´)
143 名前:さゆえりれいなのしたたり 27 投稿日:2005/05/05(木) 23:08
私「まあ、いいや。じゃ、私&れいなチーム対さゆえりチームだ!」
えり「負けた方はどうする?」
私「負けるなんてありえない。もし負けたらピンを尻穴に差してやってもいいぞ。」
さゆ「そんな事されても嬉しくない。」
私「じゃ体中の毛を剃る。」
えり「罰ゲームにならなきゃ意味ないし。」
れいな「…」
さゆ「顔にボーリングの玉を落とすとか。」
私「ダメだ。さゆとえりの顔がぐちゃぐちゃになるなんて耐えられない。」
さゆ「ああ、嫌!絶対に嫌!あ、負けなかったらいいのか。」
えり「元からぐちゃぐちゃだったら変わんなくてつまんない。」
私「いやはやブラックジョークがきついねぇ。」
えり「れいなも何か考えて!」
れいな「夕食抜きとかどうばい?」
えり「普通だね…。」
私「まあ、その辺が妥当だな。プラス勝った方におごりでいいだろう。」
144 名前:さゆえりれいなのしたたり 27 投稿日:2005/05/05(木) 23:34
こうして壮絶なボーリング対決の火蓋が切って落とされたのだ!

私「れいな、真っ直ぐ前を見て投げるんだ!」
れいな「ダメばい!またガーターばい。」

えり「(くねくね〜)ダメ!またガーター。」

勝負はほぼ私とさゆの一騎打ちだった。
ここでさゆにストライクを取られては負けてしまう。

さゆの巨大な体から力強く放たれたピンク色のボーリング玉は私とれいなとさゆとえり、
それぞれの祈りを運んで床を滑っていく。


未完
145 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/06(金) 00:02
続ききぼん(18歳・学生)
146 名前:さゆえりれいなのしたたり 28 投稿日:2005/05/07(土) 23:22

「何かいい事ないか仔猫ちゃん。」
「知らん。」
「ノリ悪いなァ。今日は二人っきりなんだから。」
「じゃ物真似でもするっちゃ。」
「じゃ杉良太郎やって。杉様。」
「ヨン様なら知っとるけん。」
「こっち向いて〜。じゃ次こっち。」
「何バタバタしとる。」
「ほぉ、これがれいなの流し目かぁ。」

すきま風が部屋をそっと通り抜けた。
私はれいなのために死ねるだろうか?



終わり
147 名前:さゆえりれいなのしたたり 29 投稿日:2005/05/08(日) 22:28

ミ☆SFシリーズ☆彡

れいな「れいなは実は宇宙人だったばい。」
えり「へえ。どおりで…。」
さゆ「じゃ、私は宇宙人じゃないって事かぁ。」
私「これは興味深い。証拠を見せてくれ。」
れいな「分かったばい。」

ミ☆

私「あっ!キャトルミューティレーションだ!」
れいな「ここがカルビばい。ここがロースばい。」
えり「食べてみてよ。」
れいな「狂牛病が怖いけん生は無理たい。」
えり「鳥インフルエンザもれいなの仕業だったんだね…。」
さゆ「もっと色々やって!」
私「あっ!ミステリーサークルだ!」
えり「一人で作ってもサークルだって。面白いね。」
さゆ「ひどい…。草花がボロボロ…。」
私「そろそろUFO呼んでみてくれ。」
れいな「分かったばい。」

☆彡
148 名前:さゆえりれいなのしたたり 29 投稿日:2005/05/08(日) 22:33

えり「まだぁ?」
さゆ「れいなの嘘つき!」
れいなは屋上で両手を広げてかれこれ小一時間程空に呼びかけていたが、からっきしなしのつぶてだった。
れいな「もうちょっと時間かかるけん、待つばい。」
私「分かった。私はいつまででも待つよ。」

  春白昼
   ここの港に寄りもせず
     岬を過ぎて行く船のあり

              若山牧水



  おわり
149 名前:さゆえりれいなのしたたり 30 投稿日:2005/05/12(木) 21:27

私「春めいてきた事だしエジプトにでも行こうか。」
れいな「行くばい。行くばい。」

私「砂漠だねえ。」
れいな「不思議と落ち着くばい。」
えり「じゃ、ここに住めばぁ?」
私「猫は砂漠の生まれらしいよ。」
さゆ「見て!可愛い!」
私「スフィンクスだ!でもよく見てごらん。砂漠に吹く強い風雨のせいで顔が崩れている。」
れいな「あっ。雨が振ってきたばい。SCOOLばい。」
えり「れいな、早く雨宿りしなきゃ!」
私「丁度いい。ピラミッドをお借りしよう。」


150 名前:さゆえりれいなのしたたり 30 投稿日:2005/05/12(木) 21:29

えり「あ、何かいい。」
私「砂漠は乾燥してるからね。ピラミッドの中は湿った空気でお肌もホッとするね。」
さゆ「見て!可愛い!」
私「棺桶だ!キラキラしてるね。きっとここは王子様のお墓なんだろう。」
さゆ「王子様…。」
私「中を見てみようか。」

さゆ「からっぽ…。」
私「カモフラージュの為に作られたものかもしれないね。」
えり「ちょっと中に入ってみる。」

えり「あ、何かいい。」
れいな「じゃ、ここに住めばよか。」

不謹慎な事を言ったれいなはミイラの呪いにかかってまた痩せました。



fin
151 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/13(金) 23:36

152 名前:リーダー吉澤ひとみにミラクルが起きる話 1 投稿日:2005/05/13(金) 23:42

『会って直に話すのが、悪感情を一掃する最上の方法である』

                          リンカーン

喫茶店にカラカラと響く鈴の音。入ってきたのは矢口。
「よっすぃ。久し振り。あぁ、ヒサブリの方がいいか。」
吉澤はそっけなく「あ、どーも。」

「おいら五月病だよぉ。」
「あ、そーっすか。」
「お互い忙しいから自分を見つめなおす時間ほしいよね。」
「そーっすね。」
「でも、おいら最近思うんだ。誰かを支える喜びってはかりしれないなって。……おいらがいないと、きっとアイツ、だめなんだよ。」
「ああ、そーっすか。」
「じゃ、おいら帰るよ。お互い夢を大事にしようね。」

その時吉澤の髪がスパゲッティに変わった!
153 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/14(土) 21:20
書き直します
154 名前:リーダー吉澤ひとみにミラクルが起きる話 1 投稿日:2005/05/14(土) 21:22

『会って直に話すのが、悪感情を一掃する最上の方法である』

                          リンカーン

お好み焼き屋にいらっしゃいませ!と響く店員の声。入ってきたのは矢口。
「よっすぃ。久し振り。あぁ、ヒサブリの方がいいか。」
吉澤はそっけなく「あ、どーも。」

「おいら五月病だよぉ。」
「あ、そーっすか。」
「お互い忙しいから自分を見つめなおす時間ほしいよね。」
「そーっすね。」
「でも、おいら最近思うんだ。誰かを支える喜びってはかりしれないなって。……おいらがいないと、きっとアイツ、だめなんだよ。」
「ああ、そーっすか。」
「じゃ、おいら帰るよ。お互い夢を大事にしようね。」

その時吉澤の髪が焼きそばに変わった!
155 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/16(月) 23:29

156 名前:さゆえりれいなのしたたり 31 投稿日:2005/05/16(月) 23:34

れいな「れいなは実は念写が出来るばい。」
えり「あっそ。」
さゆ「それ何だっけ。」
私「実際にはそこにないものを念じる力だけでフィルムに焼きつける現象の事だ。」
さゆ「そういえば…この写真。」
私「それは>>71から長々やったからいいだろう。」
えり「じゃ、れいなの友達見せて。」
れいな「それなら念写するよりみんなで撮った方が早いばい。」
えり「え?え?え?どういう意味?」
れいな「えりとさゆとれいなで写真撮ればいいたいね。」
さゆ「ハイ!うさちゃんピース!」

私は目から涙のエクトプラズムを出した。

 iVi.                     iVi.
 (cソノハヽo    ノノハヽ   ノハヽリc)
 / 从*・ 。.・)人从*` ヮ´*从人(^ー^;bルゝ



さゆえりれいなのしたたり  完
157 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/19(木) 00:17
さゆえりれいなのしたたりシリーズはこれでおしまい

で、>>3-31に書いたやつ
まあそこそこ満足してるんですが、そこそこなので書き直します
途中で飽きるかもしれません
158 名前:血を吸うしたたり 投稿日:2005/05/19(木) 00:20
1

絵里のおばあちゃんが行方不明になりました。
おばあちゃんと仲良しだった絵里はとても落ち込みました。

どれくらい仲良しかというと…

「いつも一緒におせんべいとみかんとお茶を食べる。」

こんな平凡な話をする際に絵里が思わずニヤニヤしてしまうくらい仲良しなのでした。

絵里の両親は捜索願いをすぐに届け出しましたが、いなくなったのが幼女ではないので警察もどうにもやる気が出ない。
捜査は滞っているのであった。

そこで張り切る絵里の友人ガキさん。
「カメちゃん、横浜に行くのだ。」
このカメちゃんというのは絵里の名字の亀井からきている。

ところで、ウサギとカメという昔話がありますが。



続く
159 名前:血を吸うしたたり 投稿日:2005/05/19(木) 23:07
2

ウサギの柔らかな毛並みを思わせるプニプニの白い肌に、
吹き出物がウサギの赤いお目目の如く映えるさゆみという子がとある女子寄宿学校にやってきます。

さゆみは山口の宇部市から引っ越してきました。お父さんは船乗りなので殆ど家に帰ってきません。
お母さんは若くして死んでいて、家はさゆみとさゆみのお兄ちゃんの二人暮らし。
これでは何かと不便だろうという事でこの寄宿学校にやってきたという訳です。
(お兄ちゃんの方は、また後で出てきます。)

この寄宿学校は湖と深い森に囲まれていてとっても神秘的。
でもって湖や森と程遠いのがビルの街・横浜ですが。



続く
160 名前:血を吸うしたたり 投稿日:2005/05/21(土) 22:23
3

太陽が灰色に埋もれている。
雲の灰ではなくコンクリートの灰。ここはビルで縁取られた楽園、横浜。
中華街のネオンは始終輝き続けるし、日が当たらないので港は薄暗く、汽笛が揺らす水面も暗く塗りつぶされています。

チャンポンチャン通り、ジュマペール塔、ハニホヘト公園…。
ここは国と国が闇の中で溶けあう場所なのだ!

ガキさんは絵里を連れて横浜ふらつき得意顔。
落ち込んでいた絵里も少し気分が良くなりました。
でも気分転換だけが目的ではありません。
日も暮れた頃(といってもどっちみち真っ暗なのですが)、いよいよガキさんは本題に触れるわけです。
161 名前:血を吸うしたたり 投稿日:2005/05/21(土) 23:13
4

太田裕美に横浜ドール〜♪と歌う佳曲がありますが、ドールはドールでもさながら横浜ダッチワイフなのが矢口真里です。
彼女は元はそれなりにいい仕事をしていました。
自立したイイ女気取りをしていた彼女でしたが、身の程知らずで上司に歯向かった為に解雇され、今ではすっかり売春婦。
今日も生きるために男に抱かれるのです。

「気持ちいいよぉ。おいら、イッちゃうよぉ。」
これ、勿論嘘。毎日ハメてる女がこんな事は有り得ない。
でも男を喜ばせる為にはえんやこら。そしてやっぱり自分をイイ女、出来る女として思いたい。
つまり、このイッた振りは今となっては彼女の唯一の心の拠り所と言えるのです。

男がハメ疲れて眠ったのを見ると、今夜も矢口はベッドを抜け出て窓の外を見ます。
ビルの街・横浜。
月の光はアスファルトを隔てた向こう側。矢口はため息をつきました。


続く
162 名前:血を吸うしたたり 投稿日:2005/05/23(月) 21:24
5

グラスに落ちる丸く鈍い光、それは天井から吊されたしゃれこうべがくわえた豆電球。
どこからか漂う煙が部屋を切り裂いています。

締めきった部屋を一際暗くする真っ黒いカーテンが、どろりとめくられて覗いたのはガキさんの顔。
「ババちゃん、いる?……カメちゃん、いいよ。入ってきなよ。」
怯える絵里を後目にガキさんはスタススタと部屋に入っていくのでした。

ここはガキさんのおばあちゃん、ババちゃんが心霊実験を行う秘密のビルの中。
ババちゃんは沖縄生まれです。
沖縄といえば実在する彼岸。つまり向こう岸。命が行き交う場所です。
イタコの青森かユタの沖縄かというくらい霊媒とか降霊とか、その手では有名なのです。

絵里はガキさんに促されておっかなびっくり部屋に足を踏み入れました。
ガキさんはこのビルで何をしようと言うのでしょうかねぇ。



続く
163 名前:血を吸うしたたり 投稿日:2005/05/24(火) 23:05
6

さゆみはベッドの中でうとうとしながら今日一日を思い出していました。
寄宿舎の自分の部屋に入った途端に旅の疲れが一気に出て、すぐにベッドにもぐり込んだのです。

故郷の宇部から乗った飛行機の中。
そこで見た手鏡に写る可愛い自分の顔。
空港から寄宿学校へ向かうタクシーの中。
森に入ると車内に影が差して鏡が見にくくなりました。

友達出来るかな…

森を抜けると湖に隣り合わせた寄宿舎と校舎のある本棟が見えてきます。
その向こう側にはまた森が見えていて、たった今抜け出てきた森が鏡写しになっているよう。

よく目を凝らすと森の中でお兄ちゃんが虫を捕っていました。
捕った虫を見せびらかしてくるお兄ちゃん。
「ほら、さなぎだよ〜。」
ついでにズボンの中のさなぎも見せてくるお兄ちゃん。

さゆみはひどい寝汗をかきました。


続く
164 名前:血を吸うしたたり 投稿日:2005/05/25(水) 21:05
7

さて、大して暑い季節でもないのに勝手に汗まみれになる類の人がいますが。
あいぼんも病院の控え室で汗を拭いていました。
体が重いのです。しかし、帰り道には若干軽くなってるかも。

「あなたは心に重りを背負うことになるのですよ。」
お医者さんは説得しましたが、あいぼんは聞こうとしませんでした。

で、あっという間に堕胎を済ました帰り道。
あいぼんは体よりも心よりも何より肩が重い。この重さはどうやら自分のおっぱいから来るものではない。
耳を澄ませば……ウギャーならずオギャーと聞こえてくるではありませんか。
あいぼんの背中を冷や汗が伝わりました。


続く
165 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/31(火) 00:07
↑これ無し

また書き直します
今度は出来てから載せるのでしばらく更新ナシ
166 名前:水色の日 投稿日:2005/06/01(水) 02:19

  _l_l_    ,':..     :|.._  |`'‐i            ::    i::   ::   i::
 .  l| |¬` ー-_ノ:::::::... ......::::| . l ┛ .:::i._   ::     ::    :::     :: i  ::
  [ll| |ll]_ ,;'" .、::::::::::::::::....| : l=.| ..:::: :;') i       :    ::      i       ::
   | |l'   !:::::::::::;;;;;.... 、..::::| ' l | :::: _ノ.::   .: . | :: .  :  :  i       ::  i::
   | | . _~ー、_:::::::::;;;\、 :| ; l | ,;'"::   .  | . .  :  .  i       ::     |
   | |./| i::::: |::~ゝ:::::;;='、_:| : l=.||[ニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニ
   | | |:: :  i  l、...:::::::::.. !|__」゙..|  . ::              ::   ::     :::   i  ::
   | | | :: i :   ^ー-、::. |   |  ::.   i     ::   l    .::             ::
   | | | ::i ::::  i | .'〜l_____.|.                  ::. ::    i    .     ::
   | | |   _,r-‐(⌒`ヽー-|l l l l|::    i        .    ::      i    ::  :i:
   | | |  ,ソ;;::: ゝ;;::::::::::: |l l l l|::  i  :::      : .  i        : ::. ::    i : :
   | | 、!_ .{`:: . ノ_;;::::::::::. . |_ |           @ノハ@: i:   :   :: ::    i
       L;_::  ノ;;;::: .   l文|. |::   オギャー>ё( ;‘д‘)<ウギャー   i       :  ::.
          ~ ー 、_i ::... | ̄ |         (  つつ   :: ::..      ::  ..  i   ::
                 ヽ.,._|_  |、.,.,.,.,.,.,.、.,.,..,,.,,.,.(_)_),,.、,,..,.,,.、.,.,.,.,,.、.,.、.,.,,.、.,.,,.、.,.,,.、.,.,,.、.,.,,..,.,,.、
167 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/11(土) 02:15

168 名前:血を吸うしたたり 投稿日:2005/06/11(土) 02:15

169 名前:<絵里のおばあちゃんが行方不明になりガキさんがはりきる> 投稿日:2005/06/11(土) 02:18

絵里のおばあちゃんが買い物に行ったきり行方不明になりました。

「いつも一緒におせんべいとみかんとお茶を食べる。」
こんな平凡な話をする際でも思わずニヤニヤしてしまうくらい、
おばあちゃんと仲良しだった絵里はとても落ち込みました。
ついでに小さい頃の持病だった首がザラザラする病気も再発しました。

絵里の両親は捜索願いをすぐに出したのですが、
いなくなったのが幼女ではないので警察もどうにもやる気が出ない。
捜査は滞っているのでありました。

そこで絵里の友人ガキさん。
「カメちゃん、横浜に行くのだ。」
170 名前:<さゆみが寄宿学校に引っ越してくる> 投稿日:2005/06/11(土) 02:18

ウサギの柔らかな毛並みを思わせる白い肌に吹き出物がこれまたウサギの赤いお目目の如く映える、
さゆみという子が都心から少し外れた所にある寄宿学校にやってきました。

さゆみは元は山口という遠い所に住んでいました。
お母さんは若くして死んでいます。お父さんは船乗りなので殆ど家に帰ってきません。
これでは何かと不便だろうという事でこの寄宿学校にやってきたわけです。

寄宿学校は深い森に囲まれていてとっても神秘的。
そして、どこかその景色は故郷の山口に似ているのでした。
171 名前:<ガキさんが絵里を連れて横浜を練り歩く> 投稿日:2005/06/11(土) 02:19

ここはビルで縁取られた楽園。太陽が燃えるのはアスファルトの向こう側。
ネオンが始終輝き続けても、日が当たらない港は薄暗く汽笛が揺らす水面も暗く塗りつぶされています。

そして、浮かび上がるのはチャンポンチャン通り、ジュマペール塔、ハニホヘト公園…。
横浜は国と国が闇の中で溶けあう場所なのです。

ガキさんは得意顔で絵里を連れて歩きます。横浜はガキさんにとって庭のようなものなのです。
落ち込んでいた絵里も少し気分が良くなりました。
でも、気分転換だけが目的ではありません。
どっちみち真っ暗ですが、日も暮れた頃、いよいよガキさんは本題に触れるのです。
172 名前:<さゆみが腋汗をかく> 投稿日:2005/06/11(土) 02:19

寄宿舎の部屋に入った途端、旅の疲れが一気に出たさゆみはすぐにベッドにもぐり込みました。
なので、二人部屋の一緒に住むもう一人の子が使うベッドの上、
乱暴に脱ぎ捨てられた原色の派手な洋服も、机の上の書き置きも目に入りませんでした。

うとうとするさゆみの頭の中で今日一日の思い出がとけて広がっていきます。

故郷の山口から乗った飛行機の中。
そこで見た手鏡に写る可愛い自分の顔。
空港から寄宿学校へ向かうタクシーの中。
森に入ると車内に影が差して鏡が見にくくなりました。

森を抜けると、湖に隣り合わせた寄宿学校が見えてきます。
その向こう側にはまた森が見えていて、たった今抜け出てきた森が鏡写しになっているよう。

よく目を凝らすと森の中でお兄ちゃんが虫を捕っていました。
捕った虫を見せびらかしてくるお兄ちゃん。
「ほら、さなぎだよ。」
ついでにズボンの中のさなぎも見せてくるお兄ちゃん。

さゆみはひどい寝汗をかきました。
173 名前:<ババちゃんが降霊術を行う> 投稿日:2005/06/11(土) 02:20

丸く鈍い光、それは天井から吊されたしゃれこうべがくわえた豆電球。
どこからか漂う煙が部屋を紫色に切り裂いていてとても不気味です。
部屋の入り口にかけられた真っ黒いカーテンがどろりとめくられて、ガキさんの顔が覗きました。

ここはガキさんのおばあちゃん、ババちゃんが心霊実験を行うビルの中。
ババちゃんは沖縄生まれです。
沖縄といえば実在する彼岸。つまり向こう岸。命が行き交う場所です。
イタコの青森かユタの沖縄かというくらい、霊媒とか降霊とか、その手では有名なのです。

ガキさんは不思議な力を持つババちゃんなら、
絵里のおばあちゃんの居場所を探し当てる事が出来ると考えたわけです。
174 名前:<ババちゃんが降霊術を行う> 投稿日:2005/06/11(土) 02:21

「という事で、ババちゃん。お願い。」
「じゃ、やってみようかね。絵里ちゃんのおばあちゃんのさ迷える魂を呼んでみようかね。」
それを聞いて絵里は不満そうな顔。
「おばあちゃんは死んでなんかいないのに。」

ババちゃんは諭すように言いました。
「命や魂というのはずうぅっと存在するものなんだよ。肉体の生き死になんて些細な事。問題は思いの強さ。」
「思い…。」
「そう。思い。この世に未練を残したその思いが…。」
すかさず、ガキさんが一言。
「ババちゃん。カメのおばあちゃん死んでないって。」
「ああ、そうじゃった。じゃ絵里ちゃんとやら。おばあちゃんの絵を描いてみなさい。
 そこにおばあちゃんの魂を呼び落とすから。」

言われたとおりに絵里はおばあちゃんの絵を描きました。
それは思わず言葉を失うような線で描かれた絵でした。
「う…。まあ形はどうでもいいんだよ。
 この絵は絵里ちゃんがおばあちゃんを思うその心を線に宿らせて、魂を降りやすくさせる為のきっかけに過ぎないからね。」
175 名前:<ババちゃんが降霊術を行う> 投稿日:2005/06/11(土) 02:21

そう言うと、ババちゃんは顔をくしゃくしゃにして何やら祈りはじめました。
そして、先ほどまでとは違う声で喋り出すのでした。
「絵里、絵里や…。」
「あ!おばあちゃん!おばあちゃん、今何処にいるの?」
「絵里、飯はまだかい?」
「何言ってるの、おばあちゃん?」
「おばあちゃんは何かコタツの中から出られなくなっちゃったんだけど、どうしたのかねぇ。」
「どこのコタツ?」
「何かぬるぬるしてるコタツだねぇ。ところで飯はまだかい?」

そう言ったきり、もうババちゃんからおばあちゃんの声は聞こえなくなりました。

「ってか絵、関係ないよね。」
ババちゃんの元で働くせむし女ミキティが横から冷たく言い放ちました。
しかし、ガキさんが顔を触ってあげるとすぐニコニコ顔になるミキティなのでした。
176 名前:<河原で少女が男と出会う> 投稿日:2005/06/11(土) 02:22

一人ぼっちで川岸の石を積んでいた少女が、男を見つけて話しかけました。
「おっさん、何やっとると?」
「おっさんなんて傷つくなぁ。ほら、葉っぱを取ってるんだよ。」
「おっさん、それは葉っぱじゃなかよ。騙そうと思ってもバレバレばい。」
「良く分かったね。じゃこれは?」
「それも棒に見えて実は違うばい。」
男はトリックを見破られた奇術師のようにちょっと残念そうな顔をしました。
「そう、これもこれもこれもこれも。全部、虫。よく分かったね。」

「おっさん、虫好き?」
男は目を輝かせて言いました。
「うん。蝶が一番好き。……醜い毛虫がさなぎになって。春になると綺麗な蝶になるんだよ。」

少女はまだ虫に興味津々でした。
「これは?何か凄い派手な色しとるけん。毒持っとる?」
「いや、大丈夫。こんな色だといかにも毒持ってそうだけどね。」
「何でわざわざこんな風になっとると?」
「こうやって身を守ってるんだよ。彼らは弱い生き物だから。」
「……強くはなれんばい。」
「結局はね。」

強い風が吹きました。
「また、やり直しばい。」
少女の積んでいた石がバラバラに崩れていました。
177 名前:<絵里のおばあちゃんが見つかる> 投稿日:2005/06/11(土) 02:22

ババちゃんの心霊実験後、絵里のおばあちゃんはドブにはまって死んでいる所を発見されました。

絵里は首のザラザラがますますひどくなりました。
クラスの男子女子はコソコソと、絵里に聞こえるように噂話をするようになりました。
「きもい。あの首、ウロコみたい。」

絵里は思い出します。ついこの間まで自分も同じ事を誰かにやっていたのを。
「きもい。ガリガリだし。変な訛りあるし。顔曲がってるし。」
その子は最近引っ越してしまい、絵里の楽しみが一つ減ったのでした。

…あれ、でも誰にだっけ?
…何かお腹空いたな。ご飯食べたっけ?

絵里はニタニタしました。
178 名前:<お兄ちゃんの思いをさゆみが思う> 投稿日:2005/06/11(土) 02:22

お兄ちゃんと結婚してくれよ。
小さい頃はお兄ちゃんのお嫁さんになってくれるって言ったじゃないか。
昔みたく一緒にお医者さんごっこしてくれよ。
いい年して何だよ。お前まで言うのか。いい年して無職。いい年して虫取り。いい年して童貞。
最近ニキビがひどいけど気にしなくていいよ。
おっぱいが大きくなるの待ってたんだよ。
腋毛生えた?
ちょっとだけしごいてくれよ。嫌ならくわえてくれ。
これ、白いの出たからちょっと飲んでみてくれよ。
あれ、どうした?なぁ、ちょっと…。おい。……どうしたの?ちょっと、どうしたの……
179 名前:<絵里が産まれ変わるおばあちゃんの胎児の夢に入り込む> 投稿日:2005/06/11(土) 02:24

おばあちゃんが死んでからというもの、絵里はオナニーばっかりしていました。
おばあちゃんが死んでいたぬるぬるの狭いドブに体を押し込めてのオナニーです。

絵里は今夜は産まれたままの姿、つまり全裸でドブに入りました。
すると、気分が不思議と安らぎます。いつものオナニーよりも気持ちのいい感じです。
そして、何やら頭の中をぐにゃぐにゃとしたイメージが駆け回っていくのでした。

……ぬるぬるしたドブ
……無理矢理くわえさせられた乞食のチンポ
……おばあちゃん行ってらっしゃいと笑いかける可愛い孫
………孫が産まれた12月の雨の日
…………息子の嫁が家に来た日

………………真ん丸い体
…………体が二つに分かれる
…………四つに分かれる…………八つ…………十六

……魚になる……体にウロコが……体がくねくねしてくる……
180 名前:<さゆみが森の妖精に会う> 投稿日:2005/06/11(土) 02:25

…………っと………の?……ちょっと…大丈夫?
倒れているさゆみの耳元で声が聞こえます。どこから出てるのか分からない妙ちくりんな声。
さゆみはゆっくりと目覚めました。
「うーん…………臭っ!」
「ひどいなあっ!臭くなんかないよ!」

「はっ。あなたは誰ですか?」
「チャーミーって呼んで。」
さゆみはその瞬間、寒気がしてブルブルっと震えました。
チャーミーと名乗る女の子のあまりの可愛さにビックリしたのです。
こういう気持ちはさゆみ自身、初めてでした。
181 名前:<さゆみが森の妖精に会う> 投稿日:2005/06/11(土) 02:25

「あなたはこんな所でそんな格好で何してるのよ。」
「はっ。いやん。」
自分の体を押さえるさゆみ。素っ裸でした。
「いやん、じゃないよ!でも、解放的になる気持ち分かるよ〜。森の中って、ほら…。」
チャーミーは両手を広げて深呼吸。
「こんなに空気もキレイだし。ほら、一緒にやってみなよ!」

「あのぉ、深呼吸はいいんですけど…。」
さゆみは体を押さえる手を鼻に移しました。
「何よぉ、それ。また臭いって?あぁ、これかぁ。」
チャーミーは持っていた大きなエコバッグを開きました。
「ほら!うんこ。」
「いやん。」
「いやん、じゃないよ!うんこはね、森に優しい肥料になるんだよ!」
「でも、臭い。」
「あのねぇ。森が無くなったら大変なんだよ。紫外線ドバァって降り注いでみんな真っ黒こげになっちゃうんだから。
 まぁ、あたしはそうじゃなくても真っ黒だけどさっ。ハハハ。」
その笑い声を聞いてさゆみはまた震えました。
182 名前:<さゆみが森の妖精に会う> 投稿日:2005/06/11(土) 02:26

「とにかく。あたしはこれを撒いて森を増やそうとしてるわけ。分かった?臭いなんて言わないの。」
「何でそんなに森を大事にしてるんですか?」
「森はさぁ、みんなが吐いたため息を吸って酸素に変えてくれるんだよ。
 何か、嫌な思いも全部きれいさっぱり吸い取ってくれる気がするんだよね。」
「嫌な思い…。」
「そう。じゃ、あたしはやる事あるから。チャオ〜。」
チャーミーは森の奥に消えていきました。

森の中で一人、さゆみはチャーミーの言った事を思い出していました。
そして、自分ののどの奥に絡まる白いもの、自分の体の奥に溜まった白いものを森に吸い取ってもらおうと考えました。
さゆみは自分の首のほくろに力一杯爪を立てました。すると、白ではなく真っ赤なものがたくさん出ました。
さゆみは、何で白くないんだろうと少し不思議に思いました。
そして、一本の木がその赤いものをどんどん吸い取っていくのを見ながら、その内にまた頭の中がとけていくのを感じました。
183 名前:<港に船が辿り着く> 投稿日:2005/06/11(土) 02:27

横浜の暗い港に見知らぬ船が入港してきました。
沢山の浜っ子が野次馬気分で港に集まってきましたが、船からは誰も降りてきません。
異変を感じて船に乗り込んでみた何人かは、船員が傷だらけになりひからびて死んでいるのを発見しました。

その中にはさゆみのお父さんもいました。
どうやら何かもめ事が起きて船員同士で殺し合いをしたようです。

しかし、何故ひからびていたのかという事をビルに住む横浜の人たちが理解するのには、もう少しだけ時間がかかるのでした。
184 名前:<憎悪が感染してビルの外の世界が破滅する> 投稿日:2005/06/11(土) 02:28

今や世界中の木々はすっかり枯れてしまいました。
オゾンは消え去り、太陽から降り注ぐ燃えるような熱は日毎に増していきます。
こんな灼熱の世界に放り出されたら、人はあっという間にひからびて死んでしまうでしょう。

世界は冷血動物たちが跳梁する時代に、まるで逆戻りしていくようでした。

とある場所に蛇の卵が産み捨てられていました。親蛇はどこにもいません。
突然、どこからか原色のカメレオンが這い出してきました。
カメレオンは左右の目をバラバラに動かすと、あっという間にその卵を呑み込んでしまいました。

世界中の木が枯れたと言いましたが、たった一本だけ、残っているようです。
それは真っ白な大きな木でした。他を圧倒するようなたたずまいです。
その木の回りにはいつも一匹の蝶がまとわりつくように飛んでいます。
とても美しい光景のように思えますが、見ていると不思議と嫌な気分になり、イライラとしてくるのでした。

横浜のビルの窓からその木を見ていたせむし女の顔がどんどん冷たく不機嫌なそれに変わっていきます。
しかし、ガキさんが顔を触ってあげるとすぐニコニコ顔になるミキティなのでした。
185 名前:<憎悪が感染してビルの外の世界が破滅する> 投稿日:2005/06/11(土) 02:29

( T▽T)
186 名前:血を吸うしたたり 投稿日:2005/06/11(土) 02:29

      終わり
187 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/13(月) 22:14

ボツネタについて幾つか。

「水色の部屋」>>29-は最初に書いた方の「血を吸うしたたり」>>3-の続編というか番外編で、
当初はこんな感じで少年のその後を追いつつ、他メンバーを使った小話を書いていこうという考えがありました。
少年の精神鑑定を行う内に自分の心情吐露(惨めな独身三十路女)をしてしまう中澤裕子とか。

その後に鑑定が終わった少年が本物の吸血鬼さゆみんに出会う話を、
そもそものきっかけとなった狼の「もしもさゆみんがHなドラキュラだったら」スレに書こうと考えてたのですが、
考えてる内に狼のスレが消えてしまいました。
(このスレには「さゆとれいな」「さゆとえり」「血を吸うしたたり 覚え書きまたは走り書き」と日記調の話を書いています。)

で、改めて丸々書き直しこうなりました。
188 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/13(月) 22:17

さゆみの兄が売春婦矢口に手ほどきされるが思い出すのは妹と昔やったお医者さんごっこの事ばかり
夢と努力を説く矢口に励まされて妹のレイプを心に決める兄
というのも考えてました。

探偵が横浜で事件を振り返りながら書く調査書という構成も考えました。
絵里の捜索依頼がくる→絵里以前に祖母が行方不明になっている→という感じで。

調査書の中で「ののの胎児の夢」「ののの動物磁気による心理遺伝」を引用して、
絵里の行方と、破滅した世界の絵解きをするという事がやりたかったからです。
「ののの胎児の夢」は↓を色々と羅列するつもりでした。

         人
       /   \
      /   ´D` ヽ
      ゝU;∴;:∵;ソ
       ` U ̄U

これは構成するのが難しいのでやめました。


おしまい
189 名前:180 投稿日:2005/06/19(日) 03:46
;;.ii!;;::,,、"";;,,;;,゛:   |i!|il|!ll|                    .|i||  .|l||
il|!ll| Y ;;/,,""    |liiil|!i!|";"゛ノ)|;;.;;;;;::,,、"";;(;;;;;::::゛""    .|l||.  ||i|";"゛ノ)|;;.;;;;;::,,、"";;(;;;;;::::゛""
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.|lii!|    |ill|  ( ^▽^)i     ||!li!i|        Yii!  (・ 。.・;从il|     |!lli!i|       Yii!
il|!ll|    |l|!|  (つ \ つ   ||liii!|        |!,ii  (つ・)・)つi|    .|!lli!i|       |!,ii
|!!iil|,,,,.., ,vv|Mvv んノノハゞ    |il|!ll|        |ill|   ( v ) |illil , ,   |!lli!i|..,,..,. , . ,,,,,,.|ill|     v
!ソ;ハj|W "" /v,w,..(_)_),vw,,/W w,,Mv,w,.vw,.vW,.w"",w,.(_)__)Wv,w,.M,,.,.vv./,.wV"/,,.i,,Iw,,MW "" w,,Mw,
190 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/24(金) 00:29

191 名前:お月見まりっぺ(仮)予告編 1 投稿日:2005/06/24(金) 00:32
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'_|__l._||._|__|ノノハヽ__|__|__|__|__|__|_(^▽^;从_|__|__|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(〜 ゚◇`) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(つ  と) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ゾワワワ  ζ つ  つ               ( ( (
        ..:::しヽ_)__)   ‐[]O|>         (_ヽ__)
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   .....::::::::::::::::::::::::::::::             .....:::::::::::::::::::
192 名前:お月見まりっぺ(仮)予告編 2 投稿日:2005/06/26(日) 03:08
それはまるで獰猛な野獣が食い散らかしたようだった…。

横浜連続猟奇殺人。

立ち上がった横浜担当の女。ロン・チャニィニィJr.の幻。

夢遊病。背中の毛。
「お、お、おいらは知らないんだな。」

憑き物。                     月のモノ。

「こんこん。いくぞぉ!」             「こここ更年期ちゃうわ。」

              「赤飯うまか〜。」

犬神伝説を追って舞台は南へ。
「近親相姦の果てには犬の顔をした子供が産まれるのじゃ・・・。」
「やめてお兄ちゃん!」

謎の陰毛頭の女。なまこ合戦に隠匿されたものとは・・・。

大炭坑に眠る地底の星座。さらば箱舟。

せむし女が満月だぞ!と叫ぶその時、何かが起きる。
193 名前:第18回短編バトル「機械」で23 れいなの静止する日を書きました 投稿日:2005/06/27(月) 21:06
  _l_l_    ,':..     :|.._  |`'‐i    ::  ::    ::    i::   ::   i:. ..   : i  :   :::  . ::
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   | |l'   !:::::::::::;;;;;.... 、..::::| ' l | :::: _ノ.::   .: . | :: .  :  :  i       ::  i::   :|    :  :
   | | . _~ー、_:::::::::;;;\、 :| ; l | ,;'"::   .  | . .  :  .  i       ::     |   ::   .  :  .  i
   | |./| i::::: |::~ゝ:::::;;='、_:| : l=.||[ニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニ/\.ニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニiニ
   | | |:: :  i  l、...:::::::::.. !|__」゙..|  . ::           //  ヽ\  ::   ::     :::   i  ::   :  ::..
   | | | :: i :   ^ー-、::. |   |  ::.   i   :: :  / /  .i  ヽ \              ::    ::    :
   | | | ::i ::::  i | .'〜l_____.|.       ::    / ./   i   ヽ\::. ::    i    .    ::
   | | |   _,r-‐(⌒`ヽー-|l l l l|::    i        ⌒⌒⌒||⌒⌒⌒⌒    .    ::      i    ::  :i
   | | |  ,ソ;;::: ゝ;;::::::::::: |l l l l|::  i   :: ノハヽヽo     || ノノハヽ  i    ∩oノハヽ ∩  : ::. ::
   | | 、!_ .{`:: . ノ_;;::::::::::. . |_ | .     (;`ヘ ´*从 .   ||(^ー^*bリ   :   ヽ从*・ 。.・)/ ヌレテモカワイイノ  :
       L;_::  ノ;;;::: .   l文|. |::      (   )     ⊂    )        ヽ   ノ      :
          ~ ー 、_i ::... | ̄ |    :   | | |        | | |   .. ::  .   | | |::    ::  :: ...
                 ヽ.,._|_  |、.,.,.,.,.,.,.、..,.,..,(__(_),.,,.,.,,.、,..,.,,.、.,.,(__(_),,.、.,.,,.、.,.,,.、.,.,,.、,,(_)__),,..,.,,.、.;..,.,、、,.,.,、,,,.,,.,.、、.,
194 名前:七夕記念 投稿日:2005/07/07(木) 21:51
…∴…・。.   ☆・
  ☆。・・。゜..・
    ☆・。・。・・゜★゜::* ★
      ・。・:・。・゜...・。 *☆
       。・・。・゜...・ ・。゜・・。゜           ノ//ハ丶  ノノハヽ★
         ★ 。 。・゜.。。・・。*・゜。*      (王子様) (`ω´*bリ  ウヘヘヘ
          ゜*・。..。 ・。・゜..★・・* ・。・    (_|_][_|_)⊂ 麺 ⊂)
           。・ ‥゜..・。・..・。゜・。・       |_|__|  ノ___ゝ
              * ・・ .。.。・。・・゜・。    (__(___) (__(__)
                *:。・。・。・ ・。゜゜★ 。゜
                 ☆ 。・ ・ ゜. .. .・。・
          ☆ノハヽo   ・。。・。・゜..・。゜・。・ .. .・ *
          从*;・ 。.・)    ・*。 ・ 。・。・..。・。・゜・。・..
          / ||y | |]つ     。゜゜ ★。・。・゜..*。・。* ★
         ノ_/'ノゞヽ,       ・。 ∴゜・ 。 ・。・。・ .・。゜ 。゜・。
                       ・゜..*・。・。・。・。・。・゜..。  ★
                         。゜..・。・。 ・*・。 ・゜・。.゜  .
                          ★..。 ・゜..・。゜・。・゜.・ .
                            。...・。・。・゜★。・。・。・ ☆
                              .. 。*。・。 ・・。・。*・。・。
                              ☆ .・゜. .*・。・。 ・。・。・。・゜..。.☆
                                 。 ゜. . ・。 ・。 ・ *・。・゜   ★
195 名前:おまけ 投稿日:2005/07/07(木) 22:05
       :::.゜。 ゜・。゜゜. .  . .
:::.゜。 ゜・。゜゜. .  . .


   ミ /彡
..ミ、|ミ /
ミ.|.ミ/
.|//|.
/.  []           ノノハヽo∈
              (´ _, `r从
             O^ソ⌒とヽ
             (_(_ノ、_ソ
196 名前:さゆえりれいなのえじき 投稿日:2005/07/08(金) 22:07
えりは窓硝子越しに空を見ていました。
今日もぼんやり不機嫌な灰色模様。今にも雨がZAーっと降り出しそう。
こんな日はワクドキもちっちゃくしぼんでしまうのです。

さっきから部屋に飛び交っていた言葉は、もうどこかに消えました。
れいなが一人で持ち去ってしまったからです。

クスクスと笑いながら、えりは空を見るのをやめて私の横を通り過ぎていきます。
開きっぱなしの玄関の鍵。
鏡が曇って、ピンクの傘が一つだけ残るのです。
197 名前:少女菖蒲(あやめ) ひびわれ編 投稿日:2005/07/14(木) 21:39
その子の名前はさゆみ。
さゆみの家はとても貧乏なのでお花を売って生活しています。
今夜も高架下の暗いトンネルの前で通りがかる人に声をかけます。

「おじさん、お花はいかが。」
「何だ、紙の造花じゃないか。」          る
「お歌もつけてあげるの。♪信じる 事に す      ♪」
「うわあ、下手糞。」                   わ
「おっさん、三万でよかよ。」

嗚呼しかし、今日もさゆみはお客さんを取られてしまうのでした。
この子はれいなと言います。主役ではありません。

「……赤い フリージア〜♪」
一人さゆみは歌の続きを奏でました。

      パチパチパチパチパチパチ

薄闇を照らす街灯に虫がその体をぶつけていました。
198 名前:少女菖蒲(あやめ) ひびわれ編 投稿日:2005/07/14(木) 21:41
れいなが口元についた白い液体を拭きながら戻ってきました。
「今日も飯おごってやるばい。」

「よろこんで〜。」
可愛らしい店員さんの声が響く賑やかで華やかな店内。
自分は場違いなんじゃないか。不安になったさゆみは辺りを見回しました。
「肉を持ってくるばい。」
「ほぉ。かしこまりぃ。」
さっきも何か食べた跡を口につけてたのに。さゆみは驚きました。

「商売が下手ばい。」
「でも。」
「でもじゃなか。」
肉をむさぼり食いながられいなは言いました。
「何なら客を紹介してやるけん。」

れいなはさゆみを連れて裏通りに入っていきます。
赤や紫や緑といった毒々しいネオンの光がさゆみに突き刺さりました。

「ここで待つばい。客連れてくるばい。」
そこはお城のような建物でした。
「ここは高級ばい。ベッドも回転しないばい。れいなは次の仕事があるけん、バイバイばい。」
199 名前:少女菖蒲(あやめ) ひびわれ編 投稿日:2005/07/14(木) 21:44
言われた通りにさゆみが待っていると、やがておじさんが来ました。
「君かい。」
「あ、お花を…」
「まあ、中に入ろうじゃないか。」

おじさんに案内されて入った部屋にはプールや滑り台がありました。
「凄い。」
「おじさんに早く花を見せてくれ。」
「紙だけどいいですか。」
「ナプキン派か。」
「?」
「という事は。花はまだつぼみだと聞いたが本当の様だね。」
「?????! いやぁん。」

おじさんは強引にさゆみの着ている服をはぎ取りました。

…………━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

♪ 純潔の ああ 赤い フリージア ♪

さゆみが歌を歌いながら服を着ています。
「買い替える事出来るかな…。」
もうとっくに着古した服。
また一回り小さくなった気がして、誕生日がいつの間にか過ぎていた事をさゆみは思い出すのでした。


おわり
200 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/07/15(金) 22:10


201 名前:うなぎ屋主人 投稿日:2005/07/15(金) 22:13
旅先の旅館の布団の中でぼくは、こころだけが中に浮くような気分になった。
頭にみんみんと蝉の声が響いていて、体には汗がしたたっている。

もう朝だった。

起きあがり、隣りに女の子が寝ているのに気付いた。
歯を磨いていると、女の子は起き出してきてぼくに「それは夏バテだと思う。」と言った。
「じゃ、スタミナをつけないと。」
「先に行ってるから、店に来て。」
彼女はそう言い部屋を出ていったが、すぐに戻ってきて鏡の前で誰に見せるともなくガッツポーズを取った。
「じゃ。待ってるね。」
しばらくぼくは部屋にいたが、今度は彼女は戻ってこなかった。

ぼくが部屋を出ると、旅館の小間使いらしき娘さんがぱたぱたと駆け回っていた。
大人しそうな子で、とても忙しい様子だったが、少し意地悪をしたくなってぼくは声をかけてみた。
「あのぉ、一緒に出掛けませんか。」
「どこにですか。」
「海とか。」
「でも、仕事が。」
「若いのに、こんな所で時間を使ってしまうのは勿体ないですよ。」
202 名前:うなぎ屋主人 投稿日:2005/07/15(金) 22:15
旅館を出るとすぐに体から汗が噴きだした。バス停までのんびりと歩きながら汗を拭く。
道路を挟んだ向こう側をふと見ると、さっきの娘さんが付いてきていた。
気付いたぼくに彼女は笑って手まねきをした。
「こっちの方が涼しいですよ。」
彼女のいる方は木陰になっていた。
「でも、バス来るのはこっちだから。」
「こっちから来たりして。」
ちょっとの間、手まねきしあったが結局ぼくが木陰の方に行った。

「涼しいでしょ。」
「うん。」

「旅館で暮らすのってどう?幸せ?」
「よく言われますよ。幸薄そうって。」
「あ、バス。」
「行っちゃいましたね。」
「朝食、食べてなかったな。」
昨日、大衆食堂でうなぎを食べた事をぼくは思い出した。

のれんをくぐると、「へい、らっしゃい!」と可愛い声がした。
「うな重ください。」と何度も言うと、店員の白い肌は紅潮するのだった。

「うなぎとあなごは突き出たアゴで見分けるんだってさ。」
「やっぱり仕事に戻りますね。」
「この辺でうなぎ食べれるのってどこだったかな?」
娘さんは何も言わずに旅館へ戻って行った。



おわり
203 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/07/15(金) 22:18
や→うのタイトルが示す通り、つげ義春にしたかったんだけど。

当初考えてたのはこんな感じ

夏バテ。うなぎでも食べよう。
のれんをくぐって「へい、らっしゃい!」「うな重下さい。」
停電。「やつめうなぎは夜盲症に効くそうですよ。」
「私の一つ目うなぎを調理して下さい。」
「あーん。ぬるぬるなの。硬くなってきたの。何か吐いたの。」

これはネタ挿入がうまくいかないんでやめた。まあ旅館での夜にこういう事もあったでしょう
204 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/07/25(月) 23:46

205 名前:八月の狂詩曲 投稿日:2005/07/25(月) 23:47
年頃の女の子というのは常に色々な刺激を求めている。
特に、ジリジリと狂える太陽が毎日をとかしていく夏は、更に激しくもっともっとなのだ。
しかし、ミキティのノーブラや小川のノーパンなどにどれほどの価値があるというのだろう。
ノースリーブの高橋は八月のダイオキシン。

小さい頃脳みそを蚊に刺されて以来さゆみんのお兄ちゃんは一人でトイレが出来なくなった。
「ああうあ。」と便意に体をよじるお兄ちゃんを物陰で見てさゆみんは興奮するのだった。


続く
206 名前:八月の狂詩曲 投稿日:2005/07/27(水) 01:11
図書館に入り浸って数日。
まず、家のクーラーが壊れてしまったと嘘をついて薄幸を主張した。
プールにでも行こうかな、とつぶやいてみた。
夏休みに入れば男子が自分に会いたい一心で狭い町をうろつきはじめる事が分かっていたので、
さりげなく終業式の日にそうやって居場所をばらまいた。
そろそろ見つけるだろうという頃にようやくメガネをはめて本と向き合ってみる。
「あっ。えりちょんいた。」
コソコソと小さい声が聞こえて決着がついた。
館内は複雑な構造になっていて、まだ男子はトイレの場所が分からない。


続く
207 名前:八月の狂詩曲 投稿日:2005/07/28(木) 01:08
れいなが国際ラジオを拾った。
「田中っち。ちょっと、何やってるの。」
「聴こえてこんばい。」
「アンテナ、アンテナ。」

続く
208 名前:八月の狂詩曲 投稿日:2005/07/28(木) 22:59
宇部の夏は過酷でエコバッグに入れた氷がしみて地図を作る布団の上の兄を捨ててさゆみんは旅立つのだ。
鼻水ながらにおーどん立ち食い労働者を見下しながら羽田空港から容疑者矢口は殺人事件の検証のため死体と一緒に沖縄へ行く。
横浜担当捜査官ガキさんの悪夢はようやく終わろうとしているのかもしれなかった。


続く
209 名前:八月の狂詩曲 投稿日:2005/07/30(土) 01:50
国際ラジオの感度は良くてアンテナを伸ばすと更に良くなる。
ビルの中は真っ暗でれいなは置き去りであるが、
声が浮かび上がってはとけあうハーモロディクスに漂うヒントを追えばジュマペールから滝川市まで無限旅行の始まりだった。
面白くないですか?と梨華ちゃんの息継ぎが聴こえてくると途端に空気が白けた。


続く
210 名前:八月の狂詩曲 投稿日:2005/07/30(土) 21:14
波打ち際の露骨な砂浜は矢口の顔面に張りついた皮膚が右寄りに傾くたびに賑やかしくうそ臭い。
こいつに真実など何一つない。
肉にある繊細さがなく魚はただただグロテスクだと思うえりりんが見ているのは総合生物図解であり、
膣の構造にいたるまで詳細なカラーアトラス。
不意に破瓜が訪れて以来、彼女は指の爪の手入れは怠らないのだ。


続く
211 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/07/31(日) 23:41
エジソンの霊界交信機は完成しなかったのだ。とどのつまり。
そして目の前に広がる漆黒の穴。
沖縄生まれに裏打ちされたババちゃんのしなやかな教えによれば、
氷がコーラの泡を呼び戻すのと等しく時間逆行のおとぎ話に遠眼鏡。
いよいよ死体がガキさんの手により次々と穴に投げ込まれていく。


続く
212 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/01(月) 22:09
想像受精は教育次第で可能である。
謎の外人教師は保健体育キングダムをいつかは実現させたいと思っていた。
彼の言葉は宇部の森を揺らしてさゆみんの卵子も準備万端にさせたのである。
そこでお兄ちゃんの丸出しチンコと垂れ流す糞尿の濃密さだよ。
さゆみんのお腹が大きくなっても不思議ではないじゃないか。


続く
213 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/02(火) 21:36
浴衣を着ている女の子を見るとドキドキするなどとよく言うが、
実際に夏祭りに来ているのはうんこを塗りたくった茶髪と小便で染めあげたタバコのやに臭い黄色い歯を持った女ばかりだ。
しかしながら彼女達やその隣にいる男に呪詛を投げかける類の被差別男子がえりちょんの黒髪ロングを愛でていたのではないか、と私ははたと気付いたのだ。
自らが己を貶める行為などナントモ愚かしい。
ホームルームで大上段を構えた生徒会会長の彼だったが、なら今のえりちょんの髪型がいいのかと多くの男子に詰め寄られて、
結果カバンの中身をドブに捨てられて椅子を隠されて画鋲を踏むのだった。
そこに手を差し伸べたのがえりりん本人であり、「みんな、前髪切ったくらいだと気付かないくせにさ。」と寂しげな表情を彼に見せた。
自分がそのハートを射止めたと思い、彼はすぐさまセックスを想像するのであった。
そして本日えりりんは図書館のトイレから携帯電話で彼を呼び出すのである。


続く
214 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/03(水) 21:03
>>212は嘘 これが本物↓

兄妹愛の奇跡編 第一章
新聞少年牛乳少年の道重長男くん。
礼儀正しくマジメで妹思い(ご両親は他界)の彼は学費と生活費を稼ぐために毎朝早起き。
目覚まし時計より早く起きて妹の可愛い寝顔(しかしニキビだらけ)に小さい声で行ってきます。
帰ってくると引っくり返し損ねて焦げた妹作のホットケークが待っている。
だがしかしその日は落ちたビンが割れて牛乳がこぼれた。耳からはいりこんDA蟲にアタマをやられてしまったのだ。
ちなみにこのショックをきっかけに完成したのがうさちゃんピース。余談ですが。


続く
215 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/04(木) 21:25
妹「おトイレ〜。あっ!」

=3 プスー

妹「お兄ちゃんったら!するならドア閉めてしてってあれだけ言ったでしょっ!」
兄「いやーメンゴメンゴ。」
排泄したものを重重、いや、繁々と見つめる兄。
兄「よし!今日も可愛い!」
妹「モー、お兄ちゃんったら!」
兄「いやーメンゴメンゴ。」


続く
216 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/05(金) 23:47
こんな言い争いも今では、
垂れ流された糞尿を包んだトイレットペーパーの流れゆく水音の遠くジンジンと、
妹の心のうちにだけ響くのであった。

ところで彼の日記には男として、兄としての苦悩が切々と綴られていた。
彼は童貞で寝ても覚めてもせんずり細工のトリコ仕掛けだったが、その意識を燃やす対象はとても身近なプリンセスだった。

“日を追うごとに妹の体が女のそれに変わっていく、しかしぼくにはさゆみを抱けない。ハァーン。”

意図せざる胸の谷間とあからさまに意図されたそれがあるが(榊原郁恵と柏原芳恵の違い)、さゆみんは前者であるといえよう。
つまり、その膨らみのラインと乳輪・乳頭への神秘性がより一層募るのである。
長男くんの心推して知るべしである。


続く
217 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/07(日) 00:20
病床に臥せてからの彼の身の回りの世話は当然さゆみんが行っていた。
「お兄ちゃん…おしっこかな。ちょっと待ってね。」
さゆみんは、兄の腰に巻かれた布を取って、露わになった陰部へ尿瓶を近づけた。

ジョロジョロジョロ・・・・・。

さゆみんは尿瓶に溜まった尿を指に付けて舐めてみる。
「ちょっと甘い。食べ過ぎかな?ほら・・・。お腹もこんなにポッコリしてるし。」
上着の上から腹部をなぞるとググーという音が聞こえた。兄の頬が赤らむ。
「でも、おやつ欲しいみたいだね。」
時間は午後である。空腹が紅茶色の尿に誘惑されたのだった。

プ・プ・プ・プップップップ〜♪

兄の肛門から音楽が奏でられる。
「分かった。プリッツだね。」

さゆみんは配給されたプリッツを取り出すと、まずは自分の口に入れた。
目を閉じ何度もプリッツを口から出し入れする。舌の先でプリッツの先端をなぞる。
まぶせられていた塩はさゆみんの舌で取り除けられた。
「食べ過ぎみたいだから、塩分をちゃんと取っておかないとね。はい、お兄ちゃん。あ〜ん。」

…毎日こんな事ばかり考えて勃起する兄なのであった。


続く
218 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/07(日) 00:52
さゆえりれいな納涼おばけスペシャル

其ノ一

れいなは山にツチノコ探しに来ていた。

山のふもとの茶店で一休み、そこにいた娘に話しかけてみた。
「見つからんばい。」
「あっそ。」

「何か手がかりはなかとですか?」
「あまり山奥には入らないほうがいいよ。」
「なぜですばい?」
「人を食べる大女が出るとか出ないとか…。」
「えっ!どっち?!」
「…じゃ、出ない、で。」
「安心したばい。」

それ以来れいなが山のふもとに下りてくる事はなかったという。
219 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/07(日) 00:52
其ノニ

れいなは山にツチノコ探しに来ていた。

山のふもとの茶店で一休み、そこにいた娘に話しかけてみた。
「見つからんばい。」
「あっそ。」

「何か手がかりはなかとですか?」
「あまり山奥には入らないほうがいいよ。」
「なぜですばい?」
「人を食べる大女が出るとか出ないとか…。」
「えっ!」
「でも自分より可愛い子だけ食べるみたいだから大丈夫だと思う。」
「え?」
「はい?」

その時、茶店の娘の瞼に突然切れ目が入った。
220 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/07(日) 00:57
其ノ三

えり「夏なんだし怖い話してよ。」
れいな「なま…。」
さゆ「いやーん怖い。」
えり「寒くなってきた。」
れいな「まだ何もはじまっとらんばい。」
さゆ「じゃ冷房の方かあ。」
えり「あっ!リモコンがない!」
れいな「座布団の下にあるばい。」
さゆ「いやーん怖い。」
えり「ない!」
れいな「座布団の下にあるばい。」
さゆ「はいはいエコエコ。」
えり「あ。」


さゆえりれいな納涼おばけスペシャル おわり
221 名前:八月のバースディー 投稿日:2005/08/08(月) 00:39
飯田圭織が24歳になった。
222 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/08(月) 18:24
おもろ
223 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/09(火) 00:36
>>222
どうも
224 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/09(火) 00:37
ここまでのあらすじ 1

横浜で連続殺人事件が起きていたので横浜担当のガキさんはいつも以上にしかめっ面だった。(眉毛ビームのキレが悪い)
捜査線上に何となく浮かび上がった矢口。(小さな女)
二人は容疑の検証のため沖縄行きの飛行機に飛び乗った!(矢口はエコノミークラス(小さいから))
そしていいビルにガキさんと同居している田中っちことれいなは拾ったラジオで遊び始める。(一人で)


続く
225 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/12(金) 00:45
ここまでのあらすじ 2

その頃、学校中の人気者えりちょんことえりりんは図書館で、
自分の首を触りながら繊細な肉とグロテスクな魚、それぞれの白飯への相性について考えていた。
折りしも夏の街を駆けずり回ってえりりんを探していた同級生の男子達が、いよいよ彼女を見つけた時であった。
彼らは狂信的なえりりん黒髪ロング信者で、学校唯一の茶髪ショート支持者でえりりん本人に誘惑されている生徒会会長と敵対していた。
生徒会会長はえりりんの携帯電話で図書館に呼び出されて念入りな歯磨きを開始する。
時を同じくして宇部の道重家では脳みそを蚊に刺されて以来いろいろ大変だった長男が夢精をしていた。
彼の幻の精子は、今正に宇部を飛び立つ妹さゆみんの卵子にはりつこうとしている!
226 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/12(金) 00:46
「いやー着いた着いた。」
ガキさんは沖縄の真っ青な空に大きく背伸びをした。
矢口もそれを真似た。小さく。やっぱり容疑者というのは肩身が狭いのである。
「すぐに行くぞ。」
「おいらは被害者ですよ。」

「着いたぞ。」
地面にぽっかり穴が空いている。
「お前に事件のことを聞いてもさっぱりだ。だから死体に直接聞く。」
「おいらは被害者ですよ。」
「穴に入ると時間がちょっと戻るから、もう時間の問題だぞ。」
「死体が蘇るの?いやちょっとやだむりこわい。」
「うるさい。お前は騒いでも可愛くない。小さいだけだ。」
矢口の顔はくしゃくしゃだった。
それに構わず、ガキさんは死体を次々に穴へと投げ込む。
「お前のせいでいろいろ台無しになった。」
死体を投げ入れ終えてガキさんは穴を覗き込む。
「でももう終わりだ。」
「死体が蘇るの?いやちょっとやだむりこわい。」
「ちょっと覗いてみな?」
「無理無理無理無理。」
「そんな事言って、本当は牛乳も好きなんでしょ?」
「無理無理無理無理。」
「同じ事しか言えないのか!」
「なーんでですかあ。」


続く
227 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/12(金) 02:16
( ・e・ )<ところで、穴のある所に着く前にタクシーに乗ったんですがね。

「お客様!道がありません!」って運転手さんが。
でも、すぐメーターも止めてくれて、いい運転手さんだったので良かったですけど、まあ大変でした。

これがもしも矢口だったら…

「お客様!道がありません!」
「お宅のタクシー会社の電話番号教えてください。」

後日、矢口家をタクシー会社重役が菓子折りを持って訪れた。

「社長。ご苦労様でした。」
「ああ、すまなかったね。君たち、他の社員もいろいろと大変だったろう…。」
「いえ。一番は彼ですよ…。」
「今日は彼の通夜だったね…。」

( ・e・)<ひどい話です。


続く
228 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/14(日) 23:52
えり「もしもし。」
生徒会会長「ももしし。」
えり「あのさ。今図書館にいるんだ。」
生徒会会長「あ、ああ。」
えり「来ない?」
生徒会会長「いい行くよ行きますイクイク。」
えり「待ってるね。」

ひっそりと佇む図書館。そこはあらゆる知識と教養の眠る場所である。
トイレで電話を終えたえりりん、さて小便でもするかと個室に向かう。
この図書館は男女トイレ共用なのだ。(教養だけに)
「はっ。臭い。」
眉をひそめるえりりん。左眉がいつも以上に急カーブ。
恐る恐るドアを開けるとそこは…
229 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/15(月) 00:16
そこは掃除道具入れだった。色んな道具が一杯でえりりん思わずワクワク。
ホウキの柄は太いかな硬いかな。
毛の方は優しくさわさわしてくれるかな。

ちり取りのフタはぱかぱかと開け閉めしてみて何に使えるか考える。
この中に入る事が出来たならどれだけのエクスタシーが得られるだろうか。

本棚に入って熱中症で死んだ男児がいたが、
狭い場所で“あっ(体を)押されてるなー”の官能に熱中してしまうのは仕方がないのだ。
小さい頃に味を占めてしまったら尚更である。
えりりんは一人うんうんと納得した。
230 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/15(月) 01:10
えりりんはとりあえずゴム手袋をポケットに入れて掃除道具入れを出た。
「はっ。臭い。」
眉をひそめるえりりん。
恐る恐る掃除道具入れの隣のドアを開けると、そこにはやっぱり流されていないビチグソが。
えりりんは黙祷した。そして、水を流そうとレバーに手を触れたその時である!

「ちょっと待ちなさい…。」


続く
231 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/15(月) 02:41
その声はビチグソからもくもくと立ち上る煙から聞こえてくるのであった。
「そ、その声は…。」
「そうです…私です…。」
「誰ですか?」
「おい!分かるでしょ。私よ。梨華よ。」
「あー、どうしたんですか。こんな所で。」
「それがさー、あたし死んじゃったのよ。」
「それは大変ですね。」
「ちょっと、他人事ね。」
「で、何ですか。」
「えりに言っておきたい事があって、わざわざこうやって姿を変えて現れたってわけ。」
「で、何ですか。」
「何よ、急いでるの?」
「ええ、まあ。」
「また悪巧み?」
「またって何ですか、またって。」
「悪い時の顔になってるわよ。」
「なってませんよ。」
「いや、なってる。」
「なってませんよ。」
「いや、なってるなー。」
「いいから早くしてくださいよ。」
「ちょっと、あんたねー。」

その時!トイレの窓から怪しい影がえりりんに忍び寄る!


続く
232 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/15(月) 21:31
さて、宇部ではさゆみんが身支度を整えて家を出て行こうとしていた。
「お兄ちゃん、ごめんね。」
エアコンの設定温度を28℃から27℃に。
僅かながら、これが妹から兄への最後の慈悲だった。

エコバッグに鏡と髪飾り詰め込んで今うさぎが飛び立つよ。
ピョピョピョピョピョーン。

「ヘイ!タクシー!」
車を可愛く呼び止めるが、どっこいしかしなかなかつかまらずに家の前で立ち往生。
「困ったなー。」
いつの間にやらすっかり腋の下もむれむれになっていた。
ノースリーブの高橋は燃えるダイオキシン。(二回目)


続く
233 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/15(月) 23:02
自販機でジュースを買って体を冷やそうとしたさゆみんだったが、
「あ、間違えた。」
うっかりピンクの文字に心乱されてあったか〜いを押してしまった。
「いやーん、熱い。」
ほかほかのおしるこ缶を抱えた汗まみれの色白うさぎ少女。
ピョピョピョピョピョーン。

熱くても、しかしやっぱり勿体ないので飲んでしまおうと缶を開けた。
舗道に立ち昇るかげろうにおしるこの湯気が重なってとけた。
果たしてさゆみんは缶の底に小豆を溜めてしまう事なく飲み干す事ができるだろうか。


続く
234 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/17(水) 00:01
甘いものを食べている時が一番幸せと言うかなしい女に本当の幸せを教えてあげたいと思っている男がいる。
男は女の幸せのためだけに生きればいいと思っている男である。優しい男である。
トラック運転手である彼が宇部街道を通り抜ける。燃え尽きてもいいと思った瞬間だった。
「乗せてほしいの。」
「ぼくと甘い生活をしてみませんか。」
「チョコより?」
「ええ、おしるこより。」
男は少女の手から缶をさらって、窓からほうり投げた。


続く
235 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/18(木) 22:23
「名前は?」
「道重さゆみでございます。」
「いい名前をもらったね。」
「でも、それだけです。」
うさぎの瞳が曇った。
「お墓参りにでも行こうか。」
「さゆみの胸は今でも動いてる。」
トラックで運ぶものが今、冷凍マグロから愛に変わった。
236 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/18(木) 22:24
その頃、えりは…
「あんた、れいなと喋ってあげなさいよ。」
「えー。」
「じゃ、れいなの所に行って来るから。チャオー。」

ちっ、ったくうぜえ色黒アゴだとえりが思ったその時トイレの窓から浮浪者が襲いかかった。
THE レイプ!
そこにようやくトイレを見つけた同級生の男子たちが駆けつける。
しかし助けようかレイプに加担しようか迷ってしまう。
生徒会会長はその様子を外から見てせんずり。
ボロボロになって帰ってきたえりはれいなのラジオのアンテナを折った。
237 名前:八月のラプソディー 投稿日:2005/08/18(木) 22:26
兄の幻の精子により妊娠したさゆみん、近親相姦で可愛くない子が産まれてくるのではと悩む。
トラック運転手はさゆみんが産まれてくれば可愛いと提案。そして高速道路でクラッシュ。

ガキさんは矢口を穴から突き落として得意顔。
実はその穴は地球が爆破した時用の月へのワープ装置だった。
矢口は以前買った月の土地で蘇った死体たちとのんびり暮らした。

色々あって新垣塾結成。


おわり
238 名前:ξよっちんげξ 投稿日:2005/08/19(金) 02:25
床をコロコロとやっていたらちぢれた毛がくっついた。
午前と午後一日二回の掃除の二回目が終わって間もないというのに。

あっ。彼女が帰ってきた。

玄関まで小走り。
さっきの毛を彼女の頭から股間、股間から頭へかざした。
「どっちだろ?」
彼女はすぐに手を払いのけた。ねえ、怒った?ねえ、ごめんね。
もうとっくに髪型は戻っているのに。でもまたすぐに変えちゃうんだろ。
いつも、ふわふわとしてさ。球なんて追っかけてどうするのさ。
ちぇ、明日も早いんだってさ。

じゃ。あ、ちょっと待って。
彼女のノドを触ってみる。で、自分のも。

いってらっしゃい。カレー作っとくよ。甘めに。


ξおわりξ
239 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/08/21(日) 02:40
夏休みも大詰め。
まだまだ余裕で襲いかかってくる暑さよりも何よりも。
気付きたくない事に気付いてしまうやつが仲間内にいると、それはもうぐったりする。
「そういえば宿題やっとらんばい。」
こんな時は仲間が一斉に舌打ちである。
この女に仲間はいなかったが。今日だけは夏の生活を手にわらわらと集まってきていた。
「じゃあね。」
夏の別れはあっけないもの。夕立みたくほんのり暖かいだけ。

そこに塾長がやってきた。
「たなかっち。写す?あたしの。」
「いや、いいです。」
学年が違う。でも日記の天気などは流用できる。
しかし塾長の頭はピンチャポー。
残暑お見舞い申し上げます。
240 名前:颱風 投稿日:2005/08/26(金) 01:40
「台風が来るばい!来るばい!台風が!来るばい!」
「うっせーよ。」
北の女と南の女ではやっぱり台風に対する心持ちが違う。
「クルバイ.」
「小声で言ってんじゃねーよ。」
本日は訳あって楽屋に二人きりである。
「今揺れたばい。」
「揺れねーよ。」
カーテンは部屋の内側にあるから、これは北の女の言い分が正しい。
何より揺れるとかユサユサとかとは縁遠い女だった。これは二人ともに。
「木の葉が落ちるばい。」
「詩人かよ。」
みるみる痩せた。不治の病でもないのに。
「看板が舞うばい。」
「そんな事だってあるだろ。」
北の女は遠い目をしていた。
ラジオからはエンドレスでロマンティック浮かれモード。
「あっ!停電ばい。」
それでもラジオからはエンドレスでロマンティック浮かれモード。
北の女もしっかり台風に備えていたというお話さ。


おわり
241 名前:れいなのレッツ幸せ通販生活アゲイン 投稿日:2005/08/27(土) 23:42
大火山のリズムが聞こえてくる。
ドドンガドン ドドンガドン
ここは福岡筑豊の大炭坑。
狭い坑道を辿ったその先には生き延びた数少ない人間たちが集まっていた。
「おい。」
北海道の奥地滝川からはるばると流れ着いてきたせむし女が傍らにいた女を乱暴に呼ぶ。
「何ですばい。」
せむし女は無言で二本、指を出した。
「こんな所で火は危険ですばい。ボーボー燃えてしまうとです。」
「イライラすんだよ。ヤニがねえとよー。」
「それに体に悪いばい。こんな時代でも長生きしないといかんばい。」
「うっせーよ。説教すんなよ。」


242 名前:れいなのレッツ幸せ通販生活アゲイン、もう一度 投稿日:2005/08/28(日) 03:17
「ちょっと見てろ。」
せむし女はタバコに火をつけると、口から煙の輪を一つ、二つと出した。
「ほら、つかんでみろよ。」
「何をおっしゃります。煙をつかむなんて無理な話ですばい。」
「ならこれはどうだ。」
せむし女は炭で汚れた炭坑の石壁を指差した。
二人の影がタバコの火を透かして滲んでいる。
「夜明けだな。」
ここは福岡筑豊の大炭坑。
狭い坑道を辿ってきた太陽の光が二人の影をかき消した。
大火山のリズムが聞こえてくる。
ドドンガドン ドドンガドン


243 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/08/31(水) 23:58

第1回 ハロプロの歌詞に沿ったストーリー企画に間に合わなかったやつ

狼で書いてたやつの再録・書き直し (今回も再放置の可能性はありましょうが書いてみます)
244 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/01(木) 00:00
玄関を開けた私を大きな木箱が出迎える。
頬ずり。木のささくれが顔に刺さっても気にしない。

人買いは逆輸入に限る。
“FRAGILE”の文字が書いてあるテープを威勢よく剥がし蓋を開ける。
目をつむって深呼吸。酸っぱい匂い。
日本からどんぶらこ、アラブからどんぶらこで箱の中がゲロまみれであるのを確認。

「さあ、暗黒の世界から出て来るんだ!」
三人も買ったんだから一つはアタリがあっていいだろう。
興奮する瞬間。アタリかハズレか。箱の中から三人の女が姿を現す。

「ようこそ、ここが眩惑のブロードウェイだよ!」
私は興奮して声を荒げてしまった。三分の二なら高確率じゃないか。

黒い髪を胸くらいまで伸ばしほんのり陰りがあるのがえり。
色白で体が私より大きい肉感的な不思議少女がさゆみ。
そして、れいな。
245 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/01(木) 00:00
私はいそいそと服を脱ぎ始める。
まだ服を着ている三人は揃って目を背けた。
「君達も脱げばいいんだよ。」
しかし、まごついたままなので、私は構わずに裸になって箱の中へ入る事にした。

ゲロは、箱に入る前に人売りから貰ったささやかな食料の成れの果て。
(きっとかびかけのパンや煮込みすぎてコゲだらけの、しかし冷めているシチューの類)

三人はこの狭い箱の中、海の上をゆらゆらと揺られて私の元に来たのだ。
太陽の照りつける暑い昼は汗まみれになり、潮風の吹きつける冷たい夜は体を寄せ合って。
ゲロはここにたどり着くまでの彼女達の情報の集積だ。

初対面の人間との手っ取り早いコミュニケーションは、
キスやフェラチオ、つまり唾液や精液といった体液の交換だが、
私としてはこれからの為にも、これまでの彼女達を知る必要がある。

三人との同居を長いものとする覚悟は出来ている。
246 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/01(木) 00:01
彼女達は私のペニスを横目で見て、すでに体液をパンツに染み込ませているだろうが、
まずは今の彼女達ではなく、これまでのそれを。
こうした親心とでも言うべきものが、例えば援助交際には欠けている。
手近な便器に射精してほったらかしにする様な奴らは人買いの風上にも置けない。

消化されきっていない、食べ物らしき物が混じった彼女達の胃液を手ですくい取り、口に入れた。
「ウ……ウ…ウマグマー。」
すぐに私自身の胃液が逆流して混じり合う。飲み干してため息をひとつ。
この酸味は彼女達のこれまでの苦難を現しているんだ。そう思うと涙がにじんだ。

箱から出て三人に話しかける。
「これからよろしくね。」
無言。返事が出来ない症候群だろうか。
「緊張してるんだね。でも返事は大切だよ。私は別に君達に恐怖の頭脳改革をしようというんじゃないんだ。」
緊張を和らげてあげようと、私はペニスを動かした。


続く
247 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/01(木) 22:58
れいなが口を開く。
「あのお…服着てくれませんかね?目のやり場に困ります。」
「それなら私を真っ直ぐに見てごらん。」

その目は、まるで私を睨みつけている様だった。
「……いい目だ。でも警戒心が見える。それでは相手も警戒してしまう。」
頭をなでてあげた。ベトベトする。
「汗をかいてるね。船旅は疲れただろう。三人ともお風呂に入りなさい。」

しかし三人は立ち尽くしたまま動こうとしない。
「早く脱いで。早く。早く!」
彼女達は少し後ずさりをした。

「安心して。強引に脱がしたりないから。自分で脱げばいいから。早く!」
えりが部屋をキョロキョロと見回しながら言った。
「お風呂場どこですか?」
「脱いでから教えるから。早く。早く!」
248 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/01(木) 23:02
彼女達は服を脱ごうとせず、部屋を見回してばかりいる。
「そんなに見られちゃ恥ずかしいから。早く脱いで。早く!」
私は部屋を査定されている様な気分になった。
そして興奮のあまり知らず知らずの内にペニスをしごいていた。
「どこにあるんですか?見られてたら脱げませんよ?」
えりがのんびりと言うのに対して、私のペニスをしごくスピードは速くなる。

射精寸前になって私はその手を止めた。
このまま出したらお気に入りのタイガーフロアマット(※)が汚れてしまう。
「ダメだ!…ああ、ダメだ…。」
私は頭を抱えてうずくまった。三人のかすかに震える足元が見えた。

風呂場へ案内して、私はまたしばらく脱衣所で彼女達を見ていたが、
やっぱり脱がないのでリビングに戻り、彼女達の立てるお湯が跳ねる音を聞きながらココアを飲んだ。

(※ ttp://www.cds-ito.co.jp/menu07/img/img31c.jpg)
249 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/01(木) 23:03
「着替えありませんか?」
れいなの声が脱衣所から聞こえた。
「入らないでくださいよ?」
私がドアノブに手をかけるとほぼ同時にえりの声。
「カゴの中に入ってるよ。好きなのを選べばいい。洗濯してあるからばっちくないよ。安心して着なさい。」
数分後、三人が脱衣所から出てきた。

えりが選んだのはスクール水着。
何故か濡れている。私の言った洗濯が信用出来ずに洗ったのだろう。

えりは乾ききっていないシャンプーの匂いのする髪を胸の前に垂らした。
更には胸の辺りの布地をしつこく何度も引っぱっては戻している。
250 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/01(木) 23:05
「どうしたんだい?」
「恥ずかしいんです。」
「手をどけてごらん。」
乳首が立っている。
「素敵だ。きっと君は見られるのが好きなんだよ。ほら、また大きくなってきた。」

私が乳首を触ろうとすると、えりは肩をすくめて後ろを向いた。
「どっこい大きなお尻は見えてるよ。」
「嫌です…。」

私はえりの体を引き寄せた。そして顎をつかんで語りかける。
「見られる喜びを知れば君はもっと綺麗になる。
 その瞳も奥二重からパッチリした二重に変わるだろう。」
私の口から広がるココアの香りがえりの鼻孔を甘く刺激した。


続く
251 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/02(金) 22:22
さゆみ、略してさゆが選んだのは体操着にブルマ。
上着はフィットしているが、ブルマの方は私用に合わせた物なので彼女の体には少し小さい。

食い込んでいる。

「さゆ。そういえば君の声をまだ聞いてなかったね。」
さゆが口を開きかけたのを私は制止した。
「喋らないで。あとで歌でも歌ってもらうから、その時でいい。
 大人しい子に限っていい声してるものなんだ。」
さゆは足をバタバタと踏み鳴らした。
「分かった分かった。すぐにカラオケの準備するから、待ってて。」

れいなが選んだのは黒色、革製のワンピース型ボディスーツ。
つまり女王様の正装である。

「どうしたの?」
「こんなの着たくない…。」
「自分で選んだんだろ?違うの?え?どうなの?」
「これしか残ってなかったとよ…。」
「二人に取られたって言いたいのか。」
えりとさゆは私に向けて首を振った。
252 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/02(金) 22:27
「……れいな、君の性格がたった今、少しだけでも分かった気がするよ…。」
れいなは無言で突っ立ったままだった。
私は涙をこらえた。

「気分が悪い。……こんな時こそ歌だ!歌を歌おう!」

彼女達をオーディオルームに招き入れる。
壁の棚には世界中の音盤が約五万枚収納されている。
「そこはウクライナのコーナーだ。日本人はこっちだよ。」
私はさゆの肩をポンと叩いた。
「何を歌ってくれるの?ワクワクしてきたよ。」

さゆがチョイスした一枚はマイナーアイドルグループ、メロン記念日の『赤いフリージア』。
つんく作詞作曲で、彼の作風の系譜としては松浦亜弥『LOVE涙色』からつながるタイプのものである。
つまりエレガントな趣を持った正調歌謡だ。

『LOVE涙色』は後半、転調後のあややの歌唱と弦楽器(打ち込み)のもたらす感動的な高揚が、
鍵盤に静かに引き継がれるアレンジが素晴らしかったが、これはそれに比べてシンプルなアレンジであり個人的には食い足りない。
コーラスハーモニーにも魅力がなく、つんくのヘイヨーやブンチキブンチキといった合いの手は蛇足以外の何でもない。
とは言え、柴田あゆみの拙い歌唱と短くて太い手足によるドタバタした踊りがもたらす愛らしさは流石である。
(あややがライヴで歌う同作品は歌こそ安定しているが、そのこなれた様が苛立ちを誘う程。
 前述の『LOVE涙色』も今ではすでに瑞々しさを失っている。あややが本当に素晴らしかったのはデビューから一年間だけだ)
253 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/02(金) 22:29
私はさゆと一緒にオーディオの前に立った。
「これからさゆが自慢の喉を披露するよ。応援よろしく。さあ、さゆ。マイクを持って。」
さゆはキョロキョロする。
「ほら、マイク。」
私はペニスを動かした。(先ほどから全裸)
さゆは怯えた様子で目をそらした。

「何で目を背けるの?君はそうやって目の前にあるものから逃げて生きていくのかい?さあ!握るんだ。」
さゆは目を背けたまま私の肉マイクに触れた。
「あふっ…。私も思わず声が出てしまうから、さゆはもっと大きい声で歌うんだよ。」

さゆは握りやすいように膝を突こうとした。
しかしそれではまるでフェラチオだし、立って歌わなければいい声は出ないものなのだ。
私は台の上に立ちさゆの顔の正面にペニスが来る様にした。
「えりとれいなには私のお尻しか見えないね。ごめんね。」

CDプレイヤーのスイッチを押す。
さゆは顔を背けてもぞもぞと歌いだした。
「何をやってるんだ!マイクに向かって歌わなきゃ!」
「信じる…事にするわ……」
さゆの吐息がマイクにかかる。腹式呼吸が出来てない証拠だ。
「赤い…」
「ご覧!マイクの先も赤くなってきたよ!」
「フリージアー」
「全然声が出てないじゃないか!もっとマイクをこするんだ!」


続く
254 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/04(日) 00:35
さゆはマイクを一心不乱にこすり始めた。
ブルマから伸びた白い足が紅潮している。
「ああああああああっ!」
叫び声を上げる私。今の私ならChild In Timeも歌えるかもしれない。
「さあ、さゆも声を出すんだ。」
「信じる事にするわ♪赤いフリージア〜♪」
歌い終えてさゆはマイクをこする手を止めた。

私は膝を震わせながら台から飛び降りさゆを抱きしめた。
「よく歌いきったね。」
さゆは私の腕から離れるとあどけないガッツポーズを見せた。
そしてさゆの視線は再びマイクに向けられる。
「心配してくれるのかい。」
パンパンに腫上がった私の肉マイク。
その先は眩いばかりの光沢を放ち、桃色の輝きにさゆが映りこむ程であった。

「どうだい。」
「可愛い。」
「そうだろう。えりもこっちに来るんだ!あ、れいなも。」
255 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/04(日) 00:37
私は仰向けになった。
「実はこれはマイクではないんだ。ペニス、陰茎、チンポ、竿、マラ…」
三人とも驚きはしなかった。
「知ってたか…。なら、見た事は?」
首を振る三人。
「じゃ質問はあるかい。あるんだったら、この様に真っ直ぐ手を挙げるんだよ。」
私はペニスをピクンと動かした。長く続いていた勃起の為にそれは垂直にそそり立った。

「何でテカテカしてるの?」
「さゆがこすってくれたおかげで血の流れが良くなったんだよ。そして、ご覧。」
私はヒクヒク、クイクイっと肛門からペニスにかけて力を入れたり抜いたりした。
「あっ!おしっこが出たとよ。」
「違う。おしっこがこんな風ににじむ様に出るとしたらそれは年寄りだ。私はヤングなんだ。
 これは先走り汁だ。カウパーとも言う。」
首を傾げる三人。
「何に対しての“先”か分からないみたいだね。これは男女にとってお互いの謎だ。
 私達、男の到達する場所で体験するものと、女性、つまり君達の到達する場所で体験するそれとはきっと別々のものだと思う。
 でも、だからこそそれを一緒に目指すというのが素敵なんだよ。おっと君達にはまだちょっと分からないか。」

一息ついて私は話を続けた。
「でも、それが分かるのはもう間近だ!」
さゆを指差す私。
「そして、えり!君もだ!」
私は見抜いていた。ブルマとスクール水着。二人の股間のにじみを。


続く
256 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/05(月) 00:35
「何故、何ゆえににじんでいるのか教えてあげよう。それは君達にとっての先走りだ!
 愛液、バルトリンなどと言うものだ!」
私はさゆのブルマの食い込み筋を指で辿った。裸足で駆けたあの頃に戻っていくようだった。
うっとりとした表情で白目を剥くさゆ。
「生まれは何処?」
「山口の宇部です……。」
「月待ち蟹が美味しいよね。さあ、君は月で餅つくうさぎになれ!跳ぶんだ!」
「ピョピョピョピョピョーンッ!!!!!!!!!!」
さゆはそのまま気絶してしまった。宇宙遊泳の始まりだ。

「次は君が泳ぐ番だよ。」
えりはさゆを見下ろし、口元に笑みを浮かべていた。
「友達の事が心配じゃないのかい?」
コクリとうなずくえり。
「知ってますから。」
スクール水着のにじみは夏の海ではなく消毒液が染みた街のプールを思わせた。
えりの顔が急に憎たらしく思えた。
257 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/05(月) 00:35
渇いた感触がノドに張り付く。
えりはどこかだらしない口元から舌をこっそりと覗かせ自分のあどけなさを演出している。
「…君はやり手だね。」
私はふとれいなの顔が見たくなった。
れいなはいつの間にか部屋の隅でうずくまっていた。
「おい!どうしたんだ!この野郎!」
「どうもしとらんばい!」
れいなは叫んで部屋を出て行った。

「う…うーん。」
れいなの声でさゆが目覚める。
宇宙遊泳を終えたさゆの顔はそれまでとはどこか違っていた。
頬っぺたの赤い田舎少女は汚れてしまった碧い惑星(ほし)を見て何を思ったのだろう。

「あれ、れいなは?」
「何て言ったらいいんだろうね。」
「白けちゃいましたね。」
258 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/05(月) 00:37
ふとした事で場の空気がちぐはぐになる事はよくある。
しかし、それを改善するのも同じ様にふとした事だ。
そしてそれは日常に、何気なく含まれているものなのだ。
「そうだ!お腹が空いているんだ!ご飯にしよう!れいなもきっとお腹が空いてるんだ!」

私は二人を厨房へ招いた。
いつ何が食べたくなってもいいように、ここには常時五十人以上の女のシェフが全裸で料理をしている。

「何でも好きな物を頼みなさい。」
えりとさゆは共にスパゲッティをシェフに頼んだ。

「何も食べないんですか?」
「私はえりとさゆの手料理が食べたいんだ。」


続く
259 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/05(月) 21:54
二人を厨房の片隅に連れて行く。ジャーの中には白米。
「おむすびを握ってくれ。そこに梅干しがあるだろう。」
「えりは梅干し大好きです。」
「ほう…。口を開いてごらん。」
無防備な顔を見せるえり。口内にきらめく唾液が糸を引いて私の心を縛りつけた。
「気合を入れて握ってほしいんだ。さて、どうする?」
「さゆみ、がんばる!」
「ああ、ガッツポーズもいいだろう。」
「俄然強めに握りますよ?」
「ああ、ふっくらしたお米を潰さない程度に。
 でも、それだけでは不充分なんだ。ほら、橋本真也みたいに、手にペッペッてやっておくれ。」
言われた通りに手にツバを吹きつける二人。
「もっと、つけて。何だったら舐めちゃってくれ。ツバが出ないなら梅干しを見て、もっとほら。」
自分の手を舐めながらおむすびを握るえりとさゆ。
二人の手をテカテカにした唾液の豊潤な香りは風に乗り私の食欲を否応にも刺激するのであった。

「私はれいなを呼んでくるよ…。食卓で待ってるから。おにぎり持ってきてね。」

れいながいるであろうリビングへと向かう途中の廊下で私は、
行き着いていた一つの考えが的中していない様に祈っていた。
260 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/05(月) 21:55
何故れいながあんな少女になってしまったのか。
ああ、私のこの考えが間違いでありますように。

れいなはリビングで背中を丸めて寝転がっていた。
声をかけても動かない。私は背中に手をかけて話しかけた。
「お腹空いた?」
「何もいらんばい。」
「痩せてしまうよ。」
「よかとです。」
「二人が心配するよ。」
「するわけなか。」
「私に何でも言いなさい。」
「何も言う事なんてなかとですばいばってん。」

れいなの喋る言葉を聞いて私の不安がますます大きくなる。

「れいな、教えておくれ。その訛りはどこの訛りだい?」
「福岡ですっちゃ。」

私は愕然とした。しかし、同時に意志を固めた。
れいなを助ける。私に出来る事はそれだ。もう逃げない。
261 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/05(月) 21:56
思春期の少女には狐や蛇の霊、そして悪魔が憑きやすい。
その不安定な情緒を利用するのだ。
エクソシストやポルターガイストは実話なのだ。

れいなには猫が取り憑いている。
鍋島の化け猫騒動が現代に甦ったのだ。
鍋島は佐賀県、福岡と遠くない。

れいなから化け猫を追い出さなければ、きっとこの子は痩せて孤立していくだろう。
そして面白くもないモノマネや三点倒立を見せびらかし私達の平穏な日々を脅かすに違いない。

憑き物落としの儀式をする為にも、れいなをリビングから連れ出さなければ。
「何か食べたい物はあるかい?何でも用意するから言っとくれ。」
「肉が食いたいばい。」
嘘をつけ、化け猫め。魚と言わない事で私をだませると思ったか。

「そうか、丁度いい。焼肉の準備が出来てるからこっちへおいで。」
「ひゃっほー。肉ばい。肉ばい。焙煎にんにく香ばしいばい。」
瞬時にして機嫌を直したれいなは立ち上がって飛び跳ねた。
262 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/05(月) 21:58
れいなを連れ食卓に入る。私は部屋の隅にある床の戸を持ち上げれいなを誘った。
「さあ、れいな。降りて行って。準備は出来てるから。」
「真っ暗で何も見えんばい。」
私はだまされない。猫のくせに鳥目のふりをしやがって。
「電気は中にある。」

れいなが一人で地下の酒蔵へ続く階段を降りるのを見て私は戸を閉める。
「何すると!?」
れいなは下から戸を持ち上げようとしたが、私はすかさず自分の体を重しに使って戸が開かない様にした。
そして用意してあった南京錠ですぐに鍵を閉めた。
鍵を閉め終えてホッと一息。れいなは戸を持ち上げるのをすぐに諦めた。
馬鹿な化け猫め。地下で焼肉なんてやったら煙もこもこで大変だろうが。

その時食卓に声が響いた。
「おにぎり出来たよー。」
「ひゃっほー。」
私は飛び跳ねた。



続く
263 名前:元祖 さゆえりれいなのしたたり 投稿日:2005/09/06(火) 23:53
テーブルには二人の愛情おむすび。そして頼んだスパゲッティも運ばれてくる。
スパゲtッティに私の愛情が足りないと思いチーズ代わりにチンカス乗っけようと思ったらさゆがチーズ嫌いって言った。
「さあ食べよう。」
「れいなは?」
さゆがそれなりに心配そうな顔を見せた。
「ここばい!ここばい!」
れいなは戸を押し上げて僅かに出来た隙間から顔を出し叫んだ。
「あ、いた。あはははははは。」
その様子を見てさゆは高らかな笑い声を上げた。えりも笑った。私も笑った。
食卓に笑いは欠かせない。私達は夕食を楽しんだ。
これからの夢を話し合った。未来に向けて乾杯した。

れいなに憑いた化け猫はいつの間にか落ちていた。
酒蔵に漂う甘い香りに包まれてれいなは安らかな寝息を立てていた。
今日はいい一日だった。明日もいい一日になればいい。


おわり
264 名前:香港 投稿日:2005/09/06(火) 23:57
泣いた
265 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/09/06(火) 23:58
狼の『もしもさゆえりれいなが自分のモノになったら』スレで書いたものと多少展開が変わったので興味あったら読んでみてくらはい
おっ!もしもろだでダウンロードできるぞ!

ところで、『悪魔のしたたり』(原題はBlood Sucking Freaks)っていう映画があって、まあ、好きな映画なんだけど。
この中に出てくる“女をトイレに連れて行け。便器につかえる口だ”ってセリフを亀井に使いたかったってのが、この話を書いた動機です。
実際にはこれを使う機会は訪れず、同作を偲ばせるのは木箱から奴隷となる女が出てくる描写だけになりました。
『悪魔のしたたり』はユーモアに溢れた、とってもいい湯加減の映画なので、
レンタル屋で見つけたら観たり観なかったりしてもいいかもしれません。
266 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/09/07(水) 22:25
泣きましたか
267 名前:外はいい天気 投稿日:2005/09/07(水) 22:26
「台風が去ったばい!去ったばい!台風が!去ったばい!」
「うっせーよ。」
北の女と南の女ではやっぱり台風に対する心持ちが違う。
「サッタバイ.」
「小声で言ってんじゃねーよ。」
本日は訳あって二人きりで散歩である。
「木の葉が沢山落ちてるばい。」
「下ばっか見て歩いてんじゃねーよ。」
見上げた空は風が雲をまきちらして高く遠かった。
北の女は目を閉じて歩いた。湿った風が冷たく渇いていくようだった。
「セミの抜け殻ばい。」
南の女は使う必要のなくなった傘でつついた。
ぱりぱりと虚ろな感触が伝わって鳥肌が立った。
「ゾクゾクするばい。」
「ああ、冬が来るな。」
二人は少しだけ肩を縮めて歩いた。


おわり
268 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/09/10(土) 00:37

269 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/10(土) 00:38
ここは横浜の人跡未踏の奥地。
謎の建物がドドーンとそびえ立っていた。


           ./     \
           lIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIl
         /|三.三山山三三|\
        │ |:::::::::::|・||・|::::::::::::| │
  ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
        :;:;:;:;;;::;|| 新 垣 塾 ||;:;:;:;;;;:;
            || ̄ ̄|| ̄ ̄||
       ::::::::::::::||:: :: :: ||: : : :::||::.:.:.:.:.:.:.:
     :::::::::::::::::::::||:: : : 。||。: : :: ||::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
  : :: :: : ::: ::: ::.:: : ||.:: :: :: ||: : : : :||: : : : :: : : : :: : : :
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ドドドドーン
270 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/10(土) 00:40
看板が出ているので謎ではないと思うのは早計である。
例えばにぎやかな街を少し歩いてみると、○○ビルというのが多くある。
見つけたならちょっと入ってみなさい。
△△物産だとか□□興業とか☆☆商事とか構えているが、中では何をやってるか分かったもんじゃない。
おもちゃの拳銃片手に入ってみなさい。怖いお兄さんたちが出迎えてくれますよ。

この新垣塾も、塾という名が弾痕、そして男根を連想させる。血なまぐさいぜ。
最近の学習塾が◇◇ゼミナールとか、名前をスマートにさせるのはそういう関係だ。
ひ弱な子供が恐れをなしてしまうから。
でもひ弱な子供を鍛えなおそうと、ヨットスクールに入校させるとそれはそれで血なまぐさいから気をつけよう。

話し戻りますけど、新垣塾。
ここは実は男根とは程遠い場所なのであった。
早速明日、覗いてみよう!(明後日か明々後日かもっとその先になるかも)


続く
271 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/10(土) 22:11
続き
272 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/10(土) 22:11
約束通り覗いてみよう。
273 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/10(土) 22:12
      │:::::::::::::::::::::::::::::::::┃豆┃:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
      │:::::::::::::::::::::::::::::::::┃の┃:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|   ┌───┐
      │.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::┃心┃:::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:::::::::::|   |      |
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      │.:.:.:||.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:‖:.::::::::::|    |     |
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ノノノハヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                       ||c| ‐e‐)|
                     __( ∽ )
                     \ (    )\
                       ´ ̄ ̄ ̄ ̄` 旦

あっ!女だ!
274 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/10(土) 22:13
女だ!女だ!おっぱいだ!
落ち着きのある女だ。
若くして未亡人になってしまった女のような落ち着きがある。
足元にあるのはお茶ではなく、コーラだ。
そう思うとあどけない少女のようにも見える。

彼女は新垣里沙ことガキさんこと塾長。ここで一番偉かったりする。
そして本当はあわてんぼうな女の子だったりする。その内に分かるだろう。

豆の心というのは、この塾の教えの一つである。
どういう教えなのかはよく分かりませんが、悪い教えではないとだけ言っておこう。
それは穏やかな塾長の表情を見れば分かるというものだ。

新垣塾は平和なのだ。

しかし、この穏やかな感じが来客によって乱される事になろうとは思いもよらなんだ。
275 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/10(土) 22:14
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           lIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIl
         /|三.三山山三三|\
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  ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
        :;:;:;:;;;::;|| 新 垣 塾 ||;:;:;:;;;;:;
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                        ノoノハ   ノノハヽo∈
                        ( 川|||   ( 川|||

ドロドロドロドロー
276 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/10(土) 22:14
続く
277 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/11(日) 23:12
新垣塾の周囲は高い木々に囲まれている。
夏は涼しく冬は暖かい、エアコン要らずの好立地。
いざ新垣塾のでっかい門を抜けると、長い階段があり、
この大階段を登らないと塾の中には入れないのだ。これ伏線。

さて、階段の下から何やら声が響いた。
塾生の一人がくねくねしながら見に行くと……あっ!
これはいけない、くねくねしながら塾長に報告だ!
278 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/11(日) 23:13
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     リd*^ー^)             ||c| ‐e・)|て
     ( つ つ           __( ∽ )
      ) ) )            \ (    )\
     (_)__)              ´ ̄ ̄ ̄ ̄` 旦

塾長、道場破りですよ
279 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/11(日) 23:14
それにしても何て呑気な子なんだろう。好奇心旺盛な年頃だからだろうか。
でも、知らないフリして知っている。手玉に取られてしまいそう。
この子も女の子。モリマンだけど。
亀井絵里ことえりりんことカメちゃんという子で、塾長とは仲がいい。
悪い事を覚えて塾長に教えたりするのだろうか。しないのだろうか。
塾長はそんな時サッと耳を塞ぐのかもしれない。

マジメな塾長はいつでも本気。ちなみに嘘が大嫌い。これ伏線。
眉をしかめてその道場破りとやらを懲らしめてやろうと大階段の方に向かうのであった。
280 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/11(日) 23:14
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 (・e・ |b|ヽ (^ー^*bリ
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  ヽ/  )  ( ( (          \  +  \
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281 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/11(日) 23:15
______|_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\   (( :;:;:;:w;.;.;:;:vv;:.;.w;.;.;. ;.;.;.;.;ヽ.;.;.;.;.;.;...;
__〆ノノノヽ_;::;..;_|_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\   ( ;:vv;:;:;ヾ:;:;:;:;:;: .;.;.; .;.;.; w.;.;.;.;. ;.;.;.;.
__リd*^ー^)_____|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\ (( ;:;:;゙゙:;:;:;:;:;ヾ.;.;.;.;. ;.;.; ;.;.;.; .;.;.;.;.;.;.;.;.;
___(   )____ノノノ_,ハ,_ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:\   (゙ヽ:;:(((.;.;;: :;:; :;: .;.;.; ;.;.; .; .;.;
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__.:.:.:.:.:_____________|ノoノノハハ\    ヽヽ.;.; ;.;.; . . .;
;;:________________( 从从从.:.:.:\ ( .; . ...ゞ;.;.;.;w .;.
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あっ!お前は!
282 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/11(日) 23:16
続く
283 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/12(月) 23:29
その頃、ひっそり静まった新垣塾内部では…。

あっ!
284 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/12(月) 23:29
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                           イマノウチバイ ノノハヽo∈
                     ______      (`ヮ ´*从  彡
                     \  +  \    ⊂  ⊂ )っ
                       ´ ̄ ̄ ̄ ̄` 旦  (__(__ノ
285 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/12(月) 23:30
誰だ!このはしたない女は!
そう、彼女も塾生の一人であり、福岡出のれいなこと田中れいなである。
何と言う事であろう。誰もいなくなったのを見計らってコーラを飲もうとしているではないか。

別に塾長は彼女に食べ物や飲み物を与えてない訳ではないし、
仲間である所の塾生も、蹴飛ばしたりつねったりして彼女からそれを取り上げてしまう訳ではない。
そんな事は有り得ないし、少しでもそんな感じを思うとしたら、それは思った貴方の心がそれを願っているとは言えまいか!!

とにかく、置いてあったコーラをシメシメ、ウッシッシとれいなは手にしたのである。

その頃、塾長は…
286 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/12(月) 23:31
続く
287 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/13(火) 22:25
続き
288 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/13(火) 22:25
ノノノ_,ハ,_ヽ                        
||c|+・e・)|                             oノハヽo
(    ⊃                              (・ 。.・*从
∪ /) )                               (   )
(_)、_)                               | | |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|                           (__(_)
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|                      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
                  ガーン
289 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/13(火) 22:25
道場破りは何と、塾生のさゆこと道重さゆみだったのだ!
「何やってるの。早く帰ってきなさいって言ったでしょ。」
いきなり説教。さすが塾長。しかし、さゆは反抗期なのだ。
「うるさーい!」
ハッとする塾長。さゆといえば普段はノドに湯葉を張ったような篭った声なのに。

「色々と不満があったの…。」
「言ってみなさい。」
ひるがえして抱擁感を見せる。さすが塾長。しかし、さゆは反抗期なのだ。
「うるさーい!」
ハッとする塾長。さゆといえば普段はノドに湯葉を張ったような篭った声なのに。
290 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/13(火) 22:26
  oノハヽo
  从*・ 。.・)⊃
   (   /
   | | |
   (_)__)                ノノハヽo∈
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|               ( 从从从
        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|         (   )
             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
おいでー
291 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/13(火) 22:27
さゆに呼ばれて階段を溌剌と登ってくるもう一つの影。
292 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/13(火) 22:28
 ノノノ_,ハ,_ヽ
 ||c| ・e・)|                            oノハヽo
  ( ∽ )                             (・ 。.・*从   ノノハヽo∈
  | | |                              ( ⊃ ⊃   (´ゥ`o リ
  (_)__)                             | | |    (   )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|                           (_)__)    | | |
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|                      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  (__(_)
                                        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
                    ガーン
293 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/13(火) 22:29
「誰?」
「弟子の小春よ!」
さゆの紹介通り、この子は小春こと久住小春という子だ。やっぱり女の子。
だからその内に女の子のおっぱいになる。そこんとこ師匠のさゆを見習ってほしいものである。

「ミラクルビィーム!」
「うるさーい!あ、間違えた。」
どうした事だろう、塾長の顔が小春を見て不機嫌なそれになった。
きっと相性が悪いのだ。

ちなみに塾長は怒らせると怖い。
滝川の狂犬こと美貴帝を手なずけた伝説は語り草だ。
『新垣塾北方制圧 血煙りジンギスカン』を読めばその凄みは分かる。
「よーし、やってやるぞー。」

その頃…
294 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/13(火) 22:30
続く
295 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/14(水) 23:55
続き
296 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/14(水) 23:55
   | | |
   (_)__)
   ::::::::::::::::.
    :::::::::::::::::.
    :::::::::::::::::::.
     :::::::::::::.∋oノノハヽ
     :::::::::::::::::从*` ヮ´) ウマー
      ::::::::::::::::::( つ∃)

あっ!
297 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/14(水) 23:55
  〆ノノノヽ
  リd*`ー´)
   (   )
   | | |
   (_)__)   ∋oノノハヽ
            从*` ロ´)て
            ( つ∃)
             | | |
            (_)__)

ガーン
298 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/14(水) 23:56
えりりんだ!れいながギクッとしたぞ。
悪い事などしてないのだから堂々としてればいいのに、何でそんなにビクつくのかよ。
これでは、まるでえりりんが悪者みたいだ。いい子なのに。
しかし、まさかこの後に恐ろしい告白があるとは!

「あれ?それ、飲んじゃったの?」
「れいなも人の子ばい。」
「うへへ。」
「出た。こんな微笑み出る時はさっさと寝るばい。」
「起きる?起きる?いつ起きる?」
「うるさかー。もう寝られん。」
「寝れるよ。すぐにでも。」
「何じゃ。」
「ほら、眠くなってきた。」
「何じゃ。」
「飲んだでしょ。」
「しつこー。」
「寝たらもう起きれないけど。」
「何じゃ。」
「それは飲んだれいなの体が良く知っています。実はそのコーラには毒が入って…」
299 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/14(水) 23:57
えりがそう言った途端、れいなは倒れて七転八倒。
遂には泡を吹いて気を失ってしまうのだった。
「あっ!どうしよう!」
倒れたれいなを見てえりはビックリ。どこかへ消えてしまった。

さて、戻ってきた塾長たちも当然ビックリ。
「あっ!どうしよう!」
まずは塾長、助けようという気持ちが起きるのであった。
さすがに前世が戦場の看護師なだけある。しかし、看護師なんてバイトが殆どだから。
「ダメだ!分かんない!どうしよう!」
そこへ小春、タレ目ながらなかなかに凛々しい表情で救いの手を差し伸べる。
さすがに前世が学者なだけある。
300 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/14(水) 23:58
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     (_)__)       しヽ__)__)   .:;:;   ~~
301 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 00:00
小春は深刻な面持ちで首を横に振った。タレ目ながら。

「ああ、どうしよう…。」
塾長の嫌な思い出がよみがえる…。

クーデター未遂事件(『にぃにぃろく 雪に散る血豆』参照)、

現金輸送車強奪事件(『寺田光男と三億円』参照)、

ハイジャック事件(『のの号 我々はあしたのジョンソンである』参照)、

拉致事件(『あさみ山荘 〜輪廻転生〜』参照)、

青酸カリお菓子混入事件(『うさぎ耳の少女 怪人21(にぃ)面相のまぼろし』参照)、

謎めいた邦人銃撃事件(『ドザ疑惑』参照)……。

全て塾長が関わりを疑われた、歴史に残る大事件である。
そして未だに全て嫌疑にかけられている真っ最中なのだ!
そんな時にれいながこんな具合。

しかし塾長はピンチャポーな頭脳を振り絞って一つの解決策を導き出すのだった。
302 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 00:01
続く
303 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:27
続き
304 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:27
その解決策とは一体?!
305 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:28
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 ̄ ̄∋oノノハヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ノ_,ハ,_ヽヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(_)__) ̄ ̄
     リ o´ゥ`)            (・e・ |b|ヽ ズルズル
      (   )   ノノハヽo∈   (   )っ  _________
      | | |  ⊂(。ρ`*と⌒ ヾつ ( ( ( ヾ/            /|
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306 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:31
塾長はどこからか棺おけを引きずってきた。
「置いておくと腐って臭いから、外へ放り出しておこう。
 そのままだと怪しいからこの中入れておけばいいと思う。」
さすがに流石なアイディアだ。

「それにしても何か重たいなあ。」
不思議に重い棺おけを開けると…
307 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:31
ノノノ_,ハ,_ヽ
||c|; ・e・)|     _________
⊂ ⊂ )     /ヽノノノノヽ____ /|
 / /) )   / /リd*´‐`):    /./
(_)、_) / /  ( つ⊂)::  /,/
     ./ /  ( ⌒) )::  /./
   ./ /     ⌒JJ. /./
    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ガーン
308 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:32
「何やってんの!カメ!」
棺おけには隙間オーガズムマニアのえりが入っていた。
「えりはもう、ダメです。」
別にこれは、もう逝っちゃうよ!絶頂っちゃう!イクぅぅん!プシャーッて事じゃない。
れいなをあんな風にしてしまって人生おしまいだという事だ。
「でも、おかしいんだよなー。」
「何一人でブツブツ言ってんの。早く出て来て手伝って。れいなを捨てるから。」

れいなを棺おけにぶち込んで、大階段の前までズルズルとえんやこら。
これがなかなかに重労働、みんな若いけどやっぱり疲れてしまった。心労も込み。
でもまだ階段を下りなきゃいけないし、あぁ大変だ。
309 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:34
「お腹すいた〜。」
早速さゆがでっかい赤ちゃんよろしくグズり始めたぞ。
「塾長〜今日ご飯何〜?」
「んー。今日はお客さんも来てるし…」
死体を捨てる、この共同作業のおかげですっかり小春とも打ち解けた。やっぱり争いごとはいかん。
「もんじゃでもするか!」                                                               腐乱死体
「またぁ?」
「じゃ焼肉いっとく?」                                                                 火葬
「やったぁ。」

その時であった。
310 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:35

         oノハヽo 〆ノノノヽ
  ∋oノノハヽ从*・ 。.・)リd*;´ω`)
    リ o´ゥ`) ( つ っ  と ⊂ )
     (   ) | | |  ( ( (
     | | | .(_)__) (__(_)      _____
     (_)__)               /       /|
                       /       / / ))
        ノノノ_,ハ,_ヽ       /       / /
       ∩c|; ・e・)|      /       / / ガタガタ
        ヽ   ⊃     /       /./
         / く ヽ      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/ ノノ
        (_)し´       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
311 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:36
棺おけがガタガタと動き出して中から、あっ!ゾンビ!
しかし、その割に血色がいい。顔はちょっと化け物じみているけれど。
「肉ときたられいなっちゃよ〜。死んだフリはおしまいっちゃ〜。」

みんなは呆然。
しかしそんな中、えりだけはホッとした表情。

そう。実はコーラに毒、なんてのはえりのほんの冗談、可愛らしいコミュニケーションの一つだったのだ。
れいなはそんな冗談に、無邪気さを盾にして乗っかり、
えりだけじゃなくみんなに心配をかけ、更には死者を冒涜したのだ!シドイ!

もちろん嘘が大嫌いな塾長は怒りに拳をプルプル。そして…
312 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:36
    ノノノ_,ハ,_ヽ ∋oノノハヽ
    ||c|*・e・)|ニニ○:;;)3 ´) グエー
    (つ  ノ  ≡ ⊂ ⊂ )
313 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:37
物凄い伸びのあるストレートが勢い良く決まったぞ!

あっ!
314 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:38
______|_.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:\   (( :;:;:;:w;.;.;:;:vv;:.;.w;.;.;. ;.;.;.;.;ヽ.;.;.;.;.;.;...;
____∋oノノハヽ_.:.:.:.:.:.:.:.:.:....:.\   ( ;:vv;:;:;ヾ:;:;:;:;:;: .;.;.; .;.;.; w.;.;.;.;. ;.;.;.;.
______ 从*;` ロ´) |___..:..:...:.:.:..:.:\ (( ;:;:;゙゙:;:;:;:;:;ヾ.;.;.;.;. ;.;.; ;.;.;.; .;.;.;.;.;.;.;.;.;
_____ノ つ ノっ__|_.:.::...:..:::.:.:\   (゙ヽ:;:(((.;.;;: :;:; :;: .;.;.; ;.;.; .; .;.;
___ τ/ 入 ヽ______|_.:.:.:.:.:.:...:.\    (;:; w:;.;.;.; v w.;.;. ;.;.;.; ;.; :;
____ ー___(⌒)_____|_.:.:.:.:.:.:.:.:\  (;::.ゞ;;: ;:;v :;:; :;:;. .;.;.;.;. .; :
________________|_.:.:.:.:.:.:.:.:\ ( ;:;:ヾ:;:;w: ;:; ;.;丶.;. . .;. :
________________|_.:.:.:.:.:.:.:\  (;: ;:; .. :.;.;.;.;.;.w;..; .;
__.:.:.:.:.:______________|_:.....::.:.::\    ヽヽ.;.; ;.;.; . . .;
;;:___________________|_:.:.::::.:\ ( .; . ...ゞ;.;.;.;w .;.
___.;___.;.;.....:;;:;.;::;__________|__.:.::.:.\ (.;.;ゝ.; .; ..;.; ;
_______.;.;.;.;.;______________|__.:.:..\ 丶.;.;.;.丶
_______________________|_.:.:.:\ ( .; .; ::;
__...;.;.;.;.;.;.;.;.;___________________|.:.:..:.:.::\ 丶;.;.

階!
315 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:38
______|_.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:..:.:\   (( :;:;:;:w;.;.;:;:vv;:.;.w;.;.;. ;.;.;.;.;ヽ.;.;.;.;.;.;...;
________|__.:.:.:..:.:.:.:.:....:.\   ( ;:vv;:;:;ヾ:;:;:;:;:;: .;.;.; .;.;.; w.;.;.;.;. ;.;.;.;.
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____ ノノハヽo∈__|_.:.::...:..:::.::\   (゙ヽ:;:(((.;.;;: :;:; :;: .;.;.; ;.;.; .; .;.;
___ ∩(;从从从_____|__.:.:.:.:.:...:.\    (;:; w:;.;.;.; v w.;.;. ;.;.;.; ;.; :;
____ヽ    / ______|_.:.:.:..:.:.:\  (;::.ゞ;;: ;:;v :;:; :;:;. .;.;.;.;. .; :
___(`⌒    ノ________|_.:.:.:.:.:.:\ ( ;:;:ヾ:;:;w: ;:; ;.;丶.;. . .;. :
___⌒ ̄ ヽ. )___________|_.:.:.::.:.:\  (;: ;:; .. :.;.;.;.;.;.w;..; .;
__.:.:.:.:.:_ (_)____________|_:.....::.::\    ヽヽ.;.; ;.;.; . . .;
;;:___________________|_:.:.::::.:\ ( .; . ...ゞ;.;.;.;w .;.
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_______.;.;.;.;.;______________|__.:.:..\ 丶.;.;.;.丶
_______________________|_.:.:.:\ ( .; .; ::;
__...;.;.;.;.;.;.;.;.;___________________|.:.:..:.:.::\ 丶;.;.

段!
316 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:39
______|_.:.:.:.:.:.::.:..:..:.:..:.:\   (( :;:;:;:w;.;.;:;:vv;:.;.w;.;.;. ;.;.;.;.;ヽ.;.;.;.;.;.;...;
________|__.:.:.:..:.:.:.:.:.:....:.\   ( ;:vv;:;:;ヾ:;:;:;:;:;: .;.;.; .;.;.; w.;.;.;.;. ;.;.;.;.
___________|___.:..:...:...:.:..:..:\ (( ;:;:;゙゙:;:;:;:;:;ヾ.;.;.;.;. ;.;.; ;.;.;.; .;.;.;.;.;.;.;.;.;
___________|_.:.::...:....:::.::\   (゙ヽ:;:(((.;.;;: :;:; :;: .;.;.; ;.;.; .; .;.;
_____________|__.:.:.:.:.:....:.\    (;:; w:;.;.;.; v w.;.;. ;.;.;.; ;.; :;
_______ ∩ ∩____|_.:.:.:..:.:...:\  (;::.ゞ;;: ;:;v :;:; :;:;. .;.;.;.;. .; :
_______ ) ソ ノ______|_.:.:.:.:.::..:\ ( ;:;:ヾ:;:;w: ;:; ;.;丶.;. . .;. :
_______ 丿   /________|_.:..:.::::.:.:\  (;: ;:; .. :.;.;.;.;.;.w;..; .;
__.:.:.:.:.:__ノノハヽo∈_______|_:.....:.:.:.::\    ヽヽ.;.; ;.;.; . . .;
;;:____⊂(;`ヮ ´;*从ノ__________|_:.:.::::...:\ ( .; . ...ゞ;.;.;.;w .;.
___.;_____ι´___________|__.:.::.:..\ (.;.;ゝ.; .; ..;.; ;
_______.;.;.;.;.;_______________|__.:.:..\ 丶.;.;.;.丶
________________________|_.:.:.:\ ( .; .; ::;
__...;.;.;.;.;.;.;.;.;_____________________|.:.:..:.::\ 丶;.;.

落ち!
317 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:39
           アッ

 ノノノ_,ハ,_ヽノノハヽoノハヽo〆ノノノヽ
 |c| ・e・)| リ o´ゥ`)从*・ 。.・) d*^ー^)
  (   )  (   ) (   ) (   )
  | | |  | | |  | | |  | | |
_(_)__)__(_)__)__(_)__)_(_)__)_
                        |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
                              \   ぐしゃ   /
318 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:40
           ./     \
           lIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIl
         /|三.三山山三三|\
        │ |:::::::::::|・||・|::::::::::::| │
  ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
        :;:;:;:;;;::;|| 新 垣 塾 ||;:;:;:;;;;:;
            || ̄ ̄|| ̄ ̄||
       ::::::::::::::||:: :: :: ||: : : :::||::.:.:.:.:.:.:.:
     :::::::::::::::::::::||:: : : 。||。: : :: ||::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
  : :: :: : ::: ::: ::.:: : ||.:: :: :: ||: : : : :||: : : : :: : : : :: : : :
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

新垣塾に秋の訪れを告げる虫の声が響き始めていた。
319 名前:新垣塾地獄変 血戦の赤いミラクル 投稿日:2005/09/15(木) 21:40


      おわり

320 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/09/22(木) 02:08



321 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/22(木) 02:20

    第一話

一文字違いのラブレター

322 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/22(木) 02:21
引っ越した。アパート、家賃が安いとこ。無職だから。
何かいい匂いがするなあと思ったら女子校が近くにあった。
アパートの共同便所嫌だし、トイレ借りに行こうかな。
考えたらあそこがムズムズ。タンスの奥からセーラー服を出して身にまとう。
けしからん事が多発するこのご時勢だし。やっぱり男が入っていくと、怪しまれるからな。

=3 ピュー

静まり返った広いキャンパス。
この女子校は小学校から大学まで一括になってる。
つまりじょししょうがくせえじょしちゅうがくせえじょしこおこおせえじょしだいせえはぁはぁ。
俺は風にスカートをなびかせ校舎へ駆け込んだ。

=3 ピュー
323 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/22(木) 02:22
「おじゃまします。」
ズラリと並んだ下駄箱から立ち昇るはむせ返るよな香り(かほり)。

「どこじゃトイレは、トイレはどこじゃ。きっと廊下の突き当たりじゃ。
 ほれ、あった。」

「おじゃまします。」
ズラリと並んだ個室から立ち昇るは甘い甘い香り(かほり)。
?? おかしいなァ。何だろ、この芳香剤とも石鹸とも香水とも違う甘い香り(かほり)は。
その時、個室から一人の女の子が出てきた。
とりたてて後ろめたい事などしてないものの、俺は少しひるんでしまった。

可愛い子だったのだ。
肩のあたりまで伸ばした少し茶味がかった髪。涼しげな目元に尖った顎。透き通らない黒く健康的な肌。
324 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/22(木) 02:23
俺は声色を変えて話しかけた。
「ここここんにちわ。」
少女は眉をひそめる。
「……?……こんにちわ。」
「アーッヒャッヒャ。」
俺は思わず吹き出した。何て変な声。
「何よ。」
「いや、別に。」
「今日休みなのに、何やってるの。」
「えっ、休み。」

今日は土日かはたまた祝日だったのか。無職は時間感覚が狂うのだ。おのれ就職難。
俺を訝しげな表情で見つめる女の子。その眼差しが、その眼差しが……はぁはぁ。
「あんたクラス何処?」
「いや、あの…その…あー角を曲がった所だけど。…そう言う貴女は何をしてるんで?」
女の子は後ろ手にさっと何かを隠した。俺はすかさず後ろに回りこんだ。
女の子はさっと手を前にした。俺はすかさず前に回りこんだ。
女の子は後ろ手にさっと何かを隠した。俺はすかさず後ろに回りこんだ。
女の子はさっと手を前にした。俺はすかさず前に回りこんだ。
325 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/22(木) 02:24
「しつこい!」
「見せてよ!」
「うるさいなあ!」
どうやら必死で隠そうとしているのはタッパーのようだ。
「…ま、まさか……うんこ?!」
「しないよ!!」
「だって、だって。今さっきだって水流してなかったし!うんこなんて持ち帰ってどうするんだね?」
「もう、うるさいなあ。違うって。ほら、これ。」

タッパーの中には…


続く
326 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/23(金) 01:21
「あっ!白いうんこ!」
「違うって言ってるでしょ!白玉だもん。」
「えっ!お尻から白玉が出るの?!」
「出ないよ!」
俺はすかさず後ろに回りこんだ。
「お尻見たって出ないってば!」

「じゃ、何でトイレなんかで白玉を?」
「ちゃんと出来てるかどうかチェックしてたの。」
「え、自分で作ったの?家で?
 へえ、でも別にトイレでこそこそチェックなんかしなくても。誰かにあげるの?」
「関係ないでしょ。」
女の子はそう言って頬を赤らめた。
「もう、あたし行くから。」
「ちょっと待って!俺、じゃない、わたし、転校したばっかだからさあ…」
327 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/23(金) 01:21
俺はその、梨華という女の子に学校を案内してもらう事になった。
「あっちに音楽室、あっちに理科室。はい、おわり。」
「あれ?もう?わたしのために歌ってくれたり実験してくれないの?」
俺を無視して無言で校舎から出ていく梨華ちゃんに着いて行くと、そこは運動場だった。
女の子が数人。コートをジョギング、そしてボールを蹴っている。
「サッカーかあ。」
「フットサル。」
梨華ちゃんの目は真剣だった。
「休みなのにみんな熱心だね。あ、一人だけでかいのがいるね。あれ先生?」
梨華ちゃんは俺を睨みつけた。はぁはぁ。

それにしても、さっきから抱えたタッパーを胸元に持ってきたり後ろ手にしたり、梨華ちゃんは落ち着きがない。
と、梨華ちゃんの顔が一瞬にして明るい表情になった。
視線を追うと、でかいのがこっちを向いて手を振っている。
「遅れてごめーん。」
俺と梨華ちゃんの背中の方からその声は聞こえた。
梨華ちゃんの顔がまた変わった。気持ちが不愉快になっちゃったような顔に。
328 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/23(金) 01:22
その声の持ち主は少しだけヤニの苦い香り(かほり)を振りまくと、
俺と梨華ちゃんの横を素通りして、手を振るでかいのの方に駆け寄っていった。

梨華ちゃんは俯いてタッパーの蓋を開けたり閉めたり。
俺は何も言わなかった。
「これ、あげる。」
「いいの?」
「転校祝い。」
「じゃ、いたらきます。」
梨華ちゃんはフラフラした足取りで校舎へ戻っていった。
この世の幸が全て遠ざかった様な顔だった。

白玉にあんこを付けて食べた俺は、数分後、またさっきのトイレに駆け込む事になった。
可愛い子だけど料理はもうちょっとあれしなきゃいかんかもしれんね。
俺はもちろん、梨華ちゃんが出てきた個室を選んだ。
329 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/23(金) 01:23
白玉の成れの果てとなった黒玉、あるいは茶玉をひねり出してホッと一息。
さあ、いざ尻を拭こう。むぅ…スカートが邪魔でうまくいかん。
「アッ。」
指についてしまった。さて、どうしたものか。
ええい、壁にこすりつけてしまえ……

と、壁をよく見るとすでにこすりつけた跡があった。
広がっている甘い香り(かほり)を俺はまた改めて感じた。

     .,,
    ,´ i`ヽ
   /   |  \
  /__|__ヾ
     │よ
    り | っ
    か. | す
      ,i ぃ


    第一話

一文字違いのラブレター  おわり
330 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/09/23(金) 01:28

331 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/09/23(金) 01:29
往時のストーリーギャグ漫画の勢いってかノリでやりたくて>>269-を書きました
逆向(春助)の方はその手の連載数回に一回はある感じの人情っぽいやつ
332 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/23(金) 22:45
おもしろいよ
333 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/09/25(日) 22:22
>>332
もっと言ってください
334 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/25(日) 22:24

    第二話

秋風秋茄子タチツテト
335 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/25(日) 22:25
逆向(さかむけ)女子校が秋のハイキングに行くらしい。
その事で梨華ちゃんから電話があって相談された。
ボディガードに出向いてくれと言うのだ。俺は二つ返事でOKした。

何でそんな相談されるかと言うと。
学校に忍び込んだ不届き者の変態野郎がいやがって、
そいつをたまたま通りがかった俺が掴まえたのだ。
表彰も受けたし、トロフィーも貰った。

ちなみに、その時レイプされかかったのが梨華ちゃん。
彼女とはそれ以前に知り合っていたが、あの時俺はセーラー服だった。
「どっかで会いませんでしたっけ??」と言われたが、
俺は「生まれる前に出会ってるのかもしれません。」と言っておいた。

とにかく。この事件以降、俺は公然と女子校へ入る事を許されたのだ。
336 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/25(日) 22:26
「梨華ちゃーん、俺をどこへ連れて行くのさ?」
「保健の先生のとこ。生徒指導の。」
「えっ?!はぁはぁ。」
「それ、やめて!」
「だって、あれこれ指導してくれるんでしょ。」
「ないから!今度のハイキングの事だよ。」
「梨華ちゃんはハイキング行かないの?」
「大学部はそんなのないもん。高等部だけ。」
「保健の先生ってどんな感じ?むはぁ。」
「う〜ん、関西訛りがあってねえ。可愛い先生だよ。
 三十路で独身だけど。うふふ。あっ、メグ・ライアンに似てるかなあ。」
「はんなりで洋ピンでMatureかあ。濃いなあ。ワクワク。」

俺と梨華ちゃんは保健室に着いた。
それにしても、保健室の静かさって何だろう…。
そよ風に揺れるカーテンの隙間から、光がこぼれて時間が止まる。
「先生いないみたいだね…。あっ!何やってるのよ!」
337 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/25(日) 22:26
俺は裸でシーツにくるまっていた。
「だって保健室のシーツって気持ちいいんだよ。やってみなよ。」
「あ、本当だ。」
白いシーツが梨華の肉ひだとこすれ合う。

「……って何でよ!もう、早く服着て!」
「梨華ちゃん、やっぱりツッコミ下手だね。美貴ちゃんの方が鋭いよ。」
「……あの子の話はしないでって言ったでしょ。」
「メンゴメンゴ。」
「あっ、中澤先生来た。」

保健室に一瞬にして女の匂いが広がった。
振り向くと、そこに中澤先生がいた。

「出た!メ、メグ・ライアン。アーッヒャッヒャ。」
俺は中澤先生の顔を指差して笑った。そして、笑った。
「何や、この子。感じ悪いなあ。」
「はじめまして。ぼくが逆向女子校をレイプ魔から救った者です。」
「えっ!君がかいな。」
「のほほん、のほほん…」
338 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/25(日) 22:28


保健室を風が通り抜けた。


「もう!中澤先生、そこで続のほほんって言ってくれないと!
 関西人のノリ見せてくださいよ!あ、メグ・ライアンはアメリカか。じゃアメリカ村だ。アーッヒャッヒャ。」
「何やねん、さっきから。」

どうにか笑いを抑え、今回のハイキングについて。
地図を持ってくる中澤先生。
「逆向山ハイキングコース、ここ。」
「ふむふむ。」
「基本バス移動やから。」
「バスジャックから麗しの乙女の蜜園を守るのが私の役目という訳ですね。」
「ま、まあそうやけど。」
「あ。先生、こ、このマークは何でしょう。ドキドキするんですが。」
俺は地図を指差した。
339 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/25(日) 22:28
ttp://www5a.biglobe.ne.jp/~RyomaK/zatsu/mapping/Ms_005R.gif
340 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/25(日) 22:29
「んー何やったっけ。」
「あっ!先生のここにも…」
俺は中澤先生のスカートを下ろし
「何すんねん!」
「先生のは経年で形が少し違いました。」

「あー何か心配になってきた。大丈夫やろか。」
「余裕ですよ。」
俺は先生が出してくれたコーヒーに口をつけた。
「ふむ、香り豊かでおいしい。どこのメーカーのですか?」
「何処やったっけ…。えっと、AGFマキシムやて。」
「ネスカフェエクセラがいいですよ。ふふふ。」



バス移動編に続く
341 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/26(月) 22:53
校内駐車場にはブカブカとエンジン音をふかし、アイツが停まっていた。
「普通四輪乗合自動車!」
俺は普通四輪乗合自動車(バス)を指差した。
「普通四輪乗合自動車の車輪!」
俺は普通四輪乗合自動車(バス)の車輪(タイヤ)を指差した。
「普通四輪乗合自動車の走行用前照灯!」
俺は普通四輪乗合自動車(バス)の走行用前照灯(ヘッドライト)を指差した。
「普通四輪乗合自動車の自動車登録番号標!」
俺は普通四輪乗合自動車(バス)の自動車登録番号標(ナンバープレート)を指差した。
そして俺、大満足。
「何を得意ぶってんねん。」
「中澤先生!」
俺は中澤先生(和製メグ・ライアン)を指差した。
「はよ乗りーや!」

バスのタラップを駆け登る。
車内には蜜園を持った麗しの乙女の集団が……!
342 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/26(月) 22:54
俺は大声で叫んだ。
「セックス!」
耳に手を当て乙女のこだまが返るのを待つ。
「よし、もう一度。セック…」
「やめんかい!」
「先生、止めないで下さい。これは処女探しなんです。
 過剰な反応は処女の証なんです。……ん?先生…ま、まさか。」
「やかましいわ!処女な訳ないやろ!って何言わすねん!あー何か君の相手してたら頭痛がしてきたわ。」
「少し休みなさい。」
「ああ、そうするわ。」

中澤先生が休んでいる間、俺はバス内をうろつき出発前の最終点検。
あぁ、乙女の香りがかぐわしい。何ともかぐわしい乙女の香り。
それにつけてもかぐわしい香りの乙女。どこもかしこも乙女のかぐわしい香り。
寝ても覚めても香りのかぐわしい乙女。にっちもさっちも香る乙女がかぐわしい。
何か頭がくらくらしてきた。
343 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/26(月) 22:55
そして俺はそんな中、顔を赤らめている少女を見つけるのだった。
「どうしたの?処女かい?」
「遅いんですよお。カメが。」
「えっ!速いよりいいでしょ!!」
「あー来た来た!カメ!遅い!」
「俺はまだいかないよ!!」
「カメ!遅いよ!もうじき発車だよ!」
「俺はまだ発射しないってば!!」
「何やっとんねん!」
「あ、先生。お目覚めですか。」
「やかましくて寝てられんわ。それにもう出発やし。遅いで、亀井ちゃん。」

その亀井ちゃんという子はくねりながら、俺の亀を急かした子の隣に座ると、また一、二度くねった。
「遅くなってごめんね〜ガキさ〜ん。」
「こっちの身にもなってくれ!班長は大変なんだから!」
「だから〜、ごめんって言ってるでしょ〜。」
344 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/26(月) 22:58
俺はしばらく二人を見つめる。そして言った。
「あのー、先生。僕はこの子たちの所に座ってもよろしいでしょうか。」
亀井ちゃんという子も班長のガキさんという子も可愛らしかったのだ。とても。
「変な事せえへんでね。」
中澤先生のその一言に俺は激昂した。
「何をおっしゃるうさぎさん!!」                                「はい。」
「僕はボディガードとして来たのですよ!
 僕が彼女達に“悪戯(いたづら)”などしたら本末転倒じゃないですか!」
「ま、まあそうやけど。頼むで。」
「全くもう、しっかりしてくださいうさぎさん!!」                        「はい。」

何かさっきから横の方でモゾモゾと声がする。
「誰だ!」
「うさちゃんピース!」
「うわあ。また特殊学級か。」
このさゆみちゃんという子もガキさんの班。どうにも粒揃いの班だね。
345 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/26(月) 22:59
そして、もう一人ガキさんの班にはれいなという子がいた。

という事でバス出発。

三≡(´⌒;: ブオー



続く
346 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/27(火) 23:43
走るバス。大騒ぎする俺。
「あっ!景色が動いてる!」
「違いますよー、バスが動いてるんですよー。」
「ガキさんだっけ、君は賢いねー。」
「そんな事ないですよー。はっはー。」
「楽しいねえー。わっはっはー。」
「楽しいですねー。はっはっはー。」

楽しい時は歌を歌いたくなるものだ。そこでカラオケ。わーい。
俺は機械をてきぱきとセッティングする。
「テーマは秋でイントロクイズだ!分かったら手を挙げるんだよ!
 早い者勝ちだぞ!当たった子だけが歌えるんだ!楽しいなー。」

静寂。最近のバスはエンジン音がとても静かなのだ。

車内に緊張が走り抜ける。
347 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/27(火) 23:44

チャ♪
348 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/27(火) 23:44
「ちょっと短すぎー!」
一転して車内に広がる少女たちの笑い。楽しいなー。

「あれ?分かる子いないの?じゃお兄さんが歌っちゃうよ。」
車内を見渡すと手を挙げたのは一人だけ。
「松田聖子の風は秋色!」
「はい!当たり!って中澤先生じゃないですか。水を差すのはやめてくださいよ。」
「でも、この中だと分かる年代、私しかおらへんで。」
「そうでしょうか。」
「そんなもんやで。」
「そんなもんでしょうか。」
「まあ、そんなもんやで。」
「本当にそんなもんなんでしょうか。」
「う…そない粘られても。」


 世 代 間 の 断 絶


俺は膝を抱えバスの後ろでうずくまる。
このあとも風立ちぬ、秋桜、9月の雨、思秋期とたっぷり準備していたのに。
何ともまああっさりと秋止符が打たれてしまったのだ。
349 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/27(火) 23:46
窓の外、遠ざかっていく街の景色。
今日から私は心の旅人。
俺はため息をついた。今年の秋はいつもの秋より長くなりそうなそんな気がして。
中澤先生はそんな俺の所へ来て優しく笑いかけてくれた。
そして、その柔らかい胸で俺を包んでくれるのだった。
「小さい秋見ーつけた。」
「……ってやかましいわ!長いノリやらせよって!」
「もう少しあなたの子供でいさせて下さい!」

三≡(´⌒;: ブオー



続く
350 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/28(水) 00:09
(↑ちょっとミスった どっちでもいいけど↓)

俺は膝を抱えバスの後部座席でうずくまる。
このあとも風立ちぬ、秋桜、9月の雨、思秋期とたっぷり準備していたのに。
何ともまああっさりと秋止符が打たれてしまったのだ。

窓の外、遠ざかっていく街の景色。今日から私は心の旅人。
俺はため息をついた。今年の秋はいつもの秋より長くなりそうなそんな気がして。

中澤先生が俺の所へ来て優しく笑いかけてくれた。
そして、その柔らかい胸で俺を包んでくれるのだった。
「小さい秋見ーつけた……ってやかましいわ!長いノリやらせよって!」
「もう少しあなたの子供でいさせて下さい!」

三≡(´⌒;: ブオー



続く
351 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/28(水) 23:33
もう一つミスが
>>343>>344の間に

俺は声を潜めて聞いた。
「先生、あの子は頭が弱いんですか?」
「うちの生徒つかまえて何言うねん。」
「でも。ほら」
「ひゃくまみ〜♪」
「うぅ……まあ、あの子はああいう子なのよ。」

これがなくて
「うわあ。また特殊学級か。」につながりにくいくなってました
352 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/28(水) 23:35
>>350からの続き


俺は後ろから少女たちがカラオケに興じるのを黙って見ていた。
そして、自分と同じように後部座席で膝を抱えているれいなを見つけるのだった。
「おい!何やってんだ!この野郎!俺も混ぜろ!」
「うっぷ。」

班長ガキさんはれいなの様子を見て心配そうな顔をした。
「んん?どうしたの、田中っち。顔色悪いよ。」
「れいなは乗り物に弱いとですよ。うっぷっぷ。」
「何だ、てっきり一人であっち向いてホイやってるのかと思ったよ。
 酔うんだったら前の方に乗れよ、この野郎!」
「何で江戸っ子になってるんですかっ!」
「いやー、この子とバランス取れていいかなって。」

その時だった。
車内の空気が捻じ曲がったのは。
353 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/28(水) 23:38
  ン        〜
な   みぃ  だ    ♪ とまら い〜ぅわ  ♪
                    な     〜
                し
あ ンな〜   〜♪ やさ  すぎるか    らァ〜♪
       た               ぁン
354 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/28(水) 23:39
「うわー、さゆが歌い始めたー!」
バスは大きく揺れる。後部座席は尚更揺れる。
れいなの顔は色を失った。
「うっぷ。」

俺は足元をふらつかせながらも、どうにかカラオケの元に辿り着き電源を切った。
「いやん、何するんですか。」
「歌うのだけはガマンしててくれ。他はうさちゃんだろうが何でもいいから。」
「いいもん、鏡見てるもん。」

座席に戻りホッと一息。それでも後ろからは絶えずれいなの声が聞こえてくる。
「うぷっぷ。」
「やっぱ田中っち、前の方に座らしてもらいなー。」
「それがいい。後ろはヤンキーの特等席だし。まあ、お前のその顔の作りなら合ってやがるけどよ!」
「もう江戸っ子はいいですから!」
「もう既に断られたとですよ。まるで打ち合わせしてあったかの様にみんなに嫌と言われたばい。」
ガキさんの隣で亀井ちゃんがちっちゃいくしゃみをした。可愛かった。レアっぽかった。

「じゃあ、ガマンしやがれ!若い頃の苦労は買ってでもしろって言うからな!」
「田中っち、いいよ。私と席代わりなよ。」
355 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/28(水) 23:41
|□□ □□ |
|亀ガ 俺兎 |
|□□れ□□|
└─────┘
   ↓

|□□ □□ |
|亀れ 俺兎 |
|□□ガ□□|
└─────┘
356 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/28(水) 23:42
「どう田中っち。」
「あんまり変わらんばい。」
「よし。じゃ、こうしたらどうだろう。」
357 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/28(水) 23:42
|□□ □□ |
|亀れ 俺兎 |
|□□ガ□□|
└─────┘
   ↓

|□□ □□ |
|亀ガ 俺兎 |
|□□□□□| れ
└─────┘
358 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/28(水) 23:43
「降ろしてどうするんですか!」



しつこく続く
359 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/29(木) 22:21
れいなの酔いはいよいよ治まらない。

とはいえ、れいなを心配しているのは席の近い俺たちだけといった状況だ。
こうした局地的状況が班長という立場をも追い詰める。
そして遂には一線を越えてしまうのだった。

「あーもう!田中っち!こっちの身にもなれって言ってるんだよ!田舎者!
 周りに迷惑かけるんだったら来るな!せっかくの楽しい時間が台無し!
 あんたはいつもそういう所がある!自分のタイミングばっかで動いて空気が読めてないの!」
360 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/29(木) 22:22
と、俺は言ってみた。
「何で私の真似してるんですか!!」
「似てた?」
「似てないですよー!」
「じゃ、やってみて。」
「何をですか!」
「ガキさんのモノマネ。」
「って私、本人ですから!」
「じゃ俺は誰だと思いますか?」
「え?」
「実はえりだったんですよ〜。今日も可愛い!」
「それ、さゆと混ざってるの。えりはこっちなの。」
「どうなっとるか訳が分からんっちゃ!あ、このマネだけはイマイチ楽しくない。」

俺たちはモノマネ合戦をしばし繰り広げた。
361 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/29(木) 22:22
「あー、楽しかった。よし!この野郎、治まったか?」
「うぷぷっぷ。」
「駄目か!何かいい手はないものか!」
そこで亀井ちゃんがくねった提案。
「何か食べればいいんじゃないですか?」
「それだ!空腹は良くないって俺も聞いた事があるぞ!」
「梅干しなら持ってますよ?」
「いやー亀井ちゃんは渋いなあ。さあ食え!この野郎!」
俺はれいなの鼻をつまんだ。
このまましばらくつまんでいると、直に苦しくなって口を開く仕組みになっているのだ。

「よし!開いた!今だ!梅干しを投げ入れろ!」
「ギャー!目が染みるばい!」
「駄目か!もう一度やるぞ!よし、今度は成功だ!やったな!おい!」
俺はれいなの背中をポンと叩いた。そしたらゴクンと飲み込んだ。
「何か白目剥いてますよ?」
「少しは噛めよ!この野郎!」
「ちょっと!落ち着こう!落ち着こう!」
流石にガキさんは場のコントロールが巧みだ。
班長にもなるべくしてなったんだろうなー。
362 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/29(木) 22:23
「じゃ、お茶でも飲みましょうよっ。」
「いやー亀井ちゃんは渋いなあ。あっ、これ魔法瓶。懐かしいなー、こういうの。」
俺は亀井ちゃんの魔法瓶を撫でた。
「さゆみちゃんの魔法瓶も見せてよ。」
「ピンクなの。」
「ちょっと蓋の匂い嗅いでいい?」
「嗅いでどうするんですかー、飲まなきゃダメですよー。」
「そりゃそうだね。ガキさんに言われると何かさー……お兄さん、色々と申し訳ない気持ちになっちゃうよ。」
俺は魔法瓶のお茶の出し入れを切り替えるボタンをペコペコと押した。
「さゆみもペコペコやる。」
「えりもやる。」
「じゃ、みんなでやろう。」

ペコペコペコペコペコペコ
363 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/29(木) 22:24
「……駄目だ!この調子だと、うまく展開しない!やっぱりこの野郎をどうにかしよう!」
見るとれいなは白目を剥いたままだ。
「そうだ!お茶だ!」
魔法瓶を傾ける。
「出ない!」

ペコ

魔法瓶を傾ける。
「出た!」
「熱かー!」
「起きた!」


続く
364 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/09/30(金) 22:09
さすがの保温効果だ、魔法瓶。
「どうだ?」
「少し落ち着いたばい。」
「そうか、良かったな!梅干しの酸っぱさの元となるクエン酸は、だ液や胃液の分泌を促し胃腸の働きを活性化するんだ。
 更にはピワリン酸という内蔵の働きを活性化させる要素も含まれており、それが脳に伝わって車酔いの予防にもなるんだぞ。
 梅干しをそのまま食べるだけでなく、お茶に入れて飲むなどしても良いんだ。」
「一石二鳥でしたね。」
さゆみちゃんの口からいきなり名言が飛び出たよ。
「お茶を飲んだ記憶はなかとですが。」
れいなは軽い熱傷を起こしている腕をさすった。
「うわ!どうなっちょる、これ!」
「どうせ根性焼きだろ、このヤンキー!火のない所に煙は立たないんだ!」
「人は見かけによらんたい。」
「まあ、まあ田中っち。お茶でも飲みなよ。」
「全くこの野郎ときたら。どうせ、朝ごはん何も食べてこなかったんだろ?」
「食…「さゆみはチョコレート食べたの。」
「そんな生活してたらブツブツ出来ちゃうよ。」
「出来ないもん。」
「えりは納豆食べましたよ。」
「れいなは納豆がダメですばい。」
「いいねー納豆。あの糸を引く発酵した大豆の芳醇な香りが何ともいえないね。」
「うっぷ。考えただけで…うえっぷ。」
「またか!」
「着いたで。」


    第二話

秋風秋茄子タチツテト  おわり
365 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/01(土) 16:21
超おもしろいよ
366 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/10/01(土) 22:13
>>365
そうでしょうか
367 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/10/01(土) 22:13
第二回ショートストーリー企画
テーマ:『秋』で「モーニング娘。の風立ちぬ」を栗と梨を食べながら柿ました

これはボツにしたやつ
368 名前:美勇伝の国境巡礼歌 投稿日:2005/10/01(土) 22:14
三好「石川さん、秋ですよ。栗とマツタケの秋ですよ。」
梨華ちゃん「でも、お金ないのよ。」
岡田「あっ。ないわ。」
三好「無心に行きましょう。」
梨華ちゃん「矢口さん忙しいって。」
岡田「心を無くしたらあかんで。」
三好「栗とマツタケどっちが好きですか?大マツタケですか?」
梨華ちゃん「栗かな。」
岡田「んまいで。」
三好「剥けますか?どんな手つきで剥けますか?」
梨華ちゃん「コンビニ行ってきてよ。あるじゃない。剥かなくていいやつ。」
岡田「んまいで。」
三好「お財布どこですか。」
梨華ちゃん「先に払っといてよ。」
岡田「なんか足痺れてきたで。」


この後、恐山で山菜狩りをする話を考えてたがうまくいかなかった
369 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/08(土) 00:34
てっきり栗とマツタケだから矢口さんの
話にするのかと思いましたよ

えっとなんていうかおめでとうです。

25 名前:名無飼育さん[sage] 投稿日:2005/10/02(日) 14:11
リスペクトトゥーれいなの万華鏡&舌足らず
370 名前:ジャガーバックスシリーズ 1 投稿日:2005/10/08(土) 01:49
さゆえりれいなの地獄巡り 壱

「あっ!死んでる!」
れいなは叫んだ。足元に転がっている少女の体。
「ちょ!起きて!起きて!」
呼びかけても呼びかけてもそれは答えない。
「駄目ばい。れいなはもうおしまいばい。」
まあ、死んでるのはれいなだったのだ。

かくして魂となったれいなは、さゆとえりに挨拶に行くのだった。
「という訳ばい。」
「嫌だ!お別れしたくない!」
さゆとえりは泣きじゃくった。
可愛い女の子を泣かすなんて何て、悪い女だ!
れいなは地獄に堕ちました。
371 名前:ジャガーバックスシリーズ 1 投稿日:2005/10/08(土) 01:51
さゆえりれいなの地獄巡り 弐

さゆ「いやん、血の池地獄。」
さゆの肌はスベスベになった。動物の血は滋養強壮、美肌効果抜群なのだ!
えり「針の山地獄ですよ?」
えりの肌はスベスベになった。針は体の経穴を刺激して、美肌効果抜群なのだ!
その頃、素直なれいなは天国で独りで暮らしていた。




さゆえりれいなの地獄巡り 終
372 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/10/13(木) 22:41
>>369
というか
>>私はれいなを抱きしめていたい

以前こういうのを書いたのを思い出しました ↓
手直しして再録します
373 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/10/13(木) 22:42
さゆえりれいなのしたたり

黄ばんだ部屋の壁紙を総替えするに当たって気をつける事。
さゆの見る鏡が埋もれない色。
壁を見つめるえりの目が疲れない色。

「白しかないね。ねえ、れいな。警告色って知ってる?
毒を持ってる動物が派手な色でそれをアピールするんだよ。結果、警戒されて襲われない訳さ。」
「毒を持ってるならそれで殺せばよか。」
「そうだね、不思議だね。」

警告色は原色が多い。

擬態。弱い動物が身を守る手段。

錆びた釘を拾い上げたらミミズだった。
電信柱に隠れたゴミ袋を蹴飛ばしたらウサギだった。
穴に手を入れたら喪服を着た未亡人だった。

擬態はそこに在る命への感覚を鈍らせる。
警告色に擬態すればもっといい。

私は壁紙を剥ぎ取る前にれいなの服を剥ぎ取ってあげたい。
374 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/13(木) 22:44

      第三話

石川と結婚するのか吉澤の夢
375 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/13(木) 22:54
穏やかな風を救急車のサイレンが切り裂く…。

俺は逆向女子校のグラウンドにいた。
梨華ちゃんに電話で呼び出されたのだ。
その時の梨華ちゃんの声ときたら、声ときたら……声ときたらっ!
とにかく切羽詰まっていたのだろう。

駆けつけたグラウンドにはオレンジ色のユニフォーム姿の女の子?が倒れていた。
同じユニフォームを着た女の子!たちが彼女?を取り囲んでいて、誰もが不安そうな顔をしていた。

俺は倒れているその格好を見て言った。
「“犬”!」
「えっと、それは…「それ言うなら“大”だろ。」
梨華ちゃんが口を開くより速く、その隣にいる美貴ちゃんが一閃。
その子は大の字になって倒れていたのだ。
376 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/13(木) 22:55
それにしてもやっぱり美貴ちゃんの一撃は効く。
「美貴ちゃんのツッコミに俺のは思わず“太”くなりました。」
「ううん、えっと…「パンツ履けよ。」
やっぱり速い。まあ梨華ちゃんは漢字が読めない女だからしょうがない。
でも、そんなの敬語が使えない女よりよっぽどいいと俺は思うのだ。

しかし、ご覧あれ!
美貴ちゃんは上司と上手におしゃべり出来てしまう様な、そんな一種の才能をも持ち合わせてるのだ!
「それより!彼女は吉澤ひとみ、フットサルの練習中にボールが頭に当たって気を失ってしまったんです。
 今、救急車を呼んだ所です。不安になった梨華ちゃんから呼び出されたそうで、どうもすみませんでした。」
「あうあう…」
言う事が無くなった梨華ちゃんは顎をガクガクさせた。
377 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/13(木) 22:56
「でも、ボールが頭に当たっただけで気を失うなんてあるだろうか?」
手近にあったボールを手元に寄せて確かめるように触れる。
「だって、こんな柔らかいんだよ。適度な弾力性もあるし…わっ!何だこれ!」
俺はボールから手を離したが、ボールは地面に落ちる事なく中空にフワフワと浮かんだままだった。

そのボールは浮かぶだけではなく目鼻口がついていて、まるで生きている様だった。
しかしボールに顔をつけ生命を宿らせるなんてどういう意味があるのだろうか。
憎たらしい人の顔がそこに張り付いていれば、それこそ蹴りも強くなるだろうが(例・(〜^◇^))、
重要なのは強く蹴る事よりもボールコントロールではないのか。
むしろ地味なドリブルこそが最も技術を必要とし、勝負に重要なポイントだろう。
378 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/13(木) 22:57
考えていたらイライラしてきた。
「誰だ!こんなボールを常備させてるのは!
 こんなんで勝てると思ってるのか!担当の教師を呼べ!」
「担当は俺だ!」
「お前は…!」
そこにいるのは何と元Jリーガーの北澤だった!

「サイン下さいっ!」
俺ときたらJリーガー世代なのだ。
特別にサッカーファンじゃないけどやっぱ反応しちゃうな。
俺は興奮のあまり一方的にまくし立ててしまうのだった。
「覚えてますよ!ドーハのなんちゃら。かっこよかったなー、北澤さんのゴンゴール。
 あっ!見てください。俺出来るんですよ、カズダンス。フォーッ!!」
「何か、もう色々ありすぎてめんどくせーよ。」
美貴ちゃんはそう横から冷たく言い放つのだった。

「あのー、私ボールじゃなくて紺野なんですけど…」


それなりに続く
379 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/15(土) 23:59
とにかく、これはおかしい。
どういう状況でボールが当たったか振り返る事にした。

「よっすぃの朝食はゆで卵にベーグル。」
梨華ちゃんは吉澤に関してやたら詳しいのだ。
「ってか、そここからかよ。」
「何よ、美貴ちゃん。嫉妬?あー、あの時一緒に食べたベーグルおいしかったな〜。」
「あの時っていつだよ。」
詰め寄る美貴ちゃんに梨華ちゃんは口を尖らせて答えた。
「もちろん、朝よ。朝食に決まってるじゃん。」
「朝まで何してたんだよ。」
「私たちの勝手でしょ。」
プイとそっぽを向くその曲線とコーヒーにとけるクリーム。
ケンカの最中に笑ってしまう。昨夜噛んでもらった耳たぶが痛むの。じんじんと。
仲直りは午後までおあずけ。でも、嬉しいわ。そんな朝のひと時。
380 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/16(日) 00:00
「みたいな感じ?」
俺は鼻息混じりに聞いた。
「……??よく分かんないわ。」
早速ご報告しなきゃ。
「美貴様、ベッドで過ごす夜ではなかったようです。」
「安心した。」
そう言って胸を撫で下ろす。
その直線は美貴ちゃんの胸ならではだ。

俺は更に問い詰める。
「じゃ朝まで何をやってたんだ!プレステか?!」
「ゲームもやったかなー。」
梨華ちゃんの思い出し笑いに美貴様の口調も思わずお荒ぶられになられる。
「魂斗羅やれよ魂斗羅!」
「そうだバカ!コナミの黄金時代くらい知っとけ!」
「何であたしがそんな責められなきゃならないのよー。」

「ゆで卵にベーグル……喉渇きそうですね…。」
ボールが独りごちた。
381 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/16(日) 00:00
「そうか!喉が渇いて脱水状態を起こしてたんだ。それで、そのままフットサルの練習に入ってしまって。
 おい、北澤!練習中に水を飲まさないなんていつの時代の運動部だよ!」
「申し訳ない…。」
「分かればよろしい。」
俺たちは倒れている吉澤に水を飲まそうと考える。
しかし水飲み場と倒れている彼女との距離がありすぎる。

「口移しすっか。」
俺が発案した途端、梨華ちゃんと美貴ちゃんは水飲み場に一気に駆け出した。
俺もその後ろを追って走った。
秋の涼しげな風と柔らかい陽射しが気持ち良かった。
382 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/16(日) 00:02


        (中略)


もうこの世界に残っているのは、俺と梨華ちゃんと美貴ちゃんと、眠り続ける吉澤だけだった。
校舎は飴細工の様に溶け、泥と土の海となったグラウンドに吸収された。
そのグラウンドは地平線の向こうまで永遠に続き、建物は何一つ見当たらない。
ひび割れ歪んだ皮膚の様な地面には太陽の燃える赤がにじんでいた。

彼女に不要な物はもう全て消えた、この吉澤の夢の世界。
もう間もなく彼女は眠りから覚める。

梨華ちゃんと美貴ちゃんは睨み合いを続けていた。
誕生する最後のアダムとイブ。いや永遠のイブとイブ。
俺にはそれを確認する事は出来ないだろう。


      第三話

石川と結婚するのか吉澤の夢   おわり
383 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/10/17(月) 23:26


384 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:28
さゆえりれいなの歯医者さん


れいなはここの所ずっと歯痛で悩んでいました。
どうにか痛みを紛らわそうと、頬杖をついてばかり。
385 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:28

     '冖''"スL     、  、、    ̄ ̄" ア"′    ヘ、
     .. ゙l_,..ニ-ニ--、  |  、ヽゝ   _..r''I`ー-..    --ー〕‐''''
    :r''"―‐- 、 _ゝ   '|!___ ヽ、   '´  ゝ       ---|  ゞ
    丶 {-―‐'、   ..‐"厂 ^ェ ゝ   ー―┬―ー    {,..,.人    _.┘
       !----1    丿ヽノ  `       l---       `'冖''′
      1'   -   `∋oノノハヽ   |  |__
      ┘、         从*` ロ´/) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                  (   ヾ
               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
386 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:29
でも、結局ガマンできずに歯医者さんに行く事にしたのでした。
「すいません、歯が痛かですが…」
「電話で予約してください。」

れいなは病院の外に出て携帯電話をピ・ポ・パとダイアル。
387 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:29

                   ..      /         ............」............、
   ''^^"广 ̄´          ヽ、   /      、    {   | ,..‐''´
  j‐''''''''^T ̄ ̄ ゙̄l  ----ー‐' -ッー―''冖''''"′   ` 、、 '、  |
  │ ニ  |  ニ 、 ゝ    ノ   ヽ、、 ィ   、    .._  `'' 广 ̄ ̄" ′
  ′-...... ............-、    ./..---  丿  `ソ   、    `''‐ |  ヽ、丿
    1_,,|............│   /|   l、 /  '、......-)、     ..〔   ノゝ
    ..―‐卜---..ゝ   ’/" ̄´∋oノノハヽ  丶 ,,-‐'´  |  丿  丶、
      │     、        从*` ロ´)¶)   ´    ′      `‐、
       ゝ、......r‐''′        (    ソ
388 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:29
「もしもし。歯が痛かですが…」
「今だったら空いてるので、ご来院下さい。」

「何か、無駄が多い気がするばい。」

診察台で寝て待っていると先生と看護婦さんが来ました。
389 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:30

         _                 <⌒⌒>
       〆ノ_ )      _____  oノハヽo
       リd*^ー^)     /ノノハヽo∈/ヾ (・ 。.・*从
        ( つゝノつ    /(`ロ ´*从  / / ⊂ ⊂ )
        |__゚__|   / ノ⊃ ヽ  / /  /___ゝ
         | | |  / / < 丿∪ //   | | |
        (_)_)/   し ソ  //    (_(_)
           ┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄┃

ガーン
390 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:30
「どうしましたか。うへへへへ。」
「ハ、は、歯が痛かですが…」
「あっそ。」
「……見てよ!」
「じゃ、診察台に寝て下さい。」
「もう寝とるばい。」
「枕は合いますか?」
「別に泊まる訳じゃなかよ。」
「何だ、がっかり。」

「じゃ、よだれが飛び散らないように布をかけるの。」
391 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:31
                    .  .
         _        .  ∽ .ブーン  <⌒⌒>
       〆ノ_ )      _____  oノハヽo
       リd*^ー^)     // ̄ ̄`;o∈/ヾ (・ 。.・*从
        ( つゝノつ    /ノ____,/,从 / / ⊂ ⊂ )
        |__゚__|   / ノ⊃ ヽ  / /  /___ゝ
         | | |  / / < 丿∪ //   | | |
        (_)_)/   し ソ  //    (_(_)
           ┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄┃
392 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:31
死臭を嗅ぎ付けて蝿が集まってきた様です。
「いやん、虫怖〜い。」
「えりも怖〜い。」
「殺さんといて!」
「布かけるとこ、間違えちゃったの。」

今度はオッケー。
393 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:32
         _                 <⌒⌒>
       〆ノ_ )      _____  oノハヽo
       リd*^ー^)     /ノノハヽo∈/ヾ (・ 。.・*从
        ( つゝノつ    /(`ロ ´*从  / / ⊂ ⊂ )
        |__゚__|   // ̄ ̄ヽ  / /  /___ゝ
         | | |  / ノ_____ノ,//   | | |
        (_)_)/   し ソ  //    (_(_)
           ┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄┃

ガーン
394 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:33
「じゃ、口開いて下さい。アーン」
「自分で開くから鼻はつままんでよかよ。アーン」

さゆもつられてアーン。
「………ぷはぁっ!あー苦しい。口を開けたままだと息をするのが難しいの。えりもやってみて。」
「アーン………ぷはぁっ!ホントだ!凄い発見。」
しかし口を開いたまま余裕でいられるれいなは言いました。
「別に鼻で息すればよかよ。」
「お客さんはそんな鼻だから出来るんですよ。」
「余計なお世話ばい。」

さて、歯のチェックが始まりました。
395 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:35

      _          <⌒⌒>
    〆ノ_ )  ____oノハヽo
    リd*^ー^) /ノノハヽo (・ 。.・*从 アッ
     ( つゝノつ=○ロ ´*从⊂ ⊂ )
     |__゚__|// ̄ ̄ヽ //___ゝ


      _
    〆ノ_ )  __<⌒⌒>
    リd*^ー^) /ノノoノハヽo
     ( つゝノつ=○ロ(・ 。.・*从 サッ!
     |__゚__|// ̄ ⊂ ⊂ )
396 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:35
      _
    〆ノ_ )  __<⌒⌒>
  サッ! リd*^ー^)⊃=○ノハヽo
     ( つ ゝ ノ/(`ロ(・ 。.・*从
     |__゚__|// ̄⊂ ⊂ )


      _      <⌒⌒>
    〆ノ_ )  __ oノハヽo
    リd*^ー^)⊃=○ (・ 。.・*从 サッ!
     ( つ ゝ ノ/(`ロ ´と ⊂ )
     |__゚__|// ̄ ̄/___ゝ
397 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:36

      _       <⌒⌒>
    〆ノ_ )   __ oノハヽo
  サッ! リd*^ー^)  /ノノ(・ 。.・*从
     ( つゝハ /(`ロ ´と ⊂ )
     ○=cノ彡/ ̄ ̄/___ゝ
      | | | ノ__ノ ( ( (
     (_)_) し ソ /(_(_)
          ̄ ̄ ̄
398 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:36
            _
          〆ノ_ )   _____
     <⌒⌒> リd*^ー^)  /ノノハヽo∈/ヾ
    oノハヽo ( つゝハ /(`ロ ´*从  / /
  サッ! 从*・ 。.・)  ○=cノ // ̄ ̄ヽ / /
     ( ⊃ ⊃  | | | ノ____ノ//
     /___ゝ (_)_) し ソ //
    しヽ_)__)      ̄ ̄ ̄┃
399 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:37
「鏡に映ろうとせんでいいから!」

「じゃ、もう一度アーン。…あーこりゃ虫歯ですね。さゆ、型取りのガム持ってきて。」
「何をするばい。」
「歯の型取りするんです。抜いた後では型取り出来ませんから。それとも抜けたままの歯抜けでいますか?」
「歯抜けは嫌ばい。」
「じゃ型取りしましょう。」
「何で抜く前提で話しとる。」

「持ってきたの。」
「はい、じゃ噛んで下さい。」
400 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:38
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ

「あれ?痛くありませんか?」
「何ともなか。…ってこれ、銀紙ばい。」
「間違えました。これはガムを包んでる方でした。」
「その前に型取りのガムはそっちのガムと違う気がするばい。」
「そうでしたっけ。よく知ってますね。」

「今度はちゃんと持ってきたの。」
型取りのガムはピンクの粘土みたいなやつです。ひんやりしてて可愛いくてちょっと面白い。
「はい、じゃ噛んで下さい。」
「ちょ、待って。すでに噛んだ跡があるばい。」
「さゆみじゃないもん。」
401 名前:よく分かる現代病シリーズ 投稿日:2005/10/17(月) 23:38
その後……

  キュィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーン

      ガガガガガガガガガガガガガ

どうにか治療も終わりました。れいなは心なしかゲッソリ。
でも、まあ歯医者の患者はそういうものです。
看護婦さんは頑張ったれいなにご褒美をあげました。
「お大事に。はい、チョコレート。」
「いらんばい!!」



おわり
402 名前:よく分かる現代病シリーズ<ディレクターズカット> 投稿日:2005/10/17(月) 23:40
その後……

  キュィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーン

      ガガガガガガガガガガガガガ
403 名前:よく分かる現代病シリーズ<ディレクターズカット> 投稿日:2005/10/17(月) 23:41
                    .  .
         _        .  ∽ . ブーン  <⌒⌒>
       〆ノ_ )      _____  oノハヽo
       リd*^ー^)     // ̄ ̄`;o∈/ヾ (・ 。.・*从
        ( つゝノつ    /ノ____,/,从 / / ⊂ ⊂ )
        |__゚__|   / ノ⊃ ヽ  / /  /___ゝ
         | | |  / / < 丿∪ //   | | |
        (_)_)/   し ソ  //    (_(_)
           ┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄┃
404 名前:よく分かる現代病シリーズ<ディレクターズカット> 投稿日:2005/10/17(月) 23:42


虫歯をあなどるな!



おわり
405 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/26(水) 01:46

       第四話

極楽探検船 ボーボーブラブーラ
406 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/26(水) 01:48
ガキさんがパジャマパーティーをやるという。
例の如くボディガードとして俺は呼び出された。

ガキさんは金持ちらしく、50階建てのビルがそのまま家になっていた。
しかし自慢めいた感じを全くさせず、そんなガキさんを俺はますます好きになった。

よく磨かれた大理石の床が続く廊下を、ガキさんの部屋に向かって歩く。
「こないだのハイキング楽しかったねー。はっはー。」
「楽しかったですねー。はっはー。」

そう、楽しかったのだ。
バスでの行きはああだったが(第二話参照)、ハイキングコースに着いてからはそれはもう。
407 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/26(水) 01:49
「ねえねえ、今日はあいつ来る?だいだらぼっち。」
「誰ですか、それ?」
「ほら、こないだのヤンキー臭い田舎者の。」
「ああ、田中っち。」
「そいつそいつ。田中ひとりぼっち。」
「一応呼んでありますよ。」
「ちっ」

ガキさんの部屋は男の部屋みたくシンプルな感じ。ぬいぐるみとか無くって。
でも机の上の小物の類がやっぱり女の子してる。可愛い動物系で、決してジッポとかじゃないのだ。
それにカーペットやカーテンが変に色褪せてたり染まってたりしてないで清潔。
思わず裸でくるまりたくなる感じを出してるのが女の子の部屋ならではだ。

「うぇー、ちょっと何やってるんですかー!」
俺はカーペットに身を伏せて陰毛を捜す。
しかし秋冬に合わせたカーペットのシックな色使いに俺の目は惑わされ、結局見つける事は出来なかった。
408 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/26(水) 01:49
「昨日お掃除したから綺麗なはずですよー。」
明日はパーティーだからと張り切って掃除をしたなんて、とても可愛い。
俺なんて年に一回コロコロするだけだし、おまけに自分の陰毛べっちゃりだもんなー。
「はぁ…」
カーペットに涙が一しずくこぼれた。
「何で泣いてるんですかー。ほら笑って笑って。」
ガキさんは高らかに声を響かせながら部屋を出て行った。

チャンスだ!
俺はタンスを開け中に入っていた下着の匂いを嗅ぎつつ、
右目で携帯電話の履歴をチェックしながら左目で机の上に置かれていた手帳を読み漁るなんて事はしなかった。

大人しく待ってると、ガキさんと誰かが喋る声が扉の向こうから聞こえてきた。
ドアを開けて入ってきたのは……
409 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/26(水) 01:50
「ちっ」
「いきなり感じ悪かー。」
「まあまあ、田中っち。こないだお世話になったじゃないの。はい、コーラ持ってきたよ。」
「こいつにはトンコツ飲ませてりゃいいんだよ。」

なんて事を言ってると、亀井ちゃんとさゆみちゃんもやって来た。
最初にアレなのを済ましただけに、もう後は気分が昇りっぱなしなのであった。

「ところでパジャマパーティーって何やるの?」
人生で何度か耳にした事はあるがこれが一体どういったものなのか、俺は知らない。
「絶対面白いですよー。私も初めてやるんですけど。」
「えっ」
ガキさんの衝撃的な告白に俺とれいなは思わずユニゾンになってしまった。
「ちっ」

「何だ、ガキさん知らないんだ。」
ふいに亀井ちゃんが自信満々、顎出気味の表情で言った。何か急に憎たらしくなった。
「いつも、さゆとやってるもんねー。」
「ねー。」
れいなが少し痩せた様に見えた。
410 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/26(水) 01:51
「チクショー。さゆみちゃんまで亀井ちゃんに同調しやがってー。
 俺はガキさんの側につくぞ。」
「パーティーはお預けですか。このままではパジャマ戦争になりますよ?」
亀井ちゃんはノリがいいなー。

「よし!やってやるぞ!」
「れいなはどっちの仲間に入ればよかですか?」
「れいなは絵里たちの方!」
れいなの腕を強引に引き寄せる亀井ちゃん。れいなの血色が少し良くなった様に見えた。
「ええい、そんなヤツくれてやるわ!ガキさん、とりあえずパジャマ出してくれ!」
「うぇー。出してくれって、あたし自分のしか持ってないですよー。」
ふと気付けば亀井ちゃんもさゆみちゃんもれいなも自分のパジャマを見せあいっこしていた。

「見ます?あたしの。」
ガキさんは俺にパジャマを見せてくれた。それはボロボロですっかり着古されていた。
金持ちとはいえ生活に密着した部分ではこういう質素な一面が見えたりするものだが、
多くの人は虚栄を張って隠そうとする。しかしこの子にはそういうのがないのだ。
こんなガキさんを俺はますます好きになった。
411 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/26(水) 01:52
俺はパジャマの匂いを嗅いだ。
「あれ、これお母さんのだ。」
「オエー。」

……いや、待てよ。まだガキさんは17歳とか。
20歳台前半で産んだとしてお母さんは40前後と想定すると…………全然アリ。

俺はパジャマの匂いを凄い勢いで嗅いだ。
「あ、間違った。お婆ちゃんのだ。」
「さすがにオエー。」

「あたしのはこっちだった。」
ガキさんが広げたパジャマは恐竜の形をしていた。
イラストがプリントされてるとかそのレベルじゃない。
パジャマ全体が恐竜なのだ。俺の胸が高鳴る。
「こ、これは……ティラノサウルスか。いや、アロサウルス…あっ、ちょっと待ってくれ!
 背びれがある!ステゴサウルスかもしれない!でもこの鋭い牙の部分…あっ!これフードになってるのか。
 頭をココから出す仕組みになってるのかー。はぁはぁ。」
「いいでしょ。」
「いい!スゲエいいよ!!…ハッ。」
何か冷たい視線を感じる。
412 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/26(水) 02:00
「…ガキさんのパジャマって……」
亀井ちゃんだった。
「何じゃ、ニヤニヤしやがって。言いたい事があったら言ってみろ、この野郎!」
「何でもありませんよ〜。」
「くっそー。」

俺はとても悔しかった。
しかし当のガキさんは亀井ちゃんのニヤニヤなんて気にしてない様子。
更には俺に気を使ってくれるのであった。
「あ、お父さんのパジャマ借りてきますか?」
こんなガキさんを俺はますます好きになった。
「うん、お願い。」
「わっかりましたー。じゃ、お風呂入って着替えようか!」

お風呂!!!!!!!



続く
413 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/27(木) 11:36
今更ながらガキさん誕生日おめでとう
414 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/27(木) 23:08
「一番誰にする?」
これが揉めるんだ。
「みんなで入ればいいじゃん。」
亀井ちゃんのナイスアイディア飛び出たよ。
「れいなは風邪気味なので入らんばい。」
あっそ。
「そっかー、じゃ二人で待ってて。」
二人でね…ってあれ?

という事で俺はれいなと、ガキさんの部屋でみんなが風呂から出てくるのを待つ事になったった。
「チクショーてめー、風邪引いてるのかよ。伝染すんじゃねーぞ。」
俺はコーラもお菓子も全部自分の方に引き寄せた。
「あー、感じ悪かとですねー。」
「喋るなバカ。ウィルスが飛ぶ。」
換気をしようと窓を開ける俺。
「アッ!」
415 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/27(木) 23:08
そうだ、ここは50階建て高層ビルの結構上の階だったのだ。
立ちくらんだ、俺。に手、を差し伸べる福岡の女。彼女が、持つのはれいな、という名前。と豚鼻。
「一言余分ばい。」
「あー危なかった。」
少しだけ感謝をした俺はコーラもお菓子も全部れいなの方にぶちまけた。
「極端すぎるばい。」
散らばったお菓子を拾うその後姿は、まるで子猫の様に愛らしかったとかなんとかかんとか

「あーいい湯だった。」
ようやくガキさん達が戻ってきた。
部屋が石鹸の香りと湯煙のほのかな名残に包まれる。もちろんみんなパジャマ姿だ。
亀井ちゃんの赤いチェック模様という正統派な趣き。
さゆみちゃんのブリブリのピンクかと思いきやアクティブなジャージという意外性。
そして恐竜。みんないいと思う。可愛いから。
416 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/27(木) 23:09
「はいコレ。お父さんの使ってないパジャマ借りてきました。
 あ、部屋出てちょいちょいって行った所にお風呂場あるんで。」
おっと、みんなの目の前で俺が脱ごうとしたのがすっかり見透かされてる様な手早い忠言だぜ。
「じゃ、一風呂浴びてきます。」
立ち上がる俺。れいなも同じように。
「どこ行くの、田中っち。」
「いや、れいなも自慢の鬼パジャマに着替えようかなと。」
そう言って広げたのは鬼のイラストがプリントされた真っ赤なパジャマ。
よく見れば無数の小さな髑髏が鬼の回りを飛び交いその髑髏のぽっかり空いた眼窩からは蛇が這い出している。

「お前さー………いい趣味してるんだなっ!タコシェに日野日出志Tシャツ売れ残ってたから買いに行っとけよ!
 でも、今度出る楳図Tシャツはイマイチだな!先生がお元気なのは何よりだけどな!」
「よ、よく分からんばい。」
「そうか、じゃ今度猫目小僧でも貸してやるよ。」
417 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/27(木) 23:10
「その話は置いといて、田中っちは風邪でお風呂入れないんでしょ。ここで着替えればいいじゃん。」
「ぐえ」
今一瞬パジャマの鬼が鳴いたな。
「あー着替える着替える。着替えればよかでしょ。裸になればよかでございましょ。」
何故か興奮しているれいなはいそいそと服を脱ぎ始めた。
「うぇー、ちょっと早く出て行ってくださいよー。」
そして俺はガキさんにあっという間に部屋を追いやられた。別に見たくないのに。

風呂入って戻ってきたらみんなに何か一体感が出来てた。
女の子ってのはよく分からない生き物だ!恐竜以上に謎だ!


おわり
418 名前:逆向通り三番地 投稿日:2005/10/27(木) 23:11
「俺」に飽きたんで終わり
419 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/10/31(月) 21:28

420 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/10/31(月) 21:29
ここはガキさんの部屋。
この間の誕生日パーティーのにぎやかな余韻もすっかり剥がれ落ち、
今夜はガキさんのすすり泣く声とため息が響きます。

ホワちゃんの命日なのです。
ホワちゃんは白いハムスターでした。今ではすっかり腐って真っ黒け。
打っても打っても防腐剤が効きやしない。
ふわふわだった毛は堅くなって抜け落ち、むき出しの体は変色してぶよぶよ。
いい加減捨てなさい、もしくは燃やしなさいと何度も怒られた。
でも、お別れするのはつらいのだ。

「じゃ、里沙。行ってくるね。」
扉の向こうからお母さんの声。お母さんは夜のお仕事があるのでした。
421 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/10/31(月) 21:30
「今だっ!」
ガキさんは今さっきハァッと吐いたため息をヒュイーッと吸い込み、
ペタペタと撫で回してたホワちゃんを布にフンワリ包みこんだかと思うと、
バーンと立ち上がり自分の部屋をフワーッと出て扉をカチャリと閉め、
クルリンと身を翻すと廊下をヒタリヒタリと歩きはじめました。

廊下をしばらく歩くと三階への階段があります。


三階には何があるというのか?!
422 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/10/31(月) 21:30
お母さんの部屋があります。
ガキさんが小さい頃に何度か入った記憶がある部屋。
三階への階段を登りながら小さい頃の記憶を辿りますが、
入った事があるという事実以外何も思い出せない。

入っちゃダメよ、って言われた訳じゃないけれど、
近寄りがたい印象があって、大きくなってからは入ってない。
だから、ずっと気になっていたのです。
17歳になったのも関係してかしないでか、いよいよ好奇心にゴーサインが出たのでありました。


部屋の中には何があるというのか?!
423 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/10/31(月) 21:31
ここで続く
424 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/10/31(月) 21:33
次回予告

  |:::::::|:; ., . ;//|., ..ノ:::::::::::|
  |:::::::| // ;. ,.| ;./:::::::::::::|
  |:::::::| , : ; .; .:.∩| /:::::::::::::::|
  /::::::::|∩〃ハハソ.,ノ::::::::::::::::ノ_,ハ,_ヽヽ
  ~~~~ ̄ ̄ ̄ ̄~~~~~~~~Σ(・e・ ;lbil
    _________( つ⌒/⌒0
    |\ Ω\    \Ψ \⌒゙⌒
    |  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|`__)_)
    |  |                  |
    ゙\|_________|

何となく見ちゃいけない感じのする本に手を伸ばしてしまったガキさん!
そして嵐の中、恐怖が窓を叩く!
425 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/01(火) 18:45
ドキドキハァハァ
426 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/02(水) 01:32
お母さんの部屋の前に立ち、ドキドキハァハァを抑えるガキさん。
一度、うなずいてドアノブに手をかけます。
ドアノブカバーに手を滑らせて決心が少しゆらゆら。
もう一度、うなずいてドアノブに手をかけ、えいっとドアを引く、引き戸。

一瞬、部屋が光ってその全貌が目に焼きつきました。
でも、その後に雷の音が鳴ってビックリ、すぐに忘れました。

雨が降ってきた様です。

お母さん傘持って行ったかな……
427 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/02(水) 01:34
ブルブルと頭を振って部屋の探検に集中しなおすガキさん。
後ろ手に扉を閉め、真っ暗な部屋の中、壁のボタンを押しますが明かりが点きません。
さっきの雷で停電してしまったのでしょう。

しばらくその場に立ちんぼして、暗がりを睨みつけていたガキさんでしたが、
目が闇に慣れてくると、その暗がりに本棚がぼんやり浮かんでくるのが分かりました。

とりあえず本棚に向かって歩を進めると、部屋は本棚だらけ、本だらけな事に気付きました。
窓と入り口の扉以外は本棚しかない…と思った矢先!!
ガキさんは机に足をぶつけてうずくまりました。
428 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/02(水) 01:35
見ると、机の下にも本が積まれていました。
ガキさんは何となく一番上の本に手を伸ばしました。
下から取ると本の山が崩れる事が分かったからです。

分厚い皮製の表紙には外国語の文字が書かれていました。
「ダメだ、分かんない。」
本を除け、今度は二番目の本を手に取りました。
こちらは難しい漢字が書かれていました。
三番目の本も漢字、四番目は外国語、五番目も外国語……

こんな感じで、結局、積まれていた本の山はグシャグシャになってしまいました。
「うぇー!どうしよう…」

さあ、ガキさんはどうするのか?!
429 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/02(水) 01:36
続く
430 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/03(木) 10:34
ワクテカ
431 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/04(金) 01:20
「これでいいや。」
ちゃっちゃっと本を積み直したガキさんは、暗闇に慣れたその目で改めて部屋を見回しました。
そしてどの本棚にもいかにも難しそうな本が並んでいるのを見て、目まい。

その時、雨音の窓ガラスを叩く音が一際強くなりました。
まるでノックしている様な小気味いいリズム。
立ち上がったガキさんは窓に近づき、閉じられていたカーテンを勢いよく引きました。

雨粒で濁る窓、目を凝らして窓の外、そこにはただ暗闇が広がっています。
隣の家の灯りも見えません。
不思議…とガキさんは思いましたが、停電してるのだから本当は不思議でも何でもないのでした。
432 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/04(金) 01:21
突然、窓に大きな顔がへばりつきました。
顔の横から手が出てきて、さっき聞こえてきたのと同じ小気味いいリズムで窓を叩きます。
ガキさんはビックリしてカーテンを閉じました。
すると、今度はその向こうから声が聞こえてきます。
「ちょっとー、ガキさーん。入れてよー。」
「あれ?」

聞き覚えのある声。
カーテンを開くと窓の向こうにいたのは友達の小川麻琴でした。
「うぇー、まこっちゃん。何やってるの。ここ三階だよ。」
小川は震えながら言いました。
「寒いよー。寒いよー。」
10月11月の雨は12月の雨程ではなくても9月の雨よりは冷たいのです。
「とりあえず入りなよ。」
小川はガキさんの顔に向けて二、三度拝むと、ドタバタしながら部屋に入り込みました。
433 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/04(金) 01:22
レインコートに長靴。
ガキさんに足元を睨まれてる事に気付いた小川はすぐに長靴を脱いで胸に抱えました。
逆さまになった長靴から雨水が床にドボドボこぼれ落ちました。
「あっ」
「ちょ、まこっちゃん!!もう!」
水浸しになったカーペットを見て小川は言いました。
「あれ、ガキさん部屋の模様替えしたんだ。」
「違うの。ここお母さんの部屋。」
「えっ!!」

小川は自分が入ってきた窓から階下を見下ろしました。
「どこで間違えたんだろう…ガキさん……怖い。」
「怖いのはアタシの方でしょーが。もう、どうやって登ってきたの。」
「頑張ったよ。頑張りすぎちゃった。」
「ピンポン押してよ。」
「家族の人が寝てたら悪いから。」
「とりあえずアタシの部屋行こう。ここは後で拭いとくから。」
小川はまたガキさんに拝みました。
434 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/04(金) 01:23
手を引っ張られて歩き出した小川でしたが、
ガキさんが積んだ本の山につまづいてしまいました。本はグシャグシャ。
ガキさんは何も言わず、ただ腕組みをして小川を見ました。
すると小川はすぐに目をそらして本を積み直しはじめるのでした。

ガキさんの足元で黙々と本を積みながら小川は言いました。
「ガキさんのお母さんって手品好きなんだ。」
「ん?」
「だって、この本マジックって書いてあるよ。」

しゃがんで小川の持つ本を覗き込むガキさん。
さっき読めなかった文字を指差す小川。
MAGICと書かれたその表紙が小川の指にゆっくりとめくられていきます。
435 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/04(金) 01:24
続く
436 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/07(月) 00:29
表紙をめくると、いきなり写真と見紛うばかりのリアルな絵が、
暗闇に浮かぶように、二人の目に飛び込んできました。
そこにあったのは黒ずくめの女が奇妙な飾り物に囲まれ、地面に描かれた円の中で祈る姿、
それは手品という言葉から想起される軽妙なイメージとは程遠いものでした。

その時、部屋の明かりが点きました。
「あっ!」
ガキさんたち二人は明るみに現れた部屋を見て思わず声を上げてしまいました。
自分たちが座って本を見ているそのカーペットの上にも、絵に描かれているのと同じ円の模様があったのです。
そして、先ほどつまずいた机の上には奇妙な飾り物。

息が詰まる思いでページをめくろうとしたガキさんでしたが、その手を小川が止めました。
「何か悪い事してるみたい。部屋、内緒で入ってるの?」
ガキさんは何も答えませんでした。
437 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/07(月) 00:30
その時、一階からタイミング良く玄関の開く音が聞こえてきました。
「あっ!うぇ!お母さん帰ってきた!早く、まこっちゃん!部屋行こう!」
「挨拶しなきゃ。」
「いいから、早く!」

ガキさんは小川を強引に引っ張ってワーッと部屋を出ると、
ストトトトンと階段を下りて自分の部屋にピューッと駆け込みました。
ガキさんはとりあえずホッと一息。
そして扉の向こう、階段を登っていく足音を聞くのでした。
「あ。」
「うん。」
「うんじゃないよ!まこっちゃん!本!本!」
「あれ。持って来ちゃった。」

扉の向こう、階段を降りてくる音が聞こえます。
足音はガキさんの部屋に向かってきます。
そして、次に聞こえてきたのはお母さんのいつもと同じ優しい声でした。
「里沙、起きてる?ただいま。」「うぇ、おかえりー。か、帰ってくるの早かったね。」
「うん。雨、いきなりでビックリしたね。停電してたみたいだね。部屋、誰か来てるの?」
「あ、お邪魔してます。小川です。」
「そう。ゆっくりしてってね。」
438 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/07(月) 00:32
お母さんはそれ以上、何も聞きませんでした。
また、扉の向こう、階段を登っていく足音。

窓は閉めた覚えがあったりなかったりだけど、部屋のカーペットはあのまま。
本も崩れたまま。きっと廊下も階段も濡れてビショビショだろう。
それなのに、お母さんは何も聞かなかった。自分は何も言わなかった。
ガキさんは何か後ろめたい気分に包まれちゃうのでした。

そんな時に目に入ってきたのが小川の顔。ガキさんは思わず言っちゃいました。
「……もう、まこっちゃん帰ってよ。何しに来たの?」
「祝ってよ。誕生日祝ってよ。」
小川の誕生日がガキさんの誕生日のちょっと後にあったのです。
「メール送ったじゃん。」
「パーティーしてよ。」
「嫌だよ。そんなしょっちゅう出来ないよ。」
「やるのは自分の誕生パーティーばっかじゃん。私の時はメールばっか。」
「まこっちゃんが他の月に産まれてたらパーティーやってあげてたよ。」
「やってあげてたとか……バーカ!」
小川は走って部屋を出て行きました。
439 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/07(月) 00:33
窓から入ってきた小川がちゃんと玄関から帰って行くのか、
心配になったガキさんは、部屋の窓からその様子を伺いました。
玄関から音が聞こえ、水たまりを蹴飛ばしながら駆けていく小川の姿が見えました。

少し安心したガキさんでしたが、でも、すぐにさっきの後ろめたい気分がよみがえって来ました。
そして、それはたった今小川とのやり取りで獲得したもやもやした感じともあいまって、
ガキさんをよく分からない気持ちにさせちゃうのでした。
窓には雨粒、ずっと見ていると外の景色が霞んでいきました。

ガキさんは目をこすって部屋に向き直りました。
お母さんの本が放り出されています。

ガキさんは一度、天井の方を見て考え込む様な表情をしました。
その後、明かりを消し、本を抱えてベッドに潜り込みました。
ベッド、枕元の小さな明かりが点き、部屋にはページをめくる音だけが響くのでした。
440 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/07(月) 00:33
第一部 おわり
441 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/07(月) 00:34
第二部予告

ガキさん初めての夜更かし!
その時、絵里がにやけた。

「また新ユニット?」
何故、ソロではないのか?!

「美貴の目をそんな風に見ないで!」
「れいなの目をそんな風に見んといて!」

「宇部からお兄ちゃんが来てるの……」
さゆみんの暗い表情の訳とは?

そして墓場がざわめく。
442 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/07(月) 00:37
第二部はすぐには出てこないと思うので期待しないで待っててください
443 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/09(水) 01:25
ピピピと目覚まし、朝。
「!」
ガキさんビックリ、お母さんの本によだれがベットリ。
うつ伏せで寝るとこうなるのです。

昨夜は一晩中、辞書を引き引き本を読みました。
書いてあったのは人を呪い殺す方法やら悪魔を呼び出す方法やら…。
ページをめくる度にしかめっ面になったので顔の筋肉が疲れました。
歯磨きしいしい鏡に映った顔を見たならば、
それはもうむくんじゃって、クマもいつもよりもヒドイのでした。

「はぁ…。」
朝の食卓に行くのがちょっと怖い。
部屋をビショビショにして本を拝借。いずれも無断。更には本もビショビショ。
そして何よりも、そこで覗き見してしまったお母さんの秘密が呪いやら悪魔やら…。
444 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/09(水) 01:25
でも朝食を食べないと、仕事で元気が出ないのです。

ガキさんは勇気を出してリビングへ行きました。
嘘つく勇気じゃなくてお母さんごめんねの勇気です。

「あれ?」
食卓にはお婆ちゃんことババちゃんしかいませんでした。年寄り=早起き。
「ババちゃん、お母さんは?」
「里沙、おはよう。お父さんのお墓参りに行ったよ。」
「何でまた急に。」
「だって、最近物騒な事件が起きてるからね…。ほら、今もニュースやってる。」
テレビから流れるニュースはこんなんでした。

「相次いでいる墓荒らしの続報です。これまでに消えた死体は12。
 しかし、この数は増える模様です。頭部や手足のみ無いものも発見されています。
 近親者の墓が心配になり墓地に人が集まってきています…。」
445 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/09(水) 01:27
嫌なニュースにガキさんが思わずチャンネルを変えると、
おはスタにダブルユーが出ていました。
さっきのニュースと痩せた辻さん、
その二つの印象は不思議にもさほど変わるものではありませんでしたが少しはマシでした。

部屋に戻り仕事に出掛ける支度。
本をもう一度手に取ります。
気になるページに栞を挟んでおいたのです。

“呼び出した悪魔は貴女の言う事を何でも聞くだろう。契約さえ上手くいけばだが…。”
ガキさんは布にくるんだホワちゃんを見ました。
446 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/09(水) 01:28
悪魔でもホワちゃん復活は無理かなあ…
契約ってのはコネは効くのかなあ…

“悪魔を呼び出す儀式には動物の毛と目玉が必要である…。”

ガキさんはとりあえず眉毛を抜きました。
「いたたた……」
痛みをこらえるガキさんを見つめる視線……
447 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/09(水) 01:29
……それは、もう一匹のハムスター、ビビちゃんでした。
「あ!ごめんね。エサあげてなかったね。」
ビビちゃんは猛烈な勢いでエサを食べ始めました。
そのくりくりした可愛い目を見つめて黙り込むガキさん。
「…………あーダメダメダメ!ホワちゃんの為にビビちゃん犠牲にするなんて。ダメダメ!」
「里沙、何を一人で騒いでるの?もう出掛ける時間じゃないかい?」
ババちゃんの声。
ガキさんはまた黙り込みました。何かを思い出している様です。

「里沙、里沙や……
「里沙は可愛いねえ……
「お前みたいな孫がいてお婆ちゃんは幸せだよ……
「お前の為なら何だってしてあげれるよ……
「お前なら目が取れても痛くないよ……

「ビビがダメなら……」
ガキさんババちゃんは目に入れても痛くないって言ったんだよガキさん。
448 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/09(水) 01:30
続く
449 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/09(水) 01:37
>>444

「ババちゃん、お母さんは?」
「里沙、おはよう。お父さんのお墓参りに行ったよ。」
「何でまた急に。」

↑を↓で

「ババちゃん、お母さんは?」
「里沙、おはよう。お父さんのお墓参りに行ったよ。」
ガキさんのお父さんはちょっと前に亡くなっているのです。
「何でまた急に。」
450 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/10(木) 01:03
「何でれいなの目ばっか見とるとよ。」
ガキさんはハッと我に返りました。
「ごめん、ごめん。」
「謝らんでよか。もっと見るばい。」
れいなは懸命にガキさんの興味を引こうとしました。
「ガキさ〜ん。」
しかし、えりりんがやって来た途端にれいなは無口になるのでした。
そしてミキティがれいなにこう言いました。
「おい、飲むもん持ってこいよ。」

この様にいつも通りのヒャクマミでオル゙ァでピートゥーパーな楽屋でしたが、
さゆみんの様子がいつもと違う事にガキさんは気付きました。
「どうしたの?」「どうしたの?」
同時に声をかけたのは小川とガキさんでした。
シンクロしてしまった二人でしたが、
昨夜の事もあって、嫌な感じがしたので二人ともプイッてしました。
451 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/10(木) 01:05
さゆみんは暗い顔で話し始めました。
「宇部からお兄ちゃんが来てるの……」
さゆみんは写真を出して机の上に乗せました。
それを見たメンバーの誰もが驚きました。
「そっくり!」

「去年のさゆみなの。」
「お前かよ!」
ミキティには構わずにさゆみんは机に写真を並べていきます。
「これはおととし、これはその前、これはその前の前……」

「これが0歳のさゆみ。」
机の上には16枚の写真が並びました。
「段々、可愛くなくなっていってるの……だから今日のさゆみが一番可愛い。」
その頃にはガキさんと小川以外誰も話を聞いてませんでした。
「ねえ、重さん。お兄ちゃんの話はどうしたの?」
「あ、忘れてた。お兄ちゃんはこれ。」
さゆみんは0歳の自分の写真の横に別の写真を置きました。
452 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/10(木) 01:06
その写真に写る男性も、0歳のさゆみんと同じ様にベビーカーに乗っている様に見えました。
ガキさんも小川も思わず写真に目が釘付けになりました。
やがて、それはベビーカーではなく車椅子だという事に二人は気付きました。
「…ごめん。」
二人とも何となく謝って写真から目をそらしました。
「謝らないでいいの。もっと見て。」

さゆみんの口から赤裸々に語られるお兄ちゃんの過去とは?!
453 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/10(木) 01:06
続く!
454 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/11(金) 00:01
「さゆみが物心ついた頃にはもう車椅子だったからよく分からないんです…。」
「どっちが悪いんだよ。」
男好きのミキティが話に再び加わってきました。
「?」
「頭なのか、体なのかって事。」
「お兄ちゃんはさゆみの事を可愛い可愛いって言ってくれます。だから頭は大丈夫だと思うの。」
「筋肉が固まる奇病なら聞いた事あるんやよ。」
高橋さんが喋ると空気が固まるんやよ。

「大変なんだね…。」
みんな心配してくれたので、さゆみんの気持ちは少し上向きました。
モーニング娘。って本当にいいものですね。改めてガキさんは思うのでした。

その頃お兄ちゃんはテレビ局の前でさゆみんが仕事を終えて出てくるのを待っていました。
風の冷たいこの街では、車椅子の人はほったらかしです。だから危険の反対の安全なのでした。
しかし、怪しい影が忍び寄りあっという間にお兄ちゃんを車に乗せて連れ去ってしまうのでした。
455 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/11(金) 00:02
「ところで、今日の仕事は何だよ。」
「今日は新ユニットの話があるとか聞いたばい。」
「ユニットか…。」
その時、楽屋に一人の男が入ってきました。

「あっ」
「わいや、つんくや。プロデューサーつんくやでー。
 まあこれでも飲みいや。ひやしあめや。んまいでー。」
関西名物ひやしあめをみんなはゴクゴク飲みました。

数時間後………

「う、うーん。」
ズキズキする頭を押さえながらガキさんは目覚めました。
「いつの間に眠っちゃったんだろう…。」
ガキさんは自分が楽屋の床に寝転がっている事に気付きました。
456 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/11(金) 00:03
そこはさっきまでいた楽屋でしたが、景色だけが様変わりしていました。
自分以外誰もいなくなっていたのです!
と思ったら小川がガキさんのお尻の下に倒れていました。逆だったら大変でした。
「まこっちゃん、起きて。様子がおかしいんだよ。」
「う、うーん。」
無駄に色っぽい声を上げて起きた小川は、すぐに朝食を探し始めました。動物的本能でした。
ガキさんは手近にあったポッキーを、束にして小川の口に突っ込みました。
小川はホッと一息、動物から人間に戻りました。

「ガキさん…」
「まこっちゃん…」
「頭痛くない?」「頭痛くない?」
シンクロしてしまった二人でしたが、
昨夜の事もあって、嫌な感じがしたので二人ともプイッてしました。
でも、そんな場合じゃない事はすぐに分かりました。
「頭痛いし、みんなはどこに行ったんだろう!」
457 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/11(金) 00:03
続く
次回あたり最終回
458 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/13(日) 01:05
「寝起きはノドがかわく。」
ひやしあめを手に取る小川を見てガキさんは気付くのでした。
「それだ!それ、それ!」
「うん。これ、これ。」
「だー、まこっちゃん飲んじゃダメだって!」

ひやしあめ。消えたメンバー。つんく。
「怪しい…。まこっちゃん、行こう。つんくさんのレコーディングスタジオに!
 きっと、みんなはそこにいる!」

そしてここはそのレコーディングスタジオ。
その通りみんなはここにいました。次々に目覚めるメンバーたち。
見渡すとさっきまでいた楽屋じゃないので少し驚くのですが、
ちょっとするといつものスタジオのブース内という事に気付きます。
そしてブースの外にこれまたいつもと同じようにつんく。
つんくはメンバーが目覚めたのを見て、ブース内に声を響かせはじめました。
459 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/13(日) 01:07
「モーニング娘。のみんな、グッドモーニング。今日は新ユニット誕生の日やで。
 本当のミラクルが起きるんや。」

その頃ガキさんと小川はタクシーを飛ばしてスタジオに向かっていた!!

「今度のユニットはええで。今までも個性と個性がぶつかり合った素晴らしいユニットを沢山考えてきた俺やけど、
 お偉いさんから怒られてたんや。予算が足りないから上手い事やってくれってな。」

その頃ガキさんと小川がスタジオに着いた!!

「ほいで俺は考えたんや。お前ら一人一人の一番ええ所を結集させるんや。
 ほしたら予算一人分で済むやん。それってステキやん。」
つんくの言っている事がよく分からない。
それはメンバーにとって慣れっこでしたが、今日の感じはいつもよりもっとでした。
460 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/13(日) 01:09
その頃ガキさんと小川がスタジオに乗り込んだ!!
「臭い!」
スタジオにはいつもと違って何やら異臭が漂っていました。
「まこっちゃん、アレお願い!」
小川は鼻をヒクヒクさせて臭いの出所を探り始めました。
二人はどんどん暗い方に向かっていきます。
「ここだ!」

二人は見た事のない扉の前に行き着きました。
「入るの?ガキさん。」
「入るよ!まこっちゃん。」
扉は静かに開きました。中は真っ暗。
不快な臭いが体にまとわりつき、足取りも重くなります。
「ガキさん。入るの?」
「まこっちゃん。入るよ!」
そうは言うものの二人はなかなか一歩が踏み出せません。
「じゃ、せーので入ろう。せーのっ!」
ガキさんは合図と共に小川の背中を押しました。
小川は暗い室内に転がっていきました。
461 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/13(日) 01:09
続く
次回あたり最終回
462 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/13(日) 22:18
「ところで、道重。お前の兄ちゃん、将来的には俺の兄ちゃんにもなるかもしれん人やけど。
 まあ、見てくれや。お兄さん、来てください!」
「さゆみー。俺だよ、俺!つんくさんのおかげで動ける様になったぞー!」
さゆみんは勿論メンバーみんなビックリ。
ブースの外、全裸の男がぎくしゃく体を動かしながら手を振っているのです。
顔は確かにさゆみんのお兄ちゃんのそれでしたが、やけに無表情なのでとても不気味でした。
「さゆみー。喜べー。お兄ちゃん動けるぞー。つんくさんは凄い人だー。」

その頃ガキさんと小川はっ!
「まこっちゃん、みんないた?いないか。どっち。早く答えて。おい。」
ガキさんは返事を待ちきれず、自らも室内に足を踏み入れました。
そして、恐る恐る歩を進めた途端に小川の汗ばんだ背中にぶつかりました。
「ちょ、まこっちゃん。立ち止まって。何、うぇ。どうしたの。」
「……あたし、何か踏んづけてるみたい。」
「えっ。何を。」
「ちょっとうんこ的な感触だわ、これ。」
「エッ。」
ガキさんは少し眩暈を起こし、壁に手をつきました。
丁度そこにボタンがありました。明かりが点きます。
463 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/13(日) 22:18
小川の腰がいつぞや以来ひさびさに抜けました。
この女は腰が弱いのですが、こんな光景を見れば誰でもそうなるかもしれません。
いつだって過剰リアクションのガキさんの方はと言えば、息が詰まり言葉を失ってしまうのでした。

そこは窓が一つもなく、四方を清潔そうな白い壁に囲まれたとても広い部屋。
床一面に動物の死骸が転がっていました。
手足の無い犬や猫。そして頭をくり抜かれた猿。
そして小川の足元には潰れた脳みそがあったのです。
この間の香港で食べたイチゴの杏仁豆腐を思い出し、小川はオエッてなりました。

ガキさんは小川をほったらかして逃げようとしました。
そして、入ってきた時には気付かなかった扉の横の車椅子を蹴飛ばしてしまいます。
後ろ向きになっていた車椅子がその拍子にガキさんの方に向きました。
車椅子には犬の顔をした人が座っていました。と思ったら顔が取れました。
その人には首が無かったのです。首の代わりに犬の頭が乗っけてあったのです。ワン!
464 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/13(日) 22:19
「でや、凄いやろ。道重、嬉しくて飛び跳ねたくなるやろ。」
何故か汗だくになっているつんくがさゆみんに微笑みかけますが、
さゆみんからうさちゃんピースは飛び出しませんでした。
「何や、もっと喜べや。お兄ちゃん動ける様になったんやで。
 でもまあ、ちょっと違う感じ受けるかもしれんな。これ体だけはお兄ちゃんの体ちゃうねん。
 でも頭、つまり脳みそはお兄ちゃんやから。それってお兄ちゃんそのものやん。
 ……今回のユニットも同じ事やねん。お前ら、それぞれいい所もあるけど悪い所もあるやん。
 ほいで悪い所って目立つやん。見た目だったら目つき悪かったりしゃくれてたり笑顔が汚かったり顔がでかかったり。
 それ以外だったら歌が下手だったり空気読まれへんかったり…。他にも…」
つんくは長々と喋り続けました。
メンバーは狼のその手のスレを見ている気分になりました。

その時!
「待てー!」
「あっ!お前ら!」
やたら通る声がスタジオに響き渡ります。ガキさんでした。
あの気持ち悪い部屋からいつものレコーディングブースのあるこの部屋まで駆けてきたのです。
腰を抜かした小川を車椅子に乗っけて。
465 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/13(日) 22:19
「何しようとしてるんですか!つんくさん!いや寺田!」
「ユニットをつくるんや!お前らのいい所だけくっつけたユニットや!
 顔は道重でいくで。でも歌はあれやから声帯は高橋のを持ってくるんや。
 太ももは亀井やな。田中は膝小僧や。ほいでもって、ほいでもって……」
興奮するつんく。
「あたしとまこっちゃんはどうするつもりだったんだ!」
「……使わへんよ。だってお前ら二人って……雑魚やん。」

「!!……バーカ!バーカ!」
小川が車椅子に座ったまま叫びます。ガキさんも拳を握り締めてわなわな。
何で雑魚とか悲しくなるような事言うんだよという気分なのです。

「さあ、いよいよ手術やでー。お前ら出て来るんや!」
つんくの命令通り、ブースからメンバーが大人しく出てきました。
「やけに素直やんけ。あれ?」
ガキさんと小川含めて10人のモーニング娘。はあっという間につんくを取り囲みました。
こうなると、つんくは単なる関西弁のちっこいおっさんでした。
「あ、お前ら何するんや。アッー!」
いくらなんでも10人がかりにかなうわけがありません。
つんくは縛られて身動きがとれなくなりました。
「お前ら…全員揃ったらなかなかのものやん。」
466 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/13(日) 22:20
「今、警察呼んだよ。」
「ガキさん!ありがとう!」
みんなガキさんに感謝です。
「あたしも、あたしも。」
車椅子から小川が必死にアピールです。
「この車椅子……お兄ちゃんのだ。あっ!お兄ちゃん忘れてた!」
「普通そっち先だろ。」
ミキティはいつもの調子です。

さゆみんはさっき動いていたお兄ちゃんに駆け寄ります。
もうお兄ちゃんは倒れて動きませんでした。
「いやん臭い。あっ!」
お兄ちゃんの白い顔にどんどんブツブツが増えていきます。
死斑でした。お兄ちゃんは死んでいたのです。
首だけ別の体にすげ替えたからと言って体が動くはずがありません。
あのぎくしゃくした動き、それはつんくが後ろからお兄ちゃんを人形の様に動かしていたに過ぎなかったのでした。
467 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/13(日) 22:20
その後警察が来てつんくを逮捕していきました。
警察が言うには、ガキさんと小川が最初に入ったあの部屋には、
動物の死骸以外にも破損した人間の死体が複数あり、
さゆみんのお兄ちゃんの体の部分はその中の死体を針金細工の様につなぎ合わせて作られたもので、
小川のためにどかさせられた車椅子の首なし死体こそがお兄ちゃんの本当の体だという事です。
頻発していた墓荒らしの犯人も恐らくつんくなのでしょう。

仕事の多忙さからくる疲労と重圧で精神に異常をきたし、
体や脳みそを入れ替えるなどという事を思いついたのだろう。
そんなもっともらしい事が新聞に書かれる事でしょう。
プロデューサーはフランケンシュタイン?みたいな見出しで。
しかし、その内実はさて置き、つんく逮捕というニュース自体には、
世間は“やっぱり”という反応を見せるのではないのでしょうか。

事務所に帰ってきて一息ついたミキティがボソリと言いました。
「ってかさ……いい所だけ結集させてユニットを作るって言ってたけど……
 それってユニットじゃなくてソロだよな。」
468 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/13(日) 22:21
翌日…

先日あんな事もあったので今日はオフ。
女の子とは強いものです。メンバーみんな集まって笑いながら昨日を振り返っています。
でもガキさんだけはちょっと悲しい顔。ホワちゃんのお葬式をしようと決めていたのです。
決めたのは昨日の夜でした。最後にぶよぶよのホワちゃんを触って触って触りまくりました。

お葬式にはみんなが付き合ってくれました。
ホワちゃんを埋める時ガキさんは普段あまり見せない涙を見せました。

ホワちゃんのお墓

アイスの棒にはそう書かれています。アイスは小川が食べました。
お墓に向けて手を合わせガキさんは色々考えます。
生きている事の尊さとか、言葉にすると陳腐だし、
ガキさんの頭では言葉に出来ませんでしたがそんな感じの色々です。
祈りを終えてガキさんは小川に言いました。
「まこっちゃん、頑張ろうね。」
「ほえ?」
469 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/13(日) 22:21
ホワちゃんのお墓の隣にもアイスの棒が刺さっていました。

お兄ちゃんのお墓

「ハムスターレベルの兄妹愛かよ。」
ミキティがツッコミ終わるより早くさゆみんの祈りは済み、その後はやけにスッキリした表情でした。
「ねえ、重さん。この下、お兄ちゃん本当に埋まってるわけじゃないよね?」
小川の問いかけにさゆみんはニッコリ笑って答えます。
「一晩かかりました。」
「えっ?!」
「なーんて、嘘ですよん。」
「おいっ!」

誰からともなくこんな声があがりました。
「今日はみんなでもんじゃ食べに行こう!ガキさんみんなの分作って!そしておごって!」
「うぇー!!分かった!よーし、みんな行こう!!」
470 名前:夜宴のしたたり 投稿日:2005/11/13(日) 22:22
ガキさんが家に帰ってきたのはもう夜の十時過ぎでした。
「ただいま…。あっ。」
お母さんの靴。お母さんがお父さんのお墓参りから帰ってきてたのです。

ガキさんはすぐに自分の部屋に行きお母さんの本を手に取りました。
そして階段を駆け登りお母さんの部屋をノック、ノック。
すぐにいつもの優しいお母さんが部屋から出てきました。
「あら、里沙おかえり。」
「あの…お母さん。この本……勝手に持ち出したりして、ごめんなさい。」
ガキさんはもじもじしながら言いました。
お母さんの反応はガキさんの予想とは全く違いました。
それより何より、いつものお母さんじゃない気がしました。
「お母さんは知ってましたよ。安心したわ。里沙、アナタにも魔女の自覚が出てきたようね……。」
「えっ??」

お母さんの後ろの人影にガキさんは気付きました。
「あっ!!」
「里沙、お父さんにおかえりを言いなさい…。」
それはぎくしゃくした動きでガキさんに手を振りました。



おわり
471 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/14(月) 03:59
ハッピーエンドで良かったです。
472 名前:△さゆえりれいなの錬金術▽ 投稿日:2005/11/16(水) 00:31
れいなは来る日も来る日も錬金術の実験に明け暮れていた。
「もうじき完成するばい。」
「あっそ」
「金よりピンクの方が好きなの。」


△さゆえりれいなの錬金術▽


食後は運動するとお腹が痛くなる。
焼肉は一種の闘いであるからその後はなおさら体を休ませたい。
しかしホットプレートにこびりついた焦げは早く取っておきたいものなのだ。
「じゃあとはよろしく」
「これも金に変わるばい」



続く
473 名前:△さゆえりれいなの錬金術▽ 投稿日:2005/11/19(土) 22:10
(人生は)続く
474 名前:都会に眠る魔界シリーズ 投稿日:2005/11/19(土) 22:11
キツネ目の少女


コンクリートジャングル東京。
この冷たい街で人は息がすぐに切れてしまう。
「ここに来るとホッとするばい」
福岡出身の田舎者田中れいなは田舎者なので特に息切れが激しい。

そんな田舎者の彼女が安息できる唯一の場所。
それは人通りの少ない路地裏にひっそりとまつられているお社の中だった。
そのお社が何をまつっているのかれいなは知らない。
ただ決まって油揚げが何枚か供えてあり、
お社に忍び込む前にその油揚げを二、三枚いただくのがれいなの癖になっていた。
お社の中で油揚げを食べながらタバコを吸うのである。
「うまかー」

息を整えて仕事場に帰ってくると、いつもの様にヒャクマミでオル゙ァでピートゥーパーだった。
絵里に無視され藤本に脅された。れいなにはこんな時の二人の目が釣り上がって見えるのだった。
475 名前:都会に眠る魔界シリーズ 投稿日:2005/11/19(土) 22:12
ある日、お社に行くといつもと違い人だかりが出来ていた。
「何があったとですか」
「神主さんがお祓いしている。お社が何者かによって荒らされてたらしい。
 お供え物が盗まれたり中の壁が黄色く汚れてたり……」
お社に向かって手を合わせて祈っている年寄りの声がれいなの耳に聞こえてきた。
「おキツネ様の祟りがありませんように…南無南無……」

それかられいなはお社に忍び込むのをやめ、油揚げをお供えに行く様になった。
毎日毎日、それを繰り返した。

仕事場に帰ってくると、いつもの様にヒャクマミでオル゙ァでピートゥーパーだった。
絵里に無視され藤本に脅された。本人の性格が一番の原因である。


おわり
476 名前:(美勇伝の)リーダー石川梨華にミラクルが起きない話 投稿日:2005/11/21(月) 00:57
『私たちの人生は、私たちが費やした努力だけの価値がある』

                      モーリアック

地方営業を終えた石川梨華が自分の家に帰って来た時、時刻はすでに夜中の一時を回っていた。
宿に泊まるのを頑なに断り船で揺られての帰宅である。
冬の近づく海は恐ろしい程の静けさをたたえていた。漁師達の浅黒い肌が夜の闇の中でうごめいていた。

シャワーを浴び終えた梨華は予約録画してあった日曜洋画劇場を見ながら遅い夕食を取る。
血が出るシーンがないか、それだけのチェック。
しかし、録画ミスをしていたのだろう、テレビに映ったのは賑やかなバラエティ番組だった。
「すごーい!なんでですかー!」
梨華はテレビの画面にお土産で貰ったゴーヤを投げつけた。
ゴーヤは砕け散らずにそのままただボテッと床に落ちた。
477 名前:都会に眠る魔界シリーズ 投稿日:2005/11/26(土) 00:30
水虎


コンクリートジャングル東京。
この冷たい街で人は息がすぐに切れてしまう。
「ここに来るとホッとするばい」
福岡出身の田舎者田中れいなは田舎者で性格的にも難があるので特に息切れが激しい。

そんな田舎者で性格的にも難がある彼女が安息できる唯一の場所。
それは人通りの少ない路地裏から土の香りを辿りながら歩いた所にある川沿いの土手だった。
れいなは土手に伸びている草の葉っぱをちぎってくわえる。
口に広がる不思議な甘みをタバコの煙で包み空に輪っかを飛ばすのだ。
そして、溜まった唾液を川に向かって吐くのである。
「うまかー」

息を整えて仕事場に帰ってくると、いつもの様にヒャクマミでオル゙ァでピートゥーパーだった。
絵里に無視され藤本に脅された。れいなにはこんな時の二人のデコが光って見えるのだった。
478 名前:都会に眠る魔界シリーズ 投稿日:2005/11/26(土) 00:30
ある日、土手に行くといつもと違い人だかりが出来ていた。
「何があったとですか」
「子供が溺れ死んだ。潜水調査してる所だが水が濁ってて苦労してるようだ。」
川に向かって手を合わせて祈っている年寄りの声がれいなの耳に聞こえてきた。
「川のぬしに引きずり込まれたに違いない…南無南無……」
その時、れいなだけが川の水がぴしゃりとはねるのを見た。

川の水ははるばると流れ水道局の浄水場に辿り着く。
そして、そこに設置された様々なろ過装置を通り、
化学薬品による処理を施されて我々の元に運ばれてくる。
この塩素まみれの水道水が飲み水や風呂の水として使われるのだ。
だから絵里の痒みは止まらないし藤本の抜け毛は激しいのである。


おわり
479 名前:(美勇伝の)リーダー石川梨華にミラクルが起きない話 投稿日:2005/12/06(火) 23:38
『私たちの人生は、私たちが費やした努力だけの価値がある』

                      モーリアック

地方営業を終えた石川梨華が自分の家に帰って来た時、時刻はすでに夜中の一時を回っていた。
宿に泊まるのを頑なに断り船で揺られての帰宅である。
冬の近づく海は恐ろしい程の静けさをたたえていた。漁師達の浅黒い肌が夜の闇の中でうごめいていた。

シャワーを浴び終えた梨華は予約録画してあった日曜洋画劇場を見ながら遅い夕食を取る。
血が出るシーンがないか、それだけのチェック。
しかし、録画ミスをしていたのだろう、テレビに映ったのは賑やかなバラエティ番組だった。
「すごーい!なんでですかー!」
梨華はテレビの画面にお土産で貰ったジーマーミ豆腐を投げつけた。
ジーマーミ豆腐は砕け散ってそのままグチャグチャと床に落ちた。
480 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/06(火) 23:39
              (,⌒)
             (⌒)⌒)
             ( ) )
            ||____
           ./     \
           lIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIl
         /|三.三山山三三|\
        │ |:::::::::::|・||・|::::::::::::| │
  ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
        :;:;:;:;;;::;|| 新 垣 塾 ||;:;:;:;;;;:;
            || ̄ ̄|| ̄ ̄||
       ::::::::::::::||:: :: :: ||: : : :::||::.:.:.:.:.:.:.:
     :::::::::::::::::::::||:: : : 。||。: : :: ||::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
  : :: :: : ::: ::: ::.:: : ||.:: :: :: ||: : : : :||: : : : :: : : : :: : : :
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ドドドドーン
481 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/06(火) 23:39
今日も新垣塾は横浜の人跡未踏の奥地にドドーンとそびえ立っていた。
煙突から暖炉の煙がポワポワと。見てるだけで暖かくなってくるよね。
しかし……
482 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/06(火) 23:40
         ||__| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|_|_|.. |     |
         |_|_|  从从从   |__||  |     |
         |__||  .从.人从   |_|_|  |     |
         |_|_| /,//.,.ヽヾ\ ,|_|_|  |     |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      oノノ_,ハ,ヽσ
      从*・ 。.・)/
       (    /       ノノハヽヽ
       |  | |        (・e・ lb||
       (__)__)     ___(___)_ノノハヽo∈
               / 旦   旦 (´ゥ`o リ
             /___旦__/ ,,と ヽ
            /※※※※※※※ ,/,,ノ_ソ
            (_______,,/ノ

ガーン
483 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/06(火) 23:40
塾内部ではさゆみんが何故か険しい表情をしているぞ。
これじゃ、ウサギの耳の代わりに角を模して鬼ちゃんピースをやりそうな勢いだ。
484 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/06(火) 23:40
         ||__| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|_|_|.. |     |
         |_|_|  从从从   |__||  |     |
         |__||  .从.人从   |_|_|  |     |
         |_|_| /,//.,.ヽヾ\ ,|_|_|  |     |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      oノノ_,ハ,ヽσ
      从*・ 。.・)/
       (    /       ノノハヽヽ
       |  | |        (・e・ lb||
       (__)__)     ___(___)_ノノハヽo∈
               / 旦   旦 (´ゥ`o リ
             /___旦__/ ,,と ヽ
            /※※※※※※※ ,/,,ノ_ソ
            (_______,,/ノ

ガーン
485 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/06(火) 23:41
あっ!やらない!
って事はこの怒りは本物なのだろう!

「なに怒ってるの。」
塾長ガキさんが聞くとさゆみんはその表情を緩めずに答えるのだった。
「煙突から煙が凄いの!外の木が枯れちゃう!」
「あら、本当だ。でも暖炉消すと寒いよ。」
「でも、森が枯れると二酸化炭素が溢れて地球の温暖化が進行してしまいます!」
「フム。」
「そうすると、世界がすっごく暖かくなってしまう!」
「フムフム。」
「そうしたら環境破壊の元となる暖房を使わないで済むんです!」
「フムフムフム。」
「だからもうちょっと暖炉に火をくべましょう。」

という事で部屋はポカポカになったのだった。

しかし!
486 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/06(火) 23:42
         ||__| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|_|_|.. |从*・.。 ノノハハハo
         |_|_|  从从从   |__||  |  (   ( 从从从
         |__||  .从.人从   |_|_|  |  | | (    )
         |_|_| /,//.,.ヽヾ\ ,|_|_|  |  (_)_ | | |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .(_)__) ̄ ̄


                 ノ_,ハ,_ヽヽ
                  (・e・ ;lb||
                __( つ_つ__ノノハヽo∈
               / 旦   旦 (´ゥ`o リ
             /___旦__/ ,,と ヽ
            /※※※※※※※ ,/,,ノ_ソ
            (__,,/ノハヽヾ⌒,ヽ,,_/ノ
            ⊂(´ω`;*と ノ

ガーン           ↑
487 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/06(火) 23:43
「あのー熱いんですけど……」
乾燥肌のえりりんがコタツからぬぼっと顔を出して言った。
「そんな所に入り込んでるからでしょーが。猫じゃないんだから」
その時、何かを聞きつけて奥からあいつが出てきたぞ。AAはありませんが。
「なになになに?今呼んだっちゃろ?何して遊ぶと?トランプすると?
 何ならモノマネでも三点倒立でもみんなが喜んでくれるなら何でもするとよ」
「呼んでないから。もうみんな早く寝なさい。明日早いんだから。」

一体、明日に何があるというのか!!!!!!
488 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/06(火) 23:44
続く
489 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/07(水) 21:54
「支度できた〜?もうそろそろ出ないと新幹線に間に合わないよ。」
そう、今日はみんなで温泉宿へのぶらり旅なのだ。

さゆみん、れいな、見習い塾生の小春、それぞれのふるさとに名物の温泉があり、
何処に行くかかなり揉めたが、結局れいなのふるさとを訪ねることになった。

「かなりいい所ばい。」
出身地でしか自己アピールできない退屈な人、
なんかでは決してないれいなの必死のゴリ押しもあったが、
何より大親友のえりりんの真心こもったバックアップが決め手になった。
「愉快で陽気で楽しいれいなが生まれ育った所だから、きっと愉快で陽気デタノシイトコロダトオモウナ」

という事である。
490 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/07(水) 21:55
続く
491 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/08(木) 22:00

さて、新垣塾一行は……
492 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/08(木) 22:01

    ガーン

  | |::|::: ::::: ::|====== | おみやげ処 |======.|::
  | |::| .::::: ::::||⌒⌒⌒ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄⌒⌒⌒||:::
  | |::| .::::: ::::||____|    |    |____||:::
  | |::| .::::: ::::||    \\|  ,,ノ    |    \\||:::
  | |::| .::::: ::::||        |~~~   ~~~~      ||:::
  | |::| .::::: ::::||   \\ |.       |        ||:::
  | |::|   ./|| ___ |  oノハヽoσ ..\\||:::
| ̄ ̄| ̄ ̄|:::::||/〓 ‡ ‡/|  (・ 。.・*从/ 〃ノハヾ|__
|    |    |:::::||| ̄ ̄ ̄| .|   ⊂    / (^ー^*bリ
|__∋oノノハヽ__〃ノ_,ノハ.l    ,| | |  ⊂ ⊂ )|__
 ̄ ̄ ̄ リ o´ゥ`) idl ・e・リ ̄ .(__)__) ̄( ( ( ̄ ̄ ̄
     (   ,つと   )         (__(_)
ハヽ    | | |   | | |
ロ´)   (_)_)  (_)_)
493 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/08(木) 22:01
「早く早く〜。」
「あ〜ん、何買ったらいいか迷うの。」
「ちょっと、ちょっと!まだここ東京だよ!」

……まだ出発してなかった!
494 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/08(木) 22:02
続く
495 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/09(金) 21:22
さて、新垣塾一行は、まだノソノソと、
お茶やらコーラやらミカンやらカリカリ梅やら酢コンブやらチョコレートやらを買い漁っていたatキヨスク。

プルルルルルルルルルルルル………
¶<この列車は○○行き、まもなく発車いたします。ご乗車の方はお急ぎください

「あぁっイッちゃうよぉっ…」
小春の一言一言がいちいち初々しかった。
「…駅弁まだなのにぃっ!」
そして、えりりんだけが小春の言葉に過敏に反応していた。
チョコボール向井の日に焼けた体が頭の中をぐるぐると回っていた。
「早くみんな乗るよ!カメもにやけてないで!」

新幹線はもちろんグリーン車、禁煙席。地球に優しい座席にさゆみんも安心。
あっ!座席に座った途端れいなの手が震えだした!
496 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/09(金) 21:24
続く
497 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/10(土) 22:25
「れいなは乗り物に弱いとですよ。うっぷっぷ。」
「早いなー!まだ発車してないよ!」
「ほら、これ食べて!」
えりりんがカリカリ梅を酢コンブにくるんでれいなに食べさせた。
酸っぱい食べ物は酔い止めに効くのだ。マジで。
しかも梅に酢コンブならダブルパンチだ!
「まずっ!」
「じゃ、これ!」
えりりんはお茶にミカンを皮ごと絞り、チョコをまぶしてコーラで割った。
カテキンにビタミンCに糖分ならもう完璧だ!
「物凄い色になったばい」
「飲んで!」

ゴクリ

プルルルルルルルルルルルル………
498 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/10(土) 22:25
「あっ発車する!」
「今鳴ったのはれいなのお腹ばい。あふ…」

グルルルルキュルルルグルルルピー

「お腹までも痛くなってきたとよ」
「どうしたんだろ?」
えりりんは首を傾げながら、れいなに飲ませたお茶を窓から捨てようとした。
しかし、新幹線の窓は開かないのだ!
「あっ、あれ?」
焦るえりりん!
怒ると怖いガキさんの目が光る!
499 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/10(土) 22:25
続く
500 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/11(日) 20:55
「ちょっと、これ開きませんよー!」
ああ、親切で気配り上手なガキさん!
大声を上げて通りがかった乗務員を呼び止めるのであった。

しばらくの間、乗務員とガキさんは押し問答。
互いに引くに引けない主張があるのだ。
しかし最後には両者とも笑顔で握手を交わすのだった!
さすが塾長、さすがガキさん!

「何か開けるとワーッてなるから開かないんだって。」
やった!ガキさんがまた一つ賢くなったぞ!

「もういいんですよ…」
えりりんは言った。
その傍らでれいなが口の端からお茶をたらしまくりながら意識を失った様に眠りこけていた。

そして、新幹線はゆっくりと加速していく……。
新垣塾の旅は始まったばかりなのだ!
501 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2005/12/11(日) 20:56
一時中断
502 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 05:45
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
503 名前:さゆえりれいなの不動産屋さん 投稿日:2005/12/14(水) 23:51
春から新生活をスタートさせるアナタヘ送る……


★☆★さゆえりれいなの不動産屋さん★☆★


れいなは心に決めた。
「こんな街には住んでられん」
という事で不動産屋さんへ向かったのであった。
504 名前:さゆえりれいなの不動産屋さん 投稿日:2005/12/14(水) 23:52
   | ___ ____ |
   | |ロ 口|| 口 ||
 ∋oノノハヽ||ロロ...||
   从从 `)  ̄ ̄..|
   (   )  ̄ ̄|.|


   | ___ ____ |
   | |ロ 口|| 口 ||
 ∋oノノハヽ||ロロ...||ノハヾ
  从从;`ロ). ̄ ̄..|^ー^)
   (   )  ̄ ̄|.と )

 ガーン
505 名前:さゆえりれいなの不動産屋さん 投稿日:2005/12/14(水) 23:52
「だ、誰?」
「亀井不動産の者ですよ?」
「丁度よかったばい。いい部屋はなかとですか。」
「お泊りですか?」
「住むんだから泊まるに決まっとる」
「物件は沢山ありますが……動物はちょっと。」
「あ、よく言われるっちゃね〜。猫に似とるって。でも違うっちゃよ〜。アハハ〜」
「豚は臭いんで苦情が出るんです。」
「誰が豚じゃ」

という事で、とりあえずマンションを紹介してもらう事になったのであった。

「ここが玄関です」
506 名前:さゆえりれいなの不動産屋さん 投稿日:2005/12/14(水) 23:53
 \____/
   |      |
   |      |
  ノハヽヾノハヽ∩
 (^ー^*bリ ロ´) ノ
  と   )  つ

ガーン
507 名前:さゆえりれいなの不動産屋さん 投稿日:2005/12/14(水) 23:53
「せ、狭すぎやなかろか」
「狭い方が気持ちいいですよ?」
「意味が分からん」

そして、二人は部屋をチェックして回るのだった。
「耐震性はどうなっとる?最近いろいろ問題になっとるっちゃろ。」
「大丈夫です。見てて下さい。」
508 名前:さゆえりれいなの不動産屋さん 投稿日:2005/12/14(水) 23:54
∋oノノハヽ ノハヽヽ
  从从 `) ー^*bリ
  (    と    )


∋oノノハヽ ノハヽヾ  ユサユサ
 ,, 从从 `ロ) ー^*bリ ,,
  ,, (    と    ) ,,
509 名前:さゆえりれいなの不動産屋さん 投稿日:2005/12/14(水) 23:54
「ね?」
「意味が分からん」

「どうです?こんないい部屋他じゃ見つかりませんよ?」
「ん〜。まあ全体的に悪くはなかね……」

ピンポーン

「あ、来ました」
インターフォンに写ったのは…
510 名前:さゆえりれいなの不動産屋さん 投稿日:2005/12/14(水) 23:54
oノハヽo
从*・ 。.・)

ガーン
511 名前:さゆえりれいなの不動産屋さん 投稿日:2005/12/14(水) 23:55
「遅れてごめ〜ん」
「遅いよ〜」
「だ、誰?」
「友達のさゆです。私たち…」
「…春から一緒にこの部屋で住もうと思ってるの」
「勝手にやっとって!」


おわり
512 名前:さゆえりれいなの不動産屋さん<ディレクターズカット> 投稿日:2005/12/14(水) 23:57
「どうです?こんないい部屋他じゃ見つかりませんよ?」
「ん〜。まあ全体的に悪くはなかね……」

ピンポーン

「あ、来ました」
インターフォンに写ったのは…

oノハヽo
从*・ 。.・)

ガーン
513 名前:さゆえりれいなの不動産屋さん<ディレクターズカット> 投稿日:2005/12/14(水) 23:57
「遅れてごめ〜ん」
「遅いよ〜」
「だ、誰?」
「友達のさゆです。私たち…」
「…春から一緒にこの部屋で住もうと思ってるの」
「でも三人は無理っちゃろ〜。でも考えてみてもよかよ〜。アハハ〜」

数ヵ月後…
514 名前:さゆえりれいなの不動産屋さん<ディレクターズカット> 投稿日:2005/12/14(水) 23:58

 〆ノノノヽ    .   . ブーン
 リd*^ー^)   . ∽ .   ノハハヽo
  (   )   ノノハヽo∈ (。.・*从从
  | | | ⊂从从 と⌒ と   )
  (_)__)         (_,,っっ
515 名前:さゆえりれいなの不動産屋さん<ディレクターズカット> 投稿日:2005/12/14(水) 23:58


育てられないなら飼うな!




おわり
516 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/25(日) 03:12
もっともっと
517 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2006/01/03(火) 01:39
小春は驚いたという。
中澤のかかとは鏡餅のように堅かった。
飯田の存在感はなますのようだった。
保田の毛穴は数の子のようだった。
さすがモーニング娘。の歴代リーダー、サブリーダー達である。
ところでダンボールの中のカビたみかんは早く取り除いた方がいい。
あけましておめでとうございます
518 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 00:52

519 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 00:54
>>480-500

ここまでのあらすじ

塾長のガキさん、塾生のえりりん、さゆみん、見習いの小春と可愛い子揃いの新垣塾一行は、
れいなという田舎者に連れられて極寒と大雪に見舞われた横浜を抜け出ることに成功した!
新幹線に乗り込んだ一行が向かうは福岡!
しかし、れいなが乗り物に酔ったとのたうち回る。
えりりんはお茶を飲ませて落ち着かせようとするが、お茶を飲んだ途端にれいなは腹を壊す。
お茶には何が入っていたのか!
その頃ガキさんは窓を開けるためにJRと一世一代の大勝負に出ていた!
520 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 00:56
「何か開けるとワーッてなるから開かないんだって。」
「もうガマンできん」
えりりんはれいなが立ち上がりトイレに駆け出すと同時に、お茶をその座席にこぼした。

「あらあら。もう漏らしてるじゃないの。」
ガキさんは気が利く子なので、それをばっちり拭き取ろうとしたが、
おっとうっかりハンカチを持ってくるのを忘れていた事に気付くのだった。
しかし、そんな事が塾生にバレてしまったら塾長の威厳が損なわれる。

「……さゆ、拭いといて。」
「嫌。ハンカチが汚れちゃうの。小春、拭いて。」
「そのままでいいですよ」

みんなハッとした。
車内は暖房がきいてる!だから渇きやすい!
見習い小春は明らかに成長している!
ガキさんは嬉しい気持ちでいっぱいになるのだった。
521 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 00:57
そして、新幹線はゆっくりと加速していく……。
新垣塾の旅は始まったばかりなのだ!

さて、ここで座席を見ておこう。シートは二人がけである。

|           |
|亀豆     爺|
|           |
|重春   男男|
|           |

もちろん、みんな座席を回転させて向かいあって座っている。
分かりやすくするとこうである。(矢印は向いている方向)

|            |
|亀豆↓↓  爺|
|            |
|重春↑↑男男|
|            |
522 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 00:57
「スッキリしてきたとよ。」
れいなが戻ってきやがった。

|            |
|亀豆↓↓田爺|
|            |
|重春↑↑男男|
|            |

「出たの?」
これがガキさんの親心。
「出たばい。」
「どっち?」
これがえりりんの好奇心。
「乙女はそんな事まで言わん。」
「さゆみは今朝大きめのが出たの。」
これがさゆみんの負けず嫌いの乙女心。
523 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 01:00
「?…座席が心なしか冷たいばい。」

そんな事を言い終わるか終わらない内に……

|            |
|亀豆↓↑田爺|
|            |
|重春↑↑男男|
|            |

「は、話しにくかー」
回転する座席!
一体れいなの座る座席に何が起きたのか!
524 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 01:00


|      ↓孫婆|
|            |
|亀豆↓↑田爺|
|            |
|重春↑↑男男|
|            |

なるほど。
525 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 01:01
続く
526 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 01:09
|            |
|亀豆↓↓男男|
|            |
|重春↑↓田爺|
|            |
|      ↑婆孫|


あーこっちで書けばよかったわ
527 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 23:30
しかも回転するからこうか

|            |
|亀豆↓↑爺田|
|            |
|重春↑↑男男|
|            |
528 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 23:31
まあとにかく、れいなはガキさんたちと話しにくい体勢になったのである。
しかしどうにか会話に入ろうと必死こくれいななのであった。
「何すると?モノマネ?三点倒立?」
「もう、いいから。あっち見たりこっち見たりしないで。
 また酔うとあれだから、大人しく寝てなさい。」
結局ガキさんにこう言われて、れいなはその目を閉じるのだった。
529 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 23:39


_ _ _ _ _____________________________________


「さよなら田中っち!」
塾長の声が空から響いた。
体中が痛い。サンタの赤い服が血の赤でもっと赤く染まっていく……
「どうしてこんな事になってしまったとよ……」

れいなは夢を見ていた。
夢だから自分が登場しても視点は第三者からの視点のようだ。
じゃこの際なので夢を覗いてみよう。
530 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 23:41
キリスト 降誕日 聖夜祭 クリスマスが始まったのだ


☆★☆新垣塾のクリスマスギフトフォーユー☆★☆


そして、新垣塾は飾り付けに大忙しなのであった。
ガキ「コレ何だっけ?」
えり「ツリーですよ」
ガキ「じゃなくて。ヤシじゃなくて松じゃなくて。」
さゆ「ねえ〜飽きた。」
えり「えりも。」
そして二人はいちゃつくのであった。
ガキ「あー思い出した。モミモミモミ。」
さゆorえり「はぁぁん」
その頃れいなは外で雪かきをしていた。

やがて、暖房で乾燥。えりが泡を吹いて倒れてしまった。

みんな「あっ。凄いじんましん。」
531 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 23:42
雪かきから戻ってきたれいなは寒さで顔が引きつっていた。
だから、そっと浮かんだ微笑みを気付かれなかった。

ガキ「どうしよう。」
さゆ「さゆみが看病します。ワクワク。」
この高揚感は看護婦に憧れているさゆみんらしい。

ガキとれいな「じゃ、行って来ます。」


トナカイ 煙突 靴下 プレゼントを配るのだ


ほら、夜の街はにぎやか。
トナカイから見下ろす夜景はまるで星が散りばめられた空を見上げるみたい。
だけどあっちのビルにもこっちのビルにも煙突なんて見当たらない。そのくせ、煙たい。
れいな「困ったばい」
ガキさん「はぁはぁ」
ビルで興奮するのは塾長くらいだ。
という事で、とりあえずれいながトナカイから降りて地上に行く事にした。
532 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 23:42
れいなはびっくりした。空で感じるよりもっと煙たい。
こいつは田舎者だが、故郷の空気と全然違う事にもびっくりした。
交差点を行き交う車の量にもびっくりした。
そして、びっくりしてる間にれいなは車にはね飛ばされてしまった。
倒れたれいなの横や上を街の人は知らん顔で通り過ぎていく。
サンタの赤い服が血でもっと赤くなった。れいなの趣味に合う感じになった。

ガキさん「さよなら田中っち!」

森が枯れた。熱っちい地球は冷めなかった。
やがて世界中の氷が溶けた。ビルが沈んだ。
さゆみんはえりを看病し続ける。
533 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 23:43


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「う…うーん。」
夢なのでオチらしいオチはないのだ。

そしてれいなの脳内に映し出される風景は次々に変わっていくのだった。
534 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/08(日) 23:44
続く
535 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/09(月) 22:54
でも、れいなを覗くのはもういいだろう。

その頃ガキさんたちはといえば、回文をして遊んでいた。
そんな事して楽しいのかよという疑問をお持ちの方もいるだろう。
しかし遊ぶ内容などは重要ではないのだ。相手が誰かによって、過ごした時間の充実度は変わるのだ。
「楽しい!」
小春は特に楽しそうなのだった。良かったね。

「アー…むにゃむにゃ」
遊び終えて一息。
頭を使うと人一倍眠くなる体質のガキさんはあくびをしてゆっくり目を閉じた。
536 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/09(月) 22:55


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537 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/09(月) 22:55



538 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/09(月) 22:55


539 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/09(月) 22:56



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ガキさんはあまり夢を見ないタイプのようで、覗いてみても脳内からっぽなのだった。
540 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/09(月) 22:56
続く
541 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/10(火) 21:58
「あー…ちょっと眠っちゃったみたい。あっ!どうしたの?!」
さゆみんが耳を抑えてうずくまっていた!
「耳が!耳が!聞こえない!」
うさぎちゃんのお耳に何が起きたのか!
更にはそのお目目に映る車内に影が差し暗くなっていく!
「目が!目が!助けて!」
「トンネル入っただけでしょーが。」
542 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/10(火) 21:59
続く
543 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/11(水) 21:51
「助けて!」
「まーだやってる。」
「新垣さん!助けて!」
「ほら、お茶。」
「もっと聞こえなくなった!」
「耳の中入れてどうするの!飲まなきゃ。」
「でも、お砂糖入ってないもん。」
「苦いの嫌ならツバ飲みなさい。ゴクンって」
「ツバなんておいしくないもん。」
「わがまま言わないの。ああ、売り子さんが来た。」
「釜めし下さい。」
「お腹空いたねえ。そういえば。」
「新垣さんは何にします?」
「同じのでいいよ。」
「じゃさゆみは違うのを食べます。」
「何でよ。あれ、小春とカメは?」
「トイレ行ったみたいです。」
「二人は何食べるかちょっと聞いてくるね。」
「助けて!一人にしないで!」
うさぎは寂しいと死んでしまうのです。
544 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/11(水) 21:51
続く
545 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/12(木) 23:09
ガキさんはトイレに向かってゆっくりと歩を進めていた。
揺れる新幹線では走ると転ぶ事を知っているからである。
そして、その心中は不安でいっぱいだった。
皆さんはご存知か。新幹線のトイレは狭いという事を。
ガキさんは今まで何度、隙間に入り込んだえりりんにガーンとさせられた事だろう。

一体トイレでえりりんと小春に何が起きているのか。
そして、さゆみんの命は。
ガキさんの眉毛は。
れいなの豚鼻は。

そして、新幹線はどんどん加速していく……。
新垣塾の旅はこれからなのだ!
546 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/12(木) 23:10
ちょっと中断
547 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/15(日) 22:45
ガキさんは幾つか並んだトイレ個室の閉じられたドアーに恐る恐る声をかける。
「カメ、カメ」
しかし返事はない。
思い切ってガキさんは手前のドアを開けた。
548 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/15(日) 22:46
:::::::::::::::::‖
:::::::::::::::::‖
:::::::::::::::::‖



::::::::‖ノハヽ
::::::::‖・e・リ
:::::::::|と  )

    ガラガラ



::::::::‖ノハヽ
::::::::‖=e=リ
:::::::::|と  )

    モアーン
549 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/15(日) 22:46
むせ返るような空気が一面に漂う。中には誰もいなかった。
しかし、洋式便器の中にはこんもりと誰かの名残が残っているではないか!
「うぉっ」
一瞬ひるんだガキさんだったが、すぐに平静を取り戻した。
「あらあら。流れてないじゃないの。」
新垣塾ではこんな事日常茶飯事なのである。

「?!」
ガキさんの表情が一変した。
流すレバーが見つからないのだ。
その時!
550 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/15(日) 22:46
::::::::‖ー^)
::::〃ノ_,ノハ
::::llcl; ・e・)て
::::::( つ つ

    ガーン
551 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/15(日) 22:47
「ガキさんくさーい。」
いつの間にかえりりんが後ろに立っていた。
ただただにやつきながら鼻をつまんでガキさんを見つめる。そしてもう一度。
「くさーい」
「ちょっと、ちょっと。待ちなさい。」
更に!
552 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/15(日) 22:47
::::::::‖ー^) 。.・) ゥ`)
::::〃ノ_,ノハと と  )
::::llcl; ・e・)て
::::::( つ つ

    ガーン
553 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/15(日) 22:48
「ショック……」
寂しさに耐え切れずガキさんの後ろを追いかけてきたさゆみんも、
来てみればこうだから驚きを隠せない様子だ。
「……さゆみのより大きい。」

「ちょっと、違うってば。よく見て、ほら。」
言われたとおりに、こんもりを覗き込むえりりん。
「でもこれ、豆入りだし」
「よく見なさい、豆じゃなくてとうもろこしでしょうが。」
「あー、これとうもろこしなんですか。」
やっぱりえりりんは目が悪くガキさんは目が良い。

「とりあえず、流しましょ。」
そう言って小春は何やら便器のあたりで手をかざした。
すると、どうだろう!
ゴゴゴゴと音を立てて便器の中の水が溢れ出し、
とうもろこし入りのこんもりを洗い流していくではないか!
これがミラクルか!
ガキさんは恐れおののくばかりなのであったのだったった。
554 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/15(日) 22:49
そこに眠りから覚めたれいなが来た。
ガキさんは小春に驚きっぱなしでそれに気付かなかったし、
他のみんなも特に喋りかける必要性を感じなかったのでさっさと座席に戻っていった。

残されたれいなは個室の中、ぽつんと一人ごちた。
「寝起きはたくさん出るっちゃよ。」
そして、事を済ますと小春と同じように手をかざして便器に水を溢れさせた。
最近の公衆トイレは赤外線センサーで水が流れる仕組みになっているだけなのだった。
つくづく白ける事をする女だ!
555 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/15(日) 22:50
さて、座席に戻ったガキさんたちは。
「うまい!」
駅弁をモグモグ食べていた。
出したら食う!といった調子でえりりんも小春もモグモグ。
ガキさんも、えりりんが小春に何か吹き込んだのではないのかと心配だったが、
何のことはない、ただのおトイレだったと分かってスッキリモグモグ。

そして、さゆみんも。
彼女の食べっぷりは特に凄かった。
「負けないの。モグモグ。」
さゆみんは夢見るうさぎちゃんなのであった。
もっと大きいこんもりを。いつかきっと。
さゆみんならきっと!出来るよね!
556 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/15(日) 22:50
続く
557 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/19(木) 23:19
その頃れいなは引き続きトイレの中で、間もなく着く故郷に思いを馳せていた。
夜通し語り合った友達、隣町まで一緒に冒険した友達、ケンカした後の仲直りが照れくさかった友達。
連絡もなしで帰ってきたから、みんなの出迎えはないだろうと思うと、ちょっと寂しかった。
でも今は新垣塾のみんながいるから平気。れいなは一発屁をこいた。
「駅前のとんこつ屋でラーメン食うばい。」

しかし、そんな計画はもろくも崩れ去る事になるのだった。
「どうなっとる。」
トイレから出て、ふと見た窓の外は一面雪景色だった。
それは見覚えのない景色だった。
558 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/19(木) 23:20
¶<間もなく新潟〜新潟〜

なんと上りと下りを間違えて乗っていたのだった!



「れいなのバカ!」
「バカのれいな!」
さっそく座席に戻りその事を言うとメッタメタに責めたてられるのだった。
「まあまあ、いいじゃないの。」
ガキさんは慈悲深い人なのでれいなをかばったが内心は物凄く残念に思っていた。
窓の外に広がる雪景色を見ると、
旅行カバンに入れてきたアロハシャツはとても着れそうになかったのだ。
「新潟ってとこは寒そうだね…。」(ここで、福岡でもアロハは着れないよというツッコミが読者の方から入る)

その時、黙りこくっていた小春が車窓に向かっていきなり!
559 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/19(木) 23:21
     | //             |
     |                  |
    〃ノハヾ        oノハ ノノハハハo
    リ; ・e・ リ        从*・.。( 从从从
  ∋oノノハヽ.)ニニニニニニニニニ( ノノハヽヾ
  //リ ∩´ゥ)∩            (^ー^*;bリヽ
//  ( ノ   ヽ'________ ⊂  ⊂ ) \\
||||  / (,,  ⌒))            ((⌒ ,,ノノノハヽo∈
||||/    / J              し\ ( ;从从从
|||| ̄ ̄||||                   |||(    )

「帰ってきたぞーーーーーーーーーーー!」
560 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/19(木) 23:22
「あーそうか、小春の故郷だったんだ。」
「はいっ!」
「どうして乗り間違えたんやろか。」
「温泉あるんだよね?」
「はいっ!」
「きっと発車のベルが鳴ってあせってしまったとね。」
「食べ物もおいしい?」
「はいっ!」
「乗ってから少し間があったから降りるチャンスはあったばいね。」
「楽しみだね。小春、案内よろしく!」
「はいっ!」
「まあ、れいなは酔ってたから無理だったかもしれんっちゃけどね〜アハハ〜。」
561 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/01/19(木) 23:24
次回から新潟上陸編がスタート
562 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2006/01/24(火) 23:05
と、その前に

スレ立て一周年の記念のアニバーサリーなので、
この手の長文でスレ立て前や狼で書いた幾つかのものをリミックスして再録します
563 名前:ガキ祭り 投稿日:2006/01/24(火) 23:06
今夜、町内会が主催する祭りがある。

約束は夏が始まるずっと前から考えてた。

「この街っていつも祭りやってるよね。」
「うん、でも気が早いねえ。確かにもう暑いけどさ。梅雨ってどうなったんだろうね。
 来週からだっけ半袖オーケーなのって。このまま暑いと今年の冬はあったかいかもしれないね。」
新垣は歩くのが速い。僕は新垣の背中を追うようにして話を持ちかけた。
「祭り行く?」
「だから気が早いって。毎年行ってるから今年も勿論行くけどね。」
「一緒に行こうよ。」

汗を拭いたり、冷たい麦茶を飲んだり、扇風機に顔を近づけたり、
夏を実感する機会が多くなる度に約束の今夜を思い胸が高鳴った。
564 名前:ガキ祭り 投稿日:2006/01/24(火) 23:07
7時前になり、ようやく陽が落ちてきて周りも暗くなってきた。
30分早く待ち合わせ場所に来た僕は、30分新垣を待ち続けていた。
もうすでに祭りの会場は賑わっていて、笛太鼓の音が蝉の声と混じって聞こえてくる。

人気のない裏通り沿いの空き地。
ここから曲がりくねって続く祭り会場に向かう道を、
待つのに飽きてしまった僕は目だけで辿ってみる事にした。道に僕を歩かせてみる。
その隣に新垣を置こうとするけれど、頭の中の映像ではどうしても自分ひとりになってしまう。
何度も何度も試している内に目がより目になっていく。背中の方から声が聞こえた。
「何ヘン顔してるの。」
新垣だった。
「いや、別に。」
「遅くなってゴメンね。これで遅くなったんだよ。浴衣。」
頭の中の映像よりずっとカラフルな新垣は、両手を広げると袖を風になびかせて一回転した。
「デルモかよー」
「着るのに手間取ったよー、新しい浴衣なんだよ。」
そう言うと、新垣はあっという間に会場へ向かう道を歩き出した。
565 名前:ガキ祭り 投稿日:2006/01/24(火) 23:08
「どう?」
歩きながら、新垣がまた手を大きく横に広げた。
「可愛い。……模様が」
「模様の方ね。うん、うん。知ってる?この模様の名前。」
「分かんない。模様に名前なんてあるの?」
「分かんない。ま、いいか。」

少し歩くと会場の目印となるのぼりが見えてきた。
僕らが歩いてきた道と別の道と交差するあたりは会場へ向かう沢山の人でにぎわっている。
それを見た僕は、何故か緊張してしまった。
「おーい、またヘン顔してる。」
「ああ、うう。」
「お腹空いちゃったんでしょ。何食べよっか。焼きそば、たこやき、とうもろこし……」
ニコニコ顔で数えあげる新垣をよそに、僕は駆け出した。
「走りたいわ!」
「あれ。ちょっと待ってよー。」
566 名前:ガキ祭り 投稿日:2006/01/24(火) 23:09
会場入り口でうちわを配っている少し目つきの悪い女性から、うちわを受け取る。
「おい、もう一枚やる。」
その人は無理やり僕の手にうちわを押し込んだ。

夏休みに入って運動をしてないせいか、会場に駆け込んだ僕はすぐに息が切れてしまった。
でもさっきの緊張は全部吹き飛んだ気がした。
立ち止まって振り返ると、新垣がぶっちょ面をして歩いてきた。

「なーに走り出してるの」
「急に走りたくなった。あ、うちわ…」
「なんか貰えなかったよ。」
「じゃ、これ。」
僕は新垣用に一枚余分にもらったうちわを差し出した。
うちわの色は青と赤の二枚だった。
567 名前:ガキ祭り 投稿日:2006/01/24(火) 23:09
僕らは焼きそばとコーラを食べながら、賑わう会場をふらふらと歩いた。

「あった。」
金魚すくいの屋台の前で新垣は腰に手を当て水槽の金魚を物色しはじめた。
そして突然、横に突っ立っている僕の右の耳元に口を寄せた。
僕の右半身は硬直した。
「この店でOK。店によっては金魚死にかけだったりするんだよ。」
そう聞こえた。

新垣はしゃがみこんで黙々と金魚をすくいはじめた。
右半身の硬直が解けても、僕は立ったままその様子を見ていた。

金魚と格闘を続ける新垣の肩に手を置いて話しかけた。
気付けば、またその手も硬直していた。
「何か買ってくる。」
「じゃ、わたしも行く。」
「いいよ、そのまますくってて。」
僕は新垣をその場に残して他の屋台へ足を向けた。
そして、少しため息をついて例の硬直を解いた。
568 名前:ガキ祭り 投稿日:2006/01/24(火) 23:10
うちわを扇ぎつつ一人で歩いた。
神社と、それに隣り合わせた公園が祭りの会場になっている。
あまり広くはないし大きな規模の祭りではないと思う。
だから、すれ違う見知らぬ人達も僕らと同じ街に住んでいるに違いなかった。

射的に家族連れが大騒ぎ。カップルがかき氷を食べながら喋っている。
焼きそばを食べたいと子供が泣いている。
会場の所々に吊るされたスピーカーから流れる祭囃子の音が、
出店のおやじ達がかけているラジカセからの野球中継とやかましく混じり合っている。

わたあめを買って新垣の所に戻る時、アニメや漫画のキャラクターのお面が並ぶ店の前で何気なく足を止めた僕は、
つまらない考えを思いつき手近にあったお面を一つ買った。
569 名前:ガキ祭り 投稿日:2006/01/24(火) 23:10
まだ新垣は金魚をすくっていた。何匹くらいすくったんだろう。
金魚の品定めをするくらいだから、よっぽどの腕前かもしれない。
お面を付けて新垣の後ろにゆっくりと近づいた。

「アレ、新垣じゃん。」
新垣も僕もその声の方へ向いた。
同じクラスのアイツだった。
それを見た僕は、そのままそっぽを向いて、屋台を通り過ぎた。

しばらく歩いて振り返ると、新垣は立ち上がってアイツと話していた。
新垣は喋りながら周りをキョロキョロと見回している。
アイツだけじゃなく同級生の男女も何人か集まってきた。
野球中継と祭囃子で声は聞こえない。

ぼんやり立っている僕に、近くの屋台のおやじが横から声をかけた。
「何か買ってきなよ、僕。」
「あ、いいです。」
お面のせいでモゴモゴとなりながら断った。お面のせいで何の店かも分からなかった。
570 名前:ガキ祭り 投稿日:2006/01/24(火) 23:11
改めて金魚屋の方を見ると、もう何処にも新垣やアイツの姿は見えなかった。
人の行き交いもいつの間にか多くなっていた。

「昔ながらのお祭りなんだから、ケータイなんて持ってたら逆に変かもね。」
冗談めかして言った事に笑いながら同調しあって、僕も新垣も今日はケータイを持っていなかった。

アイツは新垣と仲がよかったのだろうか。
学校でのアイツと新垣の会話を思い返そうとする。
そうした学校の景色は、目の前の祭りの景色とはあまりに釣り合わなかった。
祭りに来たのは失敗だったかもしれない。
学校で交わすほんの少しの会話と、メールと、帰り道。
それだけにしておけばよかった。

僕はただ歩き回った。
わたあめはもうふわふわではなくなっていた。
571 名前:ガキ祭り 投稿日:2006/01/24(火) 23:11
スピーカーから祭囃子の音が唐突に途切れた。
「もうすぐのど自慢大会が始まります。ご参加の方は……」
「カラオケなんていつでも出来るのに…」
そう思いながら僕は、その大会へ向かう多くの人達とは逆の方に歩いていた。

会場になっている敷地内から離れた所に長い階段がある。
階段の上に神社の本尊があるのだ。
この辺りは古い大きな木が何本も立っていて、昼間でも暗いために会場としては使われてなかった。
ゴミで汚れるのも避けてるんだろう。

「あ。」
新垣がいた。
「どこいってたの?心配したよ。何でこんなとこにいるの?」
「金魚のとこで待ってろって言っただろ。」
「待ってたよ。待ってたけど来ないから探しに行ったんだよ。みんなも来てたから一緒に探したんだよ。」
「じゃ待ってなかったんじゃんか。ここ金魚のとこじゃないよ。」
「それはこっちのセリフだよ。」
572 名前:ガキ祭り 投稿日:2006/01/24(火) 23:12
「で、帰るつもりだったの?」
何て答えたらいいか分からなかった。
「いや…これ。わたあめ。」
「……ありがと。」
「硬くなっちゃったけど。」
二人で階段に腰掛けた。
「ねえ、カラオケだっけ、のど自慢やってるよ。」
「いつも歌ってるからいいよ。」
「俺はもっと聴きたいよ。」
硬くなったわたあめはあまりおいしくなかった。

「あ、沢山とったよ。金魚…ほら。」
ビニール袋の中で金魚が泳いでいた。
ただでさえ狭い水槽から、更に狭い住処に移された金魚は居心地が悪そうだった。
「これってどうするの?」
「いつも飼おうと思うんだけど、家に帰るとすぐ死んじゃうんだ。」
「難しいのかな…飼うのって。川に返す方がいいのかな。」
「すぐ死んじゃうから川に返すのダメなんだって。店のおじさんに言われた事がある。」
「どっちにしてもすぐ死んじゃうんだ……」
「……」
「…俺、マネできるよ、金魚の。」
「いいよ、どうせつまんないから。」
573 名前:ガキ祭り 投稿日:2006/01/24(火) 23:12
僕はうちわで顔を扇ぎながら言った。
「迎えに行くの遅くてごめん。」
「…ずっと待ってなくてごめん。」
「祭り、戻らなくても…いいか。」
「うん。もうちょっと、ここに居ようよ。」
「ここ涼しいよね。」
「うん。」

「アイツ来てたんだな。みんなも。」
「うん。私たち、一緒に来てるって事言っちゃった。」
「うん、いいよ。そんなの全然。別に隠す事じゃないし……ね。」

「祭りって毎年来てるんだよね。誰と来てたの?」
「家族とだよ。おばあちゃんとか。今年も家族と来る予定だったけど。……ね。」
新垣は僕の方を向いて微笑んだ。そしてまた視線を外してこう言った。
「…だから、新しい浴衣なんだし。」
「可愛いよ。」
「はい、どーも。模様でしょ。」
「いや…その…」
574 名前:ガキ祭り 投稿日:2006/01/24(火) 23:13
僕はうちわで顔を扇いだ。新垣も自分の顔を扇いだ。
「帰ろうか。何か、今更うるさい所行くの嫌だよね。」
「うん」
僕らは立ち上がった。
「あ…イタタタ。」
やっぱり運動不足だろう。立ち上がった途端、腰に痛みが走った。

別れ際、僕は新垣に言った。
「来年の祭りだけど…」
「うん。」
「…予定入ってるんだ。」
「え、何だ…。また一緒に来たかったのに……」
「うん、新垣と行く予定だけどね。じゃあね。また明日!」

自分の部屋のベッドに寝転び、しばらくすると新垣からメールが来た。
“明日は学校休みだぞ”


おわり
575 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2006/01/24(火) 23:17
元は新垣里沙と送る高校生活スレで書いたものです

そっちは顎(サザエ賞企画を立ち上げた人)が作ったまとめサイトで、
『夏祭り』というタイトルでまとめられてるよ
576 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/25(水) 11:14
すごおく良かったです。
577 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2006/01/25(水) 22:16
スレ立て一周年の記念のアニバーサリー 2


『DRIFTING GIRLS。』

狼と羊の死にスレで書いたもの
当時と今でメンバー構成が違い、改筆も再録もしにくいのでしない
そして未完

登場人物を軸にアイディアだけ大雑把に追ってみようか
578 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2006/01/25(水) 22:17
モ娘。が、ダンスレッスンを行っていたビルごと未来へタイムスリップ

<未来>

現メンバー(当時)
飯田 卒業間近の不安を抱えリーダーのくせに役立たず
矢口 レッスンに来る前に買ってきた氷が溶けて非常用の水になって得意満面
石川 アクティブ
吉澤 拗ねて単独行動、一人で描いてたヘンな絵が外の荒れ果てた世界とソックリ
高橋 謎の宝塚女優の幻影に誘惑される
紺野 「もっと食わせろ」
小川 石川吉澤をちょくちょく助ける
新垣 豆
藤本 石川吉澤をちょくちょく助ける
亀井 亀
道重 ちょくちょくグズる
田中 一人でケータイいじり

アップフロント社員藤野 さっさとダンス仕上げろ夏まゆみ
夏 もうハロプロ降りるわ
579 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2006/01/25(水) 22:18
<現代>

卒業メンバー
中澤 ラジオ中にビルが爆発したニュース聞いて手がプルプル
安倍 だべさ
保田 テレビに出まくって「未来へ行ったメンバーの為に祈ってください」とか大活躍
後藤 「圭ちゃん」
辻  「梨華ちゃん」
加護 辻とケンカ

ヲタ ビルの跡地で夜通しヲタ芸、コンサート会場を巡礼して各地にCDや手紙を埋める


逆向通り三番地の第三話>>374-382のエンディングで、話のイメージを一部流用してます
580 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2006/01/26(木) 22:00
スレ立て一周年の記念のアニバーサリー 3
581 名前:餃子のしたたり 投稿日:2006/01/26(木) 22:00
(あらすじ 俺は餃子である道重さゆみと暮らしていた。)

「中華料理屋でもやるか。」
俺の決断は、長い!と言われないくらい早かった。
「さゆみ、お前餃子だから丁度いいだろ。」
「さゆみはウェイトレスがやりたいの。」
「そうか。じゃ、チャイナ服買ってこなきゃな。」

ドンキホーテに行くと余計な物を買ってしまう。
買う時は余計だとは思わない、買って帰ってきてから思うのだ。ドンキホーテマジック。

「あ、携帯ラジオ!こんな小さいのにFMもAMも受信…テレビの音も聴けるってよ!」
「おまけにピンクのスケルトン!」
「最近地震も多いから避難した時便利だよな。買っておこう!」
582 名前:餃子のしたたり 投稿日:2006/01/26(木) 22:01



「やめてえええええ!食べないでえええええ!」
避難所の食料は尽きた。俺は最後の手段として餃子のビラビラに口をつけた。


583 名前:餃子のしたたり 投稿日:2006/01/26(木) 22:05
俺たちは店内を巡って色んな商品を見て回った。
「あ、ハンモック!」
「可愛い感じに揺れてるの!」
ハンモックは可愛い感じに揺れていた。
「いいなあ、憧れるよなあ…無人島でさゆみと二人っきりの生活…。
 買おう!で、いつか行こう!無人島!そしたらサンオイル塗らしてくれよな。」
584 名前:餃子のしたたり 投稿日:2006/01/26(木) 22:05



「やめてえええええ!食べないでえええええ!」
島の食料は尽きた。俺は最後の手段として揚げ餃子のこんがり焼けたビラビラに口をつけた。


585 名前:餃子のしたたり 投稿日:2006/01/26(木) 22:09
「あ、クリスマスツリー!そうか…もうそんな季節か。」
もう、そんな季節だった。
「なあ、さゆ……あれ?」

さゆみは俺の隣からいつの間にか離れて他の場所をうろついていた。
俺にはこの態度の意味が分かる。
さゆみは俺にこっそりクリスマスプレゼントを準備してるんだろう。

俺はいつも忙しくしていて、イベント関係には無頓着だ。
そんな俺をビックリ喜ばせたいから、クリスマスが近い事を気付かせたくないんだ。
さゆみのこの無邪気なサプライズを成功させる為に、俺はクリスマスに気付いてない振りを続けておく事にしよう。

「よし、ツリーは買わない。」
さゆみのプレゼントは何だろう。
「さ・ゆ・みをあ・げ・る」とかやられたら、可愛くて失神してしまうかもしれない。
586 名前:餃子のしたたり 投稿日:2006/01/26(木) 22:09



グシャ
俺は靴下の中に違和感を感じた。ビラビラの跡形もなく餃子が潰れていた。


587 名前:餃子のしたたり 投稿日:2006/01/26(木) 22:11
「おーい、さゆみ。あったか?チャイナ服。」
「いやん、あった。」
チャイナ服はあったのだ。
「これ!黒地にピンクのお花なんてさゆみの為に作られたみたいなの!」
(参考資料・ttp://image.www.rakuten.co.jp/bodyline/img10411061458.gif)
「よし買おう!」

携帯ラジオ、ハンモック、チャイナ服、シャンプーとリンス、黒ひげ危機一髪、ポテチ三袋、乾電池(単一〜四)
これだけ買ってもさすがドンキホーテ、5000円をわずかに越える程度だった。ドンキホーテマジック。

俺とさゆの中華料理屋はそれから一ヵ月後に開店したが、
メニューがさゆの作るホットケーキだけだった為か間もなく潰れた。



おわり
588 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2006/01/27(金) 21:39
スレ立て一周年の記念のアニバーサリー 4
589 名前:よりぬき!さゆえりれいなのしたたり SUN 投稿日:2006/01/27(金) 21:40
1

「何かいい事ないか仔猫ちゃん。」
「知らなか。」
「ノリ悪いなァ。今日は二人っきりなんだから。」
「じゃ物真似でもするっちゃ。」
「じゃ森進一。おふくろさんよぉ…おふくろさん…」
「無理ばい。」
「おふくろさんより襟裳岬の方が真似しやすいよ。
 寒い友達が尋ねて来たよ〜♪遠慮はいらないから暖まってい〜き〜な〜よ〜♪」」
「無理ばい。」

世の中には暖房で回避出来ない寒さもあるのだ。
590 名前:よりぬき!さゆえりれいなのしたたり SUN 投稿日:2006/01/27(金) 21:42
2

えりがリビングの隅で壁に顔を向け突っ立っていた。
「またやってる。」
私もその隣に並んでみた。
「楽しいの?こんなのが。」
「こうやって壁を見続けていると、えりが見ている壁が壁を見ているえりになるんです。」
 壁とえりのどっちが壁で、どっちがえりか分からなくなるんです。」
「孔子の胡蝶の夢みたいだね。どれ、やってみようか。」
「まばたきしちゃダメですよ。」

私とえりはしばらく壁を見続けた。
見続けている内に、壁を見ている私とえりは私とえりを見ている壁になった。
591 名前:よりぬき!さゆえりれいなのしたたり SUN 投稿日:2006/01/27(金) 21:42
「ね、結構簡単でしょ。」
「本当だ!」
「壁になると、家にもなれるよ。」
「家具も電化製品も。」
「全部だよ。」
「ああ、本当だ!」
「えりはエアコンですよ?」
「えりはエアコンが好きだからなあ。じゃ私はクシになろう。
 えりの髪を梳かすよ。茶色くなった髪を痛まない様に優しく梳かすよ。
「いつまで黒髪にこだわってるんですか?あ、さゆとれいなが帰ってきた。」
「じゃ急いで便器にならなきゃ。うわ、れいなが入ってきた。
 れいなのウンチは臭いんだよなァ。」
「肉食べすぎだもんね。」
「ああ、やっぱり臭い。」
592 名前:よりぬき!さゆえりれいなのしたたり SUN 投稿日:2006/01/27(金) 21:44
3

みかんの食べすぎで胃の調子が良くないのだろうか、口角が切れる。
治ったと思ったら又切れる。痛い。

こたつの中でお互いの陰部を足でいじくり合っていると、えりがニヤニヤして言ってきた。
「触ってたら治りませんよ?」
私はこうして、えりの陰唇だけでなく自分の唇もいじっている事に気付くのだった。

そして、えりはまたみかんを勧めてくる。
私はえりと一緒にみかんを食べ続ける事になる。
えりの唇は幾らみかんを食べても平気なのだろうか。
593 名前:よりぬき!さゆえりれいなのしたたり SUN 投稿日:2006/01/27(金) 21:45
「ちょっとおトイレ…」
お茶とみかんと陰部いじりのトリプルアタックでトイレが近くなる。
「今だ!」
私はえりがいなくなったのを見計らって、テーブルの片隅に置いてあるリップクリームに手を伸ばした。
「これを使っていたのか……」
私はリップクリームを舐め、乳首に塗り、アナルに差し込んで絶頂に達した。

―――――
―――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「こんな所で寝てたら風邪引くよ。」
冬は陽が落ちるのが早い。さゆに起こされた時にはすっかり日が暮れていた。
「とんこつの匂いがするばい」
買出しから帰ってきたれいながリップクリームを塗っていた。
えりは冬になると肌がカサカサするらしく特別な薬を飲んでいた。
594 名前:よりぬき!さゆえりれいなのしたたり SUN 投稿日:2006/01/27(金) 21:46
4

私たちはかりんとう工場に見学に行った。
工場には甘いかほりが漂っていた。
「えりはワクワクしてきましたよ?」
「ああ、さぞかしお茶に合う事だろう。あっ!あれを見たまえ!」

機械に熱せられて輝く黒蜜が真っ白な小麦粉と絡み合っている。
「まるでさゆとえりみたいだ!」

揚げたてのかりんとうの香ばしさに私達はうっとり。
「サクサクでおいしいの。」
「ああ、れいなも連れて来ればよかったねえ。」
私がそう言うと、えりはほんの少し残っていたかりんとうをあっという間に食べ尽くし、
「全部食べちゃった。」とおどけて見せた。
595 名前:よりぬき!さゆえりれいなのしたたり SUN 投稿日:2006/01/27(金) 21:47
〜帰宅〜

「ただいま〜。」
「今日はどこ行ってたと?」
「かりんとう工場!はい、れいなにおみやげ!」
何とえりはれいなの為にかりんとうをちゃんと残していたのだ!何ていい子!

「さっそく食うばい。」
れいなの崩れる顔(かりんとうの美味しさに喜んで)が見られると思ったが、
どっこい微妙なリアクションだった。
「美味しくないの……?」
えりの表情にそっと影が差した。
「う、うまか〜。うまかばい。」
「黒糖は悪玉コレステロールの生成抑制で大腸の善玉菌の発育を助けるんだぞ。つまりうんこが臭くなくなるんだ。」

れいなは涙を流しながら黒光りするかりんとうを食べるのだった。
596 名前:よりぬき!さゆえりれいなのしたたり SUN 投稿日:2006/01/27(金) 21:48
5

「何かいい事ないか仔猫ちゃん。」
「知らなか。」
「ノリ悪いなァ。今日は二人っきりなんだから。」
「じゃ物真似でもするっちゃ。」
「じゃ郷ひろみ。」
「ニヒヒ。」
「それはお化けのロックかい。あれはイヒイヒだったか。
 林檎殺人事件…あれはフニフニか。」
「笑っただけばい。」
「れいなには寒い夜明けという曲が似合うよ。
 ♪退屈ですね〜お嬢さん〜♪」

あぁ 哀しいね 哀しいね
597 名前:よりぬき!さゆえりれいなのしたたり SUN 投稿日:2006/01/27(金) 21:50
6

冬の間ほったらかして伸び放題になっていた庭の雑草を刈り取る事になり、最後に裸で走り回る事にした。
草に残る朝露がチンポに跳ね返ってとても気持ちいい。
「さあ、えりもやりたまえ!」

「えりはかぶれるからやめておきます。」
「そんな事言わずに、さあ!さあ!」
私はえりの着ている服をはぎ取った。
「あっ!!」
えりの腋はジョリジョリだった。
598 名前:よりぬき!さゆえりれいなのしたたり SUN 投稿日:2006/01/27(金) 21:51
「馬鹿者!剃るなら綺麗に剃れ!生やすなら生やせ!どっちつかずは良くない!」
「だってぇ。」
「なら生やしなさい!さゆと見比べたいから。」


その夜、離れて暮らすれいなに手紙を書いた。


  れいなへ


     名もない花が咲く季節ですね……
599 名前:よりぬき!さゆえりれいなのしたたり SUN 投稿日:2006/01/27(金) 21:52
おわり
600 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/30(月) 01:36
好きよ
601 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2006/02/01(水) 23:37
スレ立て一周年の記念のアニバーサリー 5(最終回)
602 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/01(水) 23:42
                                .-
     ゙ヽ、                       ,..‐'´
       ゙ー..、                 ,..‐'´
          `――――――――――‐''i′
          |               │
          |               │
          |               │
          |              oノハヽo
          |              (・ 。.・*从
          |             (花)::::::::)
          |              `ソ::::::::::ゝ
          |               l~(~~l
         _.,. '------------------ ,,(__(_)
    _....-‐'''´               ;;;;;;;;;;;;;;  `''ー-..,,_
 -‐''"`                  ;;;;;;;;;;;;;;;;;      `''ー-..、
603 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/01(水) 23:42
少女の名前はさゆみ。
お家が貧しいために、ガードレール下のトンネルでお花を売って生活しています。
船乗りのお父さんは遠い国へ行ったきり帰ってきません。お母さんは浮浪者に犯されて死んでしまいました。
ただ一人、病気のお姉ちゃんがお家で待っていて、
さゆみは花売りの仕事を終えると、急いで帰ってホットケーキを作ってあげるのです。

暗いトンネルに足音が響きます。お客さんが来たようです。
604 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/01(水) 23:43
           |::::::::::::::::|
           |::::::,人:::::|
         _.,.' ...|_::::l |_::::|
    _....-‐'''´   .|__::| |_::::|
 -‐''"`     ,,,,(_ノ ヽ_)   ノハヾヽo
        ;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,,,,,,;;;;;;    (。.・*从从
       ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;    (花と:::::::ヽ
605 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/01(水) 23:43
「おじさん、お花はいかが。」
黒のスーツに山高帽、落ち着きのある男の人でした。
「おや、こんな所で花売り?もっとにぎやかな所でやればいいのに」
「でもお洋服が汚くてはずかしいの。それに……」
606 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/01(水) 23:44
  oノハヽo
  (・ 。.・*从 イヤン
  (:::::::)
   l Y l
   U U

「……風が強くてスカートがめくれちゃうの」
607 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/01(水) 23:45
「そうだね、風が強くて埃っぽい。それも排気ガスで真っ黒な埃さ。」
「お花買ってください。お歌もつけます。」
「じゃ、歌ってもらおうか。」
「では、いきます。」
608 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/01(水) 23:46
   |::::::::::::::::|   信  oノハヽo  る
   |::::::,人:::::|  じ    (・ 。.・*从   わ
    |_::::l |_::::|   る   o¶と::::::)      
    |__::| |_::::|    事  ノ:::::::::::ゝ   赤
   (__)ヽ_)  に   /~(~~ヽ     い
           す   (__ノ (_)
609 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/01(水) 23:46
♪フリージアー♪

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

誘蛾灯に虫が体をぶつける音がトンネルに響き渡りました。
610 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/01(水) 23:47
   |:::::::::::::::|      oノハヽo
   |:::::,人:::::|      (・ 。.・*从
    (:::::(:::::(       o¶と::::::)
    ヽ:::_ヽ_::ヽ      ノ:::::::::::ゝ
    (_ノ(__)     /~(~~ヽ
              (__ノ (_)
611 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/01(水) 23:48
「……うわあ上手だね。はい百万円。」
「こんなに沢山。私、喉が嗄れてしまうの。」
「歌はもういいよ……お花、君のお花、おじさんが全部買ってあげようか……」

この日、さゆみは駆け足でお家に帰りました。
612 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/01(水) 23:48
      oノハヽo
      从*・ 。.・) オネーチャーン
      (:⊃::::)っ
      ノ::::;ノ⌒ゝ 彡
      ノ~ハ )
     (_)(__)
613 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/01(水) 23:49
「お姉ちゃん、ただいま。ホットケーキいっぱい買ってきたよ。」

さゆみは台所でホットケーキを作りながら、寝たきりのお姉ちゃんに話しかけます。
「今日のお客さん、お花全部買ってくれたよ。
 だから、今日は蜂蜜いっぱいだよ。あっ忘れてた!」
614 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/01(水) 23:49
続く
615 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/02(木) 21:52

第一話 私のあしながおじさん
616 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/03(金) 22:07
第二話 ソクラテスとベン
617 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/03(金) 22:07
「お姉ちゃんのおしめ変えなきゃ。」
ホットケーキに蜂蜜をかけていて、さゆみは思い出したのです。
「いやん臭い。」
いつもと違う臭いがお姉ちゃんの布団の中からします。
618 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/03(金) 22:08
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.//※※※※※//.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:(,(.※※※※※//.:.:.:.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:く,_鼠^鼠'-、_,,..ノノハヾヽo
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:鼠~鼠''ー--‐' (。.・ *从从
619 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/03(金) 22:08
布団の足元からネズミが出てきました。
パンツを脱がすとお姉ちゃんのアソコからもネズミが出てきました。
お姉ちゃんの体はネズミの棲家になってしまっていたのです。
さらにお姉ちゃんの顔には見る見る内にブツブツが増えていきます。
死斑でした。お姉ちゃんは死んでいたのです。

一人ぼっちになってしまった事を知り、さゆみは泣きじゃくりました。
鼻水を拭こうと手を伸ばしたポケットの中には、おじさんから貰った名刺が入っていました。
620 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/03(金) 22:09
   |::::::::::::::::|   (::::::::::) 
   |::::::::::::::::|   ノ::::::::::ゝ
    |:::::|::::::|    ~l~l~~|
    |__::l__:::|   (_(__)
   (__(___)

「困った事があったら、おじさんの処に来るといいよ……」
621 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/03(金) 22:09
      oノハヽo
      从*・ 。.・) オジサーン
      (:⊃::::)っ
      ノ::::;ノ⌒ゝ 彡
      ノ~ハ )
     (_)(__)
622 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/03(金) 22:09
さゆみは街に出ました。初めての事でした。
街は真っ暗で明かり一つなく、とても風が強いのでありました。

名刺に書かれた場所に行ってみると、そこには見世物小屋のテントがありました。
623 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/03(金) 22:10
  / / i ヽ \.:.:.:.:.:.:.:
 |^^~~~~^^^~~~l.:.:.:.:
 iliΠilll==llli==ノハヾヽo
        (。.・ *从从
624 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/03(金) 22:10
「すいません。すいません。」
「うるさかね。」
恐る恐る中に入って声をかけてみると、
出てきたのは毒々しい色の衣服に身を包んだ女の子でした。
625 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/03(金) 22:11
   ∋oノノハヽ
     从 `,_っ´)
      / ,:;*:*;ヽ  ノハヾヽo
     `J゚il++lu'  (。.・ *从从
        ̄ ̄
626 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/03(金) 22:11
「何の用ばい!」
「道重さゆみでございます。おじさん、いますか?」
「ああ、アンタが新入り。こっち来て服を脱ぐばい!」
「いやん。」
627 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/03(金) 22:12
  oノハヽo
  (・ 。.・*从 イヤン
  (・Y・)
   l Y l
   U U
628 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/03(金) 22:12
さゆみはあっという間に丸裸にされてしまいました。
「フフフフフ……」
629 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/03(金) 22:13
続く
630 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/04(土) 23:07
第三話 怪物團
631 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/04(土) 23:07
「今日からアンタは豚女。たるんだお腹と腋の肉がそっくりばい!
 早速舞台に上がるばい!」

引っ張り出された舞台でさゆみは、四つん這いになりブヒブヒ鳴けと命令されました。
狭い会場に詰めかけた、家族連れや酔っ払いや外人さんといった沢山の人が、
さゆみを興味津々の眼差しで見つめています。
「いやん。」
はずかしくなってしまってモジモジするさゆみに、多くの人たちは冷たい言葉を浴びせるのでした。
「もういい!引っ込め!豚!」
632 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/04(土) 23:08
「お姉ちゃん……シクシク」
舞台袖でさゆみが泣いてる間にも、舞台には次々と役者たちが上がっていきました。
侏儒、魚女、金玉女……。
みんなさゆみと年格好も大して変わらないような女の子たちでした。

そして、さっきの女の子が舞台に上がりました。
「続きましては猫女のれいな!」
服を脱ぐとれいなは体中毛だらけでした。会場は大歓声に包まれるのでありました。
633 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/04(土) 23:08
⌒⌒⌒⌒⌒//ヽヘ      |:::::::::::::
⌒⌒⌒⌒/ ノハヽヽo∈    |:::::::::::
⌒⌒⌒ニャー (ヮ`*从从     .|:::::::::::
⌒⌒/   と;;;;;;;;;;;;;)   ノハヾヽo
⌒/            (。.・ *从从
634 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/04(土) 23:09
「猫女…豚みたいな鼻なのに…」
さゆみは不思議に感じましたが、
でも自分の方がやっぱり豚なのかもしれないと思い直しました。
「お姉ちゃん……シクシク」

「さっさと飯食いな!さゆ豚!」
ステージを終えたれいながさゆみに出した食事は冷たい冷や飯だけでした。
「れいなは焼いた焼肉を食うばい!うまかー!」

そこにおじさんがやって来ました。
「みんな、今日もご苦労さん。」
635 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/04(土) 23:09
   |::::::::::::::::| ノハヾo∈
   |::::::,人:::::|(ヮ`* 从
    |_::::l |_::::と:::*:*:*)
    |__::| |_::::| (:::::: ノハヾヽo
   (__)ヽ_)じ (。.・*从从
636 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/04(土) 23:10
「お疲れさまですっちゃ」
「あ!あの時のおじさん!おじさん!助けて!」
さゆみはおじさんに駆け寄りました。
「ん?ああ、さゆ豚か。初めてのステージはあんなもんさ。次からは頼むよ…」
「おじさん……」
「でも今日は歓迎パーティだよ。何か食べたいものあるかい?」
さゆみにはれいなのフンって声が聞こえた気がしました。
637 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/04(土) 23:11
夜、さゆみはテントを脱け出しました。
星を見ようと思ったのです。しかし、星は見えませんでした。
さゆみはため息をつきました。
そして、暗がりからボソボソと声が聞こえてくる事に気付きました。
さゆみは耳を澄ませました。
638 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/04(土) 23:11
続く
639 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/06(月) 21:24
第四話 ジェルソミーナとイルマット
640 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/06(月) 21:24
その声はれいなでした。
れいなは石ころを地面に並べて呟きました。
「石ころにだって価値はあるっちゃ……」
そして、さゆみと同じ様に星のない夜空を見上げるのでした。

さゆみは先程の食事の時、れいなだけが一人で焼肉をしていた事に気付きました。
そして、周りと明らかに違う言葉遣い。
れいなはどういう子なんだろう。
そう思ったさゆみは勇気を出して声をかけてみました。
641 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/06(月) 21:25
「おい!」
「はっ。お前!何の用じゃ!さっさと寝れ!」
「おい!おい!」
642 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/06(月) 21:25
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノハヾヽo
.:.:.:.:∋oノノハ(。.・ *从从
.:.:.:.:.:.:.:从; ` ロ/:::::::::::::::ヽ
643 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/06(月) 21:27
さゆみはれいなを壁際に追い詰めてみましたが、
どんな話題を持ちかけたらいいか、これといって思いつきませんでした。

逆にれいなに聞かれました。
「さっき何食ったとね!」
「明太子スパゲティだ!」
「明太子なられいなが持ち歩いとる!ほら、もっと食え!」
「いやん。」

その夜、さゆみは口がヒリヒリして眠れませんでした。
644 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/06(月) 21:29
翌朝、さゆみはおじさんに聞かれました。
「どうしたんだ、さゆ豚!そのブツブツだらけの顔は?!」
それは寝不足からくるブツブツでした。
さゆみはれいなの顔を見ました。
れいなはおじさんとさゆみの顔を見比べて苦い顔をしていました。
さゆみはそんなれいなにこっそりウィンクをして、おじさんにこう言いました。
「何でもないの。」

おじさんはさゆみの言葉を信じました。
「そうか。まあ、いい。今日はゆっくり休みなさい。
 それと、あとでおじさんの部屋に来なさい……」
645 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/06(月) 21:29
「さっきのウィンクはどういうつもりばい!」
さゆみはれいなに詰め寄られましたが、無視をしました。
「待つばい!れいなともっと話をするばい!」

そして、言われた通りに、テントの中に作られているおじさんの部屋に行きました。
「あっ!おじさん!」
646 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/06(月) 21:29
続く
647 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/07(火) 21:32
第五話 暗闇坂に猫が眠ってる
648 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/07(火) 21:32
部屋ではおじさんが裸で四つん這いになっていました。
「さゆ豚、もう我慢出来ないんだ!おじさんと一緒に豚になろう!」
「いやん。」
649 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/07(火) 21:32
  oノハヽo
  (・ 。.・*从 イヤン
  (・Y・)
   l Y l
   U U
650 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/07(火) 21:33
おじさんはさゆみの服を強引に剥ぎ取りました。
「お尻の臭いを嗅ぐだけでいいんだ!そしたらさゆみちゃんのお願い何でも聞くから!」
「待って!先にお願い聞いてほしいの!」
「うーん、分かった。お願いは何だね?」
「ネズミをやっつけてお姉ちゃんの仕返しをしたいんです。」
「猫を飼えばネズミはいなくなるだろう。でもこの街では猫はとても珍しい生き物なんだ……」

おじさんは立ち上がって話しを続けました。
651 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/07(火) 21:33
    ノ    |   (・ (_・ ヽ
   ( .:(.:.:.. |    | v  ∪
   | `l´  |    | l   |
   | .l  l    (_(__)
   (__(___)
652 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/07(火) 21:34
「ご覧、外を。風が強く埃だらけだろう。この街は埃が目に入って盲になった人達がいっぱいだ。
 彼らは生きる為に三味線弾きになろうとする。三味線の皮に使う為に猫はすっかり狩られてしまった。
 だからネズミが棲家を無くす程に溢れてしまったのだ。」

さゆみの抱えていた謎が解けました。
お姉ちゃんの体がネズミの家になってしまった理由。
街が暗い理由。
れいなが猫女として舞台に立っていられる理由。
さゆみはこの街がとっても憎くなりました。

「どうしたら……」
「れいなを使ってネズミを退治しよう。」
653 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/07(火) 21:35
続く
654 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/08(水) 21:43
最終話 洪水の前
655 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/08(水) 21:44
「さあ、れいな。ネズミを見つけてくるんだ。」
れいなはネズミの糞の匂いに包まれた、
さゆみとお姉ちゃんのお家を裸で駆け回り始めました。
「鳴くんだ!もっと猫になれ!」
「ニャーニャー!ニャーニャー!」
「ここはれいなにまかせて、屋根裏を調べてみよう…」

「ニャーニャー!ニャーニャー!」
れいなの体がネズミの糞まみれになった頃、お家の前を盲の子が通りがかりました。
656 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/08(水) 21:45
      ノハヽヾ
     (^ー^*bリ
    cく::::::y::::::ヽ
   ┃ ノ====∪  /ヽヘ
   ┃ ~ヽV~/  ノハヽヽo∈
   ┃   レU   (ロ´ ;从从
657 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/08(水) 21:45
「猫はいませんかー?さっき、鳴き声聞こえたんだけどなー。」
「あっ。」
れいなは逃げました。
裸になっていて、動物的勘が働いたのかもしれません。
しかし盲もすぐに追いかけました。
「目が見えない分鼻が利くから、逃げても分かりますよ?」
「あっ。」
「それ掴まえた。やけに大きな猫だ。皮を剥ぐのも一苦労だ。」
「痛い!痛いたい!いたいたい!」
658 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/08(水) 21:47
その頃、さゆみとおじさんは屋根裏に上ってネズミを探していました。
しかしネズミは一匹も見当たりませんでした。
いつの間にか夜になっていて、薄暗い屋根裏には天窓から光がこぼれていました。
今夜は満月でした。

「おかしいねえ…一匹もいない。下にもいなかったし、何処へ行ったんだろう。」
「おじさん、あれ何?」
「おや……」
659 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/08(水) 21:48
:.::.::.::.::.::.::.::.::. . .. . . . . . ..:.::.::.::.::.::::
:.::.::.::.::.::.::.::.: . _____. .:.::.::.::.::
:.::.::.::.:::.::.::.::. .|| ̄ ̄ ̄|| . .:.::.::.::.::
:.::.::.::.::.::.::.::. ..||      ||. . ..::.::.::.::
.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.. ..||      ||. . . .:.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ..||___|ノハヾヽo
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:  ̄ ̄ ̄ (。.・*从从
660 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/08(水) 21:48
さゆみが見つけたのは大きな鏡でした。
「鏡、見た事ないのかい?」
「うん。鏡って何?」
「この街は盲が多くて鏡も少ないからね…。」
さゆみはそこに写る景色に目を奪われました。
「このうさぎちゃんは何処にいるの?」
「これは、さゆみちゃん。君だよ。鏡ってのは自分を映す魔法の板なんだ。」
「えっ。ちっとも豚じゃないの。おじさんの嘘つき!」
「あ、待つんだ!」

階下に駆け下りてそのまま家を飛び出たさゆみは、うろうろしていた盲の子に話しかけてみました。
661 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/08(水) 21:49
「おい!」
「はい。」
「あっ、ちょっと可愛い。あなた誰?」
「えり。」
「何でまばたきしないの?」
「目が見えないからだよ。」
「何を持ってるの?」
「猫の皮。これで三味線を作って歌いながら旅をしようと思っているんだ。」
「一緒に行っていい?」
「いいよ。」
「私も歌っていい?」
「いいよ。」
「その皮、糞だらけで臭いね。」
「じゃ捨てるよ。」

こうしてさゆみはえりと一緒に街を出て、歌って旅する旅芸人になりました。
662 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/08(水) 21:50
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663 名前:少女あやめ (よりぬき!さゆえりれいなのしたたり MOON) 投稿日:2006/02/08(水) 21:51
「待ってくれ、さゆみちゃん!お尻を!
 おや、何だ。こんな所に明太子が転がっている。」
「れいなっちゃ!」
「皮をむかれてしまったのか。こりゃいい。
 猫女はおしまいにしてトゥルトゥル女として舞台に出ろ。」
「ヒリヒリするばい。」



おわり
664 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2006/02/08(水) 21:52
スレ立て一周年の記念のアニバーサリー

おわり
665 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/10(金) 21:33
感動しました
666 名前:シリーズ THE職人 さゆえりれいなの陶芸家 投稿日:2006/02/12(日) 03:14
1

れいなは陶芸の道に進む事を心に決めた。
「焼くしかなか!……といっても焼肉じゃないっちゃよ〜。」

れいなは手持ちの湯のみを取り出した。
「ジャーン!何故か一つしかないばい!友達が来た時にいつも困るっちゃよ〜。」

湯のみをレンジの中に入れた。
レンジの中で湯のみがグルグル回った。
「回っとる!レンジが古い型やけん回っとる!れいなも一緒に回るっちゃ〜。」

回っている間にレンジの中で火花が散った。
湯のみには電子レンジに入れてはいけない素材が使ってあったのだ。
「あー!回ってたら酔った!火花にビックリして酔いが覚めた!どっちじゃ!」
667 名前:シリーズ THE職人 さゆえりれいなの陶芸家 投稿日:2006/02/12(日) 03:15
2

えりは陶芸教室に通っていた。
「ろくろ回しますよ?」

しかし実際にはなかなか回させてもらえなかった。
電動で、ぬるぬるしてるからである。

隙間からえりがあの目で覗いている。
(早く回したい……)
持て余した時間はヒャクマミ。

それでも経験させてもらえない日々が続いた。
教室の先生は病院の先生から言付けされているらしい。

朝起きるとえりの鼻に鼻糞が詰まっている。
冬は乾燥するので特に鼻に鼻糞が詰まっている。
えりの部屋は散らかっているので埃っぽく鼻に鼻糞が詰まっている。
668 名前:シリーズ THE職人 さゆえりれいなの陶芸家 投稿日:2006/02/12(日) 03:16
3

道重家の先代が陶芸の名人だったと、
いつの日か聞いた気がして、さゆみはお姉ちゃんに確認の電話をした。

「お姉ちゃーん。」
甘えた声を出す。

「昨日、教えてもらった卵焼き作ったよ。うん、上手に出来たよ。」
本当はちょっと焦げたのだ。

「今度は目玉焼き教えて。うん、うん。分かった。
 じゃ今度は卵かけご飯教えて。えっ時間がないんだ。うん、またね。」

隣の部屋からお姉ちゃんが出ていく音が聞こえた。
宇部のお父さんからメールが来た。
さゆみは間違えて「もしもし。」と返事をしてしまった。
669 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/13(月) 23:47
>>560からの続き
670 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/13(月) 23:47
闇を切り裂くブルートレイン。
都会に夢を求めた男たちが、故郷に帰ってくる。
ホームに降り立つ時、彼らの心に去来するものは何か。

それとは無関係なここは新潟駅。
我らの新垣塾一行がにぎやかにご到着だ。
「帰ってきたぞーーーーーーーーー!」
その回数は定かではない、が、小春は>>559から連呼しっぱなしなのであった。
「あら、嬉しそうで。良かったじゃない。」
そして、ガキさんはその度に笑顔になるのであった。
「今一度、乗り間違えた事について考えてみてもよかのではなかろか。」
671 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/13(月) 23:48
寒い。
新潟の冬は寒い。早速その影響が出た。尿意である。
「ほら、早くトイレ行ってらっしゃい。待ってるから。」
ガキさんはすぐに気付いた。にやけ方がトイレ前のそれだったのである。
「スゴーイ、良く分かったね。ひょっとしてガキさんってえりの事何でもお見通し?うえへへ」

「うへへへ」
「だから早く行きなさいってば。」
駅構内のトイレに駆けて行くえりりん。
その姿が見えなくなり、れいなが口を開いた。
「腹が空いたばい。みんなも空いたっちゃろ〜。
 本当は福岡の駅前でとんこつ食うつもりやったけど、ここ福岡じゃないし。
 でも、新潟の駅前にも何かあるっ!れいなはこの目でそう睨んどるっちゃよ〜。
 何かな〜。新潟には何があるかな〜。」
672 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/13(月) 23:49
ガキさんは言った。
「さっき駅弁食べたでしょ。」
「えっ。いや、食べとらん。福岡の駅前でとんこつ食べるつもりやったし。福岡の駅前で。」
「いい加減にしなさい!!」
「えっ。」
ガキさんに一喝されて、れいなは黙り込んだ。
塾長は言ってみれば一家の主。
みんなの衣食住の面倒も見ている訳で、
その事で文句を言われたら当然腹が立つのだ。

「うへへへ」
「何で戻ってきたの!早く行ってきなさい!」
えりりんとんだとばっちりだ。
673 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/13(月) 23:50
「トイレ、見つからないんですよ〜。」
新潟駅は広かった。えりりんの目ではトイレが見つからなかったのだ。
「ちゃんと探した?」
「探したけど見つからない。」
えりりんはくねくねっとした。
そして!その直後にえりりんの表情が一変した!
「はっ……」
この時!全員がえりりんの股間を見た!

「……………………あー大丈夫だった。」
「?!ちょっと!漏らしそうなの?!もう!何で新幹線の中でしとかないの!」
「だって」
「漏らすと、寒いからすぐに凍っちゃいますよ。」
えりりんは小春の地元民らしい、
或いは経験に基づいているであろうこの言葉を聞いて少し考えた。
そして結論を出した。
「凍るの嫌!あったかい方が気持ちいい!」
「気持ちいいって何!とにかくカメが凍ると大変だからみんなでトイレ探そう!」
674 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/13(月) 23:51
続く
675 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/15(水) 23:45
心配性のガキさんの頭の中には先ほどの小春の言葉が鳴り響いていた。


  ノノ_,ハ,_ヽ
  idl ・e・リ

“凍っちゃいますよいますよますよますよすよすよよよよ………ぞーーーー!ぞーーーー!”










  ノノ_,ハ,_ヽノノハヽo∈
  idl ・e・リ (´ゥ`o リ

「帰ってきたぞーーーー!」
676 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/15(水) 23:46
「わー!ちょっと!耳元!うるさい!それにいつまで言ってるの!」
「すいません、嬉しくて。」

「カメ、大丈夫?まだ凍ってない?」
「大丈夫ですよ?」
さて一行は、トイレを探そうと作戦会議を開くのであった。
議長はガキさんである。
677 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/15(水) 23:47
「どうやってトイレを探すかだけども。」
「福岡駅だったら案内できるんやけども。残念ばい。」
「あっそうか!小春は地元なんだ!トイレの場所分かる?」
「分かんないぞーーーーーーー!」
「うーむ。カメ、大丈夫?まだ凍ってない?」
「大丈夫ですよ?」
「さゆは?」
「トイレの思い出かー。手洗おうとして水を飲んじゃった話は有名ですよね?」
「別に思い出とかいいから。うーむ。」
「腹が減ったばい。ほれ、あそこから何か匂ってくるとよ。」

れいなは駅構内の真ん中辺りに構えられたお土産屋を指差した。
そこには一本の旗がはためいていた。
678 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/15(水) 23:48
   __
    |笹|
    |団|
    |子|
    | ̄

  バーン








  ノノ_,ハ,_ヽ
  idl ・e・リ
679 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/15(水) 23:49
「何?なんて読むの?」
「新潟名物ささだんごだぞーーー!」
「あら。ほっほー。いい匂いだねー。はっ」
ガキさんは閃いた。
「分かった!お店が真ん中にあるから匂ってくるんだ!カメ、トイレの場所分かったよ!」
「?」
「トイレが真ん中にあったら臭いが広がっちゃう。
 ほら考えてみなよ。トイレは大体はじっこにあるもんでしょ。」
ガキさんは駅の壁を指差した。
「だから!壁沿いに歩けばトイレは見つかる!」
680 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/15(水) 23:49
  ノノ_,ハ,_ヽ
  idl ・e・リ
   (   9m
681 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/15(水) 23:50
「さすがガキさん!」

そして一行は駅の壁際に身を寄せ合うのだった。
「よーし、カメ。もうちょっとの辛抱だからね!うぉっ」
「どうしたの?」
「あーカメ!ダメ!壁触っちゃダメだよ!冷たいから凍っちゃう!
 うぉっ!でも触るの癖になる!」
682 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/15(水) 23:50
続く
683 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/17(金) 21:37
引き続きガキさんは大理石で作られた駅の壁をペタペタ触って楽しんでいた。
そして優しさがにじみ出る。
「ほら、みんなも触ってみな?」
「あっ本当だ。ひんやりするぞーーー。」
「テカテカだからさゆみの顔が映るの。」
「これ夏に触ったら気持ちいいだろうねー。新垣塾を建て替える時はこの壁使おう。」
現在は平屋建ての新垣塾をビルに建て替える計画が裏では着々と進行しているのだった。

「でも新潟から運んでこれるかなー?」
「バカだなー、新垣さん。」
小春に言われてちょっとだけガキさんの眉毛が歪んだ。
「運ばなくても新潟に建てればいいんですよ。」
ガキさんの眉毛が元に戻った。
「ほっほー。小春は新潟大好きなんだねー。じゃ新潟に建てよう。」
「新垣さん横浜を捨てると?れいなだったら故郷は捨てれん。愛しとるけんね。これは福岡の話やけども」
みんなの眉毛が歪んだ。
684 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/17(金) 21:38
「よし、新潟の方は別荘にしようか。」
「そしたらまた帰ってこれるぞーーーーー!」
「次は乗り間違えんようにせんと。」

さて、えりりんはと言えば、みんなの話を聞きながらうずうずしているのだった。
引き続きペタペタしながらガキさんはその様子を見て言った。
「あーやっぱカメも触りたそうだねー……」

引き続きペタペタ

「……でもここまで冷たいと凍る可能性あるしなー……」

引き続きペタペタ

「……凍っちゃったら溶かすの大変だしなー。」

引き続きペタペタ

「壁はいいから早くトイレ!!」
「あーそうだった!」
685 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/17(金) 21:39
続く
686 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:34
さあ!いよいよ新垣塾一行は壁沿いに歩き始めた!
「さあ行くよ!みんな!ついてくるんだよ!」
687 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:35
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   |           笹団子               |
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   |麗春重亀豆                      |
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688 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:36

「あっ!ガキさんどこ行くの?!」
689 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:36
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   |           笹団子               |
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   |             麗春重亀           |
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄↓ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                       豆
                   新幹線ホーム
690 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:36

「うぉー、また乗るとこだった!」
691 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:37
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   |           笹団子               |
                               |
   |                                |
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   |                              豆|
   |                          春重亀|
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄↓ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                       麗
                   新幹線ホーム
692 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:37

「なぜ誰も引き止めん」
693 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:38
    ___________________
   |                                |
   |                                |
   |                              豆→出口
   |                              亀|
   |                              重|
   |           笹団子             春|
                                   麗|
   |                                |
   |                                |
   |                                |
   |                                |
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄↓ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                   新幹線ホーム
694 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:38

「うぉー、外は雪だ!みんなーまだ外出ちゃダメだよ!カメが凍っちゃうから!」
695 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:38
    ___________________
   |                              豆|
   |                              亀|
   |                              重←風
   |                              春|
   |                              麗|
   |           笹団子               |
                                     |
   |                                |
   |                                |
   |                                |
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     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄↓ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                   新幹線ホーム
696 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:38

「いやんスカートがめくれちゃう。」
697 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:39
    ___________________
   |    豆亀春麗            重      |
   |                                |
   |                            →出口
   |                                |
   |                                |
   |           笹団子               |
                                     |
   |                                |
   |                                |
   |                                |
   |                                |
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄↓ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                   新幹線ホーム
698 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:39

「うぉー、みんなーついて来てるか!」
「新垣さーん!道重師匠がーー!」
699 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:40
    ___________________
   | 亀  豆春麗             兎zzz   |
   |                                |
   |                            →出口
   |                                |
   |                                |
   |           笹団子               |
                                     |
   |                                |
   |                                |
   |                                |
   |                                |
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄↓ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                   新幹線ホーム
700 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:40

「うぉー、ウサギとカメ実践するな!」
701 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:40
    ___________________
   |                                |
   |重                              |
   |麗                           →出口
   |春                              |
   |亀                              |
   |豆          笹団子              |
WC←                            |
   |                                |
   |                                |
   |                                |
   |                                |
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄↓ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                   新幹線ホーム
702 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:41

「うぉー、WCだ!カメ!見つけたぞ!」
「ガキさんありがとう!うえへへへ!」

新潟駅に拍手がこだました。
703 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:42
そして、えりりんはそそくさと個室に消えていくのだった。
ガキさんホッと一息。
「はー。アタシもトイレしようっと。」
「ガキさん、えりはここです。カギ開けときますよ。」
「別に一緒には入らないよ!」
704 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/18(土) 21:42
続く
705 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/20(月) 00:15
「みんなはしなくていの?」
「もうちょっと溜めないと大きいのは出ないの。」
「そう。便秘はつらいね。あっ、小春はちょっとついて来て。」
ガキさんは小春の手を引いて個室のドアを開けた。
「あ、大丈夫だ。ありがとう小春。流すレバーあったよ。」

そして……



プーブリブリポチャンシャードドドドド

これはガキさんえりりんどっちの音だろう!
書かない所にロマンがある!
706 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/20(月) 00:16
さて、トイレを終えた一行。
しかし落ち着くにはまだ早かった。
新潟への旅は破綻をきたしはじめていたのだ。

笹団子を食べながらこれからどうするか話し合い。
「これから何処行く?」
「まず荷物をホテルに置きたいよぅ。」
えりりんは色々なおもちゃを沢山持って来ていたのだ。

れいなはホテルと聞いて思い出した様に叫んだ。
「あっ!福岡めんたいホテルの予約取り消ししとらん!」
「えっ!請求書来ると困るからすぐキャンセルしよう!」
ガキさんは早速電話を取り出した。
707 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/20(月) 00:17
                   ..      /         ............」............、
   ''^^"广 ̄´          ヽ、   /      、    {   | ,..‐''´
  j‐''''''''^T ̄ ̄ ゙̄l  ----ー‐' -ッー―''冖''''"′   ` 、、 '、  |
  │ ニ  |  ニ 、 ゝ    ノ   ヽ、、 ィ   、    .._  `'' 广 ̄ ̄" ′
  ′-...... ............-、    ./..---  丿  `ソ   、    `''‐ |  ヽ、丿
    1_,,|............│   /|   l、 /  '、......-)、     ..〔   ノゝ
    ..―‐卜---..ゝ   ’/" ̄´  ノノ_,ハ,_ヽ  丶 ,,-‐'´  |  丿  丶、
      │     、         idl ・e・リ¶)   ´     ′      `‐、
       ゝ、......r‐''′         (    ソ
708 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/20(月) 00:17
「??何か頭がかゆいなー。」
ガキさんのスケールはケタ外れだ!

プルルルルルルルルルルルルルルル

「あ、もしもし。は?うぇ?あんだって?
 ダメだ、言葉が通じない。れいなお願い。」

福岡出身れいなの出番である。
れいなはガキさんの手から電話を受け取った。
709 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/20(月) 00:18


                 電磁波
                        麗
710 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/20(月) 00:18
「もしもし。あ、めんたいホテルさん。
 予約していた者やけども…△□XX●◎▼◇○X◇△□▽」

都会っ子のガキさんとえりりんは驚いた。
「やっぱ田中っち違うね。」
「さすが原住民だね。何言ってるか全然分からない。」
711 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/20(月) 00:19
続く
712 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/22(水) 00:26
少し中断
713 名前:シリーズ THE職人 美容師 投稿日:2006/02/22(水) 00:27
1

れいなの髪の毛が伸びた。
「切るしかなか!……といっても骨付きカルビじゃないっちゃよ〜。」

ヘアカタログを取り出してページをめくる。
「どんな感じにしよか……ってコレは男のじゃ!
 まあ、れいなのヘアは男並みにモサモサやけど……ってどこのヘアじゃ!」

ドライヤーで髪に風を送る。
「ひええー、頭皮が熱かー。古い型やけん温度に揺らぎがあるっちゃよ〜」
冷風に切り替える。温風に切り替える。冷風に切り替える。
「ひええー、部屋の電気がチカチカするばい。
 アンペア上げないともたん!ボルトが低い!どっちじゃ!」
714 名前:シリーズ THE職人 美容師 投稿日:2006/02/22(水) 00:28
2

えりは困っている。
髪を洗ってもらう時の両手のやり場に。
胸で組むのか股間で組むのか。どうするのか。
「はぁはぁ。」

すぐ伸びるのですぐ切りに行ける。
715 名前:シリーズ THE職人 美容師 投稿日:2006/02/22(水) 00:30
3

道重家は甘えん坊の家系である。
「切ってよ〜。」
さゆみはお姉ちゃんに、お兄ちゃんはさゆみにねだる。

パチパチパチ
夜が更けていく。パチパチパチ

「あ、嫌だこれ。お兄ちゃんの爪切り。」
さゆみは足の匂いを嗅いだ。
「やっぱり臭くなった。」

パチパチパチ

今夜も宇部のお父さんからメールが来た。




おわり
716 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/24(金) 22:12
続き
717 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/24(金) 22:13
>>710

れいなは言った。
「誰が原住民じゃ」
「おそっ!」
えりりんは呆れた。これだかられいなはと思った。
「電話中やけん静かにしてほしいっちゃよ。
 あ、めんたいホテルさん。それで…」

れいなは電話をしながらみんなの方をチラチラ見た。
みんなは笹団子に夢中だった。れいなは大きい声で喋った。
「…ええ!予約の件!はい!件やけん!けんやけん!けんやんけ!
 いかんいかん!これじゃ関西弁ばい!はい!キャンセルで!
 あ、もうちょっとお話してもらえんっちゃろか!…ああ、そうですか。…さようなら」
718 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/24(金) 22:14
れいなはガキさんに電話を返した。
「キャンセルしたとよ…」
「あら、出来た?良かった良かった。あれ?ちょっと、何。」
れいなが電話をつかむ手を離さない!

「ちょっと、何なのこの力。離しなさい。」
ガキさんが言っても電話をつかむ手を、れいなはますます離さない!
更にはこんな事を言い出した。
「こ、この電話どうなっとるのかな?ちょっと様子がおかしか気がするかな?」
「えっ、それ本当。」
ガキさんは驚いた。そしてこう答えた。
「んー、でもいいよ。みんなの連絡先くらいしか入ってないし。」
「うっ。うう……」
「壊れたら田中っちにもまた連絡先聞くからさ。」
「うう…う……目から油が」
719 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/24(金) 22:15
          ノノハヽ
          (・e・
           ( っ¶
   ∋oノノハヽっ 彡
     从从 )
     /   /っ
     (   ノ
     しと_)
720 名前:新垣塾奇談 湯煙り旅情編 投稿日:2006/02/24(金) 22:15
第一部 おわり
721 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 00:56


    第二部

722 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 00:56
雪のそぼ降る新潟。
そこにはホテルを捜し求めさ迷い歩く新垣塾一行の姿があった。

「うぉー寒い」
「寒いですよ?」
「寒いの」
「寒いばい」

ここでガキさんはハッと気付いた。
駅を出て以来小春が黙り込んでいる事に。
「どうしたの?」
ガキさんが聞くと小春は人差し指を口元に立ててシーッのポーズをした。
723 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 00:56
  ∋oノノハヽ ノハヽヽo∈
    リ o´ゥ`)σロ´ 从
    (    / (っ  っ
724 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 00:57
「何故自分の口でやらん」
「指が冷たいから。」
「まあ、れいなの唇は暖かくて柔らかいっちゃっからね。人柄が出とるけん。」

「どう?暖かくて柔らかいっちゃろが。」
小春は無視をした。

「で、何なの。急に大人しくなっちゃって。何でも言ってごらん。」
小春はガキさんの耳元で静かに口を開いた。
725 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 00:57
  ノノ_,ハ,_ヽノノハヽo∈ヽヽo∈
  idl ・e・リ (´ゥ`o リσロ´ 从
726 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 00:58
「小春が子供のころに聞いた話なんですけど…」
「ふんふん」
「…大きい声を出すと雪崩が起きるらしいんです。」
「えっそれ本当」
ガキさんは新潟の街並みを見渡した。
「でも、そんなには積もってないよ。」
新潟駅周辺の積雪は、ガキさんの言うとおり、そんなでもなかった。
アスファルトの色も灰色とハッキリ分かるくらいであった。

「じゃ叫んでも大丈夫ですね!帰ってきたんだぞーーーー!」
「あら、ほほほ。どんどん叫びなさい。ほほほ。」
727 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 01:01
「ほほほほほ!ほーっほっほっほ!」

ガキさんに何が起こったのだろう。
この笑いは一種の優越感からくる侮蔑の笑いである。
新潟駅周辺のビル郡を見て、思わずこんな嫌な笑いが出てしまったのだ。

ガキさんは新垣塾が遠征試合で地方を訪れる度に、
その地方のビルと、自らが拠点を構える横浜のビルとを、
心中で戦わせる通称ビルジャンケンを行うのである。
728 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 01:03
<各地の高層ビルと新垣塾戦いの歴史>

横浜 ランドマークタワー 296m
大阪 ワールドトレードセンター 256m (対 荒井紗紀)
東京 東京都第一本庁舎 243m (対 信田美帆)
東京 サンシャイン60 240m (対 三佳千夏)
千葉 幕張プリンスホテル 180m (対 石村舞波)
札幌 JRタワー 173m (対 りんね)
広島 アーバンビューグランドタワー 166m (対 石井リカ)
宮城 アエル 146m (対 末永真巳)
札幌 D'グラフォート札幌ステーションタワー 143m (対 石黒彩)
福島 ビッグアイ 133m (対 小湊美和)
千葉 エアレジデンス 117m (対 市井紗耶香)
千葉 鴨川グランドタワー 105m (対 大木衣吹)
高知 トップワン四国 100m (対 前田有紀)
三重 四日市港ポートビル 100m (対 平家みちよ)

海外編

中国 Jin Mao tower 421m (対 ルル)

番外編

奈良 東大寺盧舎那仏像 14.7m (対 加護亜依)
729 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 01:05
もちろん遠征試合もビルジャンケンも、全て負け知らずの白星なのだ。
(判定はガキさん。)

「ほほほほ!」
高笑いはまだ続いていた。寒さも吹き飛ぶ高笑いだった。
新潟とはビルジャンケンをするまでもない!そんな心中だった。

しかしガキさんの目には、朱鷺メッセにそびえる日本海側で最も高い、
強敵万代島ビル141m(展望台あり)、その姿がまだ見えていなかった……。
730 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 01:06
続く
731 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 23:39
しかし、今回は温泉宿への旅なのでそっちには行かない。

「早くホテルを!ホテルに!ホテルへ!」
荷物を置いてお茶を飲んでホッとしたいえりりんの悲痛な叫びがこだまする。
「手がちぎれますよ?」
荷物がえりりんのかじかむ手に食い込んでいる。
「ほら見て。」
荷物を置いてガキさんに指を見せるえりりん。
「どれどれ。」
ガキさんが見てみたら指の付け根が真っ赤だ。
732 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 23:40
そしてガキさんは言った。
「ハーハーッてしなさい。」
「ハッハッー。」
「ハッじゃなくてハーでしょ。」
「ハーハーッ……凄い!ハッよりハーの方が暖かい息が出る。さゆもやってみて。」
しかし、さゆみんは冷静な調子でこう答えた。
「知ってるの。」
「えっ。」
「それに、さゆみはもっと凄い発見してるの。」
「えっ。」
「フーだと冷たい息が出る!」
733 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 23:40
  oノハヽo
  从*・ 。.・)
   (   c9m
734 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 23:41
えりりんは言った。
「……ヒドイよ…さゆは今のえりにそれ試せって言うの…?こんな指なのに…?」
雪は一向にやむ気配を見せない。
「本当だもん。」
「さゆの事信じてないわけじゃないよ?信じてるからこそフーって出来ないんだよ?」
灰色の雲が新潟の空を覆っている。
「じゃ熱い時は言って。さゆみが冷ましてあげるから。ね?」
「うん。お茶が熱くて飲めない時に言うね。ありがとう、さゆ」
「うん、えり。」
雲の切れ目から、太陽が今かすかに覗いた。

「だからガキさん早くホテル見つけてよ。」
「じゃ下らない事やってないでさっさと歩きなさい。」

そして一行はいつの間にか裏通りに来ていた。
「あっ、見て!可愛い!」
735 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 23:41
  oノハヽo
  从*・ 。.・)
   (   c9m
736 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 23:42
さゆみんが指差す先には、まるで中世の洋館のような建物がそびえ立っていた。
近寄ってみる一行。そこには英語の看板。














  ノノ_,ハ,_ヽ
  idl ・e・リ
737 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 23:43
「ホテルって書いてあるじゃないの。ん?違う?違わないね。」
ガキさん看板読めた!
「新垣さん。さゆみ、ここに住みたい」
「住むのは無理!でも何か安いねー。休憩3000円からってあるよ。」
「あっ、もう歩けないっぽい。」
突然さゆみんが道端に座り込んでしまった。
「ちょっと!赤ちゃん!」
「えりもここでいいと思います。むしろ、ここが。」
えりりんは真剣な眼差しでガキさんを見つめた。
ガキさんはその顔に不可解な印象を受けたが、
すでに疲れて足が棒(えりりんは丸太)だったので気にしないでおく事にした。

「じゃ、ここ入ろう。」
そして一行はホテルの中に入っていくのであった。
「うへへ」
738 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/03(金) 23:43
続く
739 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/06(月) 00:50
ホテルの中は、中世のお城の様な外観から想像されるものとは雰囲気が全く違っていた。
さゆみんもこんな事を言っている。
「お城みたいかと思ったのに全然違うの。」
それ程である。

照明も暗くじんめりと湿った空気が漂う空間に一行は立ち尽くした。
「うぇー、失敗しちゃったかな。」
「新垣さんのバカ!」
「うぇー。ゴメンね、さゆ。引き返そうか。」
「いや、ちょっと…少々待ってください。」
ふいにえりりんが大人びた表情を見せた。
「えりは気に入ったな、むしろ。ここに泊まりましょう。宿泊をしましょう。」

ガキさんは訝しい気持ちになったが、
すでに疲れて足が棒(えりりんは丸太)だったので気にしないでおく事にした。
740 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/06(月) 00:53
「じゃ、フロントでチェックインしないと。」
「いいでしょう。しましょう、チェックインを。フロントはどこですか?」

見回してもそれらしい場所はない。
一階に見えるのはホテルの見取り図とエレベーターと階段だけだった。

「ほれ、普通は鈴があるばい。鈴といっても猫の首にかかってるのじゃないっちゃよ〜。」
「知ってるよ。」
741 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/06(月) 00:53

          ノノハヽ
          (・e・
           (
   ∋oノノハヽ
     从从 )



742 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/06(月) 00:54
「あれでしょ。押してチリーンって鳴らすやつでしょ。」
「そうっちゃ。だかられいなの首を見ても見つからないっちゃよ〜。」
743 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/06(月) 00:54

  ノノハヽ
   ・e・)
     )
       ノノハヽo∈
      ( 从从



744 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/06(月) 00:55
「何をチラチラ動いてるの!探してるのに見えないでしょーが!」
「うう…」

その時小春が叫んだ。
「あっ、あれを見てください!」
745 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/06(月) 00:55
続く
746 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/06(月) 23:23
小春が見つけたのはこんなパネルだった。
えりりんは鼻息荒げに読み上げた。
「ガキさん!“はじめてごりようするおきゃくさまへ”って書いてありますよ?」
「うん、読める。」
「小春は初めてなんです。」
「うへへ」
「じゃ、ここに書かれてる通りにやってみよう!」
747 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/06(月) 23:27
1.部屋のパネルを見て空いてる部屋を選ぶのだ


「あたしはにぃにぃだから212号室にしようかな。おほほほ」
「じゃ、さゆみは383号室にする。」
「それじゃ、さやみばい!ヒャッヒャッヒャ。さやみ!」
「じゃ、しげさんの453号室にする。」
「しごさん!しごさん!」
「……ぐすん、ぐすん。れいななんて…017号室に行っちゃえ…。
 ……0階に、お前なんて…お前なんて死んで霊界に行ってしまえ!」
748 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/06(月) 23:27

   oノハヽo ノハヽヽo∈
   从*・ 。.・)σロ´ 从
    (    / (っ  っ
749 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/06(月) 23:30
「ねえ、ちょっと。お部屋は全てダブルベッドになっております、だってさ。」
「あっ、という事は…」

小春がカバンからそろばんを取り出しパチパチやり出した。

パチパチパチ
「出た!5人が1つずつ部屋を借りたらテンベッドになっちゃいますよ!」
それを聞いて、ガキさんは腕組みをして考え込んだ。
「うーん、多すぎる。ファイブベッドで充分だもんねー。3部屋だとどうなる?」
750 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/06(月) 23:31
「待ってください!」
パチパチパチ
「出た!3部屋借りるとシックスベッド!」
「2部屋だと?」
パチパチパチ
「ベッドフォー!」

「うーん…むにゃむにゃ。」
ガキさんは考えすぎて眠くなりながらも、どうにか回答を導き出した。
「じゃ、2部屋借りて一人が床に寝るか、3部屋借りて一人が一人ぼっちで寝るかだね…むにゃむにゃ。」
「そ、その運が悪い一人は誰になるとですか?」
751 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/06(月) 23:32

  ノノハヽ
   =e=),, ウツラウツラ
     )
       ノノハヽo∈
      ( ;从从


752 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/06(月) 23:32

          ノノハヽ
          ,,(=e= ウツラウツラ
           (
   ∋oノノハヽ
     从从; )



753 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/06(月) 23:32
続く
754 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/08(水) 23:46
2.エレベーターで空いてる部屋に行くのだ


「とりあえず部屋は殆ど空いてるみたいです。早く、早く行きましょうよ。」
えりりんに急かされる様にして、一行はエレベーターに乗り込んだ。
755 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/08(水) 23:47




┌───┐
│豆亀重│
│春麗  │
└───┘
756 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/08(水) 23:47

┌───┐↑
│豆亀重│,,|
│春    │,,|
└───┘,,|

   麗
757 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/08(水) 23:47
└───┘





   麗
758 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/08(水) 23:49
3.料金は部屋のカギを閉めてから加算されていくのだ


「これが良く分からない。」
ガキさんは部屋の前まで来て頭を抱え込んだ。
「休憩一時間3000円で30分延長ごとに500円加算されるとか何とかかんとか……うわー!」
ついにガキさんは気絶してしまった。

新垣塾のサイフの紐を管理する身に訪れた悲劇だった。
5人もいるから計算はかなり複雑になるのだ。

「新垣さん!」
駆け寄るさゆみん。
「新垣さん!」
さゆみんはガキさんの鼻をつまんでみた。
「うーん。」
「苦しそうなの。」
759 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/08(水) 23:51
こうして、一つ目の部屋はガキさんと救急ナースさゆみんが借りる事に決まった。

残るは二つの部屋分けである。
「れいなは床で寝るのも一人で寝るのも嫌ばい。」
「小春も寂しいから嫌です。」
「いいよ、えりは一人で。」
「という事はれいなは小春と一緒の部屋っちゃね。これでもう寂しくないっちゃよ〜。」
どうだろうか。
760 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/08(水) 23:52
「じゃ、えりは疲れたからもう寝るね。おやすみ。」
それだけ言い残して、えりりんはそそくさと部屋の一室に消えていくのだった。

バタン

「さゆみも新垣さんの看病を早くしたいから、じゃ。」
さゆみんもガキさんを引きずりながら部屋に入っていった。

バタン

「じゃ、小春もれいなと一緒に行くっちゃ。」

バタン

「小春ちゃん、ドア開けてくれんやろか。」
761 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/08(水) 23:53
続く
762 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/10(金) 00:27
さて、部屋に消えていったそれぞれの顛末やいかに!
まずはガキさんとさゆみんを見てみよう。

「熱い熱い熱い!」
そう叫んでいるのは稲川淳二ではない。
ガキさんであった。おでこを押さえてうずくまっている。
「どうしたんですか!」
すかさずおでこを触るさゆみん。
「凄い熱。」
「あんたが引きずるからでしょーが!摩擦!摩擦!」
「まかせてください。フーフー」
「わー本当に冷たい息が出る…って冷まさなくていいから!」
「すっかり元気ですね、心配しました。」
「みんなは?」
「もう部屋に入っていきました。」
「あっそう。」
763 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/10(金) 00:28
ガキさんは部屋を見回した。
普通のホテルの部屋と変わらなかったので安心した。

しかし、さゆみんにはそれが逆に物足りなかった。
さらにガキさんが目覚めた事で、さっき芽生えた責任感みたいなのも萎えてしまった。
「あーあ、つまんないなー」
そして突然にわがままになってしまうのだった。
「全然お城じゃないし」
こんな事を言ってみてガキさんを困らせようとするのだった。このわがまま娘!
しかし、ガキさんも芯の強い人だから決して引かないのだった。
「白馬に乗った王子様いないかなー。」
「いないよ。」
764 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/10(金) 00:28


  ノノハヽ
   ・e・)
     )
       ノハヾヽo
      (。.・*从从


765 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/10(金) 00:28
「あっ白馬!」
「はい冷蔵庫冷蔵庫。」
「あっ王子様!」
「はい湯沸かしポット湯沸かしポット。」
766 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/10(金) 00:29


          ノノハヽ
          (・e・
           (
    oノノハヾ
    从从*・.。)


767 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/10(金) 00:29
「あっ白馬!」
「二度も言わないでいいよ。」
「今度は本当!」
「うぉー!何だこれはー!」
768 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/10(金) 00:30


                  ミ ∧
          ノノ_,ハ,_ヽ  / ・
        ∩cl; ・e・リ (_,,
         ヽ    ⊃
    oノノハヾ
    从从*・.。)
769 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/10(金) 00:30
続く
770 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/11(土) 00:09
見え見えのオチなので先に言っておくが木馬である。
「うぉー、死んだフリ死んだフリ」
「それは熊ですよ。」
「うぉー、乳搾り乳搾り」
「それは牛ですよ。」
「うぉー、うぉー、うぉー……はあ。」
「作り物の馬みたいですね。」
「うん、でも何でこんな所に置いてあるんだろう。」

木馬は部屋の真ん中にヒヒーンと置いてあった。
「よく見ると可愛いかも。」
さゆみんは木馬の顔に頬ずりした。
「やめなよー。何か、汚かったらどうするのよ。」
そう言いながら、ガキさんも木馬の背中をペタペタ触った。
「何でこんなに背中が尖ってるんだろ。」
見え見えのオチだったろうが、三角木馬である。
オプションアイテムの片付け忘れなのであった。
771 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/11(土) 00:10
さて、その頃えりりんは!

「全然普通の部屋じゃん。つまんないの」
えりりんの選んだ部屋には片付け忘れのアイテムなどは何もなく、正に普通の部屋だった。
見え見えだったと思うが、ここはラブホテルである。
えりりんはマンガなどで断片的な情報を摂取していたので、
ラブホテルに過剰で過激な期待を抱いてしまっていたのだ。ままある事である。

「お風呂はどうかな?」
772 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/11(土) 00:11


   凹


  ガーン
773 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/11(土) 00:11
「何コレ!」
えりりんが見つけたのはプラスチック製の、くぼみのついた椅子だった。
えりりんはくぼみに腕を差し込んでみた。
「あ、ちょっといいかも。」
そのくぼみは腕を差し込む為にあるから当然だ。
「もうちょっとこのくぼみが狭かったら気持ちいいのに。」
狭すぎると腕がちゃんと通らないので、座る人が気持ちよくないのだ。

さて、その頃小春とれいなは!
774 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/11(土) 00:12
続く
775 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/12(日) 01:20
「回文でもすると?」
「or三点倒立?」
「orモノマネon stage?」

返事はない。

「こんな感じでよか。」
れいなの心の中のシミュレーションだからである。
「小春ちゃ…」
「わたしお風呂☆彡入ってきます。」

若いから新陳代謝がいい。

「一緒に☆彡入りますか?」
「うう…一人でゆっくり入った方が疲れが取れるけん。」
「あ、そう」

れいなはこれだからきらりんレボリューションを起こせないのである。
776 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/12(日) 01:21
その時、れいなの携帯電話が鳴った。れいなはすぐに出た。
「もしもし。」
「あ、塾長だけども。夕飯どうするの」
すっかり日暮れ時だった。
「ルームサービスとか頼む?」
「それでよかです。とんこつ味のルームサービスをお願いするばい。」
「じゃ、それぞれが頼むという事で。で、明日どうするの。」
気の早い里沙を追うように、夜がどんどん更けていくよ。
「新潟の温泉街教えてほしいから、小春と電話替わって。」
「うう…」

「もしもし。」
「あ、塾長だけど。明日の予定だけど。」
「楽しい旅になるとよかたいね。」
「早く替わりなさい!」
777 名前:777 投稿日:2006/03/12(日) 01:21
続く
778 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/12(日) 23:33
その後、明日の予定はすんなり決まり、
今日はこのまま明日の朝まで解散という事になった。

もちろん、えりりんにもこの報告はなされたのであったが、
部屋の中一人で時間を持て余していたえりりんにとっては不満いっぱいの報告だった。
そして、また今夜も一人ヒャクマミスクワットをしてしまうえりりんなのであった。(丸太)

その頃ガキさんとさゆみんはお風呂でシャワーを浴びていた。
二人とも裸。

「いやん熱い。」

さゆみんは叫んだ。熱湯がシャワーから吹き出てきたのだ。
すぐに蛇口をひねってお湯を止めるさゆみん。
779 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/12(日) 23:34
「フーフー」
「シャワーにフーフーしてどうするの。」
「調整が難しいです。」
ホテルではままある事だ。

「じゃ、湯船の方に来なよ。」
ガキさんはシャワー派ではなく、スケールの大きな湯船派である。
お湯を目いっぱい張って目いっぱい溢れさすのだ。
それはもう、バスタブの外と中とどっちが風呂か分からなくなるほどである。
この時ガキさんは船であり海であり風であり太陽なのだ。

「それでは失礼します。」
さゆみんが湯船に入ると、落ち着いていた水面がまた荒々しく波立ちはじめた。
おっぱいの体積はガキさんより上である。
「あら?おほほほ、なかなかやるねえ。」
「あら、そうですか。おほほ」

こうして新垣塾の夜は更けていくのだった。
780 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/12(日) 23:34
一日目 おわり
781 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/14(火) 23:39



   二日目


782 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/14(火) 23:39
翌朝……洗面所で歯を磨く一行の姿があった!
ガキさんは歯ブラシに歯磨き粉をムニョリンコ。
「わー新垣さん、つけすぎじゃないですか?」
「ん?そう?」
それはもう歯ブラシとそれを持つ手とどっちが歯ブラシか分からなくなるほどであった。流石である。

その頃、隣の部屋の小春とれいなも洗面所で歯を磨いていた。
新潟歯茎美人、小春は塩で歯磨き。正しく塩の道である。
その横ではれいなが青い顔をしていた。
「どうしたんですか?」
「オエッ!オエッ!」
「大丈夫ですか?」
「オエッ!オエッ!」
歯ブラシを口に入れる度にえづくれいな。
「この後タクシーに乗るかと思うと…オエッ!オエッ!」

一行は温泉街までタクシーで行く事に昨晩決まったのだ。
783 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/14(火) 23:40
そしてえりりんは電動歯ブラシ。
784 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/14(火) 23:40
「さて!チェックアウトしようか!」

4.料金はエアシューターから払うのだ


ホテルの各部屋の隅にはフロント直通のパイプが備えられている。
料金をその中に入れて届ける仕組みになっているのだ。

フロントに電話をするガキさん。
「はい。10000円ですね。」
パイプの中にあった直径20センチ足らずのカプセルにお金を入れてボタンを押す。
すると、空気の圧力によりカプセルはあっという間に目の前から消えた。
「凄い!」
「可愛い!」
「どういう仕組みなんだろう?!」
もちろんガキさんは新垣塾本部にもこういう設備が欲しいと思った。
785 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/14(火) 23:41
少しするとカプセルが戻ってきた。
中を開けると一万円札が一枚入っていた。
「何で戻ってきたんですかね?」
「うん、チップ要らないのかな?」
ガキさんのスケールのでかさはエアシューターを駆け回る!

「みんなはちゃんと出来たかな?」

その時、部屋のチャイムが鳴った。出てみるとあいつだった。
786 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/14(火) 23:42
「あら、たなかっち。小春も。グッドモーニング。お金払った?」
「払ったと。」
「カメはどうしたんだろう。嫌な予感するなー。部屋行ってみよう!」

ガキさんたちは急いでえりりんの部屋に行った。

「だー!やっぱり!」
787 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/14(火) 23:42

     |::__|
     |:|   l|
     |:|ノノハヾ
     |:|ー^*bリ
     |:と   )
     |:レヽノ
     |:| し'l|    /
     |: ̄ ̄|  /
     |:    |/
 ̄ ̄ ̄

     ガーン
788 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/14(火) 23:44
そこにはパイプに入り込もうとするえりりんの姿があったった!
見え見えだったろうが。

「あ、ガキさん。今からお金払いに行ってきます。」
「自分で行かなくていいの!ほら、カプセルあるでしょ。」
「えり、さすがにこれには入れないな。」
「パイプだって無理でしょ。ほら、お金を入れるの。」
「はー。なるほど。」
「はい、これでよし。あっ、たなかっち達はチップ入れた?」
「福岡にそんな風習はなかとですばい。」
「じゃ、たなかっち達の分も入れとこう。」

カプセルにお金を入れてボタンを押すと、
空気の圧力であっという間にカプセルは目の前から消えた。
「どう、凄いでしょ。ほほほ。」
ガキさんはえりりんに得意げな顔をした。
「うん、凄い。」
改めて新垣塾本部にこういう設備がほしいとガキさんは思った。
789 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/14(火) 23:45
少しするとカプセルが戻ってきた。
中を開けると一万円札が10枚入っていた。
「あ、やっぱり戻ってきた。おっかしいなー。」
ガキさんのスケールのでかさはエアシューターを駆け回る!

一行はホテルを出た。
外は昨日の雪が嘘のようにカラカラに晴れ渡っていた。
「さあ、行こうか!!」
ガキさんの声が澄み渡る青い空によく似合う。
「温泉にレッツゴー!!」
790 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/14(火) 23:47
第二部 おわり
791 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/17(金) 00:24


     第三部


792 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/17(金) 00:25
「全然タクシー止まってくれないねー。」
「ろくに車も通らんばい。ヒャッヒャッヒャ。田舎!」
晴れ渡る新潟の空の下、そこにはタクシーを呼び止めようと手を振る新垣塾一行の姿があった!
かれこれ一時間はヘイタクシーしっぱなしであったが、ちっとも止まらないのである。
「何が悪いんだろうねー?」

という事で一人ずつ順番にヘイタクシーをしてみて、それをチェックする事にした。

「じゃ、まずカメからやってみなさい。」
793 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/17(金) 00:25


ハヽ
´ゥ`)
ノハ                       ∩ノハヽヾ
・e)                       ヽ(^ー^*bリ
ハヾ                        ヽ    )
・.。)
ハヽ                       ヘイ、タクシー
从 )
794 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/17(金) 00:26
「どう?みんな。」
「ちょっとくねくねしすぎ。あとにやにやしてる。あと色が黒い。あと目が細い。あと体が分厚い。」
物凄い勢いでさゆみんが喋りだした。
「あと、あと………でもでも、そんなえりが好きだよ!」
二人は抱き合った。
「はいはい、次。じゃ、たなかっち。」
「オエッ!オエッ!」
「はいはい、次次。」
「じゃ、さゆみが。」
おもむろに口を開くさゆみん。自信に満ち溢れた表情だ。

「行きます。」
795 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/17(金) 00:26


ハヽ
;´ゥ`)                      lVi         ミ ∧
ノハ                       (cソノハヾヽo  / ・
;・e)                       ヽ(・ 。.・*从 (_,,
ハヾ                         ヽ    )
;^ー)
ハヽ                       ヘイ、タクシー
从;)
796 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/17(金) 00:29
「どうでした?どうでした?うさちゃんヘイタクシー。可愛くなかったですか?」
「ウサギより馬が気になる!何で持ってきちゃったの!!」
「だって、お別れしたくないもん。」
「ほらほら頬ずりしない!」
「はっ!これに乗ってけばよかと!馬なら酔わんばい!あっ何じゃこの背中は!」
「ねえ、れいな。この上で三点倒立してみてよ。」
「そんな事したら脳みそが裂けるばい。」
「これじゃタクシー止まってくれる訳ないよ…。はあ。」
797 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/17(金) 00:31
ガキさんはため息をついた。
吐く息が白い。晴れていても真冬の新潟である。
冷たい風が吹きつけている。このまま立ち往生する訳にいかない。
木馬に頬ずりするさゆみんにガキさんは、塾長として、一家の主として言わねばならないのだ。

「寂しくてもお別れしなさい。ね?」
「嫌なの」
「あのねー、わたしだって…わたしだってホワちゃんとお別れするの辛かった……」

遠い目をするガキさん。
みんなはホワちゃんの思い出話に耳を傾けた。
798 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/17(金) 00:31
続く
799 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/20(月) 02:25
「あれは……



あれは、17年前の10月。

わたしのお母さんは叫んだ。
「産まれる!産まれる!うーまーれーるー!」
わたしのお婆ちゃん、つまりわたしのお父さんのお母さん、
沖縄で産婆さんをやっていたババちゃんはこう叫んだ。
「産んで!産んで!うーんーでー!」

そしてわたしが産まれた。
「オギャー!オギャー!オーギャーア!」

里沙と名付けられたわたしはスクスク育った。
「里沙も大きくなったなー。そろそろ横浜は里沙にまかせてもいいかもしれんな。」
大物事業家だったお父さんはわたしの為に新垣塾を設立してくれた。
わたしは当初、批難の言葉を色々言われたけど、
横浜をいいビルが沢山あるいい街にしようと頑張った。
800 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/20(月) 02:27
「よし。横浜は里沙にまかせた。」
わたしが頑張ったおかげで、
安心して海外に目を向けられるようになったお父さんは、ついに日本を離れることになった。

港から船出するお父さんに、わたしは別れの紙テープを投げた。
「上手く飛ばないなー。」
801 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/20(月) 02:27
             ノ_,ハ,_ヽヽ
            ∩・e・ lbリ
             ヽ  ∩)








`゙''‐ー-....__   ビシュッ
`''''‐--..,,_ `^''ー--..、 ノ_,ハ,_ヽヽ
      `゙゙''ー--ヽ⊂(・e・ lbリ
             ヽ  ⊂)
802 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/20(月) 02:28
「あっ飛んだ!」
眉毛ビームが誕生した瞬間だった。

そして、お父さんは別れる間際にわたしに小箱をくれた。
「パパ、コレ何?」
「開けてごらんなさい。」
「うぇー、ハムスター!わたし、欲しかったんだ!パパ、ありがとう!」
「大事に育ててくれ。」
「うん!」



 ……そして、これがそれ。」
ガキさんは胸ポケットから小箱を出してみんなに開けて見せた。
ひからびて真っ黒けのハムスターの姿がそこにあった。
803 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/20(月) 02:30
「いやん気持ち悪い。」
「ちょっと、さゆ!わたしのホワちゃんに何を言うの!あんたの馬の方が気持ち悪い!」
ガキさんは真っ黒けのホワちゃんをペタペタ撫で回した。
「新垣さんもホワちゃんとお別れしてないじゃないですか。」
「したよ。檻から出して箱に入れる時にサヨウナラって言った。今はたまにペタペタ触るだけだよ。」
「さゆみもたまに頬ずりするだけ。」
「ダメダメ。大きいからかさばるでしょ。わたしのホワちゃんは、ほら。」

胸ポケットからホワちゃんを出したり入れたりしてみせるガキさん。
その度にホワちゃんの渇いた体の皮が、擦れて地面にこぼれ落ちた。
804 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/20(月) 02:31
「じゃ、頭だけでもちぎって持っていきたい。」
「ダメダメ。頭だけでもホワちゃんの10倍くらいあるじゃない。」
「じゃ、目玉。」
「目玉だけ取れるならいいよ。」
「やってみます。」
さゆみんは木馬の目玉をえぐり出そうとした。
「……取れた!……いやん気持ち悪い。」
さゆみんは取り出した目玉を放り投げた。
そして、がらんどうの眼窩を晒している木馬を見て、こう言った。
「いやん気持ち悪い。もういらない。」
「あら、そう。」
805 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/20(月) 02:31
そして、一行は再びヘイタクシーをし始めるのだった!!
806 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/20(月) 02:33
続く
807 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/21(火) 00:15
「よし、じゃ次は小春がヘイタクシーやってみなさい。」








ハヾ
^ー^)
ノハ                       ∩ノノハヽo∈
・e)                       ヽ(´ゥ`o リ
ハヾ                        ヽ    )
・.。)
ハヽ                       ヘイ、タクシー
从 )
808 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/21(火) 00:16
「声はいいねー。声優かなんかやったらいいかも。あたしが仕事見つけてきてあげる。」
「お願いします、塾長。」
「よし、じゃ次は……あたしかー。」
ガキさんはおもむろに電話を取り出した。
「あ、もしもし。新潟駅の近くの、お城みたいなホテルの前です。お願いします。」

「……みんな!今タクシー呼んだから、もう来ると思うよ!」
流石である。ヘイタクシーのスケールが違う。
809 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/21(火) 00:17
さて、タクシーを待っていると、れいながこんな事を言い出した。
「どうしてもタクシー乗らんといかんですか?」
「乗らないでどうするのよ。」
「歩いて行けないもんやろか?」
ガキさんに懇願するが、願いは届かない。
「無理無理。徒歩は無理。とほほ……ってなもんで。」

れいなは無視をした。
ガキさんが少し痩せた。

「あっ、タクシーが来たりして。」
810 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/21(火) 00:23
一行はガヤガヤ騒ぎながらタクシーに乗り込んだ。
運転手は車内が女の子の香りに包まれていくのを感じて、ヒャッホーとい気分だっただろう。
しかし、そんな気分もすぐに打ち砕かれる事になる。
「後ろは揺れるから、たなかっちは助手席に乗りなさい。」

運転手の舌打ちが俺には聞こえる。
しかし、やがてそれもエグゾーストノートにかき消されるだろう。
雪が微かに残る車道を、今まさに疾駆しようとタクシーは唸りをあげ始めた!
811 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/21(火) 00:24
続く
812 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/22(水) 21:26
無言の運転手にガキさんは言った。
「あのー、新潟こしひかり温泉までお願いします。」

それでも運転手は無言だった。
だが、それでいい。マシンの速度は言葉を超えるから。
813 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/22(水) 21:26



三≡(´⌒;: ブオー


814 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/22(水) 21:27
「着いた!」
「酔う暇もないくらい速かったばい。」

これは比喩である。

新潟の街からこしひかり温泉までは結構な距離だ。
それを示す様に景色は、街中のソレから、風光明媚な温泉地のソレにすっかり変わっていた。
815 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/22(水) 21:30
白い雪を背負った荘厳な山々からは、湯煙りが立ち上り交差している。
「見て!山から煙が出てるの!可愛い!」
さゆみんは宇部工業地帯のパイプから出る煙しか知らないのだ。
「火事?!」
ガキさんは横浜の中華街火災しか知らないのだ。
「あれが湯煙りというものです。」
小春の言う通りである。
「ほへー。」

感動するガキさんとさゆみんであった。まだタクシー車内である。
しかし温泉地初体験だったりすると、湯煙りごときでも案外と感激してしまうものなのだ。
816 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/22(水) 21:31
「早く温泉に入りたいものですねー、新垣さん。」
「いやー全くだねえ、さゆ。」

一度裸を見せ合った者同士、絆が深まるのは男も女も同じである。

「小春ちゃん、得意のそろばんでタクシー料金計算してくれん?」

「おおっと!目の前にメーターがあったっちゃ〜!幾らかな〜。」

「ああっ!今メーターが動いたっちゃ〜。れいなの目は節穴じゃないっちゃよ〜。」

運転手は黙ってドアを開けた。お金を払うタイミングである。
817 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/22(水) 21:33



三≡(´⌒;: ブオー


818 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/22(水) 21:34
一行は走り去るタクシーを見送った。
ガーン!ようやく温泉地に着いたのだ!!

「着きましたね……。うっうーん。」
えりりんは伸びをした。
トランクから出たばかりで、その目には陽の光が眩しそうだ。

ガキさんもしみじみと言った。
「いやー本当にようやく着いたよー。」
実際は昨日の今日で二日目であるが、
ここまで来るのに三ヶ月くらいはかかった感じがした。

「さあ、行こうか!!」
ガキさんの声が澄み渡る青い空によく似合う。
「旅館にレッツゴー!!」
819 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/22(水) 21:34
続く
820 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/23(木) 23:07
歩き出す一行。
しかし、何やられいなが顔を歪めに歪めて立ち止まった。

「何か臭ってこん?」
れいなの鼻はもはや人間のそれを超えている。
しかし、ガキさんも負けてはいない。
「うん。あたしもさっきから感じてた。」
821 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/23(木) 23:08
「こういうのは言い出した人が犯人だと思います」
えりりんはそう言ってれいなの後ろに回りこんだ。
「何をしとる。」
「れいなお得意のとんこつっ屁でしょ。」
「違うわ!よしんば、れいなのとんこつっ屁スープだったとしても何で後ろに回り込むんじゃ!」
「はっ危ない!」
今度はさゆみんがれいなの後ろに回りこんだ。
「フーフー。」
「冷ましてどうすんじゃ!れいなのとんこつっ屁スープ濃コクは熱々が旨いんじゃ!って何を言わすんじゃバカ!」
822 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/23(木) 23:09
大騒ぎしているこれは、硫黄の臭いである。

つまり、こうだ。

硫黄を臭う「おい!」
823 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/23(木) 23:09
いおうをにおうおい!
→          ←
824 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/23(木) 23:10
      い↓
      お
      う
      を
      に
      お
      う
      お
      い
      !↑
825 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/23(木) 23:10
続く
826 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/25(土) 23:43
「よし、ここに泊まろうか。」
古風で情緒豊かな旅館をニコニコ顔で指差すガキさん。写真に撮っておきたい。

「お待ちしていました。お早いお着きで。」
「あら、どうも。ほほほ。」
「お名前は?」
「新垣です。」
宿帳を見る女将。しかしそんな名前は何処にもない。
曇る女将の顔を見て、ガキさんは言った。
「あらがきじゃなくてにいがきですヨ。おほほ。」
改めて宿帳を調べるが、やっぱりそんな名前は何処にもなかった。
「あの…ご予約は」
「してません。」
827 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/25(土) 23:44
ガーン!
あらかじめ予約していない新垣塾一行は泊めてもらえなかった!
古風な佇まいでもシステムは現代的なのだ。

結局一行は、予約なしでも泊めてくれる、
真なる意味での昔ながらの旅館を探す事になったのだった。
828 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/25(土) 23:45
「一通り回ったけどダメだったねー。どうしようか。ぽりぽり。」
「どうしましょうかね。ぽりぽり。」

一行は新潟名物、柿の種を食べながらしばしの休憩をしていた。
そこにれいながやってきた。

「ほれ、飲み物買ってきたとよ。わしにも柿の種よこせ。あっピーしかない!」

えりりんはアレルギーがあるので柿の種中心、
さゆみんもぶつぶつ対策で同様のローテーション。
結局袋の中身は余りまくったピーナッツだけなのだった。
829 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/25(土) 23:48
れいなは愕然とした。
「どういう事じゃ。これは。」
えりりんはそんなれいなに言った。
「ピーナッツ埋めればいいじゃん。」

そこに小春が駆けてきた。
「皆さーん。おにぎり貰ってきましたー。
 旅館の人が、泊めるのは無理だけどおにぎり持っていきなさいって。」
まるで戦後である。しかし、おにぎりは4つしかなかった。
「れいなはピーナッツがあるからいらないよね。」
ガキさんと可愛い仲間たちは新潟産の美味しいお米を味わった。
れいなはピーナッツを地面に埋めて、いつ実がなるか一生待っていたそうじゃ。





おわり
830 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/25(土) 23:48
続く
831 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/31(金) 00:04
「どうでした?」
「うん、泊めてくれるって。はじめからお金見せればよかったんだね。」
ガキさんは旅行カバンをポンポンと叩いた。

ようやく見つけた温泉旅館は古風な佇まいで情緒豊かな旅館だった。

ぞろぞろ入ってきた一行に、仲居さんがスリッパを差し出す。
「何じゃこのスリッパは。」
旅館のちょっとした備品に、客に対するその宿の姿勢が見え隠れするものである。
「マイスリッパ持ってくれば良かったばい。」
しかし、この場合はれいなが一方的に悪い。
ただ単にベージュの地味な色合いに不満だったのである。
ちなみに普段は原色の便所スリッパを履かされているれいなである。
832 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/31(金) 00:06
一行が案内された部屋は、古風な佇まいで情緒豊かな和室だった。
窓の外には日本庭園が広がっていて、古風な佇まいで情緒豊かだった。
「あーいいねー。」
古風な佇まいで情緒豊かな雰囲気にみんな大満足である。

しかしそんな雰囲気をぶち壊す様に、れいなの叫び声が部屋に響き渡った。
「何じゃこれは!」
ガーン!れいなの鼻から吹き出る鼻血!
「きっとピーナッツ食いすぎたせいばい!」

真っ赤に染まるベージュのスリッパ!ガキさんは言った。
「部屋の中はスリッパ脱がなきゃダメでしょ!」
ガキさんはマナーの悪い子が嫌いなのだ。
833 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/31(金) 00:07
叱られてもれいなの鼻血は止まらない。
「助けてくれんね!」
「???」
「助けてくれんね!」(助けてください!)
「あー助けてって言ってるのかー。よし、じゃ鼻に詰め物しないと。」
しかしガキさんはおっとうっかりティッシュを持ってくるのを忘れていた事に気付くのだった。
しかし、そんな事が塾生にバレてしまったら塾長の威厳が損なわれる。
「……さゆ、お願い。」
「嫌。ティッシュが汚れちゃうの。」
淡いピンクの可愛いティッシュペーパーはさゆみんの宝物なのである。
「でも、早くしないとたなかっちが。」
「じゃ、はい。」
834 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/31(金) 00:07
   oノハヽo ノハヽヽo∈
   从*・ 。.・)σロ´ 从
    (    / (っ  っ
835 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/31(金) 00:07
「ピーナッツ詰めてどうすんじゃ!」
「だって、ピーナッツの食べすぎで出たんでしょ。だからピーナッツ詰めれば一石二鳥なの。」
「意味が分からん」
「じゃ、これ詰めて。」
836 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/31(金) 00:07
   〆ノノノヽ ノハヽヽo∈
   リd*^ー^)σロ´ 从
    (    / (っ  っ
837 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/31(金) 00:08
「痛い痛い!柿の種!先が尖っとる!」
「本当は柿の種余ってたんだ。意地悪してごめんね。」
「今さら何じゃバカ!」
838 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/31(金) 00:09
「あーれいなは旅先で鼻血出して死ぬんやろか…」
「死ぬとか言っちゃダメダメ。」
こんな時でも戦場の看護師ガキさんは冷静なのである。
えりりんとさゆみんにも的確な指示を出す。
「うーん、柿の種じゃダメだね。小さすぎてスポスポでしょ。」
「うん、スポスポ。」
「見て見て。ピーナッツはジャストフィットなの。」
「ジャストフィットでもダメ。取れなくなっちゃうから。
 大きすぎても入らないし、鼻の穴より少し大きいくらいが丁度いいのよ。」
「うーん……」
一行は腕組みをして部屋を見回した。
しかし、鼻の穴より少し大きいくらいの物体、そんな都合の良い物などそうはないのだ。
839 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/31(金) 00:10
そこに小春が。
「はい☆出来ました。」
何と小春は、ちぎったティッシュを丸めて、詰め物をせっせと作っていたのだ。
「良かったねー、たなかっち。小春がこんなに沢山作ってくれたよ。」
やっぱり鼻血に最適な詰め物はティッシュなのだ。
「ありがとう。小春ちゃん。うっうっ……」
840 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/03/31(金) 00:10
続く
841 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/01(土) 01:19
「あ、鼻血止まったばい。」
「せっかく小春が作ったんだし、またいつ出るか分からないから詰めときなさい。」
ガキさんはれいなの右の鼻の穴にティッシュを詰めた。
842 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/01(土) 01:19
   ノノ_,ハ,_ヽ ノハヽヽo∈
   idl ・e・リσロ´ 从
   (    / (っ  っ
843 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/01(土) 01:20
そして小春は左の鼻の穴にティッシュを詰めた。
844 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/01(土) 01:20
   ノノ_,ハ,_ヽ ノハヽノノハヽo∈
   idl ・e・リσロヾc(´ゥ`o リ
   (    / (っ っヽ   )
845 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/01(土) 01:20
「い、息が、息ができん!」
846 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/01(土) 01:23
「……あ、口ですればよかったいね〜。ハーハーハー。」



「あーやっぱりふるさとの空気は美味しいなあ。」
窓を開けて空気を吸う小春。
「れいなも吸うっちゃ。ハーハーハー。あっ虫が口の中に入ってきた!窓を閉めるっちゃ!」

小春の目の前で、窓は強くきつく、れいなの手によって閉じられた。
847 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/01(土) 01:25
「見て見て。こしひかりアイスクリームだって。みんな食べようよ〜。」
冷蔵庫の中をチェックしていたさゆみんが可愛い声。
さあ、見るからに怪しいこしひかりアイスクリームを味わったみんなの感想は?

「甘くて美味しい〜。」
「冷たい事しか分からん!」

鼻をつまむと、味覚が鈍る。
これは、味覚が嗅覚と密接に関係している感覚だからである。
848 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/01(土) 01:29
しかしその分、れいなの舌の触覚が研ぎ澄まされていた!
「……あ、ちょっと待つっちゃ。こしひかりのつぶつぶがあるっちゃ。」
「あ、本当だ。……何か言われてみると、微妙かも。もういらないや。」
みんな、こしひかりアイスクリームを食べ残してしまった。

「口直しにお茶でも飲みましょうよー。」
えりりんはお茶を入れた。
お茶を味わってホッと一息つく一行。
「何の味もせん!」

鼻をつまむと、味覚が鈍る。
これは、味覚が嗅覚と密接に関係している感覚だからである。

しかしその分、れいなの眼の視覚が研ぎ澄まされていた!
「茶柱が立っとる!」
849 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/01(土) 01:31
続く
850 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/03(月) 00:39
>>838

追加パッチ

「うーん……」
一行は腕組みをして部屋を見回した。
しかし、鼻の穴より少し大きいくらいの物体、そんな都合の良い物などそうはないのだ。

「あっ」
えりりんはカバンの中をごそごそ。そして、ある物を取り出した。
「出ました。乾電池〜。」
「あら、何でそんなの持ち歩いてるの?」
「いつ電池が切れてもいいように決まってるじゃないですか。はい、れいな。」
851 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/03(月) 00:39
   〆ノノノヽ ノハヽヽo∈
   リd*^ー^)σロ´ 从
    (    / (っ  っ
852 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/03(月) 00:40
「痛い痛い!単二!もしくは単一!太いんじゃバカ!」

えりりんを満足させる複雑な動きを制御するためには単三や単四では不充分なのである。
853 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/03(月) 00:40
続き

「茶柱が立っとる!」
「良かったね。さ、温泉入ってこようか。」

いよいよ湯煙旅情編のお題目が果たされるのである。

「わーいわーい。」
854 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/03(月) 00:41
       ノノ_,ハ,_ヽ  (・ (_・ ヽ
       ∩d; ・e・リ   | v  ∪
     _ヽ  ⊂ )_   l l   |
     \ (__(_,っ\(_(__)
       ´ ̄ ̄ ̄ ̄`

         ガーン
855 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/03(月) 00:41
    ノ    | ノ_,ハ,_ヽヽ   (・ (_・ ヽ
   ( .:(.:.:.. |  (・e・ ;b∩   | v  ∪
   | `l´  | _( っ   /   l l   |
   | .l  l \と_)__) \(_(__)
   (__(___) ´ ̄ ̄ ̄ ̄`

         ガーンガーン
856 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/03(月) 00:43
驚いたかな?
さゆみんもえりりんも早くも素っ裸だ!

「こんな所で脱がないで!あんた達はいつもそう!脱いだら脱ぎっぱなしだし!
 早く着て!穿いて!羽織って!」
「えりの服は小さめだから着るのに時間がかかりますよ?」
「ややこしい事言わないで。体が分厚いだけでしょ。」

裸になったこの際なので、二人は旅館が用意した浴衣に着替えるのだった。
857 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/03(月) 00:47
続く
858 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/07(金) 22:26
「あー落ち着いた。」
「それでよし。大体、沸いてるかどうか分かんないでしょ。
 電話で聞いてみるから待ってなさい。」
そう言って受話器を取るガキさんの後ろから、小春がそっと囁いた。
「温泉は一日中沸いてますよ。」
「えっ」

ガキさんは驚いた。
どんなシステムなんだろう。新垣塾にも、温泉がほしい。
あるいは追い炊き機能をもっと充実させたい!そう思った。

れいなが入る頃には冷水になっている新垣塾のお風呂。
そのおかげで、強く健康な体になったれいなだが、
やっぱりお風呂とは暖かいものだという事を、塾長としては知ってもらいたいのだ。
859 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/07(金) 22:27
でも、今の自分に出来る事はこれくらいしかない。
ガキさんは自分のお茶をれいなの湯のみにドブドブと注いだ。
「あっ茶柱が」
ビックリしたれいなの鼻から詰め物がスポンと取れた。
「さ、じゃあ入ってこようか。」

いよいよ湯煙り旅情編のお題目が果たされるのである。

「わーいわーい。」
立ち上がって部屋を出て行く一行。
「あっ、待つっちゃ。」
それをれいなが追いかける。
860 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/07(金) 22:27
ハヽ
´ゥ`)
ハヾ               ノハヽヽo∈
ー^)               (` ロ´ 从
ノハ               .:o旦⊂ ) :.
・e)               : ( ( ( : .
ハヾ               .: (__(_).:.
・.。)
861 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/07(金) 22:29
「あーこぼれんように歩くの大変だった。
 新垣さんのせいでお茶が湯のみにすり切りいっぱいばい。」
「どっかに置けばいいでしょ!」
「れいなをおいていかんでよ。」
「ダメ。のぼせたらまた鼻血出るから大人しく寝てなさい。」
「ガーン!!………何なんじゃ、この旅は。新幹線の中じゃ駅弁も食わせてもらえんと無理やり寝かされて…。
 故郷の福岡に帰ってゆっくり出来ると思ったらド田舎の新潟で…。鼻血出たと思ったら鼻にピーナッツ突っ込まれて…。
 それで温泉にも入らせてもらえんとですか。れいなは何の為に来たんですかいのう…。
 みんなとキャッキャッ言いながら背中流し合ったりしたかったばい。はっ、ちょっと待つっちゃ。
 背中を流し合うって事は裸。服を着たままじゃお湯が染みて熱いばい。
 おおっと、危なく裸にさせられる所だったっちゃ。れいな、その手には乗らんっちゃよ!」
862 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/07(金) 22:29
   ∋oノノハヽっ
     从从 ) ゙◇
     /   /っ  `゚。.
     (   ノ      ゜゚。
     しと_)    ⊂_゚,,_,⊃
863 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/07(金) 22:30
すでに部屋には誰もいなかった。
864 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/07(金) 22:30
続く
865 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/08(土) 14:01
ここの田中さんを最高にかわいいと感じる自分はなんて欠陥人間なんだろう
866 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/12(水) 00:19
さて、温泉に向かっていた4人は……

「うぉージュース!!」

風呂上りの一杯かな?

「サービスエーーーース!!」

ミラクルエースの筈が、これは一体。

「あーん、もう。絶対にラケットが悪い。」

そして君はラビットなのに。

「勝ちましたよ?うえへへ」

一体何をやっているのだろうか?!
867 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/12(水) 00:20
                ____
   ∋oノノハヽ∩    |11 - 10|  ノ_,ハ、ヾヽo
     リ o´ゥ`)/     | ̄ ̄ ̄|   (・ 。.・*从
    〆ノノノヽ / / ̄Q ̄/ ̄ ̄ノ_,ハ、ヽヾ)
   リd*^ー^) / Q   / 。 QQ/ (・e・ bリ
    (   )   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   (   )

            ガーン
868 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/12(水) 00:21
卓球台の上にラケットとボールが!
869 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/12(水) 00:21
                ____
   ∋oノノハヽ∩    |11 - 10|  ノ_,ハ、ヾヽo
     リ o´ゥ`)/     | ̄ ̄ ̄|   (・ 。.・*从
    〆ノノノヽ / / ̄Q ̄/ ̄ ̄ノ_,ハ、ヽヾ)
   リd*^ー^) / Q   / 。 QQ/ (・e・ bリ
    (   )   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   (   )

            ガーン
870 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/12(水) 00:22
ラケットとボールが卓球台の上に!

ほら、卓球台の上のボールとラケットに見えてきた。
つまりご覧の通り、卓球台でボールとラケットを使って卓球をやっていたのだ。
871 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/12(水) 00:23
小春がさゆみんに詰め寄って言う。
「負けた道重さんは道重さんの弟子の小春の弟子ですよ!」
「負けたさゆみは今からさゆみの弟子の小春の弟子なの!」

「あー悔しい。約束通り、負けたから何でも言う事聞くよ。」
ガキさんは潔い。
872 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/12(水) 00:25
「あっ、ちょっと待って下さい。」
そろばんをはじく小春。
「ジュースからだから、2点取らなきゃダメだった。」
「もう、黙ってれば分かんないのに。」
「ん?ん?ん?どういう事?」
ガキさんがパニック!
「ジュースからは2点取らないとダメなんです。ほら。」
「そろばん見せられても分かんないよ。でも、まだあたし達にもチャンスあるって事?」
「はい。」
「ヒャホホー!」

という事でゲームは続いたのだった。

「うぉージュース!!」

そして……
873 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/12(水) 00:25
                  ____
    ∋oノノ,ハ、ヽ     |11 - 12|   oノハヽo
     リ o´ゥ`)     | ̄ ̄ ̄|   (・ 。.・*从
    〆ノ_,ハヽ ) / ̄Q ̄/ ̄ ̄ / ノノ_ハ_ヾ∩
    リd*^ー^) / Q   / 。 QQ / idl*・e・リ/
    (   ) . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  (っ   /
            ガーン
874 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/12(水) 00:27
「勝ったーーー!!ヒャホホー」
飛び上がって喜ぶガキさん!
しかし、えりりんが痛烈な一言を浴びせる。
「だからジュースからは2点取らないとダメなんですってば。」
「うぇ?何?」
「11対11でジュースになったから、そこからもう2点取らないとダメなんです。」
「?!……もういいや!良く分かんないからやめよう!」

そしてガキさんはみんなにジュースやお菓子をおごってあげるのだった。

「いやー汗かいたねー。お風呂入ろうか!」
「ガキさん、ナイスアイディア!」
「新潟の温泉はいいですよー!」
「見て!あんな所に“温泉岩風呂→”って!」
「よし、レッツゴー!」
875 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/12(水) 00:27
続く
876 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/13(木) 23:25
                 ____
               |11 - 12|
              | ̄ ̄ ̄|
          / ̄Q ̄/ ̄ ̄/
         / Q  。 / Q Q /
   ∋oノノハヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     从从 )









                 ____
               |11 - 12|
              | ̄ ̄ ̄|
          / ̄Q ̄/ ̄ ̄/
         / Q   / Q Q /
   ∋oノノハヽ ̄ ̄ ミ ̄ ̄ ̄ ̄
     从从 )    。
877 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/13(木) 23:26
「あっ見て!脱衣所!」
「よーし!脱衣しよう!」
「小さめだから脱ぐのに時間がかかりますよ!」
「分厚いだけ!」
誰が誰だか分からない程に大騒ぎしながら、みんなは脱衣した。
やがて、みんなは全裸になった。
878 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/13(木) 23:27
「さあ、この扉を開くと温泉だよー!」
扉に手をかける全裸のガキさん。
横開きのガラス越し、湯煙に曇るその向こうには湯の水面がうっすらと見える。
「いやん、怖い。」
全裸のさゆみんが畏怖に震えた。
「ちょっと、怖がらないで。あたしまで怖くなるから……。うう…小春、お願い。」
「しょうがないなー」
全裸の小春が一気に扉を開く。
光が湯気の向こうから跳ね返り、小春をきらりん☆と照らした。
879 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/13(木) 23:27
「あっ!露天風呂だ!」
「だからかー、見て見て鳥肌ー!」
「分厚い!」
「寒いよー!早く入ろう!」
誰が誰だか分からない程に大騒ぎしながら、みんなはお風呂に入った。
本当はいきなり入るのはマナー違反なんだぞ!
880 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/13(木) 23:36
                 ____
               |11 - 12|
              | ̄ ̄ ̄|
          / ̄Q ̄/ ̄ ̄/
         / Q   / Q Q /
         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      ∋oノノハヽっ。
        从从 ),,っ
       /   /
881 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/13(木) 23:36
続く
882 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/16(日) 00:53
雪山を見ながらの入浴は格別。
883 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/16(日) 00:54
山山山山山山山山山山山山山
山山山山山山山山山山山山山
森森森森森森森森森森森森森
茂茂茂茂茂茂茂茂茂茂茂茂茂
茂茂  板板板板板板板 茂茂茂
茂茂 板             板 茂茂
茂茂 板  湯湯湯湯   板 茂茂
茂茂 板  湯湯湯湯   板 茂茂
茂茂 板             板 茂茂
茂茂  板板板板板  板 茂茂茂
884 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/16(日) 00:55
気持ち良くて思わず声が出てしまう。
「うぇー。」
そして、あらゆる部分が緩みきってしまうのだ。
「ガキさん、トイレ。」
「またカメか……。ほら。」
ガキさんは山々の並ぶ方を指差した。
「してきちゃいな。好きな所で!何処にでも!!」

えりりんは股間を押さえながら山々を見上げる。
「何か出てきそう。」
「えっ」
ガキさんはえりりんの股間を覗き込んだ。
「出てないじゃない。ビックリさせないで」
「違う、あの山から。……怖い。」
885 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/16(日) 00:55
雪を白くまとった荘厳な峰々は無言ながら圧倒的な存在感でみんなをひえ〜って感じで怖がらせた。
「あの山には嫌な思い出があるんです……」
小春の顔が曇る。
886 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/16(日) 00:56
          (             )      (
    (        )∋oノノハヽ    (        )
      )     (   从从´ゥ)m(゙⌒)(''⌒)(゙⌒) (  (
    (   c,'⌒)(⌒)''(    ノ  '""" """  ("⌒)   )
      )/,゙゙)  ノノハヾ " ~~''  ノハヽヾ    (⌒) (
      ("')  ∩d; ・e)      (ー^*;bリ     (⌒")
     (⌒)   ヽ   っ        (   )      ~~/"')
    (⌒)ヽ ,  ~~" " ''        ゙ ~ "~~''     ("''ヾ
     (""ヾ            oノハ ノハヾヽo "   (⌒,,)
       (,''`)   "  "    从*・.。( 从从从   /゙゙⌒)
         /""ヾ⌒)ヽ(⌒(゙ ゙'',)''⌒と    ヽ⌒)⌒ヾ"','
                          ヽ,  ) )


     「……お父ちゃーーーん!お母ちゃーーーーん!」
887 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/16(日) 00:57
「何、叫んでないで話してみなさい。」
「話すと長くなりますよ。」
「じゃいいや。のぼせるから。」
「新潟の温泉は暖かいですからね!保温効果が凄い!詳しくはホラ、あれを見てください。」
小春は効能の書かれてるプレートを指差した。
「あーなるほど。」
プレートは遠く離れていて、しかも湯煙で見えにくいのに、
ガキさんの視力バツグンの目にはハッキリとそれが見えるのだった。
「読めないけど!おほほほ!」
「トイレ…」
888 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/16(日) 00:58
続く
889 名前:狂気の山脈にて 投稿日:2006/04/25(火) 22:36
新潟のこしひかり山脈で謎の足跡が発見されたという報せを受け、
新垣塾塾長里沙、塾生絵里、さゆみ、見習い塾生小春は早速新潟に飛び立った。

こしひかり山脈は新潟でも有数の豪雪地帯で、
雪の上に残された直径20〜24センチ強のその足跡は、麓の温泉街から山脈の中枢まで続いていた。
厳しい自然環境のこしひかり山脈には通常、人の出入りはなく、足跡は奇妙な印象を与えるのだった。

山脈に足を踏み入れた新垣塾一行はベースキャンプを張り、周辺の調査を行いながら、
足跡の主が再び雪の上にその痕跡を残す機会が訪れるのを待つ事となった。
890 名前:狂気の山脈にて 投稿日:2006/04/25(火) 22:37
キャンプの最初の数日は降雪もまばらで、雲の間から時折陽光が覗くほどだった。
やがて真冬の訪れと共に太陽は姿を消し、
止む気配を見せない吹雪の為に、キャンプ地から身動きが殆ど取れない状況が数週間続いた。
キャンプ設備や食料の備蓄は充実したものであったが、
調査は滞りを見せはじめ、その閉鎖的な環境に一行は次第に息苦しさを覚えるのだった。

しかし、こうした状況は突然に打ち破られる事となる。
食料庫が何者かによって荒らされたのである。数ヶ月分準備されていた食料は跡形もなくなっていた。
現場に散らばっていた毛から、野生の動物による仕業ではないかと思われた。
しかし外界と断絶されたこの環境では、
原因の究明よりも、食料が一瞬にして尽きたという事実こそが重要であった。
891 名前:狂気の山脈にて 投稿日:2006/04/25(火) 22:37
すぐに下山を試みた一行は、
キャンプ地周辺でも、食料庫で発見された物と同じ動物の毛を見つける。
そして降り積もる雪の表面には微かに足跡が残されているのだった。
それは直径20〜24センチ強、まさしく調査対象となっている足跡だったのである。
一行は下山を取り止め調査の強行的な続行を決めた。

吹雪は勢いを増し足跡を追う一行の視界を遮った。
やがてキャンプ地に戻る事もままならぬ状況に陥った。
山脈における自分達の居場所すら分からなくなってしまったのだ。
身を寄せ合いながら一行は荒れ狂う吹雪の中、意識が遠のくのを感じた。
しかし、そうした中でも生きる事への渇望は消える事はなかった。
塾生さゆみが、隠し持っていた一枚のチョコレートを震える手でポケットから出した。
他の三人はすぐさまさゆみに飛び掛った。
四人は雪の上で揉みくちゃになりながらチョコレートを奪い合った。
892 名前:狂気の山脈にて 投稿日:2006/04/25(火) 22:38
その時、一行の目の前に見た事も無い動物が姿を現した。
それは二足歩行の人型の動物だったが、体中が毛に覆われていた。
その剛毛は、極寒の山脈で生きていく為の必然の進化に見えた。

一行は呆然と立ち尽くし、その手からチョコレートを落とした。
動物はチョコレートを拾い上げると一行の顔をまじまじと見つめ鳴き声をあげた。
それは吹雪の音にかき消されそうな程にか細い声だった。

動物の記憶が、鮮やかに呼び覚まされていく…。
893 名前:狂気の山脈にて 投稿日:2006/04/25(火) 22:38



………私は……私はあの日…。あの日、取り残された。温泉街に。
裸のまま、私は。私は山奥に入り込んだ。真冬、生きる為に毛を、毛を生やした。毛を。
私は彼女達を、彼女達を……知っている。彼女達を知っている!



動物はチョコレートを握り締めた。

私の名は……私の名は!!
894 名前:狂気の山脈にて 投稿日:2006/04/25(火) 22:39


          ノノハヽ
          (・e・
           ( っ┃
   ∋oノノハヽっ 彡
     从从 )
     /   /っ
     (   ノ
     しと_)








おわり
895 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/27(木) 23:07


「ハッ!!……あー夢か。寝汗かいたから風呂でも入るばい。」


896 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/27(木) 23:08

            ||____
           ./     \
           lIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIl
         /|三.三山山三三|\
        │ |:::::::::::|・||・|::::::::::::| │
  ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
        :;:;:;:;;;::;|| 新 垣 塾 ||;:;:;:;;;;:;
            || ̄ ̄|| ̄ ̄||
       ::::::::::::::||:: :: :: ||: : : :::||::.:.:.:.:.:.:.:
     :::::::::::::::::::::||:: : : 。||。: : :: ||::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
  : :: :: : ::: ::: ::.:: : ||.:: :: :: ||: : : : :||: : : : :: : : : :: : : :
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ドドドドーン
897 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/27(木) 23:09
季節はすっかり春。
まだ峰々に雪は残っていますが、
冬眠を終えた動物たちが体をほぐす為でしょうか、天然の温泉に入りに来ています。
898 名前:新垣塾奇談 投稿日:2006/04/27(木) 23:10

           アッ



                  | oノハヽo|
                  | 从*・ 。.・)
                  |/ (   ).|
_________|. | | | |, |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(_)__) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ノノ_,ハ,_ヽ
          ldl ・e・リ
    〆ノノノヽ (     ) ∋oノノハヽ
    リd*^ー^) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\リ o´ゥ`)
    _ (    )ヽ         \   )
   ヽと_)_)\\___|ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \
     ´ ̄ ̄ ̄` `| |/ ̄| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
            Ll  .| | ==回==== ==|
               |\|__~ll__________|
               |  |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
               |  |             |〜






おわり
899 名前:かぼちゃのしたたり 投稿日:2006/05/01(月) 22:57
私「春めいてきた事だしインドにでも行こうか。」
小川「なんでですかー。」
私「インドはカレー発祥の地だぞ!」
小川「旅行カバンはどれにしますか?」
私「要らない」
小川「なんでですかー。」
私「マイ枕とかマイ醤油とか持ってく馬鹿がいるが、
  こっちの環境を引きずっていっては旅をする意味がない。
  赤いタオルが無いと眠れないとか言い出したら殴ってる所だったよ。」
小川「寂しくなったらどうするんですかー。」
私「うるせえ。じゃ持ってけばいいじゃねえかよ。」
小川「重い!」
私「てめえに何をそんなに沢山大切に持っていく物があると言うのか。」

小川が腰を痛めた為に旅行は取りやめになった。
拗ねた私に彼女はガムラン演奏をしてくれた。
ビブラフォンと違いガムランは座って演奏できる。
より瞑想感に富んでいるのはこの為かもしれない。
小川の奏でる音と共鳴した私の目から、不思議にも少しだけ涙がこぼれた。


おわり
900 名前:お芋のしたたり 投稿日:2006/05/04(木) 00:20
似顔絵描きとして生計を立てていく事を決めた私は、
手始めにあさ美の似顔絵から描く事にした。

「大きくて描きやすいからね。」
「全然わたしの顔見てないじゃないですか。」
「だって、だって、ずっと下向いてこっち見てくれないんだもん。」

あさ美の顔はノートと参考書に向かってばっかりなのだ。
傍らにはこの春取れたてのイチゴ。
しかし、殆ど手をつけていない。せっかく全裸でイチゴ狩りしてきたのに。
「食べないの?甘いぞー。」
「甘くないですよ」
「せんべいとか饅頭の方が好きとか言い出さないでくれよ。」

無視をされた私は似顔絵描きに集中する事にした。

「描けた!ほら見てくれ、そっくり……あれ?」
あさ美はもうそこに居なかった。
「やっぱもっと早く描きあげないとダメか。」

結局、あさ美は帰ってこなかった。
私はあさ美が食べ残したイチゴを庭に埋めた。
来年の春にはきっと白い花を咲かせているだろう。


おわり
901 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/13(土) 23:39
人の誰も来ない場所に、滝川はある。
産声。菜の花畑が震える。羊たちが逃げ出す。(ジンギスカン)
額に傷がついていたので美貴と名付けられた。頭髪も少しずつ生えてきた。
やがて学校に行って教育を受ける年齢になった。
いつしか人は彼女を滝川の女帝と呼んでいた。
これは、その女帝と新垣塾結成以前のガキさんの物語である。
902 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/13(土) 23:40
「あっ!犬だ!」
教室に犬が入り込んだりすると、それはもう大騒ぎである。
日常がわずかに変容するからである。

しかし、テンションの上がった男子生徒たちとは対照的な、
冷めた調子の声が、はしゃぎ回る彼らの背後から聞こえた。

「捕まえろ」
903 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/13(土) 23:40
       ノノハヽヽ
      从VvV从
       ( ∽ )
    ノ ノハ     
   ノノノノ )    ノハヽヾ
    ( っ ヽ ∧__∧( 从从
       ノ・ ・ と   )
       ヽェ_"ノ ヽ
904 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/13(土) 23:41
「あっ美貴帝(ミキティ)!」
そう、彼女こそ滝川の女帝で当校の女番長の美貴ちゃん、その人なのである。

犬を捕まえた生徒たちは恐る恐る聞いた。
「た、食べるんですか?」
「食わねーよ!……生じゃ」
みたいなやり取りは誰でも考えつく。

実際はこう。↓
905 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/13(土) 23:41
         ヒャッホー

      ∩ノノハヽヽ
    ∧__∧(VvV 从
   ノ・ ・ ヽ    っ
   ヽェ_"ノ ヽ  ノ
    /     'し'ヽ
   (,,_(,,_ノ⌒ヾ


   美貴帝乗犬の図
906 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/13(土) 23:42
美貴ちゃんは無邪気なのである。
「あー疲れた。…さっさとジュース買ってこいよテメー!」

ガーン!男子生徒の一人が血まみれ!先生は見て見ぬ振り!
こんなにも荒廃している学園!しかも美貴ちゃん一人によってこんなにも!
それが滝川学園、聖滝川学園なのだ!

♪キンコンカンコーン♪
「あっ、授業が始まる。」
みんなはそそくさと美貴ちゃんから逃げた。
907 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/13(土) 23:43
授業は図工だった。
「固めちゃおっかなー。美貴ちゃんボンド固めちゃっていい?」
女帝は機嫌を直したのだ。みんなは胸を撫で下ろした。

しかし先生だけは事実をいつ言い出そうかと緊張の面持ち。
今日は外で写生をする予定だったのだ。

美貴ちゃんは木工で作った鮭とばを手にして満面の笑顔だった。
「ここがまだちょっとイマイチだな。もうちょっと彫ろうかな。
 彫刻刀は何処にしまったっけ……」

美貴ちゃんに刃物を持たせてはならない。
他の生徒も危ないっ。先生は意を決した。
「きょ、今日は外に出てみましょうかっ」
908 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/13(土) 23:43
      ノ_,ハ,_ヽヽ
      (VvV从 エッ
       ( っ━ )
909 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/13(土) 23:44


         ヒャッホー

      ┃
      ∩ノノハヽヽ
    ∧__∧(VvV 从
   ノ・ ・ ヽ    っ
   ヽェ_"ノ ヽ  ノ
    /     'し'ヽ
   (,,_(,,_ノ⌒ヾ

 自然がいっぱい、滝川!
910 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/13(土) 23:45
続く
911 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/16(火) 00:09
みんなは外に出た。自然がいっぱいだった。
「外で何やるんだよ。キョンシーごっこか。」
「絵を描きましょう。滝川は自然がいっぱいですから。」
912 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/16(火) 00:09
        o∈
     ヽニニニニ/
      (|§|V 从 エッ
       |§|   )
       ̄
913 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/16(火) 00:10
「何だよ!お札貼って損した!」

それでも美貴ちゃんはみんなと同じ様に大人しく絵を描き始めるのだった。
先生も一安心。で、話しかけてみた。
「何を描いてるのかな……!!」
キャンバスは一面真っ青だった。
「空だよ。見てわかんねーのか。」
今日の滝川は雲ひとつなく良いお天気なのだ。

「……よし!飽きた!ちょっとその辺プラプラ歩いてくる。」

美貴ちゃんは一人でその辺をプラプラ歩き始めた。
「あー雲ひとつなく良いお天気だ。」
そう言って美貴ちゃんは何気なく空を見上げた。
「あっ!」
914 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/16(火) 00:11

                      〃ハヽヾ
                      (・e・ bリ
                      丿ノ  ) ,,
                    ===00l⌒ソ===))箒三 ,,
                           しし' ,,

   ノノハヽ
  从从;Vo)
   (    )

              ガーン
915 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/16(火) 00:12
人間が空を飛んでいる!
そう認識した途端、それはスイーッと空の彼方へと消えてしまった。
「!!やべえ!何だ今の。」
美貴ちゃんは胸のざわつきを感じずにいられなかった。
なので自分の胸を触ってみた。
「うん、ざわついている。」

美貴ちゃんは今見た事柄を話すために、みんながいる所に走って戻る事にした。
「走ると疲れるな。歩こう。」
歩きながら今見た事柄を整理する事にした。
「よし整理できた。」
整理し終わる頃には絵を描いているみんなの所に戻ってきていた。
「走ってたら整理しきれてなかったな。」
916 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/16(火) 00:12
続く
917 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/16(火) 23:03
「おい!人が空を飛んでたぞ!」
「えっ。」
みんなはビックリ、その後には思わず笑みがこぼれた。
「またまたご冗談を。人が空を飛ぶなど、お戯れも程ほどに。」
「本当だぞ!今絵を描いてやる!」

その頃…

「ただいまー。お母さん、どうにか飛べるようになったよ。」
「ちょっとアンタ!これ忘れて行ったでしょ!」
918 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/16(火) 23:04
     ハ
   _ノ_,l__
919 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/16(火) 23:04
「あっ」
「あっ。じゃなーい!このとんがり帽子がなかったら魔女だって分かんないでしょーが!」
「だからかー。何か現地の人が驚いてた。」
「当たり前!魔女じゃないのにホウキに跨って空飛んでたら変な目で見られるに決まってる!」
「どうしよう。」
「まあしょうがないよ。じゃ横浜に帰ろうか。」

そして美貴ちゃんは…。
「ほれ、こんな感じだ。」
920 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/16(火) 23:05
        ○
        个
        人
      ───∈
921 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/16(火) 23:05
「アーッヒャッヒャッヒャ。」


おわり
922 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/30(火) 01:52
「いや、笑ってる場合じゃない。どうする、宇宙人かもしれない。だったらきっと宇宙戦争だぞ」
滝川が焼け野原になったら、それこそ滝川から何も無くなってしまう。
先生、生徒、みんなの目から涙がこぼれた。

生徒の一人が涙に霞む目でもう一度美貴ちゃんの絵を見た。
「この乗り物(───∈)は何ですか?」
「美貴が見た限りではホウキっぽかった。」
「えっ。ちょっと待って下さい。ひょっとして…。この絵にとんがり帽子をかぶせたら……」
923 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/30(火) 01:52
        ハ
      _ノ_,l__
        ○
        个
        人
      ───∈
924 名前:新垣塾青春いちご白書グラフィティ 投稿日:2006/05/30(火) 01:53
少しだけ線を書き加えただけなのに。
「あっ!魔女だ!」
「魔女だ!」
「魔女だぞー!」
ヒステリックなまでに大騒ぎしはじめる生徒達。
聖滝川学園はその名の通りカトリック気味の学校なので、
魔女とか悪魔といった事象は排除すべき対象なのである。

すっかり涙が渇いたみんなに詰め寄られる美貴ちゃん。
「おい!何処で見たんだ!」
「えっ、あっちら辺だけど。」
「みんな!あっちら辺に行くぞ!」
滝川魔女狩り騒ぎの始まりだった。

美貴ちゃんだけは一人で誰もいなくなった校舎に戻り酒を飲んだ。
いつの間にか日が暮れ、傾いていく太陽に菜の花畑が燃えていた。


おわり
925 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2006/05/30(火) 01:54
夏先取り企画
926 名前:新垣塾夏の陣 投稿日:2006/05/30(火) 01:55
(注・小春は破門中です)
927 名前:新垣塾夏の陣 投稿日:2006/05/30(火) 01:56
           ガ ー ン


      __________ノ_,ハ,_ヽヾ
     |=====================(・e・ bリ
     | l━━━━━━━━l ---と   )
      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄( ( (_
oノノハヾ  ノノハヾ ∋oノノハヽ     ,.し'し'/|
从从*・ 。) 从d*^ー)  从从 `)   .| ̄ ̄| .|
 (    )  (   )   (   )    |    |
928 名前:新垣塾夏の陣 投稿日:2006/05/30(火) 01:57
新垣塾ではここ数日、クーラーの調子がおかしい日が続いていた。
「そろそろ買い替え時じゃなかろか。」
当然、一家の主であるガキさんがお金を払うわけだが、
れいなは他人の金だと思ってこんな事を言うのだ。
「こんなのはね、叩けば直るのよ。……この野郎!!」
「れいなの顔見ながらやらんでよ」
「分かるでしょ。買い替えは無理。」

塾生はため息をついた。
「落ち込まないの。汗かいた方が体にいいわよ。
 あと、ほら。冷房って環境に悪いんでしょ。ほら、さゆみんの出番だよ。」
「最近の冷房は環境に優しいの。」
「えっ」
929 名前:新垣塾夏の陣 投稿日:2006/05/30(火) 01:59
      ___________
     |=====================|
     | l━━━━━━━━l ---|
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        マイナスイオン
      ↓↓↓↓↓↓↓↓↓
     ノノ_,ハ,_ヽ     oノハヽo
     ldl ・e・リ      (・ 。.・*从
      (   )       (   )

    「ほら森林に来ているみたい。」
930 名前:新垣塾夏の陣 投稿日:2006/05/30(火) 02:00
      ___________
     |=====================|
     | l━━━━━━━━l ---|
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

     ノノ_,ハ,_ヽ ←♪  oノハヽo
     ldl ・e・リ ←♪  (・ 。.・*从
     ⊂ ⊂ )  ←♪  o¶と  )

       「思わず歌っちゃう」
931 名前:新垣塾夏の陣 投稿日:2006/05/30(火) 02:01
「変な音波が来るからやめて!とにかく今年は扇風機でガマンしてもらうから。」
「しかし、扇風機だとこうなるばい。」
932 名前:新垣塾夏の陣 投稿日:2006/05/30(火) 02:02
    ←
 ∋oノハヽヾ
   (` ロ´ ;从
  ⊂ ⊂〃 ̄ヽ
      || ミl⌒)
      ヾ__ l |' ,, ムイーン
        _l |、
       ヽ__ノ

          →
        ノノハヾo∈
        从; ` ロ´)
       r' ゙̄ヽ⊃ ⊃
       (⌒l,, ||
  ムイーン ,, `| l _シ
          _l |、
       ヽ__ノ

    ←
 ∋oノハヽヾ
   (` ロ´ ;从
  ⊂ ⊂〃 ̄ヽ
      || ミl⌒)
      ヾ__ l |' ,, ムイーン
        _l |、
       ヽ__ノ
933 名前:新垣塾夏の陣 投稿日:2006/05/30(火) 02:02
「ほら汗だく。毛もしとどに濡れておりますばい」
「止めて使えばいいでしょ!」
「止めて使うとこうですよ?」
934 名前:新垣塾夏の陣 投稿日:2006/05/30(火) 02:05

      ムイーン
     〃 ̄ヽノハヽヾ
   [.ニ|| ミ O,(^ー^*bリ    ノ_,ハ,_ヽヽ
      ヾ ,,,, と   )    (・e・ ;bリ
      | l   ( ( (    _(   )__
    _/ ̄l、   (_(_/   \ (__(_,っ\
     ̄ ̄          ´ ̄ ̄ ̄ ̄`
935 名前:新垣塾夏の陣 投稿日:2006/05/30(火) 02:05
    ノ    | ノ_,ハ,_ヽヽ
   ( .:(.:.:.. |  (・e・ ;b∩
   | `l´  | _( っ   /
   | .l  l \と_)__) \
   (__(___) ´ ̄ ̄ ̄ ̄`

「ほら乾燥してじんましん」
「うわああああああああああああ!」


おわり
936 名前:新垣塾夏の陣 (Take 2) 投稿日:2006/05/31(水) 23:48
新垣塾に地の底から唸る様な音が響き渡る。
音は里沙の体をかすかに震わせると、やがてそのまま消え入った。
冷房は動き出さない。
麗奈ははしゃぐ様な素振りで電気屋の広告を里沙に見せた。
里沙は黙って首を振ると、そのまま拳を振り上げ、動き出さない冷房を何度も殴打した。
麗奈は広告を小さく折りたたんだ。
里沙はため息をつく塾生たちを庭へ連れ出した。
そして激しく照りつける太陽を仰ぎ、その額に光る汗を指差し満面の笑顔を見せた。
塾生たちは日陰で苦笑いをした。
937 名前:新垣塾夏の陣 (Take 2) 投稿日:2006/05/31(水) 23:49
更に里沙は隣の家で激しく稼動する冷房の室外機を指差した。
室外機からの熱風と振動は、周りの植物たちを変異させ惨めな姿に変えていた。
里沙は微かな笑みをさゆみに向けた。
しかし、さゆみは首を振り隣家の室内を里沙に見せた。
隣人たちのくつろいだ様子はまるで森林浴をしている貴族を思わせた。
突然、周りの植物たちが一斉に身を震わせ、その身の丈が巨大なものに変わっていく。
やがて里沙とさゆみを取り囲み、太陽光も遮るほどの大きさになった。
さゆみはたじろぐ里沙に向けて歌いだした。耳を塞ぐ里沙。
しかしその歌は内臓を直接揺さぶるような波動で里沙を脅かせた。
里沙は歌声に意識を失いかけながらも、耳元で歌おうと身を寄せてきたさゆみの首を思い切り絞めた。
歌声は途切れ、植物たちは掻き消えるようにして枯れていった。
938 名前:新垣塾夏の陣 (Take 2) 投稿日:2006/05/31(水) 23:49
家に戻ると里沙は扇風機を塾生たちに向けて乱暴に放り投げた。
麗奈は早速扇風機を動かして、その風を全身に浴びはじめた。
しかし扇風機は、すぐにその首を傾け、風を麗奈のいない場所に吹き付ける。
まるで麗奈を避けているようだった。麗奈は必死に扇風機の風を追った。
しかし追っても追っても、風は麗奈を拒み続けるのだった。
やがて麗奈の顔と体が汗と涙にまみれた。しとどに濡れた体毛が光っている。
麗奈はまるで雨ざらしの野良猫のように、みすぼらしく哀れな視線を里沙に向けた。
しかし里沙は麗奈を全く見ず、黙って扇風機のボタンを押した。
すると扇風機はすぐにその動きを止め、一箇所にのみ風を集中し吹き続けるのだった。
それは絵里のいる場所だった。絵里はにやけた笑顔のまま風を浴び続けた。
そして数分後、おもむろに服を脱いだ。裸になり、里沙にその全てを見せた。
里沙はそこに広がっていたものを見て、全てが夢だったらいいのに、と思った。


おわり
939 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2006/06/30(金) 01:53
秋先取り企画
940 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 01:54
(注・小春は破門中です)
941 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 01:55


      豆
      松茸
    亀麗重
942 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 01:55


      松茸
     豆
    亀麗重
943 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 01:55


     松茸
    亀 豆 重
       麗
944 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 01:55


   亀松茸重
       豆
       麗
945 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 01:56


    亀  重            豆松茸

        麗
946 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 01:56


                            豆松茸
947 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 01:57


                            豆 松茸
                                 炙
948 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 01:58


                             豆 煙煙
                                炙
949 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 01:59


                            豆 椎茸
950 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 01:59


  亀松茸重
      麗
951 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 02:00


  亀麗重
    炙
952 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 02:00


    炎炎
  炎炎炎
  亀毛重
    炙
953 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 02:01


    炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎
    炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎
    炎炎炎炎炎新垣塾炎炎炎炎炎
  炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎





          亀  重
954 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 02:01


    炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎
    炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎
    炎炎炎炎炎新垣塾炎炎炎炎炎
  炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎




            亀  重           炒豆
955 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 02:02


    月







        団子
      亀豆重
956 名前:新垣塾秋の陣 (Take 3) 投稿日:2006/06/30(金) 02:02
おわり
957 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2006/07/02(日) 23:55


    月
     雲雲
              鷲






客客客客客客客客客客________客客客客客客客客客客
客客客客客客客客客客|  123456789  RH|客客客客客客客客客客
客客客客客客客客客客|横000000003  .35|客客客客客客客客客客
客客客客客客客客客客|楽000000004x....47|客客客客客客客客客客
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



                      野村
                   ↑  ↓
                   安後石松
958 名前:お色気クライマックス 投稿日:2006/07/06(木) 20:59
          (       (    )       (
    (        )      )  (         )
      )     (    ('⌒)((゙⌒)(゙'⌒)(' ⌒'(゙⌒) (  (
    (   c,'⌒)(⌒)'' "` " ~ '''   `"   ("' )  )
      )/,゙゙)  ノノハヽo∈"            (⌒)
      ("')  从 `,_っ´)       ミ ∧      (⌒")
     (⌒)   ~~~" " ~~''     / ・ ヽ     ~~/"')
    (⌒)ヽ ,            (_,, ,, , ヾ      ("''ヾ
     (""ヾ            "    ~ ~~゙ "~~    (⌒,,)
       (,''`)   "  "               /゙゙⌒)
        /""ヾ⌒)ヽ(⌒(゙ ゙'',)''⌒)"'⌒)`"'')ヽ⌒)⌒ヾ"','
959 名前:国民の権利 投稿日:2006/07/06(木) 21:00
紺野「私たちはみんな基本的人権、国民の権利というのを持っているんだよ。」
小川「ほへー」
紺野「何と!麻琴も!」
小川「えっ。どうも、ありがとうございます。」
紺野「ありがたいことだよね。」
小川「ほんまやね」
紺野「教育を受ける権利!」
小川「おっ」
紺野「学問の自由!」
小川「ほえー」
紺野「どう?」
小川「出版の自由!」
ttp://images-jp.amazon.com/images/P/4847028449.09.LZZZZZZZ.jpg
紺野「はっ」
小川「出版の自由!」
ttp://img.7andy.jp/bks/images/i5/31496605.JPG
紺野「同じのじゃん」
小川「2冊目はNow Printingだったので。あーーーーーーーーーー外国移住の自由!」
ttp://net.jmc.or.jp/goods/globe/watanabe/3205.jpg
紺野「やっ」
小川「手紙書く、ヨ。現地語で。だからあさ美ちゃん。勉強ヲしとイテよ」
紺野「ソレ一体何語ダヨ」
960 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/09(日) 01:38
現在、全国の交通事故の件数は年間で90万件以上にものぼる。
これは1日に平均して2500件近い交通事故が起きている計算になる。

そう、今日もどこかで誰かが事故にあっているのだ。
961 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/09(日) 01:39
    ノノハヽo∈
   从 `,_っ´)
   cく*:+:y:+ フっ
      i====l
     l__ノl
     ∪ ∪
962 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/09(日) 01:40
「あー楽しかー!一人で夏祭りは最高じゃ!!」

しかし数秒後。悲劇が訪れた。
963 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/09(日) 01:41
               チリンチリン

    ノノハヽo∈         ノハヽヾ
   从; ` ロ´)         (^ー^*bリ
   cく*:+:y:+ フっ     m=○=mノ)
      i====l        _//-( ノヾ
     l__ノl        ((0) ̄し'(0),,
     ∪ ∪
964 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/09(日) 01:42
続くよ
965 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/10(月) 22:24

       ノハヽヾ
        (^ー^*bリ  ノノハヽo∈
       m=○=mノ) 从从从 )
      _//-( ノヾ cく:::::::::::::フっ
       ((0) ̄し'(0), l====i
              l__ノl
             ミ 彡   ∪ ∪

          スイッ






ハヽヾ
ー^*bリ          ノノハヽo∈
=mノ)          从从从 )
( ノヾ           cく:::::::::::::フっ
し'(0),,           l====i
                l__ノl
                  ∪ ∪
966 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/10(月) 22:25
事故の瞬間、全てがスローモーションのように見えた、なんて事をよく言いますが。
あれは誇張。それどころか嘘の真逆です。
かく言う筆者も車に跳ね飛ばされ、左肘を骨折した経験があります。(もう完治しています)
スローモーションどころかほんの一瞬の出来事でありました。
967 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/10(月) 22:26

          ドーン


   ノノノハヾ    ノノハヽo∈
   リd*^ー^)   从从从 )っ
三   (ヽm=○=m  ノ:::::::::::フっ
三   ヽゝ )-ソヾ_ l====ノ
    ,,(0)ン ̄(0)) しと_)
968 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/10(月) 22:27
続く

次回からはガキさんとさゆみんも登場するよ!
969 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/12(水) 00:19
所変わってここは新垣署。
ボスのガキさんが、ちょっと遅いお昼ご飯を、その可愛いお口でモグモグと食べていた。
そこに電話が鳴り響く。

「はい、モグモグ。おっと、モシモシの間違いだったよ〜。おほほほ。」

ガキさんの笑顔は可愛い。

「えっ!事故!」

そして、しかめっ面との落差が大きいほど、
私は彼女の内面の豊かな動きを感じるのである。

「今行きます」
ガキさんは早速、事故現場に向かった。
970 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/12(水) 00:29
道行く途中でガキさんは看護婦さゆみんに会った。
「あら、ちょうど良かった。今、事故があったみたいなんで一緒に行きましょう。」
「一石二鳥でしたね」
さゆみんのお馴染みの名言がひょっこり飛び出たよ。
971 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/12(水) 00:31
「事故現場はあそこみたいなの」


   <⌒⌒>
   oノハヽo
   从*・ 。.・)<===☆=>               ノハヽヾ
    (    っ ldl ・e・リ               (^ー^*bリ
    /__ゝ (   V )              m=○=mノ)
     ) ) )  ∪==0l               _//-( ノヽ
    (__)__)  |  |, l  ∋oノノハヾ         ((0) ̄し'(0)
            (__)_)  ⊂ノノノ, __と⌒ヾっ
972 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/12(水) 00:34
「大丈夫ですか!アッ!」
973 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/12(水) 00:35

                    ノハヽヾ
              <===☆=> (^ー^*bリ
              ldl; ・e・リ =○=mノ)
               (っ V っ _//-( ノヽ
∋oノノハヾ        しヽ_)_)((0) ̄し'(0)
⊂ノノノ, __と⌒ヾっ




「ヘッドライトにヒビが!」
974 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/12(水) 00:46
そこに細かな傷が入ってるのを、ガキさんの目は見落とさなかった。

運転手のえりりんは不安な面持ちでガキさんに聞いた。
「これ、保険って利きますかね?」
「そんなのは自転車屋さんに聞いてください」
「えっ」

いきなり冷たく返されたので、えりりんはビックリした。
そして、少し悲しくなり、自転車を早こぎしたい気分になった。
975 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/12(水) 00:54
続く

次回はガキさんに冷たくされたえりりんが夢中で自転車の空こぎをします
976 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/12(水) 22:21
えりりんはガキさんの瞳を見つめて言った。
「ガキさん」
「何。」
「絵里のこの気持ち……こいでもいいですか」

ガキさんの返事を待たずに、えりりんはペダルをこぎ始めた。

すると……
977 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/12(水) 22:21

             パッカー
                ノハヽヾ
          <==☆= \(^ー^*bリ
         ∩・e- ,,,  ◎=mノ)
          ヽ  ⊂ )///-( ノヽ
         しヽ_)_)((0) ̄し'(0)
978 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/12(水) 22:22
「あっ点いた。」
「あら、良かったじゃない。無灯運転は危険ですからね」

ガキさんは優しかった。
えりりんは幸せな気分になった。

その時。地面から声が響いた。

「お前ら、少しはこっち見れ!」
979 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/12(水) 22:23
  <⌒⌒>
  oノハヽo
  从*・ 。.・)                   ノハヽヾ
   (    )             <=☆===> (^ー^*bリ
   /__ゝ               (・e・ lbl =○=mノ)
   |  | |              (っ V っ _//-( ノヽ
   (__)__)   ノノハヾo∈    しヽ_)_)((0) ̄し'(0)
        ⊂(` ロ´*⊂⌒ヾっ
         ""     """
980 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/12(水) 22:24
「あら。」
「被害者はこっちじゃ、バカ」
「灯台下暗しでしたね」
さゆみんの名言がこれまたひょっこり飛び出したよ。

そして、えりりんはこれを聞いて
「暗いなら…」
981 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/12(水) 22:25

             パッカー
                ノハヽヾ
          <==☆= \(^ー^*bリ
         ∩・e- ,,,  ◎=mノ)
          ヽ  ⊂ )///-( ノヽ
         しヽ_)_)((0) ̄し'(0)
982 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/12(水) 22:30
「それはもういいんじゃバカ」

ガキさんは恐る恐る地面に倒れている被害者の女に近づいた。
「あら何だ、道に転がってるからセミかと思った。」
「れいなは一週間じゃ死なんばい」
「最近のセミは環境破壊の影響で寿命のサイクルも狂ってるの。」
「そういえば夏が終わってるのにいつまでも泣いてたりするねー」
983 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/12(水) 22:31
続く

次回はガキさん達の愉快な夏の思い出が語られます
984 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/13(木) 23:50
「うん。だからさゆみは宇部に住んでた時、秋になったら一匹残らずセミを殺してたの。」

                (;゙::;;ヽ;: ;;: ;; ;;;:/;:; :ノ; ;,;゙/
    これでも食らえっ    (ヽ;;:;ヾy""'゙゙ノ ;ノ;:ソ
                     ̄ |i!|il|!ll| ̄""
       <⌒⌒>  ブシャー      | 蝉 !l
      oノハヽo     ((,, ,))'))),l!lilll!l|
      从*・ 。.・)    (,(((⌒)))),, ll!|ll!
      (:⊃::::)っ鹵<(((,(⌒)))))) l!ii|!|
      ノ::::;ノ⌒ゝ   ((('(,,)),)))),)'l|lil
      ノ~ハ )      ("'(⌒),,)') |!li!li|、,,
wvwv,w(_)(__)wvwv,wvw,wwwwvwv,wvw,wwwwv,
985 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/14(金) 00:09
「地球のために」
「バカじゃろ、お前は。」
「でも、東京に来てからは、森も見当たらないしもう殺してないの。でもセミの鳴き声は聞こえてきます。」

夏の激しい日差しの中、電柱に止まったセミの声がさゆみん達を取り囲んでいた。

「さゆみにはあれは環境破壊に苦しむ虫達の悲鳴に聞こえます」
「意味が分からん。あーーーーーーーーーーそれより、れいなを助けてくでー。体中が痛かよー」
986 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/14(金) 00:17
ガキさんは叫ぶ女に言った。
「被害状況を詳しく教えてください。それから病院に運びますんで」
「れいなは夏祭りに来とったんじゃ。」
「れいなって誰ですか」
「めんどくさいのう。目の前に倒れているわしじゃ。」
「一人で夏祭りに来てたんですか。へえ!」
「で、れいなは花火を見に行こうとしたんじゃ。」
「ふんふん。それでそれで」
「そうしたら向こうの方からチリンチリンて自転車が来たんでスイッと避けたらドーンってぶつかってきたんじゃ」
「それどんな昔話ですか。」
「たった今起きた話ばい」
987 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/15(土) 01:47
そうこうしている内に夕方になり、花火の音が聞こえてきた。
「あー!もう間に合わん!“たーまやーっ”の掛け声にニャーって鳴いてみせて、
 おい!猫(タマ)呼んでるんじゃないヨ!ワッハッハ!って皆からツッコミされるシミュレーションしとったのに!」
そう言ってれいなは倒れたまま手足をバタバタしてみせた。
「諦めないで!まだ間に合うよ!花火始まったばかりだから!」
えりりんがれいなを励ました。とてもいい子。

「あー、そうじゃった。諦めちゃいかんばい。」
体に痛みが残っていたが、れいなは力をこめて立ち上がった。がんばれ!
足元がふらつき、額からは汗がこぼれ落ちた。がんばれ!
988 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/15(土) 01:48
その時、救いの手を差し伸べたのはえりりんだった。
「ほら、後ろに乗って!」
自転車の後ろを指差すえりりん。とてもいい子。
「うう…優しい……目から油がこぼれそうばい」

れいなはふらつく足取りでえりりんの後ろを追った。
989 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/15(土) 01:48
   ノハヽヾ           ∋oノハヽヽ
   (^ー^*bリ            (` ロ´ 从
 m=○=mノ)           .:cく*:y:cく,ヽ.:
  _//-( ノヾ             .:l====l :.
  ((0) ̄し'(0),,           .: lヽ,__| .:.
                         .:. ∪ ∪ ::.






ハヽヾ               ∋oノハヽヽ
ー^*bリ                (` ロ´ 从
=mノ)               .:cく*:y:cく,ヽ.:
( ノヾ                  .:l====l :.
し'(0),,                 .: lヽ,__| .:.
                     .:. ∪ ∪ ::.
990 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/07/15(土) 01:49
「何を少しずつこぎ進めとるんじゃ!あーダメばい……気が遠くなってきた。
 スレも残り10やし、次回あたり衝撃的なラストが待っとるんじゃなかろか……」
991 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/08/04(金) 23:24
れいなは再び、膝から崩れ落ちた。
「どうせ、花火と一緒にれいなも打ち上がって体バラバラとか、“ぶーた(豚)やーっ”とか、
 そんなラストじゃろ。もう疲れたばい…………」

そう呟きながら、遠のいていく意識の中に沈んでいくれいなの表情は、
不思議にも穏やかで、豚どころかまるで子猫(豚似の)の様だった。
或いは猫人間(呪われた)にも見えた。
「いやん怖い。」
だから、さゆみんの背中を冷や汗が伝った。
992 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/08/04(金) 23:26
「じゃ花火見に行きましょうか。」
えりりんはおっとりムードメーカー。
その発案にガキさんも思わずうなずくのだった。
「でも間に合うかな?」
「絵里の立ちこぎを甘く見ないで下さい。」
993 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/08/04(金) 23:27
          <⌒⌒>
      ノハヽヾノハヽo
     (^ー^*b(・ 。.・*从
   m=○=mノ)(o旦o)
     _//-( ノ( ( ,ノ
     ((0) ̄し' UU
994 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/08/04(金) 23:28
「コラー二人乗りは2万円以下の罰金だよ!」
「またまたー。コラーじゃなくてサマー。夏は堅いこと言いっこなしで行きましょうよっ」
995 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/08/04(金) 23:28
続く
996 名前:☆スレ終了のご挨拶☆ 投稿日:2006/08/08(火) 23:10

スレッドは花火のようなものではないでしょうか……。
インターネットで無限に続く情報という名の祭囃子。
その喧騒の中、打ち上げられた一瞬のトピック。

2005年1月に立ったこのスレッドは、間もなく投稿数が1000を迎え、その役目を終えようとしています。
今までどうもありがとうございました。
読んでくれた人の心の中にいつまでも色鮮やかな余韻が残りますように……。
997 名前:不能作品集(ボツネタ) 投稿日:2006/08/08(火) 23:13
『逆向ける世界』

物語は“俺”がガキさんを大恐竜博に誘う所から始まる。

「おい里沙。行くぞ」
「うぇー、そんなに仲良くないんだから呼び捨てにしないでください。」

そして社会見学に来ていた中澤先生に会う。
「あっ生きる化石だ!」

世界中で時間が逆行する。
中澤先生の小皺が減ったり、ガキさんの眉毛が濃くなったり、梨華ちゃんの肌の色が黒くなったり。
恐竜が闊歩していた時代に戻っていくのかもしれない
998 名前:不能作品集(ボツネタ) 投稿日:2006/08/08(火) 23:15
『美貴帝と美勇伝』

時は群雄割拠の戦国時代。
「真ん中ら辺の滝川を支配したから、もう北海道は美貴のものと言っていいな」
こんな事を毎日言っていた美貴帝だが、うっかりしていて敵方の忍者につかまる。
「わーつかまった」
そこに現れたのは忍者の親玉石川梨華だった。
「あっ忍者の親玉石川梨華だ。」

もっと真に迫ったリアクションをしろと石川梨華が怒る。
999 名前:交通地獄(新垣塾シリーズ) 投稿日:2006/08/08(火) 23:18
>>994

「みんなー焼肉パーティーやるから集まるっちゃー。」
「わーいわーい」
「焼肉奉行のれいながみんなの分も焼いてやるばい。」
「わーいわーい」
「熱っ!油が跳ねたっちゃ。熱い!熱いっ!!熱いっ!!!……うわー!!」

「………ハッ!」





∋oノノハヽ
  リ o´ゥ`)  パチパチ
  (   っ━ *:、
   ヽ⌒) )  ゙*, ノノハヾo∈
    し'ソ   ⊂(` ロ´*⊂⌒ヾっ
         ""     """
1000 名前:☆次スレのご挨拶☆ 投稿日:2006/08/08(火) 23:19

小説板にAAを貼っているのが心苦しいくなってきたので次スレは狩狩でやります
やる事は大して変わらない予定(顔文字やAAだけになるとかそういうのはないと思う)
見にきてくれたなら、私は嬉しいでしょう。
ttp://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs/1155045331/
1001 名前:Max 投稿日:Over Max Thread
このスレッドは最大記事数を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。

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